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明細書 :アルカリ土類金属を触媒として用いるスルホニルイミデートのシン選択的触媒的マンニッヒ型反応

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5166321号 (P5166321)
公開番号 特開2010-202537 (P2010-202537A)
登録日 平成24年12月28日(2012.12.28)
発行日 平成25年3月21日(2013.3.21)
公開日 平成22年9月16日(2010.9.16)
発明の名称または考案の名称 アルカリ土類金属を触媒として用いるスルホニルイミデートのシン選択的触媒的マンニッヒ型反応
国際特許分類 C07C 303/40        (2006.01)
C07C 311/18        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 303/40
C07C 311/18
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 11
全頁数 25
出願番号 特願2009-047408 (P2009-047408)
出願日 平成21年2月27日(2009.2.27)
審査請求日 平成22年6月7日(2010.6.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】松原 亮介
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】岩井 好子
参考文献・文献 特開2009-167109(JP,A)
特公昭26-007377(JP,B1)
特公昭28-005423(JP,B1)
J. Am. Chem. Soc.,2008年 1月17日,Vol.130, No.6,p.1804-1805
Bull. Chem. Soc. Jpn.,2009年 9月 9日,Vol.82, No.9 ,p.1083-1102
Angewante Chemie International Edition,2009年 4月 2日,Vol.48, No.32,p.5927-5929
調査した分野 C07C 303/40
C07C 311/18
C07B 61/00
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(1)
【化12】
JP0005166321B2_000016t.gif
(式中、Rはアルキル基を表し、Rは電子求引基を有するアリール基を表し、Rはアルキル基を表す。)
で表されるスルホニルイミデートと、次の一般式(2)
O-CO-N=CH-R (2)
(式中、Rは置換基を有してもよい炭化水素基又は置換基を有してもよい複素環基を表し、Rはアルキル基を表し、Rが置換基を有する炭化水素基又は複素環基の場合の置換基はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、複素環基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリール-カルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アミノ基、アルキルシリル基からなる群より選ばれる。)
で表されるイミンとを、アルカリ土類金属触媒の存在下で、非極性溶媒中で反応させて次の一般式(3)、
【化13】
JP0005166321B2_000017t.gif
(式中、R、R、R、R、及びRは、前記一般式(1)及び(2)で示したものと同じである。)
で表されるアミン化合物のシン体を選択的に製造する方法。
【請求項2】
反応が、窒素原子を有するリガンドの存在下で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リガンドが、次の式(4)
【化14】
JP0005166321B2_000018t.gif
又は、次の式(5)
【化15】
JP0005166321B2_000019t.gif
で表される含窒素化合物である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
非極性溶媒が、THFである請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
一般式(1)におけるRが、p-ニトロフェニル基である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
アルカリ土類金属触媒が、アルコキシアルカリ土類金属、又はジシラジドアルカリ土類金属である請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
アルカリ土類金属触媒が、カルシウム、バリウム、又はストロンチウムである請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
アルカリ土類金属触媒の量が、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して0.01~20モル%である請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
アミン化合物が、立体選択的生成物である請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
シン体がアンチ体の2倍以上である請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の方法で製造された一般式(3)で表されるアミン化合物のスルホニルイミデート部分を加水分解又は還元的加水分解して、対応するエステル、アミド、又はアルデヒドを製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホニルイミデート化合物とイミン化合物とを、アルカリ土類金属触媒の存在下で、非極性溶媒中で反応させて、対応するアミン化合物のシン体を選択的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品産業や農薬産業においては新たな活性化合物の開発のために多数の化合物が製造されてきている。また、近年では有機EL素子などの素子材料として多くの有機化合物が製造されてきている。
このような有機化合物の製造においては、新しい有機化合物の合成手法の開発が望まれてきている。求核反応は有機化合物を製造する際の代表的な化学反応のひとつとして知られており、多くの産業分野で利用されてきている。特に、求核付加反応は、新たなC-C結合やC-N結合を生成させるための化学反応として開発が進められてきている(非特許文献1~8参照)。しかし、これらの反応にはほぼ等量という多量の塩基が必要とされたり、また求核反応基質化合物の反応性を確保するために反応サイトに隣接する位置に電子求引基を有していることが必要とされてきた(例えば、非特許文献9~11参照)。
このために、塩基の使用量が少なく、かつ一般性の高い新しい求核試薬の開発が求められている。
【0003】
一方、アルカリ土類金属は、地球上に豊富に存在し、安価で、大きな毒性も無く、商業的な利用に適している金属である。特に、アルカリ土類金属のアルコキシドは、ルイス酸とブローンステッド塩基の両方の性質を有しており、エノレートの求電子剤との付加反応に適していると考えられている。本発明者らは、カルシウムアルコキシドやストロンチウムアルコキシドを用いた不斉ミカエル反応やグリシン誘導体の1,4-付加反応を報告してきた(非特許文献12及び13参照)。また、本発明者らは、DMFのような極性溶媒中でマグネシウムアルコキシドを用いたスルホニルイミデート化合物とイミン化合物との付加反応では、主としてアンチ体が生成することを報告してきた(非特許文献14及び特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、シン体を主生成物とすることはできなかった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特願2008-3733号
【0005】

【非特許文献1】Alcaide, B. et al., Eur. J. Org. Chem., 2002, 1595.
【非特許文献2】List, B., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 548.
【非特許文献3】Notz, W., et al., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 580.
【非特許文献4】Shibasaki, M., et al., Chem. Commun., 2002, 1989.
【非特許文献5】Shibasaki, M., et al., Chem. Rev., 2002, 102, 2187.
【非特許文献6】Cordova, A., Acc. Chem. Res., 2004, 37, 102.
【非特許文献7】Marques, M., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 348.
【非特許文献8】Shibasaki, M., etal., J. Organomet. Chem., 2006, 691, 2089.
【非特許文献9】Saito, S., et al., J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 8704.
【非特許文献10】Saito, S., et al., Chem. Commun., 2007, 1236.
【非特許文献11】Morimoto, H., et al., J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 9588.
【非特許文献12】M.Agostinho, et al., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 2430.
【非特許文献13】S.Kobayashi, et al., Org. Lett., 2008, 10, 807.
【非特許文献14】R.Matsubara, et al., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 1804.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、スルホニルイミデート化合物とイミン化合物との付加反応において、主生成物としてシン体を選択的に製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
立体選択的な製造方法においては、望まれる立体構造の化合物のいずれかを選択的に製造する方法を確立することが望まれている。本発明者らは、アンチ体を選択的に製造する方法を報告(特許文献1、及び非特許文献14参照)してきたが、シン体を選択的に製造することはできなかった。また、アンチ体の製造の際に使用されていたアルカリ土類金属触媒は安価で安全であることから、できるだけ同じ触媒を使用してシン体を選択的に製造できる方法を開発したいと考えていたが、立体選択性の多くは触媒の構造に依存していると考えられていたことから、同種の触媒によるシン体の選択的な製造は困難であると思われていた。
本発明者らは、これらの点について鋭意検討してきた結果、驚くべきことに溶媒の極性を変えることによりシン体を選択的に製造することができることを見出した。本発明は、新規なシン選択的触媒的マンニッヒ型反応を提供するものである。
即ち、本発明は、次の一般式(1)
【0008】
【化1】
JP0005166321B2_000002t.gif

【0009】
(式中、Rは置換基を有してもよいアルキル基を表し、Rは電子求引基を有するアリール基を表し、Rは置換基を有してもよいアルキル基を表す。)
で表されるスルホニルイミデートと、次の一般式(2)
O-CO-N=CH-R (2)
(式中、Rは置換基を有してもよい炭化水素基又は置換基を有してもよい複素環基を表し、Rは置換基を有してもよいアルキル基を表す。)
で表されるイミンとを、アルカリ土類金属触媒の存在下で、非極性溶媒中で反応させて次の一般式(3)、
【0010】
【化2】
JP0005166321B2_000003t.gif

【0011】
(式中、R、R、R、R、及びRは、前記一般式(1)及び(2)で示したものと同じである。)
で表されるアミン化合物又はその鏡像体のシン体を選択的に製造する方法に関する。
【0012】
より詳細には、本発明は以下の事項に関する。
(1)前記の一般式(1)で表されるスルホニルイミデートと、次の一般式(2)
O-CO-N=CH-R (2)
(式中、Rは置換基を有してもよい炭化水素基を表し、Rは置換基を有してもよいアルキル基を表す。)
で表されるイミンとを、アルカリ土類金属触媒の存在下で、非極性溶媒中で反応させて前記の一般式(3)で表されるアミン化合物のシン体を選択的に製造する方法。
(2)反応が、窒素原子を有するリガンドの存在下で行われる前記(1)に記載の方法。
(3)リガンドが、次の式(4)
【0013】
【化3】
JP0005166321B2_000004t.gif

【0014】
又は、次の式(5)
【0015】
【化4】
JP0005166321B2_000005t.gif

【0016】
で表される含窒素化合物である前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)非極性溶媒が、THFである前記(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)一般式(1)におけるRが、p-ニトロフェニル基である前記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)アルカリ土類金属触媒が、アルコキシアルカリ土類金属、又はシラジドアルカリ土類金属である前記(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)アルカリ土類金属触媒が、カルシウム、バリウム、又はストロンチウムである前記(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8)アルカリ土類金属触媒の量が、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して0.01~20モル%である前記(1)~(7)のいずれかに記載の方法。
(9)求核反応生成物が、立体選択的生成物である前記(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10)シン体がアンチ体の2倍以上である前記(1)~(9)のいずれかに記載の方法。
(11)前記(1)~(10)いずれかに記載の方法で製造された一般式(3)で表されるアミン化合物のスルホニルイミデート部分を加水分解又は還元的加水分解して、対応するエステル、アミド、又はアルデヒドを製造する方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、安価で安全性の高いアルカリ土類金属触媒を用いて、シン体を立体選択的に製造する方法を提供するものである。本発明の方法は、穏和な反応条件で高収率で、エナンチオ選択的にシン体を製造することができる。
また、本発明の方法で製造された一般式(3)で表されるシン体のアミン化合物のスルホニルイミデート部分を加水分解又は還元的加水分解することにより、対応するアミノエステル、アミノ酸、又はアミノアルデヒドなどを穏和な反応条件で簡便にかつエナンチオ選択的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一般式(1)のR、及びR、並びに一般式(2)のRにおけるアルキル基としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10、炭素数1~5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられる。好ましい一般式(1)のRとしては、炭素数1~5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられ、具体的にはi-プロピル基などが挙げられる。好ましい一般式(1)のRとしては、炭素数1~5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基やエチル基などが挙げられる。好ましい一般式(2)のRとしては、炭素数1~5の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられ、具体的にはt-ブチル基などが挙げられる。
これらのアルキル基は、求核反応に悪影響を与えない各種の官能基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基などの炭化水素基、塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、1個~4個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3~8員の環を有する複素環基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~21のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7~37のアリール-カルボニルオキシ基、炭素数8~41のアラルキルカルボニルオキシ基、炭素数2~21のアルコキシカルボニル基、炭素数7~37のアリールオキシカルボニル基、炭素数8~41のアラルキルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアミノ基、アルキルシリル基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

【0019】
本発明の一般式(1)のRのアリール基としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基が挙げられる。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、などが挙げられる。好ましいアリール基としては、フェニル基などが挙げられる。
一般式(1)のRのアリール基は電子求引基で置換されているものが好ましい。このような電子求引基としては、ニトロ基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基などが挙げられる。置換位置としてはオルト位又はパラ位が好ましい。好ましい電子求引基としては、ニトロ基が挙げられる。また、好ましいRの電子求引基を有するアリール基としては、p-ニトロフェニル基などが挙げられる。

【0020】
本発明の一般式(2)のRにおける炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などの飽和又は不飽和の炭化水素基が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~15、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~15、炭素数2~10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基が挙げられる。このようなアルケニル基の例としては、ビニル基、1-メチル-ビニル基、2-メチル-ビニル基、n-2-プロペニル基、1,2-ジメチル-ビニル基、1-メチル-プロペニル基、2-メチル-プロペニル基、n-1-ブテニル基、n-2-ブテニル基、n-3-ブテニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式の脂環式炭化水素基が挙げられる。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.0]ブチル基、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[2.2.2.]オクチル基、アダマンチル基(トリシクロ[3.3.1.1]デカニル基)、ビシクロ[4.3.2]ウンデカニル基、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカニル基、などが挙げられる。

【0021】
アリール基としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基が挙げられる。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、などが挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数1~20のアルキル基が結合した、炭素数7~40、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~15のアラルキル基(炭素環式芳香脂肪族基)が挙げられる。このような基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチル-メチル基などが挙げられる。
アリールアルケニル基としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数2~20のアルケニル基が結合した、炭素数8~40、好ましくは炭素数8~20、炭素数8~15のアリールアルケニル基が挙げられる。このような基としては、例えば、スチリル基、2-ナフチル-ビニル基などが挙げられる
また、本発明における炭化水素基は、求核反応に悪影響を与えない範囲で、前記してきた炭化水素基における1個又は2個以上の炭素原子が、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子などの異種原子で置換されたものであってもよい。
本発明の一般式(2)のRにおける複素環基としては、1個~4個、好ましくは1~3個又は1~2個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3~8員、好ましくは5~8員の環を有する単環式、多環式、又は縮合環式の複素環基が挙げられる。このような複素環基としては、例えば、2-フリル基、2-チエニル基、2-ピロリル基、2-ピリジル基、2-インドール基、ベンゾイミダゾリル基などが挙げられる。

【0022】
また、前記した炭化水素基や複素環基は、求核反応に悪影響を与えない各種の官能基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、前記してきたアルキル基、前記してきたアルケニル基、前記してきたシクロアルキル基、前記してきたアリール基、前記してきたアラルキル基、塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、1個~4個の窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子からなる異種原子を含有する3~8員の環を有する複素環基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数2~21のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7~37のアリール-カルボニルオキシ基、炭素数8~41のアラルキルカルボニルオキシ基、炭素数2~21のアルコキシカルボニル基、炭素数7~37のアリールオキシカルボニル基、炭素数8~41のアラルキルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換のアミノ基、アルキルシリル基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

【0023】
好ましい一般式(2)のRにおける炭化水素基や複素環基としては、アルキル基、アリール基、ビニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基などが挙げられ、例えば、フェニル基、p-メトキシフェニル基、p-フルオロフェニル基、m-メチルフェニル基、o-メチルフェニル基、m-ビニルフェニル基、シクロプロピル基、2-フリル基、2-チエニル基、2-ピリジル基などが挙げられる。

【0024】
本発明の方法は、触媒としてアルカリ土類金属化合物を用い、溶媒として非極性溶媒をもちいることを特徴とするものである。
触媒として使用されるアルカリ土類金属化合物のアルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムなどが挙げられる。好ましいアルカリ土類金属としては、カルシウム、バリウム、ストロンチウムが挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、アルコキシドやジシラザンなどのアミド化物が挙げられるがこれに限定されるものではない。アルコキシドとしては、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~15、炭素数1~10、さらに好ましくは炭素数1~5の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基が挙げられる。このようなアルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、ペントキシ基などが挙げられる。好ましいアルコキシ基としてはi-プロポキシ基が挙げられる。アミド化物としては、Si-N結合を有するシラザンのアミド化物が挙げられる。好ましいジシラザンとしては、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。
好ましいアルカリ土類金属化合物としては、Ca(O-i-Pr)、Ba(O-i-Pr)、Sr(O-i-Pr)、Sr(HMDS)などが挙げられる。HMDSは、ヘキサメチルジシラジド基を示す。
アルカリ土類金属化合物の使用量は特に制限はないが、従来の方法のように等量使用する必要が無いことが本発明の方法の特徴のひとつである。好ましいアルカリ土類金属化合物の添加量は、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して0.01~20モル%、より好ましくは1~15モル%程度である。

【0025】
本発明の方法における溶媒としては、DMFのような極性溶媒は好ましくなく、THF(テトラヒドロフラン)のような非極性溶媒が好ましい。より好ましい溶媒としては、THF、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのようなエーテル結合を有するエーテル系溶媒が挙げられる。また、DCM(ジクロロメタン)やトルエンのハロゲン化炭化水素や炭化水素も本発明の方法における溶媒としては好ましいものではない。

【0026】
本発明のさらに好ましい態様としては、含窒素化合物からなるリガンドの存在で行う方法が挙げられる。含窒素化合物としては、ベンズオキサゾールのような含窒素複素環化合物、エチレンジアミン誘導体のようなジアミン類やそのスルホンアミド誘導体などが挙げられる。好ましいリガンドとしては、前記した式(4)で表される化合物や式(5)で表される化合物が挙げられる。このようなリガンドは不斉を有していてもよいが、有していなくてもよいが、好ましいリガンドとしては不斉リガンドが挙げられる。
このようなリガンドは、触媒として使用するアルカリ土類金属化合物の等量~5倍量、好ましくは等量~2倍量程度が挙げられる。
さらに、本発明の方法は、トリエチルアミンなどの3級アミンを添加して行うこともできる。

【0027】
本発明の方法は、モレキュラーシーブ(好ましく4オングストロームのもの)の存在下に行うこともできる。好ましくは4オングストロームのモレキュラーシーブ(MS4A)の存在下で行うことができる。
また、本発明の方法は、一般式(2)で表されるイミン化合物は、一般式(1)で表されるスルホニルイミデートに対して等量で行うことができるが、好ましくは0.8~2当量、0.9~1.5当量で行うことができる。
反応温度は、特に制限はなく-45℃~溶媒の沸点までの範囲で選択することができる。好ましい反応温度は0~室温が上げられる。多くの場合、本発明の方法は室温で行うことができる。反応時間は適宜選定することができるが、反応温度が低い場合には10~80時間程度が挙げられる。室温での反応の場合には、10~50時間程度とすることができる。
本発明の方法で製造された生成物は、クロマトグラフィーなどの精製手段により適宜精製することができる。

【0028】
一般式(1)で表されるスルホニルイミデートと一般式(2)で表されるイミン化合物からの反応による生成物は、スルホニルイミデート部分のβ位が不斉炭素となり、アンチ体とシン体が存在する。本発明の方法は、立体選択的に進行し、シン体を立体選択的に製造することができる。
本発明の方法による主生成物がシン体であることはX線回折により確認された。

【0029】
本発明の方法で製造された生成物は、スルホニルイミデート部分(-C(OR)=NSO)を有しており、この部分を公知の手法で分解することにより、N-スルホニルアミド、エステル、アルデヒドなどに誘導することができる。
-C(OR)=NSO → -CO-NH-SO
-C(OR)=NSO → -COOR
-C(OR)=NSO → -CHO
N-スルホニルアミドとする場合には、本発明の方法よる生成物を、含水アルコール(例えば、i-Prアルコール)中で硫酸などの酸の存在下で、加水分解することにより製造することができる。
エステルとする場合には、本発明の方法よる生成物を、酸又は塩基の存在下で加水分解することにより製造することができる。
アルデヒドとする場合には、水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤の存在下に反応させることにより製造することができる。
このようにして製造されたN-スルホニルアミド、エステル、アルデヒドは、β位に本発明の方法により導入された窒素原子又は炭素原子を有しており、β-アミノ酸誘導体などとすることができ、本発明の方法により産業上有用な化合物を簡便に製造することができる。さらに、前記したように本発明の方法は立体選択的に行うことができるので、シン体の異性体を選択的に製造することができる。

【0030】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
H-NMRと13C-NMRはJEOL JNM-ECX-400,JNM-ECX-500または、JNM-ECX-600を使用しCDClを溶媒とし(他の溶媒を使用した場合は個別に記載)、テトラメチルシラン(δ=0、H-NMR)またはCDCl(δ=77.0、13C-NMR)を内部標準物質として測定した。
IR スペクトルの測定はJASCO FT/IR-610を、旋光度の測定は JASCO P-1010を使用した。カラムクロマトグラフィーにはSilica gel 60 (Merck)を調整用薄層クロマトグラフィーにはWakogel B-5Fを使用した。全ての反応はアルゴン雰囲気下で実施し、溶媒は定法に従い蒸留したものを使用した。
また、スルホニルイミデートは次の文献1~3に記載の方法に従い合成した。
1.Kupfer, R.; Nagel, M.; Wurthwein, E.-U.; Allmann, R. Chem. Ber. 1985, 118, 3089.
2. Matsubara, R.; Berthiol, F.; Kobayashi, S. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 1804.
3. Matsubara, R.; Kobayashi, S. Synthesis 2008, 3009.

【0031】
実施例1~10は、種々の触媒を用いて次の反応式に従って行った。

【0032】
【化5】
JP0005166321B2_000006t.gif

【0033】
なお、原料のスルホニルイミデートは次の方法により製造した。
スルホニルイミデートの製造
次式、

【0034】
【化6】
JP0005166321B2_000007t.gif

【0035】
で表されるイミデート塩酸塩Aの塩化メチレン(50mL)溶液にトリエチルアミン(8.3mL、59.55mモル)を室温下滴下した。得られた懸濁液にパラニトロベンゼンスルホニルクロリド(4.4g、19.85mモル)とジメチルアミノピリジン(242.5mg、1.985mモル)を加えた。40時間撹拌した後、水に反応液を流し込み、塩化メチレンで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し反応粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製した後、スルホニルイミデート6gを得た(5.23g,収率88%)。
【実施例1】
【0036】
4オングストロームのモレキュラーシーブ(以下、MS4Aという。)(50mg)とカルシウムイソプロポキシド(10mol%)の入っている容器に、イミン(0.45mmol)のTHF(0.6mL)溶液とスルホニルイミデート(0.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌した後、酢酸エチル(5mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加え、有機層を分離した後、有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のH-NMRにて決定した。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物を得た。
【実施例2】
【0037】
実施例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、ストロンチウムイソプロポキシドを用いて実施例1と同様に行った。
【実施例3】
【0038】
実施例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、バリウムイソプロポキシドを用いて実施例1と同様に行った。
【実施例4】
【0039】
実施例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、Sr(HMDS)を(HMDS=ヘキサメチルジシラジド)を用いて実施例1と同様に行った。反応時間は18時間とした。
【実施例5】
【0040】
実施例1に記載の方法において、次式(4)
【実施例5】
【0041】
【化7】
JP0005166321B2_000008t.gif
【実施例5】
【0042】
で表される化合物をリガンドとして8.3mg(0.033mmol)添加して、実施例1と同様に行った。
【実施例6】
【0043】
実施例2おいて、実施例5と同様に式(4)で表される化合物をリガンドとして添加して、実施例2と同様に行った。
【実施例7】
【0044】
実施例3おいて、実施例5と同様に式(4)で表される化合物をリガンドとして添加して、実施例3と同様に行った。
【実施例8】
【0045】
実施例4おいて、実施例5と同様に式(4)で表される化合物をリガンドとして添加して、実施例4と同様に行った。反応時間は24時間とした。
【実施例9】
【0046】
反応温度を0℃とし、反応時間を48時間として、実施例8と同様に行った。
【実施例10】
【0047】
反応温度を-20℃とし、反応時間を72時間として、実施例8と同様に行った。
【実施例10】
【0048】
実施例1~10の結果をまとめて次の表1に示す。表1中の各欄は左側から、実施例の番号、使用した触媒の種類、反応時間(時間)、収率(%)、アンチ体とシン体の比率をそれぞれ示す。
【実施例10】
【0049】
【表1】
JP0005166321B2_000009t.gif
【実施例10】
【0050】
これらの結果から、本発明の方法によりシン体が選択的に製造されることがわかる。また、リガンドを添加することにより、シン体の選択性が向上することもわかる(実施例5~8参照)。反応温度を変化させても、大きな変化がみられないこともわかる(実施例9及び10参照)。
溶媒の作用及びアリールスルホニルアミデートにおけるアリール基中の電子求引基の作用を示すために、次の反応式による比較例1~8の比較実験を行った。
【実施例10】
【0051】
【化8】
JP0005166321B2_000010t.gif
【実施例10】
【0052】
比較例1
4オングストロームのモレキュラーシーブ(以下、MS4Aという。)(50mg)とカルシウムイソプロポキシド(10mol%)の入っている容器に、イミン(0.45mmol)のDMF(0.6mL)溶液とスルホニルイミデート(0.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で17時間撹拌した後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、母液を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のH-NMRにて決定した。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物を得た。
【実施例10】
【0053】
比較例2
比較例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、ストロンチウムイソプロポキシドを用いて比較例1と同様に行った。
【実施例10】
【0054】
比較例3
比較例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、バリウムイソプロポキシドを用いて比較例1と同様に行った。
【実施例10】
【0055】
比較例4
比較例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、マグネシウムイソプロポキシドを用いて比較例1と同様に行った。
【実施例10】
【0056】
比較例5
比較例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、カルシウムt-ブトキシドを用いて比較例1と同様に行った。
【実施例10】
【0057】
比較例6
比較例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、ストロンチウムt-ブトキシドを用いて比較例1と同様に行った。
【実施例10】
【0058】
比較例7
比較例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、バリウムt-ブトキシドを用いて比較例1と同様に行った。
【実施例10】
【0059】
比較例8
比較例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、マグネシウムt-ブトキシドを用い、スルホニルイミデートとして2,5-キシリルスルホニルイミデートに代えて、p-ニトロベンゼンスルホニルイミデートを用いて比較例1と同様に行った。
これらの結果を次の表2に示す。
【実施例10】
【0060】
【表2】
JP0005166321B2_000011t.gif
【実施例10】
【0061】
このように溶媒として極性溶媒であるDMFを使用した場合や、ベンゼンスルホニル基の置換基が電子求引基でない場合には、シン体ではなく、アンチ体が主生成物となる。
【実施例10】
【0062】
比較例9
実施例1におけるカルシウムイソプロポキシドに代えて、DBU (1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)を用いて実施例1と同様に行った。反応時間は24時間であった。
その結果、収率は77%であったが、アンチ体/シン体の比は74/26であり、アンチ体が主生成物であった。
次に、次の反応式にしたがって種々のイミン化合物を用いた実験を、反応条件A(Condition A)(比較例)及び反応条件B(Condition B)(実施例)(但し、表3中のエントリー10の場合を除く。)により行った。
【実施例10】
【0063】
【化9】
JP0005166321B2_000012t.gif
【実施例10】
【0064】
(この式中のRは次の表3のRの欄に示される基を示し、Rは表3中のエントリー12ではエチル基を示し、その他の場合はメチル基を示し、Arは反応条件A(Condition A)(比較例)では2,5-キシリル基を示し、反応条件B(Condition B)(実施例)ではp-ニトロフェニル基を示す。)
結果を次の表3のエントリー1の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
【実施例11】
【0065】
次の反応式にしたがって、目的のシン体3を製造した。
【実施例11】
【0066】
【化10】
JP0005166321B2_000013t.gif
【実施例11】
【0067】
MS4A(50mg)とSr[HMDS](HMDS=ヘキサメチルジシラジド)(12.3mg,10mol%)、リガンド4(8.3mg,11mol%)の入っている容器に、THF(0.3mL)を加えて1時間撹拌した。その後スルホニルイミデート2(90.1mg,0.3mmol)とBocイミン1(92.3mg,0.45mmol)のTHF(0.3mL)溶液を加えて24時間撹拌を続けた。酢酸エチル(5mL)を加えて反応液を希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加えた。分液操作により有機層を得た後、それを無水NaSOにて乾燥、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のHNMRにて決定した(シン:アンチ=97:3)。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物3を得た(148.6mg,98% 収率)。
【実施例11】
【0068】
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-2-methyl-N- (4-nitrophenylsulfonyl)-3-phenylpropanimidate (syn):
Mp.156-157℃;H NMR(C)δ=
7.65-7.63 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.55-7.53 (d, 2H, J = 9.2 Hz),
7.42-7.41 (d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.15-7.11 (m, 2H),
7.00-6.98 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 5.27-5.22 (t, 1H, J = 10.3 Hz),
4.46-4.42 (m, 1H), 4.22-4.17 (d, 1H, J = 10.3 Hz), 4.16-4.11 (m, 1H),
1.51-1.50 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 1.39 (s, 9H),
0.73-0.72 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.49-0.47 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(C)δ=
176.5, 155.3, 149.8, 147.7, 141.4, 128.9, 128.5, 128.3, 127.6, 123.9,
79.3, 72.6, 56.9, 45.1, 28.4, 20.6, 20.0, 16.2; IR (neat) 3367, 2982,
2942, 1715, 1698, 1582, 1531, 1455, 1349, 1305, 1160, 1081, 1010, 907,
855, 746, 701, 657, 607 cm-1
HRMS(DART);
2432Sとして、計算値:[M+H] 506.1960.
実測値: 506.1959.
(98%収率、シン:アンチ=93:7)
【実施例12】
【0069】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=p-メトキシフェニル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー2の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-3-(4- methoxyphenyl)-2-methyl-N-(4-nitrophenylsulfonyl)propanimidate (シン体):
Mp.164-165℃;H NMR(C)δ=
7.68-7.66 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.57-7.56 (d, 2H, J = 9.2 Hz),
7.37-7.35 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 6.76-6.74 (d, 2H, J = 8.9 Hz),
5.23-5.18 (t, 1H, J = 10.3 Hz), 4.50-4.45 (m, 1H),
4.30-4.28 (d, 1H, J = 10.3 Hz), 4.18-4.12 (m, 1H), 3.23 (s, 3H),
1.55-1.53 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 1.41 (s, 9H),
0.76-0.75 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.56-0.55 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(C)δ=176.8, 159.9, 155.6, 150.0, 148.0, 133.6, 129.3,
128.5, 128.4, 128.2, 127.9, 124.1, 114.4, 79.3, 72.6, 56.5, 54.9, 45.4,
28.6, 20.8, 20.4, 16.3; IR (neat) 3370, 3104, 2980, 2936, 2837, 1712,
1698, 1583, 1531, 1513, 1456, 1349, 1304, 1246, 1160, 1092, 1036, 1010,
983, 907, 879, 855, 833, 746 cm-1
HRMS(DART);
2534Sとして、計算値:[M+H] 536.2066.
実測値: 536.2042.
(99%収率、シン:アンチ=95:5)
【実施例13】
【0070】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=p-フルオロフェニル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー3の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-3-(4-fluorophenyl)- 2-methyl-N-(4-nitrophenylsulfonyl)propanimidate (シン体):
Mp.189-190℃;H NMR(C)δ=
7.65-7.63 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 7.56-7.53 (d, 2H, J = 8.9 Hz),
7.27-7.24 (m, 2H), 6.81-6.78 (t, 2H, J = 8.6 Hz),
5.17-5.13 (t, 1H, J = 9.8 Hz), 4.43-4.39 (m, 1H),
4.15-4.13 (d, 1H, J = 9.8 Hz), 4.05-3.99 (m,, 1H),
1.47-1.46 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 1.40 (s, 9H),
0.72-0.71 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.47-0.45 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(C)δ=
176.7, 164.3, 162.3, 155.9, 150.5, 148.2, 137.6, 130.3, 129.1, 128.7,
128.5, 128.2, 124.5, 116.3, 116.1, 80.0, 73.2, 56.7, 45.7, 29.0, 21.1,
20.7, 16.4; IR (neat) 3366, 2981, 2834, 1698, 1599, 1583, 1532, 1510,
1456, 1349, 1302, 1225, 1159, 1091, 1011, 907, 85, 838,
746 cm-1
HRMS(DART);
2431SFとして、計算値:[M+H] 524.1867.
実測値: 524.1867.
(87%収率、シン:アンチ=92:8)
【実施例14】
【0071】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=m-メチルフェニル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー4の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-2-methyl-N- (4-nitrophenylsulfonyl)-3-m-tolylpropanimidate (シン体):
Mp.143-144℃;H NMR(C)δ=
7.66-7.63 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 7.57-7.55 (d, 1H, J = 8.9 Hz),
7.27-7.23 (m, 2H), 7.09-7.06 (t, 1H, J = 7.6 Hz),
6.86-6.85 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 5.24-5.20 (t, 1H, J = 10.3 Hz),
4.47-4.42 (m, 1H), 4.31-4.24 (m, 1H), 4.16-4.12 (m, 1H), 2.16 (s, 3H),
1.54-1.53 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 1.40 (s, 9H),
0.74-0.73 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.52-0.51 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(C)δ=
176.8, 155.7, 150.1, 148.2, 141.4, 138.7, 129.1, 128.7, 120.0, 125.5,
124.2, 79.5, 72.8, 52.2, 45.6, 28.8, 21.7, 20.9, 20.4, 16.4;
IR(neat)3367, 2980, 2935, 1698, 1594, 1583, 1531, 1455, 1349, 1305,
1242, 1159, 1090, 1010, 938, 907, 855, 745, 705, 685 cm-1
HRMS(DART);
2534Sとして、計算値:[M+H] 520.2117.
実測値: 520.2093.
(99%収率、シン:アンチ=94:6)
【実施例15】
【0072】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=o-メチルフェニル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー5の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-2-methyl-N- (4-nitrophenylsulfonyl)-3-o-tolylpropanimidate (シン体):
Mp.120-121℃;H NMR(C)δ=
7.69-7.68 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.61-7.60 (d, 1H, J = 7.8 Hz),
7.56-7.55 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.23-7.20 (m, 1H),
6.98-6.95 (t, 1H, J = 7.8 Hz), 6.91-6.90 (d, 1H, J = 7.8 Hz),
5.45-5.41 (t, 1H, J = 10.3 Hz), 4.40-4.35 (m, 1H), 4.25-4.19 (m, 1H),
4.04-4.01 (d, 1H, J = 10.3 Hz), 2.47 (s, 3H),
1.67-1.66 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 1.40 (s, 9H),
0.69-0.68 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.33-0.31 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(C)δ=
176.8, 155.7, 150.0, 148.0, 140.0, 137.1, 131.0, 127.8, 127.1, 126.5,
124.1, 79.3, 72.5, 52.4, 45.3, 28.5, 20.8, 20.1, 19.8, 16.9;
IR(neat)3369, 2979, 2933, 1714, 1699, 1594, 1583, 1531, 1456, 1349,
1304, 1159, 1089, 1011, 907, 855, 745, 657 cm-1
HRMS(DART);
2534Sとして、計算値:[M+H] 520.2117.
実測値: 520.2099.
Chiral HPLC; Daicel Chiralcel OD-H; hexane/iPrOH=9/1,
flow rate=0.3mL/min:
tR=24.6min (Minor enantiomer obtained from (R,R)-ligand),
tR=33.9min(Major enantiomer obtained from (R,R)-ligand)
(ラセミの反応、99%収率、シン:アンチ=89:11)(不斉反応、85%収率、シン:アンチ=83:17、シン体のエナンチオ選択性57%ee)
【実施例16】
【0073】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=m-ビニルフェニル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー6の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-2-methyl-N- (4-nitrophenylsulfonyl)-3-(3-vinylphenyl)propanimidate (シン体):
Mp.117-118℃;H NMR(C)δ=
7.66-7.60 (m, 3H), 7.57-7.52 (m, 2H), 7.32-7.27 (m, 1H),
7.10-7.05 (m, 2H, 6.65 (dd, 1H, J = 10.8, 17.6 Hz),
5.84 (d, 1H, J = 17.6 Hz), 5.23 (t, 1H, J = 10.2 Hz),
5.16 (d, 1H, J = 10.2 Hz), 4.40 (quintet, 1H, J = 6.2 Hz),
4.25-4.10 (m, 2H), 1.55 (d, 3H, J = 6.2 Hz), 1.39 (s, 9H),
0.71 (d, 2H, J = 6.2 Hz), 0.50-0.42 (m, 3H);
13C NMR(C)δ=
176.6, 155.6, 150.0, 147.9, 141.8, 138.6, 137.2, 129.3, 128.7, 128.5,
127.8, 126.4, 125.8, 124.1, 114. 7, 79.4, 72.7, 57.1, 28.6, 20.8, 20.2,
16.4;
IR(neat)3734, 3367, 2980, 2938, 1717, 1698, 1594, 1582, 1531, 1455,
1349, 1304, 1159, 1090, 1010, 907, 855, 745, 684 cm-1
HRMS(DART);
2634Sとして、計算値:[M+H] 532.2117.
実測値: 532.2093.
(90%収率、シン:アンチ=93:7)
【実施例17】
【0074】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=2-フリル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー7の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-3-(furan-2-yl)-2- methyl-N-(4-nitrophenylsulfonyl)propanimidate (シン体):
Mp.110-111℃;H NMR(C)δ=
7.75-7.72 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.62-7.60 (d, 1H, J = 9.2 Hz),
6.99-6.98 (d, 1H, J = 2.9 Hz), 6.53-6.52 (d, 1H, J = 2.9 Hz),
6.02-6.01 (d, 1H, J = 2.9 Hz), 5.48-5.44 (t, 1H, J = 10.3 Hz),
4.61-4.56 (m, 1H), 4.23-4.21 (d, 2H, J = 10.3 Hz), 4.11-4.05 (m, 1H),
1.49-1.47 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 1.40 (s, 9H),
0.76-0.74 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.65-0.64 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(C)δ=
176.6, 155.6, 154.3, 150.1, 148.0, 142.3, 128.5, 127.9, 124.2, 110.7,
107.3, 100.5, 79.6, 72.9, 50.5, 44.4, 28.6, 20.7, 20.5, 15.7;
IR(neat)3368, 3107, 2981, 1716, 1597, 1583, 1532, 1455, 1350, 1306,
1238, 1160, 1093, 1011, 945, 908, 884, 856, 746, 685 cm-1
HRMS(DART);
2230Sとして、計算値:[M+H] 496.1754.
実測値: 496.1776.
(95%収率、シン:アンチ=94:6)
【実施例18】
【0075】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=2-チエニル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー8の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-2-methyl-N- (4-nitrophenylsulfonyl)-3-(thiophen-2-yl)propanimidate (シン体):
Mp.126-128℃;H NMR(C)δ=
7.71-7.69 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.58-7.55 (d, 2H, J = 8.6 Hz),
7.32-7.31 (d, 1H, J = 2.3 Hz), 6.73-6.70 (m, 2H),
5.53-5.49 (t, 1H, J = 10.3 Hz), 4.54-4.49 (m, 1H), 4.17-4.08 (m, 2H),
1.50-1.49 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 1.39 (s, 9H),
0.74-0.73 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.58-0.57 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(C)δ=
176.5, 155.4, 150.1, 147.9, 144.7, 127.9, 127.3, 125.1, 124.1, 79.6,
72.9, 51.6, 45.9, 28.6, 20.7, 20.2, 16.3; IR (neat) 3373, 2981, 1714,
1697, 1594, 1582, 1531, 1349, 1306, 1159, 1092, 1010, 908, 855, 745,
657 cm-1
HRMS(DART);
2230として、計算値:[M+H] 512.1525.
実測値: 512.1509.
(99%収率、シン:アンチ=93:7)
【実施例19】
【0076】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=2-ピリジル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー9の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-2-methyl-N-(4- nitrophenylsulfonyl)-3-(pyridin-3-yl)propanimidate (シン体):
Mp.175-177℃;H NMR(C)δ=
8.91 (s, 1H), 8.42-8.41 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.64-7.54 (m, 5H),
6.80 (brs, 1H), 5.19-5.15 (t, 1H, J = 10.3 Hz), 4.41-4.36 (m, 2H),
4.12-4.08 (m, 1H), 1.46-1.44 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 1.37 (s, 9H),
0.70-0.68 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 0.49-0.48 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(CDCl)δ=
175.5, 155.0, 149.8, 149.2, 147.1, 135.8, 134.5, 127.9, 127.7, 127.5,
124.0, 123.5, 80.2, 73.3, 54.4, 44.6, 28.2, 20.8, 15.4;
IR(neat)3364, 3213, 2981, 2928, 1712, 1597, 1583, 1531, 1349, 1305,
1160, 1091, 1010, 906, 855, 746, 715, 684 cm-1
HRMS(DART);
2331Sとして、計算値:[M+H] 507.1913.
実測値: 507.1932.
(70%収率、シン:アンチ=94:6)
【実施例20】
【0077】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=シクロプロピル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー11の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-3-cyclopropyl-2- methyl-N-(4-nitrophenylsulfonyl)propanimidate (シン体):
Mp.112-113℃;H NMR(C)δ=
7.82-7.80 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.65-7.62 (d, 2H, J = 8.6 Hz),
4.74-4.66 (m, 1H), 4.05-4.03 (d, 1H, J = 9.8 Hz), 3.84-3.80 (m, 1H),
3.62-3.57 (m, 1H), 1.43 (s, 9H), 1.25-1.24 (d, 3H, J = 6.9 Hz),
0.90-0.89 (d, 3H, J = 6.3), 0.84-0.82 (d, 3H, J = 6.3),
0.51-0.44 (m, 1H), 0.44-0.37 (m, 2H), 0.36-0.32 (m, 1H);
13C NMR(C)δ=
177.7, 156.3, 150.2, 148.4, 128.8, 128.1, 124.3, 79.1, 73.0, 57.2,
46.6, 28.8, 21.1, 16.5, 15.1, 6.1, 3.2; IR (neat) 3382, 2981, 2933,
1715, 1698, 1582, 1531, 1456, 1349, 1302, 1251, 1159, 1093, 1013, 908,
855, 746, 685 cm-1
HRMS(DART);
2132Sとして、計算値:[M+H] 470.1961.
実測値: 470.1960.
(99%収率、シン:アンチ=85:15)
【実施例21】
【0078】
実施例11におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=シクロヘキシル基)を用いて実施例11と同様に行った。
Isopropyl 3-(tert-butoxycarbonylamino)-3-cyclohexyl-2- methyl-N-(4-nitrophenylsulfonyl)propanimidate (シン体):
Mp.191-192℃;H NMR(C)δ=
7.78 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.59 (d, 2H, J = 8.9 Hz),
4.71 (quintet, 1H, J = 6.2 Hz), 4.20-4.27 (m, 1H),
3.94 (d, 1H, J = 11.0 Hz), 3.75-3.80 (m, 1H), 1.95 (d, 1H, J = 12.4 Hz),
1.78 (d, 1H, 13.7 Hz), 1.65-1.75 (m, 1H), 1.55 (d, 1H, J = 13.7 Hz),
1.45 (s, 9H, 1.32-1.40 (m, 1H), 1.26 (d, 3H, J = 6.9 Hz),
1.20-1.30 (m, 1H), 1.10-1.20 (m, 1H), 0.95-1.05 (m, 1H),
0.91 (d, 3H, J = 6.2 Hz), 0.87-0.90 (m, 1H), 0.82 (d, 3H, J = 6.2 Hz), 0.71-0.79 (m, 1H);
13C NMR(C)δ=
178.2, 156.7, 150.4, 148.4, 129.2, 128.5, 128.3, 124.5, 79.3, 73.0,
59.0, 57.4, 43.2, 42.1, 31.9, 29.1, 27.6, 27.4, 27.2, 27.0, 21.2, 15.1;
IR(neat)3389, 2977, 2928, 2847, 1715, 1698, 1578, 1531, 1455, 1349,
1301, 1159, 1093, 992, 908, 855, 746, 684, 658 cm-1
HRMS(DART);
2438Sとして、計算値:[M+H] 512.2430.
実測値: 512.2422.
(82%収率、シン:アンチ=84:16)
【実施例22】
【0079】
実施例11におけるスルホニルイミデート(R=メチル基)に代えて、スルホニルイミデート(R=エチル基)を用いて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー12の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
Isopropyl 2-((tert-butoxycarbonylamino)(phenyl)methyl)- N-(4-nitrophenylsulfonyl)butanimidate (シン体):
Mp.156-157℃;H NMR(C)δ=
7.60-7.54 (m, 4H), 7.40-7.38 (d, 2H, J = 7.7 Hz),
7.11-7.08 (t 2H, J = 7.7 Hz), 6.99-6.96 (t, 2H, J = 7.7 Hz),
5.34-5.30 (t, 1H, J = 9.7 Hz), 4.52-4.48 (m, 2H), 4.20-4.16 (m, 1H),
1.98 (brs, 1H), 1.78 (brs, 1H), 1.39 (s, 9H),
1.10-1.07 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 0.79-0.78 (d, 3H, J = 6.3 Hz),
0.57-0.55 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(C)δ=
174.9, 155.3, 149.8, 147.8, 141.2, 128.8, 128.3, 127.6, 123.9, 79.4,
72.5, 56.2, 51.0, 28.4, 23.6, 20.9, 20.4, 11.4; IR (neat) 3373, 2977,
2938, 1712, 1698, 1597, 1583, 1531, 1456, 1364, 1349, 1305, 1254, 1160,
1088, 1013, 911, 855, 745, 701 cm-1
HRMS(DART);
2534Sとして、計算値:[M+H] 520.2117.
実測値: 520.2139.
(85%収率、シン:アンチ=95:5)
【実施例23】
【0080】
実施例20におけるイミン(R=シクロプロピル基)の使用量1.5当量に代えて、2当量として実施例20と同様に行った。結果を次の表3のエントリー13の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
【実施例23】
【0081】
溶媒を極性溶媒のDMFとし、スルホニルイミデートを2,5-キシリルスルホニルイミデートとした比較実験を、前記の反応式にしたがって行った。
【実施例23】
【0082】
比較例10
MS4A(50mg)とマグネシウムt-ブトキシド(10mol%)の入っている容器に、イミン(0.45mmol)のDMF(0.6mL)溶液とスルホニルイミデート(0.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で17時間撹拌した後、EtO(5mL)を加えて反応液を希釈した。MS4Aをろ別した後、母液を水で3回洗浄した。得られた有機層を無水NaSOにて乾燥した後、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のH-NMRにて決定した。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物を得た。
結果を次の表3のエントリー1の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0083】
比較例11
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=p-メトキシフェニル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー2の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0084】
比較例12
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=p-フルオロフェニル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー3の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0085】
比較例13
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=m-メチルフェニル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー4の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0086】
比較例14
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=o-メチルフェニル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー5の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0087】
比較例15
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=m-ビニルフェニル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー6の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0088】
比較例16
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=2-フリル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー7の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0089】
比較例17
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=2-チエニル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー8の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0090】
比較例18
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=2-ピリジル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー9の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0091】
比較例19
比較例10におけるイミン(R=フェニル基)に代えて、イミン(R=シクロプロピル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー11の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0092】
比較例20
比較例10におけるスルホニルイミデート(R=メチル基)に代えて、スルホニルイミデート(R=エチル基)を用いて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー12の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0093】
比較例21
比較例19におけるイミン(R=シクロプロピル基)の使用量1.5等量に代えて、2等量とし、イミンのBoc基をトシル基(Ts)に代えて比較例19と同様に行った。結果を次の表3のエントリー13の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
【実施例23】
【0094】
比較例22
比較例10におけるイミンのBoc基をトシル基(Ts)に代えて比較例10と同様に行った。結果を次の表3のエントリー10の反応条件A(Condition A)の欄に示す。
Isopropyl 2-methyl-3-(4-methylphenylsulfonamido)- N-(4-nitrophenylsulfonyl)-3-phenylpropanimidate (シン体):
Mp.159-160℃;H NMR(C)δ=
7.99-7.97 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.63-7.61 (d, 2H, J = 9.2 Hz),
7.38-7.36 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 6.88-6.86 (d, 2H, J = 8.6 Hz),
6.79-6.71 (m, 4H), 6.44-6.42 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 5.02-4.96 (m, 1H),
4.71-4.67 (t, 1H, J = 10. 6 Hz), 4.21-4.15 (m, 1H), 1.74 (s, 3H),
1.46-1.45 (d, 3H, J = 6.3 Hz), 1.02-1.01 (d, 3H, J = 6.3 Hz),
0.89-0.86 (d, 3H, J = 6.3 Hz);
13C NMR(CDCl)δ=
177.1, 150.0, 147.0, 142.5, 137.7, 137.4, 128.9, 128.5, 128.0, 127.8,
127.1, 126.6, 124.2, 74.3, 61.7, 46.6, 29.7, 21.3, 21.1, 21.0, 14.7;
IR(neat)3289, 2983, 2922, 2853, 1594, 1583, 1531, 1456, 1349, 1301,
1160, 1090, 1057, 977, 909, 855, 812, 747, 701 cm-1
HRMS(DART);
2630として、計算値:[M+H] 560.1525.
実測値: 560.1550.
(94%収率、シン:アンチ=7:93)
【実施例23】
【0095】
比較例23
実施例11におけるイミンのBoc基をトシル基(Ts)に代えて実施例11と同様に行った。結果を次の表3のエントリー10の反応条件B(Condition B)の欄に示す。
実施例11~22及び比較例10~23の結果をまとめて次の表3に示す。
【実施例23】
【0096】
【表3】
JP0005166321B2_000014t.gif
【実施例23】
【0097】
表3の各欄は左側から、エントリー番号、イミンのRの基、反応条件Aの収率(%)、反応条件Aのアンチ体/シン体の比、反応条件Bの収率(%)、反応条件Bのアンチ体/シン体の比を示す。
この結果からも、溶媒として極性溶媒であるDMFを使用した場合(反応条件A参照)、アリールスルホニルイミデートのアリール基に電子求引基が無い場合(反応条件A参照)、イミンの窒素原子にアルコキシカルボニル基が結合していない場合(エントリー10参照)にはアンチ体が主生成物となるが、本発明の方法の場合にはシン体が主生成物となっていることがわかる。
【実施例24】
【0098】
次に示す反応式にしたがって、不斉リガンドである式(5)の化合物を用いて反応を行った。
【実施例24】
【0099】
【化11】
JP0005166321B2_000015t.gif
【実施例24】
【0100】
MS4A(50mg)とSr(OiPr)(6.2mg,10mol%)、リガンド5(19.8mg,12mol%)の入っている容器に、THF(0.8mL)を加えて1時間撹拌した。その後パラニトロベンゼンスルホニルイミデート(90.1mg,0.3mmol)とオルトトルアルデヒド由来のBocイミン(98.7mg,0.45mmol)、THF(0.2mL)、トリエチルアミン(3.03mg,10mol%)のTHF(0.05mL)溶液を加えて48時間20℃にて撹拌を続けた。酢酸エチル(5 mL)を加えて反応液を希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加えた。分液操作により有機層を得た後、それを無水NaSOにて乾燥、減圧濃縮し、反応粗生成物を得た。ジアステレオ選択性は反応粗生成物のHNMRにて決定した(シン:アンチ=83:17)。シリカゲルクロマトグラフィーにて粗生成物を精製し、生成物(収率85%、シン:アンチ=83:17)を得た。エナンチオ選択性はHPLCにより57%eeと決定した。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、穏和な反応条件で簡便にかつエナンチオ選択的にシン体を製造する新規な方法を提供するものであり、しかも本発明の方法で製造される化合物はイミデート基及びアミノ基などの官能基を有するものであることから、官能基を有する医薬品や農薬や食品添加剤などの立体構造が特定されている化合物類の新規な合成法として有用であり、産業上の利用可能性を有している。