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明細書 :ナフタロシアニン化合物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5408821号 (P5408821)
公開番号 特開2010-126499 (P2010-126499A)
登録日 平成25年11月15日(2013.11.15)
発行日 平成26年2月5日(2014.2.5)
公開日 平成22年6月10日(2010.6.10)
発明の名称または考案の名称 ナフタロシアニン化合物及びその製造方法
国際特許分類 C07D 487/22        (2006.01)
C09B  47/00        (2006.01)
C09K   3/00        (2006.01)
FI C07D 487/22 CSP
C09B 47/00
C09K 3/00 105
請求項の数または発明の数 5
全頁数 17
出願番号 特願2008-304175 (P2008-304175)
出願日 平成20年11月28日(2008.11.28)
審査請求日 平成23年11月28日(2011.11.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】西口 郁三
【氏名】原田 愛子
【氏名】前川 博史
個別代理人の代理人 【識別番号】100102299、【弁理士】、【氏名又は名称】芳村 武彦
【識別番号】100151965、【弁理士】、【氏名又は名称】松井 佳章
審査官 【審査官】井上 千弥子
参考文献・文献 特開平02-296885(JP,A)
特表2008-509256(JP,A)
特開平03-176492(JP,A)
特表平08-503994(JP,A)
特開2010-126498(JP,A)
特開2010-126500(JP,A)
特開2009-132624(JP,A)
特許第5207516(JP,B2)
調査した分野 C07D 487/22
C09B 47/00
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の式(1)で表されるナフタロシアニン化合物:
【化1】
JP0005408821B2_000015t.gif
(式中、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表し、Xは炭素数1~12のアルキル基を表す。)
【請求項2】
前記Xがペンチル基であることを特徴とする請求項1に記載のナフタロシアニン化合物。
【請求項3】
下記の式(2)で表されるジシアノ化合物を
【化2】
JP0005408821B2_000016t.gif
(式中、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表し、Xは炭素数1~12のアルキル基を表す。)
金属リチウムの存在下に有機溶媒中で加熱することを特徴とする下記の式(1)で表されるナフタロシアニン化合物の製造方法。
【化3】
JP0005408821B2_000017t.gif
(式中、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表し、Xは炭素数1~12のアルキル基を表す。)
【請求項4】
前記Xがペンチル基であることを特徴とする請求項3に記載のナフタロシアニン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記有機溶媒が、炭素数3~8の脂肪族アルコールであることを特徴とする請求項3又は4に記載のナフタロシアニン化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録材料や熱線吸収材料等に広く利用可能な、新規なナフタロシアニン化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナフタロシアニン化合物は、可視光を実質的に吸収しないが、赤外線を吸収する近赤外色素として広く知られている。そして、ナフタロシアニン骨格のナフタレン環上に置換基を有するナフタロシアニン化合物についても、種々の化合物が知られている。(例えば、特許文献1~3参照)
【特許文献1】特公平7-76307号公報
【特許文献2】特開2007-169481号公報
【特許文献3】特開2007-231242号公報
【0003】
しかしながら、これら従来のナフタロシアン化合物の殆どは、有機溶媒への溶解性が極めて低く、光記録材料等の用途に適用することが困難であった。また、その製造方法も複雑で、コストのかかるものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は有機溶媒に対する溶解性が優れ、しかも簡単な工程により低コストで製造することのできる新規なナフタロシアニン化合物、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上記課題を解決するために次の1~5の構成を採用する。
1.下記の式(1)で表されるナフタロシアニン化合物:
【化1】
JP0005408821B2_000002t.gif
(式中、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表し、Xは炭素数1~12のアルキル基を表す。)
2.前記Xがペンチル基であることを特徴とする1.に記載のナフタロシアニン化合物。
3. 下記の式(2)で表されるジシアノ化合物を
【化2】
JP0005408821B2_000003t.gif
(式中、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表し、Xは炭素数1~12のアルキル基を表す。)
金属リチウムの存在下に有機溶媒中で加熱することを特徴とする下記の式(1)で表されるナフタロシアニン化合物の製造方法。
【化3】
JP0005408821B2_000004t.gif
(式中、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表し、Xは炭素数1~12のアルキル基を表す。)
4.前記Xがペンチル基であることを特徴とする3.に記載のナフタロシアニン化合物の製造方法。
5.前記有機溶媒が、炭素数3~8の脂肪族アルコールであることを特徴とする3.又は4.に記載のナフタロシアニン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により得られる新規なナフタロシアニン化合物は、有機溶媒への溶解性が高く、しかも880~1000nmの近赤外領域に最大吸収波長を有することから、光記録材料、有機電子材料、熱線吸収材料等の広範な用途に適用することができる。また、入手が容易で安価な原料を使用し、簡単な工程で効率良く低コストで製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のナフタロシアニン化合物は、下記の式(1)で表される化合物である。
【化4】
JP0005408821B2_000005t.gif

【0008】
上記式(1)において、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表すが、好ましいフルオロフェニル基及びメトキシフェニル基としては、p-フルオロフェニル基及びp-メトキシフェニル基が挙げられる。
また、Xは炭素数1~12のアルキル基を表すが、好ましいアルキル基としては炭素数5~12程度の高級アルキル基、特にペンチル基が挙げられる。
【0009】
本発明の式(1)で表されるナフタロシアニン化合物は、下記の式(2)又は(3)で表されるジシアノ化合物、或いはその混合物を、金属リチウムの存在下に有機溶媒中で加熱することにより製造することができる。
【化5】
JP0005408821B2_000006t.gif
(式中、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表し、Xは炭素数1~12のアルキル基を表す。)
【0010】
出発物質である上記式(2)で表される2,3-ジシアノ-1,4-ジアルコキシ-6,7-ジ置換ナフタレン誘導体、及びその合成前駆体である上記式(3)で表される2,3-ジシアノ-1,4-ジアルコキシ-6,7-ジ置換-5,8-エポキシナフタレン誘導体は新規な化合物であり、下記の式(4)で表されるフラン化合物を、
【化6】
JP0005408821B2_000007t.gif
(式中、Rはフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシフェニル基から選択された基を表す。)
グリニヤール反応用の削状マグネシウムのような金属マグネシウムの存在下に、下記式(5)で表される2, 3-ジシアノベンゼン誘導体と反応させることにより製造することができる。
【化7】
JP0005408821B2_000008t.gif
(式中、Xは炭素数1~12のアルキル基を表し、Yはハロゲン原子を表す。)
【0011】
上記の式(5)で表される2,3-ジシアノベンゼン誘導体において、好ましいハロゲン原子としてはBr原子が、また、好ましいXとしては、炭素数5~12程度の高級アルキル基が挙げられる。
これらの2,3-ジシアノベンゼン誘導体は、入手の容易な1, 4-ジヒドロキシ-2, 3-ジシアノベンゼン誘導体を原料として、NBSによるジブロモ化反応、および、後続する光延反応(DIAD及びPPhの存在下での対応するアルコールROHおよび(または) ROHとの反応)により、次の反応スキームにしたがって製造することができる。
【化8】
JP0005408821B2_000009t.gif

【0012】
上記反応スキームにおいて、NBSはN-ブロモこはく酸イミド、DIADははジイソプロピルアゾカルボキシレート、PPhはトリフェニルホスフィン、THFはテトラヒドロフラン、r.t.は室温を意味し、65%及び97%は各反応における収率を表す。
【0013】
上記式(2)で表される化合物は、上記のように式(4)で表されるフラン化合物を、式(5)で表される2,3-ジシアノベンゼン誘導体と反応させることによって、効率良く製造することができる。この反応は、通常は有機溶媒、特にTHF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、グライム類のようなエーテル系有機溶媒中で行うことが好ましい。他の好適な有機溶媒としては、トルエンやキシレンなどの非極性溶媒、およびN、N-ジメチルホルムアミドやN-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
また、反応温度は0℃~リフラックス温度の範囲で、使用する原料等に応じて選択することができる。
【0014】
この反応は、R及びRがペンチル基であるものを例にとると、下記の反応スキームのように、5, 6-ジブロモ-2,3 -ジシアノ-1, 4-ジペンチルオキシベンゼンからベンザイン中間体が生成し、置換フランとのDiels-Alder型[4+2]付加反応により合成前駆体である2,3-ジシアノ-1,4-ジアルコキシ-6,7-ジ置換-5,8-エポキシナフタレン誘導体を経由して2、3-ジシアノナフタレン誘導体が生成すると考えられる。
【化9】
JP0005408821B2_000010t.gif

【0015】
反応系には、式(3)で表される合成前駆体である2,3-ジシアノ-1,4-ジアルコキシ-6,7-ジ置換-5,8-エポキシナフタレン誘導体と、最終生成物である式(2)で表される2,3-ジシアノナフタレン誘導体が共存し、反応温度や反応時間を調整することによって合成前駆体の割合を高めることができる。例えば、反応温度を室温とし、反応時間を2時間以下とした場合には、合成前駆体と最終生成物の割合を1:1程度とすることができる。また、反応温度を高めてリフラックス温度で反応を行うか、反応時間を長くして反応を完結させた場合には、最終生成物である2,3-ジシアノナフタレン誘導体のみを得ることができる。
合成前駆体である2,3-ジシアノ-1,4-ジアルコキシ-6,7-ジ置換-5,8-エポキシナフタレン誘導体は、カラムクロマト等により単離することができる。
本発明の式(1)で表されるナフタロシアニン化合物を製造する出発物質としては、式(3)で表される合成前駆体である2,3-ジシアノ-1,4-ジアルコキシ-6,7-ジ置換-5,8-エポキシナフタレン誘導体と、式(2)で表される2,3-ジシアノナフタレン誘導体が共存する反応溶液をそのまま使用してもよい。
【実施例】
【0016】
次に実施例により本発明をさらに説明するが,以下の実施例は本発明を限定するものではない。
(製造例1:5, 6-ジブロモ-1, 4-ジヒドロキシ-2,3-ジシアノベンゼンの合成)
温度計と塩化カルシウム管を取り付けた500
mL三つ口フラスコに、1, 4-ジヒドロキシ-2,3-ジシアノベンゼン30.0 g(187 mmol)、tert-ブタノール 200 mLを導入し、50℃で加熱溶解した。そこへN-ブロモコハク酸イミド67.6 g(380 mmol, 2 eq.)を15分かけて加え、その後50℃で2時間加熱撹拌した。再びN-ブロモコハク酸イミド67.6 g(380 mmol, 2 eq.)を15分かけて加え、50℃で2時間加熱撹拌した。反応溶液は室温まで放冷した後、亜硫酸水素ナトリウム50 gを水200 mLに溶解した水溶液に加えた。生じた褐色沈殿を吸引ろ過で濾取および水洗した後、真空乾燥した。淡褐色粉末の5, 6-ジブロモ-1, 4-ジヒドロキシ-2,3-ジシアノベンゼンを39.0 g(収率 65 %)得た。得られた化合物の物性値を以下に示す。
13C NMR
(100 MHz, TMS, d6-DMSO)d 151.73, 124.87, 113.94, 102.09 ppm;
IR(KBr)nmax 3314, 2250, 1716, 1561, 1439, 1331, 1275, 1173,
1052, 986, 931, 844, 728, 681, 521, 419 cm-1; MS(APCI) m/z
318 [M + H]+
また、文献(Cook, M. J.;
Heeney, M. J. Chem. Eur. J. 2000, 21, 3958)のスペクトルと照合し、目的化合物の生成を確認した。
【0017】
(製造例2:5, 6-ジブロモ-2,3-ジシアノ-1, 4-ジペンチルオキシベンゼンの合成)
滴下漏斗、塩化カルシウム管、窒素導入管、温度計を取り付けた1000 mL四つ口フラスコに、窒素雰囲気下にて上記製造例1で得られた5, 6-ジブロモ-1, 4-ジヒドロキシ-2,3-ジシアノベンゼン37.1 g(117 mmol)、トリフェニルホスフィン
73.5 g(280 mmol, 2.4 eq.)、1-ペンタノール25.7 g(292 mmol, 2.5 eq.)、テトラヒドロフラン 170 mLを導入した。反応溶液を氷浴で0℃に冷却し、そこへ滴下漏斗からジイソプロピルアゾジカルボキシレート 59.4 g(294 mmol, 2.5 eq.)をテトラヒドロフラン 250 mLに溶解した溶液を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外して反応溶液を室温に戻し、室温で5時間撹拌した。反応溶液中のテトラヒドロフランをロータリーエバポレーターで留去した。得られた褐色粘調液体にジエチルエーテル100 mLを加え、析出した無色固体(トリフェニルホスフィンオキシド)を吸引ろ過で濾取した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮して褐色固体の粗生成物を94.0 g得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 800 mL,、展開溶媒 ジクロロメタン:ヘキサン = 1 : 5)で精製し、無色結晶の5, 6-ジブロモ-2,3-ジシアノ-1, 4-ジペンチルオキシベンゼンを
51.9 g(収率 97 %)得た。なお、テトラヒドロフランは金属ナトリウムを用いて蒸留したものを用いた(以下の例でも、同様である。)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H
NMR(400 MHz, TMS, CDCl3) d 4.20(t, 4H, J = 6.4 Hz),
1.94 - 1.87(m, 4H), 1.56 - 1.36(m, 8H), 0.95(t, 6H, J = 7.2 Hz) ppm; 13C
NMR (100 MHz, TMS, CDCl3)d 156.38, 129.62, 112.36, 109.21,
76.69, 29.63, 27.73, 22.34, 13.93 ppm; IR(KBr) nmax 2959,
2858, 2234, 1548, 1466, 1423, 1361, 1231, 1072, 1044, 1006, 936, 889, 835, 729,
536, 499 cm-1; MS(APCI) m/z 459 [M + H]+;
mp 68.8 - 69.9 ℃
【0018】
(製造例3:6,7-ジ(4’-フルオロフェニル)-1, 4-ジペンチルオキシ-2, 3-ジシアノナフタレンの合成)
10 mLナス型フラスコに窒素導入管と塩化カルシウム管を取り付け、窒素気流下で、ナス型フラスコにグリニャール反応用削状マグネシウム0.1 g(4.1 mmol, 2 eq.)を入れ室温で10分間攪拌した。そこへ溶媒である乾燥テトラヒドロフラン4mL、3,4-ジ(4’-フルオロフェニル)フラン (1.0 mmol, 1 eq.)、5, 6-ジブロモ-1, 4-ジペンチルオキシ-2,3 -ジシアノベンゼン0.96 g(2.0 mmol, 2 eq.)を入れ、反応が完結するまで1.5時間、室温で攪拌した。反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液100 mLに加え、15分間撹拌した。反応溶液を分液ロートに移し、50 mLのジクロロメタンで3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾取し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、黒色油状の粗成生物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色針状結晶の6,7-ジ(4’-フルオロフェニル)-1, 4-ジペンチルオキシ-2, 3-ジシアノナフタレンを得た(収率52%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 8.21(s, 2H), 7.17-7.13(m, 4H),
7.01(tt, 4H, J = 2.3 Hz, 8.7 Hz), 4.47(t, 4H, J = 6.6 Hz),
1.95(quint, 4H, J = 6.6 Hz),1.54(quint, 4H, J = 7.3 Hz),
1.41(sext, 4H, J= 7.4 Hz), 0.93(t, 6H, J = 7.3 Hz) ppm; 13C
NMR (100 MHz, TMS, CDCl3)d 162.40(d, 1JCF =
247.7Hz), 157.14, 142.58, 135.71(d, 4JCF = 4.0Hz),
131.36(d, 3JCF = 8.0Hz), 129.47, 125.25, 115.36(d, 2JCF
= 20.0Hz), 114.51, 99.12, 76.45, 29.83, 27.98, 22.36, 13.95 ppm; IR(KBr) nmax
3070, 2960, 2874, 2226, 1905, 1603, 1509, 1339, 1220, 1161, 1015, 966, 842,
817, 546 cm-1; MS(APCI) m/z 538 [M ] +;
Anal. Calcd. for C34H32F2N2O2:
C 75.82, H 5.99, N 5.20, found: C 75.74, H 6.07, N 5.16; mp 228.5-230.2 ℃
【0019】
(製造例4:6,7-ジ(4’-メトキシフェニル)-1, 4-ジペンチルオキシ-2, 3-ジシアノナフタレンの合成)
製造例3において、3,4-ジ(4’-フルオロフェニル)フランに換えて3,4-ジ(4’-メトキシフェニル)フランを使用した以外は、製造例3と同様にして橙色板状結晶の6,7-ジ(4’-メトキシフェニル)-1, 4-ジペンチルオキシ-2, 3-ジシアノナフタレンを得た(収率37%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 8.18(s, 2H), 7.13(d, 4H, J =
8.6 Hz), 6.84(d, 4H, J = 8.6 Hz), 4.45(t, 4H, J = 6.6 Hz),
3.82(s, 6H), 1.95(quint, 4H, J = 7.1 Hz), 1.54(quint, 4H, J = 7.9
Hz), 1.42(sext, 4H, J = 7.3 Hz), 0.94(t, 6H, J = 7.3 Hz) ppm; 13C
NMR (100 MHz, TMS, CDCl3)d 159.15, 157.30, 143.43, 132.36,
130.87, 129.28, 124.95, 114.66, 113.75, 98.80, 76.43, 55.23, 29.85, 27.98,
22.38, 13.96 ppm; IR(KBr) nmax 3070, 2956, 2871, 2224, 1608,
1515, 1338, 1295, 1251, 1179, 1029, 835, 560 cm-1; MS(APCI) m/z
562 [M ] +; Anal. Calcd. for C36H38N2O4:
C 76.84, H 6.81, N 4.98, found: C 76.99, H 6.83, N 4.79; mp 128.0-130.0 ℃
【0020】
(製造例5:6, 7-ジフェニル-1, 4-ジペンチルオキシ-2, 3-ジシアノナフタレンの合成)
製造例3において、3,4-ジ(4’-フルオロフェニル)フランに換えて3,4-ジフェニルフランを使用した以外は、製造例3と同様にして6, 7-ジフェニル-1, 4-ジペンチルオキシ-2, 3-ジシアノナフタレンを得た(収率54%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 8.12(s, 2H), 7.18 - 7.09(m, 10H),
4.33(t, 4H, J = 6.4 Hz), 1.83(quint, 4H, J = 6.8 Hz), 1.47 -
1.25(m, 8H), 0.82(t, 6H, J = 7.2 Hz) ppm; 13C NMR (100 MHz,
TMS, CDCl3)d 157.08, 143.66, 139.75, 129.64, 129.22, 128.10,
127.48, 125.12, 114.44, 98.78, 76.31, 29.73, 27.87, 22.27, 13.86 ppm; IR(KBr) nmax
3061, 2956, 2870, 2223, 1565, 1495, 1340, 1041, 1025, 965, 908, 781, 768, 702,
565, 532 cm-1; MS(APCI) m/z 503 [M + H]+;
mp 119.5 - 121.3 ℃
【0021】
(製造例6:6,7-ジ(4’-フルオロフェニル)-1,4-ジペンチルオキシ-5,8-エポキシ-2,3-ジシアノ-5,8-ジヒドロナフタレンの合成)
30 mLナス型フラスコに窒素導入管と塩化カルシウム管を取り付け、窒素気流下で、ナス型フラスコにグリニャール反応用削状マグネシウム0.41 g(17 mmol, 4 eq.)を入れ室温で10分間攪拌した。そこへ溶媒である乾燥テトラヒドロフラン16mL、3,4-ジ(4’-フルオロフェニル)フラン (4.2 mmol,
1 eq.)、5, 6-ジブロモ-1, 4-ジペンチルオキシ-2,3 -ジシアノベンゼン3.84
g(8.4 mmol, 2.0 eq.)を入れ、原料が消失するまで1.2時間、室温で攪拌した。反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液400 mLに加え、15分間撹拌した。反応溶液を分液ロートに移し、50 mLのジクロロメタンで3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾取し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、黒色油状の粗成生物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色針状結晶の6,7-ジ(4’-フルオロフェニル)-1,4-ジペンチルオキシ-5,8-エポキシ-2,3-ジシアノ-5,8-ジヒドロナフタレンを得た(収率42%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 7.28-7.23(m, 4H), 7.02(t, 2H, J= 8.4
HZ), 6.17(s, 2H), 4.13(dt, 2H, J =8.9, 6.4 Hz), 3.95(dt, 2H, J
=8.9, 6.8 Hz), 1.83-1.68(m, 4H), 1.40-1.27(m, 8H), 0.91(t, 6H, J = 6.9
Hz) ppm; 13C NMR (100 MHz, TMS, CDCl3) d 162.82(d,
1JCF = 250.4Hz), 149.98, 145.98, 145.63, d
128.85(d, 3JCF = 8.1 Hz), 128.18(d, 4JCF =
3.6 Hz), 116.26(d, 2JCF = 21.6 Hz), 113.29, 109.11,
85.74, 75.45, 29.42, 27.70, 22.20, 13.90 ppm; IR(KBr) nmax 3072,
2932, 2873, 2228, 1599, 1513, 1503, 1443, 1377, 1338, 1280, 1221, 1162, 983,
920, 865, 839, 685, 567, 538 cm-1; MS(APCI) m/z 572 [M
+ H2O] +; mp 160.5-161.2 ℃
【0022】
(製造例7:6,7-ジ(4’-メトキシフェニル)-1,4-ジペンチルオキシ-5,8-エポキシ-2,3-ジシアノ-5,8-ジヒドロナフタレンの合成)
製造例6において、3,4-ジ(4’-フルオロフェニル)フランに換えて3,4-ジ(4’-メトキシフェニル)フランを使用し、反応時間を1.2時間とした以外は、製造例6と同様にして黄色粉末状の6,7-ジ(4’-メトキシフェニル)-1,4-ジペンチルオキシ-5,8-エポキシ-2,3-ジシアノ-5,8-ジヒドロナフタレンを得た(収率35%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 7.24(d, 4H, J= 8.6 HZ), 6.84(d, 4H,
J= 8.6 HZ), 4.10(dt, 2H, J =8.9, 6.6 Hz), 3.95(dt, 2H, J =8.9,
6.6 Hz), 3.81(s, 6H), 1.79-1.71(m, 4H), 1.39-1.29(m, 8H), 0.91(t, 6H, J
= 6.9 Hz) ppm; 13C NMR (100 MHz, TMS, CDCl3) d
159.86, 149.91, 146.56, 144.31, 128.33, 124.86, 114.34, 113.45, 108.79, 85.76,
75.41, 55.26, 29.44, 27.71, 22.24, 13.93 ppm; IR(KBr) nmax
2977, 2934, 2871, 2229, 1604, 1573, 1517, 1505, 1439, 1376, 1341, 1292, 1248,
1179, 982, 924, 863, 834, 679, 577, 547 cm-1; MS(APCI) m/z
596 [M + H2O] +; mp 105.8-106.4 ℃
【0023】
(製造例8:6,7-ジフェニル-1,4-ジペンチルオキシ-5,8-エポキシ-2,3-ジシアノ-5,8-ジヒドロナフタレン)
製造例6において、3,4-ジ(4’-フルオロフェニル)フランに換えて3,4-ジフェニルフランを使用し、反応時間を1.0時間とした以外は、製造例6と同様にして淡黄色針状結晶の6,7-ジフェニル-1,4-ジペンチルオキシ-5,8-エポキシ-2,3-ジシアノ-5,8-ジヒドロナフタレンを得た(収率35%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 7.34-7.25(m, 10H), 6.23(s, 2H),
4.10(dt, 2H, J =8.8, 6.4 Hz), 3.94(dt, 2H, J =8.8, 6.8 Hz),
1.77-1.58(m, 4H), 1.38-1.25(m, 8H), 0.90(t, 6H, J = 7.2 Hz) ppm; 13C
NMR (100 MHz, TMS, CDCl3)d, 149.95, 146.53, 146.22, 132.23,
128.89, 128.81, 126.92, 113.36, 108.84, 85.79, 75.35, 29.35, 27.62, 22.17,
13.87 ppm; IR(KBr) nmax 3081, 3056, 3022, 2931, 2870, 2233,
1597, 1574, 1498, 1442, 1377, 1340, 1297, 984, 920, 863, 761, 695 cm-1;
MS(APCI) m/z 536 [M + H2O] +; Anal. Calcd.
for C34H34N2O3: C 78.74, H 6.61, N
5.40, found: C 78.59, H 6.83, N 5.43; mp 101.2-101.5 ℃
【0024】
(実施例1—3)
10 mLナス型フラスコに接続管と塩化カルシウム管を取り付け、窒素気流下で反応器に乾燥1-ペンタノール4mL、上記製造例3~5で得られた2,3-ジシアノナフタレン誘導体0.4gを入れ、100℃まで昇温した。そこへ金属リチウム20eq.molを加え、100~120℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を放冷し、薄い酢酸水溶液にあけ、50 mLのジクロロメタンで3回抽出し、有機層を100mLの飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾取し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、黒色固体の粗成生物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン)で精製し、下記反応式にしたがって、対応するナフタロシアニン化合物を得た。
【化10】
JP0005408821B2_000011t.gif

【0025】
得られた化合物の収率及び物性値を以下に示す。
(実施例1:1,6,10,15,19,24,28,33-オクタペンチルオキシ-3,4,12,13,21,22,30,31-オクタ(4’-フルオロフェニル)-37H,39H-ナフタロシアニン)
Ar=4’-フルオロフェニル、褐色粉末、収率45%。
【化11】
JP0005408821B2_000012t.gif

1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 8.98(s, 8H), 7.43-7.40(m, 16H),
7.12(t, 16H, J = 8.0Hz), 5.22(t, 16H, J = 8.0 Hz), 2.57(br, 2H), 2.23(quint.
16H, J = 8.0Hz), 1.66(quint. 16H, J = 8.0Hz), 1.44(sext. 16H, J = 8.0Hz),
0.91(t, 24H, J = 8.0 Hz) ppm; 13C NMR (100 MHz, TMS, CDCl3)d
162.14(d, 1JCF = 246.7 Hz), 150.01, 139.08, 137.53(d, 4JCF
= 3.0 Hz), 131.68(d, 3JCF = 8.0 Hz), 130.02,
126.38, 125.75, 123.19, 115.23(d, 2JCF = 21 Hz), 77.05,
30.42, 28.73, 22.80, 14.14 ppm; IR(KBr) nmax 3300, 3069,
2954, 2867, 1604, 1510, 1333, 1226, 1178, 1111, 1039, 836, 583 cm-1;
FAB-MS m/z 2157 [M] +; UV-VIS(CHCl3) 886,
780, 491, 344, 278, 242, 217 nm; Anal. Calcd. for C136H130F8N8O8:
C 75.74, H 6.08, N 5.20, found: C 75.57, H 6.12, N 5.05; mp 286.5-287.3 ℃
【0026】
(実施例2:1,6,10,15,19,24,28,33-オクタペンチルオキシ-3,4,12,13,21,22,30,31-オクタ(4’-メトキシフェニル)-37H,39H-ナフタロシアニン)
Ar=4’-メトキシフルオロフェニル、褐色粉末、収率20%。
【化12】
JP0005408821B2_000013t.gif
1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 7.93(s, 8H), 7.40(d, 16H,J = 8.0 Hz),
6.96(d, 16H, J = 8.0 Hz), 5.19(t, 16H, J = 8.0 Hz), 3.91(s, 24H), 2.61(br, 24H)
2.23(quint. 16H, J = 8.0Hz), 1.65(quint. 16H, J = 8.0Hz), 1.44(sext. 16H, J =
8.0Hz), 0.92(t, 24H, J = 8.0 Hz) ppm; 13C NMR (100 MHz, TMS,
CDCl3)d 158.63, 149.98, 139.78, 134.36, 131.27, 129.90,
126.10, 122.89, 113.60, 76.91, 55.30, 30.41, 28.74, 22.83, 14.19 ppm; IR(KBr) nmax
3302, 2953, 2869, 2835, 1607, 1573, 1514, 1465, 1333, 1246, 1176, 1108, 1042,
832, 585 cm-1; FAB-MS m/z 2153 [M] +;
UV-VIS(CHCl3) 892, 784, 493, 462, 336, 287, 249 nm; Anal. Calcd. for
C144H154N8O16 : C 76.77, H 6.89, N
4.97, found: C 76.86, H 7.00, N 4.68; mp 289.9-291.5 ℃
【0027】
(実施例3:1,6,10,15,19,24,28,33-オクタペンチルオキシ-3,4,12,13,21,22,30,31-オクタフェニル-37H,39H-ナフタロシアニン)
Ar=フェニル、褐色粉末、収率30%。
【化13】
JP0005408821B2_000014t.gif
1H NMR
(400 MHz, TMS, CDCl3) d 9.05(s, 8H), 7.50-7.20(m, 40H),
5.24(t, 16H, J = 8.0 Hz), 2.63(br, 2H), 2.26(quint. 16H, J = 8.0Hz),
1.68(quint. 16H, J = 8.0Hz), 1.50(sext. 16H, J = 8.0Hz), 0.92(t, 24H, J
= 8.0 Hz) ppm; 13C NMR (100 MHz, TMS, CDCl3)d
150.11, 141.80, 140.21, 130.25, 130.06, 128.09, 126.83, 126.47, 123.08, 77.05,
30.47, 28.78, 22.86, 14.18 ppm; IB( KBr) nmax 3297, 3059, 2953,
2669, 1599, 1573, 1495, 1427, 1334, 1278, 1203, 1178, 1110, 1075, 982, 903,
768, 700, 588 cm-1; FAB-MS m/z 2013 [M] +;
UV-VIS(CHCl3) 888, 781, 491, 342, 277, 244 nm; Anal. Calcd. for C136H138N8O8:
C 81.16, H 6.91, N 5.57, found: C 81.46, H 7.04, N 5.28; mp 266.8-267.2 ℃