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明細書 :金属イオンの吸着剤、並びにそれを用いた吸着方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5046052号 (P5046052)
公開番号 特開2010-179205 (P2010-179205A)
登録日 平成24年7月27日(2012.7.27)
発行日 平成24年10月10日(2012.10.10)
公開日 平成22年8月19日(2010.8.19)
発明の名称または考案の名称 金属イオンの吸着剤、並びにそれを用いた吸着方法
国際特許分類 B01J  20/24        (2006.01)
C09K   3/00        (2006.01)
C22B   7/00        (2006.01)
C22B  58/00        (2006.01)
C22B   3/42        (2006.01)
C08L   5/08        (2006.01)
C08B  37/08        (2006.01)
FI B01J 20/24 B
C09K 3/00 108E
C22B 7/00 A
C22B 7/00 J
C22B 58/00
C22B 3/00 M
C08L 5/08
C08B 37/08
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2009-022864 (P2009-022864)
出願日 平成21年2月3日(2009.2.3)
審査請求日 平成24年1月31日(2012.1.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
発明者または考案者 【氏名】馬場 由成
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100130443、【弁理士】、【氏名又は名称】遠藤 真治
審査官 【審査官】松本 直子
参考文献・文献 特開平8-225601(JP,A)
特表2004-536190(JP,A)
特開2007-224333(JP,A)
特開平10-204104(JP,A)
馬場由成,キトサンを利用した選択性キレート樹脂の開発 廃水中の貴金属を選択的に回収するキトサン誘導体,水,1995年 6月,vol.37、No.7,16-25
調査した分野 B01J 20/24
C09K 3/00
C22B 3/42
C22B 7/00
C22B 58/00
C08B 37/08
C08L 5/08
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I)
【化1】
JP0005046052B2_000010t.gif
(式中、R及びRは同一又は異なって、それぞれ炭素数1~8の直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、Rは、置換又は非置換のフェニル基である)
で表されるキトサン誘導体を含む、金属イオンの吸着剤。
【請求項2】
式(II)
【化2】
JP0005046052B2_000011t.gif
で表されるキトサン誘導体を含む、金属イオンの吸着剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載のキトサン誘導体を含む、インジウム及びガリウムの吸着剤。
【請求項4】
請求項1又は2記載のキトサン誘導体を含む、希土類元素の吸着剤。
【請求項5】
インジウム及びガリウムから選ばれる一種以上を含む溶液に請求項1又は2記載の吸着剤を加える、インジウム及びガリウムの吸着方法。
【請求項6】
インジウム及びガリウムから選ばれる一種以上を含む溶液に請求項1又は2記載の吸着剤を加えて、インジウム及びガリウムから選ばれる一種以上が吸着した吸着剤を得た後、該吸着剤を酸性溶液で処理する、インジウム及びガリウムの回収方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属イオン、特に電子工業から排出される廃棄物、使用済み液晶パネル、亜鉛精錬残渣等に含まれるインジウム及びガリウムを回収するために用いられる吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、金属資源の高騰により、金属資源のリサイクルが工業スケールで行われ始めている。例えばインジウムは、フラットディスプレイ(FPD)や太陽電池等で使用されている透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)の原料であり、ITOターゲット材の需要増加に伴ってその価格が高騰している。FPD工場におけるエッチング廃液からのインジウムの回収や廃液晶パネルからのインジウムの回収は現在行われていない。これらの廃液には亜鉛と錫が含まれており、その中からインジウムを高選択的に回収する必要がある。
【0003】
さらに、インジウム及びガリウムは、亜鉛・鉛精錬の煙灰、残渣等に含まれており、これらからカドミウム、錫などと共に分離する必要がある。この分離は現在、亜鉛やアルミニウム金属粉末を加えて置換・析出させることにより行われている。しかしながら、この分離方法は複雑な工程からなり、選択性が低く、したがって高純度のインジウム及びガリウムを得るには多くの時間とプロセスが必要であった。
【0004】
一方、一次産業を多く抱える宮崎県では、農業、漁業や食品加工業から大量のバイオマス廃棄物(蜜柑果汁滓、蟹や海老殻など)が発生しており、海洋投棄ができなくなった現在、その処理法技術や有効利用技術の開発も急を要する課題となっている。特に、カニやエビ殻の構成成分であるキチンを原料として製造されるキトサンは、第一級アミノ基を有するカチオン性の高分子であり、繊維、膜、スポンジ、ビーズ等様々な形態に加工でき、機能性材料として期待されている。
【0005】
キトサン誘導体を利用した金属の吸着剤もいくつか知られており、例えば、キトサンのアミノ基にピリジン環又はチオフェン環を導入したキトサン誘導体からなる吸着剤(特許文献1)、キトサンのアミノ基にポリアミノカルボキシル基を有する炭化水素鎖を導入したキトサン誘導体からなる吸着剤(特許文献2)、キトサンのアミノ基にビス(カルボキシアルキル)アミノアルキルカルボニル基を導入したキトサン誘導体からなる吸着剤(特許文献3)、キトサンの2位の炭素がチオ尿素で修飾されたキトサン誘導体からなる吸着剤(特許文献4)、キトサンのアミノ基に4-(アルキルチオ)ベンジル基を導入したキトサン誘導体からなる吸着剤(特許文献5)等が挙げられる。
【0006】
しかしながら、インジウム及びガリウムの回収や、亜鉛精錬残渣におけるインジウム、ガリウム及び亜鉛の相互分離に利用することができるキトサン誘導体は従来知られていない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平6-227813号公報
【特許文献2】特開平8-103652号公報
【特許文献3】特開平10-204104号公報
【特許文献4】特開2000-264902号公報
【特許文献5】特開2004-255302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、バイオマス廃棄物を有効利用し、金属イオン、特に電子工業から排出される廃棄物、使用済み液晶パネル、亜鉛精錬残渣等に含まれるインジウム及びガリウムを効率的に回収することができる、キトサン誘導体からなる吸着剤、並びにその吸着剤を利用するインジウム及びガリウムの吸着・回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明者が鋭意研究を行った結果、ホスフィン酸型のキトサン誘導体が、現在使用されている工業用吸着剤とは異なり、ワンステップでインジウム及びガリウムを吸着・回収することができ、またインジウム、ガリウム及び亜鉛を効率的に相互分離することができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)式(I)
【化1】
JP0005046052B2_000002t.gif
(式中、R及びRは同一又は異なって、それぞれ炭素数1~8の直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、Rは、置換又は非置換のフェニル基である)
で表されるキトサン誘導体を含む、金属イオンの吸着剤。
【0011】
(2)式(II)
【化2】
JP0005046052B2_000003t.gif
で表されるキトサン誘導体を含む、金属イオンの吸着剤。
【0012】
(3)前記(1)又は(2)記載のキトサン誘導体を含む、インジウム及びガリウムの吸着剤。
(4)前記(1)又は(2)記載のキトサン誘導体を含む、希土類元素の吸着剤。
【0013】
(5)インジウム及びガリウムから選ばれる一種以上を含む溶液に前記(1)又は(2)記載の吸着剤を加える、インジウム及びガリウムの吸着方法。
(6)インジウム及びガリウムから選ばれる一種以上を含む溶液に前記(1)又は(2)記載の吸着剤を加えて、インジウム及びガリウムから選ばれる一種以上が吸着した吸着剤を得た後、該吸着剤を酸性溶液で処理する、インジウム及びガリウムの回収方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のキトサン誘導体を含む吸着剤は固体であるので、固液分離を容易に行うことができ、さらに有機溶媒を用いないため環境への負荷を最小限に抑えることが可能である。また、本発明の吸着剤は化学的に非常に安定であり、工業的な長期使用に最適である。
【0015】
本発明の吸着剤を用いることによって、金属イオン、特にインジウム、ガリウム及び亜鉛の相互分離を効率的に行うことができ、また電子工業から排出される廃棄物、使用済み液晶パネル、亜鉛精錬残渣等からワンステップでインジウム及びガリウムを吸着することができる。さらに、吸着させたインジウム及びガリウムは、酸性溶液により簡単に脱離させることができ、金属の回収が容易となる。なお、本発明の吸着剤は、希土類元素の吸着剤としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】キトサン及び生成物(PPAC)のIRスペクトルを示す図である。
【図2】キトサン及び生成物(PPAC)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図3】PPACによる水酸化ナトリウムの吸着等温線を示すグラフである。
【図4】PPACによる水酸化ナトリウムの吸着に関するLangmuirプロットである。
【図5】PPACビーズ上における硝酸ナトリウム溶液からの様々な金属イオンの吸着率を示すグラフである。
【図6】PPACとの接触時間に対する金属イオンの吸着率変化を示すグラフである。
【図7】Zn(II)及びIn(III)の混合比に対するそれぞれの金属イオンの吸着率変化を示すグラフである。
【図8】Zn(II)及びGa(III)の混合比に対するそれぞれの金属イオンの吸着率変化を示すグラフである。
【図9】Ga(III)及びIn(III)の混合比に対するそれぞれの金属イオンの吸着率変化を示すグラフである。
【図10】PPACによるシュウ酸溶液からの金属イオンの吸着率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。

【0018】
本発明のインジウム及びガリウムの吸着剤は、式(I)
【化3】
JP0005046052B2_000004t.gif
で表される架橋構造のキトサン誘導体を含むことを特徴とする。

【0019】
上記式(I)中、R及びRは、同一又は異なっていても良く、それぞれ炭素数1~8の脂肪族炭化水素基である。R及びRの例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の直鎖状又は分岐状アルキレン基、一以上の二重結合又は三重結合を有するアルケニレン基、アルキニレン基等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、Rで表される置換フェニル基における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基から選ばれる一以上の基が挙げられる。

【0020】
特に、式(I)において、R及びRが共にn-ペンチレン基であり、Rがフェニル基であるキトサン誘導体は、インジウム及びガリウムの吸着効率が高いため好ましい。この場合のキトサン誘導体の構造を下記式(II)に示す。

【0021】
【化4】
JP0005046052B2_000005t.gif

【0022】
上記のようなキトサン誘導体は、エビ・カニ殻等から得られるキチンを脱アセチル化することによってキトサンを得、そのキトサンを原料として通常の有機合成法を用いることで製造することができる。具体的には、例えば、まずキトサンに対してR及びRに対応するジアルデヒド(グルタルアルデヒド等)を反応させ、その後、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤と反応させることによって、2級アミンを有する架橋キトサンを製造する。続いて、その架橋キトサンに対し、置換/非置換のフェニルホスフィン酸及びパラホルムアルデヒドを反応させることにより、キトサンのアミノ基の部位にフェニルホスフィン酸を導入して式(I)の固体状のキトサン誘導体を得ることができる。

【0023】
以上のようなキトサン誘導体は、金属イオンの中でもインジウムもしくはガリウム、又はその両方を選択的に吸着するため、電子工業から排出される廃棄物、及び使用済み液晶パネル等からのインジウムの回収、亜鉛精錬残渣からのインジウム及びガリウムの回収に利用することができる。インジウム及びガリウムを吸着させるには、まずインジウム及び/又はガリウムを含む溶液を調製し、その溶液に固体状のキトサン誘導体を加え、攪拌等を行いキトサン誘導体とインジウム及び/又はガリウムのイオンと接触させることにより行う。その後、キトサン誘導体をろ過等によって溶液から除去することにより、インジウム及び/又はガリウムを溶液から分離することができる。

【0024】
キトサン誘導体に対する金属イオンの吸着が平衡状態に至るまでの攪拌時間等の条件は、溶液中の金属イオンの濃度等によって変わり、特に限定されるものではない。平衡状態における溶液のpHは、いずれの値であってもインジウム及びガリウムの吸着は可能であるが、溶液中に他の金属イオンが存在する場合に、インジウム及びガリウムに対する選択性をより高めるため、例えば平衡pH=0~1になるよう、溶液のpHを予め調整することが好ましい。

【0025】
インジウム及び/又はガリウムを吸着させた固体状のキトサン誘導体は、酸性溶液で処理することにより、インジウム及び/又はガリウムを溶液中に脱離させ、それによって、キトサン誘導体を再生させると共に、インジウム及び/又はガリウムをリサイクル可能な状態で回収することができる。

【0026】
酸性溶液としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、あるいは酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸の溶液を挙げることができる。酸の量は、酸の種類等によっても異なるが、脱離させる金属イオンに対して1~3倍モル程度とすることが好ましい。また、酸の濃度は、例えば塩酸では0.1~5mol/dm、好ましくは1~2mol/dmとすることが好ましいが、酸の種類等によって異なり、この範囲に限定されるものではない。

【0027】
本発明のキトサン誘導体は、インジウム及びガリウム以外に、希土類元素の吸着剤としても用いることができる。希土類元素としては、ネオジム、サマリウム、テルビウム、イットリウム、ランタン等を挙げることができる。キトサン誘導体への希土類元素の吸着は、上述のインジウム及びガリウムの吸着方法に準じて行うことができる。
【実施例】
【0028】
1.フェニルホスフィン酸を導入したキトサン誘導体:PPAC(Phenylphosphinic acid chitosan)の合成
キトサン微粒子(OWOC;粒径212~300μm)8.0g(49.7mmol)をDMSO100cmに分散させ、攪拌翼を用いて120rpm、60℃で1時間攪拌し、グルタルアルデヒド100cmを加え、24時間攪拌を行った。ろ過後、洗浄を行い、さらに蒸留水100cmに分散させ、常温で60分間攪拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム18.8g(497mmol:キトサンの10等量)を粉末のまま1時間以上かけて加え、24時間攪拌させ、2級アミンを有する架橋キトサンを得た。その後、洗浄を行い1Nの塩酸100cmに分散させ、90℃で1時間攪拌を行った後、フェニルホスフィン酸70.6g(497mmol:キトサンの10等量)を加え、6時間攪拌し、次いでパラホルムアルデヒド14.9g(497mmol:キトサンの10等量)を加え、さらに24時間攪拌した。ろ過後、洗浄を行い50℃乾燥機で1晩乾燥させた。以下に合成スキームを示す。
【実施例】
【0029】
【化5】
JP0005046052B2_000006t.gif
【実施例】
【0030】
キトサンと生成物のIRスペクトルを図1に示す。図1の結果より700cm‐1、754cm‐1にモノ置換ベンゼン由来のピークが確認された。また、リンとメチレン基の結合を示すピークが825cm‐1にも確認できた。よってキトサン微粒子へのフェニルホスフィン酸の導入はされていると考えられる。また、図2に、フェニルホスフィン酸導入前のキトサン微粒子(OWOC)とフェニルホスフィン酸導入後のSEM写真を示す。図2のSEM写真からフェニルホスフィン酸を導入後もキトサン微粒子(OWOC)の形状を維持していることが明らかとなった。
【実施例】
【0031】
2.PPACの官能基量の測定(NaOHの飽和吸着実験)
0.01、0.03、0.05、0.08、0.1、0.3、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、各溶液10cm中にPPACを0.1gずつ入れ、30℃恒温槽を用いて120rpm、24時間振とうした。その後、溶液をろ過し、ろ液を塩酸で中和滴定することにより水酸化ナトリウムの吸着量を求めた。
【実施例】
【0032】
PPACによるNaOHの吸着結果を図3、図4に示す。図3より吸着等温線がLangmuir型に類似していることからLangmuirの吸着式により、飽和吸着量と吸着平衡定数を算出した。その結果、相関関係を示すRが0.9992となったため、PPACの吸着は単分子層吸着であることが明らかとなった。Langmuirの吸着式を以下に示す。
【実施例】
【0033】
【数1】
JP0005046052B2_000007t.gif
【実施例】
【0034】
この式を以下のように変形する。
【数2】
JP0005046052B2_000008t.gif
【実施例】
【0035】
上式の直線の傾きから飽和吸着量、切片の逆数から吸着平衡定数を求めた。その結果、PPACにおける最大吸着量は3.48mmol/g、吸着平衡定数は0.23dm/mmolであった。
【実施例】
【0036】
3.PPACによる硝酸アンモニウム溶液からの金属イオンの吸着実験(pH依存性)
25mmol/dmの金属溶液を1mmol/dmの硝酸アンモニウム溶液で希釈し、1Nの硝酸とアンモニア水で適宜pHを調整した1mmol/dmの金属溶液15cmに、吸着剤PPACを0.05g加え、30℃恒温槽を用いて120rpmで24時間振とうした。その後、溶液をろ過し、平衡pHを測定した。原子吸光光度計またはICP発光分析装置を用いて金属イオン濃度の定量を行い、平衡前後の金属イオンの濃度差から吸着量を求めた。
【実施例】
【0037】
吸着実験の結果を図5に示す。今回の合成で得られた生成物では回収の目的としているIn(III)とGa(III)は高い吸着量を示し、キトサンよりも低pH領域で吸着されていた。この結果から本吸着剤は亜鉛精錬残渣からのIn(III)とGa(III)の回収が可能であると考えられる。
【実施例】
【0038】
4.PPACによる硝酸アンモニウム溶液からのIn(III)、Ga(III)の吸着平衡時間の測定
25mmol/dmの金属溶液(In(III)、Ga(III))を1mol/dmの硝酸溶液で希釈し、1mmol/dmの金属溶液を調製した。その溶液15cmに、吸着剤PPACを0.05g加え、30℃恒温槽を用いて120rpmで0.5時間から24時間振とうを行った。その後、溶液をろ過した。吸着平衡前後の金属イオン濃度を原子吸光光度計を用いて測定した。
【実施例】
【0039】
In(III)とGa(III)の吸着平衡時間の測定結果を図6に示す。グラフよりIn(III)の吸着平衡時間は7時間、Ga(III)は4時間であることが明らかとなった。
【実施例】
【0040】
5.PPACによる硝酸アンモニウム溶液からのIn(III)、Ga(III)、Zn(II)の分離実験
サンプル管にPPAC0.05gと各条件に設定した各金属イオン濃度を含む硝酸アンモニウム溶液を15cm加え、30℃恒温槽を用いて120rpmで24時間振とうを行った。その後、溶液をろ過した。原子吸光光度計を用いて吸着平衡前後の金属イオン濃度を測定した。
【実施例】
【0041】
In(III)とZn(II)混合溶液からのIn(III)の分離実験の結果を図7、Ga(III)とZn(II)混合溶液からのGa(III)の分離実験の結果を図8、In(III)とGa(III)混合溶液からのIn(III)の分離実験の結果を図9に示す。Zn(II)が大過剰に存在する溶液中からでも1回の実験でIn(III)またはGa(III)を70%から90%分離できることが示唆された。
【実施例】
【0042】
6.硝酸アンモニウム溶液中からIn(III)を吸着したPPACからのIn(III)の脱離実験
25mmol/dmのIn(III)を1mmol/dmの硝酸アンモニウム溶液で希釈し、1Nの硝酸とアンモニア水でpHを約2に調整した1mmol/dmのIn(III)溶液15cmに、吸着剤PPACを0.05g加え、30℃恒温槽を用いて120rpmで24時間振とうし、平衡させた。ろ過後、回収したPPACに対して15cmの脱離溶液(0.1mol/dmから5.0mol/dmの塩酸、0.1mol/dmと1.0mol/dmの酢酸、0.1mol/dmと1.0mol/dmのリン酸)を加え、再び恒温槽を用いて24時間振とうした。平衡後の金属イオン濃度及び脱離後の脱離溶液中の金属イオン濃度を、原子吸光光度計を用いて測定した。
【実施例】
【0043】
表1に、に各脱離溶液におけるIn(III)の脱離率を示す。どの脱離溶液を用いても100%脱離させることはできなかった。しかしほとんどの溶液において高い脱離率を示したため、2回程度脱離実験を行うことによってPPACの再生およびIn(III)の回収が可能であると考えられる。
【実施例】
【0044】
【表1】
JP0005046052B2_000009t.gif
【実施例】
【0045】
7.PPACによるシュウ酸溶液からの金属イオンの吸着実験
25mmol/dmの金属溶液を0.1Nから1.0Nのシュウ酸で希釈した1mmol/dmの金属溶液15cmに、吸着剤PPACを0.05g加え、30℃恒温槽を用いて120rpmで24時間振とうした。その後、溶液をろ過し、平衡pHを測定した。原子吸光光度計またはICP発光分析装置を用いて金属イオン濃度の定量を行い、平衡前後の金属イオンの濃度差から吸着量を求めた。
【実施例】
【0046】
吸着実験の結果を図10に示す。低濃度溶液中からはどの金属に対しても高い吸着量を示した。そしてシュウ酸濃度が高くなるに従って吸着量は減少した。目的金属であるIn(III)は特に高濃度になるにつれての減少度が大きいことが明らかになった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9