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明細書 :MRI用造影剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4569875号 (P4569875)
登録日 平成22年8月20日(2010.8.20)
発行日 平成22年10月27日(2010.10.27)
発明の名称または考案の名称 MRI用造影剤
国際特許分類 A61K  49/00        (2006.01)
FI A61K 49/00 C
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願2005-502822 (P2005-502822)
出願日 平成16年2月3日(2004.2.3)
国際出願番号 PCT/JP2004/001063
国際公開番号 WO2004/075925
国際公開日 平成16年9月10日(2004.9.10)
優先権出願番号 2003050574
2003322515
優先日 平成15年2月27日(2003.2.27)
平成15年9月16日(2003.9.16)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成19年2月2日(2007.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
発明者または考案者 【氏名】片山 佳樹
【氏名】下川 宏明
【氏名】山本 竜広
個別代理人の代理人 【識別番号】100087675、【弁理士】、【氏名又は名称】筒井 知
審査官 【審査官】川口 裕美子
参考文献・文献 特開平07-145038(JP,A)
特開平09-208599(JP,A)
特表平05-507276(JP,A)
特開2002-348235(JP,A)
FLACKE,S. et al,Novel MRI contrast agent for molecular imaging of fibrin: implications for detecting vulnerable plaques,Circulation,2001年,Vol.104, No.11,p.1280-5
調査した分野 A61K 49/00
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
不対電子を有する原子および/または分子を含みMRI信号を上昇または低下させる造影ユニットに、血管内皮剥離部位を選択的に認識し該部位に結合する検知ユニットが結合されているMRI用造影剤であって、下記の式(VII)で表わされる化学構造から成ることを特徴とするMRI用造影剤。
JP0004569875B2_000006t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】

本発明は、生体内試験のための製剤の技術分野に属し、特に、MRIに用いられる新規な造影剤に関する。
【背景技術】

MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴映像法)においては、画像のコントラストを高めるために血管内投与造影剤が用いられる。従来より使用されているMRI用血管内投与造影剤は、専ら、血管の全体的な形態、すなわち、血管内腔の狭窄の度合を観測することにより血管病の診断や治療の判断材料としていたものであり、血管の内皮剥離部位(病変部位)を直接的に検知するものではなかった。
血管の内皮剥離部位そのものを描出することができれば疾病の早期発見や早期治療に大いに資することができると考えられるが、そのような目的で開発されたMRI用造影剤は殆ど見当らない。血管の傷害部位や炎症部位を検出するMRI用造影剤としては、インテグリンやフィブリンに対する抗体を用いる手法が提案されている(D.A.Sipkins他、Nature Medicine,4,623-626(1998)、またはS.Flacke他、Circulation,104,1280-1285(2001))。しかし、このような抗体に基づく造影剤は、調製に煩雑な工程を要し且つ多量に使用しなければならないため高価になるので実用的ではない。
本発明の目的は、血管の内皮剥離部位を直接的に検知して造影することができ、調製が容易で使用コストの低廉な新しいMRI用造影剤を提供することにある。
【図面の簡単な説明】

第1図は、本発明のMRI用造影剤の1例を合成するための反応スキームを示す。
第2図は、ブタの大静脈血管片を用いて、本発明のMRI用造影剤の造影能を評価する実験結果を示す。
第3図は、生きたラットを用いて、本発明のMRI用造影剤の造影能を評価する実験結果を示す。
第4図は、ラットの各臓器について、本発明のMRI用造影剤に由来するGdの残存量の測定結果を示す。
第5図は、MRI造影剤の造影能を評価するインビボ試験に用いたラットの観測部位を示す。
第6図は、本発明のMRI造影剤および比較のMRI造影剤を用いたラットのMRI撮像結果を示す。
第7図は、本発明の造影剤および比較のMRI造影剤を用いたラットのMRI撮像試験におけるMRIシグナル強度を数値化して示す。
【発明の開示】

本発明者は、検討を重ねた結果、血管の内皮剥離部位を選択的に認識してこれに結合する物質が存在することに注目し、その構造ユニットと造影作用のあるユニットとを組み合わせることにより本発明を導き出したものである。
かくして、本発明に従えば、不対電子を有する原子および/または分子を含みMRI信号を上昇または低下させる造影ユニットに、血管内皮剥離部位を選択的に認識し該部位に結合する検知ユニットが結合されていることを特徴とするMRI用造影剤が提供される。
すなわち、本発明は、従来のMRI用造影剤のように専ら造影のみを目的とするものではなく、血管の内皮剥離部位そのものを直接的に検知し且つこれを造影する点において新規なMRI用造影剤である。
本発明のMRI用造影剤の検知ユニットの好ましい例として下記の一般式(I)で表わされるような化学構造を含むものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
JP0004569875B2_000002t.gif 式(I)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11の少なくとも1つは、それぞれ独立して、スルホン酸基、ヒドロキシル基、またはアミノ基であってもよく、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基またはアルコキシ基であってもよく、上記官能基のいずれでもないR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は水素原子を表わし、Xは、存在する場合には、フェニル基、または少なくとも1個所が炭素数1~3のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたフェニル基を表わす。
なお、本明細書および図面に示す化学構造式においては、慣用的な表示法に従い、炭素原子や水素原子を省略していることもある。
本発明のMRI用造影剤は、血管内皮剥離部位を選択的に検知することができるので、血管病の早期診断や早期治療にきわめて有用である。そして、本発明のMRI用造影剤は、既知の合成反応を利用して簡単に調製することができ、比較的少量で造影剤として使用されるのでそのコストも低廉である。
【発明を実施するための最良の形態】

本発明のMRI用造影剤の検知ユニットの好ましい例に含まれる化学構造を表わす式(I)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11(以下、R~R11と記す)の少なくとも1つは、既述のように、それぞれ独立して、スルホン酸基(-SOH)、ヒドロキシル基(-OH)またはアミノ基(-NH)であってもよい。すなわち、R~R11は、全てが水素原子である(無置換である)か、または、少なくとも1つは、スルホン酸基、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、そして、R~R11の2つ以上がスルホン酸基、ヒドロキシル基またはアミノ基である場合、それらの2つ以上の官能基は互いに同一のものであってもよく別異のものであってもよい。一般的には、本発明のMRI用造影剤の水溶性を高めるために(特に、造影ユニットの親水性が低い場合)、R~R11の少なくとも1つはスルホン酸基であることが好ましい。
また、式(I)において、R~R11のうち、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、炭素数1~3のアルキル基またはアルコキシ基であってもよく、特に好ましいのはメチル基である。上述したようないずれの官能基でもないR~R11は水素原子を表わす。
さらに、式(I)においてXは存在しない場合もあり、この場合は式(I)に示すベンゼン環に直接-NHが結合している。Xは、存在する場合には、フェニル基、または少なくとも1個所が炭素数1~3のアルキル基もしくはアルコキシ基(好ましくはメチル基)で置換されたフェニル基を表わす。
かくして、本発明のMRI用造影剤を構成する検知ユニットに含まれる化学構造の好ましい例として、下記の(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
JP0004569875B2_000003t.gifJP0004569875B2_000004t.gif 一方、本発明のMRI用造影剤の造影ユニットは、不対電子を有する原子および/または分子を含みMRI信号を上昇または低下させるものであればよく、特に制限はない。すなわち、MRIにおいてプロトンの緩和時間(T、T)を短縮する等の作用に基づき造影作用のあるものとして知られている各種の物質が、本発明のMRI用造影剤の造影ユニットとして用いることができる。例えば、常磁性を示す金属イオン(Gd3+、Dy3+、Eu3+、Fe3+、Mn2+など)のキレート錯体;ピペリジン誘導体やピロリジン誘導体などのニトロキシドラジカル分子;マグネタイト(Fe)のような強磁性体などが使用可能であるが、特に好ましいのは、DTPA、DOTA、EDTAなどをリガンド(配位子)とするガドリニウム(Gd(III))のキレート錯体である。
かくして、本発明に従うMRI用造影剤の好ましい具体例として、その造影ユニットがGd(III)のDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)錯体から成り、検知ユニットが上記の式(II)の化学構造式から成る下記の式(VII)で表わされるものが挙げられるが、勿論、これに限定されるものではない。
JP0004569875B2_000005t.gif 本発明のMRI用造影剤は、既知の反応を工夫することによって容易に合成することができる。例えば、造影ユニットとしてガドリニウムのキレート錯体のような金属錯体を用いる場合には、一般に、式(I)で表わされる検知ユニットの一部分に相当するアミノ化合物をBoc化(t-ブトキシカルボニル化)して、金属錯体のリガンド部分と反応させた後、Boc基を除去し、式(I)で表わされる検知ユニットの残りの部分をジアゾカップリング反応により結合させ、次いで、金属と錯形成することによって、目的のMRI用造影剤が得られる(後述の実施例1参照)。
以上のようにして得られる本発明のMRI用造影剤は、その検知ユニットが血管の内皮剥離部位(病変部位)を選択的に認識して該部位に結合するとともに、その造影ユニットがこれをMRI信号(シグナル)として造影することができる。したがって、本発明のMRI用造影剤は、血管内皮剥離部位特異的な造影剤として、血管病の診断および治療に際して、より確実な情報を与えることができる。例えば、同程度の狭窄度の血管であっても、内皮剥離のある部位は、その剥離がなく安定化した部位に比べて、その後の動脈硬化の進行が急速であり不安定化しやすいことが知られており、本発明の造影剤により血管の内皮剥離部位を検知することができれば、そのような循環器系疾患の早期診断および早期治療を可能にする。
以下に、本発明の特徴をさらに具体的に示すため実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【実施例】

実施例1:造影剤の合成
第1図に示す反応スキームに従って、既述の式(VII)で表わされる本発明のMRI用造影剤を合成した。
(1)Boc DMBの合成(工程A):
ジメチルベンジジン(DMB)1.0g(4.71mmol)、ジブトキシカルボニルケトン(BocO)1.284g(5.88mmol)、トリエチルアミン0.714gをジクロロメタン20ml中で混合し、室温で48時間攪拌した。反応液は濾過後、クロロホルムを加え、L-酒石酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄することで未反応のDMBを除去した。クロロホルム相を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製後、減圧乾燥し目的物を得た(0.60g)。
(2)DMB-DTPAの合成(工程B):
Boc DMB0.30g(0.96mmol)を溶解したピリジン20ml中に無水DTPA0.343g(0.96mmol)を懸濁し、窒素置換後、容器(ナスフラスコ)を密閉し、50℃で一晩攪拌した。未反応の無水DTPAを吸引濾別し濾液を減圧乾燥後、0.1M NaOHを6ml(0.6mmol)加え、1時間放置後、これを凍結乾燥した。これを水に再溶解し、ODSシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより目的物中間体を分取した。これにTFAを4ml加え溶解後、30分放置し、その後、エーテル40mlを加えた後に、析出物を回収することでBoc基の除去を行い目的物を得た。収量0.85g。
(3)ジアゾカップリング(工程C):
DMB-DTPA:65mg(62.3μmol)、35%HCl:16.5μl(187μmol)を水1ml中で混合し、これにNaNO:4.5mg(65.2μmol)を加え、30分攪拌することでジアゾニウム塩化を行なった。これを1-アミノ-8-ナフトール-2,4-ジスルホン酸のモノナトリウム塩21.2mg(62.2μmol)、NaCO26.4mg(249μmol)を含む水溶液1mlに氷浴上で滴下し、ジアゾカップリングを行なった。反応終了後、反応液に35%HClを滴下することで析出させ、これを回収することで目的物を得た。収量:42.5mg。
(4)ガドリニウムとの錯形成:
ジアゾカップリング後のサンプル19.8mgを水2.2mlに溶解し、等モルの1M GdCl水溶液を加えた後に、1M NaOH水溶液にてpHを7に調製することで目的物(VI)を10mMで含む水溶液を得た。
実施例2:MRIによる造影評価(1)
実施例1で合成(調製)した造影剤について、ブタ大動脈血管片を対象サンプルとしてMRIによるインビトロ(in vitro)の造影能評価を行なった。
豚より大動脈血管片を摘出後、2cm×3cm程度の長方形状に開閉した。中心部より左半分をメスにて内皮表面を剥いて調製した血管片を、10mMの造影剤水溶液に10秒間浸漬した。これを生理食塩水で充分洗浄した後、目視観察するとともにMRIによる評価を行なった。
その結果を第2図に示す。図中(A)は、目視観察に相応するデジタルカメラによる撮影像であり、内皮剥離部位(図中、左半分)が青色に染色され、内皮剥離部位における造影剤の集積が目視により観察された。第2図の(B)はMRI像(T1強調SE(スピン・エコー)法)であり、また、第2図の(C)は、(B)のMRI像の内皮剥離部位と内皮正常部位におけるそれぞれのシグナル(信号)強度をコンピュータ画像解析システム(NIHImage)により数値化したものである。内皮剥離部位におけるシグナル強度は、内皮正常部位におけるシグナル強度に比べて約10倍大きくなっており、本発明の造影剤は、内皮剥離部位に特異的に結合してこれをMRIシグナルを介して鮮明に造影できることが分かる。
実施例3:MRIによる造影評価(2)
本発明の造影剤について、生きたラットを用いる半ビボ(ex vivo)実験によりその造影能を評価した。
先ず、ラットの左大腿動脈よりカテーテルを通し、その左頸動脈にバルーン障害を施した。さらに、24mMの造影剤(実施例1で調製したEBDTPA-Gd)の生理食塩水溶液2mlをラットの右頸静脈よりインジェクト(注射)した。所定の時間(10、30、120min(分))経過後、右頸動脈及び左頸動脈を摘出し展開後、生理食塩水にて洗浄を行ない、MRIにより評価を行なった。MRIによる評価は、摘出した頸動脈片に生理食塩水1~2滴を滴下した状態にてT1強調SE法にて撮像することにより行なった。
その結果を第3図に示す。第3図中、「injured」と記されているのは、バルーン障害を起こした内皮剥離部位(左頸動脈)であり、また、「intact」と記されているのは内皮正常部位(右頸動脈)である。第3図の血管展開標本写真に示されるように、後述するシグナル強度の大きさに応じた濃さの紫色の着色が認められる。また、第3図において、血管展開標本写真の下方に示す(A)は、MRIによる観察のために調製したサンプルの状態を概示するものであり、図示のようにガラス板上に頸動脈片を展開配置し、生理食塩水1~2滴に浸した状態で観察した(なお、左端はコントロールとして生理食塩水のみの場合を示す。)第3図の(A)の下方には、それぞれの場合のMRI画像(B)、および、そのシグナル強度を数値化したもの(C)(実施例2と同様にコンピュータ画像解析システム(NIHImage)により数値化)を示している。
第3図に示されるように、10分後では、損傷部位(内皮剥離部位)は正常部位に比べて1.74倍のシグナル強度が見られ、本発明の造影剤が生体内においても血管の内皮剥離部位を選択的に検知し造影できることが明らかである。しかも、30分後には、シグナル強度が弱くなるとともに、内皮剥離部位と正常部位のシグナル強度の差も小さくなることが示され、さらに、120分後には、剥離部位と正常部位のシグナル強度の差は実質的に観察されず、本発明の造影剤が迅速に体外に排泄され得ることが理解される。
このことは、以下のようにして行なった各臓器におけるGd(ガドリニウム)の残存量測定からも明らかである:ヘパリン1mlをラットに投与後、血液を採取し、さらに、生理食塩水にて全身還流後、各臓器を摘出した。所定量の各臓器と血液に硝酸3mlを加え1時間放置後、25%過酸化水素水を加え一晩室温にて放置した。その後、加熱して水6mlを加えた後、不溶分を濾過により除去し、濾液をICPにより分析を行なった。
測定結果を第4図に示す。第4図に示されるように、Gdは血液と腎臓以外では殆ど滞留がなく、本発明の造影剤には、専ら、腎臓を介して尿代謝されることが理解される。事実、造影剤をラットに注射した後、10分から直ちに尿が、造影剤に起因する濃い紫色に着色したことからもこのことが確認された。
実施例4:MRIによる造影評価(3)
この実施例は、生きたラットを用いるインビボ(in vivo)実験により本発明の造影剤の造影能を評価するためのものである。
ペントバルビタール麻酔を施したラット(約300g)の左大腿動脈(第5図(a)の1)より、先端にバルーンを装着したカテーテルを挿入し、左総頸動脈(第5図の4)をバルーンで擦過することにより、内皮を傷害した。その後、左大腿静脈(第5図(a)の2)より造影剤(実施例1で調製したもの)の生理食塩水溶液(24mM)を2ml(約160μM/kg)注射した。所定の時間間隔で左右総頸動脈付近(第5図(a)の線N-Nに沿う断面)をMRI(T1強調spin-echo法)にて撮像した。ラットは撮像中動かないように、麻酔がきれかけている場合には追麻(ネンブタール)を行なった。比較のために従来から用いられているDTPA-Gdから成る造影剤についても同様の評価試験を行なった。
撮像の結果を第6図および第7図に示す。第6図は、第5図の(b)に相当するラットの総頸動脈断面の映像である。第6図中、「injured」と記されているのはバルーン障害を起こした左総頸動脈であり、第5図(b)の4に相当し、他方「intact」と記されているのは正常な右総頸動脈であり、第5図(b)の5に相当する。なお、第5図(b)の3は気管支を示す。第5図(b)を参照すると理解が容易になるが、本発明の造影剤を用いた場合には、「injured」された左総頸動脈に明瞭なMRIシグナルが認められる(第6図に矢印で示されるように明白な白い部分が見られる)が、従来からの一般的な造影剤であるDTPA-Gdではこのようなシグナルは観察されなかった。
このことは、傷害した総頸動脈と正常な総頸動脈のMRIシグナル強度を数値化し(その方法は、実施例2および実施例3と同じである)その時間変化を示す第7図によっても裏づけられている。すなわち、本発明の造影剤を用いた場合においては、造影剤投与後、10分から傷害した左総頸動脈に正常な右総頸動脈よりも強いMRIシグナルが見られ、時間とともにそのシグナル強度は増大し、投与後1時間で一定となった。一方、一般的なMRI造影剤であるDTPA-Gdでは、傷害した総頸動脈と正常な総頸動脈とのシグナル強度に実質的な差異が認められず、傷害部位を検出することはできない。
【産業上の利用可能性】

本発明のMRI造影剤は、血管の内皮剥離部位を直接的に検知し、造影する新しいタイプの造影剤として、血管病の早期発見や早期診断に資することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6