TOP > 国内特許検索 > 金属配線評価用パターン、半導体装置及び評価方法 > 明細書

明細書 :金属配線評価用パターン、半導体装置及び評価方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5057176号 (P5057176)
公開番号 特開2010-232384 (P2010-232384A)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
発行日 平成24年10月24日(2012.10.24)
公開日 平成22年10月14日(2010.10.14)
発明の名称または考案の名称 金属配線評価用パターン、半導体装置及び評価方法
国際特許分類 H01L  21/66        (2006.01)
H01L  23/522       (2006.01)
H01L  21/768       (2006.01)
H01L  21/3205      (2006.01)
FI H01L 21/66 Y
H01L 21/88 S
請求項の数または発明の数 11
全頁数 19
出願番号 特願2009-077629 (P2009-077629)
出願日 平成21年3月26日(2009.3.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成21年3月16日~20日 「2009年アメリカ物理学会 春季会議」において文書をもって発表
審査請求日 平成21年4月24日(2009.4.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】梅野 顕憲
【氏名】平川 一彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100109807、【弁理士】、【氏名又は名称】篠田 哲也
【識別番号】100148127、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 耕太
審査官 【審査官】滝谷 亮一
参考文献・文献 特開平03-195035(JP,A)
特開平04-154142(JP,A)
特開平05-190638(JP,A)
特開平06-209034(JP,A)
特開平11-067861(JP,A)
特開2001-007175(JP,A)
調査した分野 H01L 21/66
H01L 21/3205
H01L 23/52
特許請求の範囲 【請求項1】
半導体基板に配設された絶縁膜上の金属配線評価用パターンであって、
狭窄部と、該狭窄部の一端に接続される第1配線部と、該狭窄部の他端に接続される第2配線部と、を備えており、
上記第1配線部と上記第2配線部とが密着層上に形成され、該密着層が上記絶縁膜上に形成され、
上記狭窄部が上記絶縁膜上に直接形成されていることを特徴とする、金属配線評価用パターン。
【請求項2】
前記金属配線評価用パターンは、該金属配線評価用パターンに使用される金属材料のエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーを測定するためのパターンであることを特徴とする、請求項1に記載の金属配線評価用パターン。
【請求項3】
さらに、前記第1配線部及び前記第2配線部にそれぞれ接続されるパッド部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の金属配線評価用パターン。
【請求項4】
前記金属配線評価用パターンが、半導体装置内に配設されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属配線評価用パターン。
【請求項5】
前記金属配線評価用パターンは、さらに寿命測定用の金属配線評価用パターン部を備えており、
上記寿命測定用の金属配線評価用パターン部は、細線からなる配線部と該配線部の両端に接続されるパッド部とからなることを特徴とする、請求項1~の何れかに記載の金属配線評価用パターン。
【請求項6】
金属配線評価用パターンを備えた半導体装置であって、
上記金属配線評価用パターンは、半導体基板に配設された絶縁膜上に配設され、狭窄部と、該狭窄部の一端に接続される第1配線部と、該狭窄部の他端に接続される第2配線部と、を備え、
上記第1配線部と上記第2配線部とが密着層上に形成され、該密着層が上記絶縁膜上に形成され、
上記狭窄部が上記絶縁膜上に直接形成されており、
上記金属配線評価用パターンは、該金属配線評価用パターンに使用される金属材料のエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーを測定するためのパターンであることを特徴とする、半導体装置。
【請求項7】
前記金属配線評価用パターンは、さらに寿命測定用の金属配線評価用パターン部を備えており、
上記寿命測定用の金属配線評価用パターン部は、細線からなる配線部と該配線部の両端に接続されるパッド部とからなることを特徴とする、請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
金属配線評価用パターンを用いた金属配線の評価方法であって、
半導体基板上に配設された絶縁膜上に、狭窄部と該狭窄部の一端に接続される第1配線部と、該狭窄部の他端に接続される第2配線部と、からなる上記金属配線評価用パターンを形成し、
上記第1配線部及び第2配線部にランプ電圧を繰り返し印加し、
上記ランプ電圧によって上記第1配線部と上記第2配線部との間に流れる電流から上記狭窄部のコンダクタンスを計算し、
上記ランプ電圧によって、上記コンダクタンスが100G0から数百G0(ここで、G0は1量子コンダクタンスである。)の相1の状態から上記コンダクタンスが10~60G0の相2の状態を経て、上記狭窄部を破壊しナノ接合を形成し、
上記相2のランプ電圧の最大値である臨界接合電圧(Vc)のヒストグラムを作成し、
該ヒストグラムの最頻値の電圧に電荷素量(q)を乗じた値を、上記金属配線評価用パターンにおけるエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーの値として求めることを特徴とする、金属配線の評価方法。
【請求項9】
前記ランプ電圧を前記第1配線部と前記第2配線部との間に繰り返し印加する際に、前記金属配線評価用パターンを冷却することを特徴とする、請求項に記載の金属配線の評価方法。
【請求項10】
前記金属配線評価用パターンと共に、さらに細線からなる配線部と該配線部の両端に接続されるパッド部とからなる寿命測定用の金属配線評価用パターン部を形成することを特徴とする、請求項は9に記載の金属配線の評価方法。
【請求項11】
前記寿命測定用の金属配線評価用パターン部を用いて、高温下で金属配線の寿命を測定し、
上記金属配線の寿命と前記活性化エネルギーとから、金属配線の平均寿命を求めることを特徴とする、請求項10の何れかに記載の金属配線の評価方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属配線評価用パターン、半導体装置及び金属配線評価用パターンの評価方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、半導体装置における金属配線の信頼性の評価の際に用いられる金属配線評価用パターンと、金属配線評価用パターンを備えた半導体装置と、金属配線の信頼性を評価する評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路等の半導体装置に用いる金属配線の線幅は微細化の進展に伴い縮小し、現在は数百から40ナノメートル(nm)程度になっている。金属配線の電流密度が高くなるとそれに伴って断線故障が生じるおそれが高くなる。この断線故障の原因としては、所謂エレクトロマイグレーション(Electromigration)が知られている。
【0003】
エレクトロマイグレーションの原因の一つは、金属配線の材料となる電気的な伝導体の中で移動する電子と金属原子との間で運動量の交換が行われるため、イオンが徐々に移動することによって金属配線の形状に欠損が生じる現象である(非特許文献1~4参照)。エレクトロマイグレーションの他の原因は、ジュール加熱であり、金属配線材料中の原子の移動を加速する(非特許文献3、5参照)。
【0004】
上記した二つの機構は何れも金属配線材料中の原子の移動を促進する。原子は、主として結晶粒界を介して移動し(非特許文献2参照)、最終的に金属配線が断線する。
【0005】
このようなエレクトロマイグレーションによって誘起される断線は、大規模集積回路(VLSI)の金属配線における主要な故障原因となるので、金属配線の信頼性確保のためにVLSIが故障するまでの平均時間である平均故障寿命(MTTF:Mean Time To Failure)に関するデータ取得が必須となっている。これにより、種々の金属配線のMTTFから活性化エネルギーが実験的に求められている(非特許文献6,7参照)。
【0006】
半導体回路における金属配線の信頼性の指標であるMTTFに関するデータ取得のために、製造したVLSI又は金属配線試料を多数用意し、環境温度を変えながら金属配線試料が断線するまで長時間通電する、所謂高温加速試験が行われている。通電時間として数10~数1000時間が必要となる。金属配線試料の断線までの寿命と環境温度との関係から、断線耐性の指標となる活性化エネルギーを求めている。さらに、高温加速試験の結果を、VLSIの使用状態の温度まで外挿することによってMTTFを推定している。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】H. B. Huntington and A. R. Grone, J. Phys. Chem. Solids 20, 76 (1961)
【非特許文献2】P. S. Ho and T. Kwok, Rep. Prog. Phys. 52, 301 (1989)
【非特許文献3】A. Scorzoni, B. Neri, C. Caprile, F. Fantini, Mat. Sci. Rep. 7, 143 (1991)
【非特許文献4】J. R. Lloyd, Semicond. Sci. Technol. 12, 1177 (1997)
【非特許文献5】C. Durkan and M. E. Welland, Ultramicroscopy 82, 125 (2000)
【非特許文献6】M. Etzion, I. A. Blech, and Y. Komem, J. Appl. Phys. 46, 1455 (1975)
【非特許文献7】M. Hauschildt, M. Gall, S. Thrasher, P. Justison, L. Michaelson, R. Hernandez, H. Kawasaki, P. S. Ho, Appl. Phys. Lett. 88, 211907 (2006)
【非特許文献8】S. Gunther, A. Hitzke, and J. Behm, Surf. Rev. Lett. 4, 1103 (1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の金属配線のMTTFの取得には多数の試料を用意して、環境温度を変えて長時間の測定を必要とし、1回の評価に1000時間以上の時間とコストが必要となる。従来技術におけるMTTFの取得に要する時間及びコストは、金属配線開発において、より多様な材料や構造を活かすことの妨げとなっている。
【0009】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、金属配線断線の際の活性化エネルギーを短時間で直接求めることができる、金属配線評価用パターン及びこの評価用パターンを具備する半導体装置並びに評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の目的を達成するため、本発明は、半導体基板に配設された絶縁膜上の金属配線評価用パターンであって、狭窄部と、狭窄部の一端に接続される第1配線部と、該狭窄部の他端に接続される第2配線部と、を備えており、第1配線部と第2配線部とが密着層上に形成されると共に、該密着層が上記絶縁膜上に形成され、狭窄部が絶縁膜上に直接形成されていることを特徴とする、

【0011】
上記構成において、金属配線評価用パターンは、好ましくは、金属配線評価用パターンに使用される金属材料のエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーを測定するためのパターンである。
上記第1配線部及び第2配線部にはそれぞれパッド部が接続されていると好ましい。
金属配線評価用パターンは、好ましくは、半導体装置内に配設されている。
さらに、金属配線評価用パターンは、好ましくは、寿命測定用の金属配線評価用パターン部を備えており、寿命測定用の金属配線評価用パターン部は、細線からなる配線部と配線部の両端に接続されるパッド部とからなる

【0012】
上記第2の目的を達成するため、本発明の半導体装置は、金属配線評価用パターンを備え、この金属配線評価用パターンは、半導体基板に配設された絶縁膜上に配設され、狭窄部と、狭窄部の一端に接続される第1配線部と、該狭窄部の他端に接続される第2配線部と、を備え、第1配線部と第2配線部とが密着層上に形成されると共に、該密着層が上記絶縁膜上に形成され、上記狭窄部が上記絶縁膜上に直接形成されており、金属配線評価用パターンに使用される金属材料のエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーを測定するためのパターンであることを特徴とする。
この金属配線評価用パターンは、寿命測定用の金属配線評価用パターン部を備えていてもよく、この寿命測定用の金属配線評価用パターン部は、細線からなる配線部と該配線部の両端に接続されるパッド部とからなる

【0013】
上記第3の目的を達成するため、本発明は、金属配線評価用パターンを用いた金属配線の評価方法であって、半導体基板上に配設された絶縁膜上に、狭窄部と狭窄部の一端に接続される第1配線部と、狭窄部の他端に接続される第2配線部と、からなる金属配線評価用パターンを形成し、第1配線部及び第2配線部にランプ電圧を繰り返し印加し、ランプ電圧によって第1配線部と第2配線部との間に流れる電流から狭窄部のコンダクタンスを計算し、ランプ電圧によって、コンダクタンスが100Gから数百G(ここで、Gは1量子コンダクタンスである。)の相1の状態からコンダクタンスが10~60Gの相2の状態を経て、狭窄部を破壊しナノ接合を形成し、相2のランプ電圧の最大値である臨界接合電圧(Vc)のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの最頻値の電圧に電荷素量(q)を乗じた値を、金属配線評価用パターンにおけるエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーの値として求めることを特徴とする。
【0014】
上記構成において、ランプ電圧を第1配線部と第2配線部との間に繰り返し印加する際には、金属配線評価用パターンを冷却してもよい。金属配線評価用パターンと共に、細線からなる配線部と配線部の両端に接続されるパッド部とからなる寿命測定用の金属配線評価用パターン部を形成してもよい。
寿命測定用の金属配線評価用パターン部を用いて、高温下で金属配線の寿命を測定し、金属配線の寿命と活性化エネルギーとから、金属配線の平均寿命を求めることができる。

【0015】
上記構成によれば、集積回路等の半導体装置中の金属配線の信頼性を、金属配線と同じ材料の原子数十個ほどからなる微小な接合を用い、原子一つずつの微小断線を何度も生じさせ、そのときの接合電位差を精密に測定し、統計処理することで、信頼性の指標である金属配線の断線における活性化エネルギーを直接に、かつ、短時間で求めることができる。さらに、通常の寿命試験を高温で行うことによって平均寿命の測定も、短時間で行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属配線の断線耐性の評価項目である活性化エネルギーや平均寿命を劇的に低い時間コストで評価することができる金属配線評価用パターン、半導体装置及び評価方法を提供することができる。これにより、材料や微視的な結晶構造の違いといった多様な配線構造の断線耐性を比較検討することが可能となり、金属配線の開発に大きく寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態である金属配線評価用パターンの構成を示す模式的な断面図である。
【図2】図1の模式的な部分平面図である。
【図3】本発明の実施の形態である金属配線評価用パターンの構成の変形例を示す模式的な断面図である。
【図4】図3の模式的な部分平面図である。
【図5】金属配線評価用パターンの変形例を模式的に示す平面図である。
【図6】金属配線評価用パターンの変形例を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の金属配線評価用パターンを用いた金属配線の評価を行う金属配線評価装置のブロック図である。
【図8】金属配線評価用パターンに通電してからナノギャップ電極が形成されるまでのコンダクタンスの時間軸における変化を模式的に示す図である。
【図9】RjをVcの関数として示す図である。
【図10】MTTFを求めるための片対数グラフである。
【図11】狭窄部の走査型電子顕微鏡像であり、(A)がナノ接合を、(B)がナノギャップ電極を示している。
【図12】実施例に関し、金属配線評価用パターンのランプ電圧印加直後におけるコンダクタンスと印加電圧の関係を示す図である。
【図13】実施例に関し、金属配線評価用パターンの相1におけるコンダクタンスの時間依存性を示す図である。
【図14】実施例に関し、金属配線評価用パターンの相2におけるコンダクタンスの時間依存性を示す図である。
【図15】実施例に関し、金属配線評価用パターンのRjと臨界接合電圧Vcの関係を示す図である。
【図16】相2のコンダクタンス測定で得た臨界接合電圧Vcの頻度を示すヒストグラムの一例である。
【図17】Gjが39Goのときのコンダクタンスの時間依存性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による金属配線評価用パターン及びその評価方法の実施の形態を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である金属配線評価用パターンの構成を示す模式的な断面図である。図2は図1の模式的な部分平面図である。
金属配線評価用パターン1は、半導体からなる基板11の表面側に設けられ絶縁膜12の表面に配設されている。半導体は半導体装置に用いられる基板であれば何でもよく、シリコン(Si)やGaAsやSiC等の化合物半導体からなる。

【0019】
絶縁膜12は、シリコン酸化膜(SiO)や窒化膜等を使用することができ、所謂層間絶縁膜でもよい。以下、絶縁膜12はシリコン酸化膜として説明する。

【0020】
金属配線評価用パターン1は、金属配線から形成されている。金属配線の材料としては、アルミニウム、銅、金等が挙げられる。

【0021】
図2は、金属配線評価用パターン1の模式的な平面図である。図2のI-I線に沿った断面が図1である。
金属配線評価用パターン1は、狭窄部2と、この狭窄部2を両側で挟むように配置された左側の第1配線部3と右側の第2配線部4と、から構成されている。図示の場合、第1配線部3及び第2配線部4は三角形のパターンを有している。各三角形の頂点同士が対向しており、この頂点同士の接続する位置に狭窄部2が設けられている。狭窄部2は、後述するように、第1配線部3及び第2配線部4へ電源を接続し、電流を流すことによって最終的には損傷させ、第1配線部3と第2配線部4との電気的接続を無くすために設けている。後述するが、金属配線評価用パターン1によれば、金属配線の破壊におけるエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーを測定することができる。

【0022】
金属配線評価用パターン1は、第1配線部3に接続されるパッド部5と第2配線部4に接続されるパッド部6を備えていてもよい。パッド部5,6は、金属配線評価用パターン1と同時に形成することができる。また、図示するように、パッド部5,6は、金属配線評価用パターン1の形成後に形成してもよい。

【0023】
金属配線評価用パターン1は、基板11上に絶縁膜12を形成し、絶縁膜12上に形成することができる。金属配線となる材料の金属層を蒸着法、CVD法等で堆積し、金属層を金属配線評価用パターン1に形成する工程によって形成することができる。金属配線評価用パターン1の形状は、リソグラフィとエッチングとの組合せによる工程等によって形成することができる。

【0024】
図3は、本発明の実施の形態である金属配線評価用パターンの構成の変形例を示す模式的な断面図である。図4は図3の模式的な部分平面図である。
金属配線評価用パターン1Aは半導体装置10の所定の領域に配置され、所謂評価用パターン(TEGとも呼ばれている)として配置されている。半導体装置10は、半導体からなる基板11の表面側に設けられた絶縁膜12と、基板11又は基板11の表面近傍に形成された素子13と、素子用の金属配線14を備えている。図示の場合、金属配線評価用パターン1Aは素子用の金属配線14と同じ材料から構成され、絶縁膜12の表面に配置されている。

【0025】
金属配線評価用パターン1Aは、半導体装置10の所定の領域に素子用の金属配線14と同時に形成することができる。具体的には、金属配線14となる材料の金属層を蒸着、CVDなどで堆積し、金属層を所定のパターンに形成する工程によって形成することができる。金属配線評価用パターン1Aの形状は、リソグラフィとエッチングとの組合せによる工程等によって形成することができる。

【0026】
図5は、金属配線評価用パターンの変形例を模式的に示す平面図である。図5に示すように、金属配線評価用パターン1Bにおいて、図3で示した素子用の金属配線14は、第1配線層7と第2配線層8とから構成されている。狭窄部2の下部は酸化膜12上に配置されており、第2配線層8だけで形成されている。第1配線部3及び第2配線部4は、酸化膜12上に形成された第1配線層7と第2配線層8とから形成されている。パッド部5,6も第1配線部3及び第2配線部4と同様に2層構造によって形成することができる。

【0027】
第1配線層7は例えばTi等の密着層であり、第2配線層8は、半導体装置10の電極となる配線層であって、上記したアルミニウム、銅、金等からなる。第2配線層8は、第1配線層7よりも厚く形成されている。第1配線部3、第2配線部4を、Tiからなる第1配線層7と金からなる第2配線層8とで形成した場合には、酸化膜12との密着がよくなる。金からなる狭窄部2は、酸化膜12上に配置されているが、第1配線部3及び第2配線部4の第2配線層8に接続しているので、酸化膜12との密着性はよくないが、酸化膜12からは剥離しないようになる。
これにより、金属配線評価用パターン1Bによれば、狭窄部2が断線の評価対象となる第2配線層8だけで構成されるので、第1配線層7の影響を受けずに第2配線層8の断線評価を正確に行うことができる。

【0028】
上記説明では、金属配線評価用パターン1Bの狭窄部2以外を2層、つまり、金属配線14が2層で構成される例を示したが、金属配線14が多層で形成されてもよい。この場合、密着層以外の最も断面積の大きい主となる配線層だけで狭窄部2を形成すればよい。主となる配線層は、金属配線14の断線評価をする配線層である。

【0029】
図6は、金属配線評価用パターンの変形例を模式的に示す平面図である。図6に示すように、金属配線評価用パターン1Cは、活性化エネルギー測定用の金属配線評価用パターン1,1A,1Bの何れかと、寿命測定用の金属配線評価用パターン部15とから構成されている。金属配線評価用パターン部15は、細線からなる配線部16と、この配線部16の両端に接続されるパッド部5,6とから形成されている。この金属配線評価用パターン部15は、所謂従来の寿命測定用の配線パターンと同様の構成を有しており、細線の幅は最小加工寸法としてもよい。金属配線評価用パターン1(1A,1B)と金属配線評価用パターン部15は、同じ金属配線を用いて同時に形成する。さらに、金属配線評価用パターン1(1A,1B)と金属配線評価用パターン部15は、図示するように複数個配設してもよい。

【0030】
次に、本発明の金属配線評価用パターン1,1A,1Bを用いた金属配線の評価を行う装置及び評価方法について説明する。評価装置及び評価方法は、金属配線評価用パターン1,1A,1Bに依存しない。このため、以下の説明では金属配線評価用パターン1として説明する。
図7は、本発明の金属配線評価用パターンを用いた金属配線の評価を行う金属配線評価装置のブロック図である。金属配線評価装置20は、測定試料となる金属配線評価用パターン1の試料載置部22と、金属配線評価用パターン1に接続端子24を介して電圧を印加する電圧発生部26と、金属配線評価用パターン1に電圧を印加したときに流れる電流を測定する電流検出部28と、制御部30と、から構成されている。

【0031】
金属配線評価装置の試料載置部22は、金属配線評価用パターン1を一定温度にするための恒温槽や冷凍器32を含んで構成されている。さらに、金属配線評価用パターン1と、試料載置部22と、接続端子24とは、図示しない真空槽内に配置してもよい。後述するように、金属配線評価用パターン1によってエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーを求める場合、試料載置部22の温度は室温でもよい。さらに、金属配線評価用パターン1の熱エネルギーの揺らぎを抑圧するために試料載置部22を冷却してもよい。熱エネルギーはkT(ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温度(K)である。)で見積もられ、室温では約0.03eVである。これにより、特に活性化エネルギーとして、少数点以下2桁台の精度が要求される場合には、試料載置部22を冷却する。

【0032】
接続端子24としては、W線の針等を用いたプローブを使用することができる。

【0033】
電圧発生部26はランプ波を発生する。ランプ波は、1サイクルの掃印の間に電圧値が直線的に増加し、それから急に元の値に戻って、次のサイクルを開始するような掃印電圧を繰り返して発生する回路である。

【0034】
電流検出部28の一端は電圧発生部26の出力端子に接続され、電流検出部28の他端は接続端子24の一端に接続されている。接続端子24の他端は、電圧発生部26の接地側に接続されている。
ここで、電流検出部28の他端と接続端子24の一端との間には、雑音除去用のフィルタ32が挿入されていてもよい。フィルタ32としては、例えば高周波除去用のローパスフィルタを用いることができる。

【0035】
制御部30は、電圧発生部26で発生するランプ波を制御すると共に、ランプ波の電圧と電流検出部28で検出された電流値から金属配線評価用パターン1のコンダクタンスを計算する。制御部30は、電子計算機32から構成されている。このような電子計算機32としては、パーソナルコンピュータを用いることができる。電子計算機32は、ランプ波や金属配線評価用パターン1のコンダクタンス等を表示するディスプレー部36を備えていてもよい。

【0036】
(金属配線評価用パターン1を用いた金属配線の評価方法)
次に、本発明の金属配線評価用パターン1を用いた金属配線の評価方法について説明する。

【0037】
金属配線評価用パターン1への電圧ストレスの印加前に、測定系の全抵抗Rs(=V/I)を測定する。全抵抗Rsは、パッシブなローパスフィルタの直列抵抗を含み、測定系の時間に独立な直列抵抗である。金属配線評価用パターン1の抵抗は、全抵抗Rsを差し引いた値となる。

【0038】
次に、金属配線評価用パターン1へ遅い帰還制御された電圧ストレスによって金属配線評価用パターン1の破壊工程を行う。バイアス電圧Vは、電流を監視しながら行う。ランプ電圧の時間に対する上昇は、例えば1mV/200msである。

【0039】
金属配線評価用パターン1におけるエレクトロマイグレーションの前兆は、コンダクタンスG(ここで、G(i)=I/V(I))、と微分コンダクタンス(ΔI/ΔV(i))の増加を監視することによって、ランプ電圧の印加中に検出される。ここで、iは電圧ステップ数である。ΔVは、例えば10mVに設定することができる。

【0040】
ランプ電圧は、一例として微分コンダクタンス(ΔI/ΔV(i+1))が、大凡G(i)になるまで上昇させた。つまり、ΔI/ΔV(i+1)≒G(i)である。
しかしながら、微分コンダクタンスがある閾値よりも小さいG(i)になったときには、ランプ電圧Vがエレクトロマイグレーション工程で安定するように、急激に減少させた。減少度合いは、例えば10%である。

【0041】
微分コンダクタンスの閾値は、経験的に調整することができる。閾値は破損が発展するように典型的には80%から200%まで増加させた。

【0042】
制御されたストレスと緩和を繰り返すことによって、金属配線評価用パターン1の狭窄部2は徐々に破壊する。最終的には、狭窄部2は無くなり、金属配線評価用パターン1は、第1配線部3と第2配線部4とがnmオーダーの間隔で対向した、所謂ナノギャップ電極となる。

【0043】
金属配線評価用パターン1の狭窄部2へランプ電圧によって電気的なストレスを数回繰り返すにつれて、エレクトロマイグレーションは進行し、回路抵抗であるRは初期値Rsから増加する。この回路抵抗Rから初期値Rsを差し引いたR-Rsが、金属配線評価用パターン1の正味の抵抗である。Rの増加は、狭窄部2におけるナノギャップ接合の形成に起因している。

【0044】
金属配線評価用パターン1の抵抗Rjは、下記(1)式で定義される。
Rj=R-Rs (1)
金属配線評価用パターン1のコンダクタンスGjは、下記(2)式で定義される。
Gj=(R-Rs)-1=1/Rj (2)

【0045】
金属配線評価用パターン1に印加される電圧Vjにおいて、電圧降下がほぼ狭窄部2で生じるので、狭窄部2の接合電圧はVjと近似的に表わされる。従って、Vjは下記(3)式で与えられる。
Vj=I/Gj (3)
ここで、Iは、金属配線評価用パターン1を流れる電流である。

【0046】
上記各式のRj,Gjは、印加するランプ電圧と測定されるIから制御部30で計算される。例えば、計算されたGj,Vj等の時間変化は、ディスプレー装置34に表示される。

【0047】
図8は、金属配線評価用パターン1に通電してからナノギャップ電極が形成されるまでのコンダクタンスの時間軸における変化を模式的に示す図である。図8に示すように、コンダクタンスは相1から相2へ変化することによって、金属配線評価用パターン1の狭窄部2の破壊が進展し、相2の最後で狭窄部2がなくなりナノギャップ電極が形成される。
初期のコンダクタンスの非常に緩やかな減少の後、電圧帰還制御が開始される。そしてG-V特性は、狭窄部2の破壊工程の進展につれて、電圧Vが減少するという傾向を有した複雑なパターンを示し始める。相1では、Gjが、Gの数百倍大きい初期段階では、電圧のストレス及び緩和の制御に同期して、Gjは、急激な減少と完全でない復帰を繰り返し示す。Gは1量子コンダクタンスであり下記(4)式で表わされる。
=2e/h (4)
ここで、eは電子の単位電荷であり、hはプランク定数である。

【0048】
相1から相2の変換点のコンダクタンスGjが、例えばGの数十倍になると、エレクトロマイグレーションモードが変化することが分かる。相1から相2の変換点のコンダクタンスGjは、金属配線評価用パターン1の試料毎、或いは用いる金属材料でも若干異なるが、100G未満で、特に50G程度以下の値となることが多い。金属配線評価用パターン1が金配線からなる場合には、相1から相2の変換点のコンダクタンスGjは用いる10G~60G程度である。

【0049】
しかしながら、図8に相2として示すように、Gjは量子化コンダクタンスの平坦部を有するようになり、連続的にGずつ階段状に減少するようになる。これは、相2のエレクトロマイグレーションが、金の原子の連続的な1個ずつの剥離が進行していることを示している。相2をバリスティック相とも呼ぶことにする。

【0050】
図8の相1及び相2の状態をさらに詳しく調べるために、接合電圧Vjにおける臨界接合電圧Vcを定義する。臨界接合電圧Vcは、Gjが急激に減少し始めるときの接合電圧Vjであり、基本的には図8の相1及び相2に示しているように、鋸波状の接合電圧Vjの最大値に等しい電圧とする。

【0051】
図9は、RjをVcの関数として示す図である。図の横軸は臨界接合電圧Vc(V)であり、図の縦軸はRj(h/(2e))である。h/(2e)は、1量子コンダクタンスの逆数であり、1量子抵抗である。
図9に示すように、Rjが小さいときは、RjとVcとの関係(Rj-Vc特性とも呼ぶ)は、従来のジュール加熱モデルであるRj=Vc/P*で良く表わされる。ここで、P*は定数であり、接合におけるエレクトロマイグレーションが生起するときの臨界電力消費として説明することができる。

【0052】
しかしながら、相2において狭窄部2の幅が数十原子位に狭くなると、Rj-Vc特性は一定電力の線からはずれるようになる。これは、狭窄部2において、熱ではない機構、つまり、エレクトロマイグレーション工程が生起し始めることを意味している。これにより、Gjが数十Go(Gj<数十Go)の電子輸送機構は、バリスティック伝導であることが示唆される。

【0053】
相2では、金属配線評価用パターン1のコンダクタンス変化は、1量子コンダクタンスずつの連続的な低下が観測される。1量子コンダクタンスは、狭窄部2の接合電圧が臨界値を超えたときの配線材料に用いる原子の一つずつの剥離に相当する。

【0054】
(エレクトロマイグレーションにおける活性化エネルギーの求め方)
金属配線評価用パターン1の狭窄部2におけるエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーは、相2における臨界接合電圧Vcのヒストグラムを作成し、最も頻度の高い電圧から求めることができる。つまり、最頻値の電位差×(電荷素量q:1.6×10-19C)として活性化エネルギーの値が求められる。
これにより、金属配線評価用パターン1の狭窄部2において、相2の臨界接合電圧のヒストグラムによってピーク値を求めることによって、配線材料に用いる原子の表面自己拡散過程の活性化エネルギーを求めることができる。

【0055】
さらに、相2の臨界接合電圧のヒストグラムにおけるピーク値は、配線材料に用いる原子のMTTFの活性化エネルギーと一致する。MTTFは、別途、従来の配線材料の信頼性試験から求められた値である。結果は、エレクトロマイグレーションが熱由来ではないことを示し、その素過程は、粒界における単一の伝導電子から単一の金属原子に対して続いて運動エネルギーの伝達によって生起(誘起)される表面拡散である。

【0056】
本発明の金属配線評価方法によれば、金属配線評価用パターン1は半導体装置10と同じ材料からなり、狭窄部2にランプ電圧を繰り返し通電することによって原子数が数十個ほどからなる相2の状態とし、狭窄部2を微小な接合とし、これに精密にランプ電圧を通電することで、原子一つ分の微小断線を何度も生じさせ、観測される臨界接合電圧Vcの頻度分布から直接、(最頻値の電位差)×(電荷素量q=1.6×10-19C)として活性化エネルギー(eV)の値を求めることができる。

【0057】
(MTTFの測定方法)
次に、金属配線の平均故障寿命(MTTF)の測定方法について説明する。
上記した評価方法によって金属配線評価用パターン1,1A,1Bを用いて、金属配線のエレクトロマイグレーションにおける活性化エネルギーを求めることができる。さらに、金属配線評価用パターン1Cを用いることで、MTTFを測定することができる。
金属配線評価用パターン1の測定は、以下の工程によって求めることができる。
工程1:金属配線評価用パターン1Cにおいて、上記の方法によって、金属配線評価用パターン1,1A,1Bの何れかに用いる金属材料のエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーを求める。以下の説明では、金属配線評価用パターン1として説明する。
具体的には、金属配線評価用パターン1に通電を行い、狭窄部2の切断を行い、相2における臨界接合電圧を取得し、臨界接合電圧のヒストグラムを作成し、金属配線評価用パターン1に用いる金属材料のエレクトロマイグレーションの活性化エネルギーを求める。活性化エネルギーの精度を高めるためには、多数の金属配線評価用パターン1,1Aで活性化エネルギーを測定し、その平均値を活性化エネルギーとすることが望ましい。
工程2:金属配線評価用パターン1C内に金属配線評価用パターン1と共に配置されている寿命測定のための金属配線評価用パターン部15を用い、通常の寿命試験である劣化試験を高温(Th)で行い、劣化するまでの寿命を測定する。寿命測定の精度を向上させるには、高温は1点ではなく、複数の高温で行ってもよい。

【0058】
工程3:工程2で得た温度Thにおける寿命を片対数グラフへプロットする。図10は、MTTFを求めるための片対数グラフであり、横軸は絶対温度(K)の逆数(直線目盛り)で、縦軸は寿命(時間)の対数目盛りである。工程2で得た温度Thにおける寿命を丸印(○)で示している。
工程4:寿命tfは、下記(5)式で与えられる。
=Aexp(-Ea/(kT)) (5)
ここで、Aは定数、Eaはエレクトロマイグレーションの活性化エネルギー、kはボルツマン定数、Tは絶対温度(K)である。
従って、図10に示すように、片対数グラフへプロットした寿命の点を基準として、工程1で求めた活性化エネルギーを有する直線を低温側まで外挿線を描く。温度Thから低温側への外挿線を用い、低温側の寿命を得る。

【0059】
上記方法によれば、図6に示す金属配線評価用パターン1Cを用い、金属配線評価用パターン部15の劣化試験を高温で行うことによって、半導体装置10に用いる金属配線の寿命を測定することができる。この方法によれば、金属配線評価用パターン1(1A,1B)により短時間で求められる金属配線の活性化エネルギーと、高温側の少なくとも1点の寿命測定と、によってMTTFを求めることができる。このため、従来のMTTF測定のように、低温側(例えば200℃)から高温側(例えば500℃)まで複数の測定を行う必要がなくなる、特に、低温側での時間が掛かる寿命測定が不要となるので、短時間にMTTFを得ることができる。
【実施例1】
【0060】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(金属配線評価用パターン1の作製)
金属配線評価用パターン1は、高不純物密度添加のpSi基板11の表面に形成された酸化膜(SiO膜)上に形成した弱いナノ接合である狭窄部2を備えている。酸化膜12の厚さは100nmである。金属配線評価用パターン1は、材料として金を用い、電子ビーム露光と引き続きの影蒸着で行った。
【実施例1】
【0061】
密着層7として、2nmの厚さのTiを通常の入射で行った。次に、10nmの金層2層をそれぞれ、11°、-11°の角度で蒸着し、小さなオーバーラップ領域、つまり、狭窄部2を形成した。これにより、ごく僅かに重なった領域は、Tiからなる密着層7の影響が回避される。製作した金属配線評価用パターン1の狭窄部2の幅は150nmである。製作した金属配線評価用パターン1を、金属配線評価装置20の試料載置部22の銅ブロック上に載置し、真空にして4.2Kまで冷却し、エレクトロマイグレーションにおける活性化エネルギーを求めた。
【実施例1】
【0062】
金属配線評価用パターン1のうち狭窄部2は上記した遅い帰還制御によって破壊された。金属配線評価用パターン1に印加するランプ波は、電流を監視しながら1mV/200msで変化させた。ΔI/ΔV(i)の測定において、ΔVは10mVに設定した。閾値は経験的に調整し、破損が発展するように典型的には80%から200%まで増加させた。ランプ電圧によって制御されたストレスと緩和を繰り返すことによって、狭窄部2のナノ接合は、徐々に破壊してナノギャップ電極とした。
【実施例1】
【0063】
図11は、狭窄部2の走査型電子顕微鏡像であり、(A)がナノ接合を、(B)がナノギャップ電極を示している。加速電圧は50kVであり、倍率は20万倍である。
図11から明らかなように、ランプ電圧を精度良く繰り返し印加することで、ナノ接合及びナノギャップ電極を形成することができた。
【実施例1】
【0064】
図12~14は、実施例の金属配線評価用パターン1のコンダクタンス測定結果を示す図である。
図12は、実施例に関し、金属配線評価用パターンのランプ電圧印加直後におけるコンダクタンスと印加電圧の関係を示す図である。図12の横軸は電圧(V)を示し、図12の縦軸はコンダクタンス(mS)を示している。
図12に示すように、ランプ電圧印加直後の初期のコンダクタンスは、非常に緩やかに減少させた後、電圧帰還制御を開始した。コンダクタンスと電圧の特性(G-V特性とも呼ぶ)は、破壊工程の進展につれて、電圧Vが減少するという傾向を有している複雑なパターンを呈し始める。
【実施例1】
【0065】
図13は、実施例に関し、金属配線評価用パターンの相1におけるコンダクタンスの時間依存性を示す図である。図13の横軸は時間(秒)を、左縦軸及び右縦軸は、それぞれコンダクタンス(2e/h)、狭窄部2の接合電圧Vj(V)を示している。
図13に示すように、狭窄部2のコンダクタンスGjは、ランプ電圧の変化によって220G~195Gまで減少する場合を示している。このように、GjがGの百倍から数百倍と大きい初期段階では、ランプ電圧の上昇(ストレス)及び下降(緩和)の制御に同期して、狭窄部2のコンダクタンスGjは急激な減少と完全ではない増加(復帰)を繰り返し示すと共に、徐々に減少する。
【実施例1】
【0066】
図14は、実施例に関し、金属配線評価用パターンの相2におけるコンダクタンスの時間依存性を示す図である。図14の横軸及び縦軸は図13と同じである。
図14に示すように、狭窄部2の破壊工程における相2はGjがGの数十倍になると生じる相であり、相1からエレクトロマイグレーションモードの相2へ変化することが分かる。図14では、狭窄部2のコンダクタンスがランプ電圧の変化によって42G~30Gまで減少する場合を示している。相2では、Gjが量子化コンダクタンスの平坦部を有するようになり、連続的にGずつ階段状に減少するようになる。これは、相2で生起するエレクトロマイグレーションでは、金の原子の連続的な1個ずつの剥離が進行していることを示している。
【実施例1】
【0067】
図15は、実施例に関し、金属配線評価用パターンのRjと臨界接合電圧Vcの関係を示す図であり、2つの試料A,Bのデータを示している。図15の横軸は臨界接合電圧Vc(V)であり、縦軸はRj(h/(2e))である。
図15から明らかなように、Rjが小さい場合は、接合抵抗Rjと臨界接合電圧Vcの特性(Rj-Vc特性と呼ぶ)は図示する点線の傾きでRjが増加する。この領域が狭窄部2の接合における相1であり、RjとVcとの関係は、従来のジュール加熱モデルで表わされる。Rjが約0.02R以上では、相1とは異なる傾きとなり、Rj-Vc特性から相2へ移行することが分かる。このように、相2では、狭窄部2の接合の幅が数十原子位に狭くなり、Rj-Vc特性は一定電力の線からずれるようになる。
【実施例1】
【0068】
図16は、相2のコンダクタンス測定で得た臨界接合電圧Vcの頻度を示すヒストグラムの一例である。図16の横軸は臨界接合電圧Vc(V)を示し、縦軸は頻度を示している。
図16から明らかなように、臨界接合電圧Vcは0.25Vから0.6Vまでの範囲に分布し、ピークが0.42Vであることを示している。ピークの位置は、金線に対する信頼性試から経験的に決定された活性化エネルギーである0.42±0.02eV(非特許文献6参照)と等しいことが判明した。
【実施例1】
【0069】
さらに、ピークの位置は、ピークの位置は、走査型トンネル顕微鏡で実験的に決定された金の表面における自己拡散ポテンシャルである0.4eVから0.44eV(非特許文献8参照)と一致している。
【実施例1】
【0070】
上記結果から、エレクトロマイグレーションにおける素過程は、図16の挿入図(ポテンシャルダイヤグラム)に示すように、単一の伝導電子から単一の金属原子に対する運動エネルギーの伝達によって誘起される表面拡散である。図16に示すように、狭窄部2の破壊工程の最終段階のデータ点は1eVを越えており、この値は、バルクの金の凝集エネルギー(3.81eV)のオーダーである。これは、接合が、強い金属結合を有する数原子によって架橋されていることを示している。
【実施例1】
【0071】
図17は、Gjが39Goのときのコンダクタンスの時間依存性を示す図である。図17の実線及び点線は、それぞれ、Vjが0.32V及び0.46Vのときの異なる試料におけるGjを示している。
図17から明らかなように、Vjが0.32Vの場合には、Gjは変化しないことが分かる。一方、Vjが0.46Vの場合のGjは、時間と共に急激に減少していることが分かる。
【実施例1】
【0072】
これらの結果は、Vcのヒストグラム中の0.4Vのピークが金のナノ接合における金拡散に対する閾値を与えることを明瞭に示している。図17は、原子の拡散ポテンシャルに対して接合の印加電圧を注意深く選定することによって、BJ工程を原子単位で正確に制御することができる。
【実施例1】
【0073】
上記実施例から、金属配線評価用パターン1に設けた狭窄部2の破壊工程におけるランプ電圧の繰り返し印加によって、狭窄部2の金原子が40個、つまり、コンダクタンスが40G位からなる相2の状態とし、臨界接合電圧Vcを、さらに、精密に測定しつつ通電することで、原子一つ分ずつの微小断裂を何度も生じさせることが確認できた。狭窄部2に印加される臨界接合電圧Vcのヒストグラムから、臨界接合電圧Vcの最頻値として0.4Vを得て、狭窄部2の断線の活性化エネルギーとして0.4eVの値を得た。この活性化エネルギーは、従来の測定法で得られた値とよく一致することが判明した。
【実施例1】
【0074】
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれる。例えば、上記実施の形態で説明した金属配線評価用パターン1,1A,1B,1Cは、狭窄部2を有していれば、種々の半導体装置10に応じて様々なパターン形状とし得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A,1B,1C:金属配線評価用パターン
2:狭窄部
3:第1配線部
4:第2配線部
5,6:パッド部
7:第1配線層
8:第2配線層
10:半導体装置
11:基板
12:絶縁膜
13:素子
14:金属配線
15:寿命測定用の金属配線評価用パターン部
16:配線部
20:金属配線評価装置
22:試料載置部
24:接続端子
26:電圧発生部
28:電流検出部
30:制御部
32:恒温槽(冷凍器)
34:フィルタ
36:ディスプレー部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図13】
10
【図14】
11
【図15】
12
【図17】
13
【図11】
14
【図12】
15
【図16】
16