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明細書 :直交ウェーブレットを用いた情報伝送方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第2967193号 (P2967193)
公開番号 特開平11-275165 (P1999-275165A)
登録日 平成11年8月20日(1999.8.20)
発行日 平成11年10月25日(1999.10.25)
公開日 平成11年10月8日(1999.10.8)
発明の名称または考案の名称 直交ウェーブレットを用いた情報伝送方法
国際特許分類 H04L 27/36      
H03M  7/30      
H04J 11/00      
H04L  1/00      
FI H04L 27/00 F
H03M 7/30
H04J 11/00
H04L 1/00
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願平10-092651 (P1998-092651)
出願日 平成10年3月20日(1998.3.20)
審査請求日 平成10年3月20日(1998.3.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391027413
【氏名又は名称】郵政省通信総合研究所長
発明者または考案者 【氏名】岡本 英二
審査官 【審査官】田口 英雄
参考文献・文献 特開 平8-70330(JP,A)
特開 平6-188926(JP,A)
調査した分野 H04L 27/00 - 27/38
H04J 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
直交ウェーブレットを用いた情報伝送において、伝送情報に不均一誤り保護(以下UEPと記す)をおこなう際に、直交ウエーブレットを用いてサブバンド分解される成分の全てを用いることなく、サブバンド群の中から選定したサブバンドにのみ信号点を割り当てることによって、平均ビット誤り率(以下BERと記す)特性を情報の重要度に応じて異ならせた状態で全てのサブバンド群から合成波fを作成し、該合成波を変調て伝送するようにしたことを特徴とする直交ウェーブレットを用いた情報伝送方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は直交ウェーブレットを用いたディジタル変調方法に関するものであり、特に、伝送したい情報に階層的な重要度がある場合の変調方法として利用できる。

【0002】

【従来の技術】従来、符号化によってUEPを実現する場合、例えば図11のように一般化連接符号を用いる方法がある。図のC′符号器では符号長はnN、情報記号数はK1k1+K2k2+..+KLkLとなる。外符号Ciの最小ハミング距離をiによって異なるものにすることにより、UEPを実現することができる。しかしこの方法では、一般的に冗長度が大きくなり伝送効率が落ちてしまう。

【0003】
また、信号点配置による方法の場合、図12のような信号点配置を用いて伝送を行うと、d1、d2のユークリッド距離が異なることにより、付加雑音環境下などにおいてd1>d2のとき、a1ビットの誤り率がa2ビットの誤り率よりも低くなる。この方法によってもUEPを実現することができるが、この場合情報の階層を2段階しか設定することができない。また16QAMなど、より多シンボルの信号点配置で行おうとすると、信号面の構造が複雑になってしまう。

【0004】
更に、符号化変調による方法の場合、上記2つの技術を統合する技術として符号化変調方式による方法がある。この方法では一般的に信号点配置にユークリッド距離の差をつけ、符号化にはトレリス符号などを用い、符号化率をビットの重要度によって変化させる。これを用いることにより設定の自由度が得られ、伝送効率をそれほど落すことなくUEPが実現される。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方法では符号化、復号化手順が複雑になり、計算量も増大してしまうという問題を有していた。

【0006】

【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の欠点に鑑み提案されたもので、ディジタル変調方式において、伝送情報にUEPをおこなう際に、直交ウエーブレットを用いることによって、平均ビット誤り率BER特性の異なる情報を変調によって伝送可能にする直交ウェーブレットを用いたディジタル変調方法を提供するものである。

【0007】
本発明は、直交ウエーブレットを用いた離散ウエーブレットが1対1の可逆変換であることにより、サブバンド分解された成分に1つの信号点を割り当てて合成波f0を作成し、該合成波f0をベースバンドの変調信号として送信する直交ウェーブレットを用いたディジタル変調方法を提供するものである。

【0008】
また、本発明は、伝送したい情報に階層的な重要度がある場合の変調方法として利用できる直交ウェーブレットを用いたディジタル変調方法を提供するものである。

【0009】
更に、本発明は、陸上、衛星の移動体通信システムにおいて、受信劣化状況によりBER特性のよい階層だけを復調するという、適応変調の方法として利用することができる直交ウェーブレットを用いたディジタル変調方法を提供するものである。

【0010】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に本方式の原理を示す。横軸xは時間軸である。直交ウェーブレットを用いた離散ウェーブレット変換が1対1の可逆変換であることを利用して、サブバンド分解された成分に一つの信号点を割り当て、合成波f0を作り、これをベースバンドの変調信号として送信する。

【0011】
図1は信号面に16QAMを用い、16シンボルの情報をウェーブレットでまとめて伝送する場合の例である。この場合はまず伝送したい情報ビットを4ビットずつ区切り、16QAM信号点を16個作成する。そして、それらのシンボルをサブバンド波g-1~g-4、f-4の係数として割り当て、ウェーブレット合成波f0を作成し、伝送するわけである。受信側では受信波をウェーブレット分解し、同様にサブバンド成分に分解された信号点から復号を行う。信号点配置は伝送効率、信号点間のユークリッド距離の関係により選択される。

【0012】
なお、図4では実数部のみが表示されているが、計算は複素領域で行う。マザーウェーブレットは直交であれば何でもよい。伝送データはデータ数2の冪乗でフレーム化する必要があり、その数をNw=2n(nは正整数)とすると、サブバンドは-1から-nのレベルまで分解することができる。

【0013】
サブバンド分解について連続信号の式で表すと、下記のような式となる。

【0014】

【数1】
JP0002967193B2_000002t.gif【0015】
【数2】
JP0002967193B2_000003t.gif【0016】ここで、f0(x)は合成波、gi(x)はサブバンド波でi=-nから-1の整数値を取り、i=-1が高周波成分、-nが低周波成分となる。また数式2のfj(x)(-n+1≦j≦-1、jは整数)はレベルj-1以下の合成波である。f、gをスケーリング関数φ(x)、マザーウェーブレットΨ(x)を用いて表すと下記のようになる。

【0017】

【数3】
JP0002967193B2_000004t.gif【0018】
【数4】
JP0002967193B2_000005t.gif【0019】ただし、kは整数であり、またc(j)k、d(j)kはサブバンドレベルjの係数で、これらに伝送シンボルを割り当てる。本方式はウェーブレットを搬送波としたマルチキャリア変調方式である。

【0020】
なお、スケーリング関数、マザーウェーブレットは以下のようなトゥ・スケール関係を満たす。

【0021】

【数5】
JP0002967193B2_000006t.gif【0022】
【数6】
JP0002967193B2_000007t.gif【0023】ただし、{pk}、{qk}(kは整数)はトゥ・スケール数列と呼ばれる数列である。また、ウェーブレットが直交の場合、これらは分解数列という{γk}、{ηk}に対し下記の関係を持つ。

【0024】

【数7】
JP0002967193B2_000008t.gif【0025】送信波合成の原理を以下に示す。ウェーブレットの合成、分解時の時間軸にはxを用い、実際の送信系列を扱う時の時間軸tとは区別して考える。これはウェーブレットを用いた分解、合成の式がxを用いて数式3、数式4のように表され、ここでxをtに変換するより、このまま考えた方が簡単であるためである。実際にはウェーブレット合成波、分解波は離散的に得られるので、得られた離散値を送信系列に当てはめることのみでxからtへの変換を行うことができる。数式1、数式3、数式4より、合成波を連続信号として表すと下記のようになる。

【0026】

【数8】
JP0002967193B2_000009t.gif【0027】そして、この{d(j)k}、c(-n)0に複素数の信号点を割り当てることになる。その際、数式8のように直交ウェーブレット変換ではサブバンドのレベルによって時間解像度が変わり、低周波ほど低くなるので、割り当てられる信号点の数がレベルによって変わる。具体的にはサブバンドj=-1レベルでNw/2個、以降レベルが一つ下がると信号点の数が半減され、レベル(-n+1)で2個、レベル-nでc(-n)0、d(-n)0が1つずつの2個である。

【0028】
また、合成波f0(x)は数式3よりとも表すことができ、結局この合成波の係数c(0)kの系列を伝送すれば{d(j)k}、c(-n)0の情報を得ることができる。

【0029】

【数9】
JP0002967193B2_000010t.gif【0030】数式8の合成の過程を離散的に与えるものが、数式2~数式6から得られる再構成アルゴリズムである。

【0031】

【数10】
JP0002967193B2_000011t.gif【0032】ただし、Iは整数である。

【0033】
図4はNw=16のときの合成の様子を示したものである。ただし、実数部のみが表示されている。データシンボル{d(j)k}、c(-4)0から送信系列{c(0)k}が作成されるが、数式10より、合成は低いサブバンドレベルから順番に行う。図中ではc(-4)k、d(-4)kからc(-3)kを合成し、c(-3)k、d(-3)kからc(-2)kと繰り返してc(0)kを求める。

【0034】
そして、このc(0)kをベースバンドの送信系列とする。図からも分かるように割り当てられる信号点の総数は、レベル-1~-4の合計でNwに等しいため、Nwのデータ信号点系列をNwシンボルの送信系列で伝送することができる。

【0035】
合成信号f0のエネルギーは数式9より下記の数式になる。

【0036】

【数11】
JP0002967193B2_000012t.gif【0037】ただし、この計算にはスケーリング関数の直交性を示す下記の数式を用いた。

【0038】

【数12】
JP0002967193B2_000013t.gifただし、j、k、lは整数である。

【0039】

【数13】
JP0002967193B2_000014t.gif【0040】
【数14】
JP0002967193B2_000015t.gif【0041】<u|v>は関数の内積であり、下記の数式で定義される。

【0042】

【数15】
JP0002967193B2_000016t.gif【0043】同様に、

【0044】

【数16】
JP0002967193B2_000017t.gif【0045】としたとき直交性は、

【0046】

【数17】
JP0002967193B2_000018t.gif【0047】
【数18】
JP0002967193B2_000019t.gif【0048】(j、k、l、mは整数)ならびにトゥ・スケール関係を用いて数式8から下記の数式が導き出せる。

【0049】

【数19】
JP0002967193B2_000020t.gif【0050】そして、数式11、数式19から下記の数式となる。

【0051】

【数20】
JP0002967193B2_000021t.gif【0052】これより、送信系列の電力とデータ信号点系列の電力の関係が表されることになる。

【0053】
受信波分解に関する説明をする。以下では受信側ベースバンドでのサンプリングされた離散信号について考える。

【0054】
受信信号をc′(0)kとすると、この系列を離散ウェーブレット分解すれば送信されたデータ信号点系列が得られる。なお、分解には下記の分解アルゴリズムを用いる。

【0055】

【数21】
JP0002967193B2_000022t.gif【0056】
【数22】
JP0002967193B2_000023t.gif【0057】数式21、数式22を用いてレベル0から逐次的に下のレベルのd′(j-1)kを求め、最後にc′(-n)0を求める。そしてこれらのサブバンド成分を元の信号点配置と比較して復調を行う。

【0058】
このように、サブバンドからの送信波合成、受信波からのサブバンド分解には離散ウェーブレット変換を用いているが、実際にはマザーウェーブレットを使用するわけではなく、トゥー・スケール数列、分解数列の代数計算のみでよいため計算は比較的容易である。

【0059】
次に、本発明における階層的構造について説明する。c(-n)0、d(j)kに割り当てる信号の信号点配置は、通常の変調と同様に1ビットに割り当てるエネルギーと伝送効率(bit/symbol)の関係によって決定される。また、レベル毎に変調方式を変えることにより、信号点間距離を柔軟に設定することもできる。

【0060】
数式20よりすべてのサブバンドに同じ信号点配置を適用すると、送信系列c(0)kの中において、下のサブバンドレベルほど相対的に割り当てられる1シンボルあたりのエネルギーが増えることになる。つまり、信号点配置の大きさは同じでも、サブバンドのレベルが一つ下がると、送信系列の中における1シンボルあたりのエネルギーは2倍になるわけである。これにより、サブバンド毎に3dBずつ異なる利得が得られ、階層的な伝送を実現することができる。なお、階層の深さはNwの冪乗の乗数になる。

【0061】
また、あるサブバンドレベルに伝送信号を割り当てず、0とする場合を考える。このとき、同じ伝送シンボル数で伝送できる情報が減るため伝送効率は落ちるが、数式20より伝送シンボル中におけるその他のサブバンドレベルの相対的エネルギーが増大するため、BER特性は全体的によくなる。このようにあるサブバンドレベルにのみデータを割り当てたり割り当てなかったりすることで、伝送効率を柔軟に設定することができ、それとトレードオフの関係にある階層的なBER特性も柔軟に設定することができる。

【0061】

【実施例】以下に本発明の実施例を詳細に説明する。第1の実施例を以下に説明する。以下ではすべてのサブバンドに同じ大きさの16QAMを適用し、送信データシンボルの生成確率は等しい場合を想定した。図1のように信号点配置をグレイ符号化16QAMとする。符号の最小ユークリッド距離をaとすると、この信号面から生成される信号の平均エネルギーs2は下記の数式となる。

【0062】

【数23】
JP0002967193B2_000024t.gif【0063】伝送効率が等価である一般的な無符号化16QAM(以下無符号化16QAMと記す)伝送時の場合は、これが送信信号の平均エネルギーになる。すべてのサブバンドに伝送したいデータを割り当てた場合の、ウェーブレット合成による送信系列の平均エネルギーは下記の数式となる。

【0062】

【発明の効果】以上要するに、本発明によれば、
1.符号化を施すことなく2段階以上の階層的なBER特性の得られる伝送系列が作成できる。
2.特殊な信号点配置を必要とせずにUEPを実現することができる。
3.伝送効率、それとトレードオフの関係にあるBER特性が柔軟に設定できる。
4.変調方法自体のエネルギーの損失はない。そのため本変調方法を用いさらに符号化を行うなど、伝送方法の拡張が容易である。
等、多大な効果を奏する。

【0064】

【数24】
JP0002967193B2_000025t.gif【0065】数式23、数式24より、信号の平均エネルギーを1としたときのサブバンドレベルの相対的なユークリッド距離の2乗Δ2、ならびに無符号化16QAMに対する利得は、Nw=16のとき表1のようになる。

【0066】

【表1】
JP0002967193B2_000026t.gif【0067】このようにすべてのサブバンドに同じ大きさの信号点配置を行っても、送信系列の中における1シンボルあたりのエネルギー割り当てが異なるため、実効的な2Δはサブバンド毎に2倍ずつ異なる。

【0068】
また、用いる直交ウェーブレットはサポートが小さく、合成、分解の際の計算が簡単なHaar関数、ならびにDaubechiesN=2の関数を用いた。このとき、トゥ・スケール数列はHaar関数の場合、下記の数式で表される。

【0069】

【数25】
JP0002967193B2_000027t.gif【0070】DaubechiesN=2の場合、下記の数式で表される。

【0071】

【数26】
JP0002967193B2_000028t.gif【0072】また、分解数列は数式7より、Haar関数の場合、下記の数式で表されるとした。

【0073】

【数27】
JP0002967193B2_000029t.gif【0074】DaubechiesN=2の場合、下記の数式で表される。

【0075】

【数28】
JP0002967193B2_000030t.gif【0076】それ以外のp、q、fl、jはすべて0であり、数式10、数式21、数式22は適当なところで終了する。

【0077】
図4のような等価低域系のシステムを考え、AWGN環境下でのBER特性を計算した。マザーウェーブレットにはHaar関数を用い、ウェーブレット合成、分解時のフレーム長Nwは16とし、このフレームを単位として伝送を行った。また、受信側の同期は完全であることを仮定した。

【0078】
図5にそれぞれのサブバンドレベル別、及び全体のBER特性を示す。図の横軸は、無符号化16QAM伝送時のEb/N0とした。なお、サブバンドレベル-4はc(-4)0とd(-4)0のエネルギーが等しいため、まとめて評価した。図に示されているように、3dBずつBERが異なり、表1のようにレベル-4では無符号化16QAM理論値に比べておよそ5dBの利得が得られる。しかし、サブバンドレベル-4の伝送シンボル数は全体の1/8であり、しかも全体の1/2はサブバンドレベル-1での伝送となるため、すべてを合わせたBER特性は理論値より4dB近く劣化する。

【0079】
このように伝送信号のエネルギーを低いサブバンドレベルに集中させるため、全体の特性は劣化するが、本方式では階層的なBER特性が得られるので、情報源に階層的な重要度が与えられている場合などの伝送に適している。

【0080】
第2の実施例
伝送効率を無符号化16QAMよりも落とすことができる場合は、本方式は柔軟な設定が行える。例としてサブバンドレベル-1、-2のみにデータを割り当て、その他のレベルをすべて0とする場合を考える。このとき伝送効率はrate3/4の符号化16QAMと同じになる。すると、数式20より-1、-2レベルでの1シンボル当たりの相対的なエネルギーが増大するため特性がよくなり、表1と同様に利得を計算すると、表2のようにレベル-1が無符号化16QAMと同じ特性、レベル-2がそこから3dBよい特性が得られることになる。

【0081】

【表2】
JP0002967193B2_000031t.gif【0082】図6にBER特性の計算結果を示す。図中、レベル-1の特性と無符号化16QAMの理論値が重なっており、ほぼ表2の通りの特性が得られている。もちろん同じ伝送効率、つまり同じ周波数利用効率でもっとBER特性のよい符号は存在するが、本方式では複雑な符号化、復号操作を必要とせずに変調自体で段階的なBER特性が得られる点に特徴がある。

【0083】
本例に示したように、あるサブバンドレベルにのみデータを割り当てたり割り当てなかったりすることで、伝送効率を柔軟に設定することができ、また、レベル毎に3dBのBER特性の差が生じることから、本方式をUEP符号の一種と考えることもできる。また、各サブバンドレベル毎に変調方式を変化させることにより、レベル毎のBER特性の差を調節することも可能である。

【0084】
第3の実施例においては、伝送シンボル系列にパイロットシンボルを挿入することにより、同期を取ることを想定し、同時にそのパイロットシンボルにより、一様フェージング補償を行う計算機シミュレーションシステムを考える。図7にフェージング環境下におけるシステムを、図8に送信系列のフレーム構成を示す。

【0085】
この伝送フレームは、ウェーブレット分解、合成のフレームとは別のフレーム化であり、図10のデータシンボルの中にウェーブレットのフレームがインターリーブされて入っていることになる。

【0086】
Nwは16、シンボル伝送速度は16Ksymbol/secとし、同期は完全であると仮定した。またフェージングは最大ドップラー周波数fD=80Hz(fDTs=1/200、Tsはシンボル周期)の緩やかなレイリーフェージングとし、幅16、深さ15のシンボルインタリーブと、FFTを用いた補償法を適用した。フェージング補償に用いるパイロットシンボルは図3のA点を用い、パイロットシンボル間隔は16、補償に用いるパイロットシンボル数は32個とした。

【0087】
図9に計算結果を示す。AWGN環境下と同じく、各サブバンドレベル毎におおよそ3dBずつのBERの差が生じているが、レベル-4は他のレベルと比べてEb=N0に対し次第に特性がよくなる様子が表れている。これはレベル-4のシンボル1つが、伝送時系列c(0)kの中では16シンボルに分散して構成されているためインターリーブが効果的に働き、フェージングの影響がより抑えられている影響と考えられる。またフェージング補償方式には、パイロットシンボルを挿入することも含めておよそ2.2dBの劣化が生じるため、全体のBER特性は無符号化16QAMの理論値から比べて7~8dB程度劣化する。

【0088】
そこで図6と同じようにサブバンドレベル-1、-2のみに伝送データを割り当てフェージング下でのBERを計算した。結果が図10である。この場合はレベル-1が無符号化16QAM理論値からおよそ3dBの劣化、レベル-2が理論値程度のBER特性を示す。レベル-2の1シンボルは、伝送時系列の4シンボルに分散しているだけなので、図9のレベル-4に比べるとインターリーブの効果が出ていないことが分かる。

【0089】
このようにフェージング環境下においても階層的なBER特性が得られるため、移動体通信などへも適用可能であることが分かる。

【0090】
以上、本発明を図面に記載された実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記した実施形態だけではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図8】
5
【図11】
6
【図6】
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【図7】
8
【図9】
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【図10】
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【図12】
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