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明細書 :三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5515093号 (P5515093)
公開番号 特開2010-133938 (P2010-133938A)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
公開日 平成22年6月17日(2010.6.17)
発明の名称または考案の名称 三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法
国際特許分類 G21F   9/06        (2006.01)
C01B  31/02        (2006.01)
C01B  31/04        (2006.01)
FI G21F 9/06 581J
C01B 31/02 101B
C01B 31/02 101F
C01B 31/04 101B
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2009-241686 (P2009-241686)
出願日 平成21年10月20日(2009.10.20)
優先権出願番号 2008277239
優先日 平成20年10月28日(2008.10.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年8月1日(2012.8.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】有阪 真
【氏名】渡邉 雅之
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】村川 雄一
参考文献・文献 特開2003-215292(JP,A)
特開2007-212316(JP,A)
特開平01-215727(JP,A)
Eiko Akatsu, Reiko Ono, Kuniko Tsukuechi, Hirokatsu Uchiyama,Radiochemical Study of Adsorption Behavior of Inorganic Ions on Zirconium Phosphate, Silica Gel and Charcoal,Journal of Nuclear Science and Technology,日本原子力学会,1965年,Vol 2, No 4,141-148
調査した分野 G21F 9/00 - 9/36
C01B 31/02
C01B 31/04
G21C 19/46
B01J 20/20
G01N 30/88
特許請求の範囲 【請求項1】
溶液中の三価ランタノイドと三価アクチノイドをクロマトグラフ法により分離する方法において、炭素系材料を固定相として用い、三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液の液性を酸性に調整して前記固定相に接触させることを特徴とする三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法。
【請求項2】
炭素系材料が、活性炭、炭素粉末またはカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1に記載の三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法。
【請求項3】
三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液をpH1~4の範囲の液性に調整することを特徴とする請求項1または2に記載の三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法。
【請求項4】
塩類を含む溶液中の三価ランタノイドと三価アクチノイドを分離することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法。
【請求項5】
三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液が、硝酸酸性溶液、塩酸酸性溶液または硫酸酸性溶液であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法。
【請求項6】
三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液が、高レベル放射性廃液であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所により発生する使用済み燃料は、ピューレックス法と呼ばれる溶媒抽出プロセスで再処理され、ウラン(U)やプルトニウム(Pu)を抽出した残液が高レベル放射性廃液として発生する。この高レベル放射性廃液にはさまざまな放射性元素が含まれるため、種々の元素を放射能レベルや寿命、発熱性等の性質によって幾つかの元素グループに分離し、それぞれ合理的な処理処分を講ずることは、廃棄物処分の経済性および効率性の向上、環境負荷の低減、資源の有効利用等の観点から極めて重要である。中でも高レベル放射性廃液中に含まれるアメリシウムやキュリウム等の三価のアクチノイドは長寿命であり毒性が長期間にわたって存在するため、高レベル放射性廃液から分離した後は、核変換処理等を行い、無毒化もしくは低毒性化を図る安全かつ確実な処分法が探求されている。
【0003】
ところで高レベル放射性廃液中には、中性子吸収断面積の大きい三価のランタノイドが核分裂生成物等として多量に含まれている。このものは三価のアクチノイドとイオン半径や原子価が同じであり、化学処理や分離操作において類似の挙動を示すため、三価ランタノイドから三価アクチノイドを分離することは容易ではない。これまで三価ランタノイドと三価アクチノイドを分離する方法としては、代表的には下記のように(A)溶媒抽出法と、(B)クロマトグラフ法による方法が知られている。
(A)溶媒抽出法
a)CYANEX301による方法
ジ(2,4,4-トリメチルフェニル)ジチオリン酸(CYANEX301、カナダCYTEC社)を用いることにより、アメリシウムとユウロピウムを分離するものである(例えば特許文献1参照)。この方法は、CYANEX301を99%以上にまで精製する必要があり、またCYANEX301は酸性溶液に対して化学的安定性が低いという問題がある。したがって定常的に分離を行う場合にはCYANEX301の特性維持を行う必要があり、簡便な方法とはいえない。
【0004】
b)BTPによる方法
ビストリアジニルピリジン(BTP)の誘導体(正式名:2,6-ジ(5,6-アルキル-1,2,4-トリアジン-3-イル)ピリジン)を用いてアメリシウムとユウロピウムを分離するものである。この化合物は、化学安定性が非常に低く、長時間の使用に耐えないという問題がある。加えて、有機溶媒への溶解度が低いため、極性の高い有機溶媒や界面活性剤を組み合わせて用いる必要があり、簡便な方法とはいえない。
【0005】
c)BTBPによる方法
ビストリアジニルビピリジン(BTBP)の誘導体(正式名:6,6’-ビス(5,6-ジアルキル-1,2,4-トリアジン-3-イル)ビピリジン)を用いてアメリシウムとユウロピウムを分離するものである。この化合物は、化学安定性には問題がないものの、有機溶媒への溶解度が低いため、極性の高い有機溶媒や界面活性剤を組み合わせて用いる必要があり、簡便な方法とはいえない。
(B)クロマトグラフ法
球状シリカゲルをポリスチレン-ジビニルベンゼンでポリマーをコーティングし、これに、上記BTPを含浸させ、クロマト樹脂として用いることで、アメリシウムとユウロピウムを分離するものである。この方法は、BTPの化学的脆弱性に加え、BTPがクロマト樹脂から溶出してしまうため、溶離対象水溶液にあらかじめBTPを溶解させておく必要があり、簡便な方法とはいえない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2005-61971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来法による三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法は上記のとおり、いずれも簡便な方法とはいえなかった。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、溶液中の三価ランタノイドと三価アクチノイドを簡便に分離できる三価ランタノイドと三価アクチノイドの分離方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0010】
第1に、溶液中の三価ランタノイドと三価アクチノイドをクロマトグラフ法により分離する方法において、炭素系材料を固定相として用い、三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液の液性を酸性に調整して前記固定相に接触させる。
【0011】
第2に、上記第1の発明において、炭素系材料が、活性炭、炭素粉末またはカーボンナノチューブである。
【0012】
第3に、上記第1または第2の発明において、三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液をpH1~4の範囲の液性に調整する。
【0013】
第4に、上記第1から第3のいずれかの発明において、塩類を含む溶液中の三価ランタノイドと三価アクチノイドを分離する。
【0014】
第5に、上記第1から第4のいずれかの発明において、三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液が、硝酸酸性溶液、塩酸酸性溶液または硫酸酸性溶液である。
【0015】
第6に、上記第1から第5のいずれかの発明において、三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液が、高レベル放射性廃液である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、安価な活性炭や炭素粉末、もしくはカーボンナノチューブ等化学的に安定な炭素系材料を用い、分離対象元素を含む溶液のpHを酸性に調整することにより、塩濃度に配慮することなく、また分離基材の特殊な前処理や素材の改良をすることなく、極めて簡便に三価ランタノイドと三価アクチノイドを効率よく分離することができる。これに加え、本発明に用いられる炭素系材料の一つである活性炭は、日常的、工業的に各種用途に利用されておりその製法のみならず、廃棄物処理についてもその方法が確立されており、入手およびその取り扱い性が容易であるという利点も有する。さらに本発明は、クロマトグラフ法により分離するため、溶媒抽出法にみられるような試薬の溶解度や相分離等の問題も発生せず、さまざまな分離条件に対応できる画期的な方法である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】活性炭をカラムに充てんして行ったアメリシウムおよびユウロピウムのクロマトグラフによる分離を示した図である。
【図2】各種ランタノイド元素の分配係数および同条件で行ったアメリシウムの分配係数を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は前記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。

【0019】
本発明は、溶液中の三価ランタノイドと三価アクチノイドをクロマトグラフ法により三価ランタノイドと三価アクチノイドを分離するものである。すなわち、分離対象物質として三価ランタノイドおよび三価アクチノイドを含む溶液を固定相に接触させ、前記固定相の各々の分離対象物質の保持時間の相違をもって三価ランタノイドと三価アクチノイドを分離するものである。そして本発明において何よりも重要なことは、(1)固定相として炭素系材料を用いること、(2)分離対象物質を含む溶液の液性を酸性に調整して固定相に接触させること、により、極めて簡便に三価ランタノイドと三価アクチノイドを良好に分離できることである。

【0020】
固定相として用いる炭素系材料の具体例としては、例えば、活性炭、炭素粉末(グラファイト)等を挙げることができる。これら活性炭や炭素粉末は、球状、破砕品、繊維状、ペレット状等、各種の形状であってよく、球状や破砕品である場合には、例えば、その平均粒子径が50~500μm程度、比表面積が30~1500m/g程度、繊維状である場合には、その繊維径が10~50μm程度、比表面積が30~1500m/g程度のものを用いることができる。これらはカラムの充填材として市販されているものを用いることができ、安価に入手することができる。また、化学的に安定なカーボンナノチューブやフラーレン等を用いてもよく、市販されているものを用いることができる。

【0021】
本発明では、分離対象物質を含む溶液の液性を酸性に調整しているが、ここで分離対象物質を含む溶液を硝酸酸性溶液とすることができる。あるいは硝酸酸性溶液ではなく、塩酸酸性溶液や硫酸酸性溶液であってもよい。また、高レベル放射性廃液は硝酸酸性溶液であるため、これを本発明の分離対象物質を含む溶液として用いてもよい。そして好ましくはpH1~4の範囲に液性を調整する。pHが4より中性側では金属イオンが加水分解などを起こし不定形になる場合があるため、分離対象物質を良好に分離するという観点からpH4以下に液性を調整することが望ましい。

【0022】
また、分離対象物質を含む溶液に塩類が含まれていても構わない。本発明によれば、塩の存在に依存せずに溶液中の三価ランタノイドと三価アクチノイドを分離することができる。塩類の具体例としては、アンモニウム塩、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、有機酸塩などの金属塩や塩化物等を挙げることができる。

【0023】
本発明は、以上のように炭素系材料を固定相として用い、分離対象物質として三価ランタノイドと三価アクチノイドを含む溶液の液性を酸性に調整して前記固定相に接触させて、溶液中の三価ランタノイドと三価アクチノイドを分離するものであるが、分離対象物質を含む溶液を固定相に接触させる方法については各種の方法であってよい。例えば、固定相としての炭素系材料をカラムに充填し、一端から分離対象物質を含む溶液を通液してもよいし、容器に分離対象物質を含む溶液および炭素系材料を入れて攪拌または振とうしてもよい。

【0024】
固定相から分離対象物質を溶離させる場合には、上記の方法と同様の方法で溶離液を固定相に接触させることにより、分離対象物質を固定相から溶液相に移行させることができる。ここで溶離液としては、分離対象物質を含む溶液と同種の酸性溶液を用い、酸濃度も同程度にしたものを用いることができる。

【0025】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例】
【0026】
<実施例1>
乾燥重量50mgの活性炭(和光純薬工業(株)、カタログ番号:031-02135)と、トレーサー量(10-9M程度)のユウロピウム-152およびトレーサー量(10-9M程度)のアメリシウム-241を含むpH1から3程度に調整した硝酸酸性水溶液を2mlとをバイアル中で3時間振とうした。振とう後、平衡に達した水相のユウロピウム-152およびアメリシウム-241のガンマ線をゲルマニウム検出器で検出しそのエネルギースペクトルをマルチチャンネルアナライザー(多重波高分析器)で波高分析することで、アメリシウムおよびユウロピウムの固定相への吸着物質量および溶液中への残留物質量を算出し、アメリシウムおよびユウロピウムそれぞれの分配係数(K:固定相に移行した物質量の水相に残留した物質量に対する比率)を得た。その結果の一覧と平衡時のpHを表1に示す。また、アメリシウムとユウロピウムの分離の効率を表す分離係数(アメリシウム分配係数のユウロピウム分配係数に対する比率)も併せて表1に示した。
【実施例】
【0027】
【表1】
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【実施例】
【0028】
本実施例により、上記条件下でアメリシウムの分配係数がユウロピウムのそれよりも大きくなり、酸濃度1M以下の酸性条件下で分離係数は1よりも大きく、アメリシウムとユウロピウムとを分離可能であることがわかる。
<実施例2>
乾燥重量50mgの活性炭(和光純薬工業(株)、カタログ番号:031-02135)と、塩の存在の影響を調べるため、イオン強度を一定にし、3M硝酸ナトリウムを含む、トレーサー量(10-9M程度)のユウロピウム-152およびトレーサー量(10-9M程度)のアメリシウム-241を含むpH1から3程度に調整した硝酸酸性水溶液2mlとをバイアル中で3時間振とうした。振とう後、平衡に達した水相のユウロピウム-152およびアメリシウム-241のガンマ線をゲルマニウム検出器で検出しそのエネルギースペクトルをマルチチャンネルアナライザー(多重波高分析器)で波高分析することで、アメリシウムおよびユウロピウムの固定相への吸着物質量および溶液中への残留物質量を算出し、アメリシウムおよびユウロピウムそれぞれの分配係数(K:固定相に移行した物質量の水相に残留した物質量に対する比率)を得た。その結果の一覧と平衡時のpHを表2に示す。また、アメリシウムとユウロピウムの分離の効率を表す分離係数(アメリシウム分配係数のユウロピウム分配係数に対する比率)も併せて表2に示した。
【実施例】
【0029】
【表2】
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【実施例】
【0030】
本実施例により、塩が存在する条件下においても、アメリシウムの分配係数がユウロピウムのそれよりも大きくなり、酸濃度1M以下の酸性条件下で分離係数は1よりも大きく、アメリシウムとユウロピウムとを分離可能であることがわかる。中でもpHが1~4の範囲においては分離係数がより大きくなっており、アメリシウムとユウロピウムとを良好に分離できることがわかる。
<実施例3>
乾燥重量50mgの活性炭(和光純薬工業(株)、カタログ番号:031-02135)と、トレーサー量(10-9M程度)のユウロピウム-152およびトレーサー量(10-9M程度)のアメリシウム-241を含むpH1から3程度に調整した塩酸酸性水溶液2mlとをバイアル中で3時間振とうした。振とう後、平衡に達した水相のユウロピウム-152およびアメリシウム-241のガンマ線をゲルマニウム検出器で検出しそのエネルギースペクトルをマルチチャンネルアナライザー(多重波高分析器)で波高分析することで、アメリシウムおよびユウロピウムの固定相への吸着物質量および溶液中への残留物質量を算出し、アメリシウムおよびユウロピウムそれぞれの分配係数(K:固定相に移行した物質量の水相に残留した物質量に対する比率)を得た。その結果の一覧と平衡時のpHを表3に示す。また、アメリシウムとユウロピウムの分離の効率を表す分離係数も併せて表3に示した。
【実施例】
【0031】
【表3】
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【実施例】
【0032】
本実施例により、塩酸酸性下でもアメリシウムの分配係数がユウロピウムのそれよりも大きくなり、分離係数は1よりも大きく、アメリシウムとユウロピウムとを分離可能であることがわかる。
<実施例4>
乾燥した活性炭(和光純薬工業(株)、カタログ番号:031-02135)を約pH2に調整した硝酸酸性水溶液に浸したものを直径5ミリ、長さ45センチのガラスカラムに充てんする。そこに、トレーサー量(10-8M程度)のユウロピウム-152およびトレーサー量(10-8M程度)のアメリシウム-241を含むpH2程度に調整した硝酸酸性水溶液100μlを装荷する。pH1に調整した硝酸酸性水溶液を0.1ml/分で溶離した結果を図1に示す。
【実施例】
【0033】
本実施例により、アメリシウムの溶離ピークと、ユウロピウムの溶離ピークが十分離れており、アメリシウムとユウロピウムとの分離が可能であることがわかる。
<実施例5>
乾燥重量50mgの活性炭(和光純薬工業(株)、カタログ番号:031-02135)と、3M硝酸ナトリウムを含む、トレーサー量(10-9M程度)の各種ランタノイドイオンを含むpH1から3程度に調整した硝酸酸性水溶液2mlとをバイアル中で3時間振とうした。振とう後、平衡に達した水相の各種ランタノイドイオンの濃度をICP発光測定装置で測定することで、各種ランタノイドイオンの分配係数(K:固定相に移行した物質量の水相に残留した物質量に対する比率)を得た。その結果を図2に示す。なお、平衡時のpHは2.5であった。また、同条件で測定したアメリシウムの分配係数も併せて図2に示す。
<実施例6>
乾燥重量50mgの炭素粉末(STREM CHEMICALS、Carbon Powderカタログ番号:93-0602)と、トレーサー量(10-9M程度)のユウロピウム-152およびトレーサー量(10-9M程度)のアメリシウム-241を含むpH1から3程度に調整した硝酸酸性水溶液2mlとをバイアル中で3時間振とうした。振とう後、平衡に達した水相のユウロピウム-152およびアメリシウム-241のガンマ線をゲルマニウム検出器で検出しそのエネルギースペクトルをマルチチャンネルアナライザー(多重波高分析器)で波高分析することで、アメリシウムおよびユウロピウムの固定相への吸着物質量および溶液中への残留物質量を算出し、アメリシウムおよびユウロピウムそれぞれの分配係数(K:固定相に移行した物質量の水相に残留した物質量に対する比率)を得た。その結果の一覧と平衡時のpHを表4に示す。また、表中にアメリシウムとユウロピウムの分離の効率を表す分離係数も併せて示した。
【実施例】
【0034】
【表4】
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【実施例】
【0035】
本実施例により、アメリシウムの分配係数がユウロピウムのそれよりも大きくなり、分離係数は1よりも大きく、アメリシウムとユウロピウムとを分離可能であることがわかる。
<実施例7>
乾燥重量50mgのカーボンナノチューブ(和光純薬工業(株)、Carbon Nanotube,Multi-walled,3-20nmカタログ番号:323-43381)と、トレーサー量(10-9M程度)のユウロピウム-152およびトレーサー量(10-9M程度)のアメリシウム-241を含むpH1から3程度に調整した硝酸酸性水溶液2mlとをバイアル中で3時間振とうした。振とう後、平衡に達した水相のユウロピウム-152およびアメリシウム-241のガンマ線をゲルマニウム検出器で検出しそのエネルギースペクトルをマルチチャンネルアナライザー(多重波高分析器)で波高分析することで、アメリシウムおよびユウロピウムの固定相への吸着物質量および溶液中への残留物質量を算出し、アメリシウムおよびユウロピウムそれぞれの分配係数(K:固定相に移行した物質量の水相に残留した物質量に対する比率)を得た。その結果の一覧と平衡時のpHを表5に示す。また、表中にアメリシウムとユウロピウムの分離の効率を表す分離係数も併せて示した。
【実施例】
【0036】
【表5】
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【実施例】
【0037】
本実施例により、アメリシウムの分配係数がユウロピウムのそれよりも大きくなり、分離係数は1よりも大きく、アメリシウムとユウロピウムとを分離可能であることがわかる。
<実施例8>
乾燥重量50mgの活性炭(和光純薬工業(株)、カタログ番号:031-02135)、炭素粉末(STREM CHEMICALS、Carbon Powderカタログ番号:93-0602)およびカーボンナノチューブ(和光純薬工業(株)、Carbon Nanotube,Multi-walled,3-20nmカタログ番号:323-43381)と、トレーサー量(10-9M程度)のユウロピウム-152およびトレーサー量(10-9M程度)のキュリウム-244を含むpH1から3程度に調整した硝酸酸性水溶液2mlとをバイアル中で3時間振とうした。振とう後、平衡に達した水相のユウロピウム-152およびキュリウム-244の放射能を実施例1と同様の方法で測定し、ユウロピウムおよびキュリウムの固定相への吸着物質量および溶液中への残留物質量を算出し、ユウロピウムおよびキュリウムそれぞれの分配係数(K:固定相に移行した物質量の水相に残留した物質量に対する比率)を得た。平衡時のpHが約2のときの分配係数の一覧を表6に示す。また、表中にユウロピウムとキュリウムの分離の効率を表す分離係数(キュリウムの分配係数のユウロピウムの分配係数に対する比率)も併せて示した。
【実施例】
【0038】
【表6】
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【実施例】
【0039】
本実施例により、キュリウムの分配係数がユウロピウムのそれよりも大きくなり、分離係数は1よりも大きく、キュリウムとユウロピウムとを分離可能であることがわかる。この実施例から、アメリシウムに限定されない3価アクチノイドが、ランタノイドから分離可能であることがわかる。
図面
【図1】
0
【図2】
1