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明細書 :生体適合性と温度応答性を併せ持つ高分子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4746984号 (P4746984)
登録日 平成23年5月20日(2011.5.20)
発行日 平成23年8月10日(2011.8.10)
発明の名称または考案の名称 生体適合性と温度応答性を併せ持つ高分子
国際特許分類 A61L  33/00        (2006.01)
C08F 220/28        (2006.01)
FI A61L 33/00 C
C08F 220/28
請求項の数または発明の数 7
全頁数 17
出願番号 特願2005-504205 (P2005-504205)
出願日 平成16年3月26日(2004.3.26)
国際出願番号 PCT/JP2004/004295
国際公開番号 WO2004/087228
国際公開日 平成16年10月14日(2004.10.14)
優先権出願番号 2003091281
2003327180
優先日 平成15年3月28日(2003.3.28)
平成15年9月19日(2003.9.19)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成18年7月14日(2006.7.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】田中 賢
【氏名】伊土 直子
【氏名】下村 政嗣
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100095360、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 英二
【識別番号】100112726、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 薫
【識別番号】100104282、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 康仁
【識別番号】100156476、【弁理士】、【氏名又は名称】潮 太朗
審査官 【審査官】久保田 英樹
参考文献・文献 特開2000-212235(JP,A)
特開昭61-113639(JP,A)
特開2001-508641(JP,A)
特開平10-508296(JP,A)
特開2002-356661(JP,A)
特開昭58-172618(JP,A)
調査した分野 A61L 24/00-33/00
A61K 47/00-47/32
A61L 15/00-15/16
C08F 20/00-20/70
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1):
JP0004746984B2_000017t.gif[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、mは2又は3であり、nは繰り返し数を示す]で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が10,000~300,000であり、水に対する下限臨界共溶温度が5~80℃であって、極性基としてエーテル結合とエステル結合のみを有する高分子を含む、血液適合性材料。
【請求項2】
が、水素原子であり、Rが、エチル基であり、mが2である、請求項1に記載の血液適合性材料。
【請求項3】
が、メチル基であり、Rが、メチル基であり、mが2である、請求項1に記載の血液適合性材料。
【請求項4】
人工臓器及び/又は医療用具の用途に使用される、請求項1~3のいずれかに記載の血液適合性材料。
【請求項5】
下記式(1):
JP0004746984B2_000018t.gif[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、mは2又は3であり、nは繰り返し数を示す]で表される繰り返し単位を主成分とし、数平均分子量が10,000~300,000であり、水に対する下限臨界共溶温度が5~80℃であって、極性基としてエーテル結合とエステル結合のみを有する高分子を表面に有することを特徴とする、血液と接触して使用される基材。
【請求項6】
が、水素原子であり、Rが、エチル基であり、mが2である、請求項5に記載の基材。
【請求項7】
が、メチル基であり、Rが、メチル基であり、mが2である、請求項5に記載の基材。
発明の詳細な説明 【技術分野】

本発明は、血液などの体液または生体組織と接触して使用され、生体成分へのダメージを軽微にできる生体適合性材料とその製造方法に関する。また、本発明は温度応答性材料およびその製造方法に関する。さらに、温度応答性を利用した再生医療の足場や薬物・遺伝子のデリバリー(DDS)担体、各種分離剤、カテーテル、人工筋肉、マイクロマシン、温度センサー、ケミカルバルブに関する。
【背景技術】

医療用材料表面に生体成分が接触すると、生体組織中のタンパク質の非特異吸着、変性、多層吸着が生起し、凝固系、補体系、白血球系の活性化が起こる。したがって、医療用具の開発には、生体との接触界面である医療用材料表面に生体適合性を付与することが必要不可欠である。具体的には、人工肺装置、透析装置、血液保存バッグ、血小板保存バッグ、血液回路、留置針、カテーテル、ガイドワイヤー、ステントなどの医療用具は、血液に直接接触するため、優れた血液適合性が要求される。
輸血分野に用いられる血液フィルターでは、血液の濾過時に凝固系や補体系の活性化に基づくと考えられる副作用が問題になっている。したがって、上記の副作用の原因となる血液の活性化(凝固系、補体系、白血球系、血小板系)を抑制することが必要とされている。例えば、凝固系の活性化の代表例であるブラジキニンの産生は、血液フィルター表面への血漿タンパク質である凝固系第XII因子の吸着、および変性等の接触活性が引き金になることが知られている。従って、濾過時の血液成分へ与えるダメージを抑制できれば、輸血時の副作用も低減できると考えられる。
医療用具に接触時に、血液成分の粘着が少ないとされる公知の表面としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレートやポリビニルアルコールを主成分とする医療用材料が知られているが(中林宣男,石原一彦,岩崎泰彦:バイオマテリアル、コロナ社(1999))、ヒドロキシル基を有するため、補体系の活性化が起こり問題とされている。また、電気泳動用ゲルとして用いられている親水性ゲルであるポリアクリルアミドを導入した表面では、血液との接触時に血小板が活性化され、その血液が体内に返血されると、血栓形成を誘発するため問題であった。
以上のように、従来の生体内組織や血液と接触させて使用することとなる医療用材料においては、血小板の粘着・活性化の抑制といった機能を満たす合成高分子材料を容易に得ることができなかった。
一方、温度、pH、光などの刺激に対して構造が変化する高分子化合物は、その構造変化により体積、あるいは、親水性、疎水性のような極性が変化する。温度応答性高分子として代表的なものとして、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)が知られている(H.G.Schld:Prog.Polym.Sci.,17,163(1992))。この高分子は水溶液中において、32℃以下の低温側で溶解し、32℃以上の高温側で析出する現象、下限臨界共溶温度(LCST)を示す。低温側では、その高分子化合物が親水性で膨潤した状態で水に溶解しており、逆に高温側では、その高分子化合物が疎水性で収縮した状態で凝集していると考えられる。このような温度による特性を利用し、架橋剤、他のモノマーとの共重合体が合成され、薬剤の放出制御やクロマト用分離ゲル、細胞培養の培養床などへの展開が検討されている。しかしながらモノマーであるN-イソプロピルアクリルアミドの細胞毒性が問題となっている。
【図面の簡単な説明】

図1は、実施例1で使用した2-(2-エトキシエトキシ)エチル アクリレートモノマーのH-NMRデータである。
図2は、実施例1で得られたポリマーのH-NMRデータである。
図3は、実施例2で使用した2-(2-メトキシエトキシ)エチル メタクリレートモノマーのH-NMRデータである。
図4は、実施例2で得られたポリマーのH-NMRデータである。
図5は、実施例3で使用した2-(2-メトキシエトキシ)エチル アクリレートモノマーのH-NMRデータである。
図6は、実施例3で得られたポリマーのH-NMRデータである。
図7は、実施例5で使用した2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル アクリレートモノマーのH-NMRデータである。
図8は、実施例5で得られたポリマーのH-NMRデータである。
図9は、実施例6で使用した2-(2-エトキシエトキシ)エチル メタクリレートモノマーのH-NMRデータである。
図10は、実施例6で得られたポリマーのH-NMRデータである。
図11は、実施例1で得られたポリマーの温度と光透過率との関係を示すグラフである。
図12は、実施例2で得られたポリマーの温度と光透過率との関係を示すグラフである。
【発明の開示】

したがって、このような温度応答性高分子化合物を医療用具へ応用する場合、LCSTばかりでなく、生体適合性も必要となる。
本発明は、所定の繰り返し単位を有する高分子を主成分とする合成高分子を表面に有することを特徴とし、血液などの体液や生体組織と接触して使用される生体適合性材料、および、血液などの体液や生体組織に接触時に生体成分の活性化を少なく抑える、医療用材料を提供する。また、上記所定の繰り返し単位を有する高分子は温度応答性を有するため、本発明は、前記合成高分子を有する、再生医療のための足場材料や薬物・遺伝子デリバリー担体、各種分離剤、カテーテル、人工筋肉、マイクロマシン、温度センサー、ケミカルバイブをも提供する。
即ち、本発明では、下記式(1):
JP0004746984B2_000002t.gif[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、mは2又は3である]で表される繰り返し単位を有する高分子を含む、生体適合性材料が提供される。
本発明にかかる生体適合性材料において、Rが水素原子であり、Rがエチル基であり、かつ、mが2であってもよい。また、Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、かつ、mが2であってもよい。
本発明にかかる生体適合性材料において、前記高分子の数平均分子量が10,000~300,000であることが好ましい。また、人工臓器及び/又は医療用具の用途に使用されることが好ましい。
また、本発明では、下記式(2):
JP0004746984B2_000003t.gif[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、mは2又は3である]で表されるモノマーを単独重合させるか、あるいは、上記式(2)で表されるモノマーと他の重合可能なモノマーとを共重合させることを特徴とする、生体適合性材料の製造方法が提供される。
本発明にかかる生体適合性材料の製造方法において、Rが水素原子であり、Rがエチル基であり、かつ、mが2であってもよい。また、Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、かつ、mが2であってもよい。
本発明にかかる生体適合性材料の製造方法において、前記他の重合可能なモノマーが、アクリルアミド;アルキルアクリルアミド;N,N-ジアルキルアクリルアミド;アミノアルキルアクリレート;ジアミノアルキルアクリレート;メタクリルアミド;N,N-ジアルキルメタクリルアミド;アミノアルキルメタクリレート;ジアミノアルキルメタクリレート;アルキルアクリレート;アルキルメタクリレート;アルコキシ(メタ)アクリレート;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジルメタクリレート及びプロピレンからなる群より選ばれる1種以上のモノマーであってもよい。
また、本発明では、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子を含む、下限臨界共溶温度(LCST)を有する温度応答性材料が提供される。
本発明にかかる温度応答性材料において、Rが水素原子であり、Rがメチル基又はエチル基であり、かつ、mが2又は3であってもよい。また、Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、かつ、mが2又は3であってもよい。
本発明にかかる温度応答性材料において、前記高分子の数平均分子量が10,000~300,000であることが好ましい。また、組織再生用補修材、塞栓材、癒着防止材、創傷被覆材、止血材、生体組織の粘着材、コンタクトレンズ、眼内レンズ、ハイブリッド人工臓器、人工血管、人工筋肉、薬剤若しくは遺伝子デリバリー担体、吸着若しくは分離剤、カテーテル、誘電若しくは磁性材料、圧電若しくは焦電材料、分解若しくは反応性材料、及び、生体機能性材料からなる群より選ばれる1以上の用途に使用されることが好ましい。
また、本発明では、上記式(2)で表されるモノマーを単独重合させるか、あるいは、上記式(2)で表されるモノマーと他の重合可能なモノマーとを共重合させることを特徴とする、温度応答性材料の製造方法が提供される。
本発明にかかる温度応答性材料の製造方法において、Rが水素原子であり、Rがメチル基又はエチル基であり、かつ、mが2又は3であってもよい。また、Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、かつ、mが2又は3であってもよい。
本発明にかかる温度応答性材料の製造方法において、前記他の重合可能なモノマーが、アクリルアミド;アルキルアクリルアミド;N,N-ジアルキルアクリルアミド;アミノアルキルアクリレート;ジアミノアルキルアクリレート;メタクリルアミド;N,N-ジアルキルメタクリルアミド;アミノアルキルメタクリレート;ジアミノアルキルメタクリレート;アルキルアクリレート;アルキルメタクリレート;アルコキシ(メタ)アクリレート;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジルメタクリレート及びプロピレンからなる群より選ばれる1種以上のモノマーであってもよい。
また、本発明では、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子を主成分とする高分子を表面に有することを特徴とする、体液及び/又は生体組織と接触して使用される基材が提供される。
本発明にかかる基材において、Rが水素原子であり、Rがエチル基であり、かつ、mが2であってもよい。また、Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、かつ、mが2であってもよい。
以上のように、所定の繰り返し単位を有する高分子を基材の少なくとも表面部分に導入すると生体適合性が付与され、接触時の血液成分への活性化が低減できる。
本発明によれば、血液と接触した際に、血小板の粘着や活性化が軽微であり、このため、人工腎臓用膜、血漿分離膜、カテーテル、人工肺用膜、人工血管等の人工臓器ないし医療用具の材料として極めて有用な材料が提供される。また、上記高分子は、同時に温度応答性を有するため、再生医療のための組織再生用の補修材や薬物や遺伝子の徐放システムの担体、癒着防止材、創傷被覆材、止血材、生体組織の粘着材、コンタクトレンズ、眼内レンズ、血液浄化用吸着剤、人工すい臓や人工肝臓のハイブリッド人工臓器、人工血管、塞栓材、細胞工学用の足場のためのマトリックス材料、各種分離、吸着剤、人工筋肉、誘電・磁性材料、圧電・焦電材料、分解・反応性材料、マイクロマシン、温度センサー、ケミカルバイブ等に適する。
【発明を実施するための最良の形態】

本発明に係る生体適合性材料は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子を含むものである。
JP0004746984B2_000004t.gif 上記式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、mは2又は3である。
本発明に係る生体適合性材料は、各置換基および整数mが以下の組合せであることが好ましい。
1.Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、mが2である
2.Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、mが3である
3.Rが水素原子であり、Rがエチル基であり、mが2である
4.Rが水素原子であり、Rがエチル基であり、mが3である
5.Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、mが2である
6.Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、mが3である
7.Rがメチル基であり、Rがエチル基であり、mが2である。
上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子は、下記式(2)で表されるモノマーを単独重合体、もしくは、下記式(2)で表されるモノマーと他の重合可能なモノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体を含むものである。
JP0004746984B2_000005t.gif[式中、R、R及びmは上記の意味を有する。]
本明細書において、上記式(2)で表されるモノマーと共重合しうるモノマーとしては、例えば、アクリルアミド;t-ブチルアクリルアミド、n-ブチルアクリルアミド、i-ブチルアクリルアミド、ヘキシルアクリルアミド、ヘプチルアクリルアミドなどのアルキルアクリルアミド;N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミドなどのN,N-ジアルキルアクリルアミド;アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノイソプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート;ジアミノメチルアクリレート、ジアミノエチルアクリレート、ジアミノブチルアクリレートなどのジアミノアルキルアクリレート;メタクリルアミド;N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミドなどのN,N-ジアルキルメタクリルアミド;アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレートなどのアミノアルキルメタクリレート;ジアミノメチルメタクリレート、ジアミノエチルメタクリレートなどのジアミノアルキルメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどのアルキルアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート;メトキシ(メタ)アクリレートなどのアルコキシ(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジルメタクリレート;プロピレン等がある。これらの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよく、ランダム重合やイオン重合、マクロマーを利用した重合等の公知の方法で使用できる。
本発明において、上記式(2)で表されるモノマーと重合可能な1種以上のモノマーとを共重合させる場合には、上記式(2)で表されるモノマーは、その共重合体中の全モノマーの重量に基づき、約30重量%~99重量%であることが好ましく、50重量%~99重量%であることが更に好ましい。
本発明において、このようにして得られる上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子の数平均分子量は、好ましくは10,000~300,000であり、より好ましくは10,000~100,000である。
本発明において、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子は、典型的には、上記式(2)で表されるモノマーの溶液に、適当な開始剤と、任意に上記式(2)で表されるモノマーと重合可能な1種以上のモノマーを添加して、ランダム重合やイオン重合、光重合、マクロマーを利用した重合等の公知の方法によって重合させることにより製造される。
上記重合反応は、好ましくは40℃~100℃の温度範囲で行われ、より好ましくは60℃~90℃の温度範囲、更に好ましくは70℃~80℃の温度範囲で行われる。圧力は、常圧であることが好ましい。
上記重合反応において、溶媒としては、上記式(2)で表されるモノマーを溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ヘキサン又はペンタンのような脂肪族炭化水素が用いられ、ジオキサン等のエーテル系溶媒を用いることが好ましい。
本発明にかかる生体適合性材料は、血液などの体液や生体組織と接して使用することができ、人工臓器用または医療用具用の材料として使用することができる。このような人工臓器用または医療用具の形態としては、人工腎臓用膜、血漿分離用膜、カテーテル類(血管造影用カテーテル、ガイドワイヤー、PTCA用カテーテル等の循環器用カテーテル、胃管カテーテル、胃腸カテーテル、食道チューブ等の消化器用カテーテル、チューブ、尿道カテーテル、尿管カテーテルなどの泌尿器科用カテーテル)、ステント、人工肺用膜、人工血管等を例示することができる。
また、本発明では、血液などの体液や生体組織と接して使用される基材が提供される。本発明にかかる基材は、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する合成高分子を表面に有していればよく、該合成高分子のみよりなる物品である必要はない。これは、基材の表面構造が生体適合性と密接な関係があるからである。従って、基材の表面に該材料を被覆したものでよい。本発明において、このような基材としては、人工臓器用膜、医療用具を挙げることができる。
基材の表面に該合成高分子を保持させる方法としては、被覆法が最も一般的な方法である。被覆を行う場合には、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子の溶液を浸漬法、スプレー法、フローコーター法等、公知の方法により被覆し、ついで乾燥することにより行われる。その膜厚は0.5μm以上であれば十分であり、好ましくは1mm以下である。また、濾材に該合成高分子をより強固に固定化させるために、コーティング後の基材に熱を加え、濾材と該合成高分子との接着性を更に高めることもできる。また、表面を架橋することで固定化してもよい。架橋する方法として、コモノマー成分として架橋性モノマーを導入してもよい。また、電子線、γ線、光照射によって架橋してもよい。プラズマグラフト重合により基材の表面に上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子層を形成するには、10-3Torr、好ましくは10-2~1Torrの減圧下にアルゴン、窒素、空気、種々のモノマー等の雰囲気下に低温プラズマを1~300秒間、好ましくは2~30秒間照射した後、前記単量体を供給してプラズマ開始重合を行うことにより行われる。
本発明において、基材の材質や形状は特に制限されることなく、目的とする人工臓器ないし医療用具により異なるが、例えば、多孔質体、繊維、不織布、粒子、フィルム、シート、チューブ、中空糸や粉末等いずれでもよい。その材質としては木綿、麻等の天然高分子、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ハロゲン化ポリオレフィンエチレン-ポリビニルアルコール共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体等の合成高分子あるいはこれらの混合物が挙げられる。また、金属、セラミックスおよびそれらの複合材料等が例示でき、複数の基材より構成されていても構わない。
本発明の血液などの体液や生体組織と接して使用される人工臓器用膜または医療用具等の基材において、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子は、分子内に極性基としてエーテル結合とエステル結合を有しているだけであり、これらの極性基は窒素原子(アミノ基、イミノ基)やカルボキシル基などと異なり、生体成分と強い静電相互作用を持たないため、血液に対して活性が低く、また、大きな疎水性基を持たないため、疎水性相互作用も小さくなり、このため優れた生体適合性を発現するものと推測される。例えば、合成高分子材料表面と生体内組織や血液中のタンパク質との接触を考えると、なるべくタンパク質の吸着変性や活性化が起こらない表面が好ましく、物質間に働く大きな相互作用である疎水性相互作用や静電的相互作用を小さくすることが有用であると考えられており、このことからも本発明にかかる基材は好適な表面構造を備え得る。また、本発明の基材の表面は、水酸基が存在することなく、適度な親水性を有しているので、血液浄化等の膜素材として血液と接して使用した場合、血小板の粘着が軽微となり、優れた血液適合性を発現することとなる。さらには、水酸基に起因した水素結合による生体成分との相互作用、吸着タンパク質の変性なども起こらなくなる。
また、本発明者らは、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子が、下限臨界共溶温度(LCST)を示すことを見いだし、血液適応性と温度応答性を有することを明らかにした。すなわち、本発明では、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子を含む、下限臨界共溶温度(LCST)を有する温度応答性材料が提供される。
JP0004746984B2_000006t.gif[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、mは2又は3である]
本発明に係る温度応答性材料は、各置換基および整数mが以下の組合せであることが好ましい。
1.Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、mが2である
2.Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、mが3である
3.Rが水素原子であり、Rがエチル基であり、mが2である
4.Rが水素原子であり、Rがエチル基であり、mが3である
5.Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、mが2である、
6.Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、mが3である。
上記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子は、下記式(2)で表されるモノマーを単独重合体、もしくは、下記式(2)で表されるモノマーと重合可能な1種以上のモノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体を含むものである。
JP0004746984B2_000007t.gif[式中、R、R及びmは上記の意味を有する。]
本発明において、下限臨界共溶温度は、5℃~80℃であることが好ましく、10℃~70℃であることがより好ましく、10℃~45℃であることがさらに好ましい。
本発明において、上記重合体を含む温度応答性材料は、組織再生用補修材、塞栓材、癒着防止材、創傷被覆材、止血材、生体組織の粘着材、コンタクトレンズ、眼内レンズ、ハイブリッド人工臓器、人工血管、人工筋肉、薬剤若しくは遺伝子デリバリー担体、吸着若しくは分離剤、カテーテル、誘電若しくは磁性材料、圧電若しくは焦電材料、分解若しくは反応性材料、生体機能性材料、各種の液体クロマトグラフィー担体、マイクロマシン、温度センサー、ケミカルバイブ等に応用することができる。
【実施例】

以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
(1)生体適合性試験
【実施例1】

ポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル アクリレート]
JP0004746984B2_000008t.gif 2-(2-エトキシエトキシ)エチル アクリレート15gを1,4-ジオキサン60g中でアゾビスイソブチロニトリル(0.1重量%)を開始剤として、窒素バブリングしながら75℃で10時間重合を行った。重合反応終了後、n-ヘキサンに滴下し沈殿させ、生成物を単離した。生成物をテトラヒドロフランに溶解し、さらに2回n-ヘキサンを用いて精製を行った。精製物を一昼夜減圧乾燥した。無色透明で水飴状のポリマーが得られた。収量(収率)は11.4g(76.0%)であった。得られたポリマー構造は、H-NMRによって確認した。H-NMRデータを図1(モノマー)、図2(ポリマー)に示す。GPCの分子量分析の結果から、数平均分子量(Mn)が15,000であり分子量分布(Mw/Mn)は3.4であった。得られたポリマーをクロロホルムに溶解した10.0重量%溶液をポリエチレンテレフタレート板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固して、ポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル アクリレート]を構成成分とした膜(実施例1)を得た。
同様にして、2-ヒドロキシエチル メタクリレート15gをエタノール60mL中で、アゾビスイソブチロニトリル(0.1重量%)を開始剤として70℃で10時間重合させた。得られたポリマーをメタノールに溶解した5.0重量%溶液をポリエチレンテレフタレート板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固して、ポリ(2-ヒドロキシエチル メタクリレート)を構成成分とした膜(比較例1)を得た。
血液との適合性を調べるために、実施例1、比較例1、ポリプロピレンシート(比較例2)、ポリエチレンテレフタレートシート(比較例3)について、血小板の粘着テストを行った。すなわち、クエン酸ナトリウムで抗凝固した人新鮮多血小板血漿と材料表面とを37℃、120分間接触させ、リン酸緩衝溶液でリンスし、グルタルアルデヒドで固定した後、1×10μmに粘着した血小板数を電子顕微鏡で観察した。血小板の粘着形態変化の進行度により、I(正常)、II(偽足形成)、III(伸展)型に分類して血液との適合性の評価を行った。
ポリエチレンテレフタレートシートに粘着した全血小板を1000とした場合の粘着血小板の相対数を表1に示す。これにより、ポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル アクリレート]を構成成分とする表面は、血小板粘着数が少なく、粘着した血小板の形態変化(偽足形成や伸展)が小さく、血小板の活性化が小さいことが示された。
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【実施例2】

ポリ[2-(2-メトキシエトキシ)エチル メタクリレート]
JP0004746984B2_000011t.gif 2-(2-メトキシエトキシ)エチル メタクリレート10gを1,4-ジオキサン50g中でアゾビスイソブチロニトリル(0.1重量%)を開始剤として、窒素バブリングしながら80℃で8時間重した。重合反応終了後、n-ヘキサンに滴下し沈殿させ、生成物を単離した。生成物をテトラヒドロフランに溶解し、さらに2回n-ヘキサンを用いて精製を行った。精製物を一昼夜減圧乾燥した。無色透明で水飴状のポリマーが得られた。収量(収率)は8.2g(82.0%)であった。得られたポリマー構造は、H-NMRによって確認した。H-NMRデータを図3(モノマー)、図4(ポリマー)に示す。GPCの分子量分析の結果から、数平均分子量(Mn)が35,000であり分子量分布(Mw/Mn)は2.9であった。得られたポリマーをメタノールに溶解した10.0重量%溶液をポリエチレンテレフタレート板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固して、ポリ[2-(2-メトキシエトキシ)エチル メタクリレート]を構成成分とした膜(実施例2)を得た。
ポリ(2-ヒドロキシエチル メタクリレート)(Aidrich社製)をメタノールに溶解した5.0重量%溶液をポリエチレンテレフタレート板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固して、ポリ(2-ヒドロキシエチル メタクリレート)を構成成分とした膜(比較例4)を得た。
血液との適合性を調べるために、実施例2、比較例4、ポリプロピレンシート(比較例5)、ポリエチレンテレフタレートシート(比較例6)について、血小板の粘着テストを行った。すなわち、クエン酸ナトリウムで抗凝固した人新鮮多血小板血漿と材料表面とを37℃、120分間接触させ、リン酸緩衝溶液でリンスし、グルタルアルデヒドで固定した後、1×10μmに粘着した血小板数を電子顕微鏡で観察した。血小板の粘着形態変化の進行度により、I(正常),II(偽足形成),III(伸展)型に分類して血液との適合性の評価を行った。
ポリエチレンテレフタレートシートに粘着した全血小板を1000とした場合の粘着血小板の相対数を表2に示す。これにより、ポリ[2-(2-メトキシエトキシ)エチル メタクリレート]を構成成分とする表面は、血小板粘着数が少なく、粘着した血小板の形態変化(偽足形成や伸展)が小さく、血小板の活性化が小さいことが示された。
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【実施例3】

ポリ[2-(2-メトキシエトキシ)エチル アクリレート]
JP0004746984B2_000013t.gif 2-(2-メトキシエトキシ)エチル アクリレート15gを1,4-ジオキサン60g中でアゾビスイソブチロニトリル(0.1重量%)を開始剤として、窒素バブリングしながら75℃で10時間重した。重合反応終了後、n-ヘキサンに滴下し沈殿させ、生成物を単離した。生成物をテトラヒドロフランに溶解し、さらに2回n-ヘキサンを用いて精製を行った。精製物を一昼夜減圧乾燥した。無色透明で水飴状のポリマーが得られた。収量(収率)は11.7g(77.9%)であった。得られたポリマー構造は、H-NMRによって確認した。H-NMRデータを図5(モノマー)、図6(ポリマー)に示す。
GPCの分子量分析の結果から、数平均分子量(Mn)が13,000であり分子量分布(Mw/Mn)は4.0であった。得られたポリマーをクロロホルムに溶解した10.0重量%溶液をポリエチレンテレフタレート板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固して、ポリ[2-(2-メトキシエトキシ)エチル アクリレート]を構成成分とした膜(実施例3)を得た。
実施例1と同様に、血液適合性を調べた結果、ポリ[2-(2-メトキシエトキシ)エチル アクリレート]を構成成分とする表面は、血小板粘着数が少なく、粘着した血小板の形態変化(偽足形成や伸展)が小さく、血小板の活性化が小さいことが示された。
【実施例4】

ポリ[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル メタクリレート]
JP0004746984B2_000014t.gif 2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル メタクリレート15gを1,4-ジオキサン60g中でアゾビスイソブチロニトリル(0.1重量%)を開始剤として、窒素バブリングしながら75℃で10時間重した。重合反応終了後、n-ヘキサンに滴下し沈殿させ、生成物を単離した。生成物をテトラヒドロフランに溶解し、さらに2回n-ヘキサンを用いて精製を行った。精製物を一昼夜減圧乾燥した。無色透明で水飴状のポリマーが得られた。収量(収率)は8.7g(58%)であった。得られたポリマーをクロロホルムに溶解した10.0重量%溶液をポリエチレンテレフタレート板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固して、ポリ[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル メタクリレート]を構成成分とした膜(実施例4)を得た。
実施例1と同様に、血液適合性を調べた結果、ポリ[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル メタクリレート]を構成成分とする表面は、血小板粘着数が少なく、粘着した血小板の形態変化(偽足形成や伸展)が小さく、血小板の活性化が小さいことが示された。
【実施例5】

ポリ[2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル アクリレート]
JP0004746984B2_000015t.gif モノマー2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル アクリレート15g(6.9×10-2mol)を1,4-ジオキサン58.2mlに溶解し、1.5時間Nパージを行った。開始剤アゾビスイソブチロニトリル15.1mg(9.2×10-2mmol)を少量の1,4-ジオキサンに溶解して加え、窒素雰囲気下75℃で10時間重合した。
精製はヘキサンを用いて行った。反応液を貧溶媒であるヘキサン1500ml中に滴下し、デカンテーションによって溶媒を除いた。この粗ポリマーにTHF約45mlを加えて溶解し、再びヘキサン900mlに滴下して析出させたあと、デカンテーションによって溶媒を除いた。この操作をもう一度繰り返し、ポリマー中に含まれるモノマー及び開始剤を完全に除去した。減圧乾燥し、重量を測定した。無色透明・水飴状のポリマー、ポリ[2-[2-(2メトキシエトキシ)エトキシ]エチルアクリレート]が得られ、収量は12.1g、収率は80.7%であった。H-NMRデータを図7(モノマー)、図8(ポリマー)に示す。
得られたポリマーをクロロホルムに溶解した10.0重量%溶液をポリエチレンテレフタレート板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固して、ポリ[2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル アクリレート]を構成成分とした膜(実施例5)を得た。
実施例1と同様に、血液適合性を調べた結果、ポリ[2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル アクリレート]を構成成分とする表面は、血小板粘着数が少なく、粘着した血小板の形態変化(偽足形成や伸展)が小さく、血小板の活性化が小さいことが示された。
【実施例6】

ポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル メタクリレート]
JP0004746984B2_000016t.gif モノマー2-(2-エトキシエトキシ)エチル メタクリレート15.0g(7.4×10-2mol)を1,4-ジオキサン58.2mlに溶解し、2時間Nパージを行った。開始剤アゾビスイソブチロニトリル15.1mg(9.2×10-2mmol)を少量の1,4-ジオキサンに溶解して加え、窒素雰囲気下75℃で2時間10分重合した。精製はヘキサンを用いて行った。反応液を貧溶媒であるヘキサン1500ml中に滴下し、デカンテーションによって溶媒を除いた。この粗ポリマーにTHF約50mlを加えて溶解し、再びヘキサン1000mlに滴下して析出させたあと、デカンテーションによって溶媒を除いた。この操作をもう一度繰り返し、ポリマー中に含まれるモノマー及び開始剤を完全に除去した。一晩減圧乾燥し、重量を測定した。無色透明・水飴状のポリマーポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル メタクリレート]が得られ、収量は5.36g、収率は35.7%であった。H-NMRデータを図9(モノマー)、図10(ポリマー)に示す。
得られたポリマーをクロロホルムに溶解した10.0重量%溶液をポリエチレンテレフタレート板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固して、ポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル メタクリレート]を構成成分とした膜(実施例6)を得た。
実施例1と同様に、血液適合性を調べた結果、ポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル メタクリレート]を構成成分とする表面は、血小板粘着数が少なく、粘着した血小板の形態変化(偽足形成や伸展)が小さく、血小板の活性化が小さいことが示された。
(2)温度応答性試験
実施例1で得られたポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル アクリレート]を4℃の水に溶解し、濃度0.1および1重量%水溶液を調整した。温度変化(昇温、降温)による光透過率の変化について測定を行った。光透過率は紫外可視分光光度計で500nmでの光透過率を測定した。図11にその結果を示すグラフを示す。下限臨界共溶温度(LCST)を約14℃に有することがわかった。また、温度応答性は可逆的であった。
実施例2で得られたポリ[2-(2-メトキシエトキシ)エチル メタクリレート]を4℃の水に溶解し、濃度1.0重量%水溶液を調製した。温度変化(昇温、降温)による光透過率の変化について測定を行った。光透過率は紫外可視分光光度計で500nmでの光透過率を測定した。図12に温度応答性高分子材料の温度と光透過率との関係を示すグラフを示す。下限臨界温度(LCST)を約22℃に有することがわかった。また、この温度応答性は可逆的であった。
実施例3で得られたポリ[2-(2-メトキシエトキシ)エチル アクリレート]を4℃の水に溶解し、濃度0.1重量%水溶液を調製した。温度変化(昇温、降温)による光透過率の変化について測定を行った。光透過率は紫外可視分光光度計で500nmでの光透過率を測定した。下限臨界温度(LCST)を約45℃に有することがわかった。また、この温度応答性は可逆的であった。
実施例4で得られたポリ[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル メタクリレート]を4℃の水に溶解し、濃度0.1重量%水溶液を調製した。温度変化(昇温、降温)による光透過率の変化について測定を行った。光透過率は紫外可視分光光度計で500nmでの光透過率を測定した。下限臨界温度(LCST)を約43℃に有することがわかった。また、この温度応答性は可逆的であった。
実施例5で得られたポリ[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル アクリレート]を4℃の水に溶解し、濃度0.1重量%水溶液を調製した。温度変化(昇温、降温)による光透過率の変化について測定を行った。光透過率は紫外可視分光光度計で500nmでの光透過率を測定した。下限臨界温度(LCST)を約64℃に有することがわかった。また、この温度応答性は可逆的であった。
実施例6で得られたポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチル メタクリレート]は水不溶性であり、下限臨界温度(LCST)は測定不可能であった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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