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明細書 :水熱酸化分解処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5369276号 (P5369276)
公開番号 特開2008-207132 (P2008-207132A)
登録日 平成25年9月27日(2013.9.27)
発行日 平成25年12月18日(2013.12.18)
公開日 平成20年9月11日(2008.9.11)
発明の名称または考案の名称 水熱酸化分解処理装置
国際特許分類 B01J   3/00        (2006.01)
B01J   3/02        (2006.01)
B01J   3/04        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
C02F  11/08        (2006.01)
FI B01J 3/00 ZABA
B01J 3/02 C
B01J 3/04 C
B01J 3/04 F
B01J 3/04 Z
B09B 3/00 304P
B09B 3/00 304Z
C02F 11/08
請求項の数または発明の数 9
全頁数 15
出願番号 特願2007-048187 (P2007-048187)
出願日 平成19年2月27日(2007.2.27)
審査請求日 平成22年2月16日(2010.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】佐古 猛
【氏名】岡島 いづみ
個別代理人の代理人 【識別番号】100136674、【弁理士】、【氏名又は名称】居藤 洋之
審査官 【審査官】平塚 政宏
参考文献・文献 特開2001-269566(JP,A)
特開2004-290819(JP,A)
特開2005-246153(JP,A)
特開2001-149768(JP,A)
特開平10-151340(JP,A)
調査した分野 B01J 3/00 - 3/08
B09B 1/00 - 5/00
B09C 1/00
C02F 11/00 - 11/20
特許請求の範囲 【請求項1】
水分を含む流体状の被処理物を導くための導入路と、
前記導入路によって導かれる前記被処理物を導入するための導入口、および前記被処理物を酸化処理することにより生成される物質を排出するための排出口を有し、加熱および加圧された条件下で水と酸化剤とを用いて、前記被処理物を酸化処理する反応器とを備えた水熱酸化分解処理装置において、
前記導入路内を導かれる前記被処理物を冷却するための冷却手段を備え、
前記反応器内の水は超臨界水であり、
前記反応器における前記導入口側が前記排出口側より低くなるように前記反応器の傾斜の角度αを水平面に対して5°<α≦15°の範囲内で傾斜させ、前記反応器内における前記導入口付近の温度が同反応器内における同導入口付近以外の領域の温度より低く、かつ、水の臨界温度未満になるようにしたことを特徴とする水熱酸化分解処理装置。
【請求項2】
水分を含む流体状の被処理物を導くための導入路と、
前記導入路によって導かれる前記被処理物を導入するための導入口、および前記被処理物を酸化処理することにより生成される物質を排出するための排出口を有し、加熱および加圧された条件下で水と酸化剤とを用いて、前記被処理物を酸化処理する反応器とを備えた水熱酸化分解処理装置において、
前記導入路内を導かれる前記被処理物を冷却するための冷却手段を備え、
前記反応器内の水は亜臨界水であり、
前記反応器における前記導入口側が前記排出口側より低くなるように前記反応器の傾斜の角度αを水平面に対して5°<α≦15°の範囲内で傾斜させ、前記反応器内における前記導入口付近の温度が同反応器内における同導入口付近以外の領域の温度より低く、かつ、同反応器内の圧力を飽和水蒸気圧とする温度未満になるようにしたことを特徴とする水熱酸化分解処理装置。
【請求項3】
水分を含む流体状の被処理物を導くための導入路と、
前記導入路によって導かれる前記被処理物を導入するための導入口、および前記被処理物を酸化処理することにより生成される物質を排出するための排出口を有し、加熱および加圧された条件下で水と酸化剤とを用いて、前記被処理物を酸化処理する反応器とを備えた水熱酸化分解処理装置において、
前記導入路内を導かれる前記被処理物を冷却するための冷却手段を備え、
前記反応器内の水は、温度が水の臨界温度(374℃)以上700℃以下、圧力が5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満の高圧過熱水蒸気であり、
前記反応器における前記導入口側が前記排出口側より低くなるように前記反応器の傾斜の角度αを水平面に対して5°<α≦15°の範囲内で傾斜させ、前記反応器内における前記導入口付近の温度が同反応器内における同導入口付近以外の領域の温度より低く、かつ、水の臨界温度未満になるようにしたことを特徴とする水熱酸化分解処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記冷却手段は、前記導入路内を導かれる前記被処理物の温度が水の臨界温度未満になるように前記被処理物を冷却する水熱酸化分解処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記冷却手段は、前記導入路内を導かれる前記被処理物の温度が前記反応器内の圧力を飽和水蒸気圧とする温度未満になるように前記被処理物を冷却する水熱酸化分解処理装置。
【請求項6】
請求項3に記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記冷却手段は、前記導入路内を導かれる前記被処理物の温度がの臨界温度未満になるように前記被処理物を冷却する水熱酸化分解処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記反応器は、傾斜角を任意の傾斜角に変更することができることを特徴とする水熱酸化分解処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記冷却手段は、前記導入路を冷却する導入路冷却器を備える水熱酸化分解処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載した水熱酸化分解処理装置において、
前記冷却手段は、前記被処理物を冷却する冷却媒体として水、空気、アンモニア、エチレングリコールまたはフロンを用いる水熱酸化分解処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を含む被処理物を高温・高圧の条件下で酸化分解処理する水熱酸化分解処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)またはダイオキシンなどの有害物質の無害化や、食品加工残渣、下水汚泥または家畜排泄物などの有機性廃棄物の効率的な処理を行う水熱酸化分解処理装置が知られている。水熱酸化分解処理装置は、高温・高圧状態の水の中に酸化剤と被処理物とを投入して被処理物を酸化分解する装置である。例えば、下記特許文献1には、水の臨界温度(374℃)以上、かつ水の臨界圧力(22MPa)以上に保たれた反応器内に、酸化剤である空気(酸素)と水分を含む流体状の被処理物とを供給して、同被処理物を酸化反応させて二酸化炭素、水、無機塩などの無害な物質に転化する水熱酸化分解処理装置が開示されている。

【特許文献1】特開2004-290819号公報
【0003】
しかしながら、このような水熱酸化分解処理装置においては、反応器内部が極めて高温であるため、反応器から伝わる熱により反応器に導かれる被処理物の水分が蒸発し、被処理物の一部が反応器の上流側配管内で固化することがある。このため、同配管内の一部または全部が固化した被処理物で塞がれ、被処理物を円滑に反応器内に供給することができず被処理物の処理効率が低下するという問題があった。
【0004】
また、水熱酸化分解処理装置の中には、上記した水熱酸化分解処理装置のように、反応器内に導かれる被処理物の温度を反応器内の温度に近い温度に予め熱することにより、反応器内での被処理物の酸化反応を良好に進行させるための予熱器を備えたものもある。この場合、予熱器から与えられる熱により反応器に導かれる被処理物の一部が固化し、上記と同様に配管内の一部または全部が固化した被処理物で塞がれ、被処理物を円滑に反応器内に供給することができず被処理物の処理効率が低下するという問題があった。
【発明の開示】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、反応器内に導かれる被処理物の固化を防止して被処理物を円滑に反応器内に導くことにより、被処理物を効率よく処理することができる水熱酸化分解処理装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、水分を含む流体状の被処理物を導くための導入路と、導入路によって導かれる被処理物を導入するための導入口、および被処理物を酸化処理することにより生成される物質を排出するための排出口を有し、加熱および加圧された条件下で水と酸化剤とを用いて、被処理物を酸化処理する反応器とを備えた水熱酸化分解処理装置において、導入路内を導かれる被処理物を冷却するための冷却手段を備え、反応器内の水は超臨界水であり、反応器における導入口側が排出口側より低くなるように反応器の傾斜の角度αを水平面に対して5°<α≦15°の範囲内で傾斜させ、反応器内における導入口付近の温度が同反応器内における同導入口付近以外の領域の温度より低く、かつ、水の臨界温度未満になるようにしたことにある。

【0007】
この場合、前記冷却手段は、導入路を冷却する導入路冷却器を備えるようにするとよい。また、前記冷却手段は、被処理物を冷却する冷却媒体として、例えば、水、空気、アンモニア、エチレングリコールまたはフロンを用いるとよい。

【0008】
このように構成した本発明の特徴によれば、冷却手段により導入路内を導かれる被処理物を冷却している。このため、反応器内に被処理物を導くための導入路内を流れる被処理物の水分の蒸発を防止でき、被処理物の固化により同導入路内を塞ぐことがない。すなわち、導入路内を流れる被処理物は流体状態を保って反応器内に導かれる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。また、このように構成した本発明の特徴によれば、反応器を水平面に対して傾斜させることにより、反応器内における導入口付近の温度を同導入口付近以外の領域の温度より低い温度としている。これにより、反応器内において、被処理物を酸化処理するための温度領域を確保しつつ、導入口付近の温度を下げることができる。このため、反応器内に被処理物を導く導入路に伝わる熱量を少なくでき、同導入路内を流れる被処理物の水分の蒸発を防止できる。すなわち、被処理物の固化によって導入路内を塞ぐことなく、流体状の被処理物を反応器に導くことができる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。そして、このように構成した本発明の全体の特徴によれば、導入路内を導かれる被処理物を冷却するための冷却手段を備えるとともに、反応器内における導入口付近の温度を下げるために反応器を傾斜させている。したがって、前記した冷却手段のみを備えた水熱酸化分解処理装置、または反応器を傾斜させたのみの水熱酸化分解処理装置に比べて、より確実に導入路を流れる被処理物の水分の蒸発、すなわち、被処理物の固化を防止することができる。これにより、流体状の被処理物をより確実に反応器に導くことができる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。


【0009】
また、本発明の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、反応器内の水は超臨界水であり、反応器内における導入口付近の温度が、水の臨界温度未満になるように反応器を傾斜させることにある。これによれば、超臨界水を用いた水熱酸化分解装置において、反応器内における被処理物を酸化処理するための温度領域を確保しつつ導入口付近の温度を下げることができ、導入路内での被処理物の固化を防止することができる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。

【0010】
また、本発明の他の特徴は、水分を含む流体状の被処理物を導くための導入路と、導入路によって導かれる被処理物を導入するための導入口、および被処理物を酸化処理することにより生成される物質を排出するための排出口を有し、加熱および加圧された条件下で水と酸化剤とを用いて、被処理物を酸化処理する反応器とを備えた水熱酸化分解処理装置において、導入路内を導かれる被処理物を冷却するための冷却手段を備え、反応器内の水は亜臨界水であり、反応器における導入口側が排出口側より低くなるように反応器の傾斜の角度αを水平面に対して5°<α≦15°の範囲内で傾斜させ、反応器内における導入口付近の温度が同反応器内における同導入口付近以外の領域の温度より低く、かつ、同反応器内の圧力を飽和水蒸気圧とする温度未満になるようにしたことにある。

【0011】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、亜臨界水を用いた水熱酸化分解装置において、反応器内における被処理物を酸化処理するための温度領域を確保しつつ導入口付近の温度を下げることができ、導入路内での被処理物の固化を防止することができる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。

【0012】
また、本発明の他の特徴は、水分を含む流体状の被処理物を導くための導入路と、導入路によって導かれる被処理物を導入するための導入口、および被処理物を酸化処理することにより生成される物質を排出するための排出口を有し、加熱および加圧された条件下で水と酸化剤とを用いて、被処理物を酸化処理する反応器とを備えた水熱酸化分解処理装置において、導入路内を導かれる被処理物を冷却するための冷却手段を備え、反応器内の水は、温度が水の臨界温度(374℃)以上700℃以下、圧力が5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満の高圧過熱水蒸気であり、反応器における導入口側が排出口側より低くなるように反応器の傾斜の角度αを水平面に対して5°<α≦15°の範囲内で傾斜させ、反応器内における導入口付近の温度が同反応器内における同導入口付近以外の領域の温度より低く、かつ、水の臨界温度未満になるようにしたことにある。


【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、高圧過熱水蒸気を用いた水熱酸化分解装置において、反応器内における被処理物を酸化処理するための温度領域を確保しつつ導入口付近の温度を下げることができ、導入路内での被処理物の固化を防止することができる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。

【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、反応器内の水は超臨界水であり、冷却手段は、導入路内を導かれる被処理物の温度が水の臨界温度未満になるように被処理物を冷却することにある。これによれば、超臨界水を用いた水熱酸化分解装置において、反応器内に被処理物を導くための導入路内で被処理物が固化することを防止することができる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。

【0015】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、反応器内の水は亜臨界水であり、冷却手段は、導入路内を導かれる被処理物の温度が反応器内の圧力を飽和水蒸気圧とする温度未満になるように被処理物を冷却することにある。これによれば、亜臨界水を用いた水熱酸化分解装置において、反応器内に被処理物を導くための導入路内で被処理物が固化することを防止することができる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。

【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、反応器内の水は、温度が水の臨界温度(374℃)以上700℃以下、圧力が5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満の高圧過熱水蒸気であり、冷却手段は、導入路内を導かれる被処理物の温度が水の臨界温度未満になるように被処理物を冷却することにある。これによれば、高圧過熱水蒸気を用いた水熱酸化分解装置において、反応器内に被処理物を導くための導入路内で被処理物が固化することを防止することができる。この結果、被処理物を円滑に反応器内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。

【0017】
また、本発明の他の特徴は、前記水熱酸化分解処理装置において、反応器は、傾斜角を任意の傾斜角に変更することができることにある。

【0018】
このように構成した本発明の特徴によれば、反応器の傾斜角を任意の傾斜角に変更することができる。これによれば、反応器に供給される被処理物の状態および反応室内における被処理物の処理状態などに応じて反応器の傾斜角を適宜変更することができ、被処理物の処理精度を向上させることができる。

【0019】
なお、上記特許文献1には、被処理物を供給する供給口側から処理物を排出する排出口に向けて上り勾配となるように横型反応器を傾斜させた構成の水熱酸化分解処理装置が開示されている。しかし、上記特許文献1に記載された水熱酸化分解処理装置において横型反応器を傾斜させる技術的な目的や理由、根拠等は明確に開示されていない。一方、本願発明は、反応器を傾斜させることにより、反応器内において被処理物を酸化処理するための温度領域を確保しつつ、導入口付近の温度を下げることを発明の構成要件の1つとしている。そして、これは、導入路内を流れる被処理物の水分の蒸発(被処理物の固化)を防止することを目的とするものである。すなわち、本願発明と上記特許文献1に開示された水熱酸化分解処理装置とは明らかに技術的な特徴が異なるものである。

【0020】
削除

【0021】
なお、上記した超臨界水とは、水を水の臨界温度(374℃)以上の温度に加熱するとともに、水の臨界圧力(22MPa)以上の圧力に加圧した状態の流体である。また、亜臨界水とは、水を200℃~350℃の温度に加熱するとともに、同加熱した温度に対応する飽和水蒸気圧以上(200℃では1.55MPa、350℃では16.5MPa)の圧力に加圧した状態の流体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る水熱酸化分解処理装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、超臨界水を用いて家畜排泄物や下水汚泥を酸化処理して無害な物質に分解する水熱酸化分解処理装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。ここで超臨界水とは、上記したように、水を水の臨界温度(374℃)以上の温度に加熱するとともに、水の臨界圧力(22MPa)以上の圧力に加圧した状態の流体である。この水熱酸化分解処理装置は、被処理物を貯留する貯留タンク11を備えている。
【0023】
貯留タンク11は、水熱酸化分解処理装置の処理対象である流体状の被処理物を貯留するための容器である。本実施形態においては、家畜排泄物や下水汚泥に所定量の水を加えてスラリー状(流体状)にした被処理物を貯留する。貯留タンク11の底部には、導入管12が接続されている。導入管12は、貯留タンク12に貯留されているスラリー状の被処理物を高圧ポンプ13、バルブ14および冷却器20を介して反応器30に導くための配管である。高圧ポンプ13は、貯留タンク11に貯留されている被処理物を導入管12を介して反応器30に供給するための送液ポンプであり、図示しない制御装置により作動が制御される。また、高圧ポンプ13は、前記制御装置による作動制御により、反応器30内の圧力を水の臨界圧力(22MPa)以上の圧力、具体的には25MPaに加圧する。バルブ14は、導入管12を介して反応器30に供給される被処理物の流量を調節するための手動弁である。
【0024】
冷却器20は、詳しくは図2に示すように、導入管12の下流側端部において下流側から上流側に向けて巻き回された冷却管21を備えている。冷却管21の上流側には、送水ポンプ22を介して貯水タンク23が接続されている。送水ポンプ22は、貯水タンク23に貯水された水を冷却管21を介して反応器30内に供給するための送液ポンプであり、前記制御装置により作動が制御される。具体的には、制御装置は、導入管12の下流側端部に設けられている図示しない温度センサからの検出信号に応じて送水ポンプ22の作動を制御、すなわち、冷却管21を流れる水の流量を調節して冷却管21が設置された導入管12内を流れる被処理物の温度が80℃程度になるように制御する。この冷却管21の下流端は図示しない排水枡に接続されている。
【0025】
反応器30は、図2に示すように、略円筒状に形成された筐体31と、略円盤状に形成された蓋体32,33とを備えている。これらのうち、蓋体32,33は、筐体31の両端部に各3つのボルト32a,33a(各1ずつ図示)によって固定されており、筐体31の内部を密閉して反応室34を形成している。反応室34は、超臨界水を用いて被処理物を酸化反応させて分解処理するための領域である。したがって、筐体31および蓋体32,33は、被処理物を酸化反応させて分解処理する温度(本実施形態においては、650℃)および圧力(本実施形態においては、25MPa)に耐えられる材料、例えばニッケル・クロム合金でそれぞれ構成されている。
【0026】
この反応器30における筐体31の上部には、反応室34に連通する貫通孔35a,35b,35c,35d,35eが筐体31の一方の端部側(図示左側)から他方の端部側(図示右側)に沿ってそれぞれ略等間隔に設けられている。これらのうち、貫通孔35aは、反応室34内に被処理物を導入するための孔であり、前記導入管12が接続されている。すなわち、貫通孔35aに接続される導入管12の端部が本発明に係る導入口に相当する。また、貫通孔35b~35dは、被処理物を酸化処理するための酸化剤を反応室34内に導入するための孔であり、貫通孔35eは、被処理物を酸化反応させることにより生成される反応ガスを反応室34外に排気するための孔である。
【0027】
この反応器30は、互いに高さの異なる支持台41,42により、反応器30における貫通孔35a(導入口)側が貫通孔35e(排気口)側より低くなるように、換言すれば、反応器30における被処理物の導入側から反応ガスの排気側に向けて上り勾配となるように、水平な床面Gに対して傾斜した状態で設置される。すなわち、この反応器30は、反応室34が略水平方向(横方向)に延びて形成された所謂横型の反応器を傾斜させて配置されている。これは、反応室34内の温度分布を反応ガスの排気側より被処理物の導入側の温度を低くするためである。具体的には、反応ガスの排気側の温度を水の臨界温度(374℃)以上の温度に維持した状態で、被処理物の導入側の温度を水の臨界温度(374℃)未満の温度にする。これにより、反応室34に連通する導入管12に水の臨界温度(374℃)以上の温度の熱が伝わらないようにして、導入管12内を流れる被処理物に含まれる水分の蒸発を防いで同被処理物の固化を防止している。
【0028】
本実施形態においては、反応器30を床面Gに対して8°だけ傾斜させている。この傾斜角は、本発明の発明者らによる実験結果に基づいて設定されたものである。すなわち、反応器30を水平状態から所定の角度ずつ傾斜させて反応室34内の温度分布を測定し、被処理物の酸化処理に最適な傾斜角を求めたものである。本発明者らの実験によれば、反応器30が水平状態であれば、反応室34内における貫通孔35a側(被処理物の導入側)から貫通孔35e側(反応ガスの排気側)までの温度は被処理物の酸化処理温度である略650℃であり、略均一な温度分布である。しかし、反応器30を所定の角度ずつ傾斜させた場合には、貫通孔35e側の温度(650℃)を略維持した状態で、貫通孔35a側の温度を水の臨界温度(374℃)未満にすることができる。この場合、反応器30の傾斜角を大きくする程、貫通孔35e側(反応ガスの排気側)における酸化処理温度(650℃)の温度領域が小さくなることも確認した。
【0029】
すなわち、反応器30の傾斜角は、反応室34内において貫通孔35e側(反応ガスの排気側)における被処理物の酸化処理温度の温度領域を十分確保しつつ、貫通孔35a側(被処理物の導入側)の温度を水の臨界温度(374℃)未満の温度することができる角度に設定すればよい。本発明者らの実験によれば、反応器30(反応室34)の大きさ(容量)や被処理物を処理する処理条件等に応じて反応器30の傾斜角を5°~15°の範囲で設定すれば良いことが見出された。
【0030】
反応室34内には、スクリューコンベア36が設けられている。スクリューコンベア36は、丸棒状に形成された駆動軸36aの外周面に略帯状の羽根36bが螺旋状に巻き回されて構成されており、反応室34内に投入される被処理物を駆動軸36aの軸線方向に沿って攪拌しながら移送する。このスクリューコンベア36の駆動軸36aは、その一端部(図示左側)が蓋体32の略中心部を貫通して移送モータ37に連結支持されているとともに、他端部(図示右側)が蓋体33の略中心部に軸受38を介して回転自在に支持されている。すなわち、スクリューコンベア36は、反応室34の長手方向に沿って設置されており、被処理物を貫通孔35a側(被処理物の導入側)から貫通孔35e側(反応ガスの排気側)に向けて攪拌しながら移送する。
【0031】
また、スクリューコンベア36の羽根36bには、その外周端面が駆動軸36aの軸心に向って半円状に切り欠かれた切欠き部36cが等間隔に形成されている。切欠き部36cは、羽根36bによって攪拌される被処理物に酸化剤を導き易くするとともに、反応室34内に供給される酸化剤が反応室34内の全体に速やかに行き渡るように設けられた所謂通風孔である。移送モータ37は、蓋体32の外側壁面(図示左側壁面)に固定された電動モータであり、前記制御装置によって作動が制御されてスクリューコンベア36の駆動軸36aを回転させる。
【0032】
筐体31の外周面であって前記貫通孔35b~35eの各孔の間には、電熱コイル39が巻き回された状態で設けられている。電熱コイル39は、前記制御装置によって作動が制御される加熱装置であり、反応室34内の温度を水の臨界温度(374℃)以上、具体的には650℃程度の温度に加熱するとともに、同温度状態を維持する。すなわち、この電熱コイル39は、被処理物に含まれる水を超臨界状態にするための熱源である。
【0033】
筐体31に設けられた貫通孔35b~35dには、反応室34内に酸化剤である空気(酸素)を供給するための供給管51,52,53がそれぞれ接続されている。供給管51,52,53の各上流側は、バルブ51a,52a,53a、共通配管54およびコンプレッサー55を介して空気取込口56が接続されている。バルブ51a,52b,53cは、供給管51,52,53内をそれぞれ流れる空気の流量を調節するための手動弁である。コンプレッサー55は、前記制御装置により作動が制御される空気圧縮装置である。具体的には、コンプレッサー55は、空気取込口56を介して大気中から吸引した空気を圧縮して反応室34に供給するとともに、反応室34内の圧力を水の臨界圧力(22MPa)以上の圧力、具体的には25MPaに加圧し維持する。
【0034】
筐体31に設けられた貫通孔35eには、被処理物を酸化反応させることにより生成される反応ガスを反応室34の外に排出するための排気管61が接続されている。すなわち、貫通孔35eに接続される排気管61の端部が本発明に係る排出口に相当する。この排気管61の下流側には、冷却器62、焼結フィルタ63および気液分離器64がそれぞれ設けられている。冷却器62は、排気管61を空冷および水冷方式により冷却して反応器30から排気された反応ガスの温度を大気温度に略等しい温度にまで下げる冷却装置であり、前記制御装置によって作動が制御される。焼結フィルタ63は、反応器20から排気された反応ガスに含まれる固形分を分離するためのものである。また、気液分離装置64は、反応器30から排気された反応ガスに含まれる水蒸気を液体として分離するとともに、同水蒸気が除かれた反応ガスを大気中に放出するための装置である。
【0035】
また、筐体31の外周面における前記排気管61の反対側には、反応室34内にて生成された固体(無機)残渣を廃棄するための廃棄管71が接続されている。この廃棄管71が接続される反応室34内における筐体31の内周面は、すり鉢状に窪んだ形状に形成されており、反応室34内で生成されスクリューコンベア36にて移送された固体(無機)残渣が廃棄管71に導かれ易くなっている。廃棄管71の下流側には、残渣受器72およびバルブ73がそれぞれ設けられている。残渣受器72は、反応器30にて生成された固体(無機)残渣を回収して貯留しておく容器である。また、バルブ73は、残渣受器72に貯留された固体(無機)残渣を放出するための手動弁である。
【0036】
上記のように構成した水熱酸化分解処理装置の作動について説明する。まず、作業者は、家畜排泄物(または下水汚泥)と水とを混ぜ合わせたスラリー状の被処理物(含水率約60%)を貯留タンク11内に貯留するとともに、貯水タンク23に水を貯める。そして、水熱酸化分解処理装置における図示しない電源スイッチを投入して、被処理物の処理の開始を制御装置に指示する。この指示に応答して前記制御装置は、コンプレッサー55および電熱コイル39の各作動を開始させる。これにより、反応器30における反応室34内は、水の臨界温度(374℃)以上の温度に加熱されるとともに、水の臨界圧力(22MPa)以上の圧力に加圧された状態となる。本実施形態においては、反応室34内の温度を650℃とし、圧力を25MPaとする。
【0037】
また、制御装置は、移送モータ37および送水ポンプ22の各作動を開始させる。これにより、反応室34内のスクリューコンベア36の回転が開始されるとともに、冷却管21内に貯水タンク23に貯水された水がそれぞれ流される。そして、制御装置は、高圧ポンプ13および冷却器62の各作動をそれぞれ開始させる。これにより、高圧ポンプ13は、反応器30における反応室34内に貯留タンク11に貯留されている被処理物の供給を開始する。この場合、反応室34内の温度分布は、本発明者らの測定結果によれば、反応室34内における排気管61の開口部付近の温度が約652℃、同反応室34内における供給管52の開口部付近の温度が約646℃、同反応室34内における供給管51の開口部付近の温度が約483℃、同反応室34内における導入管12aの開口部付近の温度が約326℃である。
【0038】
すなわち、反応室34内において排気管61の開口部側に被処理物の酸化処理温度の温度領域を十分確保しつつ、導入管12aの開口部付近の温度を水の臨界温度(374℃)未満の温度としている。このため、反応室34内における導入管12aの開口部付近の熱が導入管12に伝わって同導入管12内の被処理物を熱した場合であっても、被処理物に含まれる水分が蒸発して固化することはない。また、導入管12の下流端が冷却器20によって冷却されている。具体的には、導入管12の下流端に設けられた冷却管21によって、同導入管12内を流れる被処理物の温度は80℃程度に規定される。これにより、導入管12を流れる被処理物の温度が水の臨界温度(374℃)に達することはなく、被処理物に含まれる水分が蒸発して固化することが防止される。これらにより、被処理物はスラリー状態を保って反応室34内に導かれる。
【0039】
導入管12を介して反応室34内に供給された被処理物は、反応室34の底部に向かって自由落下した後、スクリューコンベア36により排気管61側に移送される。このスクリューコンベア36による攪拌・移送過程において被処理物に含まれる水分は、水の臨界温度(374℃)以上、かつ臨界圧力(22MPa)以上の雰囲気中に曝されて超臨界水となり、被処理物に含まれる有機物を溶解する。超臨界水に溶解した有機物は、反応室34内に供給されている酸化剤によって酸化分解されて、水蒸気、二酸化炭素ガスおよび窒素ガス等からなる反応ガスに転化する。また、被処理物に含まれる無機物(アルミナ、シリカ、リンなど)は粉状の固体(無機)残渣として析出する。
【0040】
被処理物の酸化処理によって生成された前記反応ガスは、排気管61を介して冷却器62、焼結フィルタ63および気液分離器64に導かれる。気液分離器64は、反応ガスに含まれる水蒸気を液化して貯留するとともに、二酸化炭素ガスおよび窒素ガスを大気中に放出する。一方、固体(無機)残渣は、スクリューコンベア36により廃棄管71に導かれた後、残渣受器72内に回収される。このようにして、被処理物の酸化処理が連続的に実行されて、有機物を含む被処理物が水、二酸化炭素ガス、窒素ガスおよび無機物質などの無害な物質に分解される。そして、すべての被処理物を酸化処理した場合には、作業者は水熱酸化分解処理装置の作動を停止させて被処理物の酸化処理作業を終了する。
【0041】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、冷却器20により反応室34内に導かれる被処理物を冷却して、同被処理物の温度を80℃程度に規定している。すなわち、導入管12内を流れる被処理物の温度を水の臨界温度(374℃)未満の温度に規定して被処理物に含まれる水分の蒸発を防止している。これにより、被処理物が固化して導入管12内を塞ぐことが防止されるとともに、被処理物はスラリー状態を保って反応室34内に導かれる。この結果、被処理物を円滑に反応室34内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。
【0042】
また、上記実施形態によれば、反応器30を水平な床面Gに対して8°だけ傾斜させて設置している。これにより、反応室34内において、被処理物を酸化処理するための温度領域、具体的には水の臨界温度(374℃)以上の温度領域を確保しつつ、導入管12の開口部付近の温度を水の臨界温度(374℃)未満の温度にすることができる。このため、導入管12内を流れる被処理物の水分の蒸発を防止でき、固化した被処理物によって導入管12内を塞ぐことがない。すなわち、導入管12内を流れる被処理物はスラリー状態を保って反応室34内に導かれる。この結果、被処理物を円滑に反応室34内に導くことができ、被処理物の酸化処理を効率よく行うことができる。
【0043】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0044】
上記実施形態においては、超臨界水の雰囲気内で被処理物を酸化処理する構成について説明した。しかし、高温・高圧状態の水を用いて被処理物を酸化分解処理、すなわち水熱酸化分解処理するものであれば、必ずしも超臨界水を用いる必要はない。例えば、亜臨界水の雰囲気内で被処理物を酸化処理するようにしてもよい。ここで、亜臨界水とは、水を200℃~350℃の温度に加熱するとともに、同加熱された温度に対応する飽和水蒸気圧以上(200℃では1.55MPa、350℃では16.5MPa)の圧力に加圧した状態の水である。この場合、前記冷却器20は、導入管12内を流れる被処理物の温度が反応室34内の圧力を飽和水蒸気圧とする温度未満になるように導入管12(被処理物)を冷却するとともに反応器30を傾斜させるようにする。
【0045】
また、水の温度を水の臨界温度(374℃)以上700℃以下に加熱するとともに、同水の圧力を5MPa以上水の臨界圧力(22MPa)未満の圧力に加圧した状態の高圧過熱水蒸気を用いて被処理物を酸化処理するようにしてもよい。この場合、前記冷却器20は、導入管12内を流れる被処理物の温度が374℃、すなわち水の臨界温度未満になるように導入管12(被処理物)を冷却するとともに反応器30を傾斜させるようにする。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0046】
また、上記実施形態においては、冷却器20は導入管12を冷却することにより被処理物を冷却するように構成したが、被処理物を冷却することができれば、これに限定されるものではない。例えば、導入管12内に導入管12内を流れる被処理物を冷却する冷却手段を設置し、導入管12内を流れる被処理物を直接冷却するように構成してもよい。また、被処理物を反応室34内に導く導入管12以外の流路(導入路)を冷却するように構成してもよい。例えば、筐体31の外周面上部から反応室34に連通する流路を設け、同流路に導入管12の端部を接続する。すなわち、導入管12内を導かれた被処理物は前記流路を介して反応室34に導かれるように構成する。そして、この流路を冷却するように構成してもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0047】
また、上記実施形態においては、1つの冷却管21を用いて導入管12を冷却するように構成したが、被処理物に含まれる水分の蒸発が防止できれば、これに限定されるものではない。すなわち、2つ以上の冷却管を用いて導入管12を冷却するように構成してもよい。例えば、図3は、2つの冷却管24,25を用いて導入管12を冷却する冷却装置20’を示している。図3において、冷却装置20’は、導入管12の下流側端部において下流側から上流側に向けて巻き回された第1冷却管24と、同第1冷却管24の上方に設けられ導入管12の下流側から上流側に向けて巻き回された第2冷却管25の2つの冷却管を備えている。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0048】
また、上記実施形態においては、冷却管21を導入管12に巻き付けて構成したが、被処理物を冷却することができれば、これに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、水密性を備える中空状のウォータージャケット26内に導入管12を通し、同ウォータージャケット26内に貯水タンク23に貯水された水を連続的に供給して導入管12を冷却するように構成してもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0049】
また、被処理物を反応室34内に投入される直前まで冷却するようにすれば、より効果的に被処理物に含まれる水分の蒸発(被処理物の固化)を防止することができる。例えば、図5に示すように、上記ウォータージャケット26による冷却範囲を、反応室34内における導入管12の開口部の直前部分まで設けるようにする。この場合、ウォータージャケット26を安定的に固定するため、反応器30における筐体31の壁厚を上記実施形態より厚く形成している。これによれば、被処理物が反応室34内に投入される直前まで冷却され、より確実に被処理物に含まれる水分の蒸発(被処理物の固化)を防止することができる。
【0050】
なお、上記したように、反応室34に投入される直前まで被処理物を冷却するようにすれば、被処理物に含まれる水分の蒸発(被処理物の固化)を効果的に防止することができるが、これは、被処理物の冷却を反応室34に投入される直前に行わなければ絶対的に効果を奏しないという意味ではない。すなわち、反応器31から離れた位置で被処理物を冷却するように構成してもよい。この場合、被処理物が反応室34に至るまでに水の臨界温度(374℃)、または反応室34の圧力を飽和水蒸気圧とする温度に達しないように、十分冷却するように構成すればよい。これによれば、水熱酸化分解処理装置の構成上、反応器31の近傍で被処理物を冷却するための冷却機構(例えば、冷却器20)を設けることができない場合であっても、被処理物に含まれる水分の蒸発(被処理物の固化)を防止することができる。
【0051】
また、上記実施形態における冷却管21に代えて、または加えて、導入管12の外周部にヒートシンク(放熱板)を設けるようにしてもよい。これによれば、上記実施形態と同等または同等以上の効果が期待できる。
【0052】
また、上記実施形態においては、冷却器20に用いる冷却媒体として水を用いたが、被処理物を冷却可能な媒体でれば、これに限定されるものではない。例えば、アンモニア、エチレングリコールまたはフロンなどの冷媒を用いてもよいし、空気を用いて冷却するように構成してもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0053】
また、上記実施形態においては、冷却管21によって導入管12の下流端を流れる被処理物を80℃程度に冷却するように構成した。しかし、導入管12を流れる被処理物に含まれる水分の蒸発(被処理物の固化)が防止できれば、上記温度に限定されるものではない。具体的には、超臨界水および上記高圧過熱水蒸気を用いる場合においては水の臨界温度(374℃)未満、亜臨界水を用いる場合においては反応室34の圧力を飽和水蒸気圧とする温度未満に被処理物を冷却するように構成すればよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0054】
なお、被処理物を冷却する温度が、超臨界水および高圧過熱水蒸気を用いる場合においては水の臨界温度(374℃)以上、亜臨界水を用いる場合においては反応室34の圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上の場合、被処理物に含まれる水分は蒸発する。しかし、被処理物の温度が水の臨界温度(374℃)(または反応室34の圧力を飽和水蒸気圧とする温度)よりも高い温度の場合において、被処理物を冷却して被処理物の温度を水の臨界温度(374℃)(または反応室34の圧力を飽和水蒸気圧とする温度)に近づけることにより、被処理物に含まれる水分の蒸発する進度を遅らせることができる。したがって、被処理物を冷却する目標温度が水の臨界温度(374℃)以上、または反応室34の圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上であっても一定の効果を発揮するものである。
【0055】
また、上記実施形態においては、反応器30を傾斜させる傾斜角を8°とした。しかし、この傾斜角は、上記したように反応器30(反応室34)の大きさ(容量)や被処理物を処理する処理条件等に応じて適宜設定されるものであり、これに限定されるものではない。本発明者らの実験結果によれば、反応器30の傾斜角は5°~15°の範囲が好適であると確認された。したがって、反応器30の傾斜角は、反応器30(反応室34)の大きさ(容量)や被処理物を処理する処理条件等に応じて適宜設定すればよい。なお、反応器30を傾斜させても反応室34内における導入口12a付近の温度が、水の臨界温度(374℃)以上、または反応室34の圧力を飽和水蒸気圧とする温度以上となる場合であっても、上記変形例と同様に一定の効果を発揮するものである。
【0056】
また、上記実施形態においては、反応器30の傾斜角を8°に固定した構成について説明した。しかし、反応器30の傾斜角は、上記したように反応器30(反応室34)の大きさ(容量)や被処理物を処理する処理条件等に応じて適宜設定されるものである。したがって、被処理物を処理する処理条件等に応じて反応器30の傾斜角を任意の傾斜角に変更することが可能な機構や装置を設けて水熱酸化分解処理装置を構成してもよい。これによれば、反応器30に供給される被処理物の状態および反応室34内における被処理物の処理状態などに応じて反応器30の傾斜角を適宜変更することができ、被処理物の処理精度を向上させることができる。
【0057】
また、上記実施形態においては、反応器30に供給される被処理物に含まれる水分の蒸発を防いで被処理物の固化を防止するために、冷却器20を備えるとともに、反応器30を傾斜させて構成した。しかし、反応器30に供給される被処理物に含まれる水分の蒸発(被処理物の固化)が防止できれば、冷却器20または反応器30の傾斜のどちらか一方を採用して水熱酸化分解処理装置を構成してもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0058】
また、上記実施形態においては、傾斜させた状態の横型の反応器30に本発明に係る冷却装置20を適用したが、冷却装置20が適用される反応器30の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、水平状態に設置された反応器30に冷却装置20を適用してもよいし、反応室34が垂直方向に延びて形成された縦型の反応器に冷却装置20を適用してもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0059】
また、上記実施形態においては、酸化剤として空気を用いたが、被処理物を酸化処理できる物質であれば、これに限定されるものではない。例えば、酸素、オゾンまたは過酸化水素などを用いることができる。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0060】
また、上記実施形態においては、家畜排泄物および下水汚泥を被処理物としたが、水分を含むまたは水分を加えた処理物であれば、これに限定されるものではない。例えば、家畜排泄物および下水汚泥以外のバイオマス系廃棄物(例えば、廃材、食品加工残渣など)、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)、ダイオキシンなどの物質も被処理物とすることができる。この場合においても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る水熱酸化分解処理装置の全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】図1に示す水熱酸化分解処理装置における冷却器および反応器を示す一部破断断面図である。
【図3】本発明の変形例に係る冷却器および反応器の一部を示す一部破断断面図である。
【図4】本発明の他の変形例に係る冷却器および反応器の一部を示す一部破断断面図である。
【図5】本発明の他の変形例に係る冷却器および反応器の一部を示す一部破断断面図である。
【符号の説明】
【0062】
G…床面、11…貯留タンク、12…導入管、13…高圧ポンプ、20…冷却器、21…冷却管、22…送水ポンプ、23…貯水タンク、27…ウォータージャケット、30…反応器、31…筐体、32,33…蓋体、34…反応室、36…スクリューコンベア、36a…駆動軸、36b…羽根、37…移送モータ、39…電熱コイル、51,52,53…供給管、55…コンプレッサー、56…空気取込口、61…排気管、71…廃棄管。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4