TOP > 国内特許検索 > セレノリン酸塩化物及びその製造方法 > 明細書

明細書 :セレノリン酸塩化物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4538638号 (P4538638)
登録日 平成22年7月2日(2010.7.2)
発行日 平成22年9月8日(2010.9.8)
発明の名称または考案の名称 セレノリン酸塩化物及びその製造方法
国際特許分類 C07F   9/6574      (2006.01)
C07F   9/24        (2006.01)
FI C07F 9/6574 CSPZ
C07F 9/24 F
請求項の数または発明の数 2
全頁数 33
出願番号 特願2005-517906 (P2005-517906)
出願日 平成16年12月9日(2004.12.9)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成15年12月12日 富山大学で開催された社団法人日本化学会主催の第30回ヘテロ原子化学討論会において文書をもって発表
特許法第30条第1項適用 平成15年12月11日 第30回ヘテロ原子化学討論会講演要旨集250~251頁に発表
国際出願番号 PCT/JP2004/018380
国際公開番号 WO2005/077961
国際公開日 平成17年8月25日(2005.8.25)
優先権出願番号 2004039043
優先日 平成16年2月16日(2004.2.16)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年5月31日(2006.5.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】村井 利昭
【氏名】木村 力
【氏名】森下 健
個別代理人の代理人 【識別番号】100068755、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 博宣
【識別番号】100105957、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 誠
審査官 【審査官】本堂 裕司
参考文献・文献 SUAREZ,A. et al,Electronic Differences between Coordinating Functionalities of Chiral Phosphine-Phosphites and Effects in Catalytic Enantioselective Hydrogenation,Organometallics,2002年,Vol.21, No.22,p.4611-4621
KECK,H. et al,Mass-spectrometric studies of organophosphorus compounds. III. Remarkable migration of chalcogen on electron impact of organophosphorus compounds,Organic Mass Spectrometry,1980年,Vol.15, No.11,p.591-2
木村力,P-キラルセレノホスフィン酸クロリドの合成と反応,第30回ヘテロ原子化学討論会講演要旨集,日本,第30回ヘテロ原子化学討論会準備委員会,2003年12月11日,250-251
SHI, Min et al.,Chiral diphenylselenophosphoramides: a new class of chiral ligands for the titanium(IV) alkoxide-promoted addition of diethylzinc to aldehydes,Tetrahedron: Asymmetry,2000年,11(3),835-841
KIMURA, Tsutomu et al.,P-Chiral phosphinoselenoic chlorides and optically active P-chiral phosphinoselenoic amides: Synthesis and stereospecific interconversion with extrusion and addition reactions of the selenium atom,Chemistry Letters,2004年,33(7),878-879
調査した分野 C07F 9/6574
C07F 9/24
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(7)で示される構造を有し、(R)体又は(S)体であるセレノリン酸塩化物。
【化6】
JP0004538638B2_000047t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシリル基を示す。)
【請求項2】
請求項に記載のセレノリン酸塩化物の製造方法であって、三塩化リン、トリエチルアミン、下記一般式(8)で示される構造を有し(R)体又は(S)体であるビナフトール誘導体、及びセレンを相互に反応させることを特徴とするセレノリン酸塩化物の製造方法。
【化7】
JP0004538638B2_000048t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシリル基を示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なセレノホスフィン酸アミド、セレノリン酸アミド、セレノリン酸塩化物及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リン原子にセレン原子が結合しているセレノホスフィン酸及びセレノリン酸では、セレン原子以外にも水素原子、フェニル基等のアリール基、メチル基等のアルキル基、又はメトキシ基等のアルコキシ基がリン原子に結合しており、例えばハロゲン化銀写真感光材料の分光感度を高めるためのセレン増感剤として用いられている(例えば、特許文献1~7参照。)。

【特許文献1】特開平5-40324号公報
【特許文献2】特開平5-224332号公報
【特許文献3】特開平5-224333号公報
【特許文献4】特開平6-43576号公報
【特許文献5】特開平11-24195号公報
【特許文献6】特開2002-214736号公報
【特許文献7】特開平6-258758号公報
【発明の開示】
【0003】
本発明者らは、鋭意研究を重ねることによって、新規で、かつ空気中で安定なセレノホスフィン酸アミド、セレノリン酸アミド及びセレノリン酸塩化物を見出した。さらに、本発明者らは、セレノホスフィン酸アミド及びセレノリン酸アミドが例えばハロゲン化銀写真感光材料の分光感度を高めるセレン増感剤として有用であり、セレノリン酸塩化物が例えばラセミ体から光学活性化合物を分離するためのキラル識別化剤として有用であることを見出した。本発明はこうして得られた知見に基づくものであり、空気中で安定なセレノホスフィン酸アミド、セレノリン酸アミド、セレノリン酸塩化物及びそれらの製造方法を提供する。
【0013】
本発明の態様では、下記一般式(7)で示される構造を有し、(R)体又は(S)体であるセレノリン酸塩化物が提供される。このセレノリン酸塩化物は、空気中で安定で、光学活性を発揮する。
【0014】
【化6】
JP0004538638B2_000002t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシリル基を示す。)
本発明のの態様では、前記一般式(7)で示される構造を有し、(R)体又は(S)体であるセレノリン酸塩化物の製造方法であって、三塩化リン、トリエチルアミン、下記一般式(8)で示される構造を有し(R)体又は(S)体であるビナフトール誘導体、及びセレンを相互に反応させるセレノリン酸塩化物の製造方法が提供される。このセレノリン酸塩化物の製造方法によれば、空気中で安定で、光学活性を発揮するセレノリン酸塩化物の製造が容易である。
【0015】
【化7】
JP0004538638B2_000003t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシリル基を示す。)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本実施形態に係るセレノホスフィン酸アミドは、下記一般式(1)で示される構造を有する化合物である。
【0017】
【化8】
JP0004538638B2_000004t.gif
(式中、Phはフェニル基を示し、R1及びR2はそれぞれアルキル基を示し、R3は水素原子又はアルキル基を示し、R2及びR3から選ばれる少なくとも一方がキラルなアルキル基を示す。)
前記RからRにおいて、アルキル基としてはメチル基、1-フェニルエチル基、1-(1-ナフチル)エチル基、1-シクロヘキシルエチル等のエチル基、イソプロピル基等のプロピル基又はtert-ブチル基等のブチル基が挙げられる。ここで、アルキル基には、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が含まれる。
【0018】
このセレノホスフィン酸アミドは空気中で安定であり、ハロゲン化銀写真感光材料の分光感度を高めるためのセレン増感剤、及び不斉合成反応等の各種反応における配位子や配位子供給源として有用である。さらに、セレノホスフィン酸アミドは、前記一般式(1)中のR2及びR3から選ばれる少なくとも一方のキラルなアルキル基に起因して不斉中心を2個以上含有し、光学活性を発揮する。ここで、キラルなアルキル基とは、(R)配置及び(S)配置を有するアルキル基のことである。キラルなアルキル基としては、1-フェニルエチル基、1-(1-ナフチル)エチル基又は1-シクロヘキシルエチル基が挙げられる。従って、セレノホスフィン酸アミドは、3価のリン(P)を有する光学活性化合物の原料としても有用である。
【0019】
例えば、下記反応式(9)に示すように、セレノホスフィン酸アミドにトリブチルホスフィン等の還元剤を反応させることにより、医薬品の中間体の合成に用いられるアミノホスフィンが得られる。このアミノホスフィンは光学活性を発揮し、不斉合成における光学活性配位子供給源としても用いられるとともに、金属原子に配位結合して金属錯体を形成する。この金属錯体は、鏡像異性体を有する化合物の合成反応の触媒として用いられることにより、合成される化合物の立体配置の選択性を容易に高める。
【0020】
【化9】
JP0004538638B2_000005t.gif
セレノホスフィン酸アミドは、前記一般式(1)中のR1がイソプロピル基、tert-ブチル基又はシクロヘキシル基を示し、R2が1-フェニルエチル基、1-(1-ナフチル)エチル基又は1-シクロヘキシルエチル基を示し、R3が水素原子を示す構造を有することが、空気中での安定性が特に高いために好ましい。
【0021】
セレノホスフィン酸アミドは、下記一般式(2)で示される構造を有するセレノホスフィン酸塩化物と、下記一般式(3)で示される構造を有するアミンのリチウム塩とを反応させることにより製造される(下記反応式(10)参照)。ここで、セレノホスフィン酸塩化物及びアミンのリチウム塩は、それぞれ光学活性体でもよいしラセミ体でもよい。
【0022】
【化10】
JP0004538638B2_000006t.gif
(式中、Phはフェニル基を示し、R1はアルキル基を示す。)
【0023】
【化11】
JP0004538638B2_000007t.gif
(式中、R2はアルキル基を示し、R3は水素原子又はアルキル基を示し、R2及びR3から選ばれる少なくとも一方がキラルなアルキル基を示す。)
【0024】
【化12】
JP0004538638B2_000008t.gif
このセレノホスフィン酸アミドの製造方法では、セレノホスフィン酸塩化物の溶液及びアミンのリチウム塩の溶液を0℃程度の低温で混合して反応溶液を調製した後、該反応溶液を加熱することが好ましい。このとき、各溶液を低温で混合することにより各溶液中の成分の分解を防止し、反応溶液を加熱することにより前記反応式(10)の反応が促進されるという利点がある。ここで、セレノホスフィン酸塩化物及びアミンのリチウム塩の反応割合は当量比で1:1であることが好ましい。またこのとき、塩化リチウムが副生成物として生成される。反応に用いられる溶媒は各成分を溶解させるものであれば特に限定されないが、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒が前記反応式(10)の反応を阻害しないとともに各成分の溶解性が高いために好ましい。前記反応式(10)の反応温度の下限は0℃が好ましく、上限は溶媒の沸点が好ましい。反応温度が0℃未満ではセレノホスフィン酸アミドの製造効率が低下し、逆に溶媒の沸点を超えると反応溶液の溶媒が揮発しやすくなる。前記反応溶液の加熱時間、即ち前記反応式(10)の反応時間は1~3時間が好ましい。反応時間が1時間未満では前記反応式(10)の反応を十分に進行させることができず、逆に3時間を超えるとセレノホスフィン酸アミドの製造効率が低下しやすい。
【0025】
このセレノホスフィン酸アミドの製造方法では、セレノホスフィン酸アミドは2つの立体異性体の混合物であるジアステレオマーとして得られる。このため、セレノホスフィン酸アミドを製造した後、再結晶やクロマトグラフィを用いた分離によって各立体異性体を分離する精製操作を行うことが好ましい。
本実施形態に係るセレノリン酸アミドは、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物である。
【0026】
【化13】
JP0004538638B2_000009t.gif
(式中、R4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシリル基を示し、R5は-NR67又はアルキルピペリジル基を示す。R6は水素原子又はアルキル基を示し、R7はアルキル基を示す。)
【0027】
前記R及びRにおいて、ハロゲン原子としては塩素原子が挙げられ、アルキル基としてはメチル基、1-フェニルエチル基、1-(1-ナフチル)エチル基、1-シクロヘキシルエチル基等のエチル基、1-メチルプロピル基又は1,2-ジメチルプロピル基等のプロピル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基が挙げられ、アルコキシ基としてはメンチルオキシ基が挙げられ、シリル基としてはトリメチルシリル基が挙げられる。アルキルピペリジル基としては2-メチルピペリジル基が挙げられる。セレノリン酸アミドは空気中で安定であり、セレノホスフィン酸アミドと同様に、前記セレン増感剤、不斉合成反応等の各種反応における配位子や配位子供給源、及び医薬品の中間体の合成に用いられるアミノホスフィンの原料として有用である。ここで、セレノリン酸アミド由来のアミノホスフィンは、セレノリン酸アミドにトリブチルホスフィン等の還元剤を反応させることにより得られる。セレノリン酸アミドは、一般式(4)中のR5が2-メチルピペリジル基を示す構造を有することが好ましい。また、セレノリン酸アミドは、一般式(4)中のR5が-NR67を示し、R6が水素原子又は1-フェニルエチル基を示し、R7が1-フェニルエチル基、1-(1-ナフチル)エチル基、1-メチルプロピル又は1,2-ジメチルプロピル基を示す構造を有することが好ましい。これらセレノリン酸アミドの空気中での安定性は特に高い。
【0028】
セレノリン酸アミドは、前記一般式(4)中のR5がキラルなアルキルピペリジル基を示す構造を有することが好ましい。ここで、キラルなアルキルピペリジル基とは、キラルなアルキル基を有するピペリジル基のことである。また、セレノリン酸アミドは、前記一般式(4)中のR5が-NR67を示し、R6及びR7から選ばれる少なくとも一方がキラルなアルキル基を示す構造を有することが好ましい。これらセレノリン酸アミドは、キラルなアルキルピペリジル基又はキラルなアルキル基に起因して不斉中心を1個以上含有し、光学活性をそれぞれ発揮する。キラルなアルキルピペリジル基としては2-メチルピペリジル基が挙げられる。一方、キラルなアルキル基としては1-フェニルエチル基、1-(1-ナフチル)エチル基、1-メチルプロピル基又は1,2-ジメチルプロピル基が挙げられる。光学活性を発揮するセレノリン酸アミド(以下、光学活性セレノリン酸アミドという。)は、セレノホスフィン酸アミドと同様に、前記光学活性化合物の原料として有用である。光学活性セレノリン酸アミドから得られるアミノホスフィンは、セレノホスフィン酸アミドから得られるアミノホスフィンと同様に、光学活性配位子供給源として用いられる他に、金属原子と金属錯体を形成して鏡像異性体を有する化合物の合成反応の触媒として用いられる。
【0029】
セレノリン酸アミドは、下記一般式(5)で示される構造を有するセレノリン酸塩化物と、下記一般式(6)で示される構造を有するアミンとを反応させることにより製造される(下記反応式(11)参照)。
【0030】
【化14】
JP0004538638B2_000010t.gif
(式中、R4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシリル基を示す。)
5-M …(6)
(式中、R5は-NR67又はアルキルピペリジル基を示し、Mは水素原子又はリチウム原子を示す。R6は水素原子又はアルキル基を示し、R7はアルキル基を示す。)
【0031】
【化15】
JP0004538638B2_000011t.gif
このセレノリン酸アミドの製造方法では、0℃や25℃程度の低温でセレノリン酸塩化物及びアミンを同じ溶媒に溶解させて反応溶液を調製した後、該反応溶液を加熱することが好ましい。このとき、低温でセレノリン酸塩化物及びアミンを溶解させることによりこれらの分解を抑制し、反応溶液を加熱することにより前記反応式(11)の反応が促進されるという利点がある。ここで、セレノリン酸塩化物及びアミンの反応割合は当量比で1:2であり、塩化水素又は塩化リチウムが副生成物として生成される。反応に用いられる溶媒は各成分を溶解させるものであれば特に限定されないが、トルエン等のベンゼン系溶媒やTHF等のエーテル系溶媒が前記反応式(11)の反応を阻害しないとともに各成分の溶解性が高いために好ましい。前記反応溶液の加熱温度、即ち前記反応式(11)の反応温度は65~110℃が好ましい。反応温度が65℃未満ではセレノリン酸アミドの製造効率が低下し、逆に110℃を超えるとセレノリン酸アミドが分解しやすくなる。前記反応溶液の加熱時間、即ち前記反応式(11)の反応時間は2~4時間が好ましい。反応時間が2時間未満では前記反応式(11)の反応を十分に進行させることができず、逆に4時間を超えるとセレノリン酸アミドの製造効率が低下しやすい。
【0032】
光学活性セレノリン酸アミドは、セレノリン酸塩化物と、前記一般式(6)中のR5がキラルなアルキルピペリジル基を示すアミンとを、前記セレノリン酸アミドと同様に反応させることにより製造される。また、光学活性セレノリン酸アミドは、セレノリン酸塩化物と、前記一般式(6)中のR5が-NR67を示し、R6及びR7から選ばれる少なくとも一方がキラルなアルキル基を示すアミンとを、前記セレノリン酸アミドと同様に反応させることにより製造される。ここで、アミンは光学活性体でもよいしラセミ体でもよい。これらの場合、光学活性セレノリン酸アミドはジアステレオマーとして得られるために、前記セレノホスフィン酸アミドと同様の精製操作を行うことが好ましい。
本実施形態に係るセレノリン酸塩化物は、下記一般式(7)で示される構造を有し、(R)体又は(S)体の化合物である。
【0033】
【化16】
JP0004538638B2_000012t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシリル基を示す。)
【0034】
前記Rにおいて、ハロゲン原子としては塩素原子が挙げられ、アルキル基としてはメチル基、1-フェニルエチル基、1-(1-ナフチル)エチル基、1-シクロヘキシルエチル基等のエチル基、1-メチルプロピル基又は1,2-ジメチルプロピル基等のプロピル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基が挙げられ、アルコキシ基としてはメンチルオキシ基が挙げられ、シリル基としてはトリメチルシリル基が挙げられる。このセレノリン酸塩化物は空気中で安定であるうえに、水中でも安定である。さらに、セレノリン酸塩化物は(R)体又は(S)体に起因して光学活性を発揮する。セレノリン酸塩化物は、ラセミ体から光学活性化合物を分離するためのキラル識別化剤、及び前記光学活性セレノリン酸アミドの原料として有用である。セレノリン酸塩化物は、Rが水素原子を示す構造を有することが、空気中及び水中での安定性が特に高いために好ましい。
【0035】
セレノリン酸塩化物は、三塩化リン、トリエチルアミン、下記一般式(8)で示される構造を有し(R)体又は(S)体であるビナフトール誘導体、及びセレンを相互に反応させることにより製造される(下記反応式(12)参照)。ここで、(R)体のセレノリン酸塩化物を製造するときには(R)体のビナフトール誘導体が原料として用いられ、(S)体のセレノリン酸塩化物を製造するときには(S)体のビナフトール誘導体が原料として用いられる。ビナフトール誘導体としては、Rが水素原子を示す1,1’-ビ-2-ナフトール(別名:β-ビナフトール)、Rが塩素原子を示す3,3’-ジクロロ-1,1’-ビ-2-ナフトールが挙げられる。
【0036】
【化17】
JP0004538638B2_000013t.gif
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシリル基を示す。)
【0037】
【化18】
JP0004538638B2_000014t.gif
このセレノリン酸塩化物の製造方法では、三塩化リン及びトリエチルアミンの溶液と、ビナフトール誘導体の溶液とを0℃程度の低温で混合し、さらにセレンを加えて反応溶液を調製した後、該反応溶液を加熱することが好ましい。このとき、各溶液を低温で混合することにより各溶液中の成分の分解を防止し、反応溶液を加熱することにより前記反応式(12)の反応が促進されるという利点がある。ここで、三塩化リン、トリエチルアミン、ビナフトール誘導体及びセレンの反応割合は当量比で1:2:1:1であり、ホスホン酸エステルが副生成物として生成される。反応に用いられる溶媒は各成分を溶解させるものであれば特に限定されないが、トルエン等のベンゼン系溶媒が前記反応式(12)の反応を阻害しないとともに各成分の溶解性が高いために好ましい。前記反応式(12)の反応温度の下限は0℃が好ましく、上限は溶媒の沸点が好ましい。反応温度が0℃未満ではセレノリン酸塩化物の反応効率が低下し、逆に溶媒の沸点を超えると反応溶液の溶媒が揮発しやすい。前記反応式反応溶液の加熱時間、即ち前記反応式(12)の反応時間は3~9時間が好ましい。反応時間が3時間未満では前記反応式(12)の反応を十分に進行させることができず、逆に9時間を超えるとセレノリン酸塩化物の製造効率が低下しやすい。
【0038】
従って、本実施形態に係るセレノホスフィン酸アミドは前記一般式(1)で示される構造を有する新規化合物であり、本実施形態に係るセレノリン酸アミドは前記一般式(4)で示される構造を有する新規化合物である。これらセレノホスフィン酸アミド及びセレノリン酸アミドは空気中で安定であり、例えば前記セレン増感剤として有用である。また、本実施形態に係るセレノリン酸塩化物は前記一般式(7)で示される構造を有し、(R)体又は(S)体の新規化合物であり、空気中及び水中で安定である。セレノリン酸塩化物は例えば前記キラル識別化剤として有用である。
【0039】
さらに、前記セレノホスフィン酸塩化物と前記アミンのリチウム塩との反応性は高いことから、反応式(10)の反応は触媒を用いることなく進行する。このため、このセレノホスフィン酸アミドの製造方法によれば、空気中で安定で、光学活性を発揮するセレノホスフィン酸アミドの製造が容易である。また、前記セレノリン酸塩化物と前記アミンとの反応性も高いことから、反応式(11)の反応も触媒を用いることなく進行する。このため、このセレノリン酸アミドの製造方法によれば、空気中で安定なセレノリン酸アミドの製造が容易である。加えて、前記三塩化リン、トリエチルアミン、ビナフトール誘導体、及びセレンの反応性も高いことから、反応式(12)の反応も触媒を用いることなく進行する。このため、セレノリン酸塩化物の製造方法によれば、空気中及び水中で安定で、光学活性を発揮するセレノリン酸塩化物の製造が容易である。
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、以下の説明において、Phはフェニル基を示す。
(実施例1) 0℃で、(S)-1-フェニルエチルアミン0.28mL(2.2mmol)を5mLのTHFに溶解させた。次いで、該THFにブチルリチウム1.25mL(1.6Msolution in hexane;2.0mmol)を加えた後、THFを10分間撹拌して(S)-1-フェニルエチルアミンのリチウム塩を得た。ここで、(S)-1-フェニルエチルアミンのリチウム塩は前記アミンのリチウム塩であり、THFに溶解した状態で得られた。このTHF溶液を溶液Aとする。一方、セレノホスフィン酸塩化物としてのP-1,1-ジメチルエチル-P-フェニルセレノホスフィン酸クロリド0.560g(2.00mmol)を5mLのTHFに溶解させた。このTHF溶液を溶液Bとする。続いて、0℃で溶液Aを溶液Bに加えて反応溶液を調製した後、該反応溶液を25℃にまで加熱した後に2時間撹拌した。次に、反応溶液に対しジクロロメタン抽出を行い、ジクロロメタン層からなる抽出液を得た。次いで、抽出液の水洗、硫酸マグネシウムを用いた抽出液からの水の除去、抽出液の濾過及び濾液の濃縮を順に行った後、濃縮された濾液から溶媒を留去して残渣を得た。続いて、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)で精製し、無色固体の化合物1a(Rf=0.40)及び無色固体の化合物1b(Rf=0.30)を得た。これら化合物1a及び1bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0041】
(化合物1a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3287, 3086, 3066, 3045, 3029,2968, 2952, 2943, 2925, 2899, 2863, 1493, 1472, 1453, 1435, 1411, 1390, 1373,1362, 1312, 1282,1205, 1115, 1100, 1061, 1034, 1012, 1000, 972, 940, 842, 809,783, 745, 699, 627cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.11(d,3JH-P=17.1Hz,9H,CCH3),1.32(d,J=6.8Hz,3H,CHCH3中のCH3), 2.40(s,broad,1H,NH),4.78-4.87(m,1H,CHCH3中のCH), 7.26-7.53(m,8H,Ar), 8.06-8.11(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ24.5(CHCH3中のCH3),25.0(CCH3中のCH3), 35.6(d,1JC-P=56.2Hz,CCH3においてCH3に結合するC),52.5(CHCH3中のCH), 126.6(Ar), 127.3(Ar), 127.7(d,JC-P=11.6Hz,Ar),128.7(Ar), 131.5(d,4JC-P=3.3Hz,Ar), 132.4(d,1JC-P=78.6Hz,Ar),133.3(d,JC-P=9.9Hz,Ar), 145.3(d,JC-P=7.4Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ79.0(1JP-Se=750.2Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-369.2(d,1JSe-P=750.2Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 365 (M+).
<元素分析> Anal. Calcd for C18H24NPSe(364.32):C,59.34;H,6.64;N,3.84. Found:C,59.23;H,6.49;N,3.71.
(化合物1b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3346, 3078, 3060, 3020, 2999,2973, 2961, 2946, 2922, 2905, 2866, 1603, 1493, 1472, 1448, 1436, 1405, 1391,1367, 1343, 1308, 1293, 1276, 1203, 1189, 1102, 1082, 1070, 1022, 1011, 999,957, 907, 848, 809, 763, 750, 696, 627cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.19(d,3JH-P=17.1Hz,9H,CCH3),1.61(d,J=6.3Hz,3H,CHCH3中のCH3), 2.29(s,broad,1H,NH),4.40-4.50(m,1H,CHCH3中のCH), 7.19-7.38(m,8H,Ar), 7.47-7.73(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ25.0(CCH3中のCH3),25.8(d,2JC-P=3.3Hz,CHCH3中のCH3),35.2(d,1JC-P=56.2Hz,CCH3においてCH3に結合するC),52.3(CHCH3中のCH), 126.2(Ar), 126.9(Ar), 127.3(d,JC-P=12.4Hz,Ar),128.4(Ar), 130.2(d,1JC-P=81.1Hz,Ar), 131.3(d,JC-P=2.5Hz,Ar),133.8(d,JC-P=10.8Hz,Ar), 145.1(d,JC-P=5.8Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ81.3(1JP-Se=741.1Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-335.4(d,1JSe-P=741.1Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 365 (M+).
<元素分析> Anal. Calcd for C18H24NPSe(364.32):C,59.34;H,6.64;N,3.84. Found:C,59.23;H,6.49;N,3.71.
【0042】
以上の結果より、化合物1aは下記式(13)に示した構造を有しており、(RP,S)-P-1,1-ジメチルエチル-P-フェニル-N-1-フェニルエチルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は34%(収量:0.251g,0.69mmol)であり、融点は128~130℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-40°であった。
【0043】
【化19】
JP0004538638B2_000015t.gif
一方、化合物1bは下記式(14)に示した構造を有しており、(SP,S)-P-1,1-ジメチルエチル-P-フェニル-N-1-フェニルエチルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は51%(収量:0.370g,1.02mmol)であり、融点は104~106℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-62°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0044】
【化20】
JP0004538638B2_000016t.gif
(実施例2) セレノホスフィン酸塩化物としてのP-1-メチルエチル-P-フェニルセレノホスフィン酸クロリド0.531g(2.00mmol)を5mLのTHFに溶解させた。このTHF溶液を溶液Cとする。次いで、0℃で試験例1の溶液Aを溶液Cに加えて反応溶液を調製した後、試験例1と同様にして無色固体の化合物2a(Rf=0.40)及び無色固体の化合物2b(Rf=0.30)を得た。これら化合物2a及び2bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0045】
(化合物2a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3248, 3058, 3022, 2969, 2927,2869, 1493, 1466, 1454, 1435, 1418, 1383, 1365, 1314, 1294, 1277, 1254, 1208,1183, 1160, 1119, 1100, 1083, 1065, 1026, 997, 959, 910, 886, 833, 752, 697,674cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.86(dd,J=7.0Hz,3JP-Se=20.3Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.13(dd,J=6.8Hz,3JP-Se=19.5Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.29(d,J=6.3Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 1.99(s,broad,1H,NH),2.18-2.31(m,1H,PCH), 4.64-4.72(m,1H,NCH), 7.24-7.54(m,8H,Ar),8.02-8.07(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ16.5(PCHCH3中のCH3),16.6(PCHCH3中のCH3), 24.8(d,3JC-P=3.3Hz,NCHCH3中のCH3),32.6(d,1JC-P=61.2Hz,PCH), 52.3(NCH), 126.5(Ar),127.3(Ar), 128.2(d,JC-P=11.6Hz,Ar), 128.6(Ar), 131.7(d,4JC-P=2.5Hz,Ar),132.2(d,JC-P=10.8Hz,Ar), 133.1(Ar;One half of the signal isoverlapping with another signal), 145.0(d,JC-P=7.4Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ74.1(1JP-Se=745.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-386.8(d,1JSe-P=745.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 351 (M+).
(化合物2b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3291, 3079, 3060, 3023, 2976,2927, 2881, 2871, 1491, 1452, 1438, 1412, 1387, 1365, 1308, 1298, 1278, 1243,1204, 1119, 1103, 1085, 1067, 1021, 999, 962, 929, 886, 849, 764, 748, 696,671, 600cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.93(dd,J=6.8Hz,3JP-Se=20.5Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.22(dd,J=6.8Hz,3JP-Se=19.0Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.53(d,J=6.8Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 2.22-2.33(m,1H,PCH),2.35(s,broad,1H,NH), 4.29-4.37(m,1H,NCH), 7.12-7.23(m,5H,Ar),7.26-7.31(m,2H,Ar), 7.37-7.41(m,1H,Ar), 7.74-7.80(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ16.5(PCHCH3中のCH3),25.5(d,3JC-P=4.1Hz,NCHCH3中のCH3),32.0(d,1JC-P=61.2Hz,PCH), 52.3(NCH), 126.3(Ar),127.0(Ar), 127.9(d,JC-P=12.4Hz,Ar), 128.3(Ar), 131.0(d,1JC-P=82.7Hz,Ar),131.5(d,4JC-P=3.3Hz,Ar), 132.5(d,JC-P=10.8Hz,Ar),144.7(d,JC-P= 5.8Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ75.0(1JP-Se=744.2Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-368.0(d,1JSe-P=744.2Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 351 (M+).
【0046】
以上の結果より、化合物2aは下記式(15)に示した構造を有しており、(RP,S)-P-1-メチルエチル-P-フェニル-N-1-フェニルエチルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は36%(収量:0.252g,0.72mmol)であり、融点は65~67℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-44°であった。
【0047】
【化21】
JP0004538638B2_000017t.gif
一方、化合物2bは下記式(16)に示した構造を有しており、(SP,S)-P-1-メチルエチル-P-フェニル-N-1-フェニルエチルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は46%(収量:0.323g,0.92mmol)であり、融点は89~91℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-55°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0048】
【化22】
JP0004538638B2_000018t.gif
(実施例3) セレノホスフィン酸塩化物としてのP-シクロヘキシル-P-フェニルセレノホスフィン酸クロリド0.611g(2.00mmol)を5mLのTHFに溶解させた。このTHF溶液を溶液Dとする。次いで、0℃で試験例1の溶液Aを溶液Dに加えて反応溶液を調製した後、試験例1と同様にして無色固体の化合物3a(Rf=0.40)及び無色固体の化合物3b(Rf=0.30)を得た。これら化合物3a及び3bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0049】
(化合物3a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3291, 3068, 3051, 3026, 2966,2925, 2852, 1493, 1450, 1436, 1410, 1371, 1341, 1310, 1297, 1269, 1201, 1176,1101, 1083, 1064, 1029, 1020, 1000, 956, 888, 853, 838, 822, 751, 737, 697,603cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.89-1.85(m,11H,CH2,CH),1.21(d,J=6.8Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 2.25(s,broad,1H,NH),4.57-4.65(m,1H,NCH), 7.16-7.20(m,1H,Ar), 7.26(t,J=7.8Hz,2H,Ar),7.33-7.44(m,5H,Ar), 7.94-7.98(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ24.6(d,3JC-P=3.3Hz,NCHCH3中のCH3),25.5(CH2), 25.9(d,JC-P=14.9Hz,CH2), 26.0(d,JC-P=14.9Hz,CH2),26.1(CH2), 26.3(CH2), 42.4(d,1JC-P=59.5Hz,CH),52.0(NCH), 126.6(Ar), 127.3(Ar), 128.0(d,JC-P=12.4Hz,Ar), 128.5(Ar),131.6(d,4JC-P=2.5Hz,Ar), 132.3(d,JC-P=9.9Hz,Ar),132.6(d,1JC-P=81.9Hz,Ar), 145.0(d,JC-P=6.6Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ70.2(1JP-Se=739.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-363.5(d,1JSe-P=739.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 391 (M+).
(化合物3b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3263, 3060, 3049, 3029, 2980,2959, 2928, 2854, 1491, 1446, 1435, 1411, 1374, 1311, 1279, 1204, 1177, 1122,1102, 1086, 1032, 998, 960, 917, 889, 855, 834, 822, 755, 739, 695, 602cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.06-1.95(m,11H,CH2,CH),1.47(d,J=6.8Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 2.37(s,broad,1H,NH),4.21-4.31(m,1H,NCH), 7.06-7.41(m,8H,Ar), 7.65-7.70(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ25.5(d,2JC-P=4.1Hz,NCHCH3中のCH3),25.6(CH2), 25.9(d,JC-P=15.7Hz,CH2), 26.0(CH2),26.0(d,JC-P=14.9Hz,CH2), 26.2(CH2), 42.1(d,1JC-P=60.4Hz,CH),52.1(NCH), 126.2(Ar), 126.9(Ar), 127.7(d,JC-P=12.4Hz,Ar), 128.3(Ar),130.5(Ar;One half of the signal is overlapping with another signal), 131.4(d,JC-P=2.5Hz,Ar),132.6(d,JC-P=10.8Hz,Ar), 144.7(d,JC-P=5.8Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ70.8(1JP-Se=739.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-342.9(d,1JSe-P=739.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 391 (M+).
【0050】
以上の結果より、化合物3aは下記式(17)に示した構造を有しており、(RP,S)-P-シクロヘキシル-P-フェニル-N-1-フェニルエチルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は37%(収量:0.286g,0.73mmol)であり、融点は75~77℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-40°であった。
【0051】
【化23】
JP0004538638B2_000019t.gif
一方、化合物3bは下記式(18)に示した構造を有しており、(SP,S)-P-シクロヘキシル-P-フェニル-N-1-フェニルエチルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は50%(収量:0.387g,0.99mmol)であり、融点は82~84℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-37°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0052】
【化24】
JP0004538638B2_000020t.gif
(実施例4) 0℃で、(S)-1-(1-ナフチル)エチルアミン0.35mL(2.2mmol)を5mLのTHFに溶解させた。次いで、該THFにブチルリチウム1.25mL(1.6Msolution in hexane;2.0mmol)を加えた後、THFを10分間撹拌して(S)-1-(1-ナフチル)エチルアミンのリチウム塩を得た。ここで、(S)-1-(1-ナフチル)エチルアミンのリチウム塩は前記アミンのリチウム塩であり、THFに溶解した状態で得られた。このTHF溶液を溶液Eとする。続いて、0℃で溶液Eを試験例1の溶液Bに加えて反応溶液を調製した後、試験例1と同様にして淡黄色固体の化合物4a(Rf=0.30)及び淡黄色固体の化合物4b(Rf=0.20)を得た。これら化合物4a及び4bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0053】
(化合物4a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3334, 3276, 3048, 2968, 2946,2924, 2900, 2865, 1596, 1508, 1472, 1456, 1433, 1390, 1370, 1362, 1326, 1277,1233, 1190, 1170, 1119, 1106, 1098, 1081, 1030, 1016, 999, 969, 947, 939, 856,827, 797, 774, 752, 745, 721, 700, 645, 627, 609cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.06(d,3JH-P=17.1Hz,9H,CCH3),1.40(d,J=6.8Hz,3H,CHCH3中のCH3), 2.50(s,broad,1H,NH),5.61-5.69(m,1H,CHCH3中のCH), 7.48-7.59(m,6H,Ar),7.68(d,J=6.8Hz,1H,Ar), 7.81(d,J=8.3Hz,1H,Ar), 7.87(d,J=8.3Hz,1H,Ar),8.08-8.13(m,2H,Ar), 8.46(d,J=8.3Hz,1H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ23.1(CHCH3中のCH3),24.9(CCH3中のCH3), 35.7(d,1JC-P=56.2Hz,CCH3においてCH3に結合するC),48.6(CHCH3中のCH), 123.2(Ar), 124.3(Ar), 125.3(Ar), 125.9(Ar),126.5(Ar), 127.6(d,JC-P=11.6Hz,Ar), 128.2(Ar), 128.7(Ar), 130.7(Ar),131.5(d,4JC-P=2.5Hz,Ar), 132.7(d,1JC-P=78.6Hz,Ar),133.2(d,JC-P=9.9Hz,Ar), 134.0(Ar), 140.4(d,JC-P=9.1Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ78.3(1JP-Se=745.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-388.5(d,1JSe-P=745.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 415 (M+).
<元素分析> Anal. Calcd for C22H26NPSe(414.38):C,63.77;H,6.32;N,7.47. Found:C,63.50;H,6.30;N,3.35.
(化合物4b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3384, 3050, 2968, 2956, 2922,2898, 2864, 1596, 1509, 1472, 1459, 1433, 1368, 1360, 1331, 1308, 1270, 1253,1236, 1191, 1167, 1098, 1076, 1022, 998, 948, 848, 832, 801, 781, 746, 718,692, 645, 627, 606cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.22(d,3JH-P=17.0Hz,9H,CCH3),1.74(d,J=6.8Hz,3H,CHCH3中のCH3), 2.49(s,broad,1H,NH),5.19-5.30(m,1H,CHCH3中のCH), 7.03(dt,J=3.4,7.8Hz,2H,Ar),7.18-7.27(m,2H,Ar), 7.37(t,J=7.3Hz,1H,Ar), 7.48(t,J=7.8Hz,1H,Ar),7.63-7.83(m,6H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ25.0(d,2JC-P=1.7Hz,CCH3中のCH3),26.1(d,3JC-P=1.7Hz,CHCH3中のCH3),35.3(d,1JC-P=56.2Hz,CCH3においてCH3に結合するC),48.7(CHCH3中のCH), 122.7(Ar), 123.3(Ar), 125.3(Ar), 125.5(Ar),125.8(Ar), 127.2(d,JC-P=12.4Hz,Ar), 127.5(Ar), 128.5(Ar), 129.9(Ar),130.2(d,1JC-P=81.9Hz,Ar), 131.2(d,4JC-P=2.5Hz,Ar),133.5(d,JC-P=10.8Hz,Ar), 133.7(Ar), 141.3(d,JC-P=5.8Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ82.0(1JP-Se=744.2Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-336.9(d,1JSe-P=744.2Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 415 (M+).
<元素分析> Anal. Calcd for C22H26NPSe(414.38):C,63.77;H,6.32;N,7.47. Found:C,63.50;H,6.30;N,3.35.
【0054】
以上の結果より、化合物4aは下記式(19)に示した構造を有しており、(RP,S)-P-1,1-ジメチルエチル-N-1-(1-ナフチル)エチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は36%(収量:0.296g,0.71mmol)、融点は155~157℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-13°であった。
【0055】
【化25】
JP0004538638B2_000021t.gif
一方、化合物4bは下記式(20)に示した構造を有しており、(SP,S)-P-1,1-ジメチルエチル-N-1-(1-ナフチル)エチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は56%(収量:0.467g,1.13mmol)であり、融点は145~147℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-18°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0056】
【化26】
JP0004538638B2_000022t.gif
(実施例5) 0℃で試験例4の溶液Eを試験例2の溶液Cに加えて反応溶液を調製した後、試験例1と同様にして淡黄色固体の化合物5a(Rf=0.30)及び淡黄色固体の化合物5b(Rf=0.20)を得た。これら化合物5a及び5bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0057】
(化合物5a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3243, 3046, 2979, 2962, 2928,2871, 1680, 1598, 1508, 1463, 1449, 1434, 1397, 1372, 1331, 1305, 1278, 1242,1171, 1115, 1098, 1081, 1031, 1022, 1001, 948, 883, 848, 824, 798, 779, 743,721, 705, 690, 675, 645, 612cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.82(dd,J=6.8Hz,3JP-Se=20.0Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.07(dd,J=6.8Hz,3JP-Se=19.0Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.37(d,J=6.3Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 2.12-2.25(m,1H,PCH),2.55(s,broad,1H,NH), 5.49-5.58(m,1H,NCH), 7.43-7.62(m,7H,Ar),7.77(d,J=8.3Hz,1H,Ar), 7.85(d,J=7.8Hz,1H,Ar), 8.03-8.09(m,2H,Ar),8.38(d,J=8.3Hz,1H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ16.4(PCHCH3中のCH3),16.5(PCHCH3中のCH3), 23.5(NCHCH3中のCH3),32.5(d,1JC-P=61.2Hz,PCH), 48.2(NCH), 123.2(Ar),123.9(Ar), 125.3(Ar), 125.8(Ar), 126.4(Ar), 128.1(Ar), 128.1(d,JC-P=12.4Hz,Ar),128.7(Ar), 130.5(Ar), 131.6(d,4JC-P=2.5Hz,Ar), 131.9(d,JC-P=10.8Hz,Ar),133.4(d,1JC-P=80.2Hz,Ar), 133.9(Ar), 140.3(d,JC-P=8.3Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ73.8(1JP-Se=745.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-414.3(d,1JSe-P=745.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 401 (M+).
(化合物5b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3307, 3061, 3047, 2976, 2959,2928, 2871, 1597, 1510, 1464, 1447, 1437, 1385, 1363, 1310, 1282, 1241, 1173,1121, 1102, 1076, 1027, 1015, 951, 883, 860, 828, 795, 777, 754, 721, 705, 696,667, 617cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.95(dd,J=6.8Hz,3JP-Se=20.0Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.26(dd,J=6.8Hz,3JP-Se=19.0Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.67(d,J=6.3Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 2.25-2.38(m,1H,PCH),2.57(s,broad,1H,NH), 5.10-5.21(m,1H,NCH), 7.10-7.15(m,2H,Ar),7.23-7.28(m,1H,Ar), 7.29-7.34(m,1H,Ar), 7.37-7.42(m,2H,Ar),7.55(d,J=6.9Hz,1H,Ar), 7.67-7.72(m,3H,Ar), 7.77-7.84(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ16.5(PCHCH3中のCH3),16.6(PCHCH3中のCH3), 25.9(d,3JC-P=3.3Hz,NCHCH3中のCH3),32.2(d,1JC-P=61.2Hz,PCH), 48.7(NCH), 123.1(Ar),123.2(Ar), 125.3(Ar), 125.5(Ar), 125.8(Ar), 127.6(Ar), 127.8(d,JC-P=12.4Hz,Ar),128.7(Ar), 130.0(Ar), 130.9(d,1JC-P=82.7Hz,Ar), 131.4(d,4JC-P=2.5Hz,Ar),132.3(d,JC-P=10.8Hz,Ar), 133.7(Ar), 140.9(d,JC-P=5.0Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ75.5(1JP-Se=744.2Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-371.2(d,1JSe-P=744.2Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 401 (M+).
【0058】
以上の結果より、化合物5aは下記式(21)に示した構造を有しており、(RP,S)-P-1-メチルエチル-N-1-(1-ナフチル)エチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は38%(収量:0.301g,0.76mmol)であり、融点は109~111℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-28°であった。
【0059】
【化27】
JP0004538638B2_000023t.gif
一方、化合物5bは下記式(22)に示した構造を有しており、(SP,S)-P-1-メチルエチル-N-1-(1-ナフチル)エチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は53%(収量:0.422g,1.05mmol)であり、融点は82~84℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は+15°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0060】
【化28】
JP0004538638B2_000024t.gif
(実施例6) 0℃で試験例4の溶液Eを試験例3の溶液Dに加えて反応溶液を調製した後、試験例1と同様にして淡黄色固体の化合物6a(Rf=0.30)及び淡黄色固体の化合物6b(Rf=0.20)を得た。これら化合物6a及び6bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0061】
(化合物6a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3049, 2928, 2851, 1597, 1510,1435, 1371, 1173, 1098, 1021, 1000, 949, 888, 853, 827, 798, 776, 740, 692,647, 635, 612cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.92-1.94(m,11H,CH2,CH),1.37(d,J=6.3Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 2.52(s,broad,1H,NH),5.49-5.58(m,1H,NCH), 7.45-7.60(m,6H,Ar), 7.63(d,J=7.3Hz,1H,Ar),7.79(d,J=8.3Hz,1H,Ar), 7.87(d,J=7.3Hz,1H,Ar), 8.04-8.09(m,2H,Ar),8.41(d,J=8.8Hz,1H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ23.5(NCHCH3中のCH3),25.5(CH2), 25.9(d,JC-P=14.9Hz,CH2), 25.9(CH2),26.0(d,JC-P=15.7Hz,CH2), 26.2(CH2), 42.4(d,1JC-P=60.4Hz,CH),48.2(NCH), 123.4(Ar), 123.9(Ar), 125.3(Ar), 125.9(Ar), 126.4(Ar), 128.1(d,JC-P=12.4Hz,Ar),128.2(Ar), 128.7(Ar), 130.6(Ar), 131.6(d,4JC-P=2.5Hz,Ar),132.2(d,JC-P=9.9Hz,Ar), 133.4(d,1JC-P=81.9Hz,Ar),134.0(Ar), 140.4(d,JC-P=8.3Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ69.8(1JP-Se=744.2Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-390.6(d,1JSe-P=744.2Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 441 (M+).
(化合物6b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3297, 3049, 2926, 2851, 1597,1510, 1436, 1369, 1308, 1255, 1235, 1172, 1100, 1075, 1021, 1000, 945, 887,851, 824, 797, 776, 740, 691, 648, 619cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.10-1.70(m,8H,CH2),1.68(d,J=6.7Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 1.83-1.86(m,1H,CH2),1.99-2.07(m,2H,CH2,CH), 2.59(s,broad,1H,NH), 5.12-5.22(m,1H,NCH),7.04-7.11(m,2H,Ar), 7.20-7.42(m,4H,Ar), 7.56(d,J=7.3Hz,1H,Ar),7.68(dt,J=2.9,7.3Hz,3H,Ar), 7.77(d,J=7.8Hz,1H,Ar), 7.83(d,J=8.3Hz,1H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ25.6(CH3),25.8(CH2), 25.88(d,JC-P=12.4Hz,CH2), 25.92(d,JC-P=12.4Hz,CH2),26.0(CH2), 26.3(CH2), 42.3(d,1JC-P=60.4Hz,CH),48.4(NCH), 123.1(Ar), 123.2(Ar), 125.2(Ar), 125.4(Ar), 125.8(Ar), 127.5(Ar),127.6(d,JC-P=12.4Hz,Ar), 128.6(Ar), 129.9(Ar), 130.2(Ar;One half ofthe signal is overlapping with another signal), 131.2(Ar), 132.4(d,JC-P=10.8Hz,Ar),133.6(Ar), 140.9(d,JC-P=5.0Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ71.4(1JP-Se=738.1Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-346.3(d,1JSe-P=738.1Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 441 (M+).
【0062】
以上の結果より、化合物6aは下記式(23)に示した構造を有しており、(RP,S)-P-シクロヘキシル-N-1-(1-ナフチル)エチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は34%(収量:0.298g,0.68mmol)であり、融点は52~54℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-13°であった。
【0063】
【化29】
JP0004538638B2_000025t.gif
一方、化合物6bは下記式(24)に示した構造を有しており、(SP,S)-P-シクロヘキシル-N-1-(1-ナフチル)エチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は41%(収量:0.361g,0.82mmol)であり、融点は48~50℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は+27°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0064】
【化30】
JP0004538638B2_000026t.gif
(実施例7) 0℃で、(S)-1-シクロヘキシルエチルアミン0.33mL(2.2mmol)を5mLのTHFに溶解させた。次いで、該THFにブチルリチウム1.25mL(1.6Msolution in hexane;2.0mmol)を加えた後、THFを10分間撹拌して(S)-1-シクロヘキシルエチルアミンのリチウム塩を得た。ここで、(S)-1-シクロヘキシルエチルアミンのリチウム塩は前記アミンのリチウム塩であり、THFに溶解した状態で得られた。このTHF溶液を溶液Fとする。続いて、0℃で溶液Fを試験例1の溶液Bに加えて反応溶液を調製し、試験例1と同様にジクロロメタン抽出及びシリカゲルカラムクロマトグラフィを用いた精製を行った後、さらに高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いた精製を行い無色固体の化合物7a(Rf=0.40)及び無色固体の化合物7b(Rf=0.30)を得た。これら化合物7a及び7bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0065】
(化合物7a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3311, 2965, 2923, 2851, 1474,1465, 1447, 1434, 1404, 1389, 1376, 1362, 1310, 1275, 1187, 1130, 1099, 1073,1046, 1016, 997, 969, 943, 911, 890, 847, 826, 813, 747, 696, 629, 607cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.90(d,J=6.3Hz,3H,NCHCH3中のCH3),0.97-1.29(m,5H,CH2), 1.11(d,3J=16.6Hz,9H,CCH3),1.53-1.73(m,6H,CH2,CH), 2.18(s,broad,1H,NH), 3.37-3.48(m,1H,NCH),7.35-7.42(m,3H,Ar), 7.90-7.94(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ19.1(d,3JC-P=1.7Hz,CHCH3中のCH3),24.9(d,JC-P=1.6Hz,CCH3中のCH3), 26.26(CH2),26.34(CH2), 26.5(CH2), 28.0(CH2), 29.5(CH2),35.2(d,1JC-P=57.9Hz,CCH3においてCH3に結合するC),44.3(d,JC-P=6.6Hz,CH), 52.7(d,2JC-P=2.5Hz,NCH),127.4(d,JC-P=12.4Hz,Ar), 131.1(d,4JC-P=2.5Hz,Ar),132.4(Ar;One half of the signal is overlapping with another signal), 133.2(d,JC-P=10.8Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ77.4(1JP-Se=745.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-367.0(d,1JSe-P=745.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 371 (M+).
(化合物7b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3353, 3076, 3055, 2970, 2922,2850, 1638, 1572, 1473, 1447, 1436, 1410, 1391, 1378, 1362, 1308, 1292, 1186,1155, 1140, 1101, 1085, 1072, 1060, 1011, 967, 908, 892, 873, 846, 831, 811,752, 699, 636, 607cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.87-1.34(m,5H,CH2),1.13(d,3J=17.1Hz,9H,CCH3), 1.18(d,J=6.8Hz,3H,NCHCH3中のCH3),1.54-1.91(m,7H,CH2,CH,NH), 3.32-3.39(m,1H,NCH), 7.38-7.47(m,3H,Ar),7.95-8.01(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ18.5(d,3JC-P=3.3Hz,CHCH3中のCH3),24.9(CCH3中のCH3), 26.2(CH2), 26.3(CH2),26.4(CH2), 27.2(CH2), 29.7(CH2), 35.2(d,1JC-P=57.1Hz,CCH3においてCH3に結合するC),44.2(d,JC-P=5.0Hz,CH), 52.9(d,2JC-P=1.7Hz,NCH),127.3(d,JC-P=11.6Hz,Ar), 131.2(d,4JC-P=2.5Hz,Ar),131.6(d,1JC-P=81.1Hz,Ar), 133.3(d,JC-P=9.9Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ78.4(1JP-Se=741.1Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-353.6(d,1JSe-P=741.1Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 371 (M+).
以上の結果より、化合物7aは下記式(25)に示した構造を有しており、(RP,S)-N-1-シクロヘキシルエチル-P-1,1-ジメチルエチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は42%(収量:0.309g,0.83mmol)であり、融点は106~108℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-32°であった。
【0066】
【化31】
JP0004538638B2_000027t.gif
一方、化合物7bは下記式(26)に示した構造を有しており、(SP,S)-N-1-シクロヘキシルエチル-P-1,1-ジメチルエチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は43%(収量:0.318g,0.86mmol)、融点は91~93℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は+18°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0067】
【化32】
JP0004538638B2_000028t.gif
(実施例8) 0℃で試験例7の溶液Fを試験例2の溶液Cに加えて反応溶液を調製した後、試験例7と同様にして無色固体の化合物8a(Rf=0.40)及び無色オイルの化合物8b(Rf=0.30)を得た。これら化合物8a及び8bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0068】
(化合物8a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3298, 3262, 3069, 3050, 2968,2921, 2871, 2851, 1573, 1476, 1463, 1446, 1433, 1410, 1379, 1351, 1308, 1285,1258, 1238, 1189, 1154, 1097, 1073, 1049, 1037, 1028, 1013, 967, 930, 913, 887,873, 843, 824, 770, 749, 703, 695, 676, 627, 615cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.82(d,J=5.4Hz,3H,NCHCH3中のCH3),0.83(dd,J=6.8Hz,3JH-P=20.5Hz,3H,PCHCH3中のCH3),0.90-1.13(m,5H,CH2), 1.17(dd,J=6.8Hz,3JH-P=18.5Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.33-1.40(m,1H,CH2), 1.59-1.69(m,5H,CH2,CH),2.16(s,broad,1H,NH), 2.20-2.30(m,1H,PCH), 3.19-3.28(m,1H,NCH),7.34-7.42(m,3H,Ar), 7.89-7.94(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ16.4(CHCH3中のCH3),16.6(CHCH3中のCH3), 19.2(d,3JC-P=2.5Hz,CHCH3中のCH3),26.1(CH2), 26.2(CH2), 26.4(CH2), 27.8(CH2),29.3(CH2), 32.0(d,1JC-P=62.0Hz,CHCH3においてCH3に結合するCH),44.3(d,JC-P=5.8Hz,CH), 52.4(d,2JC-P=2.3Hz,NCH),127.9(d,JC-P=12.4Hz,Ar), 131.3(d,4JC-P=2.5Hz,Ar),131.9(d,JC-P=9.9Hz,Ar), 133.4(d,1JC-P=79.4Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ72.7(1JP-Se=741.1Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-391.3(d,1JSe-P=741.1Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 357 (M+).
(化合物8b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3288, 3053, 2963, 2926, 2851,1573, 1462, 1448, 1436, 1408, 1383, 1308, 1287, 1249, 1187, 1154, 1142, 1101,1072, 1028, 968, 930, 912, 888, 844, 825, 748, 705, 694, 673, 622, 614cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.73-1.30(m,6H,CH2),0.82(dd,J=6.8Hz,3JH-P=20.5Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.05(d,J=6.8Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 1.15(dd,J=6.8Hz,3JH-P=19.0Hz,3H,PCHCH3中のCH3),1.44-1.56(m,5H,CH2,CH), 1.95(s,broad,1H,NH), 2.20-2.34(m,1H,PCH),3.02-3.13(m,1H,NCH), 7.34-7.41(m,3H,Ar), 7.90-7.95(m, 2H, Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ16.3(CHCH3中のCH3),16.4(CHCH3中のCH3), 18.8(d,3JC-P=3.3Hz,CHCH3中のCH3),26.0(CH2), 26.2(CH2), 26.3(CH2), 27.5(CH2),29.3(CH2), 31.8(d,1JC-P=62.0Hz,CHCH3においてCH3に結合するCH),44.1(d,JC-P=5.0Hz,CH), 52.9(d,2JC-P=2.5Hz,NCH),127.8(d,JC-P=12.4Hz,Ar), 131.3(d,4JC-P=2.5Hz,Ar),132.1(d,JC-P=10.8Hz,Ar), 132.3(d,1JC-P=82.7Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ73.4(1JP-Se=742.7Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-382.2(d,1JSe-P=742.7Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 357 (M+).
【0069】
以上の結果より、化合物8aは下記式(27)に示した構造を有しており、(RP,S)-N-1-シクロヘキシルエチル-P-1-メチルエチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は40%(収量:0.285g,0.80mmol)であり、融点は105~107℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-33°であった。
【0070】
【化33】
JP0004538638B2_000029t.gif
一方、化合物8bは下記式(28)に示した構造を有しており、(SP,S)-N-1-シクロヘキシルエチル-P-1-メチルエチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は41%(0.290g,0.81mmol)であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は+25°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0071】
【化34】
JP0004538638B2_000030t.gif
(実施例9) 0℃で試験例7の溶液Fを試験例3の溶液Dに加えて反応溶液を調製した後、試験例7と同様にして無色固体の化合物9a(Rf=0.40)及び無色固体の化合物9b(Rf=0.30)を得た。これら化合物9a及び9bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0072】
(化合物9a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3320, 3068, 3045, 2927, 2849,1572, 1479, 1448, 1435, 1400, 1374, 1327, 1309, 1294, 1280, 1235, 1200, 1144,1100, 1061, 1026, 1004, 969, 919, 892, 853, 843, 824, 769, 739, 705, 691, 624cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.82(d,J=6.8Hz,3H,NCHCH3中のCH3),0.85-1.28(m,9H,CH2), 1.37-1.48(m,3H,CH2),1.59-1.66(m,7H,CH2), 1.77-1.80(m,1H,CH2),1.89-1.98(m,2H,CH), 2.14(s,broad,1H,NH), 3.18-3.29(m,1H,NCH),7.34-7.42(m,3H,Ar), 7.88-7.93(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ19.1(d,3JC-P=2.5Hz,NCHCH3中のCH3),25.6(CH2), 25.8(CH2), 25.9(CH2), 26.1(CH2),26.2(CH2), 26.26(CH2), 26.30(CH2), 26.4(CH2),27.9(CH2), 29.4(CH2), 42.1(d,1JC-P=61.2Hz,CH),44.3(d,JC-P=6.6Hz,CH), 52.2(d,2JC-P=1.7Hz,NCH),127.8(d,JC-P=11.6Hz,Ar), 131.2(d,JC-P=2.5Hz,Ar), 132.1(d,4JC-P=10.8Hz,Ar),133.4(d,1JC-P=80.2Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ68.6(1JP-Se=739.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-368.1(d,1JSe-P=739.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 397 (M+).
(化合物9b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3263, 3071, 3050, 2937, 2851,1574, 1483, 1447, 1435, 1407, 1383, 1334, 1311, 1284, 1268, 1238, 1202, 1178,1152, 1146, 1116, 1100, 1087, 1074, 1014, 1000, 968, 909, 891, 868, 852, 840,822, 774, 753, 740, 703, 694, 614cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.77-2.02(m,23H,CH2,CH,NH),1.17(d,J=6.8Hz,3H,NCHCH3中のCH3), 3.08-3.17(m,1H,NCH),7.40-7.48(m,3H,Ar), 7.93-7.99(m,2H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ18.8(d,3JC-P=2.5Hz,CHCH3中のCH3),25.5(CH2), 25.7(CH2), 25.8(CH2), 26.0 (CH2),26.06(CH2), 26.12(CH2), 26.2(CH2), 26.4(CH2),27.4(CH2), 29.4(CH2), 42.0(d,1JC-P=61.2Hz,CH),44.1(d,JC-P=5.8Hz,CH), 52.2(NCH), 127.8(d,JC-P=12.4Hz,Ar),131.3(Ar), 132.3(d,1JC-P=82.7Hz,Ar), 133.0(d,JC-P=9.9Hz,Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ69.1(1JP-Se=738.1Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-358.3(d,1JSe-P=738.1Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 397 (M+).
【0073】
以上の結果より、化合物9aは下記式(29)に示した構造を有しており、(RP,S)-P-シクロヘキシル-N-1-シクロヘキシルエチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は44%(収量:0.351g,0.89mmol)であり、融点は92~94℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は-33°であった。
【0074】
【化35】
JP0004538638B2_000031t.gif
一方、化合物9bは下記式(30)に示した構造を有しており、(SP,S)-P-シクロヘキシル-N-1-シクロヘキシルエチル-P-フェニルセレノホスフィン酸アミドであると同定した。このセレノホスフィン酸アミドの収率は46%(収量:0.366g,0.92mmol)であり、融点は118~120℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CH2Cl2)は+31°であった。これらセレノホスフィン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0075】
【化36】
JP0004538638B2_000032t.gif
(実施例10) 25℃で前記セレノリン酸塩化物としての(R)-ビナフチルセレノリン酸クロリド1.290g(3.00mmol)を10mLのトルエンに溶解させた後、該トルエンに前記アミンとしてのフェニルエチルアミン0.786mL(6.10mmol)を加えて反応溶液を調製した。次いで、反応溶液を2時間還流した。続いて、試験例1と同様にして残渣を得た後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1,Rf=0.50)で精製した。次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィによる精製によって得られた化合物の再結晶(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)を行い、先に析出した無色固体の化合物10a及び後に析出した無色固体の化合物10bを得た。これら化合物10a及び10bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0076】
(化合物10a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3358, 3061, 2974, 1618, 1588,1507, 1460, 1407, 1371, 1322, 1260, 1220, 1201, 1156, 1114, 1068, 1038, 980,868, 858, 830, 772, 565, 530, 512 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.50(d,J=6.3Hz,3H,CH3),3.68(dd,J=5.1Hz,10.0Hz,1H,NH), 4.79-4.90(m,1H,CH), 6.63-8.02(m,17H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ24.2(CH3),53.1(CH), 121.2, 121.6, 122.3, 122.5, 125.7, 125.8, 126.4, 126.5, 126.9, 127.0,127.2, 127.7, 128.4, 128.6, 128.8, 130.4, 130.9, 131.6, 132.0, 132.4, 144.1,144.1, 146.4, 146.5, 147.4, 147.6(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ83.8(1JP-Se=971.1Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-301.3(1JSe-P=971.1Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 515 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C28H22NO2PSe(515.06):C,65.38;H,4.31;N,2.72. Found:C,65.37;H,4.24;N,2.67.
(化合物10b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3367, 3055, 2983, 1618, 1587,1502, 1454, 1438, 1378, 1332, 1329, 1259, 1193, 1148, 1110, 1089, 1006, 995,998, 878, 868, 854, 844, 832, 779, 565, 555, 524, 511 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.54(d,J=6.3Hz,3H,CH3),3.74(dd,J=4.9Hz,10.2Hz,1H,NH), 4.60-4.70(m,1H,CH), 6.60-8.00(m,17H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ25.3(CH3),53.1(CH), 121.0, 121.6, 122.3, 125.7, 125.8, 125.9, 125.9, 126.5, 126.7, 127.0,127.2, 127.4, 128.4, 128.6, 128.6, 130.6, 130.9, 131.5, 132.0, 132.4, 143.5,143.6, 146.5, 146.6, 147.7, 147.8(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ82.2(1JP-Se=971.1Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-295.6(1JSe-P=971.1Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 515 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C28H22NO2PSe(515.06):C,65.38;H,4.31;N,2.72. Found:C,65.37;H,4.24;N,2.67.
【0077】
以上の結果より、化合物10aは下記式(31)及び下記式(32)のどちらか一方に示した構造を有しており、化合物10bは他方に示した構造を有していた。よって、これら化合物10a及び10bは(R)-O,O-ビナフチル-N-1-フェニルエチルセレノリン酸アミドであると同定した。化合物10aの収率は35%(収量:0.540g,1.05mmol)であり、融点は294~296℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-322°であった。一方、化合物10bの収率は54%(収量:0.834g,1.62mmol)であり、融点は221~223℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-276°であった。このセレノリン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0078】
【化37】
JP0004538638B2_000033t.gif

【0079】
【化38】
JP0004538638B2_000034t.gif
(実施例11) 25℃で(R)-ビナフチルセレノリン酸クロリド1.290g(3.00mmol)を10mLのトルエンに溶解させた後、該トルエンに前記アミンとしてのナフチルエチルアミン0.985mL(6.10mmol)を加えて反応溶液を調製した。次いで、反応溶液を2時間還流した。続いて、試験例1と同様にして残渣を得た後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1,Rf=0.40)で精製した。次いで、試験例10と同様にして、先に析出した無色固体の化合物11a及び後に析出した無色固体の化合物11bを得た。これら化合物11a及び11bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0080】
(化合物11a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3367, 3051, 2970, 1931, 1691,1588, 1508, 1461, 1428, 1371, 1258, 1223, 1173, 1155, 1068, 984, 952, 836, 798,751, 706, 696, 650, 627, 612, 566, 524, 508 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.57(d,J=6.3Hz,3H,CH3),3.87(dd,J=7.3Hz,9.8Hz,1H,NH), 5.43-5.53(m,1H,CH), 6.65-8.04(m,19H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ24.7(CH3),49.3(CH), 121.0, 121.5, 122.2, 122.4, 122.7, 123.0, 125.3, 125.6, 125.8, 126.4,126.5, 126.7, 126.9, 127.2, 128.1, 128.3, 128.5, 128.8, 130.2, 130.4, 130.8,131.5, 132.4, 133.8, 139.8, 139.9, 146.4, 146.5, 147.6, 147.8(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ83.1(1JP-Se=974.2Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-302.5(1JSe-P=974.2Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 565 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C32H24NO2PSe(565.07):C,68.09;H,4.29;N,2.48. Found:C,68.07;H,4.31;N,2.48.
(化合物11b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3367, 3055, 2983, 1618, 1587,1502, 1454, 1438, 1378, 1332, 1329, 1259, 1193, 1148, 1110, 1089, 1006, 995,998, 878, 868, 854, 844, 832, 779, 565, 555, 524, 511 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.64(d,J=6.8Hz,3H,CH3),4.07(dd,J=7.3Hz,9.8Hz,1H), 5.24-5.34(m,1H,CH), 6.67-8.04(m,19H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ24.8(CH3),49.5(CH), 120.5, 121.6, 121.9, 122.3, 122.8, 125.3, 125.5, 125.6, 125.8, 126.2,126.5, 127.0, 128.1, 128.4, 128.5, 128.6, 130.1, 130.2, 130.9, 131.3, 132.0,132.2, 132.4, 133.8, 139.5, 139.6, 146.5, 146.6, 147.6, 147.7(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ80.3(1JP-Se=971.2Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-297.0(1JSe-P=971.2Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 565 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C32H24NO2PSe(565.07):C,68.09;H,4.29;N,2.48. Found:C,68.07;H,4.31;N,2.48.
【0081】
以上の結果より、化合物11aは下記式(33)及び下記式(34)のどちらか一方に示した構造を有しており、化合物11bは他方に示した構造を有していた。よって、これら化合物11a及び11bは(R)-O,O-ビナフチル-N-1-ナフチルエチルセレノリン酸アミドであると同定した。化合物11aの収率は35%(収量:0.594g,1.05mmol)であり、融点は257~259℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-450°であった。一方、化合物11bの収率は57%(収量:0.966g,1.71mmol)であり、融点は270~272℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-261°であった。このセレノリン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0082】
【化39】
JP0004538638B2_000035t.gif

【0083】
【化40】
JP0004538638B2_000036t.gif
(実施例12) 25℃で(R)-ビナフチルセレノリン酸クロリド1.290g(3.00mmol)を10mLのトルエンに溶解させた後、該トルエンに前記アミンとしての1-メチルプロピルアミン0.616mL(6.10mmol)を加えて反応溶液を調製した。次いで、反応溶液を2時間還流した。続いて、試験例1と同様にして残渣を得た後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1,Rf=0.43)で精製し、さらにHPLCで精製して無色固体の化合物12a及ぶ無色固体の化合物12bを得た。これら化合物12a及び12bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0084】
(化合物12a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3253, 3056, 2966, 2930, 2871,1619, 1587, 1507, 1460, 1414, 1359, 1292, 1255, 1223, 1120, 1066, 1019, 980,948, 851, 772, 754, 697, 651, 613, 566, 531, 510 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.85(t,J=7.3Hz,3H,CH2CH3中のCH3),1.21(d,J=6.4Hz,3H,CHCH3中のCH3), 1.40-1.48(m,2H,CH2),3.23(m,1H,NH), 3.38-3.48(m,1H,CH), 7.22-7.60(m,8H,Ar), 7.91-8.02(m,4H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ10.3(CHCH3中のCH3),23.1(CHCH3中のCH3), 31.4(CH2), 51.5(CHCH3中のCH3),121.1, 121.7, 122.3, 122.5, 125.6, 125.8, 126.5, 126.8, 127.0, 127.2, 128.5,130.6, 130.9, 131.5, 131.9, 132.5, 146.5, 146.6, 147.7, 147.8(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ83.6(1JP-Se=966.7Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-297.9(1JSe-P=966.7Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 467 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C24H22NO2PSe(467.06):C,61.81;H,4.75;N,3.00. Found:C,61.66;H,4.75;N,2.92.
(化合物12b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3253, 3056, 2966, 2930, 2871,1619, 1587, 1507, 1460, 1414, 1359, 1292, 1255, 1223, 1120, 1066, 1019, 980,948, 851, 772, 754, 697, 651, 613, 566, 531, 510 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.93(t,J=7.5Hz,3H,CH2CH3中のCH3),1.12(d,J=6.3Hz,3H,CHCH3中のCH3), 1.55-1.61(m,2H,CH2),3.23(m,1H,NH), 3.40-3.55(m,1H,CH), 7.24-7.61(m,8H,Ar), 7.92-8.03(m,4H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ10.3(CHCH3中のCH3),22.1(CHCH3中のCH3), 33.4(CH2), 51.7(CHCH3中のCH3),121.1, 121.7, 122.3, 122.5, 125.6, 125.8, 126.5, 126.8, 127.0, 127.3, 128.5,130.6, 130.9, 131.5, 131.9, 132.4, 146.5, 146.6, 147.7, 147.8(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ83.3(1JP-Se=966.8Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-299.3(1JSe-P=966.8Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 467 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C24H22NO2PSe(467.06):C,61.81;H,4.75;N,3.00. Found:C,61.66;H,4.75;N,2.92.
【0085】
以上の結果より、化合物12aは下記式(35)及び下記式(36)のどちらか一方に示した構造を有しており、化合物12bは他方に示した構造を有していた。よって、これら化合物12a及び12bは(R)-O,O-ビナフチル-N-1-メチルプロピルセレノリン酸アミドであると同定した。化合物12aの収率は45%(収量:0.645g,1.38mmol)であり、融点は268~269℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-385°であった。一方、化合物12bの収率は49%(収量:0.687g,1.47mmol)であり、融点は211~212℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-366°であった。このセレノリン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0086】
【化41】
JP0004538638B2_000037t.gif

【0087】
【化42】
JP0004538638B2_000038t.gif
(実施例13) 25℃で(R)-ビナフチルセレノリン酸クロリド1.290g(3.00mmol)を10mLのトルエンに溶解させた後、該トルエンに前記アミンとしての1,2-ジメチルプロピルアミン0.702mL(6.10mmol)を加えて反応溶液を調製した。次いで、反応溶液を2時間還流した。続いて、試験例12と同様にして無色固体の化合物13a及び無色固体の化合物13bを得た。これら化合物13a及び13bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0088】
(化合物13a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3251, 3056, 2959, 1619, 1587,1507, 1461, 1411, 1369, 1133, 1115, 1070, 981, 940, 832, 771, 750, 696, 651,610, 563, 535, 517cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.84(d,J=6.8Hz,3H,CH(CH3)2中のCH3),0.88(d,J=6.8Hz,3H,CH(CH3)2中のCH3),1.20(d,J=6.3Hz,3H,CHCH3中のCH3), 1.68-1.78(m,1H,CH(CH3)2においてCH3に結合するCH),3.28(dd,J=5.6Hz,10.0Hz,1H,NH), 3.45-3.56(m,1H,CHCH3においてCH3に結合するCH),7.18-7.56(m,8H,Ar), 7.87-7.97(m,4H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ17.7(CH3),18.7(CH(CH3)2中のCH3), 19.7(CH(CH3)2中のCH3),34.2(CH(CH3)2においてCH3に結合するCH), 54.7(NCH(CH3)中のNに結合するCH),121.1, 121.7, 121.9, 122.3, 122.6, 125.6, 126.5, 126.8, 128.4, 128.6, 130.6,130.8, 131.5, 131.9, 132.4, 132.5, 146.6, 146.6, 147.6, 147.7(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ84.8(1JP-Se=966.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-300.9(1JSe-P=966.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 481 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C25H24NO2PSe(481.07):C,62.50;H,5.04;N,2.92. Found:C,62.31;H,5.09;N,2.87.
(化合物13b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3258, 3065, 3013, 2968, 1617,1557, 1518, 1464, 1423, 1351, 1134, 1106, 1072, 981, 946, 842, 770, 753, 699,654, 611, 566, 535, 517 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ0.89(d,J=6.8Hz,3H,CH(CH3)2中のCH3),0.93(d,J=6.8Hz,3H,CH(CH3)2中のCH3),1.07(d,J=6.3Hz,3H,CHCH3中のCH3), 1.65-1.70(m,1H,CH(CH3)2においてCH3に結合するCH),3.28(dd,J=5.6Hz,10.0Hz,1H,NH), 3.37-3.49(m,1H,CHCH3においてCH3に結合するCH),7.17-7.55(m,8H,Ar), 7.85-7.97(m,4H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ17.7(CH3),18.7(CH(CH3)2中のCH3), 19.7(CH(CH3)2中のCH3),34.2(CH(CH3)2においてCH3に結合するCH), 54.7(NCH(CH3)においてNに結合するCH),121.1, 121.7, 121.9, 122.3, 122.6, 125.6, 126.5, 126.8, 128.4, 128.6, 130.6,130.8, 131.5, 131.9, 132.4, 132.5, 146.6, 146.6, 147.6, 147.7(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ84.7(1JP-Se=966.7Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-304.8(1JSe-P=966.7Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 481 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C25H24NO2PSe(481.07):C,62.50;H,5.04;N,2.92. Found:C,62.31;H,5.09;N,2.87.
【0089】
以上の結果より、化合物13aは下記式(37)及び下記式(38)のどちらか一方に示した構造を有しており、化合物13bは他方に示した構造を有していた。よって、これら化合物13a及び13bは(R)-O,O-ビナフチル-N-1,2-ジメチルプロピルセレノリン酸アミドであると同定した。化合物13aの収率は44%(収量:0.633g,1.32mmol)であり、融点は273~274℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-373°であった。一方、化合物13bの収率は48%(収量:0.691g,1.44mmol)であり、融点は212~213℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-365°であった。このセレノリン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0090】
【化43】
JP0004538638B2_000039t.gif

【0091】
【化44】
JP0004538638B2_000040t.gif
(実施例14) 25℃で(R)-ビナフチルセレノリン酸クロリド1.290g(3.00mmol)を10mLのトルエンに溶解させた後、該トルエンに前記アミンとしての2-メチルピペリジン0.716mL(6.10mmol)を加えて反応溶液を調製した。次いで、反応溶液を2時間還流した。続いて、試験例1と同様にして残渣を得た後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1,Rf=0.60)で精製し、さらにHPLCで精製して無色固体の化合物14a及ぶ無色固体の化合物14bを得た。これら化合物14a及び14bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0092】
(化合物14a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3054, 2935, 2864, 1618, 1589,1507, 1461, 1432, 1389, 1322, 1267, 1225, 1208, 1157, 1133, 1085, 1063, 1014,999, 979, 951, 916, 888, 866, 835, 810, 771, 749, 716, 698, 686, 650, 648, 595,568, 528, 503, 485 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.63(d,J=6.8Hz,3H,CH3),1.26-1.37(m,2H,CH2), 1.42-1.45(m,1H,CH2),1.57-1.61(m,2H,CH2), 1.76-1.85(m,1H,CH2),2.88-2.99(m,1H,NCH2), 3.30-3.37(m,1H,NCH2), 4.26-4.35(m,1H,NCH),
7.21-7.62(m,8H,Ar), 7.92-8.05(m,4H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ16.2(CH3),18.4(CH2), 26.0(CH2), 30.8(NCH), 41.4(CH2),49.8(NCH2), 121.2, 121.7, 122.2, 125.5, 125.6, 126.4, 126.6, 127.1,127.4, 128.4, 128.5, 130.4, 130.7, 131.3, 131.9, 132.5, 147.1, 147.2, 148.9,149.1(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ85.3(1JP-Se=960.0Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-299.1(1JSe-P=960.0Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 493 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C26H24NO2PSe(493.07):C,63.24;H,4.91;N,2.84. Found:C,63.42;H,5.18;N,2.84.
(化合物14b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3054, 2936, 2864, 1619, 1589,1507, 1461, 1432, 1375, 1322, 1267, 1225, 1208, 1158, 1135, 1087, 1064, 1014,1000, 979, 951, 916, 889, 867, 854, 698, 686, 650, 619, 596, 568, 529, 502,485, 455 cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.33(d,J=6.8Hz,3H,CH3),1.39-1.43(m,2H,CH2), 1.48-1.52(m,1H,CH2),1.56-1.58(m,2H,CH2), 1.63-1.72(m,1H,CH2),2.71-2.80(m,1H,NCH2), 3.35-3.41(m,1H,NCH2), 4.31-4.40(m,1H,NCH),7.21-7.62(m, 8H, Ar ), 7.92-8.05 (m, 4H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ16.8(CH3),18.6(CH2), 26.3(CH2), 30.3(NCH), 41.6(CH2),49.8(NCH2), 121.0, 122.1, 122.2, 125.5, 125.6, 126.4, 126.6, 127.1,127.3, 128.4, 128.5, 130.6, 130.8, 131.4, 131.9, 132.4, 147.1, 147.2, 148.9,149.1(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ86.1(1JP-Se=963.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-303.7(1JSe-P=963.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 493 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C26H24NO2PSe(493.07):C,63.24;H,4.91;N,2.84. Found:C,63.42;H,5.18;N,2.84.
【0093】
以上の結果より、化合物14aは下記式(39)及び下記式(40)のどちらか一方に示した構造を有しており、化合物14bは他方に示した構造を有していた。よって、これら化合物14a及び14bは1-(4-セレニドジナフトジオキサホスフェピニル)-2-メチルピペリジンであると同定した。化合物14aの収率は36%(収量:0.531g,1.08mmol)であり、融点は214~215℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-434°であった。一方、化合物14bの収率は58%(収量:0.856g,1.74mmol)であり、融点は238~239℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-376°であった。このセレノリン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0094】
【化45】
JP0004538638B2_000041t.gif

【0095】
【化46】
JP0004538638B2_000042t.gif
(実施例15) 0℃で、(R)-ビス(1-メチルベンジル)アミン0.709mL(3.10mmol)を5mLのTHFに溶解させた。次いで、該THFにブチルリチウム1.88mL(1.6M solution in hexane; 3.0mmol)を加えた後、THFを10分間撹拌して(R)-ビス(1-メチルベンジル)アミンのリチウム塩を得た。ここで、(R)-ビス(1-メチルベンジル)アミンのリチウム塩は前記アミンであり、THFに溶解した状態で得られた。このTHF溶液を溶液Gとする。一方、前記セレノリン酸塩化物としてのビナフチルセレノリン酸クロリド1.290g(3.00mmol)を5mLのTHFに溶解させた。このTHF溶液を溶液Hとする。続いて、0℃で溶液Gを溶液Hに加えて反応溶液を調製し、該反応溶液を25℃にまで加熱した後に3時間撹拌した。次に、試験例1と同様にして無色固体の化合物15a(Rf=0.55)及び無色固体の化合物15b(Rf=0.49)を得た。これら化合物15a及び15bの構造解析を行った。結果を以下に記載する。
【0096】
(化合物15a)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3058, 2928, 1957, 1619, 1589,1500, 1462, 1375, 1321, 1278, 1224, 1201, 1156, 1136, 1069, 792, 748, 717, 696,677, 659, 649, 632, 607, 564, 545, 531, 517cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.40(d,J=6.8Hz,6H,CH3),5.25-5.35(m,2H,CH), 7.11-7.49(m,18H,Ar), 7.88-8.00(m,4H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ20.4(CH3),55.0(CH), 121.3, 122.0, 122.2, 122.5, 125.6, 126.4, 126.6, 127.0, 127.1, 127.3,127.7, 128.0, 128.3, 128.5, 130.4, 130.6, 131.2, 131.9, 132.5, 132.6, 141.1,141.2, 146.0, 146.1, 148.7, 148.9(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ87.2(1JP-Se=959.1Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-175.1(1JSe-P=959.1Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 619 (M+).
<元素分析> Anal Calcd for C36H30NO2PSe(619.12):C,69.90;H,4.89;N,2.26. Found:C,69.84;H,4.89;N,2.13.
(化合物15b)
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3058, 2928, 1957, 1619, 1589,1506, 1462, 1375, 1321, 1278, 1224, 1201, 1156, 1146, 1069, 792, 748, 717, 696,677, 659, 649, 632, 607, 564, 545, 531, 517cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> 1H-NMR(CDCl3):δ1.65(d,J=7.3Hz,6H,CH3),5.11-5.23(m,2H,CH), 6.75-7.97(m,22H,Ar).、 13C-NMR(CDCl3):δ19.0(CH3),55.8(CH), 120.6, 122.2, 125.2, 125.4, 125.7, 126.0, 126.2, 126.8, 126.9, 127.1,127.3, 127.6, 127.8, 127.9, 128.4, 128.5, 130.1, 130.5, 131.3, 131.8, 132.4, 141.5,141.6, 146.0, 146.1, 148.4, 148.6(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ87.8(1JP-Se=957.6Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-206.5(1JSe-P=957.6Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 619 (M+).
【0097】
以上の結果より、化合物15aは下記式(41)に示した構造を有しており、(R,R,R)-ビナフチル-N,N-ビス-1-フェニルエチルセレノリン酸アミドであると同定した。このセレノリン酸アミドの収率は27%(収量:0.501g,0.81mmol)であり、融点は206~208℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は+246°であった。
【0098】
【化47】
JP0004538638B2_000043t.gif
一方、化合物15bは下記式(42)に示した構造を有しており、(S,R,R)-ビナフチル-N,N-ビス-1-フェニルエチルセレノリン酸アミドであると同定した。このセレノリン酸アミドの収率は28%(収量:0.520g,0.84 mmol)であり、融点は231~233℃であり、旋光度[α]D20(c 0.50, CHCl3)は-257°であった。これらセレノリン酸アミドは新規化合物であり、空気中で安定であった。
【0099】
【化48】
JP0004538638B2_000044t.gif
(実施例16) 0℃で、三塩化リン3.0mL(30.0mmol)、トリエチルアミン8.4mL(60.0mmol)を50mLのトルエンに溶解させた。このトルエン溶液を溶液Iとする。一方、0℃で、前記ビナフトール誘導体としての(R)-1,1’-ビ-2-ナフトール8.58g(30.0mmol)を10mLのトルエンに溶解させた。このトルエン溶液を溶液Jとする。続いて、0℃で溶液Jを溶液Iに加えた後、3分間撹拌した。次に、溶液I及び溶液Jの混合溶液に粉末状のセレン2.45g(31.0mmol)を加えて反応溶液を調製した後、該反応溶液を6時間還流した。次いで、反応溶液の濃縮を行った後、濃縮された反応溶液から溶媒を留去して残渣を得た。続いて、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1、Rf=0.70)で精製し、無色固体の化合物16を得た。この化合物16の構造解析を行った。結果を以下に記載する。
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3006, 1588, 1509, 1460, 1433,1355, 1214, 1190, 1157, 1142, 1067, 969, 946, 868, 840, 806, 769, 749, 705, 652cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> H-NMR(CDCl3):δ7.22-8.32(m,12H, C20H12).、 13C-NMR(CDCl3):δ120.4,121.1, 122.4, 122.6, 126.3, 126.9, 127.0, 127.1, 127.2, 128.7, 131.3, 131.4,132.0, 132.2, 132.3, 132.5, 146.5, 146.6, 147.8, 148.0(Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ69.0(1JP-Se=1060.9Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-69.2(d,1JSe-P=1060.9Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 430 (M+).
<元素分析> Anal. Calcd for C20H12ClO2PSe(426.96):C,55.90;H,2.81. Found:C,55.65;H,2.78.
【0100】
以上の結果より、化合物16は下記式(43)に示した構造を有しており、(R)-セレノリン酸塩化物であると同定した。このセレノリン酸塩化物の収率は94%(収量:12.12g,28.2mmol)であり、融点は240~241℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CHCl3)は-413°であった。このセレノリン酸塩化物は新規化合物であり、空気中及び水中で安定であった。
【0101】
【化49】
JP0004538638B2_000045t.gif
(実施例17) 0℃で、ビナフトール誘導体としての(S)-1,1’-ビ-2-ナフトール8.58g(30.0mmol)を10mLのトルエンに溶解させた。このトルエン溶液を溶液Kとする。続いて、0℃で溶液Kを試験例16の溶液Iに加えた後、3分間撹拌した。次に、試験例16と同様にして無色固体の化合物17(Rf=0.70)を得た。この化合物17の構造解析を行った。結果を以下に記載する。
<赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)> 3006, 1588, 1509, 1460, 1433,1355, 1214, 1190, 1157, 1142, 1067, 969, 946, 868, 840, 806, 769, 749, 705, 652cm-1
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)> H-NMR(CDCl3):δ7.22-8.32(m,12H, C20H12).、 13C-NMR(CDCl3):δ120.4,121.1, 122.4, 122.6, 126.3, 126.9, 127.0, 127.1, 127.2, 128.7, 131.3, 131.4,132.0, 132.2, 132.3, 132.5, 146.5, 146.6, 147.8, 148.0 (Ar).、 31P-NMR(CDCl3):δ69.0(1JP-Se=1060.7Hz).、 77Se-NMR(CDCl3):δ-69.2(d,1JSe-P=1061.0Hz).
<質量分析> MS (EI) m/z 430 (M+).
<元素分析> Anal. Calcd for C20H12ClO2PSe(426.96):C,55.90;H,2.81. Found:C,55.65;H,2.78.
【0102】
以上の結果より、化合物17は下記式(44)に示した構造を有しており、(S)-セレノリン酸塩化物であると同定した。このセレノリン酸塩化物の収率は90%(収量:11.60g,27.0mmol)であり、融点は240~241℃であり、旋光度[α]D20(c 1.00, CHCl3)は+413°であった。このセレノリン酸塩化物は新規化合物であり、空気中及び水中で安定であった。
【0103】
【化50】
JP0004538638B2_000046t.gif
(実施例18) 25℃で、(R)-O,O-ビナフチル-N-1-フェニルエチルセレノリン酸アミド0.041g(0.08mmol)と、クロロシクロオクタンジエンロジウムダイマー0.017g([Rh(COD)Cl]2、0.04mmol)とを5mlのトルエンに加えてトルエン溶液を調製した後、1.5時間撹拌した。続いて、-10℃で、アセトフェノン0.24g(2.0mmol)と、ジフェニルシラン0.442g(2.4mmol)とをトルエン溶液に加えた後、1時間撹拌した。次に、5mlのメタノールと、パラトルエンスルホン酸・一水和物0.038g(0.2mmol)とをトルエン溶液に加えて反応溶液を調製した後、反応溶液を25℃で5時間撹拌した。次いで、反応溶液の濃縮を行った後、濃縮された反応溶液から溶媒を留去して残渣を得た。続いて、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン=1:2、Rf=0.5)で精製し、(S)-フェネチルアルコール0.126g(1.04mmol、収率:52%、鏡像体過剰率:40%ee)を得た。この結果から、光学活性セレノリン酸アミドは、金属原子と配位結合して金属錯体を形成することによって鏡像異性体を有する化合物の合成反応の触媒として作用し、合成される化合物の立体配置の選択性を容易に高めることが分かる。
【0104】
(実施例19) NMRチューブ内に(R)-セレノリン酸塩化物0.026g(0.06mmol)と、ラセミ-2-ブタノール2.75μl(0.03mmol)と、トリエチルアミン8.36μl(0.06mmol)と、0.5mlのCDCl3を加えて反応溶液を調製した後、反応溶液を1時間還流した。そして、反応溶液の31Pの核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、78.08ppm及び78.21ppmに、ラセミ-2-ブタノールのCDCl3溶液では観測できなかった新たなシグナルが積分値1:1で観測された。この結果から、(R)-セレノリン酸塩化物がキラル識別化剤として作用することで、ラセミ体であるラセミ-2-ブタノールからキラル化合物を分離可能であることが分かる。
【0105】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記セレノホスフィン酸アミドの製造において、セレノホスフィン酸塩化物及びアミンのリチウム塩を低温で同じ溶媒に加えて反応溶液を調製してもよい。前記セレノリン酸アミドの製造において、ビナフチルセレノリン酸クロリドの溶液とアミンの溶液とを低温で混合して反応溶液を調製してもよい。前記三塩化リン、トリエチルアミン、ビナフトール誘導体、及びセレンを低温で同じ溶媒に加えて反応溶液を調製してもよい。このように構成した場合でも各化合物の製造が容易である。