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明細書 :新規なイソニトリル化合物、その製造方法、該化合物を含有する海洋付着生物幼生蛍光標識剤、及びそれを用いた海洋付着生物幼生の検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4863380号 (P4863380)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年1月25日(2012.1.25)
発明の名称または考案の名称 新規なイソニトリル化合物、その製造方法、該化合物を含有する海洋付着生物幼生蛍光標識剤、及びそれを用いた海洋付着生物幼生の検出方法
国際特許分類 C07C 291/10        (2006.01)
C07C 311/41        (2006.01)
C07D 493/10        (2006.01)
G01N  21/64        (2006.01)
C07C 309/76        (2006.01)
FI C07C 291/10 CSP
C07C 311/41
C07D 493/10 E
G01N 21/64 F
C07C 309/76
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2006-528434 (P2006-528434)
出願日 平成17年6月2日(2005.6.2)
国際出願番号 PCT/JP2005/010130
国際公開番号 WO2006/006319
国際公開日 平成18年1月19日(2006.1.19)
優先権出願番号 2004206783
優先日 平成16年7月14日(2004.7.14)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年5月15日(2008.5.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】財団法人電力中央研究所
発明者または考案者 【氏名】北野 克和
【氏名】坂口 勇
【氏名】野方 靖行
【氏名】松村 清隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100087631、【弁理士】、【氏名又は名称】滝田 清暉
審査官 【審査官】福島 芳隆
参考文献・文献 特開2002-370907(JP,A)
国際公開第2004/025268(WO,A1)
Canadian Journal of Chemistry,1995年,73, (11),p.2101-2110
Biofouling,2004年,Vol.20, No.2,p.87-91
Angewandte Chemie. International edition in English,1994年,Vol.33,p.1044-1072
調査した分野 C07C 291/10
C07C 309/76
C07C 311/41
C07D 493/10
G01N 21/64
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式で表されることを特徴とする、新規なイソニトリル化合物5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-スルホン酸(11-イソシアノ-11-メチル-ドデシル)-アミド。
JP0004863380B2_000003t.gif
【請求項2】
請求項1に記載されたイソニトリル化合物を有効成分とする、海洋付着生物幼生用蛍光標識剤。
【請求項3】
一般式NH(CH10C(CH-Yで表される化合物(Yはヒドロキシル基、アミノ基、またはハロゲン原子を表す)を原料とし、Yがヒドロキシル基又はハロゲン原子の場合には、Y部分をトリメチルシリルシアニドと亜鉛試薬や銀試薬を用いてNC基に変換し、またYがアミノ基の場合には、Y部分を蟻酸エステルを用いてホルムアミドへ変換した後、トルエンスルホン酸クロリド、ピリジンを用いる脱水反応によりNC基に変換し、次いで、得られたNH(CH10C(CH-NCとダンシル基とを求核置換反応させることを特徴とする、5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-スルホン酸(11-イソシアノ-11-メチル-ドデシル)-アミドの製造方法。
【請求項4】
サンプルの海水中に、5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-スルホン酸(11-イソシアノ-11-メチル-ドデシル)-アミドを有効成分とする少なくとも1種の海洋付着生物幼生用の蛍光標識剤を添加し、海洋付着生物幼生と前記イソニトリル化合物を作用させた後、これをろ材を用いてろ過し、該ろ材に、使用したイソニトリル化合物に対する励起光を照射して、海洋付着生物幼生に作用した前記イソニトリル化合物からの発光を観測することを特徴とする、海水中に存在する海洋付着生物幼生の検出方法。
【請求項5】
前記ろ材を用いてろ過した後の海洋付着生物幼生を海水又は淡水で洗浄し、固定液を用いてろ材に固定する工程を含む、請求項4に記載された海洋付着生物幼生の検出方法。
【請求項6】
前記イソニトリル化合物からの発光を蛍光顕微鏡を用いて観測し、海洋付着生物幼生の個体数を計測する、請求項4又は5に記載された海洋付着生物幼生の検出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なイソニトリル化合物に関し、特にその製造方法、該化合物を用いた、フジツボ類などの海洋付着生物幼生の濃度(個体数)を簡易に測定するための、海洋付着生物幼生用の蛍光標識剤、及び該蛍光標識剤を用いた海水中の海洋付着生物幼生の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フジツボなどの海洋生物は、発電所の冷却システム、魚網、および船底などに付着し、取水ポンプ負荷の増大、冷却効率の低下、細管の閉塞、魚網の破損、船速の低下・燃費増大などの様々な被害を与えている。これらの被害を防ぐために、従来から付着防止剤などの薬品を大量に海中に投与することが行われているが、そのために多大のコストがかかっている。その上、実際には斯かる海洋生物の幼生がいない時期もあるので、使用している薬品の一部または大部分が無駄になっている場合もあり、いたずらに海洋汚染の原因の一つにもなるという欠点があった。
上記の欠点は、対象海域ごとに、被害をもたらす海洋生物の出現状況を把握することによって解決することができる。
【0003】
斯かる観点から、最近、特定波長の励起光を照射して、フジツボ類キプリス幼生の自家蛍光を検出し、その蛍光分布パターンをデジタル画像情報としてコンピュータ処理し、コンピュータに予め登録した付着期幼生が発光する種固有の蛍光分布パターン認識情報と照合させて、フジツボ類の種を判定する方法が提案された(特許文献1参照)。しかしながらこの方法では、蛍光強度が強くないフジツボ類キプリス幼生の自家蛍光を観察しているために、個体数の計測が困難な場合がある。
【0004】
一方、天然又は人工の化学物質の検出を容易にするために、これらの物質に蛍光を発する化合物を結合させて標識し、その物質の存在を検出することが広く行われている。このような蛍光標識用試薬としては、例えば、DNAのハイブリダイゼーション等における特定の構造を有するシアニン色素(特許文献2)や、水処理システムにおけるスケール障害等のトラブル防止を目的とする蛍光標識化ポリカルボン酸(特許文献3)等の提案がなされている。
【0005】

【特許文献1】特開2004-012467号公報
【特許文献2】特開2001-272350号公報
【特許文献3】特開2001-278914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は前記の欠点を解決すべく鋭意検討した結果、海洋付着生物幼生に特異的に作用するイソニトリル化合物に発光効率の高いダンシル基を結合させた場合には、海水中の海洋付着生物幼生濃度(個体数)を容易に計測するための蛍光標識剤として好適であることを見いだし、本発明に到達した。
従って、本発明の第1の目的は、蛍光標識剤として好適な、新規なイソニトリル化合物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、蛍光標識剤として好適なイソニトリル化合物の製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、海洋付着生物幼生濃度が低い場合であっても、容易にその存在を知るに適した蛍光標識剤を提供することにある。
更に本発明の第4の目的は、高い感度で効率よく海水中の海洋付着生物幼生の濃度を特定することのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の諸目的は、イソニトリル化合物5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-スルホン酸(11-イソシアノ-11-メチル-ドデシル)-アミド、その製造方法、該化合物を有効成分とする海洋付着生物幼生用蛍光標識剤、及び該蛍光標識剤を用いた海洋付着生物幼生の検出方法によって達成された。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、海水中に存在する海洋付着生物の存否は勿論、幼生濃度をも容易に調べることができるので、付着生物の発生状況の予測が可能となり、適時適切な量の付着防止剤を投与することによって、効率的に海洋付着生物による損害を防止することができる。また、これによって防除用の薬品コストの大幅削減が可能となる上、付着防止剤の投与による海洋汚染を最小に止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は実施例2において得られた画像を示す蛍光顕微鏡写真対応図である。
【図2】図2は通常光において得られた、同じ画像を示す顕微鏡写真対応図である。
【図3】図3は実施例3において得られた画像を示す蛍光顕微鏡写真対応図である。
【図4】図4は通常光において得られた、同じ画像を示す顕微鏡写真対応図である。
【図5】図5は実施例4において得られた画像を示す蛍光顕微鏡写真対応図である。
【図6】図6は通常光において得られた、同じ画像を示す顕微鏡写真対応図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の新規なイソニトリル化合物5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-スルホン酸(11-イソシアノ-11-メチル-ドデシル)-アミドは、下記式で表されるように、蛍光性官能基であるダンシル基と、イソニトリル基(NC)とが連結鎖-NH-(CH10C(CH-を介して結合している化合物である。
JP0004863380B2_000002t.gif ダンシル基は蛍光強度が高いだけでなく、水中での安定性に優れるために好ましい。尚、本発明においては、「蛍光」の語を、燐光も含む、励起光の吸収に基づく発光の意味で使用する。
【0012】
本発明の化合物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、NH(CH10C(CH-Yのような化合物(Yはヒドロキシル基、アミノ基、ハロゲン原子等)を原料とし、Yがヒドロキシル基又はハロゲン原子の場合には、Y部分をトリメチルシリルシアニドと亜鉛試薬や銀試薬を用いてNC基に変換し、またYがアミノ基の場合には、Y部分を蟻酸エステル等を用いてホルムアミドへ変換した後、トルエンスルホン酸クロリド、ピリジン等を用いる脱水反応によりNC基に変換し、次いで得られたNH(CH10C(CH-NCと前記した蛍光性官能基であるダンシル基とで求核置換反応などを行わせることにより得ることができる。

【0014】
本発明の海洋付着物幼生用蛍光標識剤は、前記イソニトリル化合物を有効成分として含有する。本発明のイソニトリル化合物は、それを海洋付着生物幼生が存在する海水中に添加することによって、該幼生と作用してこの幼生を検出可能とする、蛍光標識剤の有効成分である。蛍光標識剤は、通常付形剤及び/又は溶剤と有効成分とからなるが、有効成分のみからなっていても良いことは当然である。
また、上記海洋付着生物幼生としては、例えば、タテジマフジツボ、アメリカフジツボ、アカフジツボ、サンカクフジツボ、オオアカフジツボ、サラサフジツボ、イワフジツボ、シロスジフジツボおよびヨーロッパフジツボ等のフジツボ類が挙げられる。
【0015】
本発明の蛍光標識剤を使用した海洋付着生物幼生の標識は、例えば、本発明のイソニトリル化合物を、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、2-プロパノール等の溶媒に溶解した製剤とした後これを海水に添加し、前記イソニトリル化合物が海洋付着生物幼生と十分に作用し、標識剤として機能するまで放置することにより行われる。放置時間は特に制限されるものではないが、通常1~2時間の範囲である。溶液として使用する場合の、上記イソニトリル化合物の濃度は任意であるが、通常0.001~1重量%の範囲である。また、海水100mlに対する蛍光標識剤の使用量は、特に制限されることはないが、海水100mlに対する上記イソニトリル化合物の量として、通常0.01~1mgの範囲である。
通常、標識は常温で行うが、25℃程度で行うことが好ましい。

【0016】
海水中の海洋付着生物幼生濃度(個体数)の計測は、例えば、蛍光標識剤を添加して所定時間が経過した後、海水を網目50~300μm(望ましくは100μm)のプランクトンネットを用いてろ過し、該プランクトンネットを蛍光顕微鏡下で、用いたイソニトリル化合物が有する蛍光官能基に応じたUVフィルタを用いて観察し、個体数を計測する。蛍光官能基に応じたフィルタとしては、例えば、ダンシル基ではUV-Bフィルタ(355-425nm;励起、470nm;吸収)、フルオレスセイン基ではGFPフィルタ(470nm;励起、525nm;吸収)を使用する。蛍光は幼生だけに特異的に観測され、海水中に混在するアルテミアやワムシ等では観測されない(図1参照)ので、容易に幼生の個体数を計測することができる。
【0017】
海水中の海洋付着生物幼生濃度(個体数)は、上記のようにろ過後すぐに観察しても良いが、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド等の固定液を用いて固定し、保存した後、任意の時期に観察してもよい。例えば、ろ過後、充分に海水で洗浄したサンプルを10%中和ホルマリンを含む海水により固定して保存することにより、1ヶ月間以上、蛍光を幼生だけに特異的に観察することができる。中和ホルマリンなどの固定液の濃度は任意であるが、通常3~15質量%の範囲であり、より望ましくは5~10質量%の範囲である。また、保存期間は任意であるが、1ヶ月以内であることが好ましい。固定後、サンプルを保存しておく温度は特に限定されることはないが、通常2~25℃の範囲であり、遮光しておくことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
N-(11-イソシアノ-11-メチルドデシル)ダンシルアミドの合成
11-ブロモウンデカン酸エチルエステル5gをテトラヒドロフラン30mlに溶解し、アルゴン気流中、氷冷下にて臭化メチルマグネシウムのテトラヒドロフラン溶液(0.91M)40mlを加え、1時間撹拌した。得られた反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液50mlを加えた後、酢酸エチル200mlで抽出した。有機層を、水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下で濃縮して12-ブロモ-2-メチル-2-ドデカノール4.7gを得た。
【0019】
得られた12-ブロモ-2-メチル-2-ドデカノール3.0gをDMF10mlに溶解し、フタルイミドカリウム2.4gを加えた後、室温で24時間撹拌した。反応液に、5%の水酸化カリウム水溶液20mlを加えた後、酢酸エチル200mlを用いて抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル2:1)によって精製し、N-(11-ヒドロキシ-11-メチルドデシル)フタルイミド2.4gを得た。
【0020】
得られたN-(11-ヒドロキシ-11-メチルドデシル)フタルイミド2.4gをメタノール50mlに溶解し、ヒドラジン・1水和物2mlを加えて2時間加熱還流した。反応液に飽和食塩水50mlを加えた後、酢酸エチル200mlで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下で濃縮して12-アミノ-2-メチル-2-ドデカノール1.36gを得た。
【0021】
得られた12-アミノ-2-メチル-2-ドデカノール750mgを塩化メチレン20mlに溶解し、トリメチルシリルシアニド550μlおよび過塩素酸銀865mgを加えて室温で4時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlを加えてさらに5分間攪拌した後、飽和食塩水20mlを加えてセライト濾過を行い、酢酸エチル200mlで洗浄した。有機層を順次、水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール10:1)により精製し、11-イソシアノ-11-メチルドデシルアミン470mgを得た。
【0022】
得られた11-イソシアノ-11-メチルドデシルアミン50mgを塩化メチレン2mlに溶解し、ダンシルクロリド90mgおよびトリエチルアミン100μlを加えて室温で14時間撹拌した。反応液を濃縮した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル3:1)により精製し、N-(11-イソシアノ-11-メチルドデシル)ダンシルアミド化合物80mgを得た。
H-NMRδ8.54(1H,d,J=8.8Hz),8.29(1H,d,J=8.8Hz),8.25(1H,dd,J=7.3及び1.1Hz),7.57(1H,dd,J=8.8及び8.8Hz),7.53(1H,dd,J=8.8及び7.3Hz),7.19(1H,d,j=7.3Hz),4.52(1H,t,6.2Hz),2.89(6H,s),2.88(2H,t,6.2Hz),1.58-1.51(4H,m),1.46-1.05(26H,m),但し1.39(6H,t,J=1.8Hz)を含む。
【実施例2】
【0023】
実施例1で得られた化合物のDMSO溶液(1mg/ml)1mlを、タテジマフジツボキプリス幼生、アルテミア及びワムシが混在している海水100mlに添加し、2時間放置した。その後、海水をプランクトンネット(網目40μm)によりろ過して、プランクトンネットを蛍光顕微鏡下で、UV-Bフィルタ(355-425nm;励起、470nm;吸収)等を用いて観察し(図1)、青緑色に光っているフジツボキプリス幼生の個体数を計測した。その結果、海水100ml中の幼生の個体数は50であった。アルテミア及びワムシでは蛍光が観測されず、容易に幼生の個体数を計測することができた。
【実施例3】
【0024】
実施例2で用いたDMSO溶液を、キプリス幼生が存在している海水10mlに10μg/mlとなるように添加し、2時間放置した。その後海水をプランクトンネット(網目100μm)によりろ過して、集まったプランクトンをプランクトンネットごと10%中和ホルムアルデヒド海水に浸漬して固定した。1ヶ月間冷蔵庫内で遮光して保存した後に、蛍光顕微鏡下で、UV-Bフィルタ(355-425nm;励起、470nm;吸収)を用いて観察した。(図3)その結果、ホルムアルデヒドにより固定することによって、1ヶ月間、キプリス幼生の形態を維持したまま、蛍光が処理直後と同様に観測され、キプリス幼生だけを特異的に検出することが出来た。
【実施例4】
【0025】
実施例3で使用した海水10mlの代わりに、キプリス幼生と実海域において採集した動物プランクトンが混在している海水50mlを使用すると共に、固定後の保存を、常温で一週間とした他は、実施例3と全く同様にして、キプリス幼生だけを特異的に検出することができることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、海水中に存在する海洋付着生物の存否は勿論、幼生濃度をも容易に調べることができるので、フジツボなどの海洋生物が付着することによる、発電所の冷却システムにおける取水ポンプ負荷の増大、冷却効率の低下、細管の閉塞、魚網に付着することによるその破損、船底に付着することによる船速の低下・燃費増大などの様々な被害の予測が可能となり、適時適切な量の付着防止剤を投与することによって、効率的に海洋付着生物による損害を防止することができる。また、これによって防除用の薬品コストの大幅削減が可能となる上、付着防止剤の投与による海洋汚染を最小に止めることができるので、本発明の産業上の利用可能性は大きい。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5