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明細書 :高分子担持遷移金属クラスター触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4962988号 (P4962988)
公開番号 特開2010-207764 (P2010-207764A)
登録日 平成24年4月6日(2012.4.6)
発行日 平成24年6月27日(2012.6.27)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発明の名称または考案の名称 高分子担持遷移金属クラスター触媒
国際特許分類 B01J  31/06        (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
C07D 213/80        (2006.01)
FI B01J 31/06 Z
B01J 37/02 101C
C07D 213/80
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2009-059036 (P2009-059036)
出願日 平成21年3月12日(2009.3.12)
審査請求日 平成22年6月22日(2010.6.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】松原 亮介
【氏名】宮村 浩之
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】岡田 隆介
参考文献・文献 特開2008-222584(JP,A)
特開2006-198491(JP,A)
特開2006-205105(JP,A)
調査した分野 B01J 21/00-38/74
WPI
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
遷移金属から成るクラスターがスチレン系高分子に担持して成る触媒であって、該スチレン系高分子が、下式(化1)
【化1】
JP0004962988B2_000008t.gif
(式中、Rは水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基、Rは単結合又は炭素数が12以下のアルキレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立して2~8の整数を表し、oは1~6の整数を表し、pは0~5の整数を表し、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、(x+y+z)に対して、y+zは10~100%であり、yは0%より大きく、zは0~50%、xは残部である。)で表される酸化反応用高分子担持遷移金属クラスター触媒。

【請求項2】
前記遷移金属が白金である請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
(x+y+z)に対して、yが10~50%、zが20~50%である請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
(x+y+z)に対して、yが25~35%、zが25~35%である請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項5】
遷移金属の各前駆体を前記スチレン系高分子の溶液中で、該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることにより、遷移金属をスチレン系高分子に担持させてなる請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
が水素原子であり、zが0%より大きく、前記スチレン系高分子が架橋した請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒を、酸化反応に使用する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、遷移金属のクラスターがスチレン系高分子に担持された高分子担持遷移金属クラスター触媒及びこの触媒を用いて酸化反応を行なう方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、液相の各種反応の触媒等として有用であり、且つ使用後の回収・再使用が容易である、遷移金属を微小のクラスターとして高分子に担持させた高分子担持遷移金属クラスター触媒を開発した(特許文献1)。
更に、発明者らは、高分子固定化白金クラスター触媒を用いてヒドロキノンをキノンヘ酸素酸化反応する方法を開発した(特許文献2、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-237116
【特許文献2】国際公開WO2005/085307
【0004】

【非特許文献1】Anew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 4151-4154
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、酸化反応に用いる触媒は酸化耐性を有することが好ましいが、従来の高分子担持触媒(特許文献1、特許文献2など)は酸化耐性が十分ではなかった。
発明者らの分析によれば、従来の高分子担持触媒(特許文献1、特許文献2など)で用いていた高分子配位子は、酸化環境に於て、スチレン環とアルキレンオキシド鎖の間が切断され、高分子配位子が分解することが確認されていた。発明者らは、酸化環境に於て、この高分子配位子の分解を抑える方策を検討した。
即ち、本発明は、種々の酸化反応を穏和な条件下進行させることが可能で、酸化耐性のある高分子担持遷移金属クラスター触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、従来の高分子担持クラスター触媒の酸化耐性を改善することを目的として、高分子配位子の構造を検討したところ、高分子配位子のスチレン環とアルキレンオキシド鎖の間の炭素鎖の炭素数を増やすことにより、高分子担持クラスター触媒の酸化耐性の改善が見込まれた。
本発明者らは、このような構造のポリマーを合成し、このポリマーの存在下、白金塩を還元し、塩基で処理することにより、内部にシロキサンの架橋構造を有する有機-無機ハイブリッド高分子固定化白金ナノクラスターを作製した。本発明者らは、この触媒が汎用される酸化剤であるオルトクロラニルの分子酸素による系中再酸化に有効に機能し、ジヒドロピリジン誘導体のピリジン誘導体への酸素酸化反応を始め種々の酸化反応に有効に機能することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は、遷移金属から成るクラスターがスチレン系高分子に担持して成る触媒であって、該スチレン系高分子が、下式(化1)
【化1】
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(式中、Rは水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基、Rは単結合又は炭素数が12以下のアルキレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立して2~8の整数を表し、oは1~6の整数を表し、pは0~5の整数を表し、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、(x+y+z)に対して、y+zは10~100%であり、yは0%より大きく、zは0~50%、xは残部である。)で表される酸化反応用高分子担持遷移金属クラスター触媒である。
また、本発明は、この触媒を酸化反応に使用する方法である。



【発明の効果】
【0008】
本発明の高分子担持遷移金属クラスター触媒は、酸化耐性があり、これを用いて種々の酸化反応を穏和な条件下進行させることができる。
これまで当量以上の酸化剤(重金属やキノン類)を必要としていた酸化反応(H. M. L. Davies et al. JACS 2008,130, 8602)が、本触媒を用いることで分子上酸素を酸化剤として進行させることができる。これにより反応後に生成する共生成物を大幅に減少させることができる。
また、本触媒は、簡便な操作で回収でき活性を維持したまま再使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】製造例1で得た配位子のNMRチャートである。を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の高分子担持遷移金属クラスター触媒は、0価の遷移金属のクラスターがスチレン系高分子に担持されている。
このスチレン系高分子は下式で表される。
【化1】
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この化学式は、当該高分子のモノマー構成を表すものであり、各モノマー単位はブロックでもランダムとして存在してもよい。式中のx、y、zは当該高分子中の各モノマーの存在量(モル比)を表す。
このスチレン系高分子の全モノマー中の、このエポキシ基を有するモノマーのモル含量は0~50%、好ましくは10~50%、より好ましくは25~35%である。
また、この-OR基を有するモノマーとエポキシ基を有するモノマーの合計含量は、10~100%であり、-OR基を有するモノマーの含量は、0%より大きく、好ましくは20~50%、より好ましくは25~35%である。
残部はスチレンモノマーである。
は水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基、Rは単結合又は炭素数が12以下のアルキレン基を表す。
m及びnは、それぞれ独立して、2~8、好ましくは3~4の整数を表す。
oは1~6の整数を表し、pは0~5の整数を表す。
【0011】
本願発明においては、遷移金属をスチレン系高分子に担持させるが、この遷移金属は、好ましくは、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム又はニッケルであり、より好ましくは白金である。
【0012】
遷移金属このスチレン系高分子に担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、このスチレン系高分子と遷移金属前駆体を適当な極性の良溶媒に溶解した溶液中で、該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることにより、遷移金属をスチレン系高分子に担持させることができる。
遷移金属前駆体としては、0~4価の遷移金属化合物を用いることができるが、例えば、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム(Na2PtCl6)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム(K2PtCl6)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム(K2PtBr6)、ヘキサシアノ白金(IV)酸カリウム(K2Pt(CN)6)、酢酸パラジウム(II) (Pd(OAc)2)、塩化パラジウム(II) (PdCl2)、臭化パラジウム(II) (PdBr2)、シアン化パラジウム(II) (Pd(CN)2)、硝酸パラジウム(II) (Pd(NO3)2)、硫酸パラジウム(II) (PdSO4)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (PdCl2(PPh3)2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (Pd(PPh3))、水素化トリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(HIr(PPh3)3)、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸(H2IrCl6)、塩化イリジウム(III) (IrCl3)、臭化イリジウム(III) (IrBr3)、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム(K2IrCl6)、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸ナトリウム(Na2IrCl6)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I) (RhCl(PPh3)3)、塩化ロジウム(III) (RhCl3)、臭化ロジウム(III) (RhBr3)、硝酸ロジウム(III) (Rh(NO3)3)、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II) (RuCl2(PPh3)3)、塩化ルテニウム(III) (RuCl3)、臭化ルテニウム(III) (RuBr3)、酢酸ニッケル(II) (Ni(OAc)2)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II) (NiCl2(PPh3)2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0) (Ni(PPh3))、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II) (NiBr2(PPh3)2)、塩化ニッケル(II) (NiCl2),臭化ニッケル(II) (NiBr2), 硝酸ニッケル(II) (Ni(NO3)2)等が挙げられる。
【0013】
極性の良溶媒としてはジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジメトキシエタン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールなどがあり、非極性又は低極性の良溶媒としてはトルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが使用できる。極性の貧溶媒としてはジエチルエーテルなどがあり、非極性の貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが使用できる。
遷移金属をポリマーに担持する際の、ポリマーの濃度は用いる溶媒やポリマーの分子量によっても異なるが、約5.0~200 mg/mL、好ましくは10~100 mg/mlである。相分離する際の貧溶媒は、良溶媒に対して1~10(v/v)倍量、好ましくは2~5倍量使用し、0.5~5時間程度で滴下する。
【0014】
その結果、遷移金属から成るクラスターがスチレン系高分子に担持された形態となる。このクラスターは還元された遷移金属を含む。このクラスターの大きさは、1~10nmである。
ポリマーに対する遷移金属の含有量は、0.1~10重量%である。
【0015】
このように遷移金属を担持したスチレン系高分子は、架橋性官能基(エポキシ基と-OR基、特に、水酸基)により架橋することができる。
架橋反応は、加熱や酸処理、紫外線照射、好ましくは加熱により架橋性官能基を反応させることにより行う。架橋反応は、これらの方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸又は塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に準じても行うことができる。
架橋性官能基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50~200℃、好ましくは120~180℃、より好ましくは140~180℃である。
加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましくは2~10時間である。
【0016】
このようにして、0価の遷移金属を担持させたスチレン系高分子を、更に、無機担体に固定してもよい。このような無機担体として、シリカゲル、中性アルミナ、塩基性アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物、ヒドロキシアパタイト、ガラス等を用いることができる。
【0017】
本発明の高分子担持遷移金属クラスター触媒は、アルコールの酸化反応やヒドロキノンやアミノフェノールの酸化反応に使用することができて、高い触媒活性を示す。
酸化反応は液相で行われ、触媒の濃度は0.01~10 mol%、好ましくは0.1~5 mol%、最も好ましくは1 mol%程度である。
基質の濃度は通常0.01~3mmol/ml、好ましくは0.05~0.5mmol/mlである。
溶媒は特に制限されず、水のみ、有機溶媒のみ、水と有機溶媒の混合溶媒のいずれも用いることができる。有機溶媒としては水と混和しないものが望ましく、例えば、BTF(ベンゾトリフルオリド)、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、ジエチルエーテル等が挙げられる。混合溶媒の水と有機溶媒の比率は特に制限はないが、容積比が1:99~95:5の範囲が望ましく、さらに望ましくは1:1である。
反応条件は、酸素もしくは空気雰囲気下、通常0~60℃、好ましくは10~40℃、最も好ましくは室温で、反応時間は1~48時間である。
反応後は濾過により容易に触媒の回収が可能であり、触媒を繰り返し使用しても収率の低下はほとんどない。
【実施例】
【0018】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
1H NMRと13C NMRは JEOL JNM-ECX-400, JNM-ECX-500又は、JNM-ECX-600を使用し CDCl3 を溶媒とし、テトラメチルシラン (δ=0、1H NMR)又はCDCl3(δ=77.0、13C NMR)を内部標準物質として測定した。高分解能質量分析 (HR-ESIMS) はBRUKER DALTONICS BioTOF II mass spectrometer 及び JEOL JMS-T100TD AccuTOF TLCにて測定した。ガスクロマトグラフィー分析は Shimadzu GC-2010 apparatus (column = J & W SCIENTIFIC DB-1; Gas pressure: 157.5 kPa, Total flow: 41.3 mL/min, column folw: 0.93 mL/min, linear velocity: 21.1 cm/s, sprit ratio: 40.1, injection temperature: 300℃, detector temperature: 300℃)にて測定した。ICP分析はShimadzu ICPS-7510にて測定した。カラムクロマトグラフィーには Silica gel 60 (Merck) を調整用薄層クロマトグラフィーにはWakogel B-5F(和光純薬株式会社)を使用した。溶媒は定法に従い蒸留したものを使用した。
【0019】
製造例1
本製造例では、下式にように、金属を担持するためのポリマーを合成した。
【化2】
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【0020】
マグネシウム(4.92 g, 和光純薬株式会社)と4-ブロモスチレン(25.4 g, 東京化成工業株式会社)をTHF(160 mL, 和光純薬株式会社)中で、アルゴン雰囲気下、0℃から室温で一晩撹拌し、Grignard試薬を調製した。
乾燥させたCuBr(0.740 g, Aldrich)とLiBr(0.965 g, Aldrich)をTHF(15 mL)中で、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌し、金属試薬を調製した。ジブロモプロパン(50.7 g, 東京化成工業株式会社)と調製したGrignard試薬(15 mL)をTHF(80 mL)中で、アルゴン雰囲気下、室温で10分間撹拌してから、0℃で30分間撹拌した。0℃に保ったままGrignard試薬(160 mL)をゆっくりと滴下し、滴下を終えた後、0℃から室温で一晩撹拌した。反応溶液を0℃に冷やし、飽和塩化アンモニウム(和光純薬株式会社)水溶液で洗浄した後、ジエチルエーテル(和光純薬株式会社)で抽出を行った。抽出物を水で洗浄し、エバポレータで濃縮した後、カラムクロマトグラフィで精製し、1-(3-bromopropyl)-4-vinylbenzene(20.2 g, 65.3% yield)を得た。
【0021】
アルゴン雰囲気下で、NaH(7.21 g, 東京化成工業株式会社)を石油エーテル(和光純薬株式会社)で洗浄し、乾燥させてから、室温でDMF(170 mL, 和光純薬株式会社)に溶解させた。これに、0℃でグリシドール(20 mL, 和光純薬株式会社)をゆっくりと滴下し、上記で得た1-(3-bromopropyl)-4-vinylbenzene(13.4 g)を加えて、室温で3時間撹拌した。反応溶液を0℃に冷やし、0℃の飽和塩化アンモニウム水溶液及び水で洗浄した後、ジエチルエーテルで抽出を行った。抽出物を水で洗浄し、エバポレータで濃縮した後、カラムクロマトグラフィで精製し、モノマー1(2-((3-(4-vinylphenyl)propoxy)methyl)oxirane)(4.89 g, 64.4% yield)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.33 (d, 2H, J = 8.05 Hz), 7.15 (d, 2H, J = 8.00 Hz), 6.69 (q, 1H, J = 9.53 Hz), 5.70 (d, 1H, J = 17.8 Hz), 5.19 (d, 1H, J = 10.9 Hz), 3.71 (q, 1H, J = 4.95Hz), 3.50 (m, 2H), 3.38 (q, 1H, J = 5.92 Hz), 3.15 (m, 1H), 2.80 (t, 1H, J = 4.58 Hz), 2.69 (t, 2H, J = 7.73 Hz), 2.62 (m, 1H), 1.91 (m, 2H)
【0022】
アルゴン雰囲気下で、NaH(3.06 g)を石油エーテルで洗浄し、乾燥させてから、室温でDMF(130 mL)に溶解させた。これに、0℃でテトラエチレングリコール(40 mL, 和光純薬株式会社)をゆっくりと滴下し、上記で得た1-(3-bromopropyl)-4-vinylbenzene(8.66 g)を加えて、室温で3時間撹拌した。反応溶液を0℃に冷やし、0℃の飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、Brine(和光純薬株式会社)を加えてからジエチルエーテルで抽出を行った。抽出物を水で洗浄し、エバポレータで濃縮した後、カラムクロマトグラフィで精製し、モノマー2(2-(2-(2-(2-(3-(4-vinylphenyl)propoxy)ethoxy)ethoxy)ethoxy)ethanol)(4.80 g, 63.5% yield)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.32 (d, 2H, J = 8.05 Hz), 7.14 (d, 2H, J = 8.00 Hz), 6.69 (q, 1H, J = 9.55 Hz), 5.70 (d, 1H, J = 17.8 Hz), 5.19 (d, 1H, J = 10.9 Hz), 3.71 (s, 2H), 3.65 (m, 11H), 3.59 (m, 4H), 3.46 (t, 2H, J = 6.58 Hz), 2.67 (t, 2H, J = 7.73 Hz), 1.89 (m, 2H)
【0023】
スチレン(0.777 g, 東京化成工業株式会社)、上記で得たモノマー1(1.49 g)、上記で得たモノマー2(2.81 g)をクロロホルム(4.7 mL, 東京化成工業株式会社)に溶解し、v-70(和光純薬工業株式会社製)(74.3 mg)を添加した。フラスコを超音波にかけてアルゴン置換を行い、アルゴン雰囲気下、室温で2日撹拌した。生成物は、少量のTHFに溶解し、ジエチルエーテル中で再沈殿させ、デカンテーションにより精製した。真空で乾燥させた後、ポリマー(2.12 g, 47.7% yield)を得て、塩化メチレン(21 mL, 和光純薬株式会社)に溶解した。得られたポリマーのNMRチャートを図1に示す。このNMRチャートは得られたポリマーの、スチレン:モノマー1:モノマー2のモル比が1:1:1であることを示す。
【0024】
製造例2
スチレン(1.9 g、18 mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(3.4 g、18 mmol)、テトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル(5.6 g、18 mmol)、及び2,2'-アゾ(イソブチロニトリル)(164 mg、1 mmol)をクロロホルム(9 ml)に溶解させ、脱気操作後アルゴン中で室温、48時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、THF200 mlを加えた反応液をエーテル1l中に0℃にてゆっくりと滴下し、得られた沈殿物を濾過分取した後、メタノールにて十分に洗浄した。その後、室温にて減圧乾燥させ透明ガム状固体として下式の架橋性スチレン系高分子(8.2g、x:y:z:=29:35:36)を得た。コポリマーのモノマー成分の比はH-NMRにより決定した。
【化3】
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【0025】
実施例1
本実施例では、下式のように、本願発明の触媒(PI Pt)を合成した。
【化4】
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【0026】
NaBH4(32.5 mg, 和光純薬株式会社)をジグライム(18 mL, 和光純薬株式会社)に溶解させ、製造例1で得たポリマー(8 mL)を加えた後、室温でジグライム(5 mL)に溶解させたNa2PtCl6(29.0 mg, 和光純薬株式会社)をゆっくりと滴下し、室温で一晩撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルを注いでマイクロカプセル化を行い、生じた沈殿物をデカンテーションにより洗浄し、150℃のオイルバスで5時間加熱した。沈殿物を吸引濾過によって集め、水と塩化メチレンで洗浄した後、乳鉢で粉砕し、得られた粉末を170℃のオイルバスで5時間加熱することで、高分子担持白金クラスター触媒(以下「PI Pt」という。)を得た。
PI Pt 5-15 mgを硫酸(東京化成工業株式会社)及び硝酸(東京化成工業株式会社)の混合液中で、200℃で3時間加熱し、室温に戻してから王水を加えた。この溶液のICP分析を行ったところ、触媒中の白金含量は0.08mmol/g polymerであった。
【0027】
実施例2
本実施例では、実施例1で合成した触媒(PI Pt)を用いて、酸素酸化反応を行った。
【化5】
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【0028】
まず、反応基質である1,4-ジヒドロ-2,6-ジメチル-3,5-ピリジンカルボン酸ジメチルエステルを文献記載方法(J. Med. Chem. 1986, 29, 1596.)によって合成した。
ベンズアルデヒド(21.06 g, 0.2 mol)とメチルアセトアセテート(46.31 g, 0.4 mol)、25%アンモニア水(20 ml)とメタノール(40 ml)を混合し、1時間加熱還流を行った。室温にひらした後水を加え、黄色の固体を濾取し、水で洗浄した。得られた黄色固体をエタノールより再結晶を行い1,4-dihydro-2,6,- dimethyl-4-phenyl-3,5-pyridinedicarboxylic acid dimethyl esterを得た(31.67 g, 53%収率)。生成物の分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3) δ2.34 (s, 6H), 3.64 (s, 6H), 5.01 (s, 1H), 5.64 (br, 1H), 7.11-7.14 (m, 1H), 7.19-7.27 (m, 4H). (ref. F. P. Guengerich et al. J. Med. Chem. 1986, 29, 1596.)
【0029】
次に、上記で得た1,4-ジヒドロ-2,6-ジメチル-3,5-ピリジンカルボン酸ジメチルエステル(0.11 g)、オルトクロラニル(0.61 mg,東京化成工業株式会社)の塩化メチレン溶液(1 mL)、PI Pt(16.0 mg, 0.08 mmol/g)と3 mLの塩化メチレン(東京化成工業株式会社)と純水0.2 mLを混合し、酸素雰囲気下、室温で5時間攪拌した。触媒を吸引ろ過にて除去し、ろ液の溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い2,6-ジメチル-3,5-ピリジンカルボン酸ジメチルエステル(0.1045 g, 97% yield)を得た。生成物の分析データを以下に示す。
1H NMR (CDCl3) δ2.85 (s, 6H), 3.93 (s, 6H), 8.71 (s, 1H).
【0030】
実施例3
実施例1で得た触媒(PI Pt)と、製造例1で得た配位子の代わりに製造例2で得た配位子を用いて実施例1と同様にして得た触媒(触媒2)とを比較した。
それぞれの触媒を、等重量程度のオルトクロラニルと混合し、水-トルエン混合溶媒(1:1)中で、50℃で一晩撹拌し、その後の白金触媒の回収量を測定した。
触媒(PI Pt)は、ほぼ全量(99%以上)回収された。一方、触媒2は、55%しか回収されなかった。これは、オルトクロラニルによって、触媒2の高分子配位子のスチレン環とアルキレンオキシド鎖の間が切断され、高分子配位子が分解したのに対し、触媒(PI Pt)の高分子配位子のスチレン環とアルキレンオキシド鎖の間の炭素鎖の炭素数を増やすことにより、触媒(PI Pt)の高分子配位子の分解が抑制されたためと推測される。
この結果により、本発明の高分子担持遷移金属クラスター触媒は、酸化耐性を有することが確認された。
図面
【図1】
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