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明細書 :貴金属の回収方法と機能材料の製造方法、並びに機能材料を用いた強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5424297号 (P5424297)
公開番号 特開2010-065261 (P2010-065261A)
登録日 平成25年12月6日(2013.12.6)
発行日 平成26年2月26日(2014.2.26)
公開日 平成22年3月25日(2010.3.25)
発明の名称または考案の名称 貴金属の回収方法と機能材料の製造方法、並びに機能材料を用いた強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法
国際特許分類 C22B  11/00        (2006.01)
C02F   1/70        (2006.01)
C02F   1/30        (2006.01)
B01J  37/34        (2006.01)
B01J  23/42        (2006.01)
B01J  23/46        (2006.01)
B01J  23/44        (2006.01)
C22B   7/00        (2006.01)
C22B   3/24        (2006.01)
FI C22B 11/00 101
C02F 1/70 A
C02F 1/30
B01J 37/34
B01J 23/42 M
B01J 23/46 311M
B01J 23/44 M
C22B 7/00 G
C22B 3/00 K
請求項の数または発明の数 7
全頁数 11
出願番号 特願2008-231477 (P2008-231477)
出願日 平成20年9月9日(2008.9.9)
審査請求日 平成23年3月11日(2011.3.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】永石 隆二
【氏名】吉田 善行
【氏名】山田 禮司
【氏名】青柳 登
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】國方 康伸
参考文献・文献 特開2007-205911(JP,A)
特開2008-019162(JP,A)
特開2006-247485(JP,A)
国際公開第2004/083124(WO,A1)
特開2008-207081(JP,A)
調査した分野 C22B 1/00-61/00
C02F 1/30
C23C 18/42
特許請求の範囲 【請求項1】
貴金属イオンを含む水溶液に、放射線エネルギーを吸収して化学反応エネルギーに変換する触媒として機能する固体材料であって、石英、アルミナ、チタニア、ジルコニア及びこれらの混合物から選択される固体もしくは固溶体から選択される固体材料を添加し、放射線照射して前記固体材料の表面に貴金属を分散または担持させることを特徴とする貴金属の回収方法。
【請求項2】
放射線照射が、貴金属イオンを含む水溶液の外部からの放射線照射または放射線源を前記水溶液に導入した内部からの放射線照射であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属の回収方法。
【請求項3】
貴金属イオンを含む水溶液に、放射線エネルギーを吸収して化学反応エネルギーに変換する触媒として機能する固体材料であって、石英、アルミナ、チタニア、ジルコニア及びこれらの混合物から選択される固体もしくは固溶体から選択される固体材料を添加し、放射線照射して前記固体材料の表面に貴金属を分散または担持させた貴金属分散・担持固体材料を得ることを特徴とする機能材料の製造方法。
【請求項4】
放射線照射が、貴金属イオンを含む水溶液の外部からの放射線照射または放射線源を前記水溶液に導入した内部からの放射線照射であることを特徴とする請求項3に記載の機能材料の製造方法。
【請求項5】
貴金属分散・担持固体材料が、-2.0 V以上の標準酸化還元電位(V vs 標準水素発生電位)を有する強酸化性金属イオン還元用触媒材料であることを特徴とする請求項3または4に記載の機能材料の製造方法。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかの方法で製造した機能材料を、-2.0 V以上の標準酸化還元電位(V vs 標準水素発生電位)を有する強酸化性金属イオンを含む水溶液に添加し、放射線照射して前記強酸化性金属イオンを還元処理することを特徴とする強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法。
【請求項7】
放射線照射が、強酸化性金属イオンを含む水溶液の外部からの放射線照射または放射線源を前記水溶液に導入した内部からの放射線照射であることを特徴とする請求項6に記載の強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属の回収方法と機能材料の製造方法、並びに機能材料を用いた強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金や白金族元素などの貴金属の回収方法としては、貴金属含有物に還元剤を添加して加熱または光・放射線照射する方法(例えば、特許文献1参照)や、陰イオン交換体への選択吸着による方法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。しかし、環境適合性や経済性の観点から、以下のような問題があった。すなわち、回収処理のための加熱や還元剤などの薬品の使用によりコスト高になってしまうこと、貴金属イオンの固化処理と固化した貴金属の回収に複雑な操作を要すること、回収処理によっては副生成物や残留物が発生してその後処理(2次処理)を要すること、などが依然として改善すべき課題として残されていた。
【0003】
また環境有害物質である4価セリウム、6価クロム、7価マンガンなどの強酸化性金属イオンを無害化するための還元処理法においても、従来、複雑な化学処理や大量の化学薬品を要するという問題があった。そこで本出願人は、放射線照射を利用する処理法を提案している(例えば、特許文献3参照)。特許文献3の方法によれば、放射線照射した固体材料による強酸化性金属イオンの還元反応により無害化と有用材料への転換を同時に実現できるものである。ここで強酸化性金属イオンの還元反応をさらに促進させることができれば、例えば工業廃水・廃液や環境水中の環境有害物質をより一層効果的に無害化することができる。
【特許文献1】特開2004-270008号公報
【特許文献2】特表2007-533789号公報
【特許文献3】特開2006-247485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、複雑な化学処理や大量の化学薬品を使用せずに、貴金属を回収することができる貴金属の回収方法と、強酸化性金属イオンの還元反応を促進可能な機能材料の製造方法を提供することを課題としている。また、複雑な化学処理や大量の化学薬品を使用せずに、強酸化性金属イオンの還元反応を効果的に促進させることが可能な強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0006】
第1に、本発明の貴金属の処理方法は、貴金属イオンを含む水溶液に固体材料を添加し、放射線照射して前記固体材料の表面に貴金属を分散または担持させるものである。
【0007】
第2に、上記第1の発明において、固体材料が、酸化物、金属またはそれらを含有する材料である。
【0008】
第3に、上記第1または第2の発明において、放射線照射が、貴金属イオンを含む水溶液の外部からの放射線照射または放射線源を前記水溶液に導入した内部からの放射線照射である。
【0009】
第4に、本発明の機能材料の製造法は、貴金属イオンを含む水溶液に固体材料を添加し、放射線照射して前記固体材料の表面に貴金属を分散または担持させた貴金属分散・担持固体材料を得るものである。
第5に、上記第4の発明において、固体材料が、酸化物、金属またはそれらを含有する材料である。
【0010】
第6に、上記第4または第5の発明において、放射線照射が、貴金属イオンを含む水溶液の外部からの放射線照射または放射線源を前記水溶液に導入した内部からの放射線照射である。
【0011】
第7に、上記第4から第6の発明において、貴金属分散・担持固体材料が、強酸化性金属イオン還元用触媒材料であることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の機能材料の製造方法。
【0012】
第8に、本発明の強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法は、上記第4から第6の発明の方法で製造した機能材料を強酸化性金属イオンを含む水溶液に添加し、放射線照射して強酸化性金属イオンを還元処理するものである。
【0013】
第9に、上記第8の発明において、放射線照射が、強酸化性金属イオンを含む水溶液の外部からの放射線照射または放射線源を前記水溶液に導入した内部からの放射線照射である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は前記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0015】
図1(a)は本発明の貴金属の回収処理方法を説明するための貴金属回収処理装置の模式図である。図1(a)に示すように、貴金属イオンを含む水溶液に少量の固体材料を添加して、キャプセル状の放射線源から放出されるガンマ線などの放射線を、前記水溶液を含む容器の外部から照射する。そして、放射線照射によって水溶液中に誘起される還元反応を利用して、水溶液中の貴金属イオンを還元処理して固体材料の表面に分散または担持させる。
【0016】
すなわち、本発明は、照射された放射線のエネルギーを固体材料が吸収して化学反応エネルギーに変換し、これにより生成する固体材料表面の励起電子、固体材料から放出する二次電子、水溶液中に生成する水和電子ならびにラジカルなどの還元種で、貴金属イオンの還元反応を促進して貴金属イオンを還元固化し、固体材料の表面に貴金属を分散または担持した状態で回収するものであり、後処理を要する還元剤や酸、アルカリを使用することなく貴金属イオンの還元と貴金属の回収を容易に実現することができる。ここで回収された貴金属を分散または担持した固体材料(以下、貴金属分散・担持固体材料ともいう)は後述するように、特に強酸化性金属イオンの還元処理を効果的に促進する触媒などの機能材料として利用することができる。
【0017】
本発明における貴金属イオンを含む水溶液は、パラジウム、ロジウム、白金、ルテニウムなどの白金族元素や金がイオンの形で安定に溶解している水溶液であれば特に制限されるものではない。
【0018】
固体材料は、粉体、塊状または繊維状の酸化物、金属またはそれらを含有する材料であり、酸化物としては例えば、石英、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物またはそれらの混合物もしくは固溶体を例示することができる。固体材料が粉体である場合、粉体の形状(1次粒子か2次粒子か)や粒径について特に制限されるものではないが、例えば、平均粒径0.01 μm~500 μmの範囲のものを用いることができる。
【0019】
放射線は、図1(a)では貴金属を含む水溶液の容器の外部から照射しているが、前記水溶液に放射性同位体などの放射線源を導入して前記水溶液の内部からアルファ線、ベータ線などで照射してもよい。ここで利用する放射線は、放射線発生装置、原子炉、燃料棒、高レベル廃棄物からの回収物または高レベル廃棄中のCs-137、Sr-90などから発生するガンマ線、ベータ線、アルファ線、エックス線、電子線などを例示することができる。
【0020】
図1(b)は、本発明の強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法を説明するための還元処理装置の模式図である。図1(b)に示すように、強酸化性金属イオンを含む水溶液に図1(a)で回収した貴金属分散・担持固体材料を少量添加し、放射線照射により上述した図1(a)の場合と同様に、水溶液中ならびに固体材料表面に誘起される還元反応を利用して、水溶液中の強酸化性金属イオンをより低い酸化状態に還元処理して無害化するものである。
【0021】
ここで、添加される貴金属分散・担持固体材料は、貴金属が固体材料の表面に分散または担持されているものであればよく、図1(a)で回収したものに限定されるものではないが、資源を有効利用するという観点からは、図1(a)で回収したものを用いることが好ましい。また、貴金属分散・担持固体材料は、水溶液中の強酸化性金属イオンをより効果的に還元処理するために、貴金属が固体材料に対して0.1 wt%~10 wt%の割合で分散または担持されていることが好適であり、中でも1 wt%~5 wt%の割合が好ましい。
【0022】
強酸化性金属イオンは、水溶液中に高酸化状態で安定に溶存し酸化力の強いイオンであり、前記固体材料から発生する放射線誘起の還元種の反応特性から、-2.0 V以上の標準酸化還元電位(V vs 標準水素発生電位)を有する金属イオンまたは貴金属イオンである。このような強酸化性金属イオンは、一般的に環境有害物質とも呼ばれており、例えば、4価セリウム、6価クロム、7価マンガン、5価ヒ素、2価カドミウム、2価水銀、2価鉛、6価モリブデンなどを例示することができ、これらを含有する水溶液は、例えば、工業廃水・廃液や環境水などである。
【0023】
放射線照射は、図1(a)の場合と同様に、キャプセル状の放射線源から放出されるガンマ線などの放射線を、前記水溶液を含む容器の外部から照射してもよいし、前記水溶液に放射性同位体などの放射線源を導入して前記水溶液の内部からアルファ線、ベータ線などで照射してもよい。また、図1(b)に示すように、放射性廃棄物などから放射性の貴金属を回収した貴金属分散・担持固体材料を前記水溶液に添加することによって、前記水溶液の内部から放射線照射するようにしてもよい。なお、図1(b)では、放射性の貴金属を分散または担持した固体材料添加による内部照射と外部放射線源を利用した外部照射を併用している。
【0024】
放射線の種類は図1(a)の場合と同様であるので説明を省略する。
【0025】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例】
【0026】
<実施例1>
パラジウム、ロジウム、白金の塩化物をそれぞれ純水に溶かした水溶液(白金族元素イオンを含む水溶液)を準備して、図1(a)に示した貴金属回収処理装置を用いて、各水溶液にチタニア、アルミナ、シリカなどの酸化物粉末をそれぞれ単独に添加して、ガンマ線を照射した。併せて、酸化物粉末を添加せずに白金族元素イオンを含む水溶液にガンマ線を照射した実験も行った。図2はガンマ線照射した水溶液中の白金族元素イオンの分析結果を示しており、(a)は2価パラジウムイオンの吸収スペクトルの変化、(b)は吸収線量に伴う4価白金イオンの濃度変化を示す。
【0027】
図2に示すように、酸化物粉末を添加せずに白金族元素イオンを含む水溶液にガンマ線を照射しても白金族元素イオンはほとんど還元しないが、酸化物粉末を添加することにより放射線照射とともに白金族元素イオンの還元が顕著に起こり、図3に示すように、酸化物粉末表面に貴金属微粒子が分散または担持した状態で回収できることが確認できた。図3は白金族元素が分散または担持した酸化物粉末表面の測定結果を示しており、(a)は反射電子測定による表面像(黒:酸化物、白:白金族元素)、(b)表面像の白点部の元素分析を示している。
【0028】
この実施例では、水溶液中に添加した酸化物粉末は白金族元素イオンの還元では消費されず、いわゆる触媒として機能していることが確認された。
<実施例2>
図1(b)に示した還元処理装置を用いて、強酸化性金属イオンとして4価セリウムを含む水溶液に、実施例1で回収した白金族元素を分散または担持した酸化物粉末を添加して、ガンマ線を照射した。併せて、白金族元素を分散または担持した酸化物粉末を添加せずに4価セリウムを含む水溶液にガンマ線を照射した実験、および、4価セリウムを含む水溶液に酸化物粉末単体(白金族元素を分散または担持していない)を添加してガンマ線を照射した実験も行った。図4はガンマ線照射した水溶液中の4価セリウムの分析結果を示しており、4価セリウムの吸収スペクトルの変化を示している。
【0029】
図4に示すように、水溶液への1 wt%程度の酸化物添加で4価セリウムの還元は促進するが、その酸化物に5 wt%(すなわち、水溶液に対して0.05 wt%)の白金族元素を担持すると、さらに還元が加速することが確認された。この現象は再現よく確認され、相当量の酸化物と白金族元素の粉末を単純に混ぜただけでは起こらない。これを4価セリウムの還元効率として放射線化学収量で評価した結果を図5に示す。図5の結果から、水溶液の放射線分解による還元量と比較して、酸化物のみによる還元量では10-40倍、白金族元素が分散または担持した酸化物では50-200倍程度の増大が見られた。これらの酸化物はいずれも4価セリウムの還元では消費されず、いわゆる触媒として機能していることが確認された。
【0030】
また、図6(a)は白金族元素を担持した酸化物粉末および白金族元素を担持していない酸化物粉末における酸化物粉末サイズと4価セリウムの還元効率との関係を示す図であり、(b)は酸化物粉末に対する白金族元素の担持率と4価セリウムの還元効率との関係を示す図である。図6(a)の結果より、平均粒径にかかわらず、白金族元素を担持した酸化物粉末は、白金族元素を担持していない酸化物粉末よりも還元量を著しく増大させることが確認できた。また、図6(b)の結果より、酸化物粉末に対して白金族元素が1~5 wt%の割合で担持した酸化物粉末の4価セリウムの還元効率が良好であることが確認できた。
<実施例3>
図1(b)に示した還元処理装置を用いて、強酸化性金属イオンとして6価クロムを含む水溶液に、実施例1で回収した白金族元素を分散または担持した酸化物粉末を添加して、ガンマ線を照射した。併せて、白金族元素を分散または担持した酸化物粉末を添加せずに6価クロムを含む水溶液にガンマ線を照射した実験も行った。その結果を図7に示す。
【0031】
図7に示すように、白金族元素を担持した酸化物を水溶液に添加して放射線照射することにより、6価クロムの還元が促進されることが4価セリウムの場合と同様に確認できた。
<発明の効果>
【0032】
本発明によれば、複雑な化学処理や大量の化学薬品を使用せずに、貴金属イオンを常温、常圧下で還元固化して溶液から分離した後、貴金属を回収することができる。回収した貴金属を含む固体材料は、強酸化性金属イオンの還元反応を促進させる触媒材料などの機能材料として有用に利用することができる。また、回収した貴金属を含む固体材料を強酸化性金属イオン含有水溶液に作用させることにより、強酸化性金属イオンの還元反応を効果的に促進させて無害化でき、複雑な化学処理や大量の化学薬品を使用しない、強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法を提供することができる。
【0033】
さらに本発明は以下のような有利な効果を有する。
【0034】
1)処理対象の貴金属イオンや強酸化性金属イオンはそれ自体が呈色を示すため、高濃度溶液の場合には光が透過せず、光照射を利用する方法では還元処理ができなかった。また還元剤などの薬品を使用する場合、被処理溶液に懸濁物が含まれていると、薬品の懸濁物への吸着などによって十分に還元処理が施すことができない場合があった。本発明では、水溶液に対して高い透過性を有しているガンマ線などの放射線を利用するため、光が透過しないような高濃度溶液や懸濁物を含む溶液にも十分に適用可能であり、放射線誘起反応により高い還元効率を実現することができる。
【0035】
2)貴金属イオンや強酸化性金属イオンの還元処理に用いられる固体材料は触媒として機能し、固体材料自体が壊れず、回収可能であり半永久的に使用可能であり、経済性に優れている。また、貴金属を分散または担持させた固体材料によって強酸化性金属イオンの還元処理を行うと、貴金属が分散していない固体材料のみの場合に比べて還元処理を促進させることができる。
【0036】
3)固体材料への分散または担持による貴金属の回収は、希薄溶液から貴金属を濃集できること、固体材料の機能・付加価値を向上できることなどの観点から、経済性に優れている。また、固体材料に分散または担持された貴金属は、固体材料の発現する放射線誘起反応の活性点として働き、貴金属粒子単独での利用に比べて微少量(固体材料に対して数wt%程度)でも効果的に機能する。
【0037】
4)本発明で製造した貴金属分散・担持固体材料は、液体中の硝酸性窒素や気体中の排気ガスなどの分解触媒としても利用できる。さらに、放射性廃棄物などから回収した放射性の貴金属を担持した固体材料を強酸化性金属イオン含有溶液に添加することにより、外部放射線源を使用せずに内部からの放射線照射で処理することができる。
【0038】
5)利用する放射線は、使用済みの核燃料の再処理で取り出される放射性物質やその際に発生する高レベル放射性廃液やガラス固化体からのガンマ線や、放射性同位元素からのアルファ線、ベータ線も対象にしており、一般には利用されていない放射性廃棄物の資源化が可能となる。さらに、放射性廃棄物からの白金族元素などの貴金属を回収する場合、従来の工程を大規模に改修せずに本発明の方法を容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)は本発明の貴金属の回収処理方法を説明するための貴金属回収処理装置の模式図であり、(b)は本発明の強酸化性金属イオン含有水溶液の処理方法を説明するための還元処理装置の模式図である。
【図2】ガンマ線照射した水溶液中の白金族元素イオンの分析結果を示す図であり、(a)は2パラジウムイオンの吸収スペクトルの変化、(b)は吸収線量に伴う4価白金イオンの濃度変化を示す。
【図3】白金族元素が分散または担持した酸化物粉末表面の測定結果を示す図であり、(a)は反射電子測定による表面像(黒:酸化物、白:白金族元素)、(b)表面像の白点部の元素分析を示す。
【図4】ガンマ線照射した水溶液中の4価セリウムの分析結果を示す図であり、4価セリウムの吸収スペクトルの変化を示す。
【図5】水溶液中の4価セリウムの還元効率を示す図である(水溶液に放射線分解による還元収量との相対値が示される)。
【図6】水溶液中の4価セリウムの還元効率の依存性を示す図であり、(a)は酸化物粉末サイズへの依存性、(b)は酸化物粉末に対する白金族元素の担持率への依存性を示す。
【図7】ガンマ線照射した水溶液中の6価クロムの分析結果を示す図であり、6価クロムの還元濃度の吸収線量に対する変化を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図3】
6