TOP > 国内特許検索 > 光学顕微鏡 > 明細書

明細書 :光学顕微鏡

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5317133号 (P5317133)
登録日 平成25年7月19日(2013.7.19)
発行日 平成25年10月16日(2013.10.16)
発明の名称または考案の名称 光学顕微鏡
国際特許分類 G01N  21/01        (2006.01)
G02B  21/00        (2006.01)
FI G01N 21/01 D
G02B 21/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2010-515898 (P2010-515898)
出願日 平成21年6月3日(2009.6.3)
国際出願番号 PCT/JP2009/060190
国際公開番号 WO2009/148094
国際公開日 平成21年12月10日(2009.12.10)
優先権出願番号 2008146335
優先日 平成20年6月3日(2008.6.3)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年5月31日(2012.5.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】川田 善正
【氏名】宮川 厚夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】下村 一石
参考文献・文献 特表2003-524779(JP,A)
Chihiro MORIGUCHI,Akihiro OHTA,Chikara EGAMI,Yoshimasa KAWATA,Susumu TERAKAWA,Masaaki TSUCHIMORI,Osamu WATANABE,Imaging Analysis of Near-Field Recording Technique for Observation of Biological Specimens,Optical Review,日本,Springer Science+Business Media,2006年 5月12日,Vol.13,Iss.4,pp.215-217
調査した分野 G01N21/00-21/01
G01N21/17-21/61
G02B21/00-21/36
特許請求の範囲 【請求項1】
測定対象物を光学的に測定する光学顕微鏡であって、
少なくとも一部に蛍光物質を含み、前記測定対象物が載置される蛍光部材と、
電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、
前記蛍光部材から可視光波長未満の波長の微小光源が励起されるように前記電子ビーム発生手段で発生された電子ビームを絞って前記蛍光部材に照射すると共に、前記絞られた電子ビームを走査する電子ビーム制御手段と、
前記微小光源で発生され前記測定対象物に作用した測定光を検出する光検出手段と、
を備えた光学顕微鏡。
【請求項2】
前記電子ビーム発生手段と前記電子ビーム制御手段とが真空部に配置された真空容器を更に備え、
前記蛍光部材は、前記真空容器の隔壁に形成された貫通孔の部分に配置されて、前記隔壁の一部となり、
前記微小光源は、前記貫通孔を通過する前記電子ビームにより励起される
請求項1記載の光学顕微鏡。
【請求項3】
前記貫通孔は複数個である
請求項1記載の光学顕微鏡。
【請求項4】
測定対象物を光学的に測定する光学顕微鏡であって、
少なくとも一部に蛍光物質を含み、前記測定対象物が載置される蛍光部材と、
電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、
前記電子ビーム発生手段で発生した電子ビームを制御して前記蛍光部材内に照射し、前記蛍光部材内に可視光波長未満の大きさの微小光源を励起させる電子ビーム制御手段と、
前記微小光源で発生され前記測定対象物に作用した測定光を検出する光検出手段と、
を備えた光学顕微鏡。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光学顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡は、生きた生物試料をそのまま観察できるため、生命現象の解明において、非常に有効なツールとして用いられている。様々な機能を有する蛍光プローブが開発され、位相差光学系、共焦点光学系、全反射蛍光観察法など様々な光学系が利用されることによって、細胞機能の解明、単一分子の観察などが実現されてきた。光を用いた生体試料の観察については、これまでの長い歴史によって、多くの実績と技術の蓄積がある。
【0003】
生命現象の解明におけるターゲットの一つとして、細胞やたんぱく質など最小構成要素一つの機能解明ではなく、複数の構成要素における相互作用、情報伝達のメカニズム、エネルギー伝達のメカニズム、細胞内の情報分子のダイナミクスなどを明らかにすることが期待されている。生体の器官、臓器などの働きは、生体の最小構成要素である細胞間の相互作用によって決定されるものである。したがって、器官・臓器の詳細なメカニズムの解明には、細胞間の相互作用を明らかにすることが必要である。また、実時間観察を行うことによって複数の生体分子のダイナミクスを理解することが必要である。
【0004】
一方、光学顕微鏡の空間分解能は、光の波としての性質により制限され、たかだかサブミクロン程度の分解能しか実現できない。したがって、複数の分子間または微小器官の間における相互作用、情報の伝達機構を解明には、より高い空間分解能を有する光学顕微鏡を開発することが必要である。
【0005】
光の回折限界を超えた微小領域を光学的に観察する顕微鏡として、近接場(ニアフィールド)顕微鏡が知られている。図1に、近接場(ニアフィールド)顕微鏡の原理図を示す。図のように、金属で遮蔽されたプローブの先端部にレーザー光が導入される。プローブの先端部には数nm~数10nmの開口部が形成されている。前記開口部は光の波長に比べて非常に小さいので、プローブ先端部に導入されたレーザー光は前記開口部を通過できない。しかし、いわゆる近接場(ニアフィールド)効果によりレーザー光の一部が開口部から外部にしみ出す(エバネッセント波)。このプローブ先端からしみ出した近接場光と測定対象物との相互作用が観察される。
【0006】
このように近接場(ニアフィールド)顕微鏡を用いれば、光の波長未満の微小領域の観察ができる。しかしながら、近接場(ニアフィールド)顕微鏡では、プローブの先端を測定対象物に近接させて観察する必要があり、図2のようにプローブを走査して測定対象物を観察するので、2次元の像を観察するのに非常に時間が掛かる。生体のダイナミクスを観察するためには実時間観察が必要であるが、従来型の近接場(ニアフィールド)顕微鏡では実時間観察は不可能である。
【0007】
本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献1及び2が挙げられる。特許文献1には、近接場光を用いた近接場(ニアフィールド)顕微鏡において、複数のナノスケールの孔から光を照射して、近接場を生成する技術が記載されている。また、光を電子ビームにより励起することが示唆されている。
【0008】
特許文献2には、生体試料に光を照射して、発生した近接場光を光電変換膜により電子線に変換し、電子線を検出する近接場顕微鏡が記載されている。

【特許文献1】特表2003-524779号公報
【特許文献2】特開2006-308475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来の光学顕微鏡では光の回折限界により分解能に限界があった。一方、光の回折限界を超えて光学的に観察する顕微鏡として近接場(ニアフィールド)顕微鏡があるが、プローブを観察対象部に近接させて走査させる必要があり、像を形成するのに時間が掛かる、という問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決し、光の回折限界を超えた分解能の近接場情報を高速で取得可能な光学顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の光学顕微鏡は、測定対象物を光学的に測定する光学顕微鏡であって、少なくとも一部に蛍光物質を含み、前記測定対象物が載置される蛍光部材と、電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、前記蛍光部材から可視光波長未満の波長の微小光源が励起されるように前記電子ビーム発生手段で発生された電子ビームを絞って前記蛍光部材に照射すると共に、前記絞られた電子ビームを走査する電子ビーム制御手段と、前記微小光源で発生され前記測定対象物に作用した測定光を検出する光検出手段と、を備える。
【0012】
また、本発明の光学顕微鏡は、測定対象物を光学的に測定する光学顕微鏡であって、少なくとも一部に蛍光物質を含み、前記測定対象物が載置される蛍光部材と、電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、前記電子ビーム発生手段で発生した電子ビームを制御して前記蛍光部材内に照射し、前記蛍光部材内に可視光波長未満の大きさの微小光源を励起させる電子ビーム制御手段と、前記微小光源で発生され前記測定対象物に作用した測定光を検出する光検出手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、光の回折限界を超えた分解能の近接場情報を高速で取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の近接場(ニアフィールド)顕微鏡の原理の説明図である。
【図2】従来の近接場(ニアフィールド)顕微鏡の走査の説明図である。
【図3】本発明の実施形態の光学顕微鏡の構成を示す図である。
【図4】真空容器の隔壁と蛍光薄膜の配置の一例を示す図である。
【図5】隔壁と蛍光薄膜の要部拡大断面図である。
【図6】真空容器の隔壁と蛍光薄膜の配置の一例を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態の例について説明する。図3は、本発明の実施形態の光学顕微鏡の構成を示す図である。光学顕微鏡は、電子顕微鏡結像系10と、光学顕微鏡部20と、を備えている。
【0016】
電子顕微鏡結像系10は、電子ビームを出射する電子源11と、電子源11から出射された電子ビームを所定位置にフォーカスさせる電子レンズ12と、電子ビームが照射される蛍光薄膜13と、内部が真空状態になっている真空容器14と、を備えている。電子原11及び電子レンズ12は、真空容器11に内に設けられている。蛍光薄膜13は、真空容器11の隔壁に形成された貫通孔を塞ぐように、当該隔壁に貼り付けられ、隔壁の一部をなしている。そして、試料30は、貫通孔の上、かつ蛍光薄膜13の上に配置される。
【0017】
また、図3に示すように、光学顕微鏡系20は、試料30からの光を集光する対物レンズ21と、対物レンズ21からの光を検出する光検出器22と、光検出器22で検出された信号を記録する信号記録部23と、を備えている。
図3では、蛍光薄膜13が、真空容器14の上面全体に形成されているように見えるが、実際には大気圧に耐えられるように上面の隔壁に形成された微小の貫通孔を塞ぐような構成になっている。この構成については後で説明する。
【0018】
電子源11で発生された電子ビームは、電子レンズ12により蛍光薄膜13内に(例えば、数10nmオーダーで)フォーカスされる。フォーカスされた電子ビームにより蛍光薄膜13内で光が励起され、微小光源(~数10nm)が生成される。なお、電子ビームは電場や磁場などにより制御可能であるので、電子ビームを制御することにより蛍光部材内の任意の場所に微小光源を励起させることができ、2次元走査などが可能になる。
【0019】
微小光源の大きさは、微小光源の形状が球形(略球形を含む)であれば直径が可視光波長未満であり、微小光源の形状が球形以外であれば最短軸の長さが可視光波長未満である。微小光源と試料30との間の相互作用により生成された光は、対物レンズ21を通して光検出器22で検出される。対物レンズ21からの光によって光検出器22で生成された信号は、信号記録部23で記録される。
【0020】
蛍光発光層(蛍光部材13)としては、透明な材料に蛍光材料(蛍光物質)を分散したものが採用可能である。透明な材料としてはシリコン酸化膜(SiO2)、ガラス、若しくは高分子材料が使用可能である。蛍光発光層の厚さは1μm程度あれば十分であるが、厚さが可視光波長未満でも構わない。
【0021】
蛍光材料を分散させる媒体として透明な高分子材料の好適な例は、高解像レジストとして微細加工に使われているポリメチルメタクリレート(PMMA)である。PMMAの分子構造は、(CH2C-CH3-COOCH3)n(nは重合度)で示され、例えば、分子量7.0~7.5×105の程度のPMMAが使用できる。PMMAは、他の高分子樹脂に比べて、透明度が高く、光学特性に優れている。
【0022】
透明な材料に分散させる蛍光材料としては、ローダミン系、クマリン系などの有機蛍光色素、ローダミン系の蛍光色素は、融点が200℃を越し、メタノール等の有機溶媒に容易に溶け、緑色の光をあてるとオレンジ色の蛍光を発する分子である。例えば、分子量543.1のローダミン590が使用できる。PMMAに対するローダミンの濃度は、例えば、2wt%程度が好ましい。
【0023】
ポリシロキサンポリマー等の樹脂ガラスに蛍光材料を混ぜた溶媒を用意する。例えば、ローダミン又は半導体微粒子をアセトン、プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の溶剤を用いて、樹脂ガラスに溶解させる。60℃に加熱したテトラメトキシシラン(TMOS)の1-プロキシ-2-プロパノール(PGPE)溶液にマレイン酸水溶液を滴下しこれに、ローダミン又は半導体微粒子を混合して、60℃で4時間加熱攪拌した後、減圧濃縮すれば、蛍光材料を含むシロキサン樹脂溶液が得られる。樹脂ガラスとしては、100nm世代以降の半導体装置のSTI溝に素子分離絶縁膜を埋め込む塗布型溶液:SOG(スピン・オン・グラス)溶液として注目されている過水素化シラザン重合体溶液を用いても良い。
【0024】
細胞・組織内の蛍光性物質に紫外線などの励起光をあて発する蛍光を観察する蛍光顕微鏡は、クロロフィル・脂質・ビタミンなど天然の蛍光性物質を含んだもの(自己蛍光)のほか、アクリジンオレンジや4,6-ジアミジン-2-フェニールインドール(DAPI)等の細胞染色蛍光色素を添加したときの二次蛍光、蛍光抗体法など広く生物学各分野で利用されている。無機蛍光材料としては、Y3Al512:Ce3+(YAG:Ce3+)等のYAGなどがある。
【0025】
半導体微粒子(半導体粒子蛍光体)ならば、一つの励起光で任意の波長の可視光を得ることができる。半導体粒子蛍光体としては、CdSe/ZnS半導体微粒子などがある。過水素化シラザン重合体溶液を150℃で3分程度のベーキングをすれば蛍光材料を含むポリシラザン(PSZ)膜ができる。そして、蛍光材料としてCdSe/ZnS半導体微粒子を用いる場合は、ポリシラザン(PSZ)膜が形成された後、200℃より高く600℃以下の温度で水蒸気を含んだ雰囲気で酸化処理を行えば、緻密度の高い蛍光材料を含む樹脂ガラス膜(シリコン酸化膜)ができる。
【0026】
図4は、真空容器14の隔壁と蛍光薄膜13の配置例を示す図である。蛍光薄膜13が貼り付けられた真空容器14の隔壁14aには、微小な貫通孔14bが形成されている。この貫通孔14bの内部であって蛍光薄膜13の上には、測定対象物である試料30が配置される。電子ビームは真空容器14の内部の真空側、試料30は大気側に配置されるので、試料30を載置する蛍光薄膜13が真空容器14の隔壁の一部をなす必要がある。しかしながら、蛍光薄膜13は十分な強度を有していないので、大気圧を支えるようにするには工夫が必要である。図4の例は、比較的小さな試料30を載置する場合の例である。隔壁には蛍光薄膜13を配置するための貫通孔14bが設けられている。
【0027】
図5は、隔壁と蛍光薄膜13の要部拡大断面図である。貫通孔14bの最も狭いところの内径は例えば100μm程度であり、蛍光薄膜13が薄くて強度が十分でなくても、十分に大気圧を支えることができる。蛍光薄膜13の厚さは特に限定はされないが、例えば10~50nm程度である。蛍光薄膜13周辺の隔壁の材質は特に限定されないが、加工が容易なSiを用いることが好ましい。
【0028】
隔壁に半導体素子用などのシリコン基板を用いる場合は、面方位(100)を表面として、貫通孔の側面を(111)面とするように、KOH溶液などで、エッチングして貫通孔を精密に作成する事が出来る。この場合、エッチング面の底角はほぼ54.7度であり、このように形成された四角錘の頂角は、ほぼ70.6度となる。このように、シリコンに限らずエッチングによって結晶性から定まる角度を利用して、ダイヤモンドあるいはGaAsなどの混晶を用いることが出来る。このように得られた隔壁に真空蒸着などの方法によって金属などの導体を設けて電子ビームを受容する陽極として構成する。
【0029】
図6は、真空容器14の隔壁と蛍光薄膜13の他の配置例を示す図である。この例では、蛍光薄膜13は隔壁の大気側に配置される。このように配置することにより、試料30の大きさに制限がなくなるため、試料30が配置しやすくなる。貫通孔の大きさは、特に限定されないが、例えば、内径を可視光波長未満(数10nm程度)にしても良い。貫通孔の大きさを小さくすれば、様々な外乱の影響を受けにくくなるとともに、電子ビームを収束させやすくなり、近接場(ニアフィールド)効果の測定精度を高めることができる。さらに、貫通孔の内径を小さくした場合、蛍光薄膜13の強度を下げることができるので、蛍光薄膜13を薄くすることができる。これにより、利用30を近接場に近接させることが可能になり、非常に高い精度(分解能)での測定が可能になる。
【0030】
また、貫通孔を複数個設けることでイメージングも可能である。具体的には、各々の貫通孔の上に、それぞれ異なる試料を配置すればよい。これにより、複数の試料がリアルタイムで同時に測定可能になる。
【0031】
以上のように、本発明の実施形態に係る光学顕微鏡は、光の回折限界を超えた分解能の近接場(ニアフィールド)情報を高速で取得可能であり、光を用いて生きた生物試料を実時間で観察でき、ナノメートルオーダーの空間分解能を有する実時間・ナノイメージング手法を実現することができる。上記光学顕微鏡は、実時間で観察可能な高分解能を実現することによって、分子・たんぱく質レベルでの機能解析から細胞・臓器レベルでの機能解析まで、統一的な観察を行うことが可能となる。
【0032】
上記光学顕微鏡は、小さな領域に照射可能な電子ビームを用いて、蛍光部材内に微小光源を励起できるため、可視光波長未満の大きさの微小光源を生成でき、可視光波長未満の大きさの微小光源を用いているためナノメートルオーダーの近接場(ニアフィールド)情報が収集可能である。さらに、上記光学顕微鏡は、微小光源の励起に電子ビームを用いているため、電子ビームの制御が容易であり、高速スキャンが可能であるので、高速に近接場(ニアフィールド)の画像を得ることができる。また、上記光学顕微鏡は、電子顕微鏡の技術を光励起に応用することによって、10nm以下のスポットを持ちかつ高速に走査可能な微小光源を実現することが可能となる。さらに、上記光学顕微鏡は、蛍光部材に様々な発光波長、偏光特性などを有する材料を選択することによって、分光計測、偏光計測など高機能化を実現できる。
【0033】
蛍光薄膜上に生じた微小光源を試料に照射することは、近接場光学顕微鏡において、微小開口によって生じたエバネッセント波を利用して試料を照明することと原理的に全く同等である。試料と蛍光薄膜の距離が十分小さい場合、電子線励起によって生じた微小蛍光光源のエバネッセント波で試料が観察され、回折限界を超えた分解能を実現することが可能となる。
【0034】
したがって、既にこれまでに開発されてきた光学顕微鏡の光学系を検出システムに応用することによって、高い空間分解能と多くの機能を持つ検出システムを構築することが可能である。また試料を配置する蛍光薄膜の部分で光学顕微鏡部と電子顕微鏡部が分離されるため、試料を配置する部分には真空や金属膜の蒸着などは全く必要なく、通常の光学顕微鏡と同様の環境で使用することが可能である。
【0035】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5