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明細書 :オリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及びオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5464401号 (P5464401)
公開番号 特開2010-195698 (P2010-195698A)
登録日 平成26年1月31日(2014.1.31)
発行日 平成26年4月9日(2014.4.9)
公開日 平成22年9月9日(2010.9.9)
発明の名称または考案の名称 オリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及びオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法
国際特許分類 C07H  21/02        (2006.01)
C07H  21/04        (2006.01)
A61K  31/7125      (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
FI C07H 21/02 CSP
C07H 21/04 B
C07H 21/04 A
A61K 31/7125
C12N 15/00 A
C12Q 1/68 A
A61P 43/00
G01N 33/53 M
請求項の数または発明の数 19
全頁数 28
出願番号 特願2009-040445 (P2009-040445)
出願日 平成21年2月24日(2009.2.24)
審査請求日 平成24年2月10日(2012.2.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】北出 幸夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100118706、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 陽
審査官 【審査官】三上 晶子
参考文献・文献 国際公開第2007/094135(WO,A1)
国際公開第2007/125429(WO,A1)
AOKI,T. et al,Helix-Sense-Selective Polymerization of Phenylacetylene Having Two Hydroxy Groups Using a Chiral Catalytic System,Journal of the American Chemical Society,2003年,Vol.125, No.21,pp.6346-6347
Organic & Biomolecular Chemistry,2008年,Vol.6, No.12,pp.2158-2167
CRISP,G.T. et al,Preparation of Orthogonal π-Conjugated Aryl Alkynes and Cyclophanes,Tetrahedron,2000年,Vol.56, No.42,pp.8335-8344
調査した分野 C07H 1/00-99/00
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
C12N 15/09
C12Q 1/68
G01N 33/53
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
以下に示す式(3)で表されるオリゴヌクレオチド誘導体。
【化3】
JP0005464401B2_000022t.gif
式中、R及びRは、それぞれ独立して水素又はヒドロキシル保護基を表し、a、b及びcは独立して0以上の整数であって少なくとも1つが1以上であり、A及びBは独立して改変されてもよいオリゴヌクレオチドであってAとBとを合わせた鎖長が3以上のオリゴヌクレオチドを表す。ただし、A及びBにおいてオリゴヌクレオチドの3’末端と5’末端の水酸基を含まない。
【請求項2】
及びRはHであることを特徴とする請求項1に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項3】
bは0であることを特徴とする請求項1又は2記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項4】
a及びbはともに0であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項5】
cは1以上5以下であることを特徴とする請求項4記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項6】
A及びBは、所定の遺伝子mRNAの部分配列又はその相補配列を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項7】
A及びBを合わせた鎖長は、10以上35以下である請求項1乃至6のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項8】
A及びBはオリゴリボヌクレオチドであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体のエチニル基に有機アジド化合物がHuisgen反応によって結合されていることを特徴とするオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項10】
有機アジド化合物は式(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項9記載のオリゴヌクレオチド誘導体(ただし、式(4)中φは置換基を有してもよいベンゼン環を示す)。
【化4】
JP0005464401B2_000023t.gif

【請求項11】
前記置換基はフッ素又はフッ素を有するアルキル基であることを特徴とする請求項10記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項12】
遺伝子発現調節用オリゴヌクレオチド構築物であって、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体を有する構築物。
【請求項13】
1本鎖及び2本鎖DNA、1本鎖及び2本鎖RNA、DNA/RNAキメラ並びにDNA/RNAハイブリッドから選択される遺伝子発現調節用オリゴヌクレオチド構築物であって、請求項12に記載の構築物。
【請求項14】
アンチジーン、アンチセンス、アプタマー、siRNA、miRNA、shRNA及びリポザイムから選択される、請求項12又は13に記載の構築物。
【請求項15】
ダングリングエンド部分に以下の式(5)で表されるユニットを有する請求項12乃至14のいずれか1項記載の構築物。
【化5】
JP0005464401B2_000024t.gif

【請求項16】
siRNAであって、前記オリゴヌクレオチド誘導体において、a及びbは0であり、cは1又は2であり、3’末端ダングリングエンド部分に以下の式(5)で表されるユニットを含む、請求項15記載の構築物。
【化6】
JP0005464401B2_000025t.gif

【請求項17】
遺伝子診断用オリゴヌクレオチド構築物であって、請求項1乃至11のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体を有する構築物。
【請求項18】
プローブ又はプライマーであることを特徴とする請求項17に記載の構築物。
【請求項19】
以下の式(6)で表される化合物(ただし式(6)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)から選択される1種又は2種以上を用いることを特徴とするオリゴヌクレオチドの修飾方法。
【化7】
JP0005464401B2_000026t.gif

(式中Wはヒドロキシル保護基を表し、WはH、ホスホロアミダイト基、又は固相担体に結合される若しくは結合されたコハク酸エステルリンカー、シュウ酸エステルリンカー、シランジイルリンカー及びシリルリンカーのいずれかの連結基を表す
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及びオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DNAやRNAなど各種のオリゴヌクレオチドが治療、診断等の用途に用いられるようになってきている。例えば、診断用途においては、DNAチップやDNAマイクロアレイが挙げられ、治療用途では、治療関連遺伝子の導入ほか、疾患関連遺伝子のノックダウンによる発現抑制等が挙げられる。また、特定の分子と特異的に結合する核酸分子やペプチドであるアプタマーを治療薬として用いる試みもなされている。
【0003】
特に注目される核酸技術としては、RNA干渉(RNAi)を利用した、特定遺伝子のノックダウン法が挙げられる。RNAiとは、二本鎖RNA(dsRNA)の働きによって、それと配列の相同な遺伝子の働きが抑制される現象をいう。RNAiによる遺伝子発現の抑制は、dsRNAがRNaseIIIファミリーの一種であるDicerによって認識され、切断されて21~23量体のsiRNAs(short interfering RNAs)となり、このSIRNAがRISC(RNA-induced silencing complex)に取り込まれ、続いて取り込まれたsiRNAに相同的なmRNAが中央部で切断され、分解されることによる。
【0004】
しかしながら、生体内において外来性のDNAやRNAは、各種のヌクレアーゼに曝されており、特にRNAはヌクレアーゼにより分解されやすいため、意図したノックダウン効果が充分得られなかったり、ノックダウン効果を安定的に維持させるのが困難であったりするという問題があった。
【0005】
こうした問題を解決するため、RNAを化学修飾してヌクレアーゼ抵抗性を向上させることが検討されている(非特許文献1~3)
【0006】
例えば、siRNAについても、図3に示すように、様々な化学修飾が試みられている(非特許文献4)。また、本発明者は、siRNAの3’末端ダングリングエンドのリン酸ジエステル結合部分をカルバメート結合やウレア結合に変換し、これによって結合部分の負電荷をなくし、siRNAのヌクレアーゼ抵抗性とサイレンシング活性とを高めることに成功している(非特許文献5)。また、本発明者は、ヌクレオシドに替えてベンゼン骨格を有するユニットをRNA等の核酸オリゴマーに導入することによって、ヌクレアーゼ抵抗性を高めることにも成功し、さらには、ベンゼン骨格を導入するためのアミダイト試薬をCPG樹脂に修飾し、これを用いたヌクレオチドの修飾にも成功している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】WO2007/094135
【0008】

【非特許文献1】(L.Beigelman,J.A McSwiggen,K.G.Draper et al.,J Biolchem 270,25702-25708(1995)27)
【非特許文献2】S.P.Zinnen K.Domenico, M. Wilson et al., RNA 8,214-228(2002)
【非特許文献3】S.Agrawaland E.R.KandimaIla,Curr.CanGer Drug Targets,1,197-209(2001))
【非特許文献4】H.Hoshi FEBS Letters 521,197-199(2002))
【非特許文献5】Y.Ueno,T.Naito,K.Kawada,A.Shibata,Hye-Sook Kim Y.Wataya,Y.Kidade,BiochemBiophys Res Commun330,1168-1175(2005)
【非特許文献6】J.J.Song,Liu N.H.Tolia,J.Schn eiderman,S.K.Smith,R.A.Martienssen,G.J.Hannonand L.Joshuator, Nat.Struct.Biol 10,1026-1032(2003)
【非特許文献7】K.S.Yan,S.Yan, A.Farooq,A.Han,L.Zeng and M.M.Zhou,Nature,426,468-474(2003)
【非特許文献8】Zhang,F.A Kolb,L.Jaskiewicz,E.Westhof and W.Filipowicz Cell 118,57-68(2003)
【非特許文献9】A.Linge B.Simon E.1zaurralde and M.Sattler Nature 426,465-469(2003))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
陽電子放射断層画像撮影(PET)法は、生体内における薬物の局部位や代謝について、分子レベルでの解明を可能にする非侵略的解析技術である。このPET法をオリゴヌクレオチド誘導体に適用できれば、RNA創薬等の開発の強力な武器になると考えられる。しかしながら、PETに用いられる標識元素の半減期は短く(11Cで20分、18Fで110分)、このため、オリゴヌクレオチド誘導体にPET法を適用した例はなく、PET法を適用可能な標識元素を短時間で標識できるオリゴヌクレオチド誘導体も知られていない。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、PET法に用いられる標識元素を短時間で導入できるオリゴヌクレオチド誘導体、該オリゴヌクレオチド誘導体を用いたオリゴヌクレオチド構築物、該オリゴヌクレオチド誘導体を合成するための化合物及び該オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、PET法に用いられる標識元素をオリゴヌクレオチド誘導体に短時間で導入する方法として、Huisgen反応を応用することを考えた。
【0012】
Huisgen反応とは、有機アジド化合物とアルキン類とが[3+2]型の付加環化反応を起こし、1,2,3-トリアゾール誘導体を与える反応をいう(下記化学式参照)。
【0013】
【化1】
JP0005464401B2_000002t.gif

【0014】
アルキン類が末端アルキンの場合、銅(I)イオンが触媒となり、選択的に1,4-二置換体が得られる。この反応は、他にアルコール、アミン、アミド、エステル、ハライドなど各種官能基があっても邪魔されず、目的のトリアゾールが高収率で得られる。反応溶媒もアルコール、一般的有機溶媒、水などの中で問題なく進行する。またアジド及びアルキンは各種有機化合物に導入が容易であり、反応後に余分な廃棄物を出さないという多くの利点を有している。このため、K. B. Shaprlessらが提唱するクリック反応の代表例として、挙げられている。
【0015】
本発明者はオリゴヌクレオチド誘導体をエチニル基で修飾し、さらに、このエチニル基と、PET法に適用できる元素で標識した有機アジド化合物とをHuisgen反応によって環化させることを考え、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、少なくとも1個の以下の式(1)で示されるユニット(ただし下記式(1)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)を有することを特徴とする。
【化2】
JP0005464401B2_000003t.gif

【0017】
上記式(1)のベンゼン環にはエチニル基が結合しているため、有機アジド化合物とHuisgen反応を行うことができる。この反応は、短時間で収率よく行われる。しかも、反応を阻害する官能基も少なく、反応後に余分な廃棄物を出すこともないので、特別な精製等の工程も要さない。このため、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を、PET法に用いられる標識元素で標識した有機アジド化合物と反応させれば、容易にPET法の適用が可能なオリゴヌクレオチド誘導体とすることができる。
【0018】
また、こうしたベンゼン置換基を導入されたオリゴヌクレオチド誘導体は、ヌクレアーゼ抵抗性を有することが期待される。さらには、上記式(1)で示されるユニットは、各種ヌクレアーゼのターゲットとなる箇所(ヌクレアーゼの種類により、3’末端や5’末端や非3’末端非5’末端の特定の部位等)に結合させることができる。
【0019】
また、上記式(1)のユニットをsiRNAの3’ダングリングエンドに結合させることにより、RNAiによる遺伝子発現抑制作用の増大が期待される。この理由は、次の通りである。
RNAiにおいて重要な役割を果たすRISCは、RNAiの標的mRNAの分解の過程に関与するマルチドメインタンパクとして知られているが、近年、RISC中のPAZドメインとsiRNAとの共結晶のX線結晶構造解析が行われた(J.B.Ma K.Ye and D.J.Patel Nature‥429,318-322(2004).)。その結果、PAZドメインはsiRNAの3’末端ダングリングエンドを認識しており、3’末端ダングリングエンドの2ヌクレオチドがPAZドメインの疎水性ポケットに入り込んで認識されていることが明らかとなっている。本発明のオリゴヌクレオチド誘導体には、疎水性を有するベンゼン環を有しており、このため、PAZとの親和性及びPAZによる認識性が向上し、これにより、サイレンシング効果が向上するものと考えられる。
【0020】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、少なくとも1個の以下の式(2)で表されるユニットを有していてもよい。
【化3】
JP0005464401B2_000004t.gif

【0021】
また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、以下に示す式(3)で表される構造であってもよい。
【化4】
JP0005464401B2_000005t.gif
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシル保護基を表し、a、b及びcは独立して0以上の整数であって少なくとも1つが1以上であり、A及びBは独立して改変されてもよいオリゴヌクレオチドであってAとBとを合わせた鎖長が3以上のオリゴヌクレオチドを表す。ただし、A及びBにおいてオリゴヌクレオチドの3’末端と5’末端の水酸基を含まない。
【0022】
さらに、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、上記式(3)において、R及びRはHとすることができる。また、ここでbは0であるとすることもできる。さらには、a及びbはともに0であるとすることもできる。また、cは1以上5以下であるとすることもできる。
【0023】
さらに、A及びBは、所定の遺伝子mRNAの部分配列又はその相補配列を有するオリゴヌクレオチド誘導体であってもよい。また、A及びBを合わせた鎖長は、10以上35以下であってもよい。さらに、A及びBはオリゴリボヌクレオチドであってもよい。
【0024】
また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、上記のオリゴヌクレオチド誘導体のエチニル基に有機アジド化合物がHuisgen反応によって結合されたものとすることができる(この場合、オリゴヌクレオチド誘導体のエチニル基と有機アジド化合物とは[3+2]型の付加環化反応を起こし、1,2,3-トリアゾール誘導体とされている)。有機アジド化合物は芳香族アジド化合物やアルキルアジド化合物等が挙げられる。その中でも下記式(4)で表される化合物が好ましい(ただし、式(4)中φは置換基を有してもよいベンゼン環を示す)。本発明者は、有機アジド化合物の中でも、下記式(4)で表される化合物(ただし、式(4)中φは置換基を有してもよいベンゼン環を示す)が、極めて迅速かつ高収率でHuisgen反応が進行することを確認している。また、φの置換基をフッ素又はフッ素を有するアルキル基としておくこともできる。さらには、フッ素をPET法に用いられる18Fとすることにより、PET法の適用が可能なオリゴヌクレオチド誘導体となる。
【化5】
JP0005464401B2_000006t.gif

【0025】
本発明のオリゴヌクレオチド構築物は、遺伝子発現調節用オリゴヌクレオチド構築物であって、上記いずれかのオリゴヌクレオチド誘導体を有することを特徴とする。このオリゴヌクレオチド構築物は、1本鎖及び2本鎖DNA、1本鎖及び2本鎖RNA、DNA/RNAキメラ並びにDNA/RNAハイブリッドから選択されるオリゴヌクレオチド構築物とすることができ、また、その機能面からは、アンチジーン、アンチセンス、アプタマー、siRNA、miRNA、shRNA及びリポザイムから選択することができる。さらには、ダングリングエンド部分に以下の式(5)で表されるユニットを有することができる。
【化6】
JP0005464401B2_000007t.gif

【0026】
また、siRNAであって、前記オリゴヌクレオチド誘導体において、a及びbは0であり、cは1又は2であり、3’末端ダングリングエンド部分に上記式(5)で表されるユニットを含むことができる。
【0027】
また、本発明によれば、上記いずれかのオリゴヌクレオチド誘導体を有する遺伝子診断用オリゴヌクレオチド構築物とすることができる。さらに、本構築物はプローブ又はプライマーとすることができる。
【0028】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、本発明の化合物を利用することにより、合成することができる。すなわち、本発明の化合物は、以下の式(6)で表されることを特徴とする(ただし式(6)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)。
【化7】
JP0005464401B2_000008t.gif
(式中Wはヒドロキシル保護基を表し、WはH、ホスホロアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。この化合物は、siRNAのダングリングエンドの化学修飾用のユニットとして用いることができる。
【0029】
本発明の上記化合物から選択される1種又は2種以上を用いて、オリゴヌクレオチドを修飾することができる。すなわち、オリゴヌクレオチドに、少なくとも1個の以下の式(1)で表されるユニット(ただし下記式(1)のベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合しているものも含む)を付加、置換及び挿入のいずれか又はこれらを組み合わせて導入することができる。
【化8】
JP0005464401B2_000009t.gif
【発明を実施するための形態】
【0030】
(オリゴヌクレオチド誘導体)
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、上記式(1)で示されるユニットを、オリゴヌクレオチド誘導体の少なくとも1箇所に有するものである。このユニットの存在により、優れたヌクレアーゼ耐性が期待できる。このようなユニットは、配列既知又は配列未知のオリゴヌクレオチドに対して、付加、置換又は挿入のいずれか、あるいは、これらを組み合わせて導入することができ、こうして本発明のオリゴヌクレオチド誘導体とすることができる。なお、ここでいうオリゴヌクレオチドとは、改変されてもよいオリゴヌクレオチドである。

【0031】
上記式(1)で示されるユニットにおいてベンゼン環に結合している2つの「-CHO-」基及びエチニル基は、いずれの位置に結合していてもよい。また、ベンゼン環に直接結合する水素に替えて、水素以外の置換基が結合していてもよい。このような置換基としては、疎水基であって極性の小さいものが好ましい、例えば、炭素数1~4のアルキル基が挙げられる。すなわち、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。

【0032】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、上記式(1)で示されるユニットを適当な連結基を介して、オリゴヌクレオチドの一部に結合されている。連結基としては、たとえばホスホジエステル結合等、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド単位の連結に用いられる公知の連結基を用いることができる。また、ユニットがオリゴヌクレオチドの末端にある場合には、ユニットの一方の酸素原子には、水素又は公知のヒドロキシル保護基が結合されていてもよい。

【0033】
また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の一態様として、下記式(3)に表される化合物が挙げられる。
【化9】
JP0005464401B2_000010t.gif
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシル保護基を表す。ヒドロキシル保護基としては、該保護基により置換されるヒドロキシル基中の酸素を意図しない反応から保護する基であればよい。好ましくは、保護基は、オリゴヌクレオチド誘導体の活性を維持し、脱離容易なものである。こうしたヒドロキシル保護基としては、特に限定されなくて、従来公知の各種のヒドロキシル保護基を用いることができる。本発明の好ましい保護基として、例えばフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、ジメトキシトリチル(DMT)、モノメトキシトリチル、トリフルオロアセチル、レブリニル、シリル基等である。例えば、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの5’末端にあるヒドロキシル基についての好ましい保護基は、トリチル基、ジメトキシトリチル基から選択される。

【0034】
この態様のオリゴヌクレオチド誘導体は、上式(3)に示す3種類のカッコで示されるユニット1~3のいずれか又は2種類以上を有している。以下、式(3)において、5’末端に配置されるユニットをユニット1と称し、3’末端に配置にされるユニットをユニット3と称し、非5’末端及び非3’末端に配置されるユニットをユニット2と称する。オリゴヌクレオチド誘導体に付加しようとする機能によっても異なるが、ユニット1は、オリゴヌクレオチドの5’末端に配置されるため、例えば、5’末端に件用するエキソヌクレアーゼ抵抗性を付与するのに有効である。また、ユニット3は、3’末端に作用するエキソヌクレアーゼに有効である。また、ユニット2は、オリゴヌクレオチドの非3’末端非5’末端においてエンドヌクレアーゼ抵抗性を付与するのに有効である。さらに、ユニット3は、二本鎖RNAの3’末端ダングリングエンド部分に形成するときには、RNAiによるサイレンシング効果の向上に有効である。したがって、例えば3’末端作用性ヌクレアーゼ抵抗性を向上させたい場合には、a及びbは0であってもよい。逆に、5’末端作用性ヌクレアーゼ抵抗性を高める場合には、b及びcは0であってもよい。また、ヌクレアーゼ抵抗性を得る場合には、a、b及びcはいずれも少なくとも1つ有していればよいが、それぞれあるいは組み合わせて2個以上有することもできる。

【0035】
ユニット1、ユニット2及びユニット3の数や部位は、ヌクレアーゼ抵抗性と、非ヌクレオシド性のユニット1~ユニット3を導入することによるオリゴヌクレオチド誘導体への影響を考慮して決定される。例えば、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を利用してsiRNA又はshRNAを構築する場合、a及びbは0とし、これらの構築物の3’末端のダングリングエンド部位に対応するヌクレオチド(例えば、dT(デオキシチミジン))の3’末端に1個~3個(c=1~3)、好ましくは1個又は2個(c=1、2)のユニット3を付加してもよいし、siRNAの例えば2つのdTのうち1個又は2個をユニット3で置換してもよい(c=1、2)。さらには、3’末端ダングリングエンドにユニット2を挿入してもよい。既存ヌクレオチドをユニット3で置換する形態は、siRNAの鎖長を延長することがないというメリットがある。

【0036】
また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を利用してアンチジーン、アンチセンス、アプタマー、miRNA及びリボザイムを構築するときには必要に応じて適宜、式(1)で表されるユニットあるいはユニット1~ユニット3を備えるようにすればよい。例えば、アンチセンスRNAには、3’末端が側及び5’末端側に式(1)で表されるユニット、ユニット1及びユニット3を形成することができる。また、アプタマーやリボザイムにあっては、非5’末端非3’未端における式(1)で表されるユニット又はユニット2が有効な場合もありえる。また、ブローブにおいては、3’末端側及び/又は5’末端側に式(1)で表されるユニット、ユニット3及び/又はユニットを1備えることもできるし、あるいは、ブローブが固相担体に固定化されている場合には、自由端側となる側に式(1)で表されるユニット、ユニット1又はユニット3を備えるようにすることができる。さらに、プライマーにおいては必要に応じて適宜式(1)で表されるユニットやユニット1~ユニット3を備えていてもよい。

【0037】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体においては、上記式(3)中、A及びBは、それぞれ独立し、同一であっても異なっていてもよいが、改変されていてもよいオリゴヌクレオチドを表す。ここで、本明細書においてオリゴヌクレオチドとは、一般にオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドを構成するモノマーであるヌクレオチドをモノマー単位として該モノマー単位を複数有するポリマーを意味するものとする。また、オリゴヌクレオチドとは、モノマー単位として、デオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドを意味するものである。一般に、ヌクレオチドとしてデオキシリボヌクレオチドをモノマー単位とするポリマーをDNAと称し、リボヌクレオチドをモノマー単位とするポリマーをRNAと称するが、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、-般に挿されるDNA及びRNAのほか、これらのモノマー単位のオリゴマーを含むものとする。また、オリゴヌクレオチドは、RNA/DNAキメラも包含している。また、改変されていてもよいオリゴヌクレオチドとは、プリン及びピリミジンであるグアニン、シトシン、チミン、アデニン、ウラシルまたはメチルシトシンなどの天然塩基を含むヌクレオチドのみからなるオリゴヌクレオチドのほか、オリゴヌクレオチドの各種部分、すなわち、塩基、糖部分及びリジ酸エステル部分において何らかの化学修飾が施された1又は2以上のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを包含している。

【0038】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体において、上式(3)におけるAのオリゴヌクレオチドの塩基配列及びBのオリゴヌクレオチドの塩基配列は、それぞれ又はこれらを合わせて所定の遺伝子のDNAのセンス鎖、そのアンチセンス鎖又はmRNAの部分配列若しくはその相補配列を有することができる。こうした相補性を有することにより各種の標的核酸にハイブリダイズさせ、それによりオリゴヌクレオチド誘導体に意図した機能を発現させることができる。本発明のオリゴヌクレオチド誘導体において、A及びBの組長は特に限定しないで、用途に応じた長さとすることができるが、オリゴヌクレオチドの合成の容易性及び期待する効果の発揮を考慮すると、10以上35以下とすることが好ましい。また、アンチセンスの場合には、10以上30以下程度にすることができ、siRNAの場合には、A及びBの合計の鎖長は、好ましくは15以上35以下、より好ましくは30以下である。また、プライマーの場合には、10以上30以下であり、ブローブの場合には10以上30以下であることが好ましい。

【0039】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を、例えば、siRNA、shRNA、アンチセンス、リボザイム及びアプタマーに用いる場合には、A及びBのモノマー単位は改変されていてもよいオリゴリボヌクレオチドとすることができる。
さらに、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体はエチニル基を有しているため、さらに、これに18Fで標識したアジド(例えば4-fluorobenzylazide)を結合させて、PET法に適用可能なオリゴヌクレオチド構築物とすることもできる。

【0040】
(オリゴヌクレオチド構築物)
本発明のオリゴヌクレオチド構築物は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を1種又は2種以上有している。本オリゴヌクレオチド構築物における本オリゴヌクレオチド誘導体の種類や組み合わせにより、本構築物は、1本鎖DNA、2本鎖DNA、1本鎖RNA、2本鎖RNA、DNA/RNAキメラ及びDNA/RNAハイブリツド等の形態をそれぞれあるいは組み合わせた形態とすることができる。なお、既に説明したように、本オリゴヌクレオチド誘導体を構成するオリゴヌクレオチド部分は、改変されたオリゴヌクレオチドを含んでいるため、本オリゴヌクレオチド構築物においても改変形態をオリゴヌクレオチドが含まれることがある。

【0041】
こうした各種形態を採るオリゴヌクレオチド構築物は、ヌクレアーゼのターゲットとなる可能性のある部位に式(1)で表されるユニット若しくはユニット1~ユニット3を備えることが好ましい。式(1)で表されるユニット若しくはユニット1~ユニット3は、ターミナルミスマッチやダングリングエンドに備えることができる。エキソヌクレオチド抵抗性を考慮すると、ダングリングエンドに式(1)で表されるユニットや、ユニット1や、ユニット2を備えることが好ましい。また、式(1)で表されるユニット又はユニット2は、バルジ、ミスマッチインターナルループ、ヘアピンループなどに備えることができる。

【0042】
本発明のオリゴヌクレオチド構築物は、ヌクレアーゼ抵抗性の向上が期待され、遺伝発現調節用、又は研究用、診断用等の各種用途に用いることができる。遺伝子発現調節用途としては、アンチジーン、アンチセンス、アプタマー、siRNA、miRNA、shRNA及びリボザイム等が挙げられる。特に、siRNA及びshRNAにおいて3’末端オーバーハング部位のdTに対し式(1)で表されるユニット又はユニット2を置換的又は付加的に導入することでヌクレアーゼ耐性とサイレンシング活性の双方を向上させることができる。
さらに、本発明のオリゴヌクレオチド構築物はエチニル基を有しているため、さらに、これに18Fで標識したアジド(例えば4-fluorobenzylazide)を結合させて、PET法に適用可能なオリゴヌクレオチド構築物とすることもできる。

【0043】
図1に、ユニット3を3’末端に有するsiRNAの-例を示す。ここに示すsiRNAはエチニル基を有しているため、さらに、これに18Fで標識したアジド(例えば4-fluorobenzylazide)を結合させて、PET法に適用可能なsiRNAとすることもできる。また、診断用途又は研究用途としては、ブローブ及びプライマーが挙げられる。ブローブは、設計または選択により、ターゲット核酸に特異的に規定された配列を有しており、所定のストリンジェンシーの下で、それらがハイブリダイズするようにするに取得されたオリゴヌクレオチドである。ブローブに本オリゴヌクレオチド誘導体を用いることでヌクレアーゼ耐性の向上が期待されるため、ターゲット核酸を含有するサンプル中に混在するヌクレアーゼの影響を抑制又は回避して、ヌクレアーゼの除去程度が低くてもあるいはヌクレアーゼ除去処理を省略したサンプル調製が可能になる。これにより簡易に遺伝子診断や検査をすることができるようになる。なお、こうしたプローブとターゲットとのハイブリタイゼーションは、プローブを適当なガラス基板や、プラスチック製基板や、ビーズ等の固相担体に固定化して行なうことができる。本発明には、本オリゴヌクレオチド誘導体を含むプローブを固定化した固相担体も含まれる。

【0044】
(オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法)
式(5)で表される化合物は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を製造のための使用に好ましい化合物である。
【化10】
JP0005464401B2_000011t.gif

【0045】
これらの化合物は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体中、ユニット1~ユニット3をオリゴヌクレオチドにおいて置換、付加及び挿入のいずれかあるいはこれらを組み合わて導入するのに好ましい化合物である。また、これらの化合物はエチニル基が結合しているため、有機アジド化合物とHuisgen反応を行うことができる。この反応は、短時間で収率よく行われる。しかも、反応を阻害する官能基も少なく、反応後に余分な廃棄物を出すこともないので、特別な精製等の工程も要さない。このため、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を、PET法に用いられる標識元素で標識した有機アジド化合物と反応させれば、容易にPET法の適用が可能なオリゴヌクレオチド誘導体とすることができる。

【0046】
また、こうしたベンゼン置換基を導入されたオリゴヌクレオチド誘導体は、ヌクレアーゼ抵抗性を有することが期待される。さらには、上記式(1)で示されるユニットは、各種ヌクレアーゼのターゲットとなる箇所(ヌクレアーゼの種類により、3’末端や5’末端や非3’末端非5’末端の特定の部位等)に結合させることができる。

【0047】
また、上記式(1)のユニットをsiRNAの3’ダングリングエンドに結合させることにより、RNAiによる遺伝子発現抑制作用の増大が期待される。

【0048】
式(6)において、Wはヒドロキシル保護基を表す。ヒドロキシル保護基としては、該保護基により置換されるヒドロキシル基中の酸素を意図しない反応から保護する基であればよい。好ましくは、保護基は、オリゴヌクレオチド誘導体の活性を維持して除去されるものである。こうしたヒドロキシル保護基としては、特に限定しないで従来公知の各種のヒドロキシル保護基を用いることができる。本発明の好ましい保護基は、フルオレニルメトキシカルボニル基(FMOC)、ジメトキシトリチル基(DMT)、モノメトキシトリチル基、トリフルオロアセチル基、レブリニル基、及びシリル基等である。好ましい保護基は、トリチル基やジメトキシトリチル基である。

【0049】
また、Wは、H、ホスホルアミダイト基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表す。WがHである化合物(以下、化合物Iともいう)は、核酸合成のための前躯体化合物として利用できる。また、Wがホスホルアミダイト基である化合物(以下、化合物IIともいう)は、ホスホルアミダイト法によるホスホルアミダイト試薬として用いて、オリゴヌクレオチドに対して式(1)におけるユニット1及びユニット2ユニットを導入したオリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。なお、本発明において、ホスホルアミダイト基は、以下の式(7)で表すことができる。

【0050】
【化11】
JP0005464401B2_000012t.gif
(式(7)中、各Yは独立して、同-であっても異なっていてもよく、分枝していてもよい炭素数1~5個のアルキル基を表し、Yは、分枚状又は直鎖状の炭素数1~5偶のアルキル基又は置換されていてもよいアルコキシル基を表す。)上記式(7)において、Yは、特に限定しないがイソプロピル基が好ましいものとして挙げられ、またYとしては、一OCH、-OEtcN、-OCHCHCH等が挙げられる。また、式(6)においてWが固相担体に結合される連結基である化合物(以下、化合物IIIともいう)は、当該連結基とアミノ基など固相担体上の所定の官能基とを結合させることにより、固相担体に保持される。そして、式(6)において、Wが固相担体に結合された連結基である化合物(以下、化合物lVともいう)は、連結基を介して式(1)のユニットが固相担体に結合されているため、各種の核酸固相合成法の出発材料として用いることができる。この出発材料を用いることで、ユニット3を有するオリゴヌクレオチド誘導体を製造することができる。ここで固相担体とは、一般に高分子担体が用いられ、例えば、CPG(controlled pored glass)ややHCP(highly cross-1inked polystyren)や、ある種のゲルなどが挙げられる。また同相担体には適切なスペーサーを有していてもよい。連結基は固相担体と本化合物とを連結するリンカーである。こうした連結基としては、以下に示すコハク酸エステルリンカー、シュウ酸エステルリンカー・シランジイルリンカー、シリルリンカーなどを用いることができる。
【化12】
JP0005464401B2_000013t.gif

【0051】
(オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法)
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法は、上記した本発明の化合物I~lVを用いることを特徴とする。オリゴヌクレオチドは従来公知の核酸合成法によって得ることができるため、こうした核酸合成法のオリゴヌクレオチド合成工程中、式(1)のユニット又はユニットl~ユニット3を導入したい部位において、適宜本発明の化合物I~lVを利用することにより、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を製造することができる。

【0052】
例えば、5’末端に式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、従来の核酸合成法により取得したオリゴヌクレオチドの5’末端に上記化合物Iから誘導したホスホアミダイト試薬である化合物IIやその他の導入用試薬を用いることにより、しき(1)のユニットを導入することができる。さらに、必要に応じ導入した式(1)のユニットに対して、引き続き化合物II等を連結することで複数個の式(1)のユニットを連続して導入することもできる。こうして5’末端側に1又は2個以上の式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。

【0053】
また、3’末端側に式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、化合物IIIから誘導した化合物IVを出発材料として用い、アミダイト法をはじめとする各種核酸合成法によりオリゴヌクレオチドを合成し、固相担体から式(1)のユニットを含んだ形態で生成物の切り出しを行えばよい。3’末端側に複数個連続して式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、化合物IVを出発材料とし、これに化合物IIをアミダイト法により導入するか、化合物Iから誘導した他の導入試薬を導入することで、複数個連続した式(1)のユニットを3’末端に有するオリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。さらに、非3’末端非5’末端に式(1)のユニットを有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、従来のオリゴヌクレオチド合成途中において化合物IIや化合物Iから誘導したその他の導入試薬を用いればよい。
さらに、式(1)のユニット及びユニットl~ユニット3のうち2種類以上を有するオリゴヌクレオチド誘導体は、本化合物I~IVを組み合わせて用いることにより得ることができる。

【0054】
(オリゴヌクレオチドの修飾方法)
オリゴヌクレオチドの修飾方法は、配列既知又は配列未知のオリゴヌクレオチドに少なくとも1個の式(1)のユニットを付加、置換及び挿入のいずれかあるいはこれらを組み合わせて導入することができる。こうした修飾により、ヌクレアーゼ耐性の他、サイレンシング効果の高いRNA構築物を得ることができる。式(1)のユニットの導入は、オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法に準じて実施すればよい。

【0055】
(オリゴヌクレオチド誘導体の利用)
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、siRNAやアンチセンス等として機能するよう構築することで、遺伝子発現抑制剤として利用できる。また、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、ヒト及び非ヒト動物における疾患の予防・治療用医薬組成物の有効成分として用いることができる・例えば、遺伝子発現に伴う疾患に対して、遺伝子発現抑制剤として構築した本発明のオリゴヌクレオチド誘導体はこうした疾患の予防や治療に有効である。

【0056】
さらに、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、そのハイブリダイゼーション機能を発揮させるように構築することで、ブローブ、プライマー等の検査試薬や診断試薬として用いることができる。さらに、これらオリゴヌクレオチド構築物をチップやビ-ズ等の固体担体等に保持したものは、検査装置や診断装置又はこれらの一部として利用することができる。さらには、こうした検査試薬や診断薬は、他の試薬や診断薬あるいは装置等と組み合わせた検査用又は診断用キットとしても用いることができる。

【0057】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチド構築物の遺伝子発現抑制作用を利用した、遺伝子発現抑制方法にも利用できる。さらには、本発明のオリゴヌクレオチド構築物のハイブリダイゼーション機能を利用した遺伝子検出方法にも利用できる。
なお・本明細書においては、以下の略語及び略号を用いる。
Bz : ベンゾイル (benzoyl)
CPG:コントロールドポアガラス (controlled pore glass)
DMAP : 4-ジメチルアミノピリジン (4-dimethylaminopyrideine)
DMSO : ジメチルスルホキシド : (dimethylsulfoxide)
DMTr : ジメトキシトリチル (dimethoxytrityl)
EDTA : エチレンジアミン四酢酸 (ethylenediamine-N,N,N’,N’-tetraaceticacid)
EtOAc : 酢酸エチル (Ethyl acetate)
FAB 高速原子衝撃 (fast atom bombardment)
HPLC 高速液体クロマトグラフィー (high performance liquid chromatography)
HRMS : (高分解能質量スペクトロメトリー (high-resolution mass spectrometry)
MS : 質量分析 (mass spectroscopy)
NMR : 核磁気共鳴 (nuclear magnetic resonance)
PAGE : ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (polyacrylamide gel electrophoresis)
TBAF : トリブチルアンモニウムフロライド (tributylammonium fluoride)
TBDMS : tert-ブチルジメチルシリル
TEAA : トリエチルアミン酢酸 (triethylamine-aceticacid)
TMS : トリメチルシリル (trimethylsilyl)

【0058】
以下、本発明を、実施例を比較例と比較しつつ具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。

【0059】
(実施例)
実施例では、以下のスキームI及びスキームIIに示す合成経路でアミダイト化されたCPG樹脂である化合物6及びヌクレオチド誘導体である化合物8を合成した。すなわち、5-アミノイソフタル酸ジメチル(1)のアミノ基をヨウ素化して、化合物2を収率55%で得、続いてヨウ素基をトリメチルシリルアセチレンへと変換して、化合物3を収率95%で得た。さらに、還元及び脱トリメチルシリル化をおこなって化合物4を収率70%で得た。

【0060】
【化13】
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【0061】
こうして得られた化合物4を、スキームIIに示すように、DMTr化して化合物5を収率49%で得、さらに化合物5をアミダイト化して化合物6を収率38%で得た。また、化合物5をスクシニル化した後、CPG樹脂に修飾して化合物8を48.9umol/gの活性で得た。

【0062】
【化14】
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【0063】
以下、スキームI及びスキームIIにおける各工程について、詳細に説明する。
Dimethyl 5-iodoisophthalate (2)の合成
Ar 雰囲気下, Dimethyl 5-aminoisophthalate(1)(6.27 g,30.0 mmol)を氷で冷却したhydrochloric acid (2M)39mLに加えた。0℃以下で数分攪拌した後、氷で冷却した 21.6 mL のNaNO2(2.52 g, 36.5 mmol, 1.2 eq.) 水溶液を滴下した。さらに 30 mL の dichloromethane を加え室温に達した後5時間攪拌した。氷冷下KI (7.47 g, 45.0 mmol, 1.5 eq.) の水溶液70 mLを滴下させ室温で 12 時間攪拌した。撹拌終了後、水層を EtOAc にて抽出し、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、シリカゲルクロマトグラフィー(SiO2, hexane) にて化合物 2 (5.285 g 16.5 mmol 55%) を単離した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ;8.62 (t, 1H, J = 1.4 Hz), 8.53 (s, 2H, J= 1.4 Hz), 3.94 (s,6H). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3)d 165.2 (2C), 142.9(2C), 132.6 (2C), 130.2, 93.8, 53.1 (2C), MS (EI) m/z 320 (M+), HRMSCalcd for C10H9IO4: 319.9546. Found: 319.9553.
Anal. Calcd for C10H9IO4: C, 37.52; H, 2.83.
Found: C, 37.44; H, 2.86.

【0064】
Dimethyl 5-trimethylsilylisophthalate (3)の合成
アルゴン雰囲気下において、化合物2(96.0mg、0.3mmol), bis(triphenylphosphine)palladium dichloride (16.8mg, 4 mol %)、cuprous iodide(4.6 mg, 8 mol %)及びtriphenylphosphine (11.8 mg, 15mol %), を三回凍結脱気した。また、trimethylsilyl acetylene (83.9 μL, 2.0 eq) , piperidine(0.5 mL 16.8 eq) を THF (5 mL) に溶解し、三回凍結脱気したあと、凍結脱気した化合物2(96.0mg、0.3mmol), bis(triphenylphosphine)palladium dichloride (16.8 mg, 4 mol %)、cuprous iodide(4.6 mg, 8 mol %)及びtriphenylphosphineと混合し、室温で12時間攪拌した。その後、溶媒を減圧留去した後、クロロホルムで抽出し、飽和塩化アンモニウム溶液にて洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後シリカゲルクロマトグラフィー(SiO2, hexane / EtOAc = 100:1 ) にて化合物3 (82.7 mg, 95 %) を単離した。
H-NMR
(400 MHz, CDCl3)δ;8.60(t, 1H, J = 1.7 Hz), 8.29 (d, 2H, J = 1.7 Hz), 3.95 (s,6H). 0.26(s, 9H) 13C-NMR (100MHz, CDCl3) d 165.8 (2C), 137.1 (2C), 131.0 (2C), 130.5, 124.4, 102.9,96.9, 52.7 (2C), 0.0 (2C), MS (EI) m/z 290 (M+), HRMS Calcd for C15H18O4Si:290.0974 Found: 290.0979. Anal. Calcd for C15H18O4Si:C, 62.04; H, 6.25. Found: C, 62.86; H, 6.23.

【0065】
5-Ethynyl-1,3-benzendimethanol(4) の合成
Ar雰囲気下 3 (6.64 g, 22.9 mmol) を THF (100 mL) に溶解しlithiumaluminium hydride (2.60 g, 68.5.mmol 3.0 eq) を室温にて加え、60℃ に昇温し12時間攪拌した。NaHCO3溶液にて反応を停止させ、EtOAc にて抽出し飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィー(中性SiO2, hexane / EtOAc= 2:1) にて化合物4 (2.26 g, 69%, 13.9 mmol) を単離した。
H-NMR(400 MHz, CDCl3)δ;7.43(s, 2H,), 7.38 (s, 1H), 4.70 (d, 4H, J = 6.0 Hz), 3.08 (s, 1H), 1.68 (t,2H, J = 6.0 Hz) 13C-NMR (100 MHz, CDCl3)d 141.4 (2C), 129.6(2C), 125.7 (2C), 122.5, 83.3, 77.2, 64.6(2C), MS (EI) m/z 162 (M+),HRMS Calcd for C10H10O2: 162.0681 Found:162.0685. Anal. Calcd for C10H10O2: C, 74.06;H, 6.21;. Found: C, 73.83; H, 6.19.

【0066】
1-(4,4’-Dimethoxytrityloxymethyl)-5-ethnyl-3-benzenemethanol(5) の合成
Ar雰囲気下 4 (649.0 mg, 2.45 mmol) と DMTrCl (1.6 g, 4.72mmol 1.92 mmol) を pyridine (20 mL) 中で室温12 時間攪拌した。NaHCO3溶液を加え反応を停止させた。EtOAcにて抽出し飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥後、シリカゲルクロマトグラフィー (中性SiO2, hexane / EtOAc= 2:1) にて化合物5 (941.4 mg, 50%, 1.25 mmol) を単離した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ;7.54-7.22 (m, 12H,), 6.84(d, 4H, J = 9.0 Hz), 4.65 (s, 2H,), 4.18 (s, 2H), 3.79 (s, 6H) 3.09 (s,1H), 1.82 (s, 1H) 13C-NMR (100 MHz, CD3OD)d 160.1 (2C), 146.5,143.3, 141.1, 137.3 (2C), 131.2 (4C), 130.3, 130.1, 129.2 (2C), 128.8 (2C),127.8 , 127.0, 123.7, 114.1 (4C), 87.9, 84.5, 78.5, 66.3, 64.6, 55.7 (2C), MS(FAB+) m/z 646 (M+), HRMS Calcd for C31H28O4:464.5516 Found: no date. Anal. Calcd for C31H28O4:C, 80.15; H, 6.08. Found: C, 79.16; H, 6.35.

【0067】
1-[[(2-Cyanoethoxy)(N,N-diisopropylamino)phosphinyloxymethyl]-3-(4,4’-dimethoxytrityloxymethyl)-5-ethnylbenzene
(6)の合成
Ar雰囲気下のグローブバッグ中にて 5 (646 mg, 1.0 mmol) をTHF (5.0 mL)に溶解し N,N-diisopropylethylamine (0.86 mL, 5.0 mmol, 5.0 eq.) を加え、さらにchloro(2-cyanoethoxy)(N,N-diisopropylamino)phosphine
(0.44 mL, 2.0 mmol, 2.0 eq.) を滴下させた。室温にて1時間攪拌後、NaHCO3 溶液にて反応を停止させクロロホルムで抽出しNaHCO3溶液にて洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥後シリカゲルクロマトグラフィー (中性 SiO2, hexane / EtOAc = 1:1) にて化合物6(252.7 mg, 37%)を与えた。
31P NMR (162 MHz, CDCl3) δ 149.3.

【0068】
5-Ethynyl-1,3-benzendimethanol誘導体のCPG樹脂樹脂(8) の製造例
化合物5 (674.9 mg, 1.45 mmol)と、無水コハク酸 (580.8 mg, 5.80 mmol)と、DMAP (1.91 mg,0.017 mmol)とを pyridine (3.9 mL) に溶解し、Ar 雰囲気下 72 時間室温で攪拌、CHCl3 と H2Oを加え 有機層を H2O 飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去し真空乾燥した。こうして得られた化合物7と、Aminopropyl controlled pore glass (837.5 mg, 77 μmol)と、1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride (720 mg, 3.76 mmol)とをDMF (15 mL), 中に加え 72 時間室温で攪拌した。 pyridine でCPG樹脂を洗浄後、capping solution (8 mL, 0.1 MDMAP in pyridine:Ac2O ) 9:1, v/v) を加え 16 時間室温攪拌後に pyridine, EtOH, MeCN, にてCPG樹脂を洗浄後真空乾燥させ、化学修飾されたCPG樹脂である化合物8 を48.9 μmol/g の活性で得た。活性は、このCPG樹脂6 mg をガラスフィルターにのせて、HClO4:EtOH (3:2, v/v) の溶液を流し込み、そのろ液の UV 498 nm の波長を(DMTr基の波長)の吸光度を求め計算した。

【0069】
<Huisgen反応(クリック反応)>
Huisgen反応(クリック反応)として、上述の化合物4とベンジルアジドとの反応をスキームIIIに示す方法にしたがって行い、1,2,3-triazole環を有する化合物9を得た。詳細を以下に述べる。

【0070】
【化15】
JP0005464401B2_000016t.gif

【0071】
4-(Benzene1,3-dimethanol)-1-benzyl-1H-1,2,3-triazole (9)の合成
Ar 雰囲気下、化合物4 (48.7 mg, 0.3 mmol) と benzyl azide (39.9mg 0.3 mmol) を 1:1 の H2Oと EtOH (4 mL) の混合溶液に加えた。続いて、Sodium ascorbate(59.4 0.3 mmol) とcopper(II) sulfate pentahydrate (74.9 mg) を加え、8 時間室温にて攪拌した。有機物をEtOAcにて抽出し、飽和食塩水にて洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー (中性SiO2, CHCl3/MeOH= 10:1~5:1) にて 9 (71.7 mg, 100%) を単離した。
1H-NMR (400 MHz, CD3OD)δ;8.27 (s, 1H), 7.68 (s,2H), 7.34 (s, 3H), 7.33 (s, 3H), 5.59 (s, 2H), 4.63 (s, 4H). 13C-NMR (100MHz, CDCl3) d 149.1, 143.8 (2C), 136.8, 131.7, 130.0 (2C), 129.6,129.1 (2C), 122.3, 64.9, 55.0.MS (EI) m/z 295 (M+), HRMS Calcd for C17H17N3O2:295.1321 Found: 295.1327.

【0072】
<Adenosine
のアミダイト体及びAdenosine で化学修飾されたCPG樹脂担体の合成>
以下のスキームIVに従い、アデノシン10を出発物質として化合物11~化合物17を得た。すなわち、アデノシン(10)をベンゾイル保護をして化合物11を得、続いてDMTr化を行い化合物12を得た。さらに、化合物12の水酸基をシリル保護し、2’保護体である化合物13
と、3’保護体の化合物14とを得た。化合物13を化合物8を得たときと同様の方法で処理することで、CPG樹脂担体16 を37.5 μmol/g の活性で得た。また、化合物14
をアミダイト化して化合物17を得た。各工程の詳細を以下に述べる。

【0073】
【化16】
JP0005464401B2_000017t.gif

【0074】
6-N-Benzoyladenosine
(11)の合成
Adenosine (10) (5.00 g, 18.8 mmol) を dry-pyridineで4 回共沸させて脱水した。そして、Ar 雰囲気下、脱水したAdenosine(10)をdry-pyridine (100mL) に溶解しTMSCl (10 mL,79.1 mmol) を滴下して室温にて4 時間攪拌した。その後、benzoyl chloride (2.6 mL,22.4 mmol)を滴下し室温で12時間攪拌した後、蒸留水(25 mL) にて反応を停止させた。そして、氷冷下、28% NH4OH (40 mL)を加え 10分攪拌し、室温で5時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。こうして得られた濃縮物を桐山ロートを用いて氷水と氷冷下のクロロホルムにて洗浄し、60℃で3時間乾燥させた後、真空乾燥し、化合物11(4.95 g, 13.3 mmol 71%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ;11.22 (s, 1H), 8.73 (d, 2H,J = 14.8 Hz), 8.04 (d, 2H J = 7.6 Hz), 7.65 (t, 1H, J= 7.6 Hz,), 7.55 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 6.03 (d, 1H, J = 7.2 Hz),5.58 (m, 1H), 5.26 (m, 1H,), 5.14 (s, 1H), 4.65 (d, 1H, J = 4.8 Hz),4.18 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 3.98 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 3.68 (d, 2H, J= 10.4 Hz)

【0075】
6-N-Benzoyl-5’-O-(4,4’-dimethoxytrityl)adenosine(12)の合成
化合物11 (4.95 g, 13.3 mmol) をdry-pyridine にて4回共沸した。 Ar 雰囲気下 化合物11 をdry-pyridine (50 AmL) に溶解し DMTrCl (6.76 g, 19.95 mmol, 1.5 eq) , DMAP (40.4 mg,0.025 eq) を加え室温にて 20 時間攪拌した。NaHCO3 溶液にて反応を停止し有機物をEtOAc にて抽出した。有機層を蒸留水、NaHCO3 溶液、飽和食塩水にて洗浄後硫酸ナトリウムにて乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(SiO2, CHCl3/MeOH= 100:1) にて 12(5.82 g, 8.6 mmol 65%) を単離した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ9.09 (s, 1H), 8.77 (s,1H), 8.26 (s,1H), 8.01 (d, 2H, J = 7.4 Hz),7.62 (t, 1H, J = 7.4 Hz), 7.52 (t, 2H, J = 7.4 Hz),7.23-7.13 (m, 9H), 6.71 (d, 4H, J = 9.0 Hz), 6.02 (d, 1H, J = 6.2Hz), 5.72 (d, 1H, 3.0 Hz), 4.84-4.87 (m, 1H), 4.43-4.41 (m 2H), 3.74 (s, 6H),3.43 (dd, 1H, J = 10.8, 3.0 Hz) 3.26 (dd, 1H, J = 10.8, 3.0 Hz)

【0076】
6-N-Benzoyl-2’-O-tert-butyldimethylsilyl-5’-O-(4,4’-dimethoxytrityl)adenosine,(13)及び6-N-Benzoyl-3’-O-tert-butyldimethylsilyl-5’-O-(4,4’-dimethoxytrityl)adenosine(14)の合成
化合物(12) (3.23 g, 4.80 mmol) と imidazol (653.5 mg, 9.60 mmol, 2.0 eq), TBDMSCl(786.7 mg, 5.22 mmol, 1.08 eq.) を DMF (10ml) 中に加え室温にて 20 時間攪拌した。 こうして得られた反応液を EtOAc にて抽出し、蒸留水、 NaHCO3 溶液、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(SiO2, Hexane/EtOAc = 5:1) にて 化合物13 (1.18 g, 1.50 mmol 31%) と化合物14 (1.40 g, 2.07 mmol37%) で得た。
化合物13の物性データ
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ;11.23 (s, 1H,), 8.69(s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.02 (d, 2H, J = 7.2 Hz) 7.65 (t, 1H, J =7.3 Hz) 7.57 (t, 2H, J = 7.3 Hz) 7.42-7.41 (m, 2H), 7.31-7.23 (m, 7H),6.87 (dd, 4H, J = 9.2, 2.6 Hz), 6.10 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 5.22(d, 1H, J = 6.0 Hz), 4.92-4.89 (m, 1H), 4.33-4.31 (m, 1H), 4.17-4.15 (m,1H), 3.74 (s, 6H), 3.31-3.30 (m, 2H), 0.79 (S, 9H), 0.00 (s, 3H) -0.10 (s, 3H).
化合物14の物性データ
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ;11.16 (s, 1H,), 8.60(s, 1H), 8.59 (s, 1H), 7.98 (d, 2H, J = 7.8 Hz) 7.58 (t, 1H, J =7.8 Hz) 7.49 (t, 2H, J = 7.8 Hz) 7.30 (d, 2H, J = 7.6 Hz),7.21-7.16 (m, 7H), 6.80-6.78 (m, 4H), 5.97 (d, 1H, J = 4.4 Hz), 5.44 (d,1H, J = 5.4 Hz), 4.85-4.84 (m, 1H), 4.42-4.44 (m, 1H), 4.02-4.00 (m,2H), 3.67 (s, 6H), 3.11-3.10 (m, 1H), 0.80 (S, 9H), 0.04 (s, 3H) 0.00 (s, 3H)

【0077】
6-N-Benzoyl-3’-O-tert-butyldimethylsilyl-5’-O-(4,4’-dimethoxytrityl)adenosine
2’-O-(2-cyano-ethyl) N,N-diisopropylphosphoramidite (17)
Ar 雰囲気下のグローブバッグ中、化合物14 (787 mg, 1.0 mmol) をTHF(10.0 mL) 中に溶解し N,N-diisopropylethylamine (0.86 mL, 5.0 mmol, 5.0 eq.)を加え室温にて攪拌後、chloro(2-cyanoethoxy)(N,N-diisopropylamino)phosphine(0.44 mL, 2.0 mmol, 2.0 eq.) を滴下し室温で 1 時間攪拌した。NaHCO3 溶液を加え反応を停止させCHCl3にて有機物を抽出しNaHCO3 溶液、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(中性 SiO2,hexane / EtOAc = 1:1) にて 17 (435.1 mg, 0.44 mmol 44%) で単離した。
31P-NMR (162 MHz, CDCl3) δ 150.91,150.88.

【0078】
5-Ethynyl-1,3-benzendimethanolで修飾した2-5A誘導体の合成、及び5-Ethynyl-1,3-benzendimethanolで修飾したmi143誘導体の合成
以下に示す3種類の2-5A 誘導体(pEpApApA, EpApApA,及びpApApApE)を核酸自動合成機により合成した。また、以下に示す2種類のmiRNA誘導体(mi143dTE及びmi143E)も同様に核酸自動合成機により合成した。以下に、その合成法の詳細を述べる。

【0079】
【化17】
JP0005464401B2_000018t.gif

【0080】
2-5A 誘導体(pEpApApA,EpApApA及びpApApApE)の合成
上記3種類の2-5A誘導体(pEpApApA, EpApApA及びpApApApE)を核酸自動合成機によるホスホロアミダイト法によって合成した。各アミダイトは、0.15 M のアセトニトリル溶液に調製し、合成した各CPG 担体を用いた。それぞれの樹脂を各々の活性に基づき 1 umol 分をカラムに量り取り、核酸自動合成機にセットした。縮合時間は5分とし、DMTr 基を除いた状態で合成を終了した。合成終了後、CPG樹脂に結合した 2-5A 誘導体は、NH4OH:EtOH (3:1, v/v) 溶液を加え 55℃ で 12 時間インキュベートし樹脂からの切り出し、及び脱保護を行った。ろ液と、樹脂を33% EtOH にて 3 回洗浄した溶液をエッペンドルフチューブに移し減圧下乾固した。1 mL の 1 M TBAF/THF を加え、室温にて 12 時間インキュベートしシリル基を外した。反応液を30mL の 0.1 M TEAA buffer (pH 7.0) を加え希釈し、 Sep-Pak C18 カートリッジに通しカラムに吸着させ、滅菌水で洗浄後50%CH3CN にて溶出した。HPLC を用いて精製した。 合成した 2-5A 誘導体は、水溶液中の UV 260 nm における吸光度を測定しその収量を求めた。また、MALDI-TOF/MSにより構造の同定を行った。
MALDI-TOF/MSにより得られた親イオンのスペクトルデータ
pEpApApA, :
calculated mass, 1229.2 observed mass, 1229.8
EpApApA:
calculated mass, 1149.2 observed mass, 1149.7
pApApApE:
calculated mass, 1229.2 observed mass, 1231.2

【0081】
miRNA 誘導体
(mi143dTE, mi143E)の合成
miRNA
誘導体 (mi143dTE, mi143E) については、Sep-PaK C18 カートリッジにて粗精製後に、 20% PAGE により目的の miRNA を単離し、0.1M TEAA buffer, 1 mM EDTA 水溶液 20 mL を加え、 12 時間振盪しゲルから抽出した。このろ液をSep-PaK C18 カートリッジにて粗精製後にHPLC を用いて精製した。
MALDI-TOF/MSにより得られたスペクトルデータ
mi143dTE:
calculated mass, 7590.0. observed mass, 7589.9.
mi143E:
calculated mass, 7286.0. observed mass, 7285.3.

【0082】
2-5A 誘導体(pEpApApA)のHuisgen反応(クリック反応)
上記のようにして得られた2-5A 誘導体(pEpApApA)について、以下のスキームVにしたがってbenzylazide (18)とのHuisgen反応(クリック反応)をメタノール中で行なった(反応条件の詳細については後述する)。その結果、表1に示すように、Huisgen反応(クリック反応)は15分でほぼ反応が完結することが分かった。
また、溶媒をメタノールからDMSO (ジメチルスルホキシド)に替えることにより、さらに迅速に反応が進行することが分かった。

【0083】
また、benzylazide
(18)に替えて、4-fluorobenzylazide (19)とのHuisgen反応(クリック反応)を行なった場合においても、15分でほぼ反応が完結することが分かった。
4-fluorobenzylazide
(19)はフッ素を含有しているため、このフッ素をPET標識用元素である18Fによって標識化しておけば、希薄溶液(10 uM)、かつ穏和な条件にて反応を攪拌することなく進行させることができる。このことから、PET法に適用可能な18Fによって標識化された2-5A誘導体を短時間で得られることが分かった。

【0084】
【化18】
JP0005464401B2_000019t.gif

【0085】
【表1】
JP0005464401B2_000020t.gif

【0086】
2-5A誘導体(pEpApApA)とbenzylazide (18)とのHuisgen反応(クリック反応)
100 uM の pEpApApA (20 uL, 2 nmol)と、 1 mM MeOH 溶液中のbenzyl azide (20 uL, 20nmol)と、100mMのCuSO4・5H2O (2uL, 2 mmol)水溶液と、100mM の Sodium Ascorbate (2uL, 2mmol)水溶液とを滅菌した 0.1 M phosphate buffer (pH 7.0) (156 uL) に加えボルテックスし
15 分静置しHPLC にて精製することにより、2-5A誘導体(pEpApApA)のエチニル基にベンジルアジドが環化付加した001-Click を 88% 収率で得た。
MALDI-TOF/MSにより得られたスペクトルデータ
calculated
mass, 1364.2. observed mass, 1364.2.
また、反応溶媒をMeOHからDMSOに変えた場合には、pEpApApAとbenzyl azideとが当量づつでも、高収率で反応が進行した。すなわち、100 uM の pEpApApA (20 uL, 2 nmol), 1 mM DMSO 溶液中の benzyl azide (4.0uL, 4.0 nmol), 100 mM の CuSO4・5H2O (2uL, 2 mmol) 水溶液、 100 mM の Sodium Ascorbate (2uL, 2mmol) 水溶液を滅菌した 0.1 M phosphate buffer (pH7.0) (142 uL) と、DMSO (30 uL) の混合液に加えボルテックスし 15 分静置しHPLC にて精製すると 001-Click が 93% の収率で得られた。

【0087】
2-5A誘導体(pEpApApA)とhexyl azide (18)とのHuisgen反応(クリック反応)
上述した、2-5A誘導体(pEpApApA)とbenzylazide (18)とのHuisgen反応(クリック反応)と同様の操作により、2-5A誘導体(pEpApApA)とhexyl azide (18)とのHuisgen反応(クリック反応)を行なった。その結果、13%の収率で目的の化合物(001-Hex-click)を得た。
MALDI-TOF/MSにより得られたスペクトルデータ
001-Hex-click: calculated
mass, 1356.3. observed mass, 1356.5.

【0088】
4-Fluorobenzylazide
(19)の合成
Ar雰囲気下4-Fluorobenzylchloride(238.8 uL, 2 mmol)とsodium azide (390.1 mg, 6 mmol)とをDMF (10 mL)中にて室温で12 時間攪拌し、その後反応液をEtOAcにて抽出し飽和食塩水で洗浄し、抽出液を硫酸ナトリウムにて乾燥させた。そしてシリカゲルクロマトグラフィー(SiO2,hexane)により4-Fluorobenzylazide(19)(169.1 mg, 1.12 mmol 56%) を単離した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ;7.53-7.28 (m, 2H,), 7.16-6.99(m, 2H), 4.32 (s, 2H). IR (KBr) 2105, 1512 cm-1.

【0089】
2-5A誘導体(pEpApApA)の4-fluorobenzylazide (19)とのHuisgen反応(クリック反応)
上記001-Clickの合成におけるbenzyl azide に替えて、fluorobenzylazide (19)を用い、その他の条件は同様として、2-5A誘導体(pEpApApA)のエチニル基に4-fluorobenzylazideが環化付加した001-F-Clickを92%の収率で得た。
MALDI-TOF/MSにより得られたスペクトルデータ
calculated
mass, 1380.2. observed mass, 1381.9.

【0090】
miRNA 誘導体の(pEpApApA)のbenzylazide(18)とのHuisgen反応(クリック反応)
上記のようにして得られたmiRNA 誘導体(pEpApApA)について、以下のスキームVIにしたがってbenzylazide (18)及び4-fluorobenzylazide
(19)によるHuisgen反応(クリック反応)を行なった(反応条件は2-5A誘導体(pEpApApA)の場合と同様であり説明をを省略する)。
MALDI-TOF/MSにより得られたスペクトルデータ
mi143dT-click calculated mass, 7723.1. observed mass,
7723.9.

【0091】
【化19】
JP0005464401B2_000021t.gif

【0092】
以上の結果から、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、エチニル基が結合しているため有機アジド化合物とHuisgen反応を短時間で収率よく行われることが分かった。この反応を阻害する官能基は少なく、反応後に余分な廃棄物を出すこともなく、特別な精製等の工程も要さないため、生体細胞に対する余分な悪影響を排除することができる。また、4-fluorobenzylazide (19)のフッ素をPET法に用いられる標識元素である18Fに替えれば、容易にPET法の適用が可能なオリゴヌクレオチド誘導体とすることができる。

【0093】
また、こうしたベンゼン置換基を導入されたオリゴヌクレオチド誘導体は、ヌクレアーゼ抵抗性を有することが期待される。さらには、前述した式(1)で示されるユニットは、各種ヌクレアーゼのターゲットとなる箇所(ヌクレアーゼの種類により、3’末端や5’末端や非3’末端非5’末端の特定の部位等)に結合させることができる。

【0094】
また、式(1)のユニットをsiRNAの3’ダングリングエンドに結合させることにより、RNAiによる遺伝子発現抑制作用の増大が期待される。特に、4-fluorobenzylazide (19)は疎水性が著しいため、特にその効果が大きいと推測される。

【0095】
また、実施例のsiRNAは、核酸オリゴマーの末端にフルオロメチルベンゼンを導入することにより得られ、CPG担体である化合物6のカラムを通すだけで、修飾可能である。このため、18Fを標識元素とした化合物を合成しておけば、極めて短時間のうちに、18Fでラベル化されたsiRNAとすることができる。すなわち、PET法に適用できる核酸オリゴマーのPETプローブ化が可能であり、これを用いれば、短時間で様々な配列を有する18Fを標識元素とした核酸オリゴマーの合成をすることが可能となることが分かった。

【0096】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】ユニット3を3’末端に有するsiRNAの-例を示す図である。
【図2】siRNAの化学修飾の例を示す図である。

【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、個別化医療への展開が期待されているRNA創薬等、核酸オリゴマーを用いた医療分野において有用な手段を提供することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1