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明細書 :金属イオンの抽出剤、及び抽出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5317273号 (P5317273)
公開番号 特開2010-180430 (P2010-180430A)
登録日 平成25年7月19日(2013.7.19)
発行日 平成25年10月16日(2013.10.16)
公開日 平成22年8月19日(2010.8.19)
発明の名称または考案の名称 金属イオンの抽出剤、及び抽出方法
国際特許分類 C22B   3/26        (2006.01)
C22B  11/00        (2006.01)
C22B  58/00        (2006.01)
C22B  19/20        (2006.01)
B01D  11/04        (2006.01)
C09K   3/00        (2006.01)
FI C22B 3/00 J
C22B 11/00 101
C22B 58/00
C22B 19/20
B01D 11/04 B
C09K 3/00 108D
請求項の数または発明の数 7
全頁数 9
出願番号 特願2009-022879 (P2009-022879)
出願日 平成21年2月3日(2009.2.3)
審査請求日 平成24年1月31日(2012.1.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
発明者または考案者 【氏名】馬場 由成
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100130443、【弁理士】、【氏名又は名称】遠藤 真治
審査官 【審査官】田代 吉成
参考文献・文献 特開平10-102155(JP,A)
国際公開第2009/001897(WO,A1)
特開2000-26345(JP,A)
国際公開第2005/083131(WO,A1)
調査した分野 C22B 3/26
B01D 11/04
C09K 3/00
C22B 11/00
C22B 19/20
C22B 58/00
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I)
【化1】
JP0005317273B2_000005t.gif
(式中、Rは炭素数6~18の直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基である)
で表されるプロリン誘導体又はその塩を含む、金属イオンの抽出剤。
【請求項2】
Rが、炭素数10~18の直鎖状アルキル基である請求項1記載の金属イオンの抽出剤。
【請求項3】
パラジウム、白金及び金から選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含有する、濃度が0.1~1mol/dmの塩酸溶液に、請求項1又は2記載の抽出剤の有機溶媒溶液を加える、金属イオンの抽出方法。
【請求項4】
金属イオンとして少なくとも金を含有する、濃度が1~5mol/dmの塩酸溶液に、請求項1又は2記載の抽出剤の有機溶媒溶液を加える、金属イオンの抽出方法。
【請求項5】
金属イオンとして少なくともガリウムを含有する、濃度が3~5mol/dmの塩酸溶液に、請求項1又は2記載の抽出剤の有機溶媒溶液を加える、金属イオンの抽出方法。
【請求項6】
インジウム、ガリウム及び亜鉛から選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含有する硝酸アンモニウム溶液に、請求項1又は2記載の抽出剤の有機溶媒溶液を加える、金属イオンの抽出方法。
【請求項7】
抽出剤の有機溶媒溶液を加えて、金属イオンを有機溶媒溶液に抽出した後、前記有機溶媒溶液にチオ尿素水溶液を加えて前記金属イオンを逆抽出する、請求項3~6のいずれかに記載の金属イオンの抽出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属イオンの抽出剤に関する。さらに詳しくは、廃電子材料や廃電子機器に含まれる金、パラジウム、白金等の貴金属の回収もしくは相互分離、並びに使用済み液晶パネルや亜鉛精錬残渣等に含まれるインジウム及びガリウムの回収もしくは相互分離に好適に用いられる抽出剤、及びそれを利用した抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子工業において電子材料の製造工程で排出される廃棄物、自動車廃触媒、めっき廃液
等には微量の貴金属が含まれる。従来、これらの廃棄物から貴金属を回収することを目的として様々な工業用抽出剤が開発されている。代表的な抽出剤として、硫黄を配位原子とするジヘキシルスルフィド(DHS)やジオクチルスルフィド(DOS)のようなスルフィド類、あるいはLIXシリーズやPシリーズに代表されるヒドロキシオキシム類等が知られている。
【0003】
貴金属の中でも、金の回収にはスルフィド類が主に用いられている。しかしながら、スルフィド類は金を抽出すると共にパラジウムをも同時に抽出するので、金のみを回収しようとする場合にはパラジウムと金とを分離する工程が必要となる。また、金に選択的な抽出剤としてジブチルカルビトールが知られている(特許文献1)。しかし、このジブチルカルビトールは、金に対する選択性は必ずしも高くはない。そのため、ジブチルカルビトールによって抽出した後にスクラビング工程を行うことにより、共抽出された金以外の金属を逆抽出により除去し、金だけが有機相中に残存するよう処理する必要がある(特許文献2)。したがって、既存の抽出剤では貴金属の混合物の中から金だけを一段階で選択的に抽出し回収することはできなかった。
【0004】
一方、インジウムに関しては、フラットディスプレイ(FPD)や太陽電池等で使用されている透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)の原料であり、ITOターゲット材の需要増加に伴ってその価格が高騰している。FPD工場におけるエッチング廃液からのインジウムの回収や廃液晶パネルからのインジウムの回収は現在行われていない。これらの廃液には亜鉛と錫が含まれており、その中からインジウムを高選択的に回収する必要がある。
【0005】
さらに、インジウム及びガリウムは、亜鉛・鉛精錬の煙灰、残渣等に含まれており、これらからカドミウム、錫などと共に分離する必要がある。この分離は現在、亜鉛やアルミニウム金属粉末を加えて置換・析出させることにより行われている。しかしながら、この分離方法は複雑な工程からなり、選択性が低く、したがって高純度のインジウム及びガリウムを得るには多くの時間とプロセスが必要であった。
【0006】
特に、ガリウムは、半導体の原料等として優れた性能を有し、近年需要が増大しているため、高選択的な回収技術の開発が望まれている。従来のガリウムイオンの抽出剤として、(特許文献3)には、2つのフェノール性水酸基が特定の配向にあるキレート化合物が開示されているが、ガリウムに対する選択性の点で不十分であった。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平10-130744号公報
【特許文献2】特開平9-316561号公報
【特許文献3】特開平5-59006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、廃電子材料や廃電子機器に含まれる金、パラジウム、白金等の貴金属、特に金を高選択的に回収することができる抽出剤を提供することを目的とする。また本発明は、使用済み液晶パネルや亜鉛精錬残渣等に含まれるインジウム及びガリウムを効率的に回収もしくは相互分離することができる抽出剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明者は、アミノ酸の一種であるプロリンを配位基としたN-置換プロリン誘導体を合成し、その金属イオンに対する選択性を検討した結果、貴金属やインジウム及びガリウム等に対して高い選択性を示すことを見出し、発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0011】
(1)式(I)
【化1】
JP0005317273B2_000002t.gif
(式中、Rは炭素数6~18の直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基である)
で表されるプロリン誘導体又はその塩を含む、金属イオンの抽出剤。
【0012】
(2)Rが、炭素数10~18の直鎖状アルキル基である前記(1)記載の金属イオンの抽出剤。
(3)パラジウム、白金及び金から選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含有する、濃度が0.1~1mol/dmの塩酸溶液に、前記(1)又は(2)記載の抽出剤の有機溶媒溶液を加える、金属イオンの抽出方法。
(4)金属イオンとして少なくとも金を含有する、濃度が1~5mol/dmの塩酸溶液に、前記(1)又は(2)記載の抽出剤の有機溶媒溶液を加える、金属イオンの抽出方法。
(5)金属イオンとして少なくともガリウムを含有する、濃度が3~5mol/dmの塩酸溶液に、前記(1)又は(2)記載の抽出剤の有機溶媒溶液を加える、金属イオンの抽出方法。
(6)インジウム、ガリウム及び亜鉛から選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含有する硝酸アンモニウム溶液に、前記(1)又は(2)記載の抽出剤の有機溶媒溶液を加える、金属イオンの抽出方法。
(7)抽出剤の有機溶媒溶液を加えて、金属イオンを有機溶媒溶液に抽出した後、前記有機溶媒溶液にチオ尿素水溶液を加えて前記金属イオンを逆抽出する、前記(3)~(6)のいずれかに記載の金属イオンの抽出方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の抽出剤を用いることにより、卑金属等を含む塩酸溶液中から金、パラジウム、白金等の貴金属を高選択的に抽出することができる。特に、高塩酸濃度において金のみの抽出が可能であり、他のパラジウム、白金等の貴金属と相互に分離することができる。
【0014】
また、電子工業から排出される廃棄物、使用済み液晶パネル、亜鉛精錬残渣等からワンステップでインジウム及びガリウムを抽出することができる。特に、高塩酸濃度の溶液を形成することにより、大量のインジウムや亜鉛の存在下で、ガリウムのみを高選択的に抽出することが可能である。さらに、本発明によれば、有機相中に抽出した金属イオンは、チオ尿素水溶液によって逆抽出することが可能であり、金属イオンの濃縮・回収を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】抽出剤DPCAによる各種金属イオン抽出率に及ぼすpHの影響を示すグラフである。
【図2】抽出剤DPCAによる各種金属イオン抽出率に及ぼす塩酸濃度の影響を示すグラフである。
【図3】抽出剤DPCAによる混合系からのインジウム(III)及びガリウム(III)の抽出率に及ぼす塩酸濃度の影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。

【0017】
本発明の金属イオンの吸着剤は、式(I)
【化2】
JP0005317273B2_000003t.gif
で表されるプロリン誘導体又はその塩を含むことを特徴とする。ここで、置換基Rは、炭素数6~18、好ましくは10~18の直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、例として、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、2-メチルノニル基、2,7-ジメチルオクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基、一以上の二重結合又は三重結合を有するアルケニル基、アルキニル基等を挙げることができる。これらの脂肪族炭化水素基においては、場合により、一以上の水素原子が、フッ素等のハロゲンや水酸基等で置換されていても良い。

【0018】
好ましくは、置換基Rは、炭素数10~18の直鎖状アルキル基である。この範囲の鎖長を有することにより、式(I)のプロリン誘導体が有機溶媒に易溶となり、金属イオンの抽出効率を向上させることができる。

【0019】
上記のようなプロリン誘導体は、アミノ酸であるプロリン(L-プロリン、D-プロリン)に対し、例えば置換基Rに対応する直鎖状又は分岐状アルカン、アルケン、又はアルキンのハロゲン化物を加え、求核置換反応を行ってピロリジン環の窒素原子に結合する水素原子をRで置換することによって得ることができる。

【0020】
また、プロリン誘導体の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられるが、これに限定されるものではない。そのような塩は、プロリン誘導体に、対応する塩基を作用させることによって得ることができる。

【0021】
以上のようなプロリン誘導体又はその塩は、Rの鎖長によって固体状又は液状となる。このプロリン誘導体又はその塩を有機溶媒に溶解させたものを、金、パラジウム、白金等の貴金属や、インジウム、ガリウム、亜鉛等の金属イオンを含む溶液と接触させることによって、これらの金属イオンを有機溶媒溶液側に液液抽出することができる。

【0022】
プロリン誘導体又はその塩を含む抽出剤を溶解させる有機溶媒としては、脂肪族化合物及び芳香族化合物を含む全ての有機溶媒が適用可能であり、例として、アルコール類(2-エチルヘキシルアルコール等)、有機塩素類(クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素類(ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等)等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても良く、あるいは複数を混合して用いても良い。

【0023】
金属イオンを抽出するには、まず対象とする金属イオンを含む溶液を調製し、その溶液に上記抽出剤の有機溶媒溶液を加え、攪拌等を行う。加える抽出剤の量は、抽出対象である金属イオンの種類、量に応じて適宜設定される。また、金属イオンの抽出が平衡状態に至るまでの攪拌時間、抽出温度等の条件は、溶液中の金属イオンの濃度等によって変わり、特に限定されるものではない。抽出の際、金属イオンを含む溶液のpH及び酸濃度等を適宜制御することにより、特定の金属イオンに対する選択性を高めることができる。以下に、本発明の抽出剤の適用例について示す。

【0024】
(a)パラジウム、白金及び金から選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含有する、濃度が0.1~1mol/dmの塩酸溶液に、本発明の抽出剤の有機溶媒溶液を加えることによって、それらの金属イオンを高選択的(約100%)に抽出することができる。これにより、廃電子材料や廃電子機器に含まれる貴金属を、他の卑金属等から効率的に分離することができる。

【0025】
(b)金属イオンとして少なくとも金を含有する、高塩酸濃度の溶液、具体的には濃度が1~5mol/dmの塩酸溶液に、本発明の抽出剤の有機溶媒溶液を加えることによって、金をそれ以外の貴金属から分離して抽出することができる。

【0026】
(c)金属イオンとして少なくともガリウムを含有する、高塩酸濃度の溶液、例えば濃度が3~5mol/dmの塩酸溶液に、本発明の抽出剤の有機溶媒溶液を加えることによって、ガリウムを高選択的に抽出することができる。この方法は、亜鉛精錬残渣等からガリウムのみを他のインジウムと分離して回収する場合に有利である。

【0027】
(d)インジウム、ガリウム及び亜鉛から選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含有する硝酸アンモニウム溶液に、本発明の抽出剤の有機溶媒溶液を加えることによって、それらの金属イオンを高選択的に抽出することができる。この場合、硝酸アンモニウム溶液のpHにより抽出される金属イオンの種類が異なる。例えばインジウムはpH1~2、ガリウムはpH2~3、亜鉛はpH5~7の範囲で高選択的に抽出される。したがって、予め硝酸アンモニウム溶液のpHを制御することにより、インジウム、ガリウム及び亜鉛を相互に分離して抽出することが可能である。

【0028】
有機溶媒溶液に金属イオンを抽出した後、この溶液にチオ尿素水溶液を加えることにより、金属イオンを水相側に容易にリサイクル可能な状態で回収・濃縮することができる。
【実施例】
【0029】
1.抽出剤:DPCA(1-Decyl-pyrrolidine-2-carboxylic acid)の合成
水酸化ナトリウム2.0g(0.05mol)をメタノール150cmに溶解した後、L-プロリン5.76g(0.05mol)を加え溶解させた。この溶液を室温で撹拌しながら1-ブロモデカン5.53g(0.025mol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、60℃のシリコンオイル中で21時間撹拌・還流させた。合成スキームを下記に示す。撹拌・還流を停止させた後、溶媒を減圧留去し、残留物に1N硫酸を適量(pHが酸性側になるまで)加え、クロロホルムで分液した。次いで、分取したクロロホルム相を蒸留水で数回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを加え脱水し、ろ過した。再度、溶媒を減圧留去し、白色固体(6.34g)を得た。その後、生成物をNMRにより同定した。NMRの結果、目的生成物が得られていると考えられた。収率は99.3%であった。
【実施例】
【0030】
【化3】
JP0005317273B2_000004t.gif
【実施例】
【0031】
2.硝酸アンモニウム溶液からの抽出試験
三角フラスコに、1Nの硝酸及びアンモニア水でpHを調整した水相(1mmol/dmの各金属イオンを含む1mol/dm硝酸アンモニウム溶液)、及び有機相(抽出剤濃度0.05mol/dmのクロロホルム溶液)をそれぞれ15cmずつ採取し、30℃恒温槽中で24時間振とう(120rpm)した。水相を採取した後、平衡pHを測定した。平衡前後の金属イオン濃度を原子吸光光度計およびICP発光分析装置を用いて測定し、抽出率を求めた。
【実施例】
【0032】
抽出剤DPCAによる各種金属イオン抽出率に及ぼすpHの影響を図1に示す。抽出挙動は、Fe(III)≒In(III)>Cu(II)≒Ga(III)>Ni(II)≒Zn(II)>Co(II)の順で低平衡pHから抽出された。インジウム(III)、ガリウム(III)及び亜鉛(II)は異なるpH0.5(それぞれ1.3、2.3及び5.6)を示したため、pHを制御することにより、これらの金属を相互に分離できる可能性が示唆された。一方、鉄(III)はインジウム(III)と、銅(II)はガリウム(III)と、ニッケル(II)は亜鉛とそれぞれほぼ同様の挙動を示したため、これらの金属間の分離は困難であることが示唆された。しかし、鉄(III)から鉄(II)への還元を行えばインジウム(III)との分離は可能になると考えられる。
【実施例】
【0033】
3.塩酸溶液からの抽出試験
三角フラスコに、金属イオンを所定濃度の塩酸溶液で希釈した水相(1mmol/dmの各金属イオンを含む0.1、0.3、0.5、1、3、5mol/dm塩酸溶液)、及び有機相(抽出剤濃度0.05mol/dmのクロロホルム溶液)をそれぞれ15cmずつ採取し、30℃恒温槽中で24時間振とう(120rpm)した。水相を採取した後、平衡塩酸濃度を中和滴定により算出した。平衡前後の金属イオン濃度を原子吸光光度計およびICP発光分析装置を用いて測定し、抽出率を求めた。
【実施例】
【0034】
抽出剤DPCAによる各種金属イオン抽出率に及ぼす塩酸濃度の影響を図2に示す。ほとんどの重金属は全塩酸濃度領域においてほぼ抽出されなかった。一方、貴金属であるPd(II)、Pt(IV)及びAu(III)は、0.1~1mol/dmの低塩酸濃度において100%抽出されるため、この領域で重金属との分離が可能である。また、Pd(II)およびPt(IV)は塩酸濃度の増加とともに抽出率が減少するため、この領域(1~5mol/dm)において貴金属間の分離の可能性が示唆される。また、Ga(III)については3mol/dm以上の塩酸濃度において抽出され、5mol/dmの高塩酸濃度においては100%抽出されることが分かった。したがって、塩酸濃度が3~5mol/dmの領域でIn(III)との分離が可能である。
【実施例】
【0035】
4.Ga(III)/In(III)混合系からの分離試験
三角フラスコに、インジウム(III)及びガリウム(III)を所定濃度の塩酸溶液で希釈した水相(In(III)及びGa(III)を各1mmol/dm含む0.1、0.3、0.5、1、3、4、5mol/dm塩酸溶液)、及び有機相(抽出剤濃度0.05mol/dmのクロロホルム溶液)をそれぞれ15cmずつ採取し、30℃恒温槽中で24時間振とう(120rpm)した。水相を採取した後、平衡塩酸濃度を中和滴定により算出した。平衡前後の金属イオン濃度を原子吸光光度計を用いて測定し、抽出率を求めた。
【実施例】
【0036】
抽出剤DPCAによる混合系からのインジウム(III)及びガリウム(III)の抽出率に及ぼす塩酸濃度の影響を図3に示す。上記3の試験の結果同様、インジウム(III)は全塩酸濃度領域でほとんど抽出されなかった。一方、ガリウム(III)は塩酸濃度の増加に伴い急激な抽出率の増加が見られた。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2