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明細書 :熱音響装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4958910号 (P4958910)
登録日 平成24年3月30日(2012.3.30)
発行日 平成24年6月20日(2012.6.20)
発明の名称または考案の名称 熱音響装置
国際特許分類 F25B   9/14        (2006.01)
F25B   9/00        (2006.01)
FI F25B 9/14 520Z
F25B 9/00 311
F25B 9/00 Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 16
出願番号 特願2008-533047 (P2008-533047)
出願日 平成19年2月21日(2007.2.21)
国際出願番号 PCT/JP2007/053155
国際公開番号 WO2008/029521
国際公開日 平成20年3月13日(2008.3.13)
優先権出願番号 2006238378
優先日 平成18年9月2日(2006.9.2)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年2月9日(2010.2.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
発明者または考案者 【氏名】渡辺 好章
【氏名】坂本 眞一
【氏名】吉田 秀穂
【氏名】今村 陽祐
個別代理人の代理人 【識別番号】100111349、【弁理士】、【氏名又は名称】久留 徹
審査官 【審査官】田々井 正吾
参考文献・文献 特開2005-188846(JP,A)
特開2000-088378(JP,A)
特表2002-535597(JP,A)
特開平11-344266(JP,A)
特開2006-105009(JP,A)
国際公開第2006/073007(WO,A1)
国際公開第2004/085934(WO,A1)
調査した分野 F25B 9/14
F25B 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
音波を発生させる音波発生装置と、高温側及び低温側に設定される一対の熱交換器および内側に複数の導通路を設けたスタックを有してなる音熱交換器と、前記音波発生装置および音熱交換器を有する中空体とを備えてなり、中空体内に発生した音エネルギーを前記音熱交換器を用いて熱エネルギーに変換させる熱音響装置において、
中空体における音波発生装置と音熱交換器の中間位置に、中空体の内径を小さくすることで音波の粒子速度を強制的に加速させる粒子速度加速部を設け、又は/及び、中空体における音熱交換器近傍に、中空体内に発生させる音波の粒子速度を強制的に低減させる粒子速度低減部を設けたことを特徴とする熱音響装置。
【請求項2】
前記中空体が、ループ管によって構成されたものである請求項1に記載の熱音響装置。
【請求項4】
前記粒子速度加速部が、中空体内に沿ってスライド可能に構成されたものである請求項1に記載の熱音響装置。
【請求項6】
前記粒子速度低減部が、中空体に接続される分岐管の開口部によって構成されたものである請求項1に記載の熱音響装置。
【請求項7】
前記粒子速度低減部が、中空体に接続される分岐管の開口部によって構成されるものであり、当該分岐管が、中空体内に発生する音波の1/4波長の整数倍と同じ波長を内部に発生させるものである請求項1に記載の熱音響装置。
【請求項8】
前記粒子速度低減部が、前記スタックに作動流体の導通を遮断する導通路遮蔽部を設けて構成されるものである請求項1に記載の熱音響装置。
【請求項9】
前記粒子速度低減部が、前記中空体の中空部分を遮断する遮断部で構成されるものである請求項1に記載の熱音響装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、熱音響効果を利用して熱エネルギーと音エネルギーの間でエネルギー変換を行う装置に関するもので、より詳しくは、例えば、熱音響効果を利用して効率よくエネルギー変換やエネルギー交換、温度の制御、音の制御などを行えるようにした熱音響装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱音響装置は、熱エネルギーと音エネルギーとの間でエネルギー変換を行う装置として従来から知られており、例えば、下記の特許文献1や特許文献2に示されるものが知られている。
【0003】
この特許文献1に示された熱音響装置について説明すると、この熱音響装置は、図17に示すように、内部に中空部を有するループ管200と、このループ管200内に自励の音波を発生させるため音波発生装置300と、音エネルギーを熱エネルギーに変換するための音熱交換器400とを備えてなる。これらの音波発生装置300や音熱交換器400は、一対の金属製の熱交換器301、302、401、402で挟まれたスタック303、403を備えてなるもので、それぞれループ管200内に取り付けられる。これらの熱交換器301、302、401、402は、内側に音波を通すための複数の孔や格子などを有するとともに、ループ管200の外部から熱を入出力できるように構成されている。これらの熱交換器のうち、音波発生装置300側における上側の熱交換器301は、外部から工場廃熱や自動車の廃熱などを入力することよって、例えば、700℃~800℃に設定され、また、下側の熱交換器302や音熱交換器400側における上部の熱交換器401は、比較的低温に設定されて、例えば、周囲に水を循環させることなどによって18℃~20℃程度に設定される。一方、音波発生装置300や音熱交換器400に設けられるスタック303、403は、セラミクスや樹脂、金属などによって構成されるもので、ループ管200の軸方向に沿った微小径の導通路を複数設けるように構成される。このように構成された熱音響装置の熱交換器301に熱を加えると、しばらくしてから自励による複数の波長を有する音波が発生し、一定時間後、ループ管200内に安定した定在波及び進行波が発生する。この定在波及び進行波による音エネルギーは、ループ管200に沿って音熱交換器400側まで移送され、そこで、スタック403内における作動流体を膨張・収縮させる。そして、この膨張・収縮によって作動流体から放出・吸収された熱エネルギーは、スタック内の壁面に沿って音エネルギーの移送方向と逆方向に移送され、これによって、熱交換器402の熱を汲み上げて熱交換器402を冷却する。そして、この冷却された熱を外部に出力することによって、冷却対象物を冷却する。
【0004】
また、このような熱音響装置において、エネルギー変換効率を向上させるための装置も提案されている。例えば、下記の特許文献2には、図18に示すように、ループ管の内径を相対的に他の部分よりも細くした狭小部10を有する熱音響装置が提案されている。図18において、20は音波発生装置であり、30は音熱交換器であって音波発生装置20から出力された音波によって熱交換器間に温度勾配を生じさせるようにしたものである。このようにループ管に狭小部10を設ければ、ループ管内に発生した音響流や質量流をある程度低減させることができるため、ループ管内における熱の移送を低減してエネルギー変換効率を向上させることができるようになる。
【特許文献1】
特開2005-274100号公報
【特許文献2】
特表2002-535597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2に示されるような比較的長い狭小部を設けると、音波が発生した後においては熱の移送を低減してエネルギー変換効率を向上させることができるものの、ループ管内に定在波や進行波が発生させるまでの間はエネルギー変換を行うことができない。このとき、仮に、図17のような熱音響装置において自励の音波を迅速に発生させようとすると、音波発生装置側における熱交換器に高い熱を入力して高い温度勾配を形成すればよいが、このように高い熱を入力することはエネルギー変換効率の低下につながるという問題も生ずる。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、音波発生までの時間を短縮化させるとともに、エネルギー変換効率を格段に向上させることのできる熱音響装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、音波を発生させる音波発生装置と、高温側及び低温側に設定される一対の熱交換器および内側に複数の導通路を設けたスタックを有してなる音熱交換器と、前記音波発生装置および音熱交換器を有する中空体とを備えてなり、中空体内に発生した音エネルギーを前記音熱交換器を用いて熱エネルギーに変換させる熱音響装置において、中空体における音波発生装置と音熱交換器の中間位置に、中空体の内径を小さくすることで音波の粒子速度を強制的に加速させる粒子速度加速部を設け、又は/及び、中空体における音熱交換器近傍に、中空体内に発生させる音波の粒子速度を強制的に低減させる粒子速度低減部を設けるようにする。
そして、好ましくは、中空体をループ管によって構成する。
このようにすれば、粒子速度加速部を設けることによってその位置の粒子速度を相対的に他の位置の粒子速度よりも速くすることができ、強制的に音圧の節(粒子速度の腹)の位置を設定して、迅速に安定した音波を発生させることができるようになる。もしくは、粒子速度を低減させるための粒子速度低減部を設けることによって、その位置を強制的に音圧の腹(粒子速度の節)の位置に設定することができ、これにより、迅速に安定した音波を発生させることができるようになる。なお、ここで粒子速度の「最大となる位置」や「最小となる位置」とは、厳密に粒子速度が最大もしくは最小となる位置だけでなく、中空体内に発生する音波の最大波長をλとした場合に、粒子速度の最大もしくは最小となる位置を中心として少なくともλ/4の距離の範囲内をいう。
また、このような発明において、粒子速度加速部を、中空体内に沿ってスライド可能に構成する。
さらには、粒子速度低減部を、中空体に接続される分岐管の開口部によって構成する。
このようにすれば、中空体と開口部の接続部分の内径が広くなり、これによって相対的に粒子速度が遅くなって、この位置を強制的に音圧の腹の位置に設定することができる。
そして、この分岐管を接続する場合、この分岐管の長さを、中空体内に発生する音波の1/4波長の整数倍と同じ波長をその分岐管内に発生させる長さに設定する。
このようにすれば、中空体に発生する音波の波長を、分岐管に発生する音波の1/4波長の整数倍とすることができ、共鳴現象を用いて迅速に中空体に安定した音波を発生させることができる。
また、粒子速度低減部を設ける場合、スタックに作動流体の導通を遮断するための導通路遮蔽部を設ける。ここで、スタックに導通路遮蔽部を設ける場合、スタックの内部に設けるようにしてもよく、もしくは、スタックの端部に設けるようにしてもよい。
この場合においても、音圧の位置を強制的に設定することによってエネルギー変換効率を向上させることができる。
また、粒子速度低減部を設ける場合、中空体の中空部分を遮断する遮断部材を中空体内に設ける。ここで遮断部材しては、中空部分を遮断する板状体であってもよく、あるいは、薄いフィルム状の膜体であってもよい。
このようにした場合においても、強制的に遮断部材の位置を粒子速度の最小となる位置に設定することができ、迅速に安定した音波を発生させてエネルギー変換効率を向上させることができるようになる。
発明の効果
本発明によれば、粒子速度加速部を設けることによってその位置の粒子速度を相対的に他の位置の粒子速度よりも速くすることができ、強制的に音圧の節(粒子速度の腹)の位置を設定して、迅速に安定した音波を発生させることができるようになる。もしくは、粒子速度を低減させるための粒子速度低減部を設けることによって、その位置を強制的に音圧の腹(粒子速度の節)の位置に設定することができ、これにより、迅速に安定した音波を発生させることができるようになる。
発明を実施するための最良の形態
<第一の実施の形態>
以下、本発明に係る熱音響装置1の第一の実施の形態について図面を参照して説明する。
この実施の形態における熱音響装置1は、図1に示すように、全体として略長方形状に構成されたループ管2の内部に、音波発生装置3と音熱交換器4を設けるようにしたもので、音波発生装置3によって定在波及び進行波を発生させ、この定在波及び進行波を音熱交換器4側へ伝搬させて音熱交換器4の第二低温側熱交換器43を冷却させるようにしたものである。そして、本実施の形態では、特徴的に、ループ管2内に相対的に他の部分よりも内径を細くした狭小部21を設けることによって、定在波を迅速に発生させるようにしている。以下、本実施の形態における熱音響装置1の詳細について説明する。
【0028】
この熱音響装置1を構成するループ管2は、地面に対して鉛直状に設けられた一対の直線管部2aと、この直線管部2aの上下角部に設けられる腕部2cと、この腕部2cを介して接続される連結管部2bを設けて構成されるもので、それぞれ中空状の金属製のパイプなどによって構成される。これらの直線管部2aや腕部2c、連結管部2bはそれぞれ内径を細くした狭小部21を除いてほぼ同じ内径を有しており、それぞれ図示しないフランジなどを介して接続される。一方、狭小部21は、相対的に他の部位よりも内径を細くした狭小経路22を有するもので、その狭小経路22内の粒子速度を速くしてループ管2内に発生する音波の音圧の節に設定するものである。このような狭小部21は、好適には音波発生装置3と音熱交換器4とのほぼ中間位置付近に設けるとよい。このような位置に狭小部21を設けると、音波発生装置3の位置と音熱交換器4の位置をそれぞれ音圧の腹とした一波長成分の定在波を発生させやすくすることができる。この状態を図6を用いて説明する。図6は、ループ管2を直線状に開放した図であり、左側に音波発生装置3、右側に音熱交換器4、その中間位置に狭小部21を設けている。また、図において、太い実線は一波長定在波の音圧の分布を示し、これに対応して、破線は同じ一波長定在波の粒子速度分布を示している。図において音波発生装置3から音波が出力されるため、この位置での音圧が最も高くなり、また、狭小部21が設けられている部分では狭小経路22が設けられているため粒子速度が最も速くなる。このため、音波発生装置3の位置が音圧の腹の位置となり、狭小部21が設けられている位置が音圧の節(粒子速度の腹)の位置となる。このとき、仮に、図6の細い実線で示すように音波発生装置3の位置と音熱交換器4の位置を音圧の腹とする二波長成分の音波が発生したとすると、狭小部21が設けられている部分が音圧の腹となってしまう。すなわち、この狭小部21が設けられている位置の粒子速度が最も小さくなるという矛盾した結果となる。このため、音波発生装置3と音熱交換器4の中間位置付近に狭小部21を設けると、二波長(正確には偶数波長)の定在波の発生を抑止することができる。ただし、この場合、狭小部21の左右方向の長さを長くしすぎると、定在波における音圧の節の位置が不安定になってしまう可能性がるため、好ましくは、狭小部21の長さを定在波の波長の1/10よりも短いの長さに設定しておくとよい。また、この狭小経路22の内径については、内径を細くすればするほど相対的に他の部分よりも粒子速度を速くすることができるものの、余りに内径を細くし過ぎると、そこで音波を遮断したり、もしくは、ループ管2内の音エネルギーがそこで熱エネルギーに変換されてしまったりする可能性がある。このため、好ましくは、他の部位における内径平均の1/2程度に設定しておくとよい。
【0029】
ところで、この狭小部21は、設けられる位置によって大きくエネルギー変換効率に変動を生じさせる可能性がある。このため、この実施の形態においては、ループ管2内における位置を変更できるようにしている。ループ管2内で狭小部21の位置を変更させる方法としては、例えば、円筒状に構成された狭小部21の外周部分に弾性樹脂などを巻き付けておき、狭小部21をループ管2に挿入する際に、その弾性樹脂を縮めて押し込む方法などが考えられる。これにより、最適な位置に狭小部21を押し込んで、適当な位置で固定させることができる。また、このように狭小部21の位置を押し込む場合、ループ管2の内側から押し込んで位置を変更させなければならないが、これをループ管2の外側から操作することによって位置を変更させるようにすることもできる。このような方法としては、例えば、図2に示すように、ループ管2の外周部分に軸方向に沿ったスリット部23を設けておき、このスリット部23から狭小部21から突出する突出片24を露出させる。そして、この突出片24をスライドさせることによって任意の位置に変更させるようにする。この際、スリット部23から音波が外側に漏れてしまう可能性があるため、好ましくは、狭小部21によってスリット部23を塞ぐか、もしくは、他の部材を用いてスリット部23を塞ぐようにする。
【0030】
なお、図1や図2においては、円筒状の狭小部21を取り付ける場合について説明しているが、この狭小部21の位置を変動させる必要がない場合には、例えば、図3に示すように、連結管部2bの一部を窪ませて狭小部21を構成するようにしてもよい。これらの狭小部21については、他のループ管2の内側部分を急激に傾斜させてしまうと、そこで音波が反射されてしまい、定在波が発生するまでに時間がかかってしまうおそれがある。このため、好ましくは、狭小部21と他の部分の境界部分を滑らかな傾斜状態としておくのが好ましい。
【0031】
音波発生装置3は、ループ管2内に定在波及び進行波を発生させるもので、この実施の形態では、自励による音波を発生させるために、第一高温側熱交換器31及び第一低温側熱交換器33と、これらに挟まれた第一のスタック32を設けて構成される。一方、音熱交換器4は、ループ管2内に発生した音波に基づく音エネルギーを熱エネルギーに変換するもので、音波発生装置3と同様に、第二高温側熱交換器41、第二低温側熱交換器43、および、これらに挟まれた第二のスタック42を設けて構成される。
【0032】
このうち、第一高温側熱交換器31、第一低温側熱交換器33、第二高温側熱交換器41、第二低温側熱交換器43は、金属製の部材で構成されるもので、その内側表面に定在波及び進行波を導通させるための複数の孔である導通路を設けている。そして、これらの熱交換器のうち、第一高温側熱交換器31に外部から電力や廃熱などを入力することによって加熱し、例えば、30℃~700℃程度に設定する。一方、第一低温側熱交換器33は、周囲に水を循環させることによって相対的に第一高温側熱交換器31よりも低い温度に設定して、例えば、18℃~20℃などとする。
【0033】
また、第一のスタック32及び第二のスタック42は、ループ管2に内接するような外径を有する円柱状のもので、セラミクス、燒結金属、金網、金属製不織布、非金属繊維を含有する素材で構成される。そして、その内部に、ループ管2の軸方向に貫通する複数の導通路34、44を設けるようにしている。なお、この導通路34、44は、ハニカム状あるいは格子状の多孔から直線状に形成される通路であってもよく、あるいは、綿などを圧縮させたような蛇行する通路であってもよい。
【0034】
このように構成された音波発生装置3は、第一高温側熱交換器31を上側に設けた状態で直線管部2aの中央よりも下方側に設けられる。音波発生装置3を直線管部2aの中央より下方に設けるようにするのは、第一高温側熱交換器31を加熱する際に生じる上昇気流を利用して迅速に音波を発生させるためであり、また、第一高温側熱交換器31を加熱する際に発生する暖かい作動流体を第一のスタック32内に入り込ませないようにするためである。そして、このように第一のスタック32内に暖かい作動流体を流入させないようにすることによって、第一のスタック32内で大きな温度勾配を形成させるようにしている。
【0035】
一方、音熱交換器4は、ループ管2の回路全長をLとした場合に、音波発生装置3からL/2の長さ付近に設けられる。この音熱交換器4をループ管2に取り付ける際、周囲に水を循環させた第二高温側熱交換器41を上側に設けるとともに、外部に冷熱を出力するための第二低温側熱交換器43を下側に設ける。そして、図6に示すように、音波発生装置3と音熱交換器4との距離をほぼL/2とした後、狭小部21を音波発生装置3からほぼL/4の地点である音波発生装置3と音熱交換器4との中間地点に取り付ける。これによって、音圧の腹を音波発生装置3の位置と音熱交換器4の位置に設定するとともに、音圧の節を狭小部21の位置に設定する。
【0036】
次に、このように構成された熱音響装置1における動作について説明する。
【0037】
音波発生装置3側の第一高温側熱交換器31に高い熱を加えるとともに、第一低温側熱交換器33の周囲に水を循環させて低い温度に設定すると、第一高温側熱交換器31と第一低温側熱交換器33との間に温度勾配が形成される。そして、第一のスタック32の導通路34内における作動流体が、図4に示すように「圧縮→加熱→膨張→冷却」と循環し、導通路を形成する壁面と熱交換を行いながら往復運動を繰り返す。そして、この音波発生装置3から種々の波長からなる自励の音波を発生する。
【0038】
このように発生した音波は、ループ管2内を伝搬し、作動流体の粒子を振動させる。このとき、狭小部21は相対的に周囲のループ管2の内径よりも細くなっているので、他の部分よりも作動流体の粒子速度が速くなる。これによって、この狭小部21の位置を強制的に粒子速度の腹の位置に設定することができ、種々の波長を有する音波のうち、この位置に粒子速度の腹を有する音波を迅速に発生させることができる。
【0039】
このように発生した定在波及び進行波は、音エネルギーとして音熱交換器4側へ移送される。
【0040】
音熱交換器4側では、ループ管2に沿って伝搬してきた定在波及び進行波に基づいて、第二のスタック42内の作動流体を膨張・圧縮させる。この第二のスタック42の導通路44内において作動流体は、図5に示すように、第一のスタック32における熱循環とは逆の工程で、「圧縮→冷却→膨張→加熱」の循環を繰り返し、スタックの壁面に熱を蓄積させる。そして、この蓄積された熱エネルギーを音エネルギーの移送方向と逆方向、すなわち、第二低温側熱交換器43から第二高温側熱交換器41側へ移送させ、第二低温側熱交換器43から熱を汲み上げて第二高温側熱交換器41側に移す。この第二高温側熱交換器41側へ移送された高温の熱は、周囲に設けられた冷却循環器によって奪われ、これに伴って、徐々に熱が第二高温側熱交換器41側へと汲み上げられて第二低温側熱交換器43を冷却していく。これによって、第二低温側熱交換器43の冷熱を取り出して冷却対象物を冷却する。
【0041】
このように上記実施の形態によれば、音波発生装置3と音熱交換器4の中間位置に狭小部21を設けるようにしたので、その部分における粒子速度を速くすることができ、強制的にその部分を定在波における粒子速度の腹の位置に設定して、迅速に音波を発生させることができるようになる。また、自励によって音波を発生させる場合、第一高温側熱交換器31と第一低温側熱交換器33の温度差を低くしても、迅速に音波を発生させることができ、入力熱量や入力温度を格段に低くすることによってエネルギー変換効率を向上させることもできる。
【0042】
なお、上記第一の実施の形態では、ループ管2内に音波発生装置3と音熱交換器4を設けるようにしているが、管はループ状である必要はなく、図16に示すように、端部を有する直線状の管あるいは変形した管であってもよい。図16において、図1と同じ符号を示したものは同じ構成を有しており、中空体の内部に音波発生装置3と温熱交換器4とを設けている。この中空体は、図16においては直線状をなしているが、蛇行形状をなしていてもよい。また、この中空体は端部が閉じた状態であってもよく、もしくは、開口した状態であってもよい。あるいは、室内空間などのように比較的広い空間を形成するものであってもよい。
【0043】
また、上記実施の形態では、自励による音波を発生させる音波発生装置3を設けるようにしているが、自励による音波発生装置3に限らず、例えば、スピーカーなどのように強制的に音波を発生させるものであってもよい。
【0044】
さらには、上記実施の形態では、音波発生装置3と音熱交換器4の中間位置に狭小部21を設けるようにしているが、これに限らず、ループ管2内に発生させたい定在波の粒子速度の腹付近に狭小部21を設けるようにしてもよい。
【0045】
加えて、上記実施の形態では、音波発生装置3や音熱交換器4をそれぞれ一箇所ずつ設けるようにしているが、それらの数は一つである必要はなく、複数設けるようにしてもよい。また、狭小部21を中空体内に複数設けるようにしてもよい。
【0046】
<第二の実施の形態>
次に、本発明における第二の実施の形態について、図7を参照して説明する。なお、この実施の形態において、第一の実施の形態と同じ構成を有するものについては同じ符号を付して説明する。
【0047】
第二の実施の形態における熱音響装置1は、音波発生装置3と音熱交換器4とを有するループ管2に分岐管2eを接続し、この分岐管2e内にループ管2で発生させる定在波の1/4波長の整数倍となる音波を発生させ、共鳴現象を利用して迅速に音波を発生させるとともに、接続部分の開口部2dを音圧の腹の位置に設定できるようにしたものである。以下、第二の実施の形態における熱音響装置1の構成について詳細に説明する。
【0048】
まず、ループ管2は、第一の実施の形態と同様に、直線管部2aと腕部2cと連結管部2bとを設けて構成され、さらに、この直線管部2aに分岐管2eを接続している。これらの直線管部2aや腕部2c、連結管部2b、分岐管2eは、ほぼ全て同じ内径を有しており、狭小部21などを設けない構成となっている。そして、このループ管2内に音波発生装置3を設けるとともに、分岐管2e内に音熱交換器4を取り付けている。これらの音波発生装置3と音熱交換器4は、ほぼL/2の間隔で取り付けられる。なお、この実施の形態では、音熱交換器4は、分岐管2e側の開口部2d近傍に取り付けているが、図8に示すように、直線管部2a側に取り付けるようにしてもよい。また、音波発生装置3を分岐管2e内に取り付けるとともに、音熱交換器4をループ管2内に取り付けることもできる。
【0049】
そして、この実施の形態において、特徴的に、分岐管2eをループ管2の音熱交換器4の近傍に開口部2dを設けて接続し、ループ管2に発生する定在波と同じ波長を有する定在波をその内部に発生させる。分岐管2eはその開口部2dと反対側の端部25が閉じた状態であってもよく、あるいは、開いた状態であってもよい。反対側の端部25が閉じた状態の分岐管2eを接続する場合は、図9の上図に示すように、ループ管2内に発生する定在波の波長のn/2倍(n=1、2…)の長さに設定し、また、反対側の端部24も開口させた分岐管2eを接続する場合は、図9の下図に示すように、ループ管2に発生する定在波の波長の(2n-1)倍/4の長さに設定する。端部25の閉じた分岐管2eを接続する場合は、端部25の粒子速度が最小となり、逆に音圧が最大となる。これによって、分岐管2eの長さを定在波の波長のn/2倍とすれば、開口部2dの位置をちょうど音圧の腹の位置に設定することができる。一方、端部25が開口している場合は、その開口した端部25の粒子速度が最大となり、逆に音圧が最小(音圧の節)となる。これにより分岐管2eの長さを定在波の波長の(2n-1)倍/4の長さにすれば、開口部2dの位置をちょうど音圧の腹の位置に設定することができる。そして、この分岐管2eをループ管2に発生する定在波における音圧の腹の位置近傍に接続することによって、ループ管2と分岐管2eの交叉点である開口部2dでの粒子速度を一致させることができ、共鳴現象を用いて迅速に音波を発生させることができる。なお、ループ管2内に発生した音波から効率よく熱エネルギーを取り出す場合、音熱交換器4をその定在波における音圧の腹の位置に設けることが好ましい。しかしながら、図8に示すように、音熱交換器4をループ管2の直線管部2aに設けている場合は、この腹の位置に分岐管2eと音熱交換器4を同時に設けることができない。このため、このような場合においては、音熱交換器4の直近に分岐管2eを接続するか、もしくは、図10に示すように、第二のスタック42内にループ管2の軸方向に沿った導通路44と、これに直交する方向の導通路44を設けておき、この直交する側の導通路44の方向に開口部2dを設けて分岐管2eを接続するとよい。このようにすれば、音熱交換器4と分岐管2eの開口部2dの位置を定在波における音圧の腹に一致させることができ、エネルギー変換の効率と音波発生までの時間の短縮化を図ることができるようになる。
【0050】
このループ管2に接続される分岐管2eは、屈曲した状態であってもよく、または、直線状であってもよい。直線状の管である場合は、屈曲部での反射などがなくなるため、迅速に音波を発生させることができる。一方、屈曲した形状の分岐管2eを用いた場合は、主となる直線状の管部分をループ管2の直線管部2aと平行にさせることで、熱音響装置1自体をコンパクトなものにすることができる。また、屈曲した分岐管2eを接続する場合、ループ管2の外側から分岐管2eを接続することもできるが、このような構成であると、熱音響装置1が大きくなってしまう。このため、図11に示すように、ループ管内側の囲まれた部分に分岐管2eを接続することによって、装置全体をコンパクトなものにすることもできる。
【0051】
上記実施の形態では、分岐管2eを取り付けて粒子速度の最も遅くなる位置を設定するようにしているが、第一のスタック32や第二のスタック42の構成を工夫することによって粒子速度の最も遅くなる位置を強制的に設定することもできる。この構成を第二のスタック42を例に挙げて、図12に説明する。この第二のスタック42は、ループ管2の軸方向に沿った複数の導通路44を有するとともに、その導通路44におけるループ管2の軸方向と直交した方向に導通路遮蔽部45を設けるようにしている。このような導通路遮蔽部45は、例えば、分割された2つのスタックの間にフィルム状の膜を挟み込むことによって導通路44を遮蔽するものである。この導通路遮蔽部45は、薄い膜体だけでなく、導通路44を遮断するようなものであればどのようなものであってもよい。このように導通路遮蔽部45を設ければ、導通路44内に存在する作動流体の粒子速度をゼロにすることができるため、強制的に、第二のスタック42の膜の位置を粒子速度の節の位置に設定することができる。これによって、エネルギー変換の効率と音波発生までの時間の短縮化を図ることができる。なお、この導通路遮蔽部45は、図13や図14に示すように、第二のスタック42の上端部もしくは下端部に設けるようにすることもできる。このうち下端部側に導通路遮蔽部45を設けた場合は、ループ管2内を伝達してくる音波を導通路44内に入力させることができるとともに、導通路遮蔽部45によってその位置をちょうど音圧の腹の位置に設定することができる。
【0052】
また、図12から図14では、スタック32、42に導通路遮蔽部45を設けて強制的にその位置の粒子速度を低減させるようにしたが、図15に示すように、ループ管2の中空部分を遮蔽するような遮蔽部26をループ管内に設けるようにしてもよい。このようにすれば、同様に、その遮蔽部26の位置で強制的に粒子速度を低減させることができ、迅速に安定した定在波を発生させることができるようになる。この遮蔽部26は、ループ管2の中空部を遮蔽するようなものであればどのようなもので構成してもよく、例えば、板状体、薄いフィルム状の膜体のように比較的音波を遮断させることなく粒子速度を低減させるような部材を用いることができる。そして、この遮蔽部26を、第一のスタック32や第二のスタック42の近傍や、あるいは、粒子速度の最も遅くさせたい位置に設けるようにする。図15では、第二のスタック42の下方に遮蔽部26を設けるようにしているが、この第二のスタック42の上方、あるいは、第一のスタック32の上方や下方に遮蔽部26を設けるようにしてもよい。
【0053】
上記第二の実施の形態によれば、粒子速度を低減させるための開口部2dを有する分岐管2eを接続することによって、その開口部2dの位置を強制的に音圧の腹の位置に設定することができ、これにより、迅速に定在波を発生させることができるようになる。また、この実施の形態においても同様に、自励によって音波を発生させる場合、第一高温側熱交換器31と第一低温側熱交換器33の温度差を低くしても、迅速に音波を発生させることができ、入力熱量を低くすることによってエネルギー変換効率を向上させることもできる。
【0054】
なお、上記二つの実施の形態では、狭小部21を設ける構成である第一の実施の形態と、分岐管2eを設ける第二の実施の形態を別に説明したが、これらの構成を同時に用いることもできる。また、導通路遮蔽部45を有する第二のスタック42をこれとともに使用するようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、第一高温側熱交換器31に高温の熱を入力し、第二低温側熱交換器43から低い温度の熱を出力するようにしているが、これとは逆に、第一低温側熱交換器33から低い温度の熱を入力し、第二高温側熱交換器41から高い温度の熱を出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す熱音響装置の概略図
【図2】同形態における狭小部をスライドさせる機構を示す図
【図3】同形態において連結管部を細くした狭小部を示す図
【図4】同形態におけるスタック内の作動流体の状態を示す図
【図5】同形態におけるスタック内の作動流体の状態を示す図
【図6】同形態におけるループ管を展開した状態における定在波の状態を示す図
【図7】本発明の第二の実施の形態における熱音響装置の概略図
【図8】同形態における直線管部に音熱交換器を取り付けた熱音響装置の概略図
【図9】同形態における分岐管に発生する音波の状態を示す図
【図10】同形態における第二のスタックの別の例を示す図
【図11】同形態において分岐管をループ管の内側に取り付けた状態を示す図
【図12】同形態における導通路遮蔽部を設けた第二のスタックを示す図
【図13】同形態における導通路遮蔽部を設けた第二のスタックを示す図
【図14】同形態における導通路遮蔽部を設けた第二のスタックを示す図
【図15】同形態におけるループ管に遮蔽部を設けた構成を示す図
【図16】同形態において直線状に構成した中空体を用いた熱音響装置を示す図
【図17】従来例における熱音響装置
【図18】従来例における熱音響装置
【符号の説明】
【0057】
1・・・熱音響装置
2・・・ループ管
2a・・・直線管部
2b・・・連結管部
2c・・・腕部
2d・・・開口部
2e・・・分岐管
21・・・狭小部
22・・・狭小経路
23・・・スリット部
24・・・突出片
25・・・分岐管の反対側の端部
26・・・遮蔽部
3・・・音波発生装置
31・・・第一高温側熱交換器
32・・・第一のスタック
33・・・第一低温側熱交換器
34・・・導通路
4・・・音熱交換器
41・・・第二高温側熱交換器
42・・・第二のスタック
43・・・第二低温側熱交換器
44・・・導通路
45・・・導通路遮蔽部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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