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明細書 :水の浄化方法、水の浄化装置、及び水の浄化セット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5448195号 (P5448195)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
発行日 平成26年3月19日(2014.3.19)
発明の名称または考案の名称 水の浄化方法、水の浄化装置、及び水の浄化セット
国際特許分類 C02F   1/58        (2006.01)
C02F   1/28        (2006.01)
C02F   1/42        (2006.01)
FI C02F 1/58 L
C02F 1/58 A
C02F 1/58 M
C02F 1/58 P
C02F 1/58 Q
C02F 1/58 R
C02F 1/28 F
C02F 1/28 D
C02F 1/28 E
C02F 1/28 L
C02F 1/28 P
C02F 1/42 A
C02F 1/42 B
C02F 1/58 H
請求項の数または発明の数 8
全頁数 32
出願番号 特願2010-501932 (P2010-501932)
出願日 平成21年3月4日(2009.3.4)
国際出願番号 PCT/JP2009/054051
国際公開番号 WO2009/110499
国際公開日 平成21年9月11日(2009.9.11)
優先権出願番号 2008055240
優先日 平成20年3月5日(2008.3.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年2月22日(2012.2.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】近藤 満
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】齊藤 光子
参考文献・文献 特開昭58-174235(JP,A)
特開昭60-143891(JP,A)
特開平07-017386(JP,A)
国際公開第2008/029804(WO,A1)
調査した分野 C02F1/58
C02F1/42
C02F1/28
C07D233/61
C07F1/08
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、分子サイズが1nm以下である被捕捉分子を含む水と、多孔質固体と、を接触させることを含む水の浄化方法。
【化1】
JP0005448195B2_000019t.gif

【請求項2】
下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、分子サイズが1nm以下である被捕捉分子を含む水と、を接触させること、及び、
多孔質固体と、前記捕捉剤に接触させた前記被捕捉分子を含む水と、を接触させること、を含む水の浄化方法。
【化2】
JP0005448195B2_000020t.gif

【請求項3】
多孔質固体と、分子サイズが1nm以下である被捕捉分子を含む水と、を接触させること、及び、
下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、前記多孔質固体に接触させた前記被捕捉分子を含む水と、を接触させること、を含む水の浄化方法。
【化3】
JP0005448195B2_000021t.gif

【請求項4】
前記多孔質固体が、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、クレー、及びシリカゲルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項5】
前記捕捉剤が、前記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む配位化合物である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項6】
下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を含む濾過部を備えた水の浄化装置。
【化4】
JP0005448195B2_000022t.gif

【請求項7】
前記濾過部が、前記捕捉剤を含む捕捉部と、前記捕捉部に接続し、前記多孔質固体を含む吸着部と、を有する請求項6に記載の水の浄化装置。
【請求項8】
下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を有する水の浄化セット。
【化5】
JP0005448195B2_000023t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水の浄化方法、水の浄化装置、及び水の浄化セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水中の不純物の濃度を低減させる水の浄化方法について、種々の検討がなされている。不純物の例として、過塩素酸塩が挙げられる。
過塩素酸塩は、成人の代謝作用を司り小児の身体発育を促進する甲状腺に障害を及ぼす物質である。近年、土壌・水中において、高濃度の過塩素酸イオンが検出された事例が、相次いで報告されている。また、過塩素酸イオン(ClO)は、水に対して高い溶解度を示し、全ての陰イオンの中で、最も陽イオンと相互作用しにくいため、沈殿等として水溶液から取り出すことが困難なイオンである。
過塩素酸塩(又は過塩素酸イオン)により汚染された廃液から過塩素酸塩を除去する技術として、過塩素酸塩を濃縮し、濃縮された過塩素酸塩溶液にKClを加えて過塩素酸カリ(KClO)を生成させ、冷却して結晶化させる方法が知られている(例えば、特表平9-504472号公報参照)。また、樹脂を用いて過塩素酸塩を除去する水処理システム(例えば、特開2004-346299号公報及び「NEDO海外レポート、No.946、2004.12.15、[平成20年2月19日検索]、インターネット<http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/946/946-07.pdf>」参照)も知られている。
一方、種々のイオンを取り込むようにカプセルを形成しうる化合物が知られている(例えば、J.Am.Chem.Soc., 2003, Vol.125, No.28, p.8595-8613参照)。この化合物は、カプセル内に取り込まれるイオンの種類やイオンのサイズにかかわらず、カプセル骨格を形成しやすい構造を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、過塩素酸塩から過塩素酸カリを生成させ結晶化させる前記の方法では、溶液から溶媒を蒸発させる濃縮工程を有するため、溶液の状態を保持したまま、溶液中の過塩素酸イオンを捕捉することはできない。また、樹脂を用いて過塩素酸塩を除去する前記の方法では、樹脂の再生にコストがかかる他、過塩素酸イオン捕捉に関し、選択性に劣る問題がある。
一方、前記カプセルを形成しうる化合物を用いて過塩素酸イオンの除去を試みたとしても、複数の陰イオンが存在する系から過塩素酸イオンを選択的に捕捉することはできない。
従って、過塩素酸イオン等の特定の分子を選択的に捕捉し、捕捉された被捕捉分子の水中における濃度を低減させる浄化方法の開発が必要である。
【0004】
本発明は前記に鑑みなされたものであり、被捕捉分子の少ない水に浄化できる水の浄化方法、水の浄化装置、及び水の浄化セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
<1>下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、分子サイズが1nm以下である被捕捉分子を含む水と、多孔質固体と、を接触させることを含む水の浄化方法。
【化1】
JP0005448195B2_000002t.gif

【0006】
<2>下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、分子サイズが1nm以下である被捕捉分子を含む水と、を接触させること、及び、
多孔質固体と、前記捕捉剤に接触させた前記被捕捉分子を含む水と、を接触させること、を含む水の浄化方法。
【化2】
JP0005448195B2_000003t.gif

【0007】
<3>多孔質固体と、分子サイズが1nm以下である被捕捉分子を含む水と、を接触させること、及び、
下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、前記多孔質固体に接触させた前記被捕捉分子を含む水と、を接触させること、を含む水の浄化方法。
【化3】
JP0005448195B2_000004t.gif

【0008】
<4>前記多孔質固体が、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、クレー、及びシリカゲルからなる群から選択される少なくとも1種である<1>~<3>のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【0009】
<5>前記捕捉剤が、前記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む配位化合物である<1>~<4>のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【0010】
<6>下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を含む濾過部を備えた水の浄化装置。
【化4】
JP0005448195B2_000005t.gif

【0011】
<7>前記濾過部が、前記捕捉剤を含む捕捉部と、前記捕捉部に接続し、前記多孔質固体を含む吸着部と、を有する<6>に記載の水の浄化装置。
【0012】
<8>下記式(a)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を有する水の浄化セット。
【化5】
JP0005448195B2_000006t.gif

【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被捕捉分子の少ない水に浄化できる水の浄化方法、水の浄化装置、及び水の浄化セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る水の浄化装置の一例を示す概念図である。
【図2】本発明に係る水の浄化装置の別の一例を示す概念図である。
【図3】本発明の参考例に係る捕捉カプセル型分子1分子が過塩素酸イオン(ClO)1分子を内包する様子を、原子半径を無視して表した図である。
【図4】本発明の参考例に係る捕捉カプセル型分子1分子が過塩素酸イオン(ClO)1分子を内包する様子を、ファンデルワールス半径を考慮して表した図である。
【図5】本発明の参考例に係る配位化合物の二次元シート型構造(A layer)を示す図である。
【図6】本発明の参考例に係る配位化合物の二次元シート型構造(B layer)を示す図である。
【図7】本発明の参考例に係る配位化合物の三次元構造を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
≪水の浄化方法≫
本発明の水の浄化方法は、下記一般式(I)で表される化合物と平面四配位若しくは正八面体配位可能な金属イオンとを含む捕捉剤と、被捕捉分子を含む水と、を接触させること、及び、多孔質固体と被捕捉分子を含む水とを接触させること、を有する。
本発明では、前記捕捉剤と被捕捉分子を含む水とが接触すると、後述するように、一般式(I)で表される化合物4分子と前記金属イオン2個とによって被捕捉分子1分子を取り囲んだ構造の捕捉カプセル型分子が形成される。また、多孔質固体と被捕捉分子を含む水とが接触すると、前記被捕捉分子及び前記捕捉カプセル型分子が多孔質固体に吸着する。
以上により、本発明の水の浄化方法によれば、水中における被捕捉分子の濃度を効果的に低減でき、被捕捉分子の少ない水に浄化できる。
【0026】
前記被捕捉分子としては、前記捕捉剤により捕捉される分子であれば特に限定はないが、上記効果をより効果的に得る観点からは、分子サイズ1nm以下の被捕捉分子であることが好ましい。
本発明において、分子サイズ1nm以下とは、分子の最大径が1nm以下であることを指す。
ここで、分子の最大径は、ファンデルワールス半径を考慮して作製した構造モデルを基に、その分子を構成する末端の原子間距離の最長距離の平均から求められた値を指す。
また、本発明における「分子」は、陽イオン、陰イオン、及び中性分子のいずれであってもよい。
【0027】
本発明における被捕捉分子の具体例を以下に示す。
陰イオンとして、過塩素酸イオン(ClO)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF)、アジ化物イオン(N)、リン酸イオン(PO3-)、等が挙げられる。
中性分子として、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、が挙げられる。
【0028】
以上の具体例の中でも、除去効率の点からは、過塩素酸イオン(ClO)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF)が好ましい。
【0029】
また、本発明における「被捕捉分子を含む水」は、水中に被捕捉分子が含まれている限り他の成分を含んでいてもよい。
「被捕捉分子を含む水」には、例えば、飲料水、工業用水、廃水等のほか、各種水溶液、コロイド溶液(牛乳等)、食品や土壌等を含む懸濁液、等が含まれる。
【0030】
<捕捉剤>
本発明における捕捉剤は下記一般式(I)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む。
本発明における捕捉剤の形態としては、一般式(I)で表される化合物及び前記金属イオンを含む配位化合物の形態や、前記配位化合物及び他の成分を含む混合物の形態が挙げられる。
また、本発明における捕捉剤の別の形態としては、独立して存在する(即ち、前記配位化合物の形態をとらない)一般式(I)で表される化合物と、前記金属イオンを含む金属塩と、を有する混合物の形態が挙げられる。
以下、一般式(I)で表される化合物について説明し、引き続き、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオン、配位化合物、金属塩について説明する。
【0031】
~ 一般式(I)で表される化合物 ~
【化7】
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【0032】
式中、R、R、及びRのうち1つは、Rに対してメタ位又はパラ位にあるRであり、R及びRは互いに独立して下記の複素環置換基を表し、
【0033】
【化8】
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【0034】
、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水素基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはなく、
前記複素環置換基のうち、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Aは、窒素原子を少なくとも1つ含む5員又は6員の複素環基を表す。
【0035】
前記一般式(I)で表される化合物は、液体試料中で、平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンと被捕捉分子とに接触すると、複数集まって前記金属イオンとともに、被捕捉分子を取り込んでカプセル分子を形成する(自己集積化反応;例えば、後述の図3及び図4参照)。被捕捉分子の具体例については前述のとおりである。
本発明においては、被捕捉分子を取り込んだカプセル分子を、「捕捉カプセル型分子」という。
捕捉カプセル型分子は、被捕捉分子1分子を内包して捕捉するほか、前記捕捉カプセル型分子の外側(2個の金属イオン)にも、配位結合により被捕捉分子を捕捉することができる。従って、捕捉カプセル型分子1分子は、被捕捉分子を3分子捕捉することが可能である。さらに、捕捉カプセル型分子1分子は、被捕捉分子3分子に加え、別の捕捉カプセル型分子との間に、被捕捉分子をさらに1分子捕捉することが確認されている。即ち、捕捉カプセル型分子1分子は、被捕捉分子を最大4分子まで捕捉できることがわかっている。
以上の形態は、例えば単結晶構造解析及び可視・紫外分光スペクトル等により確認することができる。
【0036】
前記一般式(I)で表される化合物による自己集積化反応は、被捕捉分子に対して極めて高い選択性を示すため、液体中に被捕捉分子が存在する場合、効率よくかつ確実に被捕捉分子を捕捉することができる。
なお、前記一般式(I)で表される化合物は、前記金属イオンと被捕捉分子以外の陰イオンとに接触した場合には、このような捕捉カプセル型分子ではなく、後述する配位化合物のような高分子構造を容易に形成する。
【0037】
前記一般式(I)において、RがRに対してパラ位にあること、即ち、RがRであることが、被捕捉分子が離脱しない、隙間の無い捕捉空間を形成させる観点から、好ましい。
また、RとRは同一の複素環置換基であることが、生成する捕捉カプセル型分子の異性体の数を制限でき、生成物の同定を行いやすい観点からは、好ましい。
及びRにおいて、R及びRは、芳香族環の他の置換基と立体障害を起こすことなく、捕捉カプセル型分子を形成しうる観点から、共に水素原子であることが好ましい。
【0038】
、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水素基、又はスルホン酸基を表すが、同時に水素原子であることはない。また、R及びRは、互いに結合して環(芳香族環又は脂肪族環)を形成してもよい。また、R及びRも、互いに結合して環(芳香族環又は脂肪族環)を形成してもよい。
、R、R、R及びRのうち、Rを除いた残りとしては、炭素数1~30の置換若しくは未置換の炭化水素基が好ましい。
、R、R、R及びRで表される炭化水素基の炭素数としては、合成容易性の観点や、一般式(I)で表される化合物同士が立体的に障害となることなくカプセルを形成し、また陰イオンのカプセル内からの離脱を防ぐ観点から、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~2が特に好ましい。
この炭化水素基に置換可能な置換基としては、ハロゲン原子、スルホン酸基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ハロゲン化アルキル基を挙げることができるが、合成容易性、安定性、及び水に対する不溶性の観点から、フッ素原子、又はパーフルオロアルキル基が好ましい。
【0039】
及びRにおいて、Aで表される複素環基は、炭素数1~6のアルキル基やスルホン酸基等の置換基で置換されていてもよい。また、前記複素環基中には、窒素原子の他に、酸素原子や硫黄原子が含まれていてもよい。
Aで表される複素環基としては、前記金属イオンに配位可能な複素環基が挙げられる。このような複素環基としては、ピロール-1-イル基以外のピロリル基、2H-ピロール-1-イル基以外の2H-ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾール-1-イル基以外のイソチアゾリル基、イソオキサゾール-1-イル基以外のイソオキサゾリル基、ピロリジン-1-イル基以外のピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピリジン-1-イル基以外のピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピペリジン-1-イル基以外のピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリン-4-イル基以外のモルホリニル基、下記構造式で表される基が好ましい。
【0040】
【化9】
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【0041】
前記の中でも、合成容易性と金属イオンに対する配位性との観点からは、ピロール-1-イル基以外のピロリル基、イミダゾリル基、ピリジン-1-イル基以外のピリジル基、下記構造式で表される基がより好ましい。
【0042】
【化10】
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【0043】
前記の中でもイミダゾリル基が特に好ましい。
【0044】
前記一般式(I)で表される化合物の特に好ましい形態は、合成の容易性の観点、異性体の生成の阻止の観点、及び被捕捉分子を離脱させないカプセル空間を形成させる観点からは、RがRであって、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1~10(より好ましくは炭素数1~6、更に好ましくは炭素数1又は2)の置換(より好ましくはハロゲン置換)若しくは未置換の炭化水素基であって、Aがイミダゾリル基である形態である。
【0045】
また、前記一般式(I)で表される化合物としては、合成の容易性の観点、異性体の生成の阻止の観点、及び被捕捉分子を離脱させないカプセル空間を形成させる観点からは、下記一般式(II)で表される化合物も好ましい。
【0046】
【化11】
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【0047】
一般式(II)において、R、R、R、及びRは、Rでないこと以外は、一般式(I)におけるR、R、R、及びRについて前述した事項をそのまま適用可能である。
また、一般式(II)において、Aは、一般式(I)におけるAと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0048】
本発明の化合物は、例えば、ハロゲン置換された芳香族化合物と、一般式(I)中のAに相当する化合物とをアルカリ金属塩の存在下で反応させて、ハロゲン原子をAで置換することにより容易に合成することができる。例えば、イミダゾールとα,α’-ジブロモ-p-キシレンを水素化ナトリウムの存在下で加熱反応させて、1,4-ビス(イミダゾール-1-イル-メチル)ベンゼンを合成することができる。このような合成方法としては、例えば、C.-H. Zhou, R.-G. Xie, and H.-M. Zhao, Organic. Preparations and Procedures Int., 1996, 28(3), 345 に記載されている。
【0049】
以下、一般式(I)で表される化合物の例示化合物(例示化合物(a)~(h))を示す。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
【化12】
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【0051】
【化13】
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【0052】
前記例示化合物(a)~(h)のうち、例示化合物(a)又は例示化合物(b)がより好ましい。
【0053】
~ 平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオン ~
本発明における平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンとしては、例えば、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ag、Pd2+、及びPt2+が挙げられる。
中でも、捕捉カプセル型分子の形成性及び配位化合物の形成性の観点等からは、Zn2+、Cu2+、Ni2+、Pd2+、Pt2+が好ましく、Cu2+が特に好ましい。
【0054】
~ 配位化合物 ~
本発明における配位化合物は、前述の一般式(I)で表される化合物と、前述の金属イオンと、を含む化合物である。
【0055】
前記配位化合物を液体試料中で前記被捕捉分子に接触させると、該配位化合物を構成する前記一般式(I)で表される化合物及び前記金属イオンが、前記被捕捉分子を取り込んだ捕捉カプセル型分子に再構成される。
このため、前記一般式(I)で表される化合物を単体として用いる場合と同様に、前記被捕捉分子を選択性高く捕捉することができる。
【0056】
本発明の配位化合物の具体的な構造としては、該配位化合物に含まれる複数の金属イオンのそれぞれに対し、前記一般式(I)で表される化合物が複数配位した高分子錯体の構造が挙げられる。
該高分子錯体の構造としては、例えば、各金属イオンに対し前記一般式(I)で表される化合物が4分子ずつ配位した二次元シート型構造などがある。該二次元シート型構造においては、各一般式(I)で表される化合物は、二つの金属イオン間に配置され、一方の複素環中の窒素原子の部分で一方の金属イオンに配位し、他方の複素環中の窒素原子の部分で他方の金属イオンに配位している(例えば、後述する図5及び図6参照)。
本発明の配位化合物には、水分子や前記被捕捉分子以外の陰イオンが含まれることがあるが、これらの水分子や陰イオンは、前記金属イオンに配位していてもよいし、前記金属イオンに配位していなくてもよい。
【0057】
前記二次元シート型構造の配位化合物において、金属イオンに陰イオンが配位した例としては、例えば、後述する図5中の「A layer」が挙げられる。
また、前記二次元シート型構造の配位化合物において、金属イオンに水分子が配位した例としては、例えば、後述する図6中の「B layer」が挙げられる。
【0058】
また、前記配位化合物の構造が前記陰イオンを含む前記二次元シート型構造である場合、該二次元シート型構造中の陰イオンは、(1)別の二次元シート型構造中の金属イオンと配位結合するか、(2)別の二次元シート型構造中の金属イオンに配位した水分子と水素結合していてもよい。前記(1)及び(2)の場合には、前記配位化合物の構造は二次元シート型構造が複数重なった三次元構造となる(例えば、後述する図7参照)。
また、三次元構造の別の例としては、金属イオンに水分子が配位した二次元シート型構造(例えば、後述する図6中の「B layer」)同士が、陰イオン(例えば、硫酸イオン)を介して相互に重なった構造も挙げられる。この構造では、二次元シート型構造中の水分子と、別の二次元シート型構造中の水分子と、が陰イオンを介して相互作用している。
【0059】
以上で説明した配位化合物の構造は、例えば、元素分析や単結晶構造解析等により明らかとなっている。
【0060】
また、本発明の配位化合物に含まれることがある、被捕捉分子以外の陰イオンとしては、例えば、OH、SO2-、CO2-、NO、CHCOO、C2-、HCOO、Cl、Br、F、PF、アセチルアセトナト(C)、SiF2-、等が挙げられる。
中でも、配位化合物の形成性の観点等からは、NO、SO2-、OH、CO2-が好ましく、SO2-がより好ましい。
【0061】
本発明の配位化合物の合成方法としては、前記金属イオン(A成分)と、前記一般式(I)で表される化合物(B成分)とを、モル比〔A成分/B成分〕が1/2となる割合で反応させる方法が挙げられる。
【0062】
前記A成分と前記B成分とを反応させる方法としては、前記A成分と被捕捉分子以外の陰イオン(具体例は前述のとおりである)とからなる金属塩を、溶剤(例えば、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、等)中に溶解させて溶液Aとし、前記B成分を別の溶剤(例えば、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、アセトン、等)中に溶解させて溶液Bとし、溶液Aと溶液Bとを混合して反応させる方法が挙げられる。
【0063】
また、前記A成分と前記B成分とを同一の溶剤中に溶解させて反応させてもよく、この場合の溶剤としては、メタノール、ジメチルホルムアミド、又はエタノール等の単一溶媒を使用してもよいし、水/アセトニトリル、水/ジメチルホルムアミド、水/メタノール、水/エタノール、メタノール/ジメチルホルムアミド、エタノール/ジメチルホルムアミド等の混合溶剤を使用してもよい。
【0064】
~ 金属塩 ~
本発明における捕捉剤は、上記配位化合物を含む形態の他、独立して存在する(配位化合物の形態をとらない)一般式(I)で表される化合物と、金属塩と、を含む混合物の形態であってもよい。
ここで、金属塩としては、上述の「A成分と被捕捉分子以外の陰イオンとからなる金属塩」を用いることができる。
【0065】
<多孔質固体>
本発明における多孔質固体の具体例としては、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂)、クレー(粘土)、シリカゲル、ガラスファイバー、不織布、濾紙、等が挙げられる。中でも、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、クレー(粘土)、シリカゲルが好ましく、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、クレー(粘土)がより好ましい。
【0066】
前記活性炭としては、例えば、破砕状活性炭、顆粒状活性炭、粉末状活性炭が挙げられ、中でも、処理される水溶液の通過速度の点から、顆粒状活性炭、破砕状活性炭が好ましく、破砕状活性炭がより好ましい。
【0067】
前記ゼオライトとしては、天然ゼオライト、合成ゼオライトが利用できる。
例えば、ゼオライト3A、ゼオライト4A、ゼオライト5A、ゼオライト13Xが挙げられ、中でも、ゼオライト5A、ゼオライト13Xが好ましく、ゼオライト13Xがより好ましい。
【0068】
前記陰イオン交換樹脂としては、アクリル系の陰イオン交換樹脂、スチレン系の陰イオン交換樹脂、ジメチルアミン系の陰イオン交換樹脂が挙げられ、中でも、スチレン系の陰イオン交換樹脂、ジメチルアミン系の陰イオン交換樹脂が好ましく、ジメチルアミン系の陰イオン交換樹脂がより好ましい。
【0069】
前記陽イオン交換樹脂としては、スチレン系の陽イオン交換樹脂、メタクリル酸系の陽イオン交換樹脂、アクリル酸系の陽イオン交換樹脂が挙げられ、中でも、メタクリル酸系の陽イオン交換樹脂が好ましい。
【0070】
本発明における多孔質固体の孔径としては特に限定はないが、被捕捉分子のサイズによる吸着性等の観点から、0.4nm~1.5nmが好ましく、0.6nm~1.0nmが特に好ましい。
【0071】
本発明では、捕捉剤と被捕捉分子を含む水とを接触させる方法は、被捕捉分子を含む水に捕捉剤を添加する方法でも、被捕捉分子を含む水を捕捉剤に通過させる方法でもよい。
また、本発明では、多孔質固体と被捕捉分子を含む水とを接触させる方法は、被捕捉分子を含む水に多孔質固体を添加する方法でも、被捕捉分子を含む水を多孔質固体に通過させる方法でもよい。
【0072】
本発明では、捕捉剤と被捕捉分子を含む水(以下、この「被捕捉分子を含む水」を、単に「液体試料」ともいう)とを接触させること(以下、「処理A」ともいう)、及び、多孔質固体と被捕捉分子を含む水とを接触させること(以下、「処理B」ともいう)、は同時に行っても別個独立に行ってもよい。
【0073】
本発明において、処理A及び処理Bを同時に行う形態としては、前記捕捉剤と前記多孔質固体とを液体試料中に添加する(独立に添加しても混合物として添加してもよい)形態、前記捕捉剤と前記多孔質固体とを含む混合物に液体試料を通過させる形態、等が挙げられる。
【0074】
本発明において、処理A及び処理Bを別個独立に行う形態としては、処理Aから処理Bの順に行う形態と、処理Bから処理Aの順に行う形態と、が挙げられる。
被捕捉分子の濃度をより効果的に低減する観点からは、処理A及び処理Bを別個独立に行う形態としては、上記2形態のうち、処理Aから処理Bの順に行う形態(即ち、捕捉剤との接触後の液体試料と、前記多孔質固体と、を接触させる形態)が好ましい。
また、処理Aから処理Bの順に行うことで、被捕捉分子の濃度だけでなく、金属イオンの濃度をも低減できる。
【0075】
処理Aから処理Bの順に行う形態の具体例としては、液体試料を捕捉剤に通過させ(処理A)、捕捉剤を通過した液体試料を、更に多孔質固体に通過させる(処理B)形態が好適である。この形態の場合、必要に応じ、その他の濾過と組み合わせてもよい。
処理Aから処理Bの順に行う形態の別の具体例としては、捕捉剤を前記液体試料に添加し(処理A)、捕捉剤が添加された液体試料から未反応分の捕捉剤を濾過等により除去し、捕捉剤が除去された液体試料に多孔質固体を添加する(処理A)形態が挙げられる。
【0076】
本発明において、捕捉剤と被捕捉分子を含む水とを接触させる時間については特に限定はないが、2時間以上が好ましく、6時間以上がより好ましく、10時間以上が特に好ましい。上限も特に限定はないが、例えば30時間である。
本発明において、多孔質固体と被捕捉分子を含む水とを接触させる時間についても特に限定はなく多孔質固体の種類にもよるが、2時間以上が好ましく、6時間以上がより好ましく、10時間以上が特に好ましい。上限も特に限定はないが、例えば30時間である。
【0077】
前記処理Aにおいては、一般式(I)で表される化合物と金属イオンと被捕捉分子との接触頻度を高め、捕捉カプセル型分子形成反応の反応性を向上させる観点からは、液体試料を加熱してもよい。加熱の温度としては、金属塩の種類、一般式(I)で表される化合物の種類、及び配位化合物の種類などによっても異なるが、0~100℃が好ましく、20~70℃がより好ましい。
前記処理Bにおける液体試料の温度は、多孔質固体の種類等によっても異なるが、吸着性の観点からは、5~40℃が好ましく、20~30℃がより好ましい。
【0078】
以上、本発明の水の浄化方法の好ましい形態について説明したが、本発明の水の浄化方法は、前記処理A及び前記処理B以外に、前処理、中処理、後処理など、その他の処理を含んでいてもよい。
前記前処理の例としては、例えば、液体試料が酸性やアルカリ性を示す場合に、液体試料を緩衝剤に通過させる(又は、該液体試料に緩衝剤を添加する)ことで、該液体試料を中性に近づける処理が挙げられる。この処理により、特に、処理Aにおける効率が更に向上する。ここで、緩衝剤としては、土などが挙げられる。
前記後処理の例としては、公知のフィルターによる濾過等が挙げられる。
【0079】
≪水の浄化装置≫
本発明の水の浄化装置は、前記一般式(I)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を含む濾過部を備える。
本発明の水の浄化装置によれば、前記捕捉剤と前記被捕捉分子を含む水とを接触させることができ、さらに、多孔質固体と被捕捉分子を含む水とを接触させることができるので、水中の被捕捉分子の濃度を効果的に低減できる。
【0080】
以下、本発明の水の浄化装置の一例について、図1を参照して説明する。
図1において、水の浄化装置10は、捕捉剤14及び多孔質固体16を含む濾過部12を有している。濾過部12は供給口22及び排出口24を有し、排出口24には流量調節部18が接続されている。
また、捕捉剤14の下流側(排出口24側、以下同じ)にはフィルタ15が、多孔質固体16の下流側にはフィルタ17が、それぞれ備えられている。
捕捉剤14及び多孔質固体16の配置は、上流側(供給口22側、以下同じ)が捕捉剤14、下流側が多孔質固体16となっている。
【0081】
次に、水の浄化装置10を用いて液体試料(即ち、被捕捉分子を含む水)の浄化処理を行う場合について説明する。
まず、矢印Iの方向から液体試料が濾過部12に供給され、供給された液体試料は、濾過部12内で捕捉剤14に接触する(前記処理A)。これにより液体試料中の被捕捉分子が捕捉剤14により捕捉される(即ち、捕捉カプセル型分子が形成される)。
次に、液体試料は、フィルタ15を通過し、多孔質固体16と接触する(前記処理B)。これにより、前記捕捉剤により捕捉しきれなかった微量の被捕捉分子が多孔質固体16に吸着される。一方、前記で形成された捕捉カプセル型分子も多孔質固体16に吸着する。
以上の浄化処理の後の液体試料は、フィルタ17、排出口24及び流量調節部18を通り、矢印Oの方向に排出される。
【0082】
上記浄化処理では、液体試料と捕捉剤14との接触時間、及び、液体試料と多孔質固体16との接触時間は、流量調節部18により一括して調整できる。
該接触時間の好ましい範囲は前述のとおりである。
例えば、捕捉剤14及び多孔質固体16のうち、接触時間を多く必要とする側にあわせ、流量調節部18により流量を調節することが好ましい。
流量調節部18としては、操作弁や調整弁等の公知の手段を用いることができる。
【0083】
前記濾過部12の具体的な構造としては、例えば、中空容器中に捕捉剤14及び多孔質固体16を入れた構造が挙げられる。ここで、中空容器としては特に限定はなく、例えば、公知のカラムやフィルタハウジング等を用いることができる。
捕捉剤14の量としては特に限定はないが、例えば、被捕捉分子を100ppm含む水100lを処理する場合には、50g以上が好ましく、100g以上がより好ましい。上限も特に限定はないが、例えば500gである。
また、多孔質固体16の量としても特に限定はないが、例えば、被捕捉分子を100ppm含む水100lを処理する場合には、50g以上が好ましく、100g以上がより好ましい。上限も特に限定はないが、例えば500gである。
【0084】
また、中空容器中、捕捉剤14の下流側及び多孔質固体16の下流側に備えられたフィルタ15及びフィルタ17としては、公知のフィルタを用いることができる。なお、これらのフィルタの少なくとも一方は省略することも可能である。
また、水の浄化装置10では、前記中空容器に捕捉剤14及び多孔質固体16を直接入れる形態には限られず、前記中空容器に捕捉剤14を含むカートリッジ及び多孔質固体16を含むカートリッジを装着する形態であってもよい。
【0085】
また、図1では、上流側を捕捉剤14(即ち、捕捉部)、下流側を多孔質固体16(即ち、吸着部)として濾過部を2つに分けた構成となっているが、捕捉剤14と多孔質固体16とが混合されて一つの濾過部を構成してもよい。
但し、被捕捉分子の濃度をより低下させる観点からは、図1のように、上流側に捕捉部としての捕捉剤14、下流側に吸着部としての多孔質固体16を配置することがより好ましい。
【0086】
また、液体試料の流路における、濾過部12の上流側に流量調節部を設け、液体試料の供給速度を調節できるようにしてもよい。
【0087】
以上、一つの中空容器中に捕捉剤14及び多孔質固体16を一緒に入れる形態について説明したが、図2に示すように、捕捉剤14及び多孔質固体16を別々の中空容器に入れる他の一例も好適である。
図2において、水の浄化装置30は、捕捉剤14を有する捕捉部32と、多孔質固体16を含む吸着部42と、を有している。捕捉部32と吸着部42とにより濾過部が構成される。捕捉部32及び吸着部42の具体的構造は、前記水の浄化装置30中の濾過部12について説明した事項をそのまま適用できる。また、捕捉剤14及び多孔質固体16の好ましい量については、水の浄化装置10の場合と同様である。
捕捉部32は供給口36及び排出口37を有している。捕捉剤14の下流側(排出口37側、以下同じ)には、フィルタ35が備えられている。なお、フィルタ35は省略することもできる。
吸着部42は供給口46及び排出口47を有しており、多孔質固体16の下流側(排出口47側、以下同じ)には、フィルタ45が備えられている。なお、フィルタ45は省略することもできる。
前記捕捉部32の排出口37と、前記吸着部42の供給口46と、は接続部40によって接続されている。接続部40は、後述するように流量調節機能を有していてもよい。
また、前記吸着部42の排出口47には流量調節部50が接続されている。
【0088】
水の浄化装置30を用いても、前述の水の浄化装置10を用いた場合と同様に水(液体試料)の浄化を行うことができる。
即ち、矢印Iの方向から液体試料が捕捉部32に供給され、供給された液体試料は、捕捉部32内で捕捉剤14に接触する(処理A)。これにより液体試料中の被捕捉分子が捕捉剤14により捕捉される(即ち、捕捉カプセル型分子が形成される)。
捕捉剤14に接触後の液体試料は、フィルタ35、排出口37、接続部40、及び供給口46を通って吸着部42に移送される。
移送された液体試料は、多孔質固体16と接触する(処理B)。これにより、前記捕捉剤により捕捉しきれなかった微量の被捕捉分子が多孔質固体16に吸着される。一方、前記で形成された捕捉カプセル型分子も多孔質固体16に吸着する。
以上の浄化処理の後の液体試料は、フィルタ45、排出口47及び流量調節部50を通り、矢印Oの方向に排出される。
【0089】
水の浄化装置30において、液体試料と捕捉剤14との接触時間、及び、液体試料と多孔質固体16との接触時間は、流量調節部50により一括して調整できる。
該接触時間の好ましい範囲は前述のとおりである。
例えば、捕捉剤14及び多孔質固体16のうち、接触時間を多く必要とする側にあわせ、流量調節部50により流量を調節することが好ましい。
流量調節部50としては、操作弁や調整弁等の公知の手段を用いることができる。
【0090】
また、水の浄化装置30では、流量調節部50と同様の手段を他の箇所に設けることもできる。
例えば、液体試料の流路における、捕捉部32と吸着部42との間に流量調節部を設けることで、液体試料と捕捉剤14との接触時間と、液体試料と多孔質固体16との接触時間と、をそれぞれ独立に調節することができる。
前記「液体試料の流路における、捕捉部32と吸着部42との間」とは、例えば、捕捉部32の下流側(例えば、排出口37付近)、吸着部42の上流側(例えば、供給口46付近)、等が挙げられる。また、接続部40が流量調節機能を有していてもよい。
また、液体試料の流路における、捕捉部32の上流側(例えば、供給口36付近)に流量調節部を設け、液体試料の供給速度を調節できるようにしてもよい。
【0091】
また、捕捉部32と吸着部42との接続は、図2に示す独立した接続部40を用いることには限定されない。例えば、捕捉部32の端部と吸着部42の端部とに、相互に接続可能な機構(ねじ機構など)を備え、この機構により捕捉部32と吸着部42とが接続されていてもよい。
【0092】
以上、本発明の水の浄化装置の例について説明したが、捕捉剤と、多孔質固体と、を含む濾過部を備える限り、本発明の水の浄化装置は上記2例に限定されるものではない。例えば、公知の浄水器等の構造を特に制限なく用いることができる。
【0093】
≪水の浄化セット≫
本発明の水の浄化セットは、前記一般式(I)で表される化合物及び平面四配位又は正八面体配位可能な金属イオンを含む捕捉剤と、多孔質固体と、を含む。
前記水の浄化セットを用い、本発明の水の浄化方法を行うことができる。
即ち、捕捉剤を用いて前記処理Aを行うことができ、多孔質固体を用いて前記処理Bを行うことができる。
【0094】
前記水の浄化セットを用いる利点として、捕捉剤を、液体試料に任意の時間接触させることを、簡易に行えることが挙げられる。例えば、捕捉剤をガラスフィルター容器に充填後、液体試料中に任意の時間浸し、続いて活性炭、あるいはイオン交換樹脂などを水溶液に任意の時間浸す、などの操作が可能となる。
【0095】
前記水の浄化セットの具体的形態としては、捕捉剤と、多孔質固体と、を個別に容器に入れた状態で組み合わせたセットの形態が挙げられる。この形態では、捕捉剤と多孔質固体とを1種ずつ組み合わせたセットであってもよいし、捕捉剤及び/又は多孔質固体を複数種含むセット(即ち、被捕捉分子種などの条件に応じて捕捉剤と多孔質固体との組み合わせを選択できるセット)であってもよい。
この形態において、捕捉剤及び多孔質固体は、それぞれ使用時に容器から出して用いることができる。
【0096】
また、前記水の浄化セットの別の具体的形態としては、捕捉剤を含む捕捉部材と、多孔質固体を含む吸着部材と、を組み合わせたセットの形態も好適である。この形態では、捕捉部材と吸着部材とを1種ずつ組み合わせたセットであってもよいし、捕捉部材及び/又は吸着部材を複数種含むセット(即ち、被捕捉分子種などの条件に応じて捕捉部材と吸着部材との組み合わせを選択できるセット)であってもよい。
ここで、捕捉部材及び吸着部材については、上述した水の浄化装置30について説明した捕捉部32及び吸着部42と同様の構造の部材をそれぞれ適用できる。
この形態では、捕捉部材を用いて前記処理Aを行うことができ、吸着部材を用いて前記処理Bを行うことができる。
また、前記捕捉部材と前記吸着部材とを接続することにより、本発明の水の浄化装置を得ることができる。接続は、前述のとおり、独立した接続部材を用いて行ってもよいし、前記捕捉手段の端部及び前記吸着手段の端部に、相互に接続可能な機構(ねじ機構など)を備えることにより行ってもよい。
【実施例】
【0097】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0098】
〔参考例1〕
<例示化合物(a)(1,4-ビス(イミダゾール-1-イル-メチル)2,3,5,6-テトラメチルベンゼン;bitb)の合成>
下記反応スキーム1に従って例示化合物(a)(bitb)の合成を行った。
まず、イミダゾール(関東化学(株)製)0.33g(5mmol)のTHF溶液10mlに、NaH(関東化学(株)製)0.095g(4mmol)のTHF懸濁液(5ml)をゆっくりと加え、20分撹拌した(THF(テトラヒドロフラン)は関東化学(株)製、以下同じ)。
前記撹拌後の溶液に、1,4-ビスブロモメチル-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン(東京化成工業(株)製、慣用名:ジブロモズレン)0.64g(2mmol)のTHF溶液(15ml)をゆっくり添加し、60℃で3~5時間還流した。還流後の溶液を室温に冷却し、冷却後の溶液に水(40ml)を加え、更にクロロホルム(関東化学(株)製)を加えて粗生成物をクロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後のクロロホルム抽出液を濃縮し石油エーテル(関東化学(株)製)を加えることで例示化合物(a)を収率53%で得た。
【0099】
【化14】
JP0005448195B2_000014t.gif

【0100】
前記で得られた例示化合物(a)は、NMRにより構造を確認した。
~NMRデータ~
1H NMR spectrum(300MHz, CDCl3, r.t.) : δ7.24(d, 2H), 6.97(s, 2H), 6.75(d, 2H), 5.17(s, 4H) , 2.19(s, 12H)
【0101】
〔参考例2〕
<過塩素酸を取り込んだ捕捉カプセル型分子の形成>
過塩素酸銅(II)6水和物(キシダ化学(株)製)0.093g(0.25mmol)と、参考例1で得られた例示化合物(a)(bitb)0.147g(0.5mmol)とを、アセトニトリル/水(25ml/25ml)の混合溶液中に加え(アセトニトリルは関東化学(株)製)、この混合溶液を撹拌し、その後数日間静置させ、紫色結晶を得た。
得られた紫色結晶を集めて、紫色結晶の構造を単結晶構造解析及び質量分析測定により確認した。
単結晶構造解析は、(株)リガク製の構造解析装置(マーキュリー二次元検出器システム)を用い、室温でモリブデンKαの線源を用いてX線の反射データを収集した。構造解析は、(株)リガク製の Crystal Structure プログラムを用いて行った。
また、質量分析測定は、Micromass社製のLCT質量分析計を用いて行った。
【0102】
~単結晶構造解析データ~
monoclinic space group P21/c(No.14), a = 25.73 (2) Å, b = 13.26(1) Å, c = 27.73(4) Å, β = 117.52(1)°, V = 8383(13) Å3, Z = 4, R = 0.090, Rw = 0.223
【0103】
上記単結晶構造解析データ及び質量分析測定より、前記紫色結晶は、以下の反応によって得られた[Cu(bitb)](ClOであることがわかった。
【0104】
【化15】
JP0005448195B2_000015t.gif

【0105】
また、上記単結晶構造解析データ及び質量分析測定より、前記紫色結晶([Cu(bitb)](ClO)は、捕捉カプセル型分子であることがわかった。
上記単結晶構造解析データ及び質量分析測定より明らかとなった捕捉カプセル型分子の構造を、図3及び図4に示す。
【0106】
図3に示すように、捕捉カプセル型分子の構造は、銅(II)イオン2個及びbitb4分子により形成されたカプセル骨格が、過塩素酸イオン1分子を内包する構造である。なお、図示しないが、両方の銅(II)イオンには、カプセルの外側から過塩素酸イオンが1分子ずつ配位している。
また、図4に示すように、銅(II)イオン2個及びbitb4分子により形成される空間のサイズは、6.5Å(0.65nm)×6.5Å(0.65nm)×5.0Å(0.50nm)であり、過塩素酸イオンを離脱不能な程度に内包するサイズであった。
また、図3及び図4では水素原子を省略して表している。
【0107】
また、得られた紫色結晶は、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトンのいずれにも溶解した。この結果も、該紫色結晶が捕捉カプセル型分子の構造を有することを示す。
【0108】
〔参考例3〕
<銅(II)イオンとbitbとを含む配位化合物(Cu-bitbポリマー)の合成>
試薬は、和光純薬工業株式会社の硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)、関東化学株式会社のジメチルホルムアミド(DMF)、を用いて合成した。
bitb58.9mg(0.2mmol)をDMF20mlに、硫酸銅25.0mg(0.1mmol)を水20mlにそれぞれ溶かした。得られたそれぞれの溶液を一気に反応させ、室温下で1週間静置することによって水不溶性の青色結晶を得た。
得られた青色結晶について、単結晶構造解析を行った。
また、該青色結晶は溶媒に溶けず、質量分析を行うことができなかったため、該青色結晶中の炭素、水素、及び窒素の比を元素分析で確認し、単結晶構造解析結果と一致することを確認した。
【0109】
~元素分析データ~
理論値(C3660CuN12S) C, 48.45; H, 6.78; N, 12.55
実測値 C, 48.72; H, 6.41; N,12.73
(測定装置 Euro Vector社製 Euro EA3000)
【0110】
~単結晶構造解析データ~
monoclinic space group C2/m(No.12),C3660CuN12S,Mw(式量)892.5, a = 12.3(1) Å, b = 27.3(2) Å, c = 13.8(1)Å, β = 113.42(1)°, V = 4252(62) Å3, Z = 4, R = 0.114, Rw = 0.470
【0111】
元素分析及び単結晶構造解析の結果より、得られた青色結晶は、参考例2のような捕捉カプセル型分子ではなく、配位化合物({[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}で表される高分子錯体;以下、「Cu-bitbポリマー」ともいう)であることがわかった。該配位化合物の詳細な構造については後述する。
【0112】
また、得られた青色結晶は、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノールのいずれにも溶解しなかった。この結果も、該青色結晶が、捕捉カプセル型分子の構造ではなく、配位化合物({[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}で表される高分子錯体)の構造を有することを示す。
該青色結晶が、捕捉カプセル型分子の構造ではなく配位化合物の構造をとる理由は、硫酸イオンのサイズが過塩素酸イオンのサイズより大きいことが原因と考えられる。即ち、bitb4分子及び金属イオン2個からなるカプセル骨格が内包し得る分子のサイズと、硫酸イオンのサイズとが一致しないため、カプセル骨格を形成せず、配位化合物を形成したものと思われる。
【0113】
元素分析及び単結晶構造解析の結果よりにより明らかとなった配位化合物の構造を図5~7に示す。
図5及び図6中、6つの結合手を有するイオン種は銅(II)イオンを表し、2つの銅(II)イオン間に配置する、1つの6員環と2つの5員環(複素環)とを含む分子はbitbを表す。ここで、bitbは、一方の複素環中の窒素原子の部分で一方の銅(II)イオンに配位し、他方の複素環中の窒素原子の部分で他方の銅(II)イオンに配位している。また、該配位化合物は無限鎖状に広がった構造を有しているため、図5~図7では、図の周辺部に位置する原子や分子を省略して表している。また、図5~図7では、水素原子を省略して表している。
図5~7に示すように、該配位化合物の構造は、2種類の二次元シート型構造(図5に示すA layer及び図6に示すB layer)が交互に積層された三次元構造(図7)である。
以下、各構造の詳細について説明する。
【0114】
図5に示すA layerは、1つの銅(II)イオンにbitbが4分子配位して形成された、二次元的に無限鎖状に広がった二次元シート型構造体である。より詳細には、A layerは、前記銅(II)イオンに対し、更に、硫酸イオンが2分子配位した、負電荷を持つ二次元シート型構造体[Cu(bitb)(SOである。図5中、矢印a及び矢印bは、A layerの二次元平面に平行な軸を表す(以下、「a軸」「b軸」ともいう)。
【0115】
図6に示すB layerも、1つの銅(II)イオンにbitbが4分子配位して形成された、二次元的に無限鎖状に広がった二次元シート型構造である。より詳細には、B layerは、前記銅(II)イオンに対し、更に、水分子が2分子配位した、正電荷を持つ二次元シート型構造体[Cu(bitb)(HO)である。図6中、矢印a及び矢印bは、B layerの二次元平面に平行な軸を表す(以下、「a軸」「b軸」ともいう)。
【0116】
図7に示す三次元構造は、前記A layer及び前記B layerが交互に積層された構造である。図7中、矢印cは、前記A layer及び前記B layerの二次元平面に平行でない軸を表す。
図7に示すように、前記A layer及び前記B layerは、それぞれab面上に配置され、それらがc軸に沿って交互に積層した構造となっている。
図7において、A layer中、銅(II)イオンに配位している硫酸イオンは、となりのB layer中の銅(II)イオンに配位している水分子に水素結合している(O-O =2.98Å)。その結果、水素結合を介した三次元構造となっている。
【0117】
〔実施例1〕
<過塩素酸イオンの除去に関する実験>
~試料1(ブランク)~
蒸留水に過塩素酸ナトリウムを溶解させ、過塩素酸イオンが100ppm含まれる試料1(30 ml)を調製した。
得られた試料1(ブランク)について、過塩素酸イオンの濃度をイオンクロマトグラフィーにより下記条件にて測定した。
【0118】
~イオンクロマトグラフィー測定条件~
メトローム製イオンクロマトグラフIC 861 を用いて行った。測定は CO2 差プレッサー方式で行い、電気伝導度検出器により陰イオンの検出を行った。測定は室温23℃で行い、測定に使用する試料は、メンブランフィルターでろ過し、また測定に用いる水溶液は Millipore製の超純水製造装置 Direct-Q で精製したものを使用した。
【0119】
~試料2~
上記試料1に、前記参考例3で得られた配位化合物({[Cu(bitb)(HO)[Cu(bitb)(SO}で表される高分子錯体;以下「Cu-bitbポリマー」という)46mgを加え(処理A)、24時間静置して試料2を得た。
得られた試料2について、試料1と同様の測定を行った。
【0120】
~試料3、試料6、試料9~
上記試料1に、活性炭(和光純薬製 活性炭、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イオン交換樹脂(三菱化学(株)製 弱塩基性陰イオン交換樹脂WA-30)50mg、又はゼオライト(ユニオン昭和(株)製 モレキュラーシーブ13X)50mgを加え(処理B)、24時間静置し、試料3、試料6、又は試料9を得た。
得られた試料3、試料6、又は試料9について、試料1と同様の測定を行った。
【0121】
~試料4、試料7、試料10~
上記試料1に、Cu-bitbポリマー46mgと、活性炭(和光純薬製 活性炭、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イオン交換樹脂(前記WA-30)50mg、又はゼオライト(前記13X)50mgと、を加え(以下、この処理を「AB同時」とする)、24時間静置し、試料4、試料7、又は試料10を得た。
得られた試料4、試料7、又は試料10について、試料1と同様の測定を行った。
【0122】
~試料5、試料8、試料11~
上記試料1にCu-bitbポリマー46mgを加え、24時間静置した。
前記24時間静置後、ろ過により沈殿物(未反応分のCu-bitbポリマー、及び捕捉カプセル型分子)を除き、ろ液に活性炭(和光純薬製 活性炭、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イオン交換樹脂(前記WA-30)50mg、又はゼオライト(前記13X)50mgを加え(以下、ここまでの処理を「A→B」とする)、24時間静置した。
24時間静置後のろ液について、試料1と同様の測定を行った。
【0123】
以上の結果を表1に示す。
【0124】
【表1】
JP0005448195B2_000016t.gif

【0125】
表1に示すように、Cu-bitbポリマーによる処理Aと、活性炭、ゼオライト又はイオン交換樹脂による処理Bと、を組み合わせた場合(「AB同時」及び「A→B」)には、Aのみの場合及びBのみの場合と比較して、過塩素酸イオンの濃度が低減されていた。
また、「AB同時」と比較して、「A→B」では、過塩素酸イオンの濃度が更に低減されていた。
【0126】
〔実施例2〕
<銅イオンの濃度の比較>
次に、前記実施例1中の試料4、試料5、試料7、試料8、試料10、及び試料11について、下記条件にて銅イオンの濃度を測定した。
【0127】
~銅イオン測定条件(マルチ型ICP発光分析装置)~
サンプル20mlに硝酸(1%)を加え、加熱分解した後、試料を20mlにメスアップし、水溶液中に含まれている銅イオン濃度を、マルチ型ICP発光分析装置(バリアン製 ICP(VISTA-MPX))を用いて測定した。
【0128】
次に、「AB同時」の場合の銅イオン濃度と「A→B」の場合の銅イオン濃度との比較を行った。
その結果、試料4(AB同時)の銅イオン濃度を100としたとき、試料5(A→B)の銅イオン濃度は13.9であった。また、試料7(AB同時)の銅イオン濃度を100としたとき試料8(A→B)の銅イオン濃度は45.9であった。また、試料10(AB同時)の銅イオン濃度を100としたとき試料11(A→B)の銅イオン濃度は1.7であった。
これらの結果をまとめると表2のようになる。
【0129】
【表2】
JP0005448195B2_000017t.gif

【0130】
表2に示すように、「AB同時」と比較して、「A→B」では、銅イオンの濃度が低減されていた。
以上、表1及び表2より、「AB同時」と比較して「A→B」では、過塩素酸イオンの濃度がさらに低減され、また、銅イオンの濃度も低減されることが確認された。
【0131】
〔実施例3〕
<テトラフルオロホウ酸イオン(BF)の除去に関する実験>
蒸留水にテトラフルオロホウ酸ナトリウムを溶解させ、テトラフルオロホウ酸イオンが100ppm含まれる試料101(30 ml)を調製した。
なお、上記試料101(ブランク)におけるテトラフルオロホウ酸イオンの濃度(100ppm)は、イオンクロマトグラフィーにより前述の条件にて測定された値である。
【0132】
~試料102、試料104、試料106~
上記試料101に、Cu-bitbポリマー46mgと、活性炭(和光純薬製 活性炭、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イオン交換樹脂(前記WA-30)50mg、又はゼオライト(前記13X)50mgと、を加え(以下、この処理を「AB同時」とする)、24時間静置し、試料102、試料104、又は試料106を得た。
得られた試料102、試料104、又は試料106について、試料101と同様の測定を行った。
【0133】
~試料103、試料105、試料107~
上記試料101にCu-bitbポリマー46mgを加え、24時間静置した。
前記24時間静置後、ろ過により沈殿物(未反応分のCu-bitbポリマー、及び捕捉カプセル型分子)を除き、ろ液に活性炭(和光純薬製 活性炭、破砕状 0.2mm~1mm)50mg、イオン交換樹脂(前記WA-30)50mg、又はゼオライト(前記13X)50mgを加え(以下、ここまでの処理を「A→B」とする)、24時間静置し、試料103、試料105、又は試料107を得た。
24時間静置後のろ液について、試料101と同様の測定を行った。
測定結果を下記表3に示す。
【0134】
【表3】
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【0135】
表3に示すように、Cu-bitbポリマーによる処理Aと、活性炭、ゼオライト又はイオン交換樹脂による処理Bと、を組み合わせることにより、テトラフルオロホウ酸イオンの濃度が低減されることが確認された。
また、「AB同時」と比較して、「A→B」では、テトラフルオロホウ酸イオンの濃度が更に低減されていた。
【0136】
日本出願2008-055240の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6