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明細書 :ホスホン酸類縁体の製造方法、及び触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5135264号 (P5135264)
公開番号 特開2010-209049 (P2010-209049A)
登録日 平成24年11月16日(2012.11.16)
発行日 平成25年2月6日(2013.2.6)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発明の名称または考案の名称 ホスホン酸類縁体の製造方法、及び触媒
国際特許分類 C07F   9/572       (2006.01)
B01J  31/24        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07F 9/572 Z
B01J 31/24 Z
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 11
全頁数 14
出願番号 特願2009-060120 (P2009-060120)
出願日 平成21年3月12日(2009.3.12)
審査請求日 平成22年6月28日(2010.6.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】山下 恭弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100079005、【弁理士】、【氏名又は名称】宇高 克己
審査官 【審査官】品川 陽子
参考文献・文献 国際公開第2007/007646(WO,A1)
特表2005-504129(JP,A)
特開2010-053049(JP,A)
特開平10-182678(JP,A)
特開2004-010555(JP,A)
特開2004-161645(JP,A)
YAMAMOTO, Y. et al.,Enantioselective tandem o-nitoroso aldol/michael reaction,J. AM. CHEM. SOC.,2004年,126,p.5962-5963
NAJERA, C. et al.,Enantioselective synthesis of polysubstituted prolines by binap-silber-catalyzed 1,3-dipolar cycloadditions,Tetrahedron;Asymmetry,2008年,19,p.2913-2923
DONDAS, H. A. et al.,X=Y=ZH systems as potential 1,3-dipoles. Part62: 1,3-Dipolar cycloaddition reaction of metallo-azomethine ylides derived from α-iminophosphonates,Tetrahedron,2005年,61,p.10667-10682
J. AM. CHEM. SOC.,2003年,125,p.10174-10175
調査した分野 C07F 9/572
C07F 9/655
C07B 61/00
B01J 31/24
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式[III]で表される化合物とα,β-不飽和カルボニル化合物とを反応させて光学活性なプロリンのホスホン酸エステルを製造する方法であって、
前記反応は、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される物質の存在下で行われる
ことを特徴とする光学活性プロリンホスホン酸エステルの製造方法。
一般式[I]
JP0005135264B2_000011t.gif [一般式[I]中、R,R、RとRとによって、-O-(CH-O-(n=1,2)が構成される基である。Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mは、Cu又はAgである。Xは陰イオンである。]
一般式[III]
JP0005135264B2_000012t.gif [一般式[III]中、Rはアリール基、アルケニル基またはアラルキル基である。R,RはH、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基である。Rはアルコキシ基である。]
【請求項2】
下記一般式[III]で表される化合物とα,β-不飽和カルボニル化合物とを反応させて光学活性なプロリンのホスホン酸エステルを製造する方法であって、
前記反応は、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物と下記の一般式[Z]で表される化合物とで構成される物質の存在下で行われる
ことを特徴とする光学活性プロリンホスホン酸エステルの製造方法。
一般式[I]
JP0005135264B2_000013t.gif [一般式[I]中、R,Rは、とRとによって、-O-(CH-O-(n=1,2)が構成される基である。Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、MはCu又はAgである。Xは陰イオンである。]
一般式[Z]
NY
[一般式[Z]中、NはLi,Na,K,Cs,Mg,Ca,Sr又はBaである。YはH,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である。]
一般式[III]
JP0005135264B2_000014t.gif [一般式[III]中、Rはアリール基、アルケニル基またはアラルキル基である。R,RはH、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基である。Rはアルコキシ基である。]
【請求項3】
一般式[II]のXがClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の光学活性プロリンホスホン酸エステルの製造方法。
【請求項4】
一般式[III]のはフェニル基を有する基、R,RはH又は炭素数が1~10のアルキル基、Rは炭素数が1~10のアルコキシ基である
ことを特徴とする請求項1~請求項3いずれかの光学活性プロリンホスホン酸エステルの製造方法。
【請求項5】
α,β-不飽和カルボニル化合物が下記の一般式[IV]で表される化合物である
ことを特徴とする請求項1~請求項4いずれかの光学活性プロリンホスホン酸エステルの製造方法。
一般式[IV]

JP0005135264B2_000015t.gif [R,R,R10はH、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。R11アルコキシ基である。]
【請求項6】
一般式で表される化合物により構成される錯体の存在下で反応が行われる
ことを特徴とする請求項1~請求項5いずれかの光学活性プロリンホスホン酸エステルの製造方法。
【請求項7】
下記一般式[III]で表される化合物とα,β-不飽和カルボニル化合物とを反応させて光学活性なプロリンのホスホン酸エステルを製造するに際して用いられる触媒であって、
下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される
ことを特徴とする触媒。
一般式[I]
JP0005135264B2_000016t.gif [一般式[I]中、R,Rは、とRとによって、-O-(CH-O-(n=1,2)が構成される基である。Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mは、Cu又はAgである。Xは陰イオンである。]
一般式[III]

JP0005135264B2_000017t.gif [一般式[III]中、Rはアリール基、アルケニル基またはアラルキル基である。R,RはH、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基である。Rはアルコキシ基である。]
【請求項8】
下記一般式[III]で表される化合物とα,β-不飽和カルボニル化合物とを反応させて光学活性なプロリンのホスホン酸エステルを製造するに際して用いられる触媒であって、
下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物と下記の一般式[Z]で表される化合物とで構成される
ことを特徴とする触媒。
一般式[I]
JP0005135264B2_000018t.gif [一般式[I]中、R,Rは、とRとによって、-O-(CH-O-(n=1,2)が構成される基である。Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、MはCu又はAgである。Xは陰イオンである。]
一般式[Z]
NY
[一般式[Z]中、NはLi,Na,K,Cs,Mg,Ca,Sr又はBaである。YはH,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である。]

一般式[III]
JP0005135264B2_000019t.gif [一般式[III]中、Rはアリール基、アルケニル基またはアラルキル基である。R,RはH、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基である。Rはアルコキシ基である。]
【請求項9】
一般式[II]のXがClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8の触媒。
【請求項10】
一般式[III]のRはフェニル基を有する基、R,RはH又は炭素数が1~10のアルキル基、Rは炭素数が1~10のアルコキシ基である
ことを特徴とする請求項7~請求項9いずれかの触媒。
【請求項11】
錯体であることを特徴とする請求項7~請求項10いずれかの触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光学活性なプロリン類縁体のホスホン酸類縁体に関する。
【背景技術】
【0002】
α‐アミノホスホン酸エステルから誘導されるSchiff塩基と、α,β-不飽和カルボニル化合物との不斉[3+2]付加環化反応は、光学活性なプロリン類縁体(ホスホン酸類縁体)を合成する為に、有益である。そして、光学活性なプロリン類縁体(ホスホン酸類縁体)は、様々な生理活性を示す。従って、前記不斉[3+2]付加環化反応は、創薬の観点から、興味深い。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Baldwin, I. C.; Williams, J. M. J. Tetrahedron: Asymmetry 1995,6,679.
【非特許文献2】Chen, C.; Li, X.; Schreiber, S. L. J. Am. Chem. Soc. 2003,125, 10174.
【非特許文献3】Alemparte, C.; Blay, G.; Jorgensen, K. A. Org. Lett. 2005,7, 4569.
【非特許文献4】Zeng, W.; Zhou, Y.-G. Org. Lett. 2005, 7,5055.
【非特許文献5】Zeng, W.; Chen, G.-Y.; Zhou, Y.-G.; Li, Y.-X. J. Am. Chem. Soc.2007, 129, 750.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
α-アミノホスホン酸誘導体は様々な生理活性を示す。従って、その光学活性体の合成は医薬品開発において有用である。
【0005】
しかしながら、α-アミノホスホン酸誘導体の触媒的不斉反応は、そのα位の水素原子の酸性度の低さから、極めて限られていた。特に、化学量論量の不斉源を用いた置換プロリンのホスホン酸類縁体の不斉合成反応は聴くことが無い。又、高エナンチオ選択的不斉反応の報告例も聴くことが無い。
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、光学活性なプロリン類縁体(ホスホン酸類縁体)を提供することである。特に、光学活性なプロリンのホスホン酸類縁体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する為の検討が、本発明者によって、鋭意、推し進められて行った。その結果、リン原子上の置換基が嵩高い(R)-DTBM-SEGPHOSと一価の銀塩からなる錯体が不斉触媒として有効に機能することが判った。すなわち、下記に示される如く、高収率・高ジアステレオ選択的・高エナンチオ選択的に[3+2]付加環化反応が進行し、プロリンのホスホン酸類縁体の触媒的不斉合成が効率良く行われることを見出すに至った。
JP0005135264B2_000002t.gif
【0008】
上記知見に基づいて本発明が達成されたものである。
【0009】
すなわち、前記の課題は、
α-アミノホスホネート類縁体とα,β-不飽和カルボニル化合物とを反応させて光学活性なプロリンのホスホン酸類縁体を製造する方法であって、
前記反応は下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される物質の存在下で行われる
ことを特徴とする光学活性プロリンホスホン酸類縁体の製造方法によって解決される。
【0010】
特に、α-アミノホスホネート類縁体とα,β-不飽和カルボニル化合物とを反応させて光学活性なプロリンのホスホン酸類縁体を製造する方法であって、
前記反応は下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される錯体の存在下で行われる
ことを特徴とする光学活性プロリンホスホン酸類縁体の製造方法によって解決される。
【0011】
又、上記光学活性プロリンホスホン酸類縁体の製造方法であって、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物と下記の一般式[Z]で表される化合物とを用いて構成される物質(例えば、錯体)の存在下で反応が行われることを特徴とする光学活性プロリンホスホン酸類縁体の製造方法によって解決される。
【0012】
又、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される
ことを特徴とする触媒によって解決される。
【0013】
特に、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とで構成される錯体である
ことを特徴とする触媒によって解決される。
【0014】
又、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物と下記の一般式[Z]で表される化合物とを用いて構成される
ことを特徴とする触媒によって解決される。
【0015】
尚、上記の発明において、前記α-アミノホスホネート類縁体は、好ましくは、下記の一般式[III]で表される化合物である。又、前記α,β-不飽和カルボニル化合物は、好ましくは、下記の一般式[IV]で表される化合物である。
【0016】
そして、前記触媒は、特に、α-アミノホスホネート類縁体とα,β-不飽和カルボニル化合物との反応に用いられる触媒である。
【0017】
一般式[I]
JP0005135264B2_000003t.gif [一般式[I]中、R1,R2は、ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アラルキル基は、ヘテロ原子を有する場合と、ヘテロ原子を有さない場合とが有る。)である。R1とR2とは、O,N又はSを介して繋がって環を形成する場合が有る。R1とR2とは、同一の場合と、異なる場合とが有る。R3は、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。全てのR1,R2,R3は、同一の場合と、異なる場合とが有る。]
【0018】
一般式[II]
MX
MX
[一般式[II]中、Mは、Cu又はAgである。Xは陰イオンである。]
【0019】
一般式[Z]
NY
[一般式[Z]中、Nは、Li,Na,K,Cs,Mg,Ca,Sr又はBaである。YはH,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である。]
【0020】
一般式[III]
JP0005135264B2_000004t.gif [一般式[III]中、R4は、アリール基、アルケニル基、またはアラルキル基(アリール基、アルケニル基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R5は、H、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基(アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R6は、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基(アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R7は、置換基を有するO,置換基を有するN,置換基を有するS、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基(アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。全てのR7は、同一の場合と、異なる場合とが有る。]
【0021】
一般式[IV]
JP0005135264B2_000005t.gif [R8,R9,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSである。R11は、炭化水素基(置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSである。]
【発明の効果】
【0022】
光学活性なプロリン類縁体、特に、光学活性なプロリンのホスホン酸類縁体が効率良く得られる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は光学活性なプロリン類縁体の製造方法である。特に、α-アミノホスホネート類縁体とα,β-不飽和カルボニル化合物とを反応させて光学活性なプロリンのホスホン酸類縁体を製造する方法である。α-アミノホスホネート類縁体とα,β-不飽和カルボニル化合物との反応は、一般式[I]で表される化合物と一般式[II]で表される化合物とで構成される物質(例えば、錯体)の存在下で行われる。更には、前記一般式[I]及び一般式[II]で表される化合物を用いるだけでは無く、更に下記の一般式[Z]で表される化合物をも用いて構成される物質の存在下で反応が行われる。光学活性なプロリンホスホン酸類縁体の製造に用いられる好ましいα-アミノホスホネート類縁体は、下記の一般式[III]で表される化合物である。光学活性なプロリンホスホン酸類縁体の製造に用いられる好ましいα,β-不飽和カルボニル化合物は、下記の一般式[IV]で表される化合物である。

【0024】
一般式[I]
JP0005135264B2_000006t.gif 一般式[I]中、R1,R2は、ハロゲン(F,Cl,Br,I等)、アルキル基、アルケニル基、またはアラルキル基である。好ましいハロゲンはClである。好ましいアルキル基は、炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は、炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。好ましいアラルキル基(アリールアルキル基)は、その骨格部分(アリール基の部分)の炭素数が4~14のものである。特に好ましいアラルキル基は、骨格部分(アリール基の部分)がフェニル基やナフチル基である。そして、アラルキル基における好ましいアルキル基は、炭素数が1~10のものである。更には、炭素数が1~5のものが好ましい。前記アルキル基やアラルキル基は、ヘテロ原子(例えば、O,N,S)を有する場合と、ヘテロ原子を有さない場合とが有る。R1とR2とは、O,N又はSを介して、繋がる場合が有る。この場合、R1とR2とによって環が構成される。R1とR2とが繋がっている場合(環を構成する場合)は、好ましい。例えば、R1とR2とによって、-W-(CHm)n-W-(但し、WはCHm,O,S、又は置換基を有するN。m,nは1又は2。)が構成された場合は好ましい。R1とR2とによって、-O-(CH)n-O-(n=1,2)が構成された場合は特に好ましい。尚、R1とR2とは繋がらない場合も有る。R1とR2とは、同一の場合と、異なる場合とが有る。全てのR1,R2は、同一の場合と、異なる場合とが有る。
一般式[I]中、R3は、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。特に好ましいR3は、パラ位と2箇所のメタ位に置換基を有するフェニル基である。中でも、パラ位にメトキシ基、2箇所のメタ位にtert-ブチル基を有するフェニル基は好ましい。全てのR3は、同一の場合と、異なる場合とが有る。
一般式[I]中、全てのR1,R2,R3は、同一の場合と、異なる場合とが有る。

【0025】
一般式[II]
MX
一般式[II]中、Mは、Cu又はAgである。特に好ましくはAgである。
一般式[II]中、Xは陰イオンである。例えば、ClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiRである。前記Rは炭化水素基である。好ましい炭化水素基はアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。前記アルキル基、アリール基またはアラルキル基は、F原子を有する場合と、F原子を有さない場合とが有る。特に好ましいXはOR,NR又はN(SiRである。中でもN(SiMeは好ましい。

【0026】
一般式[Z]
NY
一般式[Z]中、Nは、Li,Na,K,Cs,Mg,Ca,Sr又はBaである。好ましくはKである。
一般式[Z]中、Yは、H,OR,NR又はN(SiRである。好ましくはN(SiRである。前記Rは炭化水素基である。好ましい炭化水素基はアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。尚、特に好ましいYはN(SiMeである。尚、Nがアルカリ金属の場合、Yの個数は一つであるが、Nがアルカリ土類金属の場合、Yの個数は二つである。

【0027】
一般式[III]
JP0005135264B2_000007t.gif 一般式[III]中、R4は、アリール基またはアルケニル基である。前記アルキル基、アルケニル基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。好ましいアルキル基は、炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は、炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。本発明において好ましいR4はフェニル基を有する基である。中でもフェニル基である。
一般式[III]中、R5は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。特に好ましいR5はH又はアルキル基である。中でもHが最も好ましい。
一般式[III]中、R6は、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。前記アルキル基、アリール基、アラルキル基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。特に好ましいR6はH又はアルキル基である。中でもHが最も好ましい。
一般式[III]中、R7は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するO,置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するN,置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するS、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基である。前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。特に好ましいR7はアルコキシ基(炭素数は1~10)である。更には炭素数が1~5のアルコキシ基である。中でもエトキシ基は特に好ましい。全てのR7は同一の場合と異なる場合とが有る。

【0028】
一般式[IV]
JP0005135264B2_000008t.gif 一般式[IV]中、R8,R9,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。前記アルキル基、アリール基、アラルキル基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基は、上記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。R8,R9,R10は、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSであっても良い。R8とR9とR10は、同一の場合と、異なる場合とが有る。特に好ましいR8はH、アルキル基、エステル基、又はアミド基である。中でもHは特に好ましい。特に好ましいR9はH又はアルキル基である。中でもHは特に好ましい。特に好ましいR10はH又はアルキル基である。中でもHは特に好ましい。
一般式[IV]中、R11は、炭化水素基、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するO,置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するN、又は置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するSである。前記炭化水素基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。好ましいR10は、炭素数が1~10のアルキル基を有するO、又は炭素数が1~10のアルキル基を有するNである。中でも炭素数が1~10のアルコキシ基は好ましい。特に、炭素数が1~5のアルコキシ基は好ましい。例えば、ターシャルブトキシ基は好ましい。

【0029】
本発明は触媒である。特に、光学活性プロリンホスホン酸類縁体を得るに際して用いられる触媒(不斉触媒)である。中でも、α-アミノホスホネート類縁体とα,β-不飽和カルボニル化合物とを反応させて光学活性なプロリンのホスホン酸類縁体を得るに際して用いられる触媒(不斉触媒)である。この触媒は、上記一般式[I]と上記一般式[II]とで構成される。特に、上記一般式[I]と上記一般式[II]とによる錯体である。好ましくは上記一般式[Z]で表される化合物を更に用いて構成される。

【0030】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。但し、本発明は上記した技術思想を逸脱しない範囲において如何なるものであっても良い。すなわち、以下の実施例によって何ら制約を受けるものでは無い。

【0031】
[キラル銀触媒を用いる触媒的不斉[3+2]付加反応の反応操作]
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【0032】
減圧下で加熱乾燥した反応容器内がアルゴン置換された。この反応容器がグローブボックス中に持ち込まれた。そして、KHMDS(カリウムヘキサメチルジシラジド:0.015mmol)、AgOTf(銀トリフルオロメタンスルホネート:0.03mmol)、及び(R)-DTBM-SEGPHOS(0.03 mmol)が秤量され、反応容器内に入れられた。次に、グローブボックスから取り出された反応容器内に、トルエン(0.5mL)が加えられた。この後、25℃で15分間の撹拌が行われた。攪拌後、diethyl (benzylideneamino)methylphosphonate(0.30mmol)のトルエン溶液(0.5mL)と、アクリル酸tert-ブチルエステル(0.36mmol)のトルエン溶液(0.5mL)とが、順次、加えられた。そして、そのままの温度で2時間の撹拌が行われた。攪拌後、飽和塩化アンモニウム溶液(10 mL)が加えられ、反応が停止した。反応停止後、塩化メチレン(10mL)が加えられ、分液が行われた。そして、塩化メチレン(20mL)を用いての抽出が3回行われた。有機層が併せられ、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)による乾燥が行われた。得られた粗生成物が濾過、減圧濃縮された。この後、シリカゲル薄層クロマトグラフィ(hexane:ethyl acetate =1:2)にて精製され、下記に示される目的物が得られた。

【0033】
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【0034】
一般式[I]におけるR1とR2とで構成される基が-O-CH-O-、R3が3,5-dimethylphenylの化合物を用いた以外は上記実施例と同様に行った処、同様な結果が得られた。

【0035】
又、一般式[III](R4=Ph,R5=R6=H,R7=OEt)と一般式[IV](R8=COOBu,R9=H,R10=H,R11=OBu)との反応に、上記実施例の触媒(AgOTfと(R)-DTBM-SEGPHOSとKHMDSとの錯体)を用いて同様に行った処、同様な結果が得られた。
又、一般式[III](R4=Ph,R5=R6=H,R7=OEt)と一般式[IV](R8=H,R9=COOBu,R10=H,R11=OBu)との反応に、上記実施例の触媒(AgOTfと(R)-DTBM-SEGPHOSとKHMDSとの錯体)を用いて同様に行った処、同様な結果が得られた。