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明細書 :電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置およびこれを用いた検査方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5110591号 (P5110591)
公開番号 特開2010-025812 (P2010-025812A)
登録日 平成24年10月19日(2012.10.19)
発行日 平成24年12月26日(2012.12.26)
公開日 平成22年2月4日(2010.2.4)
発明の名称または考案の名称 電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置およびこれを用いた検査方法
国際特許分類 G01N  29/04        (2006.01)
FI G01N 29/04 504
請求項の数または発明の数 8
全頁数 13
出願番号 特願2008-188804 (P2008-188804)
出願日 平成20年7月22日(2008.7.22)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成20年7月12日 (特定非営利活動法人)日本保全学会主催の「第5回学術講演会」に発表
審査請求日 平成21年11月25日(2009.11.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】田川 明広
【氏名】上田 雅司
【氏名】宮原 信哉
【氏名】山下 卓哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100096862、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 千春
審査官 【審査官】森口 正治
参考文献・文献 特開2006-198643(JP,A)
特開2003-042857(JP,A)
特開平02-096607(JP,A)
調査した分野 G01N 29/04
特許請求の範囲 【請求項1】
内部に液体が流通する配管の減肉量および表面温度ならびに上記液体の温度を計測可能な電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置であって、
上記配管の外周に磁石およびコイルを有する2つの電磁超音波探触子が対向配置されており、
上記電磁超音波探触子は、各々巻線からなる第1のコイルおよび第2のコイルが、電流の入口側を同一側に向けて互いに平行に配置され、かつ上記第1のコイルの上記電流の入口側または出口側を上記第2のコイルの巻線間に位置させるように積層されるとともに、
上記磁石が、上記第2のコイルの巻線間ならびに、それを挟む当該コイルの電流の入口側および出口側の3箇所に等間隔に、当該コイル側にN極とS極とを交互に配して、着磁方向を当該コイルから接離する方向に向けて配設されることにより、
上記第2のコイルと上記3箇所にそれぞれ配置された磁石とにより構成される縦波送受信器と、
上記第1のコイルと当該第1のコイルに対応する上記第2のコイルの巻線間および電流の出口側または入口側の2箇所にそれぞれ配置された磁石とにより構成される横波送受信器とが備えられ
かつ上記2つの電磁超音波探触子は、上記液体の表面より下方に位置するように設置されるとともに、各々上記第1のコイルおよび第2のコイルに電流を供給する電流配線が接続され、かつ第1のコイルおよび第2のコイルの少なくとも一方が上記配管に接触して、当該コイルの抵抗値を測定する抵抗測定機器の配線に接続されていることを特徴とする電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置。
【請求項2】
上記電流配線は、上記抵抗測定配線が接続されている第1のコイルおよび第2のコイルの少なくとも一方に対しては上記抵抗測定配線とともに複合ケーブルとして上記電磁超音波探触子に接続されており、
上記抵抗測定機器は、上記配管の表面温度を算出する計測演算装置の一部であり、
上記計測演算装置は、上記コイルの抵抗から上記配管の温度を演算可能に設けられるとともに、一方の上記電磁超音波探触子の上記横波送受信器から送信された横波が上記配管の上記液体との界面で反射された反射波を、上記一方の電磁超音波探触子の横波送受信器にて受信することにより、上記一方の電磁超音波探触子が配置された位置の配管の減肉量が演算可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置。
【請求項3】
上記計測演算装置は、他方の上記電磁超音波探触子の上記横波送受信器から送信された横波が上記配管の上記液体との界面で反射された反射波を、上記他方の電磁超音波探触子の横波送受信器にて受信することにより、上記2つの電磁超音波探触子が配置された位置の配管の減肉量がそれぞれ演算可能に設けられているとともに、
上記減肉量によって補正した上記配管の内径と、一方の上記電磁超音波探触子の上記縦波送信器から送信された縦波を上記他方の電磁超音波探触子の上記縦波送受信器が受信するまでの時間とから上記縦波の速度を求めて、予め求めておいた縦波の速度と液体温度との関係から上記液体の温度が算出可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置。
【請求項4】
上記計測演算装置は、上記横波送受信器が横波を送信してから上記配管と上記液体との界面で反射される多重反射のn回目の反射波を受信するまでの時間Tnとn+1回目の反射波を受信するまでの時間Tn+1との時間差(Tn+1-Tn)を、上記配管温度に基づく上記横波の速度vの二倍の数値で割る下記式によるパルスエコー法によって、上記配管の厚さDが算出可能に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置。
D=(Tn+1-Tn)/2v
【請求項5】
上記計測演算装置は、共鳴周波数fnとその周波数の次数nと上記配管温度に基づく上記横波の速度vによる下記式にしたがって演算する電磁超音波共鳴法によって上記配管の厚さDが算出可能に設けられていることを特徴とする請求項2ないしのいずれか一項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置。
D=n(v/2fn
【請求項6】
上記他方の電磁超音波探触子の縦波送受信器を構成しているコイルは、上記他方の電磁超音波探触子の横波送受信器ならびに上記一方の電磁超音波探触子の縦波送受信器および上記横波送受信器を構成しているコイルよりも線径が小さいことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置
【請求項7】
上記一方の電磁超音波探触子および上記他方の電磁超音波探触子の電流配線は、超音波発生器に送信切替器を介して接続されていることを特徴とする請求項ないしのいずれか一項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置。
【請求項8】
請求項3~7のいずれか一項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置を用いて、上記配管に接触しているコイルの直流抵抗を計測して配管温度を求めるとともに、上記一方の電磁超音波探触子および上記他方の電磁超音波探触子の上記横波送受信器が送信した横波の反射波を受信することにより上記配管の減肉量を求め、かつ上記一方の上記電磁超音波探触子の上記縦波送信器から送信された縦波を上記他方の電磁超音波探触子の上記縦波送受信器が受信するまでの時間と、上記減肉量から求まる上記配管の内径とから上記縦波の速度を演算して、当該速度と液体温度との関係から上記液体の温度を求めることを特徴とする配管の検査方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、原子力発電設備などの大型プラントの配管の減肉量および表面温度ならびに内部液体温度を計測することが可能な電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置およびこれを用いた検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型プラント設備には、一般的に各装置などを接続する配管が数多く設けられており、これらの配管は、その内壁面が永年の使用によって内部を流通する液体により削られる等して、内壁側から減肉し、その結果、孔や亀裂などが形成されると、上記液体の流出を原因とする事故などを引き起こす可能性がある。
このため、従前より、プラント設備では、作業員が超音波プローブを配管の外周に接触させるようにして配管の減肉などを検査することが行われている。
【0003】
しかしながら、上記液体が高温である場合には配管も加熱されて高温になっているため、この超音波プローブなどの人手による検査方法では、プラント稼働中の配管の減肉検査が困難である。
そこで、現在、プラント稼働中にも配管温度に関係なく、配管の減肉などを検査する減肉検査装置が必要とされている。
これに加えて、配管の検査としては、プラントに異常が発生した場合に配管温度や配管内の液体温度なども変化しうるため、これら配管温度や液体温度を計測することも必要とされている。
【0004】
これに対して、特許文献1に示す超音波探触子を用いて上記配管の内壁面の減肉量を検査する方法や、特許文献2に示す配管内を走行可能な電磁超音波探触子を用いて配管外周の減肉量を計測する検査装置が知られている。
また、配管温度を計測する装置としては、一般的に、熱電対などが用いられている。
【0005】

【特許文献1】特開2004-163250号公報
【特許文献2】特開平9-281087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1の検査方法に用いられる検査装置や上記特許文献2の検査装置に、上記熱電対を搭載した計測システムを用いることによって、配管の減肉量や配管温度が計測できたとしても、上記配管内の液体の温度を計測することができない。その上、この配管の減肉量を配管温度に基づく音速を利用してパルスエコー法および/または電磁超音波共鳴法によって求める場合には、熱電対による計測部と検査装置による計測部との計測位置が異なるため、温度に誤差が生じ、その誤差により用いる音速に誤差が生じることから、正確な減肉量を求めることができないという欠点がある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、配管の温度とともに正確な配管の減肉量を計測でき、かつ内部液体の温度も計測することができる電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置およびこれを用いた検査方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、内部に液体が流通する配管の減肉量および表面温度ならびに上記液体の温度を計測可能な電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置であって、上記配管の外周に磁石およびコイルを有する2つの電磁超音波探触子が対向配置されており、上記電磁超音波探触子は、各々巻線からなる第1のコイルおよび第2のコイルが、電流の入口側を同一側に向けて互いに平行に配置され、かつ上記第1のコイルの上記電流の入口側または出口側を上記第2のコイルの巻線間に位置させるように積層されるとともに、上記磁石が、上記第2のコイルの巻線間ならびに、それを挟む当該コイルの電流の入口側および出口側の3箇所に等間隔に、当該コイル側にN極とS極とを交互に配して、着磁方向を当該コイルから接離する方向に向けて配設されることにより、上記第2のコイルと上記3箇所にそれぞれ配置された磁石とにより構成される縦波送受信器と、上記第1のコイルと当該第1のコイルに対応する上記第2のコイルの巻線間および電流の出口側または入口側の2箇所にそれぞれ配置された磁石とにより構成される横波送受信器とが備えられ、かつ上記2つの電磁超音波探触子は、上記液体の表面より下方に位置するように設置されるとともに、各々上記第1のコイルおよび第2のコイルに電流を供給する電流配線が接続され、かつ第1のコイルおよび第2のコイルの少なくとも一方が上記配管に接触して、当該コイルの抵抗値を測定する抵抗測定機器の配線に接続されていることを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項に記載の発明は、請求項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置において、上記電流配線は、上記抵抗測定配線が接続されている第1のコイルおよび第2のコイルの少なくとも一方に対しては上記抵抗測定配線とともに複合ケーブルとして上記電磁超音波探触子に接続されており、上記抵抗測定機器は、上記配管の表面温度を算出する計測演算装置の一部であり、上記計測演算装置は、上記コイルの抵抗から上記配管の温度を演算可能に設けられるとともに、一方の上記電磁超音波探触子の上記横波送受信器から送信された横波が上記配管の上記液体との界面で反射された反射波を、上記一方の電磁超音波探触子の横波送受信器にて受信することにより、上記一方の電磁超音波探触子が配置された位置の配管の減肉量が演算可能に設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置において、上記計測演算装置は、他方の上記電磁超音波探触子の上記横波送受信器から送信された横波が上記配管の上記液体との界面で反射された反射波を、上記他方の電磁超音波探触子の横波送受信器にて受信することにより、上記2つの電磁超音波探触子が配置された位置の上記配管の減肉量がそれぞれ演算可能に設けられているとともに、上記減肉量によって補正した上記配管の内径と、一方の上記電磁超音波探触子の上記縦波送信器から送信された縦波を上記他方の電磁超音波探触子の上記縦波送受信器が受信するまでの時間とから上記縦波の速度を求めて、予め求めておいた縦波の速度と液体温度との関係から上記液体の温度が算出可能に設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置において、上記計測演算装置は、上記横波送受信器が横波を送信してから上記配管と上記液体との界面で反射される多重反射のn回目の反射波を受信するまでの時間Tnとn+1回目の反射波を受信するまでの時間Tn+1との時間差(Tn+1-Tn)を、上記配管温度に基づく上記横波の速度vの二倍の数値で割る下記式によるパルスエコー法によって、上記配管の厚さDが算出可能に設けられていることを特徴としている。
D=(Tn+1-Tn)/2v
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項ないしのいずれか一項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置において、上記計測演算装置は、共鳴周波数fnとその周波数の次数nと上記配管温度に基づく上記横波の速度vによる下記式にしたがって演算する電磁超音波共鳴法によって上記配管の厚さDが算出可能に設けられていることを特徴としている。
D=n(v/2fn
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項ないしのいずれか一項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置において、上記他方の電磁超音波探触子の縦波送受信器を構成しているコイルは、上記他方の電磁超音波探触子の横波送受信器ならびに上記一方の電磁超音波探触子の縦波送受信器および上記横波送受信器を構成しているコイルよりも線径が小さいことを特徴としている。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項ないしのいずれか一方に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置において、上記一方の電磁超音波探触子および上記他方の電磁超音波探触子の電流配線は、超音波発生器に送信切替器を介して接続されていることを特徴としている。
【0016】
請求項に記載の発明に係る配管の検査方法は、請求項のいずれか一項に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置を用いて、上記配管に接触しているコイルの直流抵抗を計測して配管温度を求めるとともに、上記一方の電磁超音波探触子および上記他方の電磁超音波探触子の上記横波送受信器が送信した横波の反射波を受信することにより上記配管の減肉量を求め、かつ上記一方の上記電磁超音波探触子の上記縦波送信器から送信された縦波を上記他方の電磁超音波探触子の上記縦波送受信器が受信するまでの時間と、上記減肉量から求まる上記配管の内径とから上記縦波の速度を演算して、当該速度と液体温度との関係から上記液体の温度を求めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1~に記載の電磁超音波探触子を用いたハイブリット計測装置によれば、配管の外周に2つの電磁超音波探触子が対向配置されるとともに、各電磁超音波探触子が縦波送受信器と横波送受信器と有し、かつ縦波送受信器と横波送受信器とがそれぞれコイルおよび磁石を有しているため、予め、配管の温度と抵抗値との関係を求めておくことによって、コイルの抵抗値を計測することにより配管温度の算出を可能にすることができる。
さらには、この配管温度により各電磁超音波探触子の横波送信器が送信する横波の速度が一義的に定まることから、この横波の多重反射波を受信することにより、各電磁超音波探触子の設置位置の配管の肉厚をそれぞれ計測することができる。従って、配管温度を測定して横波の速度を求めた位置の配管の肉厚を計測でき、計測位置の差による配管の肉厚の計測誤差が生じることなく、正確な配管の減肉量を求めることができる。
【0018】
これに加えて、上記正確な配管の減肉量から配管の内径を求めるとともに、一方の電磁超音波探触子の縦波送受信器によって縦波が送信されてから他方の電磁超音波探触子の縦波送受信器によって上記縦波を受信するまでの時間を計測することにより、縦波の速度を演算して、予め求めておいた縦波の速度と液体温度との関係から液体の温度を算出することができる。
従って、正確な配管の減肉量から正確な配管の内径が求められている位置の縦波の通過時間を計測することにより、計測位置の差による誤差が生じることを防止して正確な液体の温度を計測することができる。
【0019】
特に、電磁超音波探触子を液面より下方に位置するように設置することによって、上記液体の温度を計測する際に、一方の電磁超音波探触子の縦波送受信器から送信された縦波が液面上の気体を通過することによる計測誤差が生じることを防止できる。
さらに、抵抗測定機器によって配線を通じて上記配管に接触しているコイルの抵抗を計測することにより、簡易的に上記配管温度を算出することができる。
【0020】
これに加えて、請求項に記載のハイブリット計測装置によれば、電流配線を抵抗測定配線とともに複合配線とすることにより、電磁超音波探触子を配管の外周に簡便に設置することができる。また、計測演算装置によって、上記配管温度に加えて配管の減肉量を計測することができ、配管の管理体制を簡便なものとすることができる。
【0021】
さらに、請求項に記載のハイブリット計測装置によれば、計測演算装置によって、配管の電磁超音波探触子が設置された2箇所両方の配管減肉量を計測することができる上に、上述の液体の温度を計測する際に、より正確な液体温度を求めることができる。
【0022】
また、請求項に記載のハイブリット計測装置によれば、パルスエコー法により、特に、肉厚5mm以上の配管の厚さを正確に求めて、上記減肉量を計測することができ、他方、請求項に記載のハイブリット計測装置によれば、電磁波超音波共鳴法により、特に、肉厚5mm以下の配管の厚さを正確に求めて、上記減肉量を計測することができる。
【0023】
さらに、請求項に記載のハイブリット計測装置によれば、上記他方の電磁超音波探触子の縦波送受信器のコイルをその他のコイルよりも線径を小さくすることによって、受信表面積を大きくして、縦波の受信感度を良好なものとすることができる。
【0024】
また、請求項に記載のハイブリット計測装置によれば、例えば、超音波発生器を一方の電磁超音波探触子に接続して、この一方の電磁超音波探触子のコイルの抵抗値から配管温度の計測、そして横波送受信器の反射波計測による配管の肉厚計測とともに、縦波送受信器からの縦波の送信を行った後に、送信切替器によって超音発生器を他方の電磁超音波探触子に接続して、この他方の電磁超音波探触子のコイルの抵抗値から配管温度の計測、そして横波送受信器の反射波計測による配管の肉厚計測を行うことができる。さらに、上記縦波発信器から送信されてから上記縦波を上記他方の電磁超音波探触子が受信するまでの時間を計測して、電磁超音波探触子が設置された2箇所両方の配管肉厚から求めた配管内径と上記時間とから縦波の速度を導出して液体の温度を算出することができる。
【0025】
従って、送信切替器を設けることによって、一台の超音波発生器でも一方および他方の電磁超音波探触子に順に接続して、配管温度、配管肉厚、および液体温度を検査でき、その結果、超音波発生器を2台設ける必要もなく、装置全体を小型化できる。
【0026】
このため、請求項に記載の配管の検査方法のように、コイルの抵抗値から配管温度を求めるとともに、一方の電磁超音波探触子および他方の電磁超音波探触子の横波送受信器が送信した横波の反射波を受信することにより配管の減肉量を求め、かつ上記一方の上記電磁超音波探触子の上記縦波送信器から送信された縦波を上記他方の電磁超音波探触子の上記縦波送受信器が受信するまでの時間を計測することにより、上記減肉量から求まる上記配管の内径を基に上記縦波の速度から上記液体の温度を求めて、正確かつ効率的に配管温度、肉厚および液体温度を計測することができる。
従って、配管温度、配管肉厚および液体温度の計測結果に異常がある場合には、簡易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次いで、本発明に係るハイブリット計測装置およびそれを用いた検査方法について説明する。
まず、本実施形態のハイブリット計測装置は、図1~図5に示すように、配管wの外周の対向する2箇所にそれぞれ電磁超音波探触子(以下、EMATセンサという。)11、12が配置されており、これら第1のEMATセンサ(一方の電磁超音波探触子)11および第2のEMATセンサ(他方の電磁超音波探触子)12の2つは、それぞれ内部に流通する液体の表面よりも下方に位置するように設置されている。そして、ハイブリット計測装置は、各EMATセンサ11、12によって横波を送受信することによりセンサ11、12の設置箇所の配管wの減肉が計測可能に設けられるとともに、第1のEMATセンサ11から送信した縦波を第2のEMATセンサ12によって受信することにより液体温度が計測可能に設けられている。
【0028】
各EMATセンサ11、12は、各々巻線からなる平面視略長方形状の2つのコイル13、14が、短手方向一端側となる巻線の電流の入口側13a、14aを同一側(図3中左手側)に向けて互いに平行に配置され、かつ第1のコイル(一方のコイル)13の上記短手方向他端側となる巻き線の電流の出口側13bを第2のコイル(他方のコイル)14の巻線間140の空洞部上に位置させるように積層されている。そして、第1のEMATセンサ11の第1のコイル13および第2のコイル14ならびに第2のEMATセンサ12の第1のコイル13は、線形φ0.2mm、巻数44であって、短手方向が23mm、長手方向が30mm、空洞の短手方向の幅が3mmとなるように構成されており、第2のEMATセンサ12の第2のコイル14は、線形φ0.1mm、巻数79であるほかは他のコイルと同様に構成されている。
【0029】
さらに、各EMATセンサ11、12は、上記第2のコイル14の巻線間140ならびに、それを挟む当該第2のコイル14の電流の入口側14aおよび出口側14bの3箇所に等間隔に、コイル側にN極とS極とを交互に配して着磁方向をコイル13、14から接離する方向に向けて永久磁石15、16、17が配設され、かつコイル13、14を配管w側にして第2のコイル14を配管wの外周に接触させて設置されている。また、上記永久磁石15として、複数(本実施形態においては3本)の永久磁石15a~15cがコイル13、14の長手方向に向けて一列に並べられるとともに、同様に、上記永久磁石16、17として、各々複数(本実施形態においては3本)の永久磁石16a~16c、17a~17cがコイル13、14の長手方向に向けて一列に並べられている。これにより、各EMATセンサ11、12には、9本の永久磁石15a~15c、16a~16c、17a~17cが備えられている。
【0030】
また、各EMATセンサ11、12には、第2のコイル14および上記3箇所にそれぞれ配置された9本の永久磁石15a~15c、16a~16c、17a~17cにより構成される縦波送受信器18と、第1のコイル13および第1のコイル13に対応する2箇所、すなわち、第2のコイル14の巻線間140および第2のコイルの電流の入り口側14aにそれぞれ配設された6本の永久磁石15a~15c、16a~16cにより構成される横波送受信器19とが備えられている。各EMATセンサ11、12には、各コイル13、14に電流を供給する電流供給配線と配管wに接触する第2のコイル14の抵抗を計測する抵抗測定配線とを有する複合ケーブル2が接続されている。
【0031】
他方、上記配管wは、炭素鋼やステンレス鋼からなり、その外周に断熱材w1が設けられている。この断熱材w1には、第1のEMATセンサ11および第2のEMATセンサ12の取付口w10がそれぞれ形成されており、これらの取付口w10を形成するために切り取られた断熱材w1は、それぞれ厚さを薄くするように加工されて、蓋部材w2として第1のEMATセンサ11や第2のEMATセンサ12の取付口w10を閉塞可能に設けられている。これら蓋部材w2は、その中央部に複合ケーブル2が貫通可能に設けられている。これにより、第1のEMATセンサ11および第2のEMATセンサ12は、取付口w10に設置されて、複合ケーブル2が蓋部材w2を貫通して断熱材w1の外方に延出している。
【0032】
各複合ケーブル2は、各電流供給配線が送信切替器31を介してバースト波超音波発生器30の出力側に接続されるとともに、各抵抗測定配線が切替器41を介して直流抵抗測定器40に接続されている。さらに、第2のEMATセンサ12の第2のコイル14に接続された電流配線がプリアンプ51を介してバースト波超音波発生器30にも接続されており、このバースト波超音波発生器30は、オシロスコープ52を介してパーソナルコンピュータ(計測演算装置)5に接続されている。
そして、このパーソナルコンピュータ5は、直流抵抗測定器40の出力部にも接続されて、直流抵抗測定器40によって測定された抵抗値から配管wの温度が算出可能に設けられている。
【0033】
次いで、上述のハイブリット計測装置を用いた検査方法について、図6を用いて説明する。
まず、予め、検査を行う前に、直流抵抗値と配管w温度との関係を求めるとともに、縦波の音速と液体温度との関係を求めておく。
【0034】
そして、バースト波超音波発生器を作動させて、第1のEMATセンサ11の第1のコイル13および配管wに接触している第2のコイル14に直流電流を供給して、この第2のコイル14の直流抵抗値を直流抵抗測定器40で測定することにより、パーソナルコンピュータ5によって上記直流抵抗と配管wとの温度との関係から配管wの温度が求められる。
それとともに、第1のEMATセンサ11の横波送受信器19から送信された横波が配管と液体との界面で反射された反射波を、同横波送受信器19にて受信することにより、配管wの肉厚D1の減肉量a1を求める。
【0035】
この配管wの肉厚D1は、横波送受信器19が横波を送信してから配管wの上記界面、すなわち配管wの内壁面で反射される多重反射のn回目の反射波を受信するまでの時間Tnとn+1回目の反射波を受信するまでの時間Tn+1との時間差(Tn+1-Tn)を、上記配管wの温度に基づく横波の音速VThの二倍の数値で割る下記式(1)によるパルスエコー法によって求められる。
D=(Tn+1-Tn)/2VTh・・・(1)
また、共鳴周波数fnとその周波数の次数nと上記配管wの温度に基づく横波の音速VThに基づく下記式(2)による電磁超音波共鳴法によっても配管の厚さDが求められる。
D=n(VTh/2fn)・・・(2)
【0036】
従って、これらの時間Tnなどのデータが計測されて、バースト波超音波発生器30およびオシロスコープ52を介してパーソナルコンピュータ5に送信されることにより、このパーソナルコンピュータ5によって、配管wの肉厚D1の初期値からの減肉量a1が求められる。
その際、このパーソナルコンピュータ5によって、配管wの肉厚D1が2mm以上6mm以下の範囲内のパルスエコーの精度により定まる所定の厚さ以上の場合には、上記(1)式によるパルスエコー法にしたがって減肉量a1が算出され、かつ肉厚D1が上記所定の厚さ未満の場合には、上記(2)式による電磁超音波共鳴法にしたがって配管wの減肉量a1が算出される。
【0037】
また、第1のEMATセンサ11の縦波送受信器18によって縦波を送信してから、この縦波を第2のEMATセンサ12の縦波送受信器18が受信するまでの時間を、プリアンプ51、バースト波超音波発生器30およびオシロスコープ52を介してパーソナルコンピュータ5が計測している。
【0038】
次いで、送信切替器31によって、第1のEMATセンサ11から第2のEMATセンサ12に電流の流れを切替えるとともに、切替器41によって、直流抵抗測定器40の測定対象を第1のEMATセンサ11から第2のEMATセンサ12に切替える。
これにより、第2のEMATセンサ12の第1のコイル13および配管wに接触している第2のコイル14に直流電流を供給して、この第2のコイル14の直流抵抗値を直流抵抗測定器40で測定することにより、パーソナルコンピュータ5によって上記直流抵抗と配管wとの温度との関係から配管wの温度が求められる。
【0039】
それとともに、第2のEMATセンサ12の横波送受信器19から送信された横波が配管と液体との界面で反射された反射波を、同横波送受信器19にて受信することにより、配管wの肉厚D2の減肉量a2を求める。
この配管wの肉厚D2の減肉量a2は、第1のEMATセンサ11と同様に、パーソナルコンピュータ5によって、肉厚D2が上記パルスエコーの精度により定まる所定の厚さ以上の場合には、上記式(1)によるパルスエコー法によって求められた肉厚D2を基に初期値からの減肉量a2が算出されるとともに、肉厚D2が上記所定の厚さ未満の場合には、上記式(2)による電磁超音波共鳴法によって求められた肉厚D2を基に初期値からの減肉量a2が算出される。
【0040】
そして、第1のEMATセンサ11および第2のEMATセンサ12から求めた配管wの肉厚D1、D2の減肉量a1およびa2を配管wの内径の初期値Loに加算することにより、配管wの内径Lが求められる。なお、上記減肉量a1、a2は、肉厚を意味する。次いで、この配管wの内径Lと上記パーソナルコンピュータ5が計測している縦波の送受信時間とから縦波の音速が求められて、上記予め求めた音速と液体温度との関係から液体温度が求められる。
これにより、パーソナルコンピュータ5によって第1のEMATセンサ11および第2のEMATセンサ12が設置された箇所の配管wの温度と肉厚D1、D2、さらに配管w内の液体の温度が求められることから、大型プラントで異常が発生した場合にも瞬時に検出することが可能となる。
【0041】
なお、上述の実施形態において、永久磁石15、16、17としてそれぞれ複数の永久磁石15a~15c、16a~16c、17a~17cが用いられているものの、本発明は、これに何ら限定されるものでなく、永久磁石15、16、17がそれぞれ一本状に形成されて、第2のコイル14の巻線間140およびそれを挟むコイル14の電流の入口側および出口側に等間隔に設けられることにより、コイル13、14の長手方向に向けて配設されてもよく、横波および縦波を送受信できるものであれば足りる。また、永久磁石15、16、17に代えて電磁石を用いてもよい。
さらに、本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものでなく、例えば、第1のコイル13の上に第2のコイル14が積層されてもよく、この場合には、第1のコイル13に抵抗測定配線が接続される。また、配管wの肉厚D1、D2が上記所定の厚さ以上の場合および上記所定の厚さ未満の場合ともに、パルスエコー法と電磁超音波共鳴法との両方によって配管wの肉厚D1、D2を求めてもよいものである。
【0042】
本実施形態のハイブリット計測装置およびそれを用いた検査方法によれば、配管wの外周に第1EMATセンサ11および第2のEMATセンサ12が対向配置されるとともに、各EMATセンサ11、12の第2のコイル14に接続された抵抗測定器40によって測定した配管wの直流抵抗などのデータをパーソナルコンピュータ5に送信すると、予め、パーソナルコンピュータ5に配管wの直流抵抗と配管温度との関係を求めて入力しておくことにより、同コンピュータ5によって配管wの温度を算出することができる
【0043】
さらには、この配管温度により横波の音速が一義的に定まることから、各EMATセンサ11、12の横波送受信器19が送信した横波の多重反射波を受信して、同受信データをパーソナルコンピュータ5に送信することにより、同コンピュータ5によってEMATセンサ11、12の設置位置の配管wの肉厚D1、D2をパルスエコー法または磁超音波共鳴法にしたがって演算することができる。従って、配管wの温度を測定して上記横波の音速を求めた位置の配管wの肉厚D1、D2を計測でき、計測位置の差による配管wの肉厚D1、D2の計測誤差が生じることなく、正確な配管wの減肉量a1、a2を求めることができる。
【0044】
これに加えて、上記正確な配管wの減肉量a1、a2から配管wの内径Lを求めるとともに、第1のEMATセンサ11の縦波送受信器18によって縦波が送信されてから第2のEMATセンサ12の縦波送受信器18によって上記縦波を受信するまでの時間を、パーソナルコンピュータ5で計測することにより、縦波の音速を求めて、予め、音速と液体温度との関係を求めておくことによって、液体の温度を算出するすることができる。
従って、正確な配管wの減肉量a1、a2から正確な配管wの内径Lが求められている位置の縦波の送受信時間を計測することにより、計測位置の差による誤差が生じることを防止して正確な液体の温度を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態のハイブリット計測装置の構成説明図である。
【図2】EMATセンサ11、12の平面模式図であって、縦波送受信器18および横波送受信器19を備えていることを説明するための構成説明図である
【図3】EMATセンサ11、12の断面模式図である。
【図4】EMATセンサ11、12の配管wへの取り付けを説明するための断面模式図である。
【図5】EMATセンサ11、12の配管wへの取り付けを説明するための斜視図である。
【図6】本実施形態のハイブリット計測装置を用いた検査方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
11 第1のEMATセンサ(一方の電磁超音波探触子)
12 第2のEMATセンサ(他方の電磁超音波探触子)
13 第1のコイル
13a 第1のコイルの電流の入口側
13b 第1のコイルの電流の出口側
14 第2のコイル
14a 第2のコイルの電流の入口側
14b 第2のコイルの電流の出口側
15~17 永久磁石
18 縦波送受信器
19 横波送受信器
30 バースト波超音波発生器
31 送信切替器
40 直流抵抗測定器
41 切替器
D 肉厚
w 配管
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5