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明細書 :コイ由来抗菌剤の製造方法及び抗菌処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5598810号 (P5598810)
公開番号 特開2010-248075 (P2010-248075A)
登録日 平成26年8月22日(2014.8.22)
発行日 平成26年10月1日(2014.10.1)
公開日 平成22年11月4日(2010.11.4)
発明の名称または考案の名称 コイ由来抗菌剤の製造方法及び抗菌処理装置
国際特許分類 A61K  38/00        (2006.01)
A61K  35/60        (2006.01)
A61P  31/04        (2006.01)
FI A61K 37/02
A61K 35/60
A61P 31/04 171
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願2009-095745 (P2009-095745)
出願日 平成21年4月10日(2009.4.10)
審査請求日 平成24年3月29日(2012.3.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
発明者または考案者 【氏名】青木 恭彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100108280、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 洋平
審査官 【審査官】加藤 文彦
参考文献・文献 特開2005-097130(JP,A)
国際公開第2004/022732(WO,A1)
特開2005-211771(JP,A)
実開平06-048885(JP,U)
日本水産学会大会講演要旨集,2001年 4月,Vol.2001 春季,P.158,907
日本水産学会大会講演要旨集,1999年 4月,Vol.1999 春季,P.185,1126
日本水産学会大会講演要旨集,1996年10月,Vol.1996 秋季,P.122,821
日本水産学会大会講演要旨集,2003年 4月,Vol.2003,P.244,1116
日本水産学会大会講演要旨集,1995年 9月,Vol.1995 秋季,P.152,1046
Fishers Science,1996年,Vol.62, No.3,p.498-499
Chemical and Pharmaceutical Bulletin,1982年,Vol. 30, No. 3,p.966-972
Human genetics,1977年,Vol. 35, No. 3,p. 335-343
調査した分野 A61K 38/00
A61K 35/60
A61P 31/04
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
コイ血液から赤血球を単離し、この赤血球から膜画分を精製した後に、前記膜画分にリチウム塩を加えて可溶化し、過剰なリチウム塩を除去した後、遊離したグリコホリンをコール酸ナトリウムの存在下で、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分画することを特徴とする抗菌剤の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コイ由来抗菌剤の製造方法及び、その抗菌剤を用いた抗菌処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトグリコホリンは、病原性ウィルスの受容体、レクチンへの接着能など生体防御機能や血液型決定基などの種々の生理活性を有していると云われている。本発明者は、魚類赤血球膜にもグリコホリン様の物質が存在すれば、ヒトグリコホリンと同様の生理機能を持つ可能性があり、魚病の防止や抗生物質に頼らない新規な薬物の開発にもつながるのではないかと考え、コイ血液から数個の糖類からなる抗菌剤を得ることに成功した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2005-97130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に開示された方法では、得られる抗菌剤の量が極めて少ないために、応用することが困難であった。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コイ血液から多量の抗菌剤を得る方法、及びその抗菌剤を用いた抗菌処理装置などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意検討の結果、コイ赤血球膜を可溶化した後に、陰イオン交換クロマトグラフィーで処理することにより、従来の方法に比べて多量の抗菌剤を得られること、及びこの抗菌剤を抗菌処理装置に応用すると良好な抗菌作用を示すことを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして、本願発明に係る抗菌剤の製造方法は、コイ血液から赤血球を単離し、この赤血球から膜画分を精製した後に、前記膜画分にリチウム塩を加えて可溶化し、遊離したグリコホリンを界面活性剤の存在下で陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分画することを特徴とする。このとき、界面活性剤が、コール酸ナトリウムであることが好ましい。また、本願発明に係る魚類用薬剤は、上記製造方法によって得られた抗菌剤であることを特徴とする。なお、抗菌剤として用いる場合には、その他の添加物(例えば増量剤、防腐剤など)を同時に用いることもできる。
【0006】
本願発明に係る抗菌処理装置は、コイ赤血球膜から得られた抗菌剤が固定された担体と、この担体を含む外筒体とを備えたものであって、前記外筒体には、処理前の水を導入して前記担体に接触させるための導入口と処理後の水を流出させる流出口とが設けられていることを特徴とする。このとき、抗菌剤は、上記製造方法によって得られたものであることが好ましい。
本発明の抗菌剤は、糖部分に抗菌活性が存在するので、糖部分ではなくタンパク質部分と担体とを結合させる方法が好ましく使用できる。タンパク質を固定化する方法としては、当業者に周知の方法を用いることができる。そのような方法として、例えば水溶性カップリング試薬(EDCなど)を用いる方法、アミノ-ホルミル、チオール-マレイミド、アルデヒド-アミンなどの組み合わせを用いる方法が例示されるが、これらの方法には限定されない。通常、アミノ-ホルミルによるカップリング法を用い、アルブミンやグロブリン(血清中の抗体)などのタンパク質の結合に用いられる。
上記抗菌処理装置は、水道コックに連結される抗菌カラム、循環ポンプによって循環される水に用いる抗菌カラム、または排水処理用に用いるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コイ血液から多量の抗菌剤を得ることができる。この抗菌剤は、魚類の薬剤、抗菌処理装置に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】Econo-Pac 10DG カラムを用いてクロマトグラフィーを行い、コイ赤血球膜から糖タンパクを精製したときの結果を示すグラフである。
【図2】DEAE Toyopearl 650M カラムを用いてクロマトグラフィーを行い、コイ赤血球膜から糖タンパクを精製したときの結果を示すグラフである。
【図3】抗菌ゲルの構造を示す模式図である。
【図4】抗菌処理装置の斜視図である。
【図5】抗菌処理装置の側断面図である。
【図6】抗菌処理装置の側断面図である。
【図7】抗菌処理装置の使用態様を示す図である。
【図8】抗菌処理装置の使用態様を示す図である。
【図9】抗菌処理装置の使用態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
<抗菌剤の製造>
1.コイ赤血球膜(ゴースト)の調製
供試魚として平均体重2,000~3,000 g のコイ(Cyprinus carpio)を用いた。フィコール・パック・プラス(Ficoll-Paque PLUS)はファルマシア製のものを、他の試薬は全て和光純薬工業社製の生化学用または特級を用いた。
タンパク質の定量には、Lowry法を用いた。標準物質として、ウシ血清アルブミンを用いた。

【0010】
まず、次のようにして、赤血球を調製した。500Lのパンライト水槽に常時飼育しているコイを用いて血液を採取した。コイ一尾をパンライト水槽から取り上げ、MS-222(m-aminobenzonic acid ethylester methanesulfonate)で薬浴麻酔した後、背部動脈からへパリン溶液(974.6 units/ml)で湿らせたシリンジを用いて血液を採取した。コイ1尾あたり平均で約20mlの血液が得られ、3~4尾より合計70~75m1の血液を採取した。血液採取後のコイは水槽に戻して蘇生させた。得られた血液を直ちに魚類リンゲル液(145 mM NaCl, 5 mM CaCl2, 1mM MgSO4, 4 mM KCl, 5 mM Glucose含有, 10 mM Hepes, pH7.9)で等倍に希釈した後、Ficoll-Paque PLUS に重層し、400×gで30分間、室温で遠心分離した。上層と中層を駒込ピペットで除去し、下層の赤血球のみを採取した。得られた赤血球を魚類リンゲル液に再度懸濁した後、700×gで5分間遠心分離を行い、赤血球を洗浄した。この操作を3回繰り返した。

【0011】
次に、ゴーストを調製した。なお、以下の操作は特記しない限り、全て4℃で行った。上記操作で得られた赤血球画分約20mlを400mlの氷冷水溶液(5mM CaCl2 含有、5mM Tris-HCl緩衝液、pH7.6)に撹絆しながら加えて赤血球を溶血させた。氷冷水溶液には、予め最終濃度が0.15mMになるようにPhenylmethylsulfonyl fluoryde (PMSF)を添加した。得られた溶血液を氷冷下で5分間放置した後、40,000×gで20分間遠心分離し、上清を除去後、半透明の上層沈殿に400mlのPMSF含有氷冷水溶液を添加して懸濁した。懸濁液を再度40,000×gで20分間遠心分離した。得られた上層沈殿に、2倍に希釈したBuffer A(12.5 mM MgCl2, 5 mM CaCl2, 15 mM EDTA および 0.15 mM PMSF 含有 75 mM Tris-HCl 緩衝液, pH7.5)を約100ml 加えた後、Potter型テフロンホモジナイザーでホモジナイズ(10往復)した。

【0012】
得られた懸濁液を40,000×g で20分間遠心分離した後、沈澱に約70mlの Buffer A を加え再度ホモジナイス(20往復)した。懸濁液15ml 毎に20ml のショ糖溶液(40%ショ糖および 10 mM MgCl2 含有 10mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.5)に重層し、700×gで15分間遠心分離した。次に上層および中層を採取し、40,000×g にて20分間の遠心分離を行った。得られた沈澱に約30ml の Buffer B (2mM EDTA 含有 20mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.5)を加えて、ホモジナイズ(10往復)を行ったものをゴースト調製液とした。ゴースト調製液は -20 ℃のフリーザーで保存した。こうして、コイ血液70ml あたり、タンパク質量で約210mg のゴーストが得られた。

【0013】
2.グリコホリンの調製
ヒトゴーストには、少なくとも6種類のグリコホリンが存在する。ヒトグリコホリンは赤血球膜のタンパク質量の約10%を占め、さらに赤血球膜に含まれる全シアル酸量の約80%を含有している。一方、コイゴ一スト中には1種類のグリコホリンが確認されている。従来、コイゴ一ストからグリコホリンを抽出する方法に、ヒトグリコホリンで通常用いられる抽出法であるLIS-フェノール法(特許文献1)に核酸除去操作を加えた方法を用いていた。しかしながら、この方法は操作が煩雑な割りにはグリコホリンの回収率が1.1%と低く、効率が悪かった。そこで、本発明者は回収率を上げるために、界面活性剤および陰イオン交換カラムを用いてゴーストからグリコホリンを分画する方法を開発した。

【0014】
実施例1で得られたコイゴ一スト調製液を試料とした。Econo-Pac 10DG カラムはBIO-RAD社製、 DEAE Toyopearl 650M カラムはTOSOH CORPORATION 製、他の試薬は全て和光純薬工業社製の生化学用または特級を用いた。
中性糖の測定には、フェノール-硫酸法を用いた。反応後、490nm の吸光度を測定した。標準物質として、D-グルコ一スを用いた。
シアル酸の定量には、Jourdianらの過ヨウ素酸-レソルシノ一ル法を用いた。反応後、630nm の吸光度を測定した。標準物質として、NANA(N-アセチルノイラミン酸)を用いた。

【0015】
凍結保存していたコイゴースト調製液を流水で解凍した後、分取した1.5ml に等量の可溶化試薬(0.3M LIS(3,5-ジョードサリチル酸リチウム)含有 40mM Tris-HCl、pH7.5)を添加してゴ一ストを可溶化した。可溶化した試料溶液を160,000×g で 30分間遠心分離し、上清をEcono-Pacカラムに負荷して、過剰なLISの除去を行った。可溶化試料を付加した後、 50mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.5 でカラムを洗浄した。Econo-Pacカラムからの溶出は自然落下で行い、溶出液は 1ml ずつ分画した。各画分中の中性糖をフェノール-硫酸法を用いて定量し、シアル酸は過ヨウ素酸-レソルシノ一ル法を用いて定量した。画分中の中性糖とシアル酸に関するデータをまとめたグラフを図1に示した。Tube No.4 - 7 に中性糖と共にシアル酸を検出したので、これらの画分をグリコホリン画分とした。得られたグリコホリン画分毎に、2M NaCl と10%コール酸ナトリウム溶液を少量添加して、終濃度が130mM NaCl および0.4%コール酸ナトリウムになるように調整した。

【0016】
予めリン酸塩緩衝液(130mM NaCl および0.4%コール酸ナトリウム含有50mM KPi、pH7.5)で平衡化させたDEAE Toyopearl 650M カラム(V0=5ml)に上記グリコホリン画分を負荷した。同緩衝液でカラムの洗浄を行って不純タンパク質を除去した後、同緩衝液と、同緩衝液に0.5M NaClおよび0.7%コール酸ナトリウムを含有させた溶液とを用いて、濃度勾配法によるグリコホリン溶出を行った。フラクションコレクターの条件として、流速10 ml/hr、分画量50 drops/tube(約1ml)、UVモニターRANGE=2を用いた。試料の負荷後は、流速を20 ml/hr に増加させた。予めチューブ内に残っている溶液(1.6m1)を排出した後、モニタリングを開始した。画分中の中性糖とシアル酸に関するデータをまとめたグラフを図2に示した。Tube No.36 - 45 に中性糖とシアル酸の両方が検出されたことから、この画分を集めてグリコホリン画分とした。

【0017】
<結果>
ゴ一ストの可溶化溶液をそのままアフィニティーおよび陰イオン交換カラムに負荷した場合、過剰の可溶化剤の影響によりカラムへの吸着・溶出が不十分となった。さらに、用いた可溶化剤であるLISはリン酸塩等とキレートを形成して白色沈殿を生じるため、カラムヘ負荷する前の可溶化試料中の過剰なLIS除去が不可欠であった。Econo-Pacカラムは脱塩カラムであるが、LISの分子量が低いことを利用してLISの除去に応用した。
次に、溶出に用いる各種界面活性剤を検討した結果、非イオン系の界面活性剤では、アフィニティーおよび陰イオン交換カラムからのグリコホリン溶出が困難となり、結果的にイオン系界面活性剤であるコール酸ナトリウムを選択した。適応可能なアフィニティーカラムの検討も同時に行ったが、吸着部位であるN-グリコリル基に対応するハプテン糖および界面活性剤が見出せないため、負に荷電しているシアル酸の性質を利用した陰イオン交換カラムを用いた。併せて、NaClおよびコール酸ナトリウムによる濃度勾配溶出法により、グリコホリンを効率良く溶出する事が可能となった。

【0018】
シアル酸を定量する際に、過ヨウ素酸-レソルシノ一ル法ではNaClによる呈色阻害が起こるため、集めたグリコホリン画分をさらにEcono-Pac カラムで脱塩した後、シアル酸の定量を行って回収率を算出した。その結果、DEAE Toyopearl カラムに負荷前の可溶化試料中のシアル酸量は 88.6 μg となり、カラムから溶出後のグリコホリン画分中のシアル酸量は 91.8 μg であった。これにより、本試験でのシアル酸量から計算したグリコホリンの回収率は103%となり、従来技術(特許文献1)のLIS-フェノール法の回収率である1.1%と比較すると、94倍の回収率増加となった。

【0019】
<抗菌処理装置の製造>
次に、本実施形態の抗菌剤(グリコホリン)を用いた抗菌処理装置の製造について説明する。
1.抗菌剤の固定
ゲル担体として、各種のものを使用できるが、好ましくはグリコホリンに含まれる約100~250μm のホルミルセルロース(FORMYL CELLUFINE 生化学工業株式会社製)を用いる。ゲル担体とグリコホリンとの質量比を1,000:1~100:1の範囲とする。グリコホリン中のアミノ基と、ゲル担体のホルミル基とを反応させることにより、ゲル担体とグリコホリンとを共有結合させた。
図3には、グリコホリン1をゲル担体4に結合させた抗菌ゲル14の模式図を示した。グリコホリン1は、タンパク質部分2とオリゴ糖部分3とを有しており、ゲル担体4とグリコホリン1はタンパク質部分2により結合している。なお、説明の容易のために、ゲル担体4には、1個のグリコホリン1が結合した様子を示したが、計算上は多数個のグリコホリン1が結合しているはずである。

【0020】
2.抗菌処理装置の作成
(1)次に、図4及び図5に示すように、グリコホリン1を結合させたゲル担体4をカラムに充填して抗菌処理装置(抗菌カラム)5を作成した。
抗菌処理装置5は、外筒体6と蓋体13とを備えている。両体6,13は、例えばポリプロピレンなどのプラスチックで製造されている。外筒体6は、内部が空洞の円筒状であり、下面中央には流出口9が突設されている。また、上端部分には全周にわたって、径方向外側に向かってフランジ7が張り出されている。蓋体13の中央には、導入口8が突設されている。
外筒体6の内部には、抗菌ゲル14と充填剤10が充填されている。充填剤10としては、例えばセライトまたはBio-Gel(Bio-Rad製)などを用いることができる。充填剤10は、抗菌ゲル14の嵩を増加させるために加えた充填材である。また、抗菌ゲル14の流出を防止するために、外筒体6の上下両端には、メッシュ12と不織布11が装入されている。
水の抗菌処理を行うには、処理前の水を導入口8から導入して(矢印A)、内部の抗菌ゲル14と接触させた後、処理後の水を流出口9から流出させる(矢印B)。

【0021】
(2)図6には、2段階の抗菌処理を行うための抗菌処理装置20を示した。この抗菌処理装置20において、上記抗菌処理装置5と同様の作用を示す構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
抗菌処理装置20には、下面側のスタンド22と角形の外筒体21が設けられている。外筒体21の内部空間は、仕切板23によって二つに区切られている。仕切板22の上端は、外筒体21の上面24からは離間しており、水が通過できるようになっている。

【0022】
このようにして構成された抗菌処理装置20を用いて、水の抗菌処理を行うには、処理前の水を図示左下端の導入口8から導入すると(矢印A)、左側の内部空間を通って内部の抗菌ゲル14と接触し(矢印X)、仕切板22と上面24との空隙を通過した後(矢印Y)、再び図示右側の内部空間の抗菌ゲル14と接触する。次いで、処理後の水が右下端の流出口9から流出する(矢印B)。
抗菌処理装置20では、抗菌処理装置5に比べると、水を多くの抗菌ゲル14と接触させられるので、抗菌効果をさらに高めることができる。また、コンパクトな形状で多くの抗菌ゲル14を充填できるので、複数の抗菌処理装置5を並べて使用する場合に比べると、嵩張らないですむ。

【0023】
<抗菌処理装置の使用形態>
図7~図9には、抗菌処理装置の使用形態例を示した。
図7では、抗菌処理装置5を水道コック30と連結している。水道コック30から水を流すことにより、即座に抗菌処理された水を得られる。このような使用形態は、一般家庭に加えて、病院・高齢者施設・食堂などのように特に衛生環境に気を配る必要がある施設に良好に使用できる。
図8には、養殖場の生け簀31に抗菌処理装置5を使用した例を示した。生け簀31の内部に貯留された水Wは、循環ポンプ32を用いて循環されている。循環ポンプ32の前後には、水Wを流すためのパイプ33,34が連結されている。循環ポンプ32の駆動によって、水Wは図中の矢印T方向に流れる。抗菌処理装置5は、出口側のパイプ34の端部に連結されている。このようにして使用すれば、生け簀31中の水Wの抗菌処理を行いつつ循環させられる。

【0024】
図9には、廃水処理用の施設概要を示した。この施設では廃水は、上流側の処理槽40と、下流側の処理槽41との2段階で処理される。両処理槽40,41の内部には、活性汚泥が投入されている。両処理槽40,41の間には、廃水Wを処理槽40から処理槽41に移動させるポンプ42が設けられている。ポンプ42には、廃水Wの流出入を行うパイプ43,44が接続されている。出口側のパイプ44の端部には、抗菌処理装置45が設けられている。抗菌処理装置45は、上下両方向に開放する角筒状とされており、下面側には抗菌ゲル14が層状かつ外部に流出しない状態で設置されている。このような構造として、例えば目の細かい網の上面に抗菌処理装置5と同様の構成(つまり、メッシュ12と不織布11によって、抗菌ゲル14を挟んだ構成)を備えたものが提供できる。

【0025】
廃水Wは、上流側の処理槽40に流し込まれた後(矢印C)、ポンプ42によってパイプ43,44を通過し(矢印D)、抗菌処理装置45に流し込まれる。ここで、抗菌ゲル14と接触した後、抗菌処理装置45の下面側から処理槽41に至る(矢印E)。このようにして使用すれば、従来の活性汚泥による処理に加えて、廃水Wの抗菌処理を行える。
このように、本実施形態によれば、コイ血液から多量のグリコホリン(抗菌剤)を得ることができた。グリコホリンは、魚類の薬剤、抗菌処理装置5,20,45に応用できた。
【符号の説明】
【0026】
1…グリコホリン(抗菌剤)
4…ゲル担体(担体)
5,20…抗菌処理装置(抗菌カラム)
6…外筒体
8…導入口
9…流出口
30…水道コック
32…循環ポンプ
45…抗菌処理装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8