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明細書 :ネットワークシステム、ノード、パケットフォワーディング方法、プログラム及び記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5515072号 (P5515072)
公開番号 特開2009-182522 (P2009-182522A)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
公開日 平成21年8月13日(2009.8.13)
発明の名称または考案の名称 ネットワークシステム、ノード、パケットフォワーディング方法、プログラム及び記録媒体
国際特許分類 H04W  74/08        (2009.01)
H04W  84/12        (2009.01)
FI H04L 12/28 307
請求項の数または発明の数 13
全頁数 19
出願番号 特願2008-018337 (P2008-018337)
出願日 平成20年1月29日(2008.1.29)
審判番号 不服 2013-005409(P2013-005409/J1)
審査請求日 平成23年1月24日(2011.1.24)
審判請求日 平成25年3月22日(2013.3.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
発明者または考案者 【氏名】古川 浩
個別代理人の代理人 【識別番号】100116573、【弁理士】、【氏名又は名称】羽立 幸司
参考文献・文献 特開2006-186905(JP,A)
特開2002-152815(JP,A)
国際公開第2007/102208パンフレット(WO,A1)
特開2007-235871(JP,A)
特開2003-258806(JP,A)
特開2005-143046(JP,A)
調査した分野 H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
特許請求の範囲 【請求項1】
1つのコアノードと複数のスレーブノードを含むネットワークシステムにおいて、
前記各スレーブノードは、
前記コアノードから他のスレーブノードに対して送信されたパケットである下りパケット、及び、スレーブノードから前記コアノードに対して送信されたパケットである上りパケットを格納する送信バッファと、
他のノードからパケットを受信し、及び、他のノードに対して前記送信バッファに格納されたパケットを送信し、並びに、2種類の優先度である下り優先度及び上り優先度が設定された複数の通信手段と、
前記送信バッファに格納されたパケットから送信準備パケットを選択する送信準備パケット選択手段と、
前記送信準備パケットが前記下りパケットであれば前記下り優先度に従って、又は、前記送信準備パケットが前記上りパケットであれば前記上り優先度に従って、1つの通信手段を選択し、選択された通信手段に対して前記送信準備パケットを送信させる通信制御手段を備え、
前記コアノードは、
パケットを格納する送信バッファと、
スレーブノードからパケットを受信し、及び、スレーブノードに対して前記送信バッファに格納されたパケットを送信し、並びに、少なくとも下り優先度が設定された複数の通信手段と、
前記送信バッファに格納されたパケットから送信準備パケットを選択する送信準備パケット選択手段と、
前記下り優先度に従って1つの通信手段を選択し、選択された通信手段に対して、送信待機状態を経て前記送信準備パケットを送信させることにより、当該通信手段上で直前にパケットを送信し終えた時刻から前記送信準備パケットを送信させる時刻までの時間を送信周期とする通信制御手段を備え
前記各スレーブノードが備える通信手段及び前記コアノードが備える通信手段は、無線通信を行うものであって、
前記ネットワーク上において、前記各スレーブノードにおける上り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、かつ、前記各スレーブノード及び前記コアノードにおける下り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一である、
ネットワークシステム。
【請求項2】
前記各スレーブノードは、下りパケットを受信した場合にイベントを発生するイベント発生手段を備え、
前記スレーブノードの前記通信制御手段は、前記スレーブノードの前記イベント発生手段によりイベントが発生した場合に1つの通信手段を選択する、
請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記コアノードは、スレーブノードに対して、定期的にパケットを送信する、
請求項2記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記イベント発生手段は、前記送信バッファに所定の数以上のパケットが格納されていた場合にイベントを発生する、
請求項2又は3記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記各スレーブノードは、前記送信バッファに新たなパケットが追加された場合にイベントを発生するイベント発生手段を備え、
前記スレーブノードの前記通信制御手段は、前記スレーブノードの前記イベント発生手段によりイベントが発生した場合に1つの通信手段を選択する、
請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記上り優先度の最も高い通信手段と前記下り優先度の最も高い通信手段とは異なる、請求項1から5のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記送信周期、前記送信準備パケットの送信先となるスレーブノード及び前記送信準備パケットのパケット長の少なくとも一方に応じて設定される、
請求項1から6のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項8】
前記コアノード及び前記スレーブノードの少なくとも一方の前記通信制御手段は、
前記送信バッファに格納されたパケットの数が所定の数PNTを超えない場合、最も優先度の高い通信手段を選択し、
送信バッファに格納されたパケットの数がPNTを超える場合、
直前に選択した通信手段が最も優先度の低い通信手段ではないときは次に優先順位の高い通信手段を選択し、
直前に選択した通信手段が最も優先度の低い通信手段であるときは最も優先度の高い通信手段を選択する、
請求項1から7のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項9】
前記コアノードの前記送信準備パケット選択手段は、前記送信バッファに格納されたパケットに対して送信優先順位を設定し、送信優先順位の最も高いパケットを送信準備パケットとして選択するものであり、
前記送信優先順位は、
前記送信バッファに格納された時間が長いパケットが高くなるように設定されるか、
前記送信優先順位が一つ異なるパケット間で、パケットを中継伝送する場合に次に中継すべきノードである次伝送ノードが一致するように設定されるか、又は、
前記送信優先順位が一つ異なるパケット間で次伝送ノードが一致しないように設定される、
請求項1から8のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項10】
ネットワーク上の他のノードに対して送信準備パケットを送信するノードであって、
2種類の優先度である下り優先度及び上り優先度が設定され、無線通信を行う複数の通信手段と、
前記下り優先度又は前記上り優先度に従って前記複数の通信手段から1つの通信手段を選択し、選択された通信手段に対して前記送信準備パケットを送信させる通信制御手段
を備え、
前記ネットワーク上において、前記各ノードにおける上り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、かつ、前記各ノードにおける下り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、
前記通信制御手段は、
当該ノードがスレーブノードの場合には、
前記送信準備パケットの送信元がコアノードであるときは前記下り優先度に従って1つの通信手段を選択して前記送信準備パケットを送信させ、
前記送信準備パケットの送信先が前記コアノードであるときは前記上り優先度に従って1つの通信手段を選択して前記送信準備パケットを送信させ、
当該ノードがコアノードの場合には、前記下り優先度に従って前記複数の通信手段から1つの通信手段を選択し、送信待機状態を経て前記送信準備パケットを送信させることにより、当該通信手段上で直前にパケットを送信し終えた時刻から前記送信準備パケットを送信させる時刻までの時間を送信周期とする、
ノード。
【請求項11】
1つのコアノードと複数のスレーブノードを含むネットワークにおけるパケットフォワーディング方法であって、
前記各スレーブノードは、
他のノードと通信をするための複数の通信手段と、
前記複数の通信手段に設定された2種類の優先度である上り優先度及び下り優先度のいずれかに従って前記複数の通信手段の1つを選択し、選択した通信手段に対してパケットを送信させる通信制御手段
を備え、
前記コアノードは、
他のノードと通信をするための複数の通信手段と、
前記複数の通信手段に設定された下り優先度に従って前記複数の通信手段の1つを選択し、選択した通信手段に対してパケットを送信させる通信制御手段
を備え、
前記各スレーブノードが備える通信手段及び前記コアノードが備える通信手段は、無線通信を行うものであって、
前記ネットワーク上において、前記各スレーブノードにおける上り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、かつ、前記各スレーブノード及び前記コアノードにおける下り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、
前記コアノードから前記スレーブノードにパケットを中継転送する場合、
前記コアノードの通信制御手段が、下り優先度に従って前記複数の通信手段のいずれかを選択し、選択した通信手段に対して中継転送先のスレーブノードに送信待機状態を経て当該パケットを送信させることにより、当該通信手段上で直前にパケットを送信し終えた時刻から前記送信準備パケットを送信させる時刻までの時間を送信周期とし
前記パケットを受信したスレーブノードの通信制御手段は、当該パケットの送信先が他のスレーブノードである場合には、下り優先度に従って前記複数の通信手段の1つを選択し、選択した通信手段に対して中継転送先のスレーブノードに当該パケットを送信させ、
前記スレーブノードから前記コアノードにパケットを中継転送する場合、
前記スレーブノードの通信制御手段が、上り優先度に従って前記複数の通信手段の1つを選択し、選択した通信手段に対して当該パケットを送信させる、
パケットフォワーディング方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1記載の通信制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項1記載のプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本願発明は、ネットワークシステム、ノード、パケット送信方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に1つのコアノードと複数のスレーブノードを含むネットワークシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
低コストモバイル通信インフラのバックホールネットワークとして、無線メッシュネットワークが注目されている。無線メッシュネットワークは、基地局間を専用の無線で中継接続し、有線バックホール回線の敷設を不要にし、モバイル通信システム導入に要する敷設コストを大幅に削減可能な技術である。将来のブロードバンド通信ではセルの狭小化は避けられず、極めて多数の基地局を設置しなければならなくなり、基地局敷設コストの増大が深刻な問題となる。無線メッシュネットワークはこの問題を解決する唯一の技術である。
【0003】
発明者らは、複数のノードが配置されたマルチホップネットワークにおいて伝送効率の高いパケット中継伝送を実現する周期的間欠送信法(Intermittent Periodic Transmit。以下、「IPT」という。)を提案している(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0004】

【特許文献1】特開2005-143046号公報
【特許文献2】特開2006-157501号公報
【特許文献3】特開2006-319787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IPTでは、プロトコルが、上下回線を一車線通路上で伝送することを前提として設計されていた。そのため、上下回線が混在したり、車線が枝分かれしたりした場合に、大きな特性劣化を生じていた。
【0006】
IPTは、原理的に、1次元配列された中継リンクのもとで最大の効果を発揮するが、現実は2次元あるいは3次元的に中継ノードは分散配置される。そこで、発明者らは、特許文献3にあるように、経路予約を適用することによっていかなるネットワークトポロジーの下でも周期的間欠送信の効果を発揮することが可能な手法を考案した。しかしながら、経路予約法によっては、経路予約のためのオーバヘッドが生じてしまう。
【0007】
そこで、本願発明は、IPTにおいて、より中継伝送効率の高いパケット中継伝送を実現するネットワークシステム、ノード、パケットフォワーディング方法、プログラム及び記録媒体を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、1つのコアノードと複数のスレーブノードを含むネットワークシステムにおいて、前記各スレーブノードは、前記コアノードから他のスレーブノードに対して送信されたパケットである下りパケット、及び、スレーブノードから前記コアノードに対して送信されたパケットである上りパケットを格納する送信バッファと、他のノードからパケットを受信し、及び、他のノードに対して前記送信バッファに格納されたパケットを送信し、並びに、2種類の優先度である下り優先度及び上り優先度が設定された複数の通信手段と、前記送信バッファに格納されたパケットから送信準備パケットを選択する送信準備パケット選択手段と、前記送信準備パケットが前記下りパケットであれば前記下り優先度に従って、又は、前記送信準備パケットが前記上りパケットであれば前記上り優先度に従って、1つの通信手段を選択し、選択された通信手段に対して前記送信準備パケットを送信させる通信制御手段を備え、前記コアノードは、パケットを格納する送信バッファと、スレーブノードからパケットを受信し、及び、スレーブノードに対して前記送信バッファに格納されたパケットを送信し、並びに、少なくとも下り優先度が設定された複数の通信手段と、前記送信バッファに格納されたパケットから送信準備パケットを選択する送信準備パケット選択手段と、前記下り優先度に従って1つの通信手段を選択し、選択された通信手段に対して、送信待機状態を経て前記送信準備パケットを送信させることにより、当該通信手段上で直前にパケットを送信し終えた時刻から前記送信準備パケットを送信させる時刻までの時間を送信周期とする通信制御手段を備え、前記各スレーブノードが備える通信手段及び前記コアノードが備える通信手段は、無線通信を行うものであって、前記ネットワーク上において、前記各スレーブノードにおける上り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、かつ、前記各スレーブノード及び前記コアノードにおける下り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であるものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のネットワークシステムであって、前記各スレーブノードは、下りパケットを受信した場合にイベントを発生するイベント発生手段を備え、前記スレーブノードの前記通信制御手段は、前記スレーブノードの前記イベント発生手段によりイベントが発生した場合に1つの通信手段を選択するものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のネットワークシステムであって、前記コアノードは、スレーブノードに対して、定期的にパケットを送信するものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載のネットワークシステムであって、前記イベント発生手段は、前記送信バッファに所定の数以上のパケットが格納されていた場合にイベントを発生するものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1記載のネットワークシステムであって、前記各スレーブノードは、前記送信バッファに新たなパケットが追加された場合にイベントを発生するイベント発生手段を備え、前記スレーブノードの前記通信制御手段は、前記スレーブノードの前記イベント発生手段によりイベントが発生した場合に1つの通信手段を選択するものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれかに記載のネットワークシステムであって、前記上り優先度の最も高い通信手段と前記下り優先度の最も高い通信手段とが異なるものである。
【0014】
請求項7にかかる発明は、請求項1から6のいずれかに記載のネットワークシステムであって、前記送信周期、前記送信準備パケットの送信先となるスレーブノード及び前記送信準備パケットのパケット長の少なくとも一方に応じて設定されるものである。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1から7のいずれかに記載のネットワークシステムであって、前記コアノード及び前記スレーブノードの少なくとも一方の前記通信制御手段は、前記送信バッファに格納されたパケットの数が所定の数PNTを超えない場合、最も優先度の高い通信手段を選択し、送信バッファに格納されたパケットの数がPNTを超える場合、直前に選択した通信手段が最も優先度の低い通信手段ではないときは次に優先順位の高い通信手段を選択し、直前に選択した通信手段が最も優先度の低い通信手段であるときは最も優先度の高い通信手段を選択するものである。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項1から8のいずれかに記載のネットワークシステムであって、前記コアノードの前記送信準備パケット選択手段は、前記送信バッファに格納されたパケットに対して送信優先順位を設定し、送信優先順位の最も高いパケットを送信準備パケットとして選択するものであり、前記送信優先順位は、前記送信バッファに格納された時間が長いパケットが高くなるように設定されるか、前記送信優先順位が一つ異なるパケット間で、パケットを中継伝送する場合に次に中継すべきノードである次伝送ノードが一致するように設定されるか、又は、前記送信優先順位が一つ異なるパケット間で次伝送ノードが一致しないように設定されるものである。
【0019】
請求項1に係る発明は、ネットワーク上の他のノードに対して送信準備パケットを送信するノードであって、2種類の優先度である下り優先度及び上り優先度が設定され、無線通信を行う複数の通信手段と、前記下り優先度又は前記上り優先度に従って前記複数の通信手段から1つの通信手段を選択し、選択された通信手段に対して前記送信準備パケットを送信させる通信制御手段を備え、前記ネットワーク上において、前記各ノードにおける上り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、かつ、前記各ノードにおける下り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、前記通信制御手段は、当該ノードがスレーブノードの場合には、前記送信準備パケットの送信元がコアノードであるときは前記下り優先度に従って1つの通信手段を選択して前記送信準備パケットを送信させ、前記送信準備パケットの送信先が前記コアノードであるときは前記上り優先度に従って1つの通信手段を選択して前記送信準備パケットを送信させ、当該ノードがコアノードの場合には、前記下り優先度に従って前記複数の通信手段から1つの通信手段を選択し、送信待機状態を経て前記送信準備パケットを送信させることにより、当該通信手段上で直前にパケットを送信し終えた時刻から前記送信準備パケットを送信させる時刻までの時間を送信周期とするものである。
【0020】
請求項1に係る発明は、1つのコアノードと複数のスレーブノードを含むネットワークにおけるパケットフォワーディング方法であって、前記各スレーブノードは、他のノードと通信をするための複数の通信手段と、前記複数の通信手段に設定された2種類の優先度である上り優先度及び下り優先度のいずれかに従って前記複数の通信手段の1つを選択し、選択した通信手段に対してパケットを送信させる通信制御手段を備え、前記コアノードは、他のノードと通信をするための複数の通信手段と、前記複数の通信手段に設定された下り優先度に従って前記複数の通信手段の1つを選択し、選択した通信手段に対してパケットを送信させる通信制御手段を備え、前記各スレーブノードが備える通信手段及び前記コアノードが備える通信手段は、無線通信を行うものであって、前記ネットワーク上において、前記各スレーブノードにおける上り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、かつ、前記各スレーブノード及び前記コアノードにおける下り優先度が同一の通信手段に割り当てられる無線チャネルは同一であり、前記コアノードから前記スレーブノードにパケットを中継転送する場合、前記コアノードの通信制御手段が、下り優先度に従って前記複数の通信手段のいずれかを選択し、選択した通信手段に対して中継転送先のスレーブノードに送信待機状態を経て当該パケットを送信させることにより、当該通信手段上で直前にパケットを送信し終えた時刻から前記送信準備パケットを送信させる時刻までの時間を送信周期とし、前記パケットを受信したスレーブノードの通信制御手段は、当該パケットの送信先が他のスレーブノードである場合には、下り優先度に従って前記複数の通信手段の1つを選択し、選択した通信手段に対して中継転送先のスレーブノードに当該パケットを送信させ、前記スレーブノードから前記コアノードにパケットを中継転送する場合、前記スレーブノードの通信制御手段が、上り優先度に従って前記複数の通信手段の1つを選択し、選択した通信手段に対して当該パケットを送信させるものである。
【0021】
請求項1に係る発明は、コンピュータを、請求項1記載の通信制御手段として機能させるためのプログラムである。
【0022】
請求項1に係る発明は、請求項1記載のプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0023】
なお、コアノードは、送信バッファが空でない場合にイベントを発生するイベント発生手段を備え、コアノードの通信制御手段は、イベント発生手段によりイベントが発生した場合に1つの通信手段を選択してもよい。
【0024】
また、請求項6に係る発明において、上り優先度と下り優先度は、上り優先度が高いものは下り優先度が低く、上り優先度が低いものは下り優先度が高くなるように、正反対となるように設定されるものであってもよい。
【0025】
さらに、ノードは、それぞれ、その配下に複数の端末が接続され、前記複数の端末から発せられた上りパケット又は前記端末に向けた下りパケットを中継伝送する、アクセスポイントとして動作するものであってもよい。
【0026】
さらに、上り回線又は下り回線がたまたま空いている場合には反対回線のパケットの伝送を許可するようにしてもよい(上下回線パケットのアグリゲーション伝送)。これにより、通信品質をさらに改善することができる。また、例えば、下り回線チャネル上で上りパケットを伝送する際は周期的間欠送信を、上り回線チャネル上で下りパケットを伝送する際は、下り連動型周期的間欠送信を上りパケットと同様に実施するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本願発明によれば、各ノードに、例えば複数の無線インターフェースなどの通信手段を装備したマルチチャネル環境のもとで、経路予約の必要なくIPTを実現し、高い中継伝送効率を達成することが可能となる。
【0028】
すなわち、コアノード(有線回線に接続された起点ノード)に対する上りトラフィックとコアノードからの下りトラフィックを異なる無線IFで分けて扱うことにより、両回線種間の干渉を排除する。さらに、下りトラフィックがコアノードを主導者とするポーリング型アクセスであることに着目し、従来のような予約手順を必要なくして経路選択を行い、周期的間欠送信を実現することができる。
【0029】
また、請求項2に係る発明にあるように、経路選択周期的間欠送信により伝送された下りパケットをあたかも上りのポーリング信号のように扱うことにより、上り回線においても周期的間欠送信の効果を発揮することができる(下り連動型周期的間欠送信)。
【0030】
さらに、請求項9に係る発明にあるように、前記送信バッファに格納された時間が長いパケットを優先的に選択するようにしたり(FIFO送信)、送信優先順位が一つ異なるパケット間で次伝送ノードが一致するように設定したり(集中送信)、前記送信優先順位が一つ異なるパケット間で次伝送ノードが一致しないように設定したり(ラウンドロビン送信)してもよく、この場合、例えばパケットバッファとスケジューリングにより同一方向のパケットをまとめて伝送することにより、異なる宛先のパケット間の干渉を抑制し、更なる中継伝送効率を達成することができる。
【0031】
さらに、空間に分散配置された各中継ノードはそれぞれ設置された場所に応じて受ける電波干渉の程度も異なる。そのため、請求項11に係る発明にあるように、例えば電波干渉などの通信状態に応じて、異なるチャネルが割り当てられる場合があってもよい。この場合、通信がなされる2つのノード間で上り優先度又は下り優先度が等しい通信手段に割り当てられたチャネルが異なるときは、一方のノードの通信手段は、当該通信手段を用いてパケットを送信するとき以外は、他方のノードの通信手段に割り当てられたチャネルに合わせるようにしてもよい。このように、中継リンク毎、パケット毎に動的にチャネルを選択することにより、各中継ノードが常に一番品質の良いチャネルを適応的に選択し、通信品質の改善をすることができる。
【0032】
本願発明は、例えば無線通信システム全般、すなわち、無線メッシュポイントの中継伝送、固定マイクロ波無線、無線LAN、陸上移動通信、ディジタル放送などにわたり広く適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、無線メッシュネットワークの一例を示す図である。図1において、無線メッシュネットワーク101は、メッシュクラスタ103、105、107を含む。各メッシュクラスタは複数のノードを含む。ノードは、ネットワークを構成する一つ一つの要素であり、例えば、コンピュータ、アクセスポイントとして動作するもの(各ノードの配下に複数の端末が接続され、各ノードにおいてこれらの端末から発せられたパケットもしくはこれらの端末へ向けたパケットを中継伝送するもの)である。複数のノードは相互に通信可能であり、いわばメッシュ状に接続されたものである(図2(a)参照)。各メッシュクラスタ103、105、107には、それぞれ、コアノード111、113、115が含まれている。コアノード111、113、115は、外部ネットワークであるワイヤライン・コア・ネットワーク109と接続した起点ノードである。なお、以下では、メッシュクラスタにおいて、コアノード以外のノードをスレーブノードという。
【0035】
図2は、図1のメッシュクラスタ103、105、107の一例であるメッシュクラスタ1と、メッシュクラスタ1に含まれるコアノード3を根とする木構造の中継経路の一例を示す図である。
【0036】
図2(a)に示されているように、メッシュクラスタ1には9個のノードが含まれている。1個はコアノード3であり、8個はスレーブノード5、7、9、11、13、15、17、19である。コアノード3はスレーブノード5、7、9と直接に通信可能であり、スレーブノード5はコアノード3及びスレーブノード11と、スレーブノード7はコアノード3及びスレーブノード11、13、17と、スレーブノード9はコアノード3及びスレーブノード17、19と、スレーブノード11はスレーブノード5、7、13と、スレーブノード13はスレーブノード7、11、15と、スレーブノード15はスレーブノード13、17と、スレーブノード17はスレーブノード7、9、15、19と、スレーブノード19はスレーブノード9、17と、直接通信可能であるとする。
【0037】
図2(b)に示されているように、メッシュクラスタ1において、コアノード3を根とし、直接通信可能なノード間を枝とする木構造の中継経路を設定する。コアノード3はスレーブノード5、7、9を子とし、スレーブノード5はスレーブノード11を子とし、スレーブノード7はスレーブノード13、17を子とし、スレーブノード13はスレーブノード15を子とし、スレーブノード9はスレーブノード19を子とするとする。なお、以下では、コアノード3から各スレーブノードへ向かう方向を下り方向とし、各スレーブノードからコアノード3へ向かう方向を上り方向という。また、コアノード3からスレーブノードへ送信されたパケットを下りパケットといい、スレーブノードからコアノード3へ送信されたパケットを上りパケットという。また、パケットを中継伝送する場合に次に中継すべきノード(例えば、コアノード3からスレーブノード15へ中継伝送する場合のスレーブノード7)を次伝送ノードという。
【0038】
図3は、本願発明の実施の形態に係るコアノード21及びスレーブノード41の一例を示すブロック図である。また、図4は、図3のコアノード21及びスレーブノード41の動作を示すフロー図である。以下では、図3及び図4を参照して、コアノード及びスレーブノードの構成及び動作について説明する。
【0039】
まず、図3(a)及び図4(a)を参照して、コアノードの構成について説明する。
【0040】
図3(a)にあるように、コアノード21は、送信するパケットを格納する送信バッファ23と、受信したパケットを格納する受信バッファ25と、送信バッファ23及び受信バッファ25を制御するバッファ制御部27と、スレーブノードと通信を行う複数の通信部29、・・・29と、送信バッファ23に格納されたパケットから1つのパケットを送信準備パケットとして選択する送信準備パケット選択部31と、パケット送信基準が真である場合に送信可能割り込みイベントを発生するイベント発生部33と、通信部29、・・・、29の1つを選択して、選択した通信部に送信準備パケットを送信させる通信制御部35を備える。
【0041】
通信部29、・・・、29は、それぞれ異なるチャネルが割り当てられ、無線によりスレーブノードとの通信を行う無線機である。通信部29、・・・、29には、上り優先度と下り優先度という2種類の優先度が設定されている。通信部29、・・・、29は、この順番に、下り優先度が高いものは上り優先度が低く、上り優先度が高いものは下り優先度が低くなるように、上り優先度と下り優先度が正反対となるように設定されているものとする。以下では、通信部29が最も上り優先度が高くて最も下り優先度が低く、通信部29が次に上り優先度が高くて下り優先度が低く、順に、通信部29が最も上り優先度が低くて最も下り優先度が高いものとする。
【0042】
バッファ制御部27は、通信部29、・・・、29が受信したパケットを受信バッファ25に格納する。また、バッファ制御部27は、送信バッファ23に対し、例えば、コアノード21において発生したスレーブノード宛のパケットや、外部ネットワーク(図1のワイヤライン・コア・ネットワーク109参照)より受信したスレーブノードに対して送信されるべきパケットを格納する。なお、送信バッファ23に格納されるパケットは下りパケットであり、コアノードからスレーブノードに送信されるものである。
【0043】
送信準備パケット選択部31は、送信バッファ23に格納されたパケット群に送信優先順位を設定し、最も送信優先順位の高いパケットを次に送信されるパケットである送信準備パケットとして選択する。送信優先順位は、例えば、送信バッファ23に格納された時間が長いパケットが優先順位を高く設定してもよく(FIFO送信)、送信優先順位が一つ異なるパケット間で次伝送ノードが一致しないように設定してもよく(ラウンドロビン送信)、送信順位が一つ異なるパケット間で次伝送ノードが一致するように設定してもよい(集中伝送)。
【0044】
イベント発生部33は、パケット送信基準が真である場合に送信可能割り込みイベントを発生する。パケット送信基準としては、例えば、送信バッファ23が空でないこととし、スレーブノードに対してパケットを積極的に送信するようにする。
【0045】
通信制御部35は、イベント発生部33が送信可能割り込みイベントを発生した場合、下り優先度に従って1つの通信部を選択し、選択された通信部に対して、送信待機状態を経て送信準備パケットを送信させる。
【0046】
通信制御部35の動作について、図4(a)を参照して、具体的に説明する。図4(a)は、図3(a)の通信制御部35の動作を示すフロー図である。
【0047】
通信制御部35は、まず、送信可能割り込みイベントが発生したか否かを判断する(ステップSTC1)。
【0048】
次に、通信制御部35は、イベントが発生した場合、下り優先度に基づいて通信部を選択する(ステップSTC2)。具体的には、送信バッファ23に格納されたパケットの数が所定の数PNTを超えない場合は、最も下り優先度の高い通信部29を選択する。送信バッファ23に格納されたパケットの数がPNTを超える場合には、例えば、通信部29、29N-1、・・・、29、29、29N-1、・・・のように、直前に選択した通信部が最も優先度の低い通信部29でないときは直前に選択した通信部の次に下り優先度の高い通信部を選択し、直前に選択した通信部が通信部29のときは最も下り優先度の高い通信部29を選択する。このように、通信制御部35は、下り優先度に従い、送信バッファ23の状態に応じたパケット選択基準により、通信部を選択する。
【0049】
次に、通信制御部35は、選択された通信部に対して、当該通信部上で直前にパケットを送信し終えた時刻から送信準備パケットを送信させる時刻までの時間が、例えば送信準備パケットの送信先となるスレーブノードや送信準備パケットのパケット長に応じて設定される送信周期となるように、送信待機状態を経させ(ステップSTC3)、その後に、選択された通信部に対して、送信準備パケットを送信させる(ステップSTC4)。そして、ステップSTC1の処理に戻る。
【0050】
続いて、図3(b)及び図4(b)を参照して、スレーブノードの構成について説明する。
【0051】
図3(b)にあるように、スレーブノード41は、図3(a)のコアノード21と同様に、送信するパケットを格納する送信バッファ43と、受信したパケットを格納する受信バッファ45と、送信バッファ43及び受信バッファ45を制御するバッファ制御部47と、スレーブノードと通信を行う複数の通信部49、・・・49と、送信バッファ43に格納されたパケットから1つのパケットを送信準備パケットとして選択する送信準備パケット選択部51と、パケット送信基準が真である場合に送信可能割り込みイベントを発生するイベント発生部53と、通信部49、・・・、49の1つを選択して、選択した通信部に送信準備パケットを送信させる通信制御部55を備える。
【0052】
通信部49、・・・、49は、それぞれ異なるチャネルが割り当てられ、無線により他のノードとの通信を行う無線機である。通信部49、・・・、49には、通信部29、・・・、29と同様に、上り優先度と下り優先度が設定されている。
【0053】
バッファ制御部47は、通信部49、・・・、49が受信したパケットを受信バッファ45に格納する。また、バッファ制御部47は、送信バッファ43に対し、例えば、スレーブノード41で発生した他のノード宛のパケットや、他のスレーブノードから受信した他のスレーブノード宛のパケットを格納させる。送信バッファ43に格納されるパケットには、上りパケットと下りパケットが含まれる。
【0054】
送信準備パケット選択部51は、送信バッファ43に格納されたパケット群に送信優先順位を設定し、最も送信優先順位の高いパケットを送信準備パケットとして選択する。送信優先順位は、例えば、送信バッファ43に格納された時間が長いパケットが優先順位を高く設定する(FIFO送信)。
【0055】
イベント発生部53は、パケット送信基準が真である場合に送信可能割り込みイベントを発生する。
【0056】
パケット送信基準としては、例えば、送信バッファ43に新たなパケットが追加されたこととしてもよい(下り非同期IPT)。具体的には、他のスレーブノード若しくはコアノードからパケットを受信する場合、又は、当該スレーブノード内部でパケットが発生する場合である。
【0057】
また、パケット送信基準として、送信バッファ43に新たな下りパケットが追加されたこととしてもよい(下り同期IPT)。特に、下り同期とすることにより、さらに効率のよい中継伝送を達成することができる。すなわち、下り同期は、下り回線はコアノードがあたかもポーリングするような中継伝送が行われることに着目するものである。上り回線では、下り回線でIPTにより中継伝送される下りパケットをポーリング信号のごとく捉え、これに同期させて伝送する。この伝送により、中継パケットの衝突が回避され、さらに効率のよい中継伝送効率を達成することができる。ただし、下り同期では、下りパケットの受信がそれほどない場合に、スレーブノードに上りパケットが溜まる可能性がある。そのため、例えば、定期的に、コアノードから空の下りパケットをIPTにより伝送するようにしてもよく、また、他のノードからのパケットの受信を待たずに、イベント発生部53は、スレーブノードに一定数以上のパケットが溜まった場合には送信可能割り込みイベントを発生し、送信バッファ43のパケット送信が行われるようにしてもよい。
【0058】
通信制御部55は、イベント発生部53が送信可能割り込みイベントを発生した場合、送信準備パケットが上りパケットの場合には上り優先度に従って、送信準備パケットが下りパケットの場合には下り優先度に従って、1つの通信部を選択し、選択された通信部に対して送信準備パケットを送信させる。
【0059】
通信制御部55の動作について、図4(b)を参照して、具体的に説明する。図4(b)は、図3(b)の通信制御部55の動作を示すフロー図である。
【0060】
通信制御部55は、まず、送信可能割り込みイベントが発生したか否かを判断する(ステップSTS1)。
【0061】
次に、通信制御部35は、送信準備パケットが上りパケットか否かを判断する(ステップSTS2)。送信準備パケットが上りパケットである場合、通信制御部35は、図4のステップSTC2において説明したことと同様にして、上り優先度に従って通信部を選択する(ステップSTS3)。送信準備パケットが下りパケットである場合、通信制御部35は、図4のステップSTC2において説明したことと同様にして、下り優先度に従って通信部を選択する(ステップSTS4)。
【0062】
次に、通信制御部35は、選択された通信部に対して、通信待機状態を経ることなく、送信準備パケットを送信させる(ステップSTS5)。そして、ステップSTS1の処理に戻る。
【0063】
以上をまとめると、コアノード及びスレーブノードの動作は、次の表のようにまとめることができる。すなわち、上りパケットの送信はスレーブノードのみが関連するが、通信部の選択は上り優先度に従って行われ、送信可能割り込みイベントの発生により送信処理がなされる。他方、下りパケットの送信は、コアノードもスレーブノードも行う。通信部の選択は下り優先度に従って行われ、コアノードでは周期的間欠にパケットの送信が行われ、スレーブノードでは送信可能割り込みイベントの発生により送信処理がなされる。
【0064】
【表1】
JP0005515072B2_000002t.gif

【0065】
なお、上り優先度もしくは下り優先度が等しい通信部はすべてのノードにおいて同じ無線チャネルを割り当ててもよい(固定チャネル割り当て)。

【0066】
また、スレーブノードの場合には各通信部は当該スレーブノードの中継先となる中継先ノードにおいて最も電波干渉を受けにくい無線チャネルを割り当て、上り優先度もしくは下り優先度が等しい無線機に割り当てられた無線チャネルが中継元ノードと中継先ノードとで異なる場合、中継先ノードでは当該ノードが送信するとき以外は中継元ノードの無線チャネルに合わせるようにしてもよい(ダイナミックチャネル選択)。特に、ダイナミックチャネル選択により、干渉をより一層軽減することができる。すなわち、ISMバンドの適用を前提とした場合、干渉は、自身のメッシュクラスタ内で発生する近隣の中継回線から発せられる干渉と、他の無線システムから発せられる干渉という2つの根源がある。各中継リンクに最も干渉の影響を受けにくいチャネルを動的に選択し、ISMバンドの下であってもロバストな中継伝送を実現することができる。IPTを前提としたダイナミックチャネル選択を行うことにより、マルチチャネルIPTとの相乗効果を発揮することができる。
【0067】
また、流れるトラフィックは、メッシュクラスタの外郭に位置するノードでは疎となる。例えば、下り回線ばかりしか伝送されない状況では、上り回線用に確保した車線はほとんど使われない。そのため、スレーブノード間では、使用されていない車線に反対方向のパケットを流すようにしてもよい(リンクborrowing)。
【実施例2】
【0068】
続いて、図5~9を参照して、本願発明に関するシミュレーション結果を示し、本願発明の有効性について説明する。
【0069】
図5は、本願発明のシミュレーションにおけるノードの配置を示す図である。シミュレーション緒元について説明する。コアノードは1個(図5において0番のもの)、スレーブノードは23個である。伝播路は、5mまでは伝播定数α=2であり、それ以上はα=3.5である(屋内環境モデル)。ルーティングは最小伝播損ルーティングである。シャドウイングは壁による減衰のみ(12dB)である。無線IFはIEEE802.11a(54Mbps)である。データパケットサイズは1500bytes、シミュレーション時間は180secである。トラフィックモデルは、UDPトラフィックのみであり、呼は基地局においてポアソン生起、1パケットバーストあたりのパケット数は対数正規分布に従う(Uplinkは平均3パケット、Downlinkは平均20パケットであり、上下総トラフィック比は1:10。)。IPTは、コアノードからの下り回線トラフィックにのみ適用する。
【0070】
図6は、システムスループットについて、本願発明の実施例である下りリンク用チャネルにのみIPTを適用したもの(以下、「DL-IPT」という。)と、従来技術との比較を示す図である。比較の対象となる3つの従来技術は、一つが使用するチャネル(IF)が一つのみのもの(SingleCh。以下、「従来技術1」という。)、2つの無線IFを使用し、上り、下りリンクにそれぞれチャネルを割り当てたもの(DualCh;UL&DL。以下、「従来技術2」という。)、上り、下りの区別無くチャネルを使用するもの(DualCh;Mixed。以下、「従来技術3」という。)である。本願発明の実施例であるDL-IPTでは、下りリンク用チャネルにのみIPTを適用する。最小CW=7[slot time]、送信周期=0.5[msec]に設定する。ただし、キューに下りリンクのパケットがある程度溜まってきたら上りリンクのチャネルも使用する(リンクborrowing)。
【0071】
図6において、横軸は呼量であり、縦軸は合計スループットである。図5に示されているように、スループットは、従来技術1では高々約12Mbps、従来技術2では高々約13Mbpsである。従来技術3では、高々約24Mbpsであり、従来技術1や従来技術2に比較して約2倍となっている。それに対し、本願発明の実施例であるDL-IPTでは、約27Mbpsが達成されており、従来技術3と比較しても、約12%も改善されている。
【0072】
なお、上り回線におけるトラフィックが下り回線におけるトラフィックに比べて小さく、ほとんど空いている状態であるため、上り回線にも下り回線のトラフィックを流すことでシステムスループットは大幅に向上した。
【0073】
図7は、1パケットあたりの平均遅延について、本願発明の実施例であるDL-IPTと、従来技術との比較を示す図である。平均遅延は、パケットがキューに蓄えられてから最終宛先ノードへ届くまでの時間である。図6において、横軸は呼量であり、縦軸は平均遅延である。平均遅延が0.5[sec/Packet]を超えるときの呼量の値を比較すると、従来技術1では約12Mbps、従来技術2では約13Mbps、従来技術3では約24Mbpsである。それに対し、本願発明の実施例であるDL-IPTでは、約26Mbpsであり、従来技術と比較して、大幅に改善されている。
【0074】
図8は、下り回線トラフィックにおけるパケットロス率について、本願発明の実施例であるDL-IPTと、従来技術との比較を示す図である。ここで、パケットロス率は、最大再送回数を超えて破棄されたバケット数を、受信に成功したパケット数と破棄されたパケット数を足したもので割って得られたものとする。図8において、横軸は呼量であり、縦軸はパケットロス率である。従来技術3では、低くとも0.02%以上あり、呼量が20Mbpsを超えると約0.05%程度にまで上昇している。それに対し、本願発明の実施例であるDL-IPTでは、0.01以下とほぼ0に近く、従来技術3と比較して、大幅に改善されている。
【0075】
図9は、上り回線トラフィックにおけるパケットロス率について、本願発明の実施例であるDL-IPTと、従来技術との比較を示す図である。図9において、横軸は呼量であり、縦軸はパケットロス率である。上り回線トラフィックに関しては、従来技術3が高くとも0.05%以下であるのに対し、本願発明の実施例であるDL-IPTでは、呼量が低いときには従来技術3と同様の値となっているものの、呼量の値が大きくなるにつれて0.08%付近にまで上昇している。
【0076】
なお、上り回線を使わないDL-IPTのみの適用では、最大で16Mbpsの改善が得られている。同じ条件の従来技術に対しては、20%程度、改善されている。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】無線メッシュネットワークの一例を示す図である。
【図2】(a)は、図1のメッシュクラスタ103、105、107の一例であるメッシュクラスタ1を示し、(b)は、メッシュクラスタ1に含まれるコアノード3を根とする木構造の中継経路の一例を示す図である。
【図3】本願発明の実施の形態に係るコアノード21及びスレーブノード41の一例を示すブロック図である。
【図4】図3(a)の通信制御部35及び図3(b)の通信制御部55の動作の一例を示すフロー図である。
【図5】本願発明のシミュレーションにおけるノードの配置を示す図である。
【図6】システムスループットについて、本願発明の実施例である下りリンク用チャネルにのみIPTを適用したもの(DL-IPT)と、従来技術との比較を示す図である。
【図7】1パケットあたりの平均遅延について、本願発明の実施例であるDL-IPTと、従来技術との比較を示す図である。
【図8】下り回線トラフィックにおけるパケットロス率について、本願発明の実施例であるDL-IPTと、従来技術との比較を示す図である。
【図9】上り回線トラフィックにおけるパケットロス率について、本願発明の実施例であるDL-IPTと、従来技術との比較を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
21 コアノード、23 送信バッファ、29,・・・,29 通信部、31 送信準備パケット選択部、33 イベント発生部、35 通信制御部、41 スレーブノード、43 送信バッファ、49,・・・,49 通信部、51 送信準備パケット選択部、53 イベント発生部、55 通信制御部、
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8