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明細書 :固相合成装置用反応槽モジュールおよびそれを用いた固相合成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5229730号 (P5229730)
公開番号 特開2010-088995 (P2010-088995A)
登録日 平成25年3月29日(2013.3.29)
発行日 平成25年7月3日(2013.7.3)
公開日 平成22年4月22日(2010.4.22)
発明の名称または考案の名称 固相合成装置用反応槽モジュールおよびそれを用いた固相合成装置
国際特許分類 B01J   8/02        (2006.01)
B01J  19/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 8/02 ZCCE
B01J 19/00 321
C07B 61/00 C
請求項の数または発明の数 7
全頁数 16
出願番号 特願2008-260613 (P2008-260613)
出願日 平成20年10月7日(2008.10.7)
審査請求日 平成23年8月9日(2011.8.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】今場 司朗
個別代理人の代理人 【識別番号】100082304、【弁理士】、【氏名又は名称】竹本 松司
【識別番号】100088351、【弁理士】、【氏名又は名称】杉山 秀雄
【識別番号】100093425、【弁理士】、【氏名又は名称】湯田 浩一
【識別番号】100102495、【弁理士】、【氏名又は名称】魚住 高博
【識別番号】100112302、【弁理士】、【氏名又は名称】手島 直彦
【識別番号】100152124、【弁理士】、【氏名又は名称】白石 光男
審査官 【審査官】谷水 浩一
参考文献・文献 特開2001-187327(JP,A)
特開2005-046652(JP,A)
特開平11-236339(JP,A)
特開平07-318694(JP,A)
特開2006-015269(JP,A)
特表2004-523607(JP,A)
再公表特許第2007/052778(JP,A1)
特表2002-522215(JP,A)
実開昭60-034197(JP,U)
特表平11-509551(JP,A)
特開2000-288388(JP,A)
特表2002-503141(JP,A)
調査した分野 B01J 8/00-12/02
B01J 14/00-19/32
C07B 31/00-63/04
C07C 1/00-409/44
G01N 30/00-30/96
C40B 60/00-60/14
C12M 1/00、1/40
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00

JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
筒状の反応槽と、
該筒状の反応槽と同心円状に配置した第1の筒状透明部材および該第1の筒状透明部材より径の大きい第2の筒状透明部材と、
同心円状に配置した前記筒状の反応槽、前記第1の筒状透明部材、および前記第2の筒状透明部材の両端部をそれぞれ覆う中心部に孔を設けた蓋部材と、
を備えた反応槽モジュールであって、
前記筒状の反応槽、前記第1の筒状透明部材、および前記蓋部材により形成される領域を温度調節領域とし、
前記第1の筒状透明部材、前記第2の筒状透明部材、および前記蓋部材により形成される領域を真空ないし減圧状態に保たれる断熱領域とすることを特徴とする固相合成装置用反応槽モジュール。
【請求項2】
筒状の反応槽と、
該筒状の反応槽と同心円状に配置した第1の筒状透明部材および該第1の筒状透明部材より径の大きい第2の筒状透明部材と、
前記筒状の反応槽の両端部をそれぞれ少なくとも覆う中心部に孔を設けた反応槽用蓋部材と、
同心円状に配置した前記反応槽用蓋部材に覆われた前記筒状の反応槽、前記第1の筒状透明部材、および前記第2の筒状透明部材の両端部をそれぞれ覆う中心部に孔を設けた蓋部材と、
を備えた反応槽モジュールであって、
前記反応槽用蓋部材に覆われた前記筒状の反応槽、前記第1の筒状透明部材、および前記蓋部材により形成される領域を温度調節領域とし、
前記第1の筒状透明部材、前記第2の筒状透明部材、および前記蓋部材により形成される領域を真空ないし減圧状態に保たれる断熱領域とすることを特徴とする固相合成装置用反応槽モジュール。
【請求項3】
前記筒状の反応槽の両端部をそれぞれ覆う前記蓋部材あるいは前記反応槽用蓋部材とネジ構造もしくはフランジ構造によって固定することを特徴とする請求項1または2に記載の固相合成装置用反応槽モジュール。
【請求項4】
前記筒状の反応槽は、反応槽内の試料を反応途中で取り出すための取り出し用管、または、撮像用の光ファイバの内、少なくとも一方を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の固相合成装置用反応槽モジュール。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の固相合成装置用反応槽モジュールを少なくとも1つ有する固相合成装置において、
該反応槽モジュールの前記筒状の反応槽に薬液あるいは溶媒の供給を行う手段と、
該反応槽モジュールの前記筒状の反応槽の温度、もしくは温度調節領域の温度を測定する温度測定手段と、
該反応槽モジュールの前記筒状の反応槽の温度を調節するための媒体を供給する媒体供給手段と、
該反応槽モジュールの前記筒状の反応槽からの廃液を行う手段と、
を備えた固相合成装置。
【請求項6】
前記反応槽モジュールを攪拌する攪拌手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の固相合成装置。
【請求項7】
前記薬液あるいは溶媒の供給を行う手段は、試薬の容器および溶媒の容器の数を任意に選択できることを特徴とする請求項5または6のいずれか1つに記載の固相合成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、固相合成装置用反応槽モジュールおよびそれを用いた固相合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、創薬研究において「コンビナトリアルケミストリ」と呼ばれる研究が注目されている。この研究では、一度に同一条件で多種類の試薬合成を行い、その後、ロボットなどにより一斉に検定を行って、有効な候補化合物を検索するもので、試薬の合成に当たり、複数の反応容器を収納した反応容器収納部と、該反応容器収納部を振とうする振とう機部を有する合成反応装置を用い、反応容器に固体と液体を入れ、反応容器を振とうして液体に固体を接触させて固相反応により反応生成物を得ている。固相樹脂上でのコンビナトリアル合成装置として、XY座標型のロボットタイプ、アームロボットタイプ、96穴ブロックタイプが知られている。
【0003】
XY座標型のロボットタイプは、ニードルを使用し、装置全体にカバーも設け内部を窒素置換するタイプである。このタイプでは、一般に反応容器の上部にはセプタムがあり、反応容器の内部を不活性雰囲気に保つようにされており、試薬や溶媒の反応容器への送液はニードル・シリンジを用いて行われている。アームロボットタイプは、アーム式ロボットを有し、その周辺に試薬、溶媒、攪拌装置、抽出装置などのユニットを配置するタイプ、もしくは、アーム式ロボットが周辺に配置されたユニット間を自走するようなタイプの装置である。96穴ブロックタイプは、96穴のブロックを載せることにより合成が行えるようにしたタイプであり、分注装置と組み合わせることで全自動合成にも拡張可能なタイプである。
【0004】
コンビナトリアル合成装置として特許文献1には、反応容器収納部に収納した複数の容器の下部に仕切用電磁弁と三方電磁弁を備えた配管をそれぞれ接続し、三方電磁弁の一方から廃液容器へ連通する廃液ラインと、三方電磁弁の他方から反応生成物回収容器へ連通する回収ラインとを設けるとともに、廃液容器内と反応生成物回収容器内とを負圧にする排気ラインを設け、反応容器で合成された反応生成物の回収や反応容器の洗浄を効率よく行う技術が開示されている。
【0005】
上記の合成装置は、複数の反応容器を反応容器収納部に格納して固相合成を行う装置であり、1つ1つの反応容器を視認できない。また、多くの反応槽容器を備えた固相合成装置であるが、ブロック構成、あるいは反応容器収納部に格納されていることから、個別の反応容器の温度制御を行うことが困難である。
【0006】

【特許文献1】特開平11-137990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、反応槽モジュールの数を自由に変更でき、かつそれぞれの反応槽の中を視認可能とし、それぞれの反応槽の反応条件を個別に制御可能なコンビナトリアル合成装置およびそれに用いられる反応槽モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に係る発明は、筒状の反応槽と、該筒状の反応槽と同心円状に配置した第1の筒状透明部材および該第1の筒状透明部材より径の大きい第2の筒状透明部材と、同心円状に配置した前記筒状の反応槽、前記第1の筒状透明部材、および前記第2の筒状透明部材の両端部をそれぞれ覆う中心部に孔を設けた蓋部材と、を備えた反応槽モジュールであって、前記筒状の反応槽、前記第1の筒状透明部材、および前記蓋部材により形成される領域を温度調節領域とし、前記第1の筒状透明部材、前記第2の筒状透明部材、および前記蓋部材により形成される領域を真空ないし減圧状態に保たれる断熱領域とすることを特徴とする固相合成装置用反応槽モジュールである。
【0009】
請求項2に係る発明は、筒状の反応槽と、該筒状の反応槽と同心円状に配置した第1の筒状透明部材および該第1の筒状透明部材より径の大きい第2の筒状透明部材と、前記筒状の反応槽の両端部をそれぞれ少なくとも覆う中心部に孔を設けた反応槽用蓋部材と、同心円状に配置した前記反応槽用蓋部材に覆われた前記筒状の反応槽、前記第1の筒状透明部材、および前記第2の筒状透明部材の両端部をそれぞれ覆う中心部に孔を設けた蓋部材と、を備えた反応槽モジュールであって、前記反応槽用蓋部材に覆われた前記筒状の反応槽、前記第1の筒状透明部材、および前記蓋部材により形成される領域を温度調節領域とし、前記第1の筒状透明部材、前記第2の筒状透明部材、および前記蓋部材により形成される領域を真空ないし減圧状態に保たれる断熱領域とすることを特徴とする固相合成装置用反応槽モジュールである。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記筒状の反応槽の両端部をそれぞれ覆う前記蓋部材あるいは前記反応槽用蓋部材とネジ構造もしくはフランジ構造によって固定することを特徴とする請求項1または2に記載の固相合成装置用反応槽モジュールである。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記筒状の反応槽は、反応槽内の試料を反応途中で取り出すための取り出し用管、または、撮像用の光ファイバの内、少なくとも一方を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の固相合成装置用反応槽モジュールである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1~4のいずれか1つに記載の固相合成装置用反応槽モジュールを少なくとも1つ有する固相合成装置において、該反応槽モジュールの前記筒状の反応槽に薬液あるいは溶媒の供給を行う手段と、該反応槽モジュールの前記筒状の反応槽の温度、もしくは温度調節領域の温度を測定する温度測定手段と、該反応槽モジュールの前記筒状の反応槽の温度を調節するための媒体を供給する媒体供給手段と、該反応槽モジュールの前記筒状の反応槽からの廃液を行う手段と、を備えた固相合成装置である。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記反応槽モジュールを攪拌する攪拌手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の固相合成装置である。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記薬液あるいは溶媒の供給を行う手段は、試薬の容器および溶媒の容器の数を任意に選択できることを特徴とする請求項5または6のいずれか1つに記載の固相合成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、反応槽モジュールの数を自由に変更でき、かつそれぞれの反応槽の中を視認可能とし、それぞれの反応槽の反応条件を個別に制御可能なコンビナトリアル合成装置およびそれに用いられる反応槽モジュールを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、複数個の反応槽モジュールを用いてコンビナトリアル固相合成装置を構成することを説明する図である。図示されるように、一度に多種類の固相合成を行いうるように、反応槽モジュールMを複数個芋づる式に接続しコンビナトリアル固相合成装置を構成する。
【0017】
図2は、反応槽モジュールの概略外観図である。反応槽モジュールMは、中心部に筒状の反応槽1(以下、単に「反応槽1」という)、そのすぐ外周囲に温度調節層、その外周囲に断熱層の3層構造を有する。反応槽1を外側から挟む上内蓋2,下内蓋3、ガラス内管4、およびガラス外管5は、上中蓋8,下中蓋9により外側から挟まれている(上内蓋2,下内蓋3は、図3を参照)。反応槽1は、例えば、マイナス温度で更に高気密条件、耐腐食性容器という条件をみたす材料を用いる。例えばフッ素樹脂を用いて構成する。フッ素樹脂は透明性が低いものの、反応槽1の側面の肉厚を光が透過する程度に選択すると反応槽1内の様子を観察することができる。また、肉厚を薄くすることにより反応槽1の外部から反応槽1内の温度を調節しやすくなる。図2(b)は反応槽モジュールMを中心軸線に垂直な面で切断した断面を示したものである。
【0018】
図3は、図2に示される中心軸を含む平面で切断した反応槽1部分の断面図である。反応槽1は筒状部1aとその両端部に上側フランジ部1b,下側フランジ部1cを有する両端開放の筒状形状をなしている。反応槽1は上内蓋2と下内蓋3により両端側から挟まれている。上内蓋2と下内蓋3は中心部に孔を設けた反応槽用蓋部材である。
上内蓋2と反応槽1の上側フランジ部1bの間には濾紙やガラスフィルタなどの濾材6とオーリング7が挟まれ、下内蓋3と反応槽1の下側フランジ部1cの間には濾紙やガラスフィルタなどの濾材6とオーリング7が挟まれている。オーリング7は水密性、または、油密性、または、気密性を持たせるために使用するシール材である。反応槽1と濾材6とで形成される空間に合成反応用の原料又は試薬の固相担体としての固相樹脂が適宜量充填される。
【0019】
また、上内蓋2と反応槽1の上側フランジ部1bとは図示省略したオスネジなどの固定部材で両者を固定してもよい。また、同様に下内蓋3と反応槽の下側フランジ部1cもオスネジなどの固定部材で両者を固定してもよい。また、反応槽1と上内蓋2および下内蓋3とをねじ込み式で固定するようにしてもよい(図14参照)。この様にネジなどの固定部材で、あるいはねじ込み式などで両者を固定することにより、反応槽1と上内蓋2,下内蓋3と、他の構成部材(例えば図4に示される、ガラス内管4、ガラス外管5)との熱膨張率が異なっていることにより隙間が生じることを防ぐことができる。さらに、薬液や溶媒の供給管を閉じてしまえば反応槽1内を密閉領域に保つことが可能となる。
【0020】
図4は、3層の蓋構造を有する反応槽モジュールの断面図である。図4に示されるように反応槽モジュールMは、反応槽1、上内蓋2、下内蓋3、ガラス内管4、ガラス外管5、濾材6、オーリング7、上中蓋8、下中蓋9、上外蓋10、下外蓋11、ボルト12a、ナット12bを備えている。図4に示されるようにこの実施形態では、蓋部材が、内蓋、中蓋、および外蓋の3層構造をなしている。
【0021】
前述したように、上内蓋2と下内蓋3は、反応槽1に対する上下の蓋である。上内蓋2と下内蓋3の中心軸部分には、それぞれ反応槽1から外方に伸びる突出部を有する。そして、上内蓋2と下内蓋3の中心軸部分には該突出部を貫通する孔18,19が設けられている。
【0022】
上内蓋2と下内蓋3は、濾材6とオーリング7とを介して反応槽1を挟む。これにより、反応槽1内には上内蓋2と下内蓋3に設けられた孔18,19を介して、薬液や溶媒が導入される。また、上下の濾材6があるため、反応槽1中の固相樹脂は反応槽1から外部へ流出しない。なお、図4において符号7が記載されていないが、「●」はオーリング7を示している。他の図面においても同様である。なお、孔18,19にはチューブなどの管が接続され、薬液や溶媒はチューブなどの管を通って孔18,19を介して反応槽1内に供給される。
【0023】
上中蓋8と下中蓋9は、反応槽1、上内蓋2,下内蓋3、ガラス内管4、ガラス外管5、濾材6、オーリング7を両側から挟んでいる。そして、上中蓋8は外側から金属製の上外蓋10によって押さえられ、下中蓋9は外側から金属製の下外蓋11によって押さえられる。金属製の上外蓋10と下外蓋11とは、ボルト12aとナット12bによって締め付けられている。ガラス内管4とガラス外管5と上中蓋8,下中蓋9で形成される層は、真空ないし減圧状態に保たれ断熱層として機能する。また、この断熱層を設けることにより結露防止効果が高まる。符号13は図示省略した真空装置などの減圧装置と接続する減圧装置用接続口である。
【0024】
ガラス内管4と上中蓋8,下中蓋9と反応槽1の外側面とで形成される温度調節層(図2参照)は、反応槽1内の温度を調節するために設けられている。符号17は温度調節用媒体の流入口であり、符号15は流入した温度調節用媒体の流出口である。温度調節層に流入させる媒体の温度を調節することにより、反応槽1内の温度を所望の温度に設定することが可能となる。
【0025】
符号14は温度調節層の温度を測定し間接的に反応槽1内の温度を測定するための熱電対を設置するための接続端子である。熱電対により前記温度調節層の温度を測定する。前記温度調節層の温度を測定することにより間接的に反応槽1内の温度を測定することになる。符号16は電熱線との接続端子である。電熱線用接続端子16に接続された電熱線は、例えば温度調節用媒体として温度調節層に供給された水やオイルの温度を調節する手段である。例えば、室温のオイルが温度調節層に満たされた場合には、電熱線のオン・オフ制御により目的の温度に調節することができる。
【0026】
図4から明らかなように、反応槽モジュールMはそれぞれの構成要素に分解し易い。そのため、種々の薬液・溶媒を用いた固相合成反応実験を行った後での洗浄など保守作業が容易である。また、上蓋、下蓋などそれぞれの構成要素を概略同一のものとすることで製造コストを下げることができる。なお、上内蓋2,下内蓋3のフランジ部の径は少なくとも反応槽1の端部を覆えばよく、反応槽モジュールMの径まで広く覆うことを排除するものではない。
【0027】
図5は、反応槽モジュールMの上面概略図である。図4で説明した接続口、流出口、ボルトを締めるナットが図示のように配置されている。なお、接続口、流出口、ボルトの配置は、図5に示される配置に限定されるわけではなく、適宜な位置、個数設けてもよい。
【0028】
図6は、反応槽モジュールMに反応槽1内の試料を取得するための試料取り出し管を設けることを説明する図である。固相反応の反応中の試料Sを取得して分析するために、反応槽1内から試料Sを取得するための試料取り出し管20を設ける。研究者などは試料取り出し管20から反応槽1内の試料Sを取得することができる。試料取り出し管20を介して試料を取得するには、試料を試料取り出し管20から吸引したり、小型のかきとり装置を試料取り出し管20から挿入することにより行う。
【0029】
図7および図8は、反応槽1内の固相反応を観察する手段を設けた実施形態である。図7では反応槽1の側面からテレビカメラ21を用いて撮像する。反応槽モジュールMを挟んでテレビカメラ21と反対側に照明用光源22を配置し照明光を照射する。テレビカメラ21は反応槽1の透過像を撮像し、反応槽1内の反応の状況を撮像できる。
【0030】
図8では反応槽1内を直接観察するために、光ファイバ23を反応槽1内に挿入する。また、反応槽1内を直接観察することに替えて、任意の波長域の光を照射するようにして照射光の波長を変えた合成反応を反応槽1内で行える。あるいは、反応槽モジュールMの側面を可撓性液晶フィルムで覆い、液晶フィルムを光のシャッターとして用いることにより、反応槽1内を遮光状態とし外部からの光の影響を除去するようにすることも可能である。
【0031】
次に、図9により複数の反応槽ユニットUを用いてコンビナトリアル固相合成装置を構成することを説明する。一度に多種類の固相合成を行いうるように、反応槽モジュールMを有する反応槽ユニットUを複数個芋づる式に接続しコンビナトリアル固相合成装置を構成する。各反応槽ユニットUの制御は、パーソナルコンピュータなどの制御装置によって制御される(図13参照)。制御装置から反応槽ユニットUへの指令信号および反応槽ユニットUからの検出信号は、例えばUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394、またはGPIBのような接続手段を介して行うようにすることができる。なお、これらは、さまざまな周辺機器を接続するためのバス規格である。
【0032】
あらかじめ、コンビナトリアル固相合成装置には、適宜な個数の反応槽モジュールMへ薬液の供給、廃液、温度検出、温度調節のための媒体の供給などの制御を行うための配管、配線および切換弁が設けられている。研究者などが反応槽モジュールMを固相合成の実験に必要な個数だけ接続できるように、反応槽モジュールMは前記配線および配管と着脱自在にされている。
【0033】
なお、図9に示されるように、反応槽ユニットUの一つ一つを以降U1、U2、U3、U4、・・・Unと称する。反応槽ユニットUの個数に特に制限はない。接続した複数個の反応槽ユニットUを一列(芋づる式)に並べてもよいし、2次元状に配置してもよし、同心円状に配置してもよく適宜な配置を選択できる。
【0034】
次に、図10を用いて反応槽ユニットUを説明する。反応槽ユニットUは、反応槽モジュールMへ薬液の供給、廃液、温度検出、温度調節のための媒体の供給などの制御を行うための配管、配線、および切換弁を含む。
【0035】
符号30は温度調節用媒体の排出管である。符号31は窒素ガスなどの不活性ガス供給管である。符号32は孔18に接続されるUP管であり、反応槽1の上側から試薬や溶媒を反応槽1内に導入する管である。
【0036】
記号Mは反応槽モジュールである。符号33は孔19に接続されるDOWN管であり、反応槽1の下側から試薬や溶媒を反応槽1内に導入する管である。符号34は廃液管であり、反応槽1中の液体を図示省略したタンク内に廃棄する管である。符号35は温度調節用媒体の導入管であり、温度調節用媒体としては、冷却水、温水、またはオイル等が用いられる。符号36は振とう攪拌装置である。1つ1つの反応槽モジュールMに1つ1つの振とう攪拌装置36を備えることにより、それぞれの反応槽モジュールMで異なる固相合成に適した振とう攪拌を行うことができる。なお、複数個の反応槽モジュールに対して1つの振とう攪拌装置を用いる構成も可能である。
【0037】
排出管30と反応槽モジュールMとの間には2方電磁弁30vが取り付けられている。不活性ガス供給管31と反応槽モジュールMとの間には2方電磁弁31vが取り付けられている。UP管32と反応槽モジュールMとの間には3方電磁弁32vが取り付けられている。
【0038】
DOWN管33と反応槽モジュールMとの間には3方電磁弁33vが取り付けられている。廃液管34と反応槽モジュールMとの間には2方電磁弁34vが取り付けられている。導入管35と反応槽モジュールMとの間には2方電磁弁35vが取り付けられている。
各電磁弁30v,31v,32v,33v,34v,35vは、強酸、強アルカリ、および各種有機溶媒に耐えることができ、気密性を保つことができる材料(例えば、テフロン(登録商標))を使用した電磁弁が望ましい。
【0039】
次に、図11を用いて試薬ユニットDを説明する。符号42は試薬や溶媒の容器を示している。符号40は不活性ガス用管であり窒素ガスなどの不活性ガスを容器42に供給可能である。これにより、試薬や溶媒を不活性ガス圧下の雰囲気に保つことができる。符号41は試薬管であり、容器42からの試薬や溶媒が移送される管である。不活性ガス用管40には2方電磁弁40vが設けられており、不活性ガスを容器42に供給したり供給を止めたりする弁である。試薬管41にも3方電磁弁41vが設けられている。電磁弁41vのオン・オフにより、容器42内の試薬あるいは溶媒の反応槽モジュールMへの供給がなされたり、止めたりすることができる。
なお、試薬ユニットDの数は1つに限定されない。例えば、試薬ユニットDは、芋づる式に接続し数を増やすことが可能である。ただしこの場合、最後に接続した試薬あるいは溶媒は、試薬管41、UP管32、DOWN管33等を洗浄可能な物にすることが望ましい。また、2次元状に接続してもよいし、同心円状に接続してもよい。また、室温で不安定な試薬あるいは溶媒を用いる際は、容器42を冷やすことも可能である。
【0040】
次に、図12を用いて主ユニットCを説明する。主ユニットCは図12では記載を省略しているが制御装置を備えている(制御装置については図13を参照)。符号50は温度調節用媒体の循環装置である。温度調節用媒体は管35を経由し反応槽モジュールMの温度調節領域内を循環し管30を経由して循環装置50へ戻る。循環装置50は低温液体、温水またはオイルを循環させることができる。
【0041】
符合51はシリンジポンプである。流量を正確に計量できるポンプは、容器42内の試薬や溶媒を反応槽モジュールMの反応槽1に送り出す。このようなポンプとしてシリンジポンプ51が用いられる。シリンジポンプ51は、正確な計量、強酸、強アルカリ、各種有機溶媒に耐える必要があるため、構成要素をテフロン(登録商標)またはガラスで構成するとよい。なお、ポンプはシリンジポンプに限定されない。例えば、ガス圧ポンプを用いることもできる。ガス圧ポンプを用いる形態は図16を用いて後述する。
【0042】
符号52はレギュレータで、窒素ガスなどの不活性ガスを各反応槽モジュールMや、試薬ユニットDに送り出すときの圧力を調整する手段である。符号53vは3方電磁弁である。3方電磁弁53vは、シリンジポンプ51から送出された薬液や溶媒などを管32あるいは管33に指令にしたがって切り換える手段である。符号54vは2方電磁弁である。2方電磁弁54vは管34を介して吸引されて排出される廃液を流したり止めたりする手段である。排出された廃液は吸引ポンプ55により吸引されタンク56に回収される。
【0043】
図13は、反応槽ユニットUと主ユニットCと試薬ユニットDとを接続して構成したコンビナトリアル固相合成装置の概略構成図である。ここでは、主ユニットCにシリンジポンプ51を用いた場合を示している。各ユニットの説明は上述のとおりである。これらのユニットは主ユニットCの制御装置100によって制御される。制御装置100としてはパーソナルコンピュータを用いることができる。また、パーソナルコンピュータは、電磁弁の開閉指令などの指令信号を反応槽ユニットUおよび試薬ユニットDへ、USB、IEEE1394、またはGPIBを介して行うことができる。不活性雰囲気を保つために、それぞれの反応槽モジュールと試薬・溶媒は、強酸、強アルカリ、各種有機溶媒耐性のフッ素樹脂製のチューブにより接続するとよい。
【0044】
図14は、筒状の反応槽と上内蓋2と下内蓋3とをネジ構造により固定する形態を説明する概略構成図である。反応槽1の両端の外側面部分にオスネジ、上内蓋2と下内蓋3にメスネジを構成することのより、反応槽1に上内蓋2,下内蓋3を固定することができる。
【0045】
上述した反応槽モジュールMの説明では図4に示されるように蓋構造は3層である。しかし、反応槽モジュールMの蓋構造は3層構造に限定されるものではなく図15に示されるように、中蓋を用いず内蓋との2層構造とすることも温度調節層および断熱層の効果を減殺しない範囲において可能である。
【0046】
図16は、ガス圧ポンプを使用する主ユニットCの形態を説明する概略構成図である。この実施形態は、図12を用いて説明した主ユニットCにシリンジポンプ51を用いない。ガス圧ポンプ57は、不活性ガスの圧力および開閉時間の調整により送液流量を正確に制御できる。ガス圧ポンプ57は不活性ガス用管40に接続されている。
【0047】
図17は、反応槽ユニットUと主ユニットCと試薬ユニットDとを接続して構成したコンビナトリアル固相合成装置の概略構成図である。ここでは、主ユニットCにガス圧ポンプ57を用いた場合を示している。容器42内の試薬や溶媒は、ガス圧ポンプ57のガス圧により押し出され、試薬管41を通って反応槽モジュールMの反応槽1に供給される。
【0048】
図18は、反応槽ユニットを芋づる式に2次元状に連結した概略構成図である。複数の反応層ユニットUを一列の芋づる式に配列すると、試薬ユニットDから距離が遠くなりすぎる反応層ユニットUが存在することになる。試薬ユニットDからの試薬の供給時間が長くかかりすぎる、また、試薬が輸送管へ吸着することによる損失が顕在化する、また、デッドスペースが増え無駄になる試薬が増加するなどの問題が生じる。そのため、図18のように切換弁58を用いて複数の系列に分けて試薬ユニットUからの薬液の供給が行えるようにするとよい。
【0049】
また、図19は、試薬ユニットDを芋づる式に2次元状に連結した概略構成図である。反応槽ユニットUを複数の系列に分けて配列するのと同様に、試薬ユニットDを複数の系列に分けて配列する。複数の試薬ユニットDの系列は、切換弁59を用いて反応槽ユニットUへの供給が切り換えられる。
そして、このように配列することにより、試薬ユニットDが反応槽ユニットUから離れすぎないので、迅速に薬液を供給することが可能である。また、試薬が輸送管へ吸着することによる損失が顕在化するの防ぐことが可能である。また、デッドスペースが増えることによる無駄になる試薬の増加を防ぐことが可能である。
【0050】
本発明の実施形態により、反応槽1内を視認可能で、反応槽1内を不活性ガスの雰囲気に維持可能で、揮発性の高い溶媒や、活性の高い試薬を移送でき、汎用性を高めるため多くの反応槽モジュールおよび試薬・溶媒を使用可能で、低温から高温まで温度調節可能で、コンピュータ制御により全自動合成が可能となった。
【0051】
本発明の実施形態によれば、不活性雰囲気下での固相合成反応が容易に行えるようになり、さまざまな有機反応を用いたコンビナトリアルライブラリー合成が可能になる。特に、第3の生命鎖として重要な機能を有していると考えられている糖鎖をコンビナトリアルライブラリー的に合成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】複数個の反応槽モジュールを用いてコンビナトリアル固相合成装置を構成することを説明する図である。
【図2】本発明のコンビナトリアル固相合成装置に用いられる反応槽モジュールの概略外観図である。
【図3】図2に示される中心軸線で切断した反応槽モジュールの筒状の反応槽の断面図である。
【図4】3層の蓋構造を有する反応槽モジュールの断面図である。
【図5】反応槽モジュールの上面概略図である。
【図6】反応槽モジュールに反応槽内の試料を取得するための試料取り出し管を設けることを説明する図である。
【図7】反応槽モジュールの側面方向からテレビカメラで撮像することを説明する図である。
【図8】筒状の反応槽の内部を直接観測するために光ファイバを反応槽内に挿入する図である。
【図9】複数個の反応槽ユニットを用いてコンビナトリアル固相合成装置を構成することを説明する図である。
【図10】反応槽ユニットの概略構成図である。
【図11】試薬ユニットの概略構成図である。
【図12】主ユニット(シリンジポンプ)の概略構成図である。
【図13】反応槽ユニットと主ユニット(シリンジポンプを用いた場合)と試薬ユニットとを接続して構成したコンビナトリアル固相合成装置の概略構成図である。
【図14】筒状の反応槽と上内蓋と下内蓋とをネジ構造により固定する形態を説明する概略構成図である。
【図15】2層の蓋構造を有する反応槽モジュールの断面図である。
【図16】ガス圧ポンプを使用する主ユニットを説明する概略構成図である。
【図17】反応槽ユニットと主ユニット(ガス圧ポンプを用いた場合)と試薬ユニットとを接続して構成したコンビナトリアル固相合成装置の概略構成図である。
【図18】反応槽ユニットを芋づる式に2次元状に連結した概略構成図である。
【図19】試薬ユニットを芋づる式に2次元状に連結した概略構成図である。
【符号の説明】
【0053】
M 反応槽モジュール
U 反応槽ユニット
D 試薬ユニット
C 主ユニット
1 反応槽
1a 筒状部
1b 上側フランジ部
1c 下側フランジ部
2 上内蓋
3 下内蓋
4 ガラス内管
5 ガラス外管
6 濾材
7 オーリング
8 上中蓋
9 下中蓋
10 上外蓋
11 下外蓋
12a ボルト
12b ナット
13 減圧装置用接続口
14 熱電対用接続端子
15 温度調節用媒体の流出口
16 電熱線用接続端子
17 温度調節用媒体の流入口
20 試料取り出し管
21 テレビカメラ
22 照明用光源
23 光ファイバ
100 制御装置
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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