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明細書 :アルカリ土類金属系触媒、及び反応方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5089634号 (P5089634)
公開番号 特開2010-207786 (P2010-207786A)
登録日 平成24年9月21日(2012.9.21)
発行日 平成24年12月5日(2012.12.5)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発明の名称または考案の名称 アルカリ土類金属系触媒、及び反応方法
国際特許分類 B01J  31/22        (2006.01)
C07C 205/55        (2006.01)
C07C 201/12        (2006.01)
C07C 269/06        (2006.01)
C07C 271/22        (2006.01)
C07D 413/14        (2006.01)
FI B01J 31/22 Z
C07C 205/55
C07C 201/12
C07C 269/06
C07C 271/22
C07D 413/14
請求項の数または発明の数 12
全頁数 23
出願番号 特願2009-060118 (P2009-060118)
出願日 平成21年3月12日(2009.3.12)
審査請求日 平成22年6月28日(2010.6.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】山下 恭弘
【氏名】トーマ ポワソン
【氏名】坪郷 哲
個別代理人の代理人 【識別番号】100079005、【弁理士】、【氏名又は名称】宇高 克己
審査官 【審査官】後藤 政博
参考文献・文献 国際公開第2004/076391(WO,A1)
特開2001-252570(JP,A)
特開2004-196710(JP,A)
特開2008-253987(JP,A)
特開2006-036729(JP,A)
特開2008-222621(JP,A)
特開2009-215214(JP,A)
調査した分野 B01J 21/00 - 38/74
C07C 201/12
C07C 205/55
C07C 269/06
C07C 271/22
C07D 413/14
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成されてなり、
下記の一般式[III]で表されるβ-ジカルボニル化合物と下記の一般式[IV]で表される化合物との反応に際して用いられる触媒である
ことを特徴とする触媒。
一般式[I]
JP0005089634B2_000021t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。Xは陰イオンである。]
一般式[III]
JP0005089634B2_000022t.gif [一般式[III]中、R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。RとR、又はRとRとは、繋がっている場合も有る。]
一般式[IV]
JP0005089634B2_000023t.gif [一般式[IV]中、R,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとR10、又はRとRとは、繋がっている場合も有る。]
【請求項2】
下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成されてなり、
下記の一般式[III]で表されるβ-ジカルボニル化合物と下記の一般式[V]で表される化合物との反応に際して用いられる触媒である
ことを特徴とする触媒。
一般式[I]
JP0005089634B2_000024t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。Xは陰イオンである。]
一般式[III]
JP0005089634B2_000025t.gif [一般式[III]中、R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。RとR、又はRとRとは、繋がっている場合も有る。]
一般式[V]
JP0005089634B2_000026t.gif [一般式[V]中、R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R11は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R12は、COOR,SOR又はPOR(Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基)である。]
【請求項3】
下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成されてなり、
下記の一般式[VI]で表されるα,β-不飽和カルボニル化合物と下記の一般式[VII]で表される化合物との反応に際して用いられる触媒である
ことを特徴とする触媒。
一般式[I]
JP0005089634B2_000027t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。Xは陰イオンである。]
一般式[VI]
JP0005089634B2_000028t.gif [一般式[VI]中、R15,R16は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R17は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。]
一般式[VII]
JP0005089634B2_000029t.gif [一般式[VII]中、R13,R14は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。]
【請求項4】
一般式[I]で表される化合物と一般式[II]で表される化合物との錯体である
ことを特徴とする請求項1~請求項3いずれかの触媒。
【請求項5】
一般式[I]で表される化合物が光学活性三座配位子である
ことを特徴とする請求項1~請求項4いずれかの触媒。
【請求項6】
一般式[II]のMがCa,Sr又はBaであり、
一般式[II]のXがClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である
ことを特徴とする請求項1~請求項5いずれかの触媒。
【請求項7】
下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される触媒の存在下で、下記の一般式[III]で表されるβ-ジカルボニル化合物と下記の一般式[IV]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする反応方法。
一般式[I]
JP0005089634B2_000030t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。Xは陰イオンである。]
一般式[III]
JP0005089634B2_000031t.gif [一般式[III]中、R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。RとR、又はRとRとは、繋がっている場合も有る。]
一般式[IV]
JP0005089634B2_000032t.gif [一般式[IV]中、R,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとR10、又はRとRとは、繋がっている場合も有る。]
【請求項8】
下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される触媒の存在下で、下記の一般式[III]で表されるβ-ジカルボニル化合物と下記の一般式[V]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする反応方法。
一般式[I]
JP0005089634B2_000033t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。Xは陰イオンである。]
一般式[III]
JP0005089634B2_000034t.gif [一般式[III]中、R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。RとR、又はRとRとは、繋がっている場合も有る。]
一般式[V]
JP0005089634B2_000035t.gif [一般式[V]中、R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R11は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R12は、COOR,SOR又はPOR(Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基)である。]
【請求項9】
下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される触媒の存在下で、下記の一般式[VI]で表されるα,β-不飽和カルボニル化合物と下記の一般式[VII]で表される化合物とを反応させる
ことを特徴とする反応方法。
一般式[I]
JP0005089634B2_000036t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。Xは陰イオンである。]
一般式[VI]
JP0005089634B2_000037t.gif
[一般式[VI]中、R15,R16は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R17は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。]
一般式[VII]
JP0005089634B2_000038t.gif [一般式[VII]中、R13,R14は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。]
【請求項10】
触媒が一般式[I]で表される化合物と一般式[II]で表される化合物との錯体である
ことを特徴とする請求項7~請求項9いずれかの反応方法。
【請求項11】
一般式[I]で表される化合物が光学活性三座配位子である
ことを特徴とする請求項7~請求項10いずれかの反応方法。
【請求項12】
一般式[II]のMがCa,Sr又はBaであり、
一般式[II]のXがClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である
ことを特徴とする請求項7~請求項11いずれかの反応方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、中性配位型不斉配位子を用いた光学活性アルカリ土類金属触媒と、その不斉反応への応用に関する。
【背景技術】
【0002】
Ca,Sr,Ba等のアルカリ土類金属は地球上に広く存在するユビキタス元素であり、その積極的な利用は我が国の元素戦略上重要である。そして、地球上に豊富に存在するアルカリ土類金属を用いた有機合成反応は、アルカリ土類金属が安価で毒性も低い為、既存の重金属元素に代わって産業上積極利用が期待される。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Saito, S.; Tsubogo, T.; Kobayashi, S. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 5364.
【非特許文献2】Tsubogo, T.; Saito,S.; Yamashita, Y.; Kobayashi, S. Org. Lett. 2008, 10, 807-809.
【非特許文献3】Tsubogo, T.; Saito,S.; Seki, K.; Yamashita, Y.; Kobayashi, S. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 13321.
【非特許文献4】Agostinho M.;Kobayashi, S. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 2430.
【非特許文献5】Yamada, Y. M.A.; Shibasaki, M. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 5561.
【非特許文献6】Suzuki, T.;Yamagiwa, N.; Matsuo, Y.; Sakamoto, S.; Yamaguchi, K.; Shibasaki, M.; Noyori,R. Tetrahedron Lett. 2001, 42, 4669.
【非特許文献7】Kumaraswamy, G.; Jena, N.; Sastry, M. N. V.; Padmaja, M.; Markondaish, B. Adv. Synth.Catal. 2005, 347, 867.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、カルシウムアルコキシドと光学活性ビスオキサゾリン配位子より調製されるアニオン性錯体が、有効なブレンステッド塩基触媒として機能することを見出した。そして、α-アミノエステル誘導体とα,β-不飽和カルボニル化合物との1,4付加反応や[3+2]付加環化反応が、高エナンチオ選択的に進行することを報告している。
【0005】
しかしながら、上記触媒は適用できる基質、反応の種類に限りが有った。
【0006】
さて、アルカリ土類金属はブレンステッド塩基性とルイス酸性との両方の性質を有することが知られている。そこで、アルカリ土類金属のルイス酸性に着目し、不斉塩基触媒としての汎用性を向上させるべく新規な触媒の開発を行った。
【0007】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、中性配位型不斉配位子を用いた光学活性アルカリ土類金属触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為の検討が、鋭意、推し進められて行った。その結果、カルシウムアルコキシドと光学活性ピリジンビスオキサゾリン配位子とより調製される錯体(キラルカルシウム触媒)は、有効な不斉ブレンステッド塩基触媒として機能することが見出された。そして、この触媒が用いられた場合、種々の炭素-炭素結合生成反応が良好なエナンチオ選択性を持って進行することが見出された。例えば、マロン酸エステルのニトロオレフィンへの1,4付加反応、イミンへのMannich反応、アズラクトンとα,β-不飽和エステルの1,4付加反応が高いエナンチオ選択性を持って進行することが判った。
JP0005089634B2_000002t.gif
【0009】
上記知見に基づいて本発明が達成されたのである。
【0010】
すなわち、前記の課題は、下記の一般式[I]で表される化合物と、下記の一般式[II]で表される化合物とで構成されることを特徴とする触媒によって解決される。特に、一般式[I]で表される化合物(光学活性三座配位子)と一般式[II]で表される化合物との錯体であることを特徴とする触媒によって解決される。
【0011】
上記触媒は、例えばカルボニル化合物類縁体(例えば、一般式[III]で表されるβ-ジカルボニル化合物)とニトロオレフィン化合物類縁体(例えば、一般式[IV]で表される化合物)との反応に際して用いられる触媒である。或いは、カルボニル化合物類縁体(例えば、一般式[III]で表されるβ-ジカルボニル化合物)とイミン類縁体(例えば、一般式[V]で表される化合物)との反応に際して用いられる触媒である。又は、カルボニル化合物類縁体(例えば、一般式[VI]で表されるα,β-不飽和カルボニル化合物)とアズラクトン類縁体(例えば、一般式[VII]で表される化合物)との反応に際して用いられる触媒である。
【0012】
又、前記の課題は、上記触媒の存在下で、カルボニル化合物類縁体とニトロオレフィン化合物類縁体とを反応させることを特徴とする反応方法によって解決される。例えば、上記触媒の存在下で、一般式[III]で表されるβ-ジカルボニル化合物と一般式[IV]で表されるニトロオレフィン化合物類縁体とを反応させることを特徴とする反応方法によって解決される。
【0013】
又、前記の課題は、上記触媒の存在下で、カルボニル化合物類縁体とイミン類縁体とを反応させることを特徴とする反応方法によって解決される。例えば、上記触媒の存在下で、一般式[III]で表されるβ-ジカルボニル化合物と一般式[V]で表されるイミン類縁体とを反応させることを特徴とする反応方法によって解決される。
【0014】
又、前記の課題は、上記触媒の存在下で、カルボニル化合物類縁体とアズラクトン類縁体とを反応させることを特徴とする反応方法によって解決される。例えば、上記触媒の存在下で、一般式[VI]で表されるα,β-不飽和カルボニル化合物と一般式[VII]で表されるアズラクトン類縁体とを反応させることを特徴とする反応方法によって解決される。
【0015】
一般式[I]
JP0005089634B2_000003t.gif [一般式[I]中、R1,R2,R3は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R1とR2とR3とは、全てが同一でも、異なるものでも良い。R4は、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。]
【0016】
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。Xは陰イオンである。]
【0017】
一般式[III]
JP0005089634B2_000004t.gif [一般式[III]中、R5,R6は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。R7は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。R5とR7、又はR6とR7とは、繋がっている場合も有る。]
【0018】
一般式[IV]
JP0005089634B2_000005t.gif [一般式[IV]中、R8,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R9は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R8とR10、又はR8とR9とは、繋がっている場合も有る。]
【0019】
一般式[V]
JP0005089634B2_000006t.gif [一般式[V]中、R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R11は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R12は、COOR,SOR又はPOR(Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基)である。]
【0020】
一般式[VI]
JP0005089634B2_000007t.gif [一般式[VI]中、R15,R16は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R17は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。]
【0021】
一般式[VII]
JP0005089634B2_000008t.gif [一般式[VII]中、R13,R14は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。]
【発明の効果】
【0022】
炭素-炭素結合生成反応が良好なエナンチオ選択性を持って進行する。例えば、マロン酸エステルのニトロオレフィンへの1,4付加反応、イミンへのMannich反応、アズラクトンとα,β-不飽和エステルの1,4付加反応が高いエナンチオ選択性を持って進行する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の本発明は触媒である。この触媒は、下記一般式[I]で表される化合物と下記一般式[II]で表される化合物とで構成される。特に、下記一般式[I]で表される化合物と下記一般式[II]で表される化合物との錯体である。前記一般式[I]で表される化合物は、特に、光学活性三座配位子である。前記触媒は、例えばカルボニル化合物類縁体とニトロオレフィン化合物類縁体との反応に際して用いられる触媒である。又、カルボニル化合物類縁体とイミン類縁体との反応に際しても用いられる触媒である。又、カルボニル化合物類縁体とアズラクトン類縁体との反応に際しても用いられる触媒である。カルボニル化合物類縁体としては、例えば下記の一般式[III]が挙げられる。ニトロオレフィン化合物類縁体としては、例えば下記の一般式[IV]が挙げられる。イミン類縁体としては、例えば下記の一般式[V]が挙げられる。ニトロオレフィン化合物類縁体やイミン類縁体との反応に好適なカルボニル化合物類縁体はβ-ジカルボニル化合物(一般式[III])であるが、アズラクトン類縁体との反応に好適なカルボニル化合物類縁体はα,β-不飽和カルボニル化合物(一般式[VI])である。アズラクトン類縁体としては、例えば下記の一般式[VII]が挙げられる。

【0024】
一般式[I]
JP0005089634B2_000009t.gif 一般式[I]中、R1,R2,R3は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でもi-プロピル基は特に好ましい。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基を好ましいものとして挙げることが出来る。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。R1とR2とR3とは、全てが同一でも、異なるものでも良い。
一般式[I]中、R4は、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でもi-プロピル基は特に好ましい。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基を好ましいものとして挙げることが出来る。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。R4は、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)であっても良い。尚、この場合の置換基としては、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基が好ましいものとして挙げられる。従って、MeO,MeN,MeS等もR4の好ましい例として挙げられる。
一般式[I]中、XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。尚、この場合の置換基としては、Me,Et,Bn等の炭化水素基(炭素数1~10)が好ましいものとして挙げられる。

【0025】
一般式[II]
MX
一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。好ましくは、Ca,Sr,Baである。中でもCaである。
一般式[II]中、Xは陰イオンである。好ましくは、ClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である。この炭化水素基は、フッ素置換基を持つものでも良い。前記炭化水基としてはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が好ましいものとして挙げられる。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。上記基の中でも、特に好ましいXは、炭素数が1~10のアルコキシド基である。更には炭素数が3~10の分岐型のアルキル基(例えば、i-プロピル基とかt-ブチル基)を有するアルコキシド基が好ましい。

【0026】
一般式[III]
JP0005089634B2_000010t.gif 一般式[III]中、R5,R6は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、メチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。R5,R6としては、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)であっても良い。尚、この場合の置換基としては、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基が好ましいものとして挙げられる。従って、例えばMeO(メトキシ基),EtO(エトキシ基),PrO(プロポキシ基),PrO(イソプロポキシ基),BuO(ブトキシ基),BuO(ターシャルブトキシ基)等のアルコキシ基、NMe,NEt等のアミノ基や、NMeOMe,EtS,MeS等もR5,R6の好ましい例として挙げられる。
一般式[III]中、R7は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、メチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。R7としては、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)であっても良い。尚、この場合の置換基としては、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基が好ましいものとして挙げられる。従って、例えば、MeO,EtO,PrO,BuO,t-BuO等のアルコキシ基、NMe,NEt等のアミノ基や、NMeOMe,EtS,MeS等もR7の好ましい例として挙げられる。
一般式[III]中、R5とR7、又はR6とR7とは、繋がっている場合も有る。

【0027】
一般式[IV]
JP0005089634B2_000011t.gif 一般式[IV]中、R8,R9,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、メチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。
一般式[IV]中、R8とR10、又はR8とR9とは、繋がっている場合も有る。

【0028】
一般式[V]
JP0005089634B2_000012t.gif 一般式[V]中、R10は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、i-プロピル基やt-ブチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。
一般式[V]中、R11は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、i-プロピル基やt-ブチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。
一般式[V]中、R12は、COOR,SOR又はPOR(Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、i-プロピル基やt-ブチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基は好ましいものとして挙げられる。

【0029】
一般式[VI]
JP0005089634B2_000013t.gif 一般式[VI]中、R15,R16は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、メチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。
一般式[VI]中、R17は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、メチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。R17としては、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)であっても良い。尚、この場合の置換基としては、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基が好ましいものとして挙げられる。特に、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が好ましいものとして挙げられる。

【0030】
一般式[VII]
JP0005089634B2_000014t.gif 一般式[VII]中、R13,R14は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でも、メチル基は好ましいものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基(フェニル基やナフチル基)であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げられる。例えば、ベンジル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。

【0031】
第2の本発明は反応方法である。この反応方法は、カルボニル化合物類縁体とニトロオレフィン化合物類縁体との反応方法である。特に、β-ジカルボニル化合物(一般式[III])とニトロオレフィン化合物類縁体(一般式[IV])との反応方法である。この反応には、上記触媒が用いられる。この反応によって得られる化合物はγ-ニトロ-α,α-ジカルボニル誘導体である。

【0032】
第3の本発明は反応方法である。この反応方法は、カルボニル化合物類縁体とイミン類縁体との反応方法である。特に、β-ジカルボニル化合物(一般式[III])とイミン類縁体(一般式[V])との反応方法である。この反応には、上記触媒が用いられる。この反応によって得られる化合物はβ-アミノ-α,α-ジカルボニル誘導体である。

【0033】
第4の本発明は反応方法である。この反応方法は、カルボニル化合物類縁体とアズラクトン類縁体との反応方法である。特に、α,β-不飽和カルボニル化合物(一般式[VI])とアズラクトン類縁体(一般式[VII])との反応方法である。この反応には、上記触媒が用いられる。この反応によって得られる化合物はα,α-ジアルキルアミノ酸誘導体である。

【0034】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。但し、本発明は上記した技術思想を逸脱しない範囲において如何なるものであっても良い。すなわち、以下の実施例によって何ら制約を受けるものでは無い。

【0035】
[カルボニル化合物類縁体とニトロオレフィン化合物類縁体との反応]
JP0005089634B2_000015t.gif 本実施例では、trans-ニトロスチレンとジメチルマロン酸エステルとの反応について述べる。
加熱乾燥された10mlの反応容器内がアルゴン置換された。この反応容器がグローブボックス中に持ち込まれた。そして、Ca(OPr)(0.03mmol),p-methoxyphenol(0.03mmol)、モレキュラーシーブ(MS4A;100mg)が秤量され、反応容器内に入れられた。この後で、0.5mlの無水テトラヒドロフランが反応容器内に入れられた。この後、グローブボックスから反応容器が取り出された。そして、室温下で30分間に亘って反応溶液が攪拌された。この後、室温下で反応容器内が減圧され、揮発性物質が取り除かれた。反応容器が再びグローブボックス中に持ち込まれた。そして、秤量されたanti-Ph2-Pybox(0.03mmol)が反応容器内に入れられた。又、無水トルエン(0.5ml)が入れられた。この後、グローブボックスから反応容器が取り出された。そして、50℃で2時間に亘って反応溶液が攪拌された。この後、-20℃に冷却が行われた。そして、マロン酸ジメチル(0.30mmol)が滴下された。この後、trans-ニトロスチレン(0.36mmol)の無水トルエン(1.0ml)溶液が加えられた。そして、このままの温度で24時間に亘って攪拌が行われた。そして、飽和塩化アンモニウム(10ml)が添加され、反応が停止した。反応停止後、塩化メチレン(10ml)が加えられ、分液が行われた。そして、塩化メチレン(15ml)を用いての抽出が2回行われた。有機層が併せられ、無水硫酸ナトリウムによる乾燥が行われた。得られた粗生成物が濾過、減圧濃縮された。この後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製され、下記に示される特性の目的物(Methyl2-methoxycarbonyl-4-nitro-3-phenylbutylate)が得られた。この1,4-付加体の収率は80%であった。そして、エナンチオ選択性は96%eeであった。尚、エナンチオ選択性はHPLCで決定された。
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【0036】
尚、上記実施例は、一般式[I](R1,R2=Ph、R3,R4=H,X=O)の化合物と一般式[II](M=Ca、X=OPr)の化合物との錯体が触媒として用いられたものである。この触媒に代わって、次の一般式[I]で表される化合物と一般式[II]で表される化合物との錯体が触媒として用いられ、同様に行われた処、同様な結果が得られた。ここで触媒に用いられた一般式[I]で表される化合物は、一般式[I](R1=Me,R2=R3=R4=H,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Pr,R2=R3=R4=H,X=O)の化合物であった。一般式[II]で表される化合物は、一般式[II](M=Ca,X=OBu)の化合物、一般式[II](M=Ca,X=OEt)の化合物、一般式[II](M=Ca,X=OBu)の化合物、一般式[II](M=Ca,X=N(SiMe)の化合物、一般式[II](M=Sr,X=OEt)の化合物、一般式[II](M=Sr,X=N(SiMe)の化合物、一般式[II](M=Ba,X=OBu)の化合物であった。

【0037】
又、カルボニル化合物類縁体とニトロオレフィン化合物類縁体との反応に上記触媒が用いられて同様に行われた処、同様な結果が得られた。すなわち、一般式[III](R5=R6=EtO,R7=H)の化合物と一般式[IV](R8=Ph,R9=R10=H)の化合物との反応、一般式[III](R5=R6=PrO,R7=H)の化合物と一般式[IV](R8=Ph,R9=R10=H)の化合物との反応、一般式[III](R5=R6=MeO,R7=H)の化合物と一般式[IV](R8=p-MeOPh,R9=R10=H)の化合物との反応、一般式[III](R5=R6=EtO,R7=Me)の化合物と一般式[IV](R8=Ph,R9=R10=H)の化合物との反応に上記触媒が用いられて同様に行われた処、同様な結果が得られた。

【0038】
[カルボニル化合物類縁体とイミン類縁体との反応]
JP0005089634B2_000017t.gif 本実施例では、イミンとジメチルマロン酸エステルとの反応について述べる。
アルゴン雰囲気下で、乾燥された反応容器内に、Ca(OPr)(0.02mmol)と上記リガンド1a(0.03mmol)が入れられた。更に、無水トルエン(0.5ml)が入れられた。この後、80℃で2時間の攪拌が行われた。この後、Dimethylmalonate(0.028mL 0.24mmol)が添加された。そして、30分間に亘って攪拌が行われた。この後、-20℃に冷却が行われた。そして、N-Boc imine(41mg 0.2mmol)の無水トルエン溶液(0.5ml)が添加された。そして、-20℃にて2時間の攪拌が行われた。この後、飽和塩化アンモニウム水溶液(2ml)が添加され、反応が停止した。反応停止後、塩化メチレン(10ml)を用いての抽出が3回行われた。有機層が併せられ、無水硫酸ナトリウムによる乾燥が行われた。得られた粗生成物が濾過、減圧濃縮された。この後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製され、下記に示される特性の目的物(2-(tert-Butoxycarbonylamino-phenyl-methyl)-malonic acid dimethyl ester;Mannich付加体)が得られた。この付加体の収率は99%であった。そして、光学収率は55%eeであった。尚、光学収率は光学活性カラムを備えたHPLCで決定された。
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【0039】
尚、上記実施例は、一般式[I](R1=Bn,R2,R3,R4=H,X=O)の化合物と一般式[II](M=Ca、X=OPr)の化合物との錯体が触媒として用いられたものである。この触媒に代わって、次の一般式[I]で表される化合物と一般式[II]で表される化合物との錯体が触媒として用いられ、同様に行われた処、同様な結果が得られた。ここで触媒に用いられた一般式[I]で表される化合物は、一般式[I](R1=Pr,R2=R3=R4=H,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Ph,R2=R3=R4=H,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Me,R2=R3=R4=H,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Me,R2=Ph,R3=R4=H,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Me,R2=H,R3=Ph,R4=H,X=O)の化合物であった。一般式[II]で表される化合物は、一般式[II](M=Ca,X=OBu)の化合物、一般式[II](M=Ca,X=OEt)の化合物、一般式[II](M=Ca,X=OBu)の化合物、一般式[II](M=Ca,X=N(SiMe)、一般式[II](M=Sr,X=OEt)の化合物、一般式[II](M=Sr,X=N(SiMe)の化合物、一般式[II](M=Ba,X=OBu)の化合物であった。

【0040】
又、カルボニル化合物類縁体とイミン類縁体との反応に上記触媒が用いられて同様に行われた処、同様な結果が得られた。すなわち、一般式[III](R5=R6=Bn,R7=H)の化合物と一般式[V](R10=Ph,R11=H,R12=BuOCO)の化合物との反応、一般式[III](R5=R6=BnCH,R7=H)の化合物と一般式[V](R10=Ph,R11=H,R12=BuOCO)の化合物との反応、一般式[III](R5=R6=1-naphthylmethyl,R7=H)の化合物と一般式[V](R10=Ph,R11=H,R12=BuOCO)の化合物との反応、一般式[III](R5=R6=Bn,R7=H)の化合物と一般式[V](R10=Ph,R11=H,R12=BnOCO)の化合物との反応に上記触媒が用いられて同様に行われた処、同様な結果が得られた。

【0041】
[カルボニル化合物類縁体とアズラクトン類縁体との反応]
JP0005089634B2_000019t.gif 本実施例では、アクリル酸メチルとアズラクトンとの反応について述べる。
減圧下で加熱乾燥された反応容器内がアルゴン置換された。この反応容器がグローブボックス中に持ち込まれた。そして、Pr-Pybox(0.030mmol),Ca(OPr)(0.03mmol),MS4A(モレキュラーシーブ;100mg)が秤量され、反応容器内に入れられた。そして、グローブボックスから反応容器が取り出された。反応容器内にTHF(0.5ml)が加えられた後、室温下で2時間に亘る撹拌が行われた。攪拌後、室温下で反応容器内が30分間掛けて減圧された。これにより、揮発性物質が取り除かれた。この後、0.5mlのトルエンが添加された。そして、室温下で30分間に亘って撹拌が行われた。この後、反応容器内が-20℃に冷却された。冷却後、アズラクトン(0.03mmol)のトルエン溶液(0.5ml)と、アクリル酸メチル(0.36mol)のトルエン溶液(0.5ml)とが、順次、加えられた。この温度下で24時間の撹拌が行われた。この後、飽和塩化アンモニウム溶液(10ml)が添加された。これにより、反応が停止した。反応停止後、塩化メチレン(15ml)を用いての抽出が3回行われた。有機層が併せられ、無水硫酸ナトリウムによる乾燥が行われた。得られた粗生成物が濾過、減圧濃縮された。この後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製され、下記に示される特性の目的物(1,4-付加体)が得られた。この付加体の収率は66%であった。そして、エナンチオ選択性は76%eeであった。尚、エナンチオ選択性はHPLCで決定された。
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【0042】
尚、上記実施例は、一般式[I](R1=Pr,R2,R3,R4=H,X=O)の化合物と一般式[II](M=Ca、X=OPr)の化合物との錯体が触媒として用いられたものである。この触媒に代わって、次の一般式[I]で表される化合物と一般式[II]で表される化合物との錯体が触媒として用いられ、同様に行われた処、同様な結果が得られた。ここで触媒に用いられた一般式[I]で表される化合物は、一般式[I](R1=Me,R2=R3=R4=H,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Me,R2=Ph,R3=R4=H,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Pr,R2=R3=H,R4=Cl,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Pr,R2=R3=H,R4=MeO,X=O)の化合物、一般式[I](R1=Bn,R2=R3=R4=H,X=O)の化合物であった。一般式[II]で表される化合物は、一般式[II](M=Ca,X=BuO)の化合物、一般式[II](M=Ca,X=N(SiMe)の化合物、一般式[II](M=Sr,X=PrO)の化合物、一般式[II](M=Sr,X=N(SiMe)の化合物、一般式[II](M=Ba,X=BuO)の化合物であった。

【0043】
又、α,β-不飽和カルボニル化合物類縁体とアズラクトン類縁体との反応に上記触媒が用いられて同様に行われた処、同様な結果が得られた。すなわち、一般式[VI](R15=R16=H,R17=EtO)の化合物と一般式[VII](R13=Me,R14=Ph)の化合物との反応、一般式[VI](R15=R16=H,R17=MeO)の化合物と一般式[VII](R13=Me,R14=4-MeOPh)の化合物との反応、一般式[VI](R15=R16=H,R17=MeO)の化合物と一般式[VII](R13=Me,R14=3,4,5-(MeO)Ph)の化合物との反応、一般式[VI](R15=R16=H,R17=MeO)の化合物と一般式[VII](R13=Bn,R14=Ph)の化合物との反応に上記触媒が用いられて同様に行われた処、同様な結果が得られた。