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明細書 :組織内の脂質抗原の免疫染色方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5070183号 (P5070183)
公開番号 特開2010-101631 (P2010-101631A)
登録日 平成24年8月24日(2012.8.24)
発行日 平成24年11月7日(2012.11.7)
公開日 平成22年5月6日(2010.5.6)
発明の名称または考案の名称 組織内の脂質抗原の免疫染色方法
国際特許分類 G01N  33/531       (2006.01)
G01N  33/48        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
FI G01N 33/531 B
G01N 33/48 P
G01N 33/53 Y
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2008-270568 (P2008-270568)
出願日 平成20年10月21日(2008.10.21)
審査請求日 平成23年4月13日(2011.4.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】河崎 洋志
個別代理人の代理人 【識別番号】100078662、【弁理士】、【氏名又は名称】津国 肇
【識別番号】100113653、【弁理士】、【氏名又は名称】束田 幸四郎
【識別番号】100116919、【弁理士】、【氏名又は名称】齋藤 房幸
審査官 【審査官】三木 隆
参考文献・文献 国際公開第2006/138412(WO,A1)
特表2000-509252(JP,A)
国際公開第2007/027653(WO,A1)
J Neurosci Method,2009年,Vol.178, No.1, Page.87-98
調査した分野 G01N 33/531
G01N 33/48
G01N 33/53
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
オリゴデンドロサイト系列細胞とコレステロール特異的界面活性剤とを接触させる工程、およびコレステロール特異的界面活性剤と接触させたオリゴデンドロサイト系列細胞とガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体とを接触させる工程を含む、オリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化方法であって、ここでコレステロール特異的界面活性剤がジギトニンである、方法
【請求項2】
コレステロール特異的界面活性剤を含む、オリゴデンドロサイト系列細胞へのガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体の浸透促進用組成物であって、ここでコレステロール特異的界面活性剤がジギトニンである、組成物
【請求項3】
コレステロール特異的界面活性剤およびガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体を含む、オリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化用キットであって、ここでコレステロール特異的界面活性剤がジギトニンである、キット
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、脳組織内の脂質抗原の免疫染色方法に関する。より詳細には、本発明は、コレステロール特異的界面活性剤を使用するオリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化方法、そのための組成物およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴデンドロサイト(OL)は中枢神経系におけるミエリン形成を担っている。OL前駆細胞(OPC)、前ミエリン形成OLおよびミエリン形成OLを含むOL系列細胞の分化は、逐次的に発現されるOL系列特異的な糖脂質およびタンパク質によって特徴付けられている。これらの抗原の免疫組織化学的検出により、発生過程におけるOL系列細胞の分化段階の同定が可能になる。
【0003】
最も量の多いミエリン脂質はガラクトセレブロシド(GalC)およびその硫酸化誘導体であるスルファチド(SUL)であり、これらを合わせるとミエリン脂質の約27%を占める。この量の多さおよび細胞特異性により、GalC/SULは、細胞分裂を終了したOLの最も初期のマーカーの1つとして特に有用になっている。さらに、GalC/SUL免疫反応性はOLの細胞膜のほぼ全体に分布しているので、GalC/SULは発生過程におけるOLの形態変化を可視化するために有用である。
【0004】
さらに、GalC/SUL生合成酵素であるUDP-ガラクトースセラミドガラクトシルトランスフェラーゼ(CGT)を欠損するマウスにおいて、OLの突起は軸索に沿って適切に配置されず、その結果、神経伝導の欠陥およびランビエ絞輪の異常形成が生じる。
【0005】
病理学的状態におけるGalCおよび抗GalC抗体の関与が報告されている。クラッベ病(グロボイド細胞白質ジストロフィーとしても知られる)がGalC触媒酵素であるガラクトセレブロシダーゼ活性の機能障害によって引き起こされることが示されている。クラッベ病では、GalCがインビボで蓄積されることが報告されている。GalCは脱髄疾患にも関与している。抗GalC抗体は感染後脳炎およびギラン・バレー症候群の患者において検出されている。さらに、抗GalC抗体は実験的アレルギー性神経炎を引き起こすことが報告されている。また、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の神経細胞および粘膜上皮への侵入におけるGalCの役割の可能性が報告されている。
【0006】
上記の結果は、インビボにおけるGalC/SUL発現の分析がOLの分化およびミエリンの機能を理解するために重大であることを示唆する。
【0007】
培養OLにおけるGalC/SULの発現レベルおよび分布は多く研究されている。しかし、シュワン細胞中のGalC発現レベルが培養中に経時的に急速に変化することが報告されており、培養細胞中のGalC発現レベルがインビボでの発現レベルとは異なる可能性が示唆されている。それゆえ、組織切片中のGalCの発現レベルおよび分布パターンを調べることが望ましい。しかしながら、インビボにおけるGalC/SULの発現はさほど研究されていない。これは、組織切片におけるGalC/SULの免疫組織化学的局在の解析が容易でないことによる。
【0008】
他の脂質分子および親油性トレーサーの場合のように、GalC/SULの免疫反応性は、組織切片中への抗体の浸透を増強するために一般的に使用される界面活性剤であるTriton X-100によって阻害される(非特許文献1~2)。これはおそらく、GalC/SULがTriton X-100によってOLの細胞膜から溶出されたからであると推測される。
【0009】
免疫染色プロトコルのTriton X-100での透過処理工程を省略することによってこの問題が解決できる可能性がある。実際、固定脳切片におけるGalCの分布パターンが透過処理なしで調べられている(非特許文献1~4)。しかし、固定組織切片を透過処理なしで免疫染色すると、切片の表面に位置する抗原のみが標識され、切片の中央に位置する抗原は染色されないままであった(非特許文献5)。従って、界面活性剤を使用しなければ、切片においてGalC/SULの3次元分布、形態分化およびOL数を包括的に調べることは困難であった。Warringtonらは、未固定組織切片を用いて組織切片中の糖脂質の分布パターンを明確に可視化した(非特許文献6)。しかし、抗糖脂質抗体はしばしば培養OLに対して生物学的活性を示すので、抗糖脂質抗体との未固定組織のインキュベーションはOLに対して予想外の効果を有する可能性がある。
【0010】
メタノールおよびエタノールもまた脳切片中への抗体の浸透を増強する目的で使用されることがある。これらの試薬は抗体の組織切片中への浸透を効率的に改善するが、これらは広範な脂質をほぼ無差別に可溶化するので(非特許文献7)、これらの試薬を免疫染色に使用した場合、脂質抗原の検出はしばしば困難になる。
【0011】
それゆえ、GalC/SUL発現分布を阻害することなく組織切片中への抗体の浸透を増強する新たな免疫組織化学的方法を確立することが望まれていた。

【非特許文献1】Ghandour MS et al., J Neurocytol, 1988; 17: 485-98
【非特許文献2】Reynolds R et al., Development, 1988; 102: 409-25
【非特許文献3】Curtis R et al., J Neurocytol, 1988; 17: 43-54
【非特許文献4】Hardy R et al., Development, 1991; 111: 1061-80
【非特許文献5】Matsubayashi Y et al., J Neurosci Methods, 2008; 174: 71-81
【非特許文献6】Warrington AE et al., J Neurosci Res, 1992; 33: 338-53
【非特許文献7】Schuck S etal., Proc Natl Acad Sci USA, 2003; 100: 5795-800
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、固定組織切片を使用してGalC/SULを可視化するための新たな免疫組織化学的手法の作製に着手した。最近、本発明者らは、親油性ニューロントレーサーであるDiIで標識した組織切片のための免疫組織化学的方法を開発した(非特許文献5)。脂質分子をほぼ無差別に可溶化するTriton X-100の代わりに(非特許文献7)、本発明者らは、コレステロール特異的界面活性剤であるジギトニンを用いてDiI標識切片を透過処理した。本発明者らは、ジギトニンでのDiI標識脳切片の処理により、ニューロン中のDiI標識を破壊することなく組織中に抗体を効率的に透過できることを見出した。
【0013】
同様に、本発明者らは、ジギトニンが内在性糖脂質であるGalC/SULの分布パターンも阻害しないと考えた。この仮説と一致して、本発明者らは、ジギトニン処理によって、GalC/SUL標識を妨害することなく、効率的に組織切片中へ抗体が浸透するようになることをここに示す。ジギトニンは、膜の透過処理やタンパク質の抽出など、細胞生物学的および生化学的アッセイにしばしば使用されているが、本発明者らの知る限り、脳切片中の内在性糖脂質抗原の免疫蛍光染色にジギトニンを適用したのはこれが最初である。固定脳切片におけるGalC/SUL分布の可視化は、生理学的状態および病理学的状態両方でのGalC/SUL発現の詳細な検討に有用である。
【0014】
従って、本発明の目的は、オリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
[1]オリゴデンドロサイト系列細胞とコレステロール特異的界面活性剤とを接触させる工程、およびコレステロール特異的界面活性剤と接触させたオリゴデンドロサイト系列細胞とガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体とを接触させる工程を含む、オリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化方法;
[2]コレステロール特異的界面活性剤がジギトニンである、[1]の方法。
[3]コレステロール特異的界面活性剤を含む、オリゴデンドロサイト系列細胞へのガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体の浸透促進用組成物;
[4]コレステロール特異的界面活性剤がジギトニンである、[3]の組成物;
[5]コレステロール特異的界面活性剤およびガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体を含む、オリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化用キット;
[6]コレステロール特異的界面活性剤がジギトニンである、[5]のキット。
に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、コレステロール特異的界面活性剤を使用するオリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化方法、そのための組成物およびキットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
「オリゴデンドロサイト系列細胞」には、オリゴデンドロサイト(OL)に加えて、オリゴデンドロサイトの発生の過程で生じるオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)のような細胞が含まれる。また、中枢神経系ではオリゴデンドロサイトが出す突起からミエリンが形成されるが、ミエリン形成していない前ミエリン形成オリゴデンドロサイトおよびミエリン形成しているオリゴデンドロサイトのいずれもがオリゴデンドロサイト系列細胞に含まれる。
【0018】
「ガラクトセレブロシド(GalC)」は、セラミドの第一級アルコール性ヒドロキシル基にガラクトースがβ-グリコシド結合したスフィンゴ糖脂質であり、脳ミエリンの構成糖脂質である。「スルファチド(SUL)」は、ガラクトセレブロシドのガラクトースのC-3位に硫酸基がエステル結合したものであり、これもまた脳ミエリンの構成糖脂質である。これらは、分裂終了オリゴデンドロサイトの最も初期のマーカーである。なお、本発明を、主にオリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化について記載するが、ガラクトセレブロシドは消化器系の上皮など、オリゴデンドロサイト系列以外の細胞にも発現していることが知られており、また、下記のように本発明によって実質的に全ての膜が透過処理できることから、本発明をこれらの糖脂質が発現している可能性のある任意の細胞に適用することができる。
【0019】
本明細書における用語「ガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体」は、ガラクトセレブロシドおよびスルファチドの一方または両方を特異的に認識する抗体をいう。抗体はポリクローナル抗体であってもよいが、均質な結果を得るためにはモノクローナル抗体がより好ましい。また、抗体は、抗原に特異的に結合する能力を有する任意の形態(例えば、Fab、F(ab’)、scFvなど)も包含する。このような抗体の例としては、ガラクトセレブロシドおよびスルファチドの両方ならびに他の構造的に関連する微量脂質を認識するモノクローナル抗体R-mAbが挙げられる(Ranscht B et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1982; 79:2709-13;Bansal R et al., J Neurosci Res, 1989; 24: 548-57)。
【0020】
抗原に結合した抗体の可視化には任意の公知の標識を使用することができる。好ましい標識の例としては蛍光標識が挙げられる。抗体を直接的に標識してもよく、または標識2次抗体などを使用して間接的に標識することもできる。
【0021】
本発明によれば、ガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体に加えて別の抗原に対する抗体を使用することによって脳組織切片の多重染色を行うことができる。本発明者らは、コレステロール含量の低い核膜に対してコレステロール特異的界面活性剤であるジギトニンを作用させた場合においても、核内抗原の免疫染色が可能であることを示している。従って、別の抗体として、核内の抗原に対する抗体を使用することができる。このような場合は、それぞれの抗体を波長の異なる蛍光で標識すれば、それぞれの抗原を同時に可視化することができる。
【0022】
細胞膜には、リン脂質、糖脂質、ステロイド(例えば、コレステロール)などの脂質が含まれることが知られている。またこれらは、その疎水性部分のアルコール成分がグリセロールであるグリセロ脂質、当該成分がスフィンゴシンであるスフィンゴ脂質に分類される。本明細書において使用する用語「コレステロール特異的界面活性剤」は、上記細胞膜中の脂質のうち、コレステロールに対して特異的に作用する界面活性剤をいう。コレステロール特異的界面活性剤としては、サポニン、例えば、ジギトニン、キラヤサポニンなど任意の公知のものを使用することができる。サポニンはステロイドやトリテルペノイドを非糖部とする配糖体の総称であり、ジギタリス由来のステロイド配糖体であるジギトニンもサポニンに含まれる。これらのコレステロール特異的界面活性剤の誘導体も同様に本発明に使用することができる。従って、本明細書において使用する用語「ジギトニン」はその任意の誘導体を含む。本発明には、ジギトニンが好ましく用いられる。以下、本発明を主にジギトニンについて説明する。
【0023】
界面活性剤は、水の表面張力の低下など、界面または表面の性質を変化させる性質(界面活性)を有する物質の総称であり、その作用は多岐にわたるが、本発明の目的のためには、脂質を破壊するように作用する性質を有するものが好ましく用いられる。界面活性剤の脂質に対する「作用」は、結果的に目的物質に特異的に結合するタンパク質の組織への浸透が促進されれば、その機構に限定はない。例えば、ジギトニンは、コレステロールとともにコレステロール-ジギトニンと称する不溶性複合体を形成して沈殿する。
【0024】
オリゴデンドロサイト系列細胞と接触させる際のコレステロール特異的界面活性剤の濃度は、使用する脳組織などに応じて変動し得、免疫染色の結果などに基づいて適切に決定される。例えばジギトニンの場合、濃度は例えば10μg/ml以上、好ましくは30μg/ml以上、より好ましくは60μg/ml以上、かつ例えば500μg/ml以下、好ましくは250μg/ml以下、より好ましくは120μg/ml以下である。
【0025】
本発明において、オリゴデンドロサイト系列細胞の可視化には、オリゴデンドロサイト系列細胞を含有する可能性のある脳組織切片を使用することができる。脳組織切片は、例えばビブラトームなどの公知の手段を使用して作製することができる。
【0026】
さらに、本発明は上記方法において使用するための組成物およびキットを提供する。本発明の組成物は上記のようなコレステロール特異的界面活性剤を含む。また、本発明のキットは、上記のようなコレステロール特異的界面活性剤および上記のようなガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドに特異的な抗体を含む。これらの組成物およびキットは、任意のさらなる成分(例えば、別の抗原に対する抗体、可視化用試薬、緩衝液、保存剤など)を含有してもよい。
【0027】
本発明に従ってガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドのインビボにおける免疫組織化学的局在化を実施することによって、オリゴデンドロサイトの発生、分化、形態変化、ミエリンの形成、機能などを研究することができる。さらに、本発明に従ってガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドを可視化することによって、クラッベ病(グロボイド細胞白質ジストロフィー)、脱髄疾患、感染後脳炎、ギラン・バレー症候群、アレルギー性神経炎、AIDSなどのような、ガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの関与が示唆されている疾患におけるこれらの糖脂質の機能の研究や、疾患の診断などを行うことができる。
【実施例】
【0028】
材料および方法
動物:ICRおよびC57BL/6Jマウスを日本エスエルシーから購入した。Olig1欠損マウス(Xin M et al., J Neurosci, 2005; 25: 1354-65)を129およびC57BL/6のハイブリッドバックグラウンドで維持し、Olig1欠損マウスの遺伝子型を記載されているように決定した(Toda T et al., Mol Cell Neurosci, 2008; 39: 40-9)。全てのマウスを通常の12時間明/暗スケジュールで飼育した。
【0029】
抗体および試薬:抗GalC/SUL抗体(「R-mAb」)をBarbara Ranscht博士(the Burnham Institute, La Jolla, CA)から得た(Ranscht B et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1982; 79:2709-13)。O4、NeuN、Cy3コンジュゲート抗ウサギIgGならびにCy3コンジュゲート抗マウスIgGおよびIgM抗体はChemiconから得た。抗ミエリン塩基性タンパク質(MBP)抗体およびCC1抗体をそれぞれCovanceおよびCalbiochemから得た。Alexa488コンジュゲート抗マウスIgG3およびAlexa568コンジュゲート抗マウスIgG1抗体をMolecular Probesから得た。Cy3コンジュゲート抗マウスIgG2抗体をJackson ImmunoResearchから得た。ジギトニンをCalbiochemから購入し、ジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma)中50mg/mlの濃度で-20℃でストックした。使用に際して、ストック溶液を少なくとも100倍希釈した。
【0030】
脳切片の調製:マウスを深く麻酔し、4%パラホルムアルデヒド(PFA)を含有するリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(4%PFA/PBS)で経心的に灌流した。脳を摘出し、一晩4%PFA/PBSで後固定した。次いで、脳をビブラトームを用いて切片化し(厚さ30μm)、0.03%アジ化ナトリウムを含有するPBS中で貯蔵した。
【0031】
免疫組織化学:免疫組織化学を以前に記載した方法を改変して実施した(Kawasaki, H., et al., Neuron, 2000; 28:31-40;非特許文献5)。脳切片をDMSO(0.24%~1%)、ジギトニン(60~500μg/ml)または0.5%Triton X-100を含有する3%ウシ血清アルブミン(BSA)/PBSで室温で30分間前処理し、1次抗体とともに各前処理溶液中で12時間4℃でインキュベートした。メタノールでの透過処理については、切片をメタノール中で30分間-20℃でインキュベートし、PBSで洗浄し、次いで1次抗体とともに3%BSA/PBS中で12時間4℃でインキュベートした。1次抗体とのインキュベーション後、切片をPBSで洗浄し、2次抗体およびHoechst33342(終濃度1μg/ml、Calbiochemから購入)とともに3%BSA/PBS中で3時間室温でインキュベートし、PBSで洗浄した。次いで、切片を顕微鏡スライドガラスに付着させ、Mowiol(Calbiochem)を使用してカバーグラスをのせた。抗体希釈は以下のとおりであった:抗GalC/SUL、1:100;CC1、1:1000;抗MBP、1:1000;O4、1:500;抗NeuV、1:1000;Cy3コンジュゲート抗マウスIgG2、1:1000;他の2次抗体、1:500。
【0032】
顕微鏡観察:顕微鏡による解析を以前に記載のように行った(非特許文献5)。落射蛍光顕微鏡観察をAxioImager A1顕微鏡(Carl Zeiss)を用いて実施した。共焦点顕微鏡観察をLSM510顕微鏡および40x/1.3NA対物レンズ(Carl Zeiss)を使用して実施した。Zスタック画像(光学的厚さ2.1μm)を1.75μm毎に収集し、ZEN 2007およびZEN 2007 LEソフトウエア(Carl Zeiss)を使用して3次元(3D)的に再構築した。画像を単一のXYまたはXZ光学的断面図として、またはXZ最大投射画像として示し、ここで、投射軸に沿って最高強度の画素のみを示すことによって、データの3D図を算出し表示した。切片を横切って免疫蛍光強度を定量するために、目的の矩形流域(ROI)を、脳切片の横幅(220μm)および深度(約20μm)全体を横切ってXZ最大投射画像中に描いた。水平平均画素強度を測定し、ImageJ(public domain software, http://rsb.info.nih.gov/ij/)を使用して深度に対してプロットした。
【0033】
NeuN免疫反応性の細胞内局在のデータ分析:NeuN免疫反応性の細胞内局在の定量的分析は以前に記載した方法を改変して実施した(Matsubayashi Y et al., J Biol Chem, 2001; 276: 41755-60)。各組織切片の中央のNeuN免疫反応性の細胞内局在を視覚的に検査し、以下の2つのカテゴリーに分類した:「N≧C」、NeuNの核免疫反応性が細胞質免疫反応性より強いかそれに等しい;「N<C」、細胞質免疫反応性が核免疫反応性より強い。各カテゴリーに分類された細胞の数を計数し、さらなる統計分析に使用した。統計的有意性を評価するために、各カテゴリーに分類された細胞の絶対数を2×2分割表に挙げ(例えば、DMSO処理サンプル対ジギトニン処理サンプルおよび「N≧C」対「N<C」)、Statcel2ソフトウエア(オーエムエス出版)を使用してマンテル-ヘンツェル手順によって分析した。
【0034】
実施例1:脳切片におけるGalC/SUL免疫反応性に対するジギトニンおよび他の透過試薬の効果
最初に、種々の透過試薬のマウス脳切片におけるGalC/SUL免疫反応性に対する効果を比較した。GalCおよびSULの両方ならびに他の構造的に関連する微量脂質を認識する(Bansal R et al., J Neurosci Res, 1989; 24: 548-57)モノクローナル抗体R-mAb(Ranscht B et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1982; 79:2709-13)を使用した。以下、この抗体を「抗Gal/SUL抗体」という。P8マウスの固定した脳を摘出し、冠状断切片をビブラトームを使用して作製した。次いで、コントロールの3%BSA/PBS、0.4%DMSO、120μg/mlジギトニン、0.5%Triton X-100またはメタノールを使用して、切片を抗GalC/SULおよびCC1抗体で二重染色した。CC1抗体は、OL細胞体において顕著に発現しているタンパク質であるAPCを認識する(Bhat RV et al., Glia, 1996; 17: 169-74)。CC1の免疫反応性は種々の透過試薬によってさほど阻害されないことが見出されたので、OL細胞体の位置を可視化するためにCC1抗体を使用した。切片をBSA/PBSのみを使用して染色した場合、GalC/SULおよびCC1免疫反応性は切片の表面においてのみ検出された。GalC/SULおよびCC1陽性OL細胞体の周囲にはしばしばGalC/SUL陽性の点が存在した。これらの点は切片の表面に出たOL突起を示すと思われる。ジギトニン用の溶媒であるDMSOで切片を処理しても、実質的に同様な結果が得られた。対照的に、120μg/mlのジギトニンで処理した切片では、GalC/SUL陽性突起が、BSA/PBSやDMSO処理したものより明確かつ連続的に染色された。この結果は、ジギトニン処理が抗体の切片中への浸透を増強し、同時にGalC/SULの分布を阻害しないことを示唆する。切片をTriton X-100で処理した場合、GalC/SUL免疫反応性は破壊され、多数の小疱様の標識がCC1陽性OL細胞体の周囲に見られた。また、GalC/SUL免疫反応性はメタノール処理の後にはほぼ完全に消失した。これらの結果は、Triton X-100および有機溶媒がGalC/SULおよび他の脂質分子の免疫染色に適合しないという以前の報告と一致する(非特許文献2;Schwarz A et al., Methods Enzymol, 2000; 312: 179-87)。それゆえ、ジギトニンを以下に実験において使用することとした。
【0035】
実施例2:ジギトニン処理切片におけるGalC/SUL陽性構造の解析
ジギトニンを使用する本発明の免疫染色方法によってGalC/SULおよび他のOLマーカーの高い空間分解能での共局在の検討が可能になったので、次に大脳皮質におけるGalC/SUL陽性構造を特徴を解析した。ジギトニン(60μg/ml)処理切片において、2つの形態的に異なるOLが抗GalC/SUL抗体によって標識された。第1のOLは、細胞体から放射状に伸張する複雑なロゼット様突起を有していた。二重染色によって、これらのOLの大部分がCC1陽性およびO4陽性であることが示された。第2のOLは少数の短い単純突起を時折有していた。二重染色によって、これらの細胞はCC1陰性およびO4陽性であることが示された。その単純な形態のために、後者は前者よりも未熟であると考えられる。これらの構造に加えて、その大部分が白質から皮質へ伸張している比較的直線的な繊維状構造が抗GalC/SUL抗体で標識された。二重免疫染色によって、このGalC/SUL陽性繊維状構造はMBPについても陽性であることが示された。このことは、これらの繊維状構造がミエリン鞘であることを示唆する。これらの結果は、OLが、ジギトニン処理切片において、抗GalC/SUL抗体で明確に標識されることを示唆する。
【0036】
ジギトニン処理が大脳皮質に存在する抗原の性質を変化させ、その結果、抗GalC/SUL抗体がジギトニン処理後にOL以外の細胞に存在する予想外の抗原を認識してしまう可能性を排除するために、GalC/SUL免疫反応性がOLの非存在下で消失するかどうかをOlig1欠損マウスを使用して検討した。Olig1は、OL分化に必須の塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス転写因子であり(Lu QR et al., Cell, 2002; 109: 75-86;Zhou Q et al., Cell, 2002; 109: 61-73)、OLはOlig1欠損マウスにおいて顕著に減少している(Xin M et al., J Neurosci, 2005; 25: 1354-65)。Olig1欠損マウス由来の脳切片をジギトニン(120μg/ml)を使用して抗GalC/SUL抗体で染色した場合、GalC/SUL免疫反応性は顕著に低下した。総合すると、上記の結果はGalC/SULがジギトニン処理を使用して抗GalC/SUL抗体で信頼性を有して検出できることを強く示唆する。
【0037】
実施例3:GalC/SUL免疫反応性に対するジギトニンの濃度依存性効果
ジギトニンの至適濃度を見出すために、GalC/SUL免疫反応性に対する種々の濃度(60~500μg/ml)のジギトニンの効果を検討した。P9マウス脳切片を種々の濃度のジギトニンを使用して抗GalC/SUL抗体で染色した。60μg/mlのジギトニンで処理した切片において、OL突起およびミエリンは、コントロールの3%BSA/PBSまたは1%DMSO処理した切片よりも明確かつ連続的に標識された。OLおよびミエリンはより高濃度(120~500μg/ml)のジギトニンで処理した切片においても明確に検出されたが、おそらくGalC/SUL免疫反応性の何らかの分解に起因して、GalC/SUL標識の小疱様構造がジギトニン濃度依存的に出現した。O4CC1細胞におけるGalC/SUL免疫反応性はジギトニン濃度依存的に消失し、切片を250μg/ml以上の濃度のジギトニンで処理した場合は検出できなかった。これらの結果は、ジギトニンの至適濃度は約60~120μg/mlであることを示唆する。O4CC1 OLおよびMBPミエリン上のGalC/SUL免疫反応性は高濃度(250~500μg/ml)のジギトニンの存在下でも比較的安定であった。ジギトニンに対する感受性におけるO4CC1細胞との差異の原因は、これらの細胞上のR-mAb抗原が異なり、それらのジギトニンに対する感受性が異なることなどが予想されるが、現時点では不明である。いずれにしても、組織によって透過効率は異なるので、実用上は、可視化しようとする細胞型および構造に応じて適切なジギトニン濃度を決定することが好ましい。
【0038】
次に、抗GalC/SUL抗体が、ジギトニン処理した大脳皮質の切片中にどの程度深く浸透しているかを検討した。P9マウス脳切片を、3%BSA/PBS、1%DMSOまたは60~500μg/mlジギトニンを使用して抗GalC/SUL抗体で染色し、次いで大脳皮質第VI層におけるGalC/SUL免疫反応性を共焦点顕微鏡観察を使用することによって検討した。コントロールのBSA/PBSおよびDMSO処理組織において、切片の中央の免疫反応性はかすかであった。これと一致して、免疫蛍光強度を測定し、切片の深度に対してプロットすると、強度プロフィールは切片の中央に深い谷を示した。対照的に、ジギトニン処理サンプルでは、切片の中央の免疫反応性は、ジギトニン濃度依存的に顕著に増強された。従って、強度-深度プロットの谷はジギトニン処理切片においては顕著に浅かった。これらの結果は、ジギトニン処理が有意に抗体の大脳皮質組織切片中への浸透を増強することを実証する。ジギトニンが小脳切片中への抗体浸透も増強するという本発明者らの以前の報告と合わせると(非特許文献5)、これらの結果はジギトニン処理を種々の脳領域に適用することができることを意味している。
【0039】
上記のように、GalC/SUL標識の小疱様構造がジギトニン濃度依存的に出現した。このことは、ジギトニン処理がGalC/SUL免疫反応性の何らかの分解を引き起こす可能性があることを示唆する。60μg/mlのジギトニンで切片処理した場合には少数の小疱しか出現しなかったことは重要である。さらに、切片をより高濃度のジギトニンで処理した場合でさえ、共焦点顕微鏡観察は、これらの小疱が切片の表面に限定されており、ジギトニン処理が切片の中央のGalC/SUL免疫反応性を有意に改善したことを実証した。まとめると、これらの結果は、特に、切片を60~120μg/mlのジギトニンで処理した場合に、ジギトニン処理が最小の分解を伴ってGalC/SUL免疫反応性を有意に増強することを実証する。実際、DMSOではなく、120μg/mlのジギトニンを使用して、切片の深度全体にわたるOL突起の可視化に成功した。
【0040】
実施例4:本発明の方法を用いた核膜の透過処理
ジギトニンの標的であるコレステロールは細胞の膜の中に不均一に分布している。最小量のコレステロールを含有し、従ってジギトニンに最も耐性である膜の1つは核膜である(Elias PM et al., J Cell Biol, 1978; 78: 577-96;Adam SA et al., J Cell Biol, 1990; 111: 807-16;van Meer G et al., Nat Rev Mol Cell Biol, 2008; 9: 112-24)。それゆえ、本発明の方法には、核内抗原の免疫染色に適用できないという制限がある可能性があった。そうであれば、抗GalC/SUL抗体および核内抗原に対する他の抗体での二重染色は可能でなくなる。しかし、本発明者らは、核内抗原でさえもジギトニンを1000μg/mlの濃度で使用すれば首尾良く検出できることを以前に実証している(非特許文献5)。1000μg/mlのジギトニンはGalC/SUL免疫反応性を分解したので、ここでは、より低濃度のジギトニンが核膜の透過処理および核内抗原の検出に十分であるかどうかを検討した。皮質切片を、マウス脳の大部分のニューロンで発現されており、そして細胞核および細胞質中に存在するタンパク質であるNeuNに対する抗体で、種々の濃度(60~100μg/ml)のジギトニンを使用して染色した(Mullen RJ et al., Development, 1992;116: 201-11;Lind D et al., J Neurosci Res, 2005; 79:295-302)。次いで、切片の中央のNeuN免疫反応性を共焦点顕微鏡観察を使用して分析した。
【0041】
コントロールの1%DMSO処理切片では、NeuN免疫反応性は切片の中央で弱かった。さらに、この弱いNeuN免疫反応性は主に細胞質中に局在化しており、核内の頻度はより少なかった。核内のNeuN免疫反応性が細胞質中のNeuN免疫反応性と同等かそれ以上であるニューロンの割合(以下、この割合を「N≧C」値という)は約55%であった。これらの細胞では、ビブラトーム切片作製の間に起こった核膜の偶発的な物理的破損に起因して核NeuNが抗体によって標識された可能性が高い。実質的に同様な結果が、3%BSA/PBS処理切片について得られた。
【0042】
対照的に、ジギトニン処理切片では、「N≧C」値は、ジギトニン濃度に依存して有意に増加し、ジギトニン濃度を120μg/ml以上に増加させた場合に約93%のプラトー値に達した。従って、120μg/mlのジギトニンで処理した脳切片の中央では、核NeuN免疫反応性は、ほとんど全てのNeuN陽性細胞において首尾良く検出された。まとめると、これらの結果は、細胞核の中の抗原でさえ、ジギトニンを120μg/mlの濃度で使用することによって本発明の方法を用いて首尾良く検出できることを実証する。実際、このジギトニン濃度を使用して、抗GalC/SUL抗体および抗NeuN抗体での二重染色もまた組織切片の深度全体にわたって可能であった。
【0043】
上記で説明したように核膜はジギトニンに対して最も耐性な膜であると考えられているので、これらの結果から、実質的に全ての膜が120μg/mlのジギトニンによって十分に透過処理できるということが推測できる。従って、120μg/mlを上回るジギトニン濃度の増加は膜透過性に対してほとんど付加的な効果をもたらさず、GalC/SUL免疫反応性の分解の危険性を増大させる可能性がある。
【0044】
実施例5:O4免疫反応性に対するジギトニンの効果
本発明の方法がGalC/SULのみならず透過試薬に対して脆弱な他の抗原にも適用できるかどうかを検討するために、O4免疫反応性に対するジギトニンの効果を検討した。O4抗体は、SULおよび未同定の分子であるPOAを含むOLおよびOPCによって発現される複数の抗原を認識する(Sommer I et al., Dev Biol, 1981; 83: 311-27;Bansal R et al., J Neurosci Res, 1989; 24: 548-57;Bansal R et al., J Neurochem, 1992; 58: 2221-9)。重要なことに、O4免疫反応性ははアセトン(Sommer I et al., Dev Biol, 1981; 83: 311-27)またはTriton X-100(未発表データ)によって阻害される。BSA/PBS、DMSOまたは60~250μg/mlのジギトニンを使用して、P9マウス脳切片をO4抗体で染色した。O4免疫反応性はBSA/PBS、DMSO処理切片の表面で明確に検出されたが、ジギトニン処理切片では60μg/mlの濃度でさえも非常に低下した。切片をより高濃度(120および250μg/ml)のジギトニンで処理した場合、免疫反応性はほぼ完全に消失した。それゆえ、O4免疫反応性はGalC/SUL免疫反応性よりもジギトニンに感受性である可能性がある。60μg/ml未満の濃度のジギトニンがO4免疫染色に適合する可能性はあるが、この点は検討していない。なぜなら、切片の中央での核内NeuN免疫反応性の効率的な検出のためには60μg/ml以上のジギトニンが必要であるからである。これらの結果は、ジギトニンに対する感受性は種々の脂質抗原の間で異なり、全ての種類の脂質分子が必ずしもジギトニンを使用して検査できるわけではないことを示唆する。
【0045】
最近の研究では、ジギトニン処理が、内在性脂質抗原であるホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PI(4,5)P2)の細胞内局在をHL-60細胞において維持することが示されている(Sharma VP et al., J Leukoc Biol, 2008; 84: 440-7)。また、本発明者らは、ジギトニン処理が親油性ニューロントレーサーであるDiIと適合することをことを示している(非特許文献5)。これらの知見および本明細書における糖脂質抗原GalC/SULの検出から、免疫染色によって他の脂質または親油性トレーサーの局在を検討するためにジギトニン処理を使用することができる可能性が示唆され得る。しかし、本実施例においてO4について示したように、全ての脂質がジギトニンを使用して可視化できるわけではない。特定の脂質分子の局在の保存にジギトニン処理が有用であるかどうかを分子の構造に基づいて予測するための法則を見出すことは今後の課題となっている。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明により、コレステロール特異的界面活性剤を使用するオリゴデンドロサイト系列細胞におけるガラクトセレブロシドおよび/またはスルファチドの可視化方法、そのための組成物およびキットが提供される。