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明細書 :一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する方法、プログラム及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5299895号 (P5299895)
公開番号 特開2010-121739 (P2010-121739A)
登録日 平成25年6月28日(2013.6.28)
発行日 平成25年9月25日(2013.9.25)
公開日 平成22年6月3日(2010.6.3)
発明の名称または考案の名称 一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する方法、プログラム及び装置
国際特許分類 F16H  55/08        (2006.01)
F16H  55/17        (2006.01)
F16H   1/06        (2006.01)
G06F  17/50        (2006.01)
FI F16H 55/08 Z
F16H 55/17 Z
F16H 1/06
G06F 17/50 680Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 16
出願番号 特願2008-297222 (P2008-297222)
出願日 平成20年11月20日(2008.11.20)
審査請求日 平成23年10月21日(2011.10.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】岡田 昌樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100092624、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴田 準一
【識別番号】100102819、【弁理士】、【氏名又は名称】島田 哲郎
【識別番号】100147599、【弁理士】、【氏名又は名称】丹羽 匡孝
【識別番号】100112357、【弁理士】、【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
【識別番号】100140028、【弁理士】、【氏名又は名称】水本 義光
審査官 【審査官】河端 賢
参考文献・文献 特開平10-329305(JP,A)
特表2007-506043(JP,A)
特開2002-098219(JP,A)
調査した分野 F16H 55/08
F16H 55/17
F16H 1/06
G06F 17/50
特許請求の範囲 【請求項1】
回転中心間距離を一定に保ちながら互いに噛み合う第1の歯車と第2の歯車とからなる一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する方法であって、
歯数と前記第1の歯車の回転中心と前記第2の歯車の回転中心の間の中心間距離とを設定するステップと、
所望される歯車の運動が得られ且つピッチ曲線半径の平均値が設定された前記中心間距離の半分に等しくなるように、設定された歯数の分だけ前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径を設定するステップと、
歯数分の前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記中心間距離から前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径をそれぞれ引いた値を逆の順序で前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径として設定するステップと、
前記第1の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第1の歯車の回転中心周りに前記第1の歯車の回転中心から前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように第1の歯車のためのピッチ多角形を生成するステップと、
前記第2の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第2の歯車の回転中心周りに前記第2の歯車の回転中心から前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように第2の歯車のピッチ多角形を生成するステップと、
前記第1の歯車のピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の一方が配置されるように第1の歯車の輪郭形状を生成し、前記第2の歯車のピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の他方が配置されるように第2の歯車の輪郭形状を生成するステップと、
を含むことを特徴とする一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する方法。
【請求項2】
前記第1の歯車のためのピッチ多角形を生成するステップ及び前記第2の歯車のためのピッチ多角形を生成するステップは、各ピッチ曲線半径について設定順序に従って前記回転中心周りに等角度間隔で前記回転中心からピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ暫定的に頂点を配置した後、隣接する頂点を結んだ辺長が全て等しくなるように前記第1の歯車又は前記第2の歯車の回転中心周りの各頂点の角度間隔を調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記角度間隔を調整するステップは、前記ピッチ多角形の最大辺長と最小辺長との平均値を求め、前記平均値と前記最小辺長との比率に応じて前記最大辺長に対応する回転中心周りの角度を減少させ、前記平均値と前記最大辺長との比率に応じて前記最小辺長に対応する回転中心周りの角度を増加させることを、前記最大辺長と前記最小辺長との差が予め定められた値以下になるまで繰り返すステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
回転中心間距離を一定に保ちながら互いに噛み合う第1の歯車と第2の歯車とからなる一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する装置であって、
歯数と、第1の歯車の回転中心と第2の歯車の回転中心の間の中心間距離と、歯数の分の前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径とを入力するための入力装置と、
前記入力装置によって入力された歯数、中心間距離及びピッチ曲線半径を記憶するための記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された歯数、中心間距離及びピッチ曲線半径に基づいて、前記第1の歯車及び前記第2の歯車の輪郭形状を生成する処理装置と、
を備え、該処理装置が、
前記入力装置によって入力された歯数分のピッチ曲線半径の平均値が入力された中心間距離の半分に等しいことを確認し、等しいことが確認できたときに前記入力された歯数分のピッチ曲線半径を前記記憶装置に記憶させるピッチ曲線半径確認部と、
歯数分の前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記記憶装置に記憶された中心間距離から前記記憶装置に記憶された前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径をそれぞれ引いた値を逆の順序で前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径として設定し、前記記憶装置に記憶させる第2の歯車ピッチ曲線半径設定部と、
前記記憶装置に記憶された前記第1の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第1の歯車の回転中心周りに前記第1の歯車の回転中心から前記1の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように前記第1の歯車のためのピッチ多角形を生成する第1のピッチ多角形生成部と、
前記記憶装置に記憶された前記第2の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第2の歯車の回転中心周りに前記第2の歯車の回転中心から前記2の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように前記第2の歯車のためのピッチ多角形を生成する第2のピッチ多角形生成部と、
前記第1の歯車のためのピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の一方が配置されるように第1の歯車の輪郭形状を生成し、前記第2の歯車のためのピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の他方が配置されるように第2の歯車の輪郭形状を生成する輪郭形状生成部と、
を備えることを特徴とする一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する装置。
【請求項5】
回転中心間距離を一定に保ちながら互いに噛み合う第1の歯車と第2の歯車とからなる一対の非円形歯車の輪郭形状を生成するためのプログラムであって、
歯数と前記第1の歯車の回転中心と前記第2の歯車の回転中心の間の中心間距離とを入力するように要求する機能と、
設定された歯数の分だけ前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径を入力するように要求する機能と、
入力されたピッチ曲線半径の平均値が設定された前記中心間距離の半分に等しくなることを確認する機能と、
歯数分の前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記中心間距離から前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径をそれぞれ引いた値を逆の順序で前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径として設定する機能と、
前記第1の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第1の歯車の回転中心周りに前記第1の歯車の回転中心から前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように第1の歯車のためのピッチ多角形を生成する機能と、
前記第2の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第2の歯車の回転中心周りに前記第2の歯車の回転中心から前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように第2の歯車のピッチ多角形を生成する機能と、
前記第1の歯車のピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の一方が配置されるように第1の歯車の輪郭形状を生成し、前記第2の歯車のピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の他方が配置されるように第2の歯車の輪郭形状を生成する機能と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする一対の非円形歯車の輪郭形状を生成するためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、自由なピッチ曲線に対応した一対の非円形歯車の輪郭形状の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
非円形歯車とは、歯車の持つ回転伝達機能とカムの持つ不等速運動機能という二つの機構学的特性を有する機械要素であり、一般的な円形歯車が円形のピッチ曲線を有するのに対し、非円形歯車は非円形のピッチ曲線を有する点に特徴がある。一対の非円形歯車は、回転中心間の距離を一定に保ちながら互いに噛み合う駆動側と被駆動側の二つの非円形歯車から構成されている。駆動歯車は、モータなどの回転運動源に接続されて等速回転運動を行う一方、被動歯車は、非円形のピッチ曲線を有する駆動歯車と噛み合うことにより不等速な回転運動を行う。
【0003】
このように非円形歯車を用いると不等速回転運動が容易に得られることから、非円形歯車は、不等速な回転伝達機構を利用する分野において使用される。例えば、往復運動を行うプレス加工機では、往路は打ち抜き作業を行うための行程であるので規定速度で動作することが要求される一方、往路は作業を行わない単なる戻り行程となるので高速で動作することが要求され、このような要求を非円形歯車の使用によって容易に実現することができる。また、食材や工業材料を攪拌するための攪拌機では、複数の材料を効率的に混ぜるために不等速な回転運動を行うことが好ましく、非円形歯車の有効性が確認されている。また、特許文献1に記載のように、シートを枚葉印刷機の印刷装置へ搬送する給紙部の駆動装置などにも楕円歯車などの非円形歯車が使用されている。このように、非円形歯車は、簡単な機械要素でありながら、産業機械の簡素化、低コスト化、小型化、高速化などの要求に応えられるものである。
【0004】
しかしながら、非円形歯車の生成には、ピッチ曲線の創成が難しいこと、被動歯車のいくつかの条件が駆動歯車に従属するので計算量が多くなることなどの困難性がある。こうしたことから、従来、非円形歯車の生成方法の主なものは、次に挙げる二つの方法となっている。一つ目の方法は、焦点周りに回転する二つの楕円歯車、幾何学的中心周りに回転する二次の楕円歯車、共役車と回転する偏心円形歯車、対数らせん歯車及び正弦関数歯車のように既に計算式が解明されているピッチ曲線のパターンを利用して非円形歯車を生成する方法であり、この方法は流量計に用いる非円形歯車などに用いられている。この場合、ピッチ曲線は限定されるものの、ピッチ曲線の計算式から簡単に設計データを求めることができ、容易に非円形歯車を作製することができる。二つ目の方法は、高額な専用工作機械であるNCギアシェーパや特殊ボブ盤等を用いて、歯切り工具と被削材をピッチ曲線に合わせて小刻みに回転させながら歯を加工して非円形歯車を生成する方法である。自由なピッチ曲線に対応した非円形歯車を生成する方法は、現在、このような加工によるものが主流であり、自由なピッチ曲線に対応した非円形歯車の設計理論はいまだ確立されていない。
【0005】

【特許文献1】特開平10-329305号公報
【特許文献2】特開平5-8118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既に計算式が解明されているピッチ曲線のパターンを利用して非円形歯車を生成する方法には、次のような問題がある。
(1)計算式が現在解明されているピッチ曲線のパターンは数少ないため、自由なピッチ曲線に対応するほどのパターンを揃えられず、応用分野が限定される。
(2)計算式が解明されているピッチ曲線のパターンでは、曲線の僅かな変更もできないため、曲率の増減による影響を確認することができない。
【0007】
また、専用工作機械を用いて非円形歯車を生成する方法にも、次のような問題がある。
(3)一対の非円形歯車の輪郭形状を加工前に確認できないので、歯車を実際に作製した後でなければ歯車の精度を評価できない。
(4)専用工作機械は高価であり、加工方法も非常に難しいため、膨大な時間とコストが必要になる。
【0008】
上記(3)の問題点に関連して、特許文献2に開示されているように、両歯車の噛み合う歯面に研磨機能を加えて良好な噛み合いを得ることで、歯車作製後の不具合を処理する方法が提案されているが、歯車の作製前に精度評価することができないという問題は依然として残っている。
【0009】
このように、従来は、簡単に非円形歯車の輪郭形状を生成することを所望する場合には、計算式が解明されている決まったピッチ曲線のパターンを使用するしかなく、完全に自由なピッチ曲線に対応した非円形歯車の輪郭形状を生成することを所望する場合には、高価な専用工作機械を使用し膨大な時間とコストをかけるしかなかった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解決して、自由なピッチ曲線に対応した一対の非円形歯車の輪郭形状を簡単且つ精度よく生成することを可能とさせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、回転中心間距離を一定に保ちながら互いに噛み合う第1の歯車と第2の歯車とからなる一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する方法であって、歯数と前記第1の歯車の回転中心と前記第2の歯車の回転中心の間の中心間距離とを設定するステップと、所望される歯車の運動が得られ且つピッチ曲線半径の平均値が設定された前記中心間距離の半分に等しくなるように、設定された歯数の分だけ前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径を設定するステップと、歯数分の前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記中心間距離から前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径をそれぞれ引いた値を逆の順序で前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径として設定するステップと、前記第1の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第1の歯車の回転中心周りに前記第1の歯車の回転中心から前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように第1の歯車のためのピッチ多角形を生成するステップと、前記第2の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第2の歯車の回転中心周りに前記第2の歯車の回転中心から前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように第2の歯車のためのピッチ多角形を生成するステップと、前記第1の歯車のピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の一方が配置されるように第1の歯車の輪郭形状を生成し、前記第2の歯車のピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の他方が配置されるように第2の歯車の輪郭形状を生成するステップとを含む一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する方法を提供する。
【0012】
非円形歯車は、一対の歯車が1回転する中で不等速運動を伝達するため、構造上、駆動歯車と被動歯車の歯数が同じでなければならない。また、噛み合う歯の大きさが相違すればアンダーカットなど互いの歯の削り込みが発生するので、噛み合わせ上、駆動歯車と被動歯車の歯の大きさは同じでなければならない。さらに、同じ大きさの歯を同じ数だけ並べた場合、駆動歯車と被動歯車のピッチ曲線の全周は同じ長さになる。一方、ピッチ曲線の全周が同じ長さであるということは、ピッチ曲線半径の平均値も同じとなるべきことを意味する。このことから、本出願人は、非円形歯車であっても、駆動歯車と被動歯車とからなる一対の歯車の二つの歯車の回転中心の間の中心間距離が一定である限り、駆動歯車及び被動歯車のピッチ曲線半径の平均値は中心間距離の1/2とすべきことを見出した。さらに、本出願人は、駆動歯車及び被動歯車の歯の大きさを同じにするためには、非円形歯車の場合、単にピッチ曲線上に等ピッチで歯車の接点を配置するのではなく、駆動歯車及び被動歯車の隣接する歯の接点間の距離を全て等しくすべきことを見出した。これは、単にピッチ曲線を等分する点を歯車の接点としても隣接する接点間の距離は等しくなるとは限らず各頂点に凸歯又は凹歯を配置しようとすると、特殊な場合を除いて各歯の大きさが異なってしまうからである。
【0013】
本発明では、これらのことを利用して、歯数と、一対の歯車の一方の回転中心と他方の回転中心の間の中心間距離とを設定すると共に、所望される角速比曲線が得られ且つピッチ曲線半径の平均値が中心間距離の半分に等しくなるように、歯数の分だけ一対の歯車の一方のためのピッチ曲線半径を設定することにより、一対の歯車のそれぞれについて回転中心周りに回転中心から設定されたピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺長が全て等しくなるようにピッチ多角形を生成する。このようにピッチ多角形が生成できれば、各頂点に凸歯又は凹歯が配置されるようすることで、工作機械を用いて歯車を実際に作製することなく、自由なピッチ曲線に対応し且つ同じ大きさの歯を有した非円形歯車の輪郭形状を容易に生成することが可能になる。
【0014】
なお、本願において、ピッチ多角形の頂点に凸歯又は凹歯を配置するとは、歯車の歯が円弧歯である場合にはその円弧歯の弧の中心がピッチ多角形の頂点に配置されるように凸歯又は凹歯を創成することを、それ以外の場合(例えば歯車がインボリュート歯車やサイクロイド歯車である場合)には一対の歯車の各歯が噛み合う接点がピッチ多角形の頂点に配置されるように凸歯又は凹歯を創成することを意味するものとする。
【0015】
上記方法では、前記第1の歯車のためのピッチ多角形を生成するステップ及び前記第2の歯車のためのピッチ多角形を生成するステップは、各ピッチ曲線半径について設定順序に従って前記回転中心周りに等角度間隔で前記回転中心からピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ暫定的に頂点を配置した後、隣接する頂点を結んだ辺長が全て等しくなるように前記第1の歯車又は前記第2の歯車の回転中心周りの各頂点の角度間隔を調整するステップを含むことが好ましい。
【0016】
また、前記角度間隔を調整するステップは、前記ピッチ多角形の最大辺長と最小辺長との平均値を求め、前記平均値と前記最小辺長との比率に応じて前記最大辺長に対応する回転中心周りの角度を減少させ、前記平均値と前記最大辺長との比率に応じて前記最小辺長に対応する回転中心周りの角度を増加させることを、前記最大辺長と前記最小辺長との差が予め定められた値以下になるまで繰り返すステップを含むことがさらに好ましい。
【0017】
また、本発明は、回転中心間距離を一定に保ちながら互いに噛み合う第1の歯車と第2の歯車とからなる一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する装置であって、歯数と、第1の歯車の回転中心と第2の歯車の回転中心の間の中心間距離と、歯数の分の前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径とを入力するための入力装置と、前記入力装置によって入力された歯数、中心間距離及びピッチ曲線半径を記憶するための記憶装置と、前記記憶装置に記憶された歯数、中心間距離及びピッチ曲線半径に基づいて、前記第1の歯車及び前記第2の歯車の輪郭形状を生成する処理装置とを備え、該処理装置が、前記入力装置によって入力された歯数分のピッチ曲線半径の平均値が入力された中心間距離の半分に等しいことを確認し、等しいことが確認できたときに前記入力された歯数分のピッチ曲線半径を前記記憶装置に記憶させるピッチ曲線半径確認部と、歯数分の前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記記憶装置に記憶された中心間距離から前記記憶装置に記憶された前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径をそれぞれ引いた値を逆の順序で前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径として設定し、前記記憶装置に記憶させる第2の歯車ピッチ曲線半径設定部と、前記記憶装置に記憶された前記第1の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第1の歯車の回転中心周りに前記第1の歯車の回転中心から前記1の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように前記第1の歯車のためのピッチ多角形を生成する第1のピッチ多角形生成部と、前記記憶装置に記憶された前記第2の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第2の歯車の回転中心周りに前記第2の歯車の回転中心から前記2の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように前記第2の歯車のためのピッチ多角形を生成する第2のピッチ多角形生成部と、前記第1の歯車のためのピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の一方が配置されるように第1の歯車の輪郭形状を生成し、前記第2の歯車のためのピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の他方が配置されるように第2の歯車の輪郭形状を生成する輪郭形状生成部とを備える一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する装置を提供する。
【0018】
また、本発明は、回転中心間距離を一定に保ちながら互いに噛み合う第1の歯車と第2の歯車とからなる一対の非円形歯車の輪郭形状を生成するためのプログラムであって、歯数と前記第1の歯車の回転中心と前記第2の歯車の回転中心の間の中心間距離とを入力するように要求する機能と、設定された歯数の分だけ前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径を入力するように要求する機能と、入力されたピッチ曲線半径の平均値が設定された前記中心間距離の半分に等しくなることを確認する機能と、歯数分の前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記中心間距離から前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径をそれぞれ引いた値を逆の順序で前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径として設定する機能と、前記第1の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第1の歯車の回転中心周りに前記第1の歯車の回転中心から前記第1の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように第1の歯車のためのピッチ多角形を生成する機能と、前記第2の歯車のための各ピッチ曲線半径について、設定順序に従って前記第2の歯車の回転中心周りに前記第2の歯車の回転中心から前記第2の歯車のためのピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺の長さが全て等しくなるように第2の歯車のピッチ多角形を生成する機能と、前記第1の歯車のピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の一方が配置されるように第1の歯車の輪郭形状を生成し、前記第2の歯車のピッチ多角形の各頂点に凸歯及び凹歯の他方が配置されるように第2の歯車の輪郭形状を生成する機能とをコンピュータに実行させることを特徴とする一対の非円形歯車の輪郭形状を生成するためのプログラムを提供する。
【0019】
なお、本願明細書中において用いられる用語「ピッチ曲線半径」は、歯車の回転中心から一対の歯車が噛み合う接点までの長さを意味する。なお、円弧歯歯車の場合には、一対の歯車の歯は円弧全体で噛み合うので、一対の歯車が噛み合う接点は各歯の輪郭をなす円弧の中心とみなすものとする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、歯数と、一対の歯車の一方の回転中心と他方の回転中心の間の中心間距離とを設定すると共に、所望される歯車の運動(例えば角速比曲線)が得られ且つピッチ曲線半径の平均値が中心間距離の半分に等しくなるように、歯数の分だけ一対の歯車の一方のためのピッチ曲線半径を設定すれば、一対の歯車のそれぞれについて回転中心周りに回転中心から設定されたピッチ曲線半径だけ離れた位置にそれぞれ頂点が配置され且つ隣接する頂点を結ぶ辺長が全て等しくなるようにピッチ多角形を生成することができる。このピッチ多角形の各頂点に凸歯又は凹歯を配置するようにすれば、工作機械を用いて歯車を実際に作製することなく、自由なピッチ曲線に対応し且つ同じ大きさの歯を有した精度の良い一対の非円形歯車の輪郭形状を容易に生成することが可能になる。
【0021】
また、非円形歯車の輪郭形状を数値データとして得ることが可能になるので、歯車機構の運動解析及び歯車精度の評価を安価なコンピュータ上で行うことを可能にし、総作製時間の短縮とトータルコストの大幅な削減が可能になる。さらに、従来まで高額な専用工作機械でなければ作製できない非円形歯車を汎用の数値制御工作機械で作製できるようになることから、一般の工場でも簡単且つ低コストで非円形歯車を作製でき、多くの産業分野で非円形歯車が利用しやすくなる。特に、農林水産業では、屋外の田畑、森林、漁船の上など、過酷な環境で使用される機械が多く、悪条件に弱い電子制御装置を用いて運動を制御すると保守費用が膨大となるため、簡易な機械的機構である非円形歯車を用いて運動の制御を行うことが可能になる点で、非円形歯車の利用価値は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
最初に、図1を参照して、本発明の方法を実施するためのプログラムを実行する非円形歯車生成装置の全体構成を説明する。非円形歯車生成装置10は、操作者が条件を入力するための入力装置12と、入力装置12から入力された情報などを記憶するための記憶装置14と、様々な処理を行う処理装置16と、処理装置16による処理結果を表示するための表示装置18とを備える。さらに、処理装置16は、図2に示されているように、ピッチ曲線半径確認部20と、被動歯車ピッチ曲線半径設定部22と、駆動歯車ピッチ多角形生成部24と、被動歯車ピッチ多角形生成部26と、ピッチ多角形辺長確認部27と、輪郭形状生成部28とを含んでいる。入力装置12は、例えばキーボードなどである。また、記憶装置14としては、RAMやハードディスク装置などデータ等の格納及び読み出しができるものであれば任意のものを使用することができる。処理装置16は、一般的なコンピュータによって構成することができ、ピッチ曲線半径確認部20、被動歯車ピッチ曲線半径設定部22、駆動歯車ピッチ多角形生成部24、被動歯車ピッチ多角形生成部26、ピッチ多角形辺長確認部27、輪郭形状生成部28は、何れも、コンピュータプログラムのサブルーチン等として実現することができる。また、表示装置18は、コンピュータ用のディスプレイなどとすることができる。
【0023】
次に、図3~図8を参照して図1の処理装置16で行われる処理の流れを説明する。
最初に、設計者は、入力装置12を用いて、設計する歯車の基礎データとして、歯数nと、一対の非円形歯車の回転中心の間の中心間距離Lとを入力、設定する(ステップS100)。入力された歯数nと中心間距離Lは記憶装置14に記憶される。歯数nと回転中心間距離Lの値は、設計される一対の非円形歯車が使用される装置の全体の大きさや伝達機構の精度などから決定される。なお、非円形歯車は、一対の歯車が1回転する中で不等速運動を伝達するため、構造上、駆動歯車と被動歯車の対応する歯の大きさが同じでなければならず、また、噛み合わせ上、駆動歯車と被動歯車の歯数は同じとなる。
【0024】
次に、設計者は、所望される歯車の運動が得られるように入力装置12から歯数分の一連のピッチ曲線半径30を入力し、設定する(ステップS102)。例えば、所望される歯車の運動が得られるように定められたピッチ曲線の全周長を歯数分に等分し、回転中心周りの基準位置を0°として反時計回りに360°まで等角度間隔で回転中心からピッチ曲線までの長さであるピッチ曲線半径30を求め、これを順に入力装置12から入力していけばよい。所望される歯車の運動は角速比や角加速比などで指示される場合もあるが、これらから適したピッチ曲線を求めることに変わりはない。所望される歯車の運動が得られる一連の角速比若しくは角加速比又は角速比曲線、角加速比曲線若しくはピッチ曲線を直接入力すると、処理装置16が歯数分の適した一連のピッチ曲線半径30を求めて設定するようにしてもよい。設定された一連のピッチ曲線半径30は記憶装置14に記憶される。
【0025】
処理装置16は、記憶装置14に記憶された一連のピッチ曲線半径30を図8に示されているような曲線グラフとして表示装置18に表示させることが好ましい。これにより、設計者は設定されたピッチ曲線が設計仕様に合致していることを表示装置18上で容易に確認することができるようになる。
【0026】
次に、処理装置16のピッチ曲線半径確認部20が、記憶装置14に記憶された歯数分のピッチ曲線半径30の平均値を求め、求められた平均値が設定された中心間距離Lの1/2に一致していることを確認する(ステップS104)。一致していない場合には、処理装置16のピッチ曲線半径確認部20は、一連のピッチ曲線半径30の平均値と中心間距離Lの1/2とが等しくなるようにピッチ曲線半径30の修正を行うように設計者に要求し、設計者は、要求に従って、ステップS102に戻って、一連のピッチ曲線半径30を再度入力する。処理装置16のピッチ曲線半径確認部20は、一連のピッチ曲線半径30を同じ比率で増減させることによりピッチ曲線半径30の平均値が中心間距離Lの1/2に一致するように一連のピッチ曲線半径30の値を自動的に修正するように構成されていてもよい。このようにして設定された一連のピッチ曲線半径30の例が図4に示されている。
【0027】
なお、一連のピッチ曲線半径30の平均値を中心間距離Lの1/2に一致させる理由は、駆動歯車と被動歯車との噛み合い位置を狂わせないためである。一対の歯車は、歯数が異なれば、駆動歯車が1回転したときに被動歯車はそれより多い又は少ない回転を行い、回転数が合わなくなってしまう。非円形歯車は、一対の歯車が一回転する中で定められたパターンの不等速運動を伝達するため、駆動歯車が1回転したときに被動歯車も同じように1回転する必要があり、構造上、駆動歯車と被動歯車の歯数が同じでなければならない。また、噛み合う歯の大きさが相違すればアンダーカットなど互いの歯の削り込みが発生するので、噛み合わせ上、駆動歯車と被動歯車の歯の大きさが同じでなければならない。同じ大きさの歯を同じ数だけ並べた場合、歪んだ形のピッチ曲線を描いたとしても、その曲線の全周は駆動歯車と被動歯車とで同じ長さになる。また、ピッチ曲線の全周が同じ長さであるということは、ピッチ曲線半径30の平均値も同じということになる。したがって、駆動歯車と被動歯車との噛み合い位置を狂わせないためには、歯数分の一連のピッチ曲線半径30の平均値が中心間距離Lの1/2にならなければならないのである。例えば、駆動歯車と被動歯車のピッチ曲線半径30の平均値が1/2に一致しない場合、大きな歯車と小さな歯車の噛み合わせという構成になり、両歯車に異形の歯形を配置して噛み合わせることになって、刃先の食い込みやガタツキという障害が発生することになる。
【0028】
非円形歯車の3種類の基礎データの設定が終了すると、処理装置16の駆動歯車ピッチ多角形生成部24は、これらの基礎データを用いて、図5に示されるように駆動歯車のピッチ多角形32を自動的に生成する(ステップS106)。次に、処理装置16の駆動歯車ピッチ多角形生成部24は、生成された駆動歯車のピッチ多角形32の全ての辺長を算出し、全ての辺長が同じであるか否かを確認し(ステップS108)、全ての辺長が同じになるまでピッチ多角形32の各辺に対応する回転中心周りの各頂点の角度間隔を自動的に調整し、ステップS106及びステップS108を繰り返す。設定された基礎データから、全ての辺長が等しいピッチ多角形を生成する方法の詳細は後述する。
【0029】
全ての辺長が同じである駆動歯車のピッチ多角形32が生成されると、処理装置16の被動歯車ピッチ曲線半径設定部22は被動歯車の一連のピッチ曲線半径30を求め、設定する(ステップS110)。被動歯車の一連のピッチ曲線半径30は、記憶装置14に記憶される中心間距離Lから駆動歯車の一連のピッチ曲線半径30をそれぞれ減算することによって求められる。ただし、両歯車の歯先を噛み合わせるようにするために、算出された一連のピッチ曲線半径30の順序を並べ替える必要がある。すなわち、駆動歯車の一連のピッチ曲線半径30が図4及び図5に示されているように回転中心周りに基準位置から反時計回りに並べられているとすれば、求められた被動歯車の一連のピッチ曲線半径30は図6に示されているように回転中心周りに基準位置から180°ずれた位置から時計回りに並べられる必要がある。被動歯車の一連のピッチ曲線半径30が設定されると、駆動歯車の場合と同様にして、処理装置16の被動歯車ピッチ多角形生成部26が、図6に示されるように、全ての辺長が同じである被動歯車のピッチ多角形34を自動的に生成する(ステップS112)。設定された基礎データから、全ての辺長が等しいピッチ多角形を生成する方法の一例は後述する。
【0030】
処理装置16のピッチ多角形辺長確認部27は、駆動歯車と被動歯車のピッチ多角形32,34が生成されると、生成された両ピッチ多角形32,34の辺長の差を確認する(ステップS114)。異なる場合、駆動歯車ピッチ多角形生成部24及び被動歯車ピッチ多角形生成部26は、中心間距離が一定の条件の下、両ピッチ多角形32,34を拡大又は縮小して、ステップS106~ステップS112を繰り返し、両ピッチ多角形32,34の辺長を同じにする。このように駆動歯車と被動歯車のピッチ多角形32,34の辺長を一致させるのは、駆動歯車と被動歯車の歯の大きさを同じにして、互いに噛み合う駆動歯車と被動歯車の歯の食い込みやガタツキを防止するためである。
【0031】
ステップS114で駆動歯車のピッチ多角形32の辺長と被動歯車のピッチ多角形34の辺長が等しいことが確認できたならば、駆動歯車のピッチ多角形32の各頂点に凸歯36を配置しその間に凹歯38を配置する一方(ステップS116)、被動歯車のピッチ多角形34の各頂点に凹歯38を配置しその間に凸歯36を配置する(ステップS118)ことによって、図7に示されるような駆動歯車及び被動歯車の輪郭形状40,42を生成する。駆動歯車のピッチ多角形32の各頂点に凹歯38を配置しその間に凸歯36を配置する一方、被動歯車のピッチ多角形34の各頂点に凸歯36を配置しその間に凹歯38を配置してもよいことは言うまでもない。
【0032】
ピッチ多角形32,34の各頂点に凸歯36又は凹歯38を配置した輪郭形状を生成するには、例えば円弧歯の歯車の輪郭形状を生成する場合、全ての辺長が等しいピッチ多角形32,34の一辺の長さを4等分した値を半径rとし、各頂点を中心としてピッチ多角形22,24の外側又は内側に半径rの円弧を描くと共に、各辺の中点を中心としてピッチ多角形22,24の内側又は外側(各頂点を中心とした円弧と逆側)に半径rの円弧を描き、隣接する円弧を互いに滑らかに接続すればよい。これは、円弧歯の場合、噛み合う凸歯と凹歯のほぼ全体で接するため、一対の歯車が噛み合う接点がピッチ多角形22,24の各頂点に位置するとみなせるからである。インボリュート曲線又はサイクロイド曲線の歯車の輪郭形状を生成する場合には、通常の円形歯車の場合と同じ歯形創成アルゴリズムを用いて、ピッチ多角形22,24の各頂点が一対の歯車が噛み合う接点となるように各頂点に同じ大きさのインボリュート曲線又はサイクロイド曲線の凸歯36又は凹歯38を配置すればよい。
【0033】
このようにして生成された駆動歯車及び被動歯車の輪郭形状40,42が記憶装置14に記憶され、生成された駆動歯車及び被動歯車の輪郭形状40,42を表す画像が図12に示されるように表示装置18に表示される。コンピュータを用いてこのように駆動歯車及び被動歯車の輪郭形状40,42を生成すれば、輪郭形状40,42は例えばCADデータなどの電子データとして生成される。これらのデータを用いれば、図13に示されるように3次元表示することや、作成された一対の非円形歯車の運動解析及び精度の評価を行うことが容易となる。
【0034】
次に、図9~図11を参照して、設定された基礎データから、全ての辺長が等しいピッチ多角形32,34を生成する方法の一例を詳細に説明する。
まず、歯数分のピッチ曲線半径30を取得し(ステップS200)、ピッチ多角形32又は34を生成する歯車が駆動歯車であるか被動歯車であるかを確認する(ステップS202)。駆動歯車のピッチ多角形32を生成する場合には、歯数分のピッチ曲線半径30のデータを記憶装置14から読み出し、設定されている順序で使用する。一方、記憶装置14に記憶されているのは、回転中心周りに基準位置(0°の位置)から反時計周りの順序で並べられた駆動歯車のための一連のピッチ曲線半径30であるので、被動歯車のピッチ多角形34を生成する場合には、図2のステップS110において求めた被動歯車のための一連のピッチ曲線半径30を算出した後、駆動歯車と被動歯車の対応する歯が噛み合うように、算出された被動歯車のための一連のピッチ曲線半径30を並べ替える(ステップS204)。詳細には、算出された被動歯車のための一連のピッチ曲線半径30を、回転中心周りに180°の位置から時計回りに並ぶように並べ替える。
【0035】
以下、歯数がn、中心間距離がL、駆動歯車のための一連のピッチ曲線半径30が基準位置(0°)から順にx1,x2,…,xnと設定されている場合を例にしてピッチ多角形の作成手順を具体的に説明する。
全ての辺長が等しいピッチ多角形を生成するために、まず暫定のピッチ多角形を作成する。詳細には、ピッチ多角形のi番目の頂点が、回転中心周りに反時計回りに等角度間隔で、回転中心からピッチ曲線半径xiだけ離れた位置に配置されると仮定し、360°を歯数で除算することにより回転中心周りのピッチ多角形の各頂点の暫定角度間隔φを求める(ステップS206)。ピッチ曲線半径xiとそれに対応する各頂点の暫定配置角度θi(=φ×(i-1))は図10に示されるようなデータベースに格納、記憶される。図10では、歯数が8である場合の、駆動歯車のi番目のピッチ曲線半径xiと暫定配置角度θi(この場合、θi=45°×(i-1))が図10の表の中段及び上段に示されている。また、中心間距離L(図12参照)から駆動歯車の一連のピッチ曲線半径をそれぞれ減算することにより算出された被動歯車の一連のピッチ曲線半径を、回転中心周りに180°の位置から時計回りに並ぶように並べ替えたものが図10の表の下段に示されている。図10の丸抜き数字が各頂点に対応するピッチ曲線半径の設定順序である。
【0036】
次に、基準位置(θ=0°)から、設定されたピッチ曲線半径xiの順序iに従って、回転中心周りに暫定角度間隔φで、回転中心からピッチ曲線半径xiだけ離れた位置にピッチ多角形のi番目の頂点Piを暫定的に配置し、隣接する頂点を結ぶことによって、暫定のピッチ多角形を作成する(ステップS208)。例えば、歯数が8である場合には、設定されたピッチ曲線半径xiの順序iに従って、回転中心周りに45°の間隔で、回転中心からピッチ曲線半径xiだけ離れた位置に頂点を暫定的に配置し、隣接する頂点を結ぶことによって、図11(a)に示されているような暫定ピッチ多角形が得られる。
【0037】
暫定ピッチ多角形が作成されると、次に、暫定ピッチ多角形の全ての辺の長さを算出し(ステップS210)、暫定ピッチ多角形の全ての辺長が同じであるか否かを確認する(ステップS212)。全ての辺長の長さの差が予め定められた許容範囲以内、例えば1μm以内となった場合には、全ての辺長の長さが同じとなったと判断し、得られた暫定ピッチ多角形を全ての辺長が等しい最終的なピッチ多角形として記憶し、処理を終了する。一方、暫定ピッチ多角形の全ての辺長の長さの差が予め定められた許容範囲外である場合には、辺長が異なっていると判断し、図11(b)に示されているように、全ての辺長が同じになるまで暫定ピッチ多角形の各頂点の暫定配置角度θを調整する。
【0038】
暫定ピッチ多角形の各頂点の暫定配置角度θを調整する一つの方法は、まず暫定ピッチ多角形の最大辺長の辺と最小辺長の辺とを検出して最大辺長と最小辺長の平均値を求め(ステップS214)、平均値と最大辺長・最小辺長の比率を求めて、平均値と最大辺長との比率に応じて最小辺長に対応する頂点の暫定角度間隔を増加させ且つ平均値と最小辺長との比率に応じて最大辺長に対応する頂点の暫定配置角度を減少させることにより暫定ピッチ多角形を修正し(ステップS216)、全ての辺長が等しくなるまでステップS208~S216を繰り返すことである。例えば、最大辺長と最小辺長との平均値で最大辺長を除算した値を最小辺長に対応する回転中心周りの暫定配置角度θ又は暫定角度間隔φに乗算することにより最小辺長に対応する頂点の暫定配置角度θを増加させ、最大辺長と最小辺長との平均値で最小辺長を除算した値を最大辺長に対応する回転中心周りの暫定配置角度θ又は暫定角度間隔φに乗算することにより最大辺長に対応する頂点の暫定配置角度θを減少させればよい。このような処理を繰り返すことにより、図11(c)に示されているような全ての辺長が同じになっているピッチ多角形が得られる。
【0039】
本発明では、このように全ての辺長が同じピッチ多角形を生成させることが重要となる。これは、単にピッチ曲線を等分する点をピッチ多角形の頂点としても隣接する頂点間の距離は等しくなるとは限らず各頂点に凸歯又は凹歯を配置しようとすると、特殊な場合を除いて全ての歯の大きさが同じにはならず、上述したようにガタツキ等を生じさせることになるからである。
【0040】
以上、図示される実施形態を参照して本発明による一対の非円形歯車の輪郭形状を生成する方法及び装置を説明したが、本発明は図示又は記載された実施形態に限定されるものではない。例えば、暫定ピッチ多角形の各頂点の暫定配置角度を調整する方法は上記の方法に限るものではなく、他の方法を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による一対の非円形歯車の輪郭形状を生成するための非円形歯車生成装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1の非円形歯車生成装置の処理装置の詳細を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明による処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】操作者によって入力された一連のピッチ曲線半径を示す略図である。
【図5】入力された一群のピッチ曲線半径から生成される駆動歯車のピッチ多角形を示す略図である。
【図6】入力された一群のピッチ曲線半径から生成される被動歯車のピッチ多角形を示す略図である。
【図7】図5及び図6に示されるピッチ多角形から生成される駆動歯車及び被動歯車の輪郭形状を示す略図である。
【図8】操作者によって入力された一連のピッチ曲線半径の例を示すグラフである。
【図9】ピッチ多角形を生成するための処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】ピッチ多角形の頂点の暫定配置を表すデータベースの例を示す表である。
【図11】図9に示される処理の各段階における途中経過を説明するための説明図である。
【図12】図9に示される処理の結果の例を示す線図である。
【図13】図1の非円形歯車生成装置の表示装置の画面に表示される処理結果の例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10 非円形歯車生成部
12 入力装置
14 記憶装置
16 処理装置
18 表示装置
20 ピッチ曲線半径確認部
22 被動歯車ピッチ曲線半径設定部
24 駆動歯車ピッチ多角形生成部
26 被動歯車ピッチ多角形生成部
28 輪郭形状生成部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12