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明細書 :光分岐装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5117430号 (P5117430)
公開番号 特開2010-210700 (P2010-210700A)
登録日 平成24年10月26日(2012.10.26)
発行日 平成25年1月16日(2013.1.16)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発明の名称または考案の名称 光分岐装置
国際特許分類 G02B   5/04        (2006.01)
G01B   9/02        (2006.01)
G01B  11/00        (2006.01)
FI G02B 5/04 B
G01B 9/02
G01B 11/00 G
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2009-054042 (P2009-054042)
出願日 平成21年3月6日(2009.3.6)
審査請求日 平成22年12月20日(2010.12.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】門野 博史
個別代理人の代理人 【識別番号】100100918、【弁理士】、【氏名又は名称】大橋 公治
【識別番号】100108729、【弁理士】、【氏名又は名称】林 紘樹
審査官 【審査官】後藤 亮治
参考文献・文献 特開昭60-88929(JP,A)
特開2005-181452(JP,A)
特開昭58-165002(JP,A)
特開平9-257432(JP,A)
特開平11-119010(JP,A)
特開2004-093549(JP,A)
調査した分野 G02B 5/00 - 5/136
G01B 9/00 - 9/10
G01B 11/00 - 11/30
特許請求の範囲 【請求項1】
入射した光束を二つの平行な光束に分岐する光分岐装置であって、
二つの同形の三角プリズムの一面同士を、分岐膜を介して接合して形成した断面が二等辺三角形の三角柱プリズムと、
前記三角柱プリズムの二等辺の挟角に対向する辺を含む面に一面を接合した柱状プリズムと、
で構成された複合プリズムと、
前記三角柱プリズムと相似形状を有し、二等辺の挟角に対向する辺を含む面が、前記複合プリズムの出射面に対向して、前記出射面と平行を保つ状態で移動できる可動プリズムと、
前記可動プリズムの移動手段と、
を有し、前記三角柱プリズムの二等辺の一方を含む面から入射した光束が前記分岐膜で二つの光束に分岐され、
前記分岐膜を透過した一方の光束は、前記三角柱プリズムの二等辺の他方を含む面で全反射した後、前記柱状プリズムの側面で全反射して、前記出射面から前記複合プリズムの光軸の延長線に接近する方向に出射し、
前記分岐膜で反射した他方の光束は、前記複合プリズムの光軸を対称軸として前記一方の光束と対称となるように、前記三角柱プリズムの二等辺の一方を含む面及び前記柱状プリズムの他方の側面で全反射して、前記出射面から前記複合プリズムの光軸の延長線に接近する方向に出射し、
前記複合プリズムの出射面から出射した前記一方の光束及び他方の光束のそれぞれが、前記可動プリズムの前記出射面に対向する面から入射して、二等辺の各々を含む異なる面から平行に出射することを特徴とする光分岐装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光分岐装置であって、前記移動手段が、前記可動プリズムから平行に出射する二つの光束の間隔を調整するために、前記複合プリズムの光軸の方向に前記可動プリズムを移動させることを特徴とする光分岐装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光分岐装置であって、前記移動手段が、前記可動プリズムから平行に出射する二つの光束の位相を調整するために、前記二つの光束を含む平面内で前記複合プリズムの光軸と直交する方向に前記可動プリズムを移動させることを特徴とする光分岐装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の光分岐装置であって、前記三角柱プリズムを形成する二つの三角プリズム及び可動プリズムが、それぞれ直角プリズムであることを特徴とする光分岐装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光束を2つの平行な光束に分岐する光分岐装置に関し、平行光束の間隔や位相の調節を可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
入射光束の分岐は、光の干渉を得る装置では広く行われている。
例えば、図6は、下記特許文献1に記載された微分干渉顕微鏡の構成を示している。この装置では、光源1からの光束が2本の光束O、Eに分かれて試料5に照射され、試料5を通過した2本の光束が元通りに合体されて画像を生成する。2本の光束O、Eは、試料5の中を通る距離が異なるために位相差が生じ、それらの光束が合体して得られる画像には、干渉による濃淡が現れる。2本の光束O、Eの間隔は、μ以下のオーダーである。
この装置では、複屈折結晶330、屈折率の調整が可能な複屈折素子340、及びコンデンサレンズ9により平行光束が作られており、屈折率変化部314が、複屈折素子340の屈折率を電気的に変えて平行光束の間隔を調整している。
また、下記特許文献2に記載された微分干渉顕微鏡では、図7に示すように、2本の平行光束11、12をノマルスキープリズム23とコンデンサレンズ24とで生成し、観察条件の最適化を図るために、平行光束11、12の位相を空間光変調器4で電気的に調整している。
【0003】
また、本発明の発明者は、粗面にレーザ光線を照射したときに生じる粒状斑点模様(スペックルパターン)の干渉画像を用いて微小変位を計測する方法を下記特許文献3で提案している。この方法は、統計的手法を導入して変位を算出しているため「統計的干渉計測法」と名付けている。
図8は、この方法を実施する装置を示している。この装置では、レーザ光源11の光をウォラストンプリズム13とレンズ14とを用いて2本の平行な光線a1、a2に分岐している。光線a1及び光線a2の試料10による反射光は、偏光フィルタ15を通過してCCDカメラ16に入射する。このとき、光線a1によるスペックルパターンと光線a2によるスペックルパターンとの重ね合わせによって生じたスペックル干渉画像がCCDカメラ16で撮影される。
CCDカメラ16は、所定の時間間隔でスペックル干渉画像を撮影し、その画像がフレームメモリ21に順次記録される。
データ処理装置22は、フレームメモリ21に記録された画像の中から3つのスペックル干渉画像を用いて、それらの画像が撮影される間に生じた粗面10の変位(光線a1、a2によって照射された2点間の歪み)を統計的干渉計測法により算出する。
この統計的干渉計測法では、光線a1、a2で照射する2点間の間隔を1mm以下に設定して、この2点間に発生する変位をλ/1000(λはレーザ光の波長)の精度で計測することができる。
【0004】
また、図9は、下記特許文献4に記載された、入射光束を2つの平行な光束に分岐するプリズム分光器を示している。この分光器は、第1プリズム11と、第2プリズム12と、第2プリズム12を光軸に沿って平行移動する平行移動手段20とを有している。入射光は、二分割されるように、第1プリズム11の二面に跨るように入射させる。両面に入射した光線は、各々の面で屈折して二分割され、第1プリズム11の出射面から光軸に対して拡がり角度θを保って第2プリズム12に入射し、第2プリズム12で屈折されて、光軸と平行な二本の出射光A、Bとして第2プリズム12から出射される。
二本の平行光線A、Bの間隔は、平行移動手段20により第2プリズム12の位置を変えることで可変できる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2004-61614号公報
【特許文献2】特開2003-5080号公報
【特許文献3】特許第2817837号公報
【特許文献4】特開平11-119010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、複数の光学部品や電気的手段を用いて平行光束の間隔や位相を調整する場合は、構造が複雑になり、調整作業が難しい。
また、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されているように、平行光束を得るための複数の光学部品が広い間隔を空けて配置されている光学系は、空気の揺らぎや振動などの外乱による測定精度の低下が懸念される。光の波長の1000分の1と言った超高感度な測定では、特に、高い安定性が求められる。
また、特許文献4に記載された装置は、平行光束の間隔調整が容易であるが、この装置では、平行光束の間隔を、第1プリズム11からの出射光の間隔よりも狭めることができないため、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載された装置が必要としている間隔の平行光束を得ることができない。また、この装置は、平行光束の位相を調整することもできない。
また、この装置では、入射光を空間的に左右に分割しているため、分岐された2本のビームは入射光の強度分布と異なり、また、互いに等しい強度分布となっていない。これは平行光束を必要とする多くの光学装置において不利となる。

【0007】
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、入射光束を2つの平行な光束に分岐する装置であって、平行な光束の間隔や位相を任意に調節できる光分岐装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、入射した光束を二つの平行な光束に分岐する光分岐装置であって、二つの同形の三角プリズムの一面同士を、分岐膜を介して接合して形成した断面が二等辺三角形の三角柱プリズムと、前記三角柱プリズムの二等辺の挟角に対向する辺を含む面に一面を接合した柱状プリズムと、で構成された複合プリズムと、前記三角柱プリズムと相似形状を有し、二等辺の挟角に対向する辺を含む面が、前記複合プリズムの出射面に対向して、前記出射面と平行を保つ状態で移動できる可動プリズムと、前記可動プリズムの移動手段と、を有し、前記三角柱プリズムの二等辺の一方を含む面から入射した光束が前記分岐膜で二つの光束に分岐され、前記分岐膜を透過した一方の光束は、前記三角柱プリズムの二等辺の他方を含む面で全反射した後、前記柱状プリズムの側面で全反射して、前記出射面から前記複合プリズムの光軸の延長線に接近する方向に出射し、前記分岐膜で反射した他方の光束は、前記複合プリズムの光軸を対称軸として前記一方の光束と対称となるように、前記三角柱プリズムの二等辺の一方を含む面及び前記柱状プリズムの他方の側面で全反射して、前記出射面から前記複合プリズムの光軸の延長線に接近する方向に出射し、前記複合プリズムの出射面から出射した前記一方の光束及び他方の光束のそれぞれが、前記可動プリズムの前記出射面に対向する面から入射して、二等辺の各々を含む異なる面から平行に出射することを特徴とする。
この光分岐装置では、分岐された二つの光束が、複合プリズムの出射面から光軸の延長線に接近する方向に出射されるため、可動プリズムを経て生成される平行光束の間隔が狭く設定できる。また、二つの光束は、分岐膜を介して振幅分割されているので、それらの光束の強度分布は入射ビームと同一(相似)になる利点がある。
【0009】
また、本発明の光分岐装置では、前記移動手段が、前記可動プリズムから平行に出射する二つの光束の間隔を調整するために、前記複合プリズムの光軸の方向に前記可動プリズムを移動させる。
複合プリズムと可動プリズムとの距離を変えると、分岐された二つの光束の可動プリズムへの入射間隔が変わり、可動プリズムから出射される平行光束の間隔が変化する。
【0010】
また、本発明の光分岐装置では、前記移動手段が、前記可動プリズムから平行に出射する二つの光束の位相を調整するために、前記二つの光束を含む平面内で前記複合プリズムの光軸と直交する方向に前記可動プリズムを移動させることを特徴とする。
可動プリズムを複合プリズムの光軸と直交する方向に移動すると、可動プリズムに入射した二つの光束の可動プリズム内での光路長が変わってくるため、可動プリズムから平行に出射する二つの光束間の位相が変化する。
【0011】
また、本発明の光分岐装置は、前記三角柱プリズムを形成する二つの三角プリズム及び可動プリズムを、それぞれ直角プリズムで構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光分岐装置は、一本の光束から、狭い間隔で平行する安定した光束を生成することが可能であり、また、この平行光束の間隔や位相を簡単に調整することができる。
また、光学系の小型化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る光分岐装置の構成を示す図
【図2】図1の光分岐装置の平行間隔調整動作(b)及び位相調整動作(c)を示す図
【図3】図1の光分岐装置を用いた計測装置を示す図
【図4】図3の計測装置の動作を示すフロー図
【図5】図3の計測装置のフレームメモリの状態を示す図
【図6】従来の微分干渉顕微鏡の構成を示す図
【図7】従来の微分干渉顕微鏡の他の構成を示す図
【図8】統計的干渉計測法を用いた計測装置を示す図
【図9】従来のプリズム分光器を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る光分岐装置の構成を示している。
この装置は、図1(a)に示すように、二つの同形の直角プリズム41、42の直角に接する面同士を分岐膜43を介して接合した三角柱プリズム44と、この三角柱プリズム44の傾斜面に接合した柱状プリズム45とから成る複合プリズム40と、複合プリズム40に対して移動可能な直角プリズム50と、直角プリズム50を矢印A方向(複合プリズム40の光軸47方向)及び矢印B方向(複合プリズム40の光軸47と直交する方向)に移動する移動手段(不図示)とを有している。

【0015】
分岐膜43は、誘電体多層膜から成る。
直角プリズム50は、複合プリズム40の出射面46に対向する傾斜面51が、出射面46と平行を保つ状態で移動できる。
移動手段(不図示)は、直角プリズム50を載置して移動する圧電アクチュエータ等で構成される。

【0016】
この光分岐装置への入射光は、図1(b)に示すように、三角柱プリズム44を構成する一方の直角プリズム41の傾斜面から、複合プリズム40の光軸47と直交する角度で入射される。
複合プリズム40に入射した光束は、入射面で屈折するため、分岐膜43に対して斜めに入射し、分岐膜43で二つの光束に分岐される。
分岐膜43を透過した一方の光束は、三角柱プリズム44を構成する他方の直角プリズム42の傾斜面で全反射し、次いで、柱状プリズム45の側面で全反射して、複合プリズム40の出射面46から、複合プリズム40の光軸47の延長線に接近する方向に出射される。
また、分岐膜43で反射した他方の光束は、三角柱プリズム44を構成する直角プリズム41の傾斜面で全反射し、次いで、柱状プリズム45の対向する側面で全反射して、複合プリズム40の出射面46から、複合プリズム40の光軸47の延長線に接近する方向に出射される。
このように、複合プリズム40の光軸47を対称軸として、対称的な光路を辿った二つの光束は、複合プリズム40の出射面46から出射された後、直角プリズム50の傾斜面から直角プリズム50に入射し、直角プリズム50内で交差した後、直角プリズム50の直角を構成する二面のそれぞれで屈折され、平行な二本の光束となって出射する。

【0017】
この光分岐装置では、分岐された二つの光束が、複合プリズム40の出射面46から互いに接近する方向に出射されるため、直角プリズム50を経て生成される平行光束の間隔を狭く設定することが可能である。
また、出射面46から出射する二つの光束の光路は、複合プリズム40の光軸47に対して傾いているため、直角プリズム50を光軸47の方向に移動した場合に、二つの光束が直角プリズム50に入射する位置での入射間隔が変化する。それに伴い、直角プリズム50から出射される平行光束の間隔が変わる。
図2は、この模様を示している。図2(a)の位置から光軸47の方向に沿って直角プリズム50を遠ざけると、図2(b)に示すように、平行光束の間隔が拡がる。
また、図2(c)に示すように、二つの光束を含む平面内で複合プリズム40の光軸47と直交する方向に直角プリズム50を移動させると、直角プリズム50に入射した二つの光束の直角プリズム50内での光路長に変化が生じる。そのため、直角プリズム50から出射される平行光束間の位相が変化する。

【0018】
このように、この光分岐装置は、直角プリズム50の移動手段(不図示)により、直角プリズム50を移動することで、平行光束の間隔や位相を簡単に調整することができる。
また、この装置では、超高感度な測定を行う場合、直角プリズム50を複合プリズム40に接近させて間隔の狭い平行光束を得ることになる。このとき、平行光束の生成は、殆ど複合プリズム40や直角プリズム50の内部で行われるため、空気の揺らぎなどの外乱に対して極めて強い。それ故、この光分岐装置を用いることで、超高感度な測定を安定的に行うことができる。
また、この装置を用いることで光学系を小型化できる。

【0019】
図3は、この光分岐装置の使用例として、統計的干渉計測法により微小変位を計測する計測装置に用いる場合を示している。
この計測装置は、波長λのコヒーレントなレーザ光を出力するレーザ投光機11と、このレーザ光を集光するレンズ12と、集光された光束から2本の平行光束a1、a2を生成する光分岐装置60と、被測定物体10での光線a1の反射光と光線a2の反射光とが干渉して得られるスペックル干渉画像のみを通過させる偏光フィルタ15と、偏光フィルタ15を通ったスペックル干渉画像を撮影するCCDカメラ16と、撮影された画像を記録するフレームメモリ21と、記録された画像を解析して被測定物体10の光線a1、a2が照射された2点間の変位を検出するデータ処理装置22とを備えている。

【0020】
図4は、この計測装置による計測手順を示している。
まず、光分岐装置60の直角プリズム50を光軸方向に動かして、測定領域を決定する平行光束a1、a2の間隔dを設定する。次いで、光軸と直交する-Y方向に移動して光線a1、a2に位相差を与え、このときにCCDカメラ16で撮影したスペックル干渉画像を第1の基準スペックル干渉画像としてフレームメモリ21に記録する。次に、直角プリズム50を光軸と直交するY方向に移動して光線a1、a2に逆の位相差を与え、このときにCCDカメラ16で撮影したスペックル干渉画像を第2の基準スペックル干渉画像としてフレームメモリ21に記録する(ステップ21)。
次に、直角プリズム50を光軸の位置に戻して、計測すべきスペックル干渉画像(“計測画像”と呼ぶことにする。)をCCDカメラ16で撮影し、フレームメモリ21に記録する(ステップ22)。

【0021】
データ処理装置22は、フレームメモリ21から、第1の基準スペックル干渉画像、計測画像及び第2の基準スペックル干渉画像を取得し、統計的干渉計測法を用いて、第1の基準スペックル干渉画像に対する計測画像の位相差Ψ'1及び計測画像に対する第2の基準スペックル干渉画像の位相差Ψ'3を算出し、メモリに記録する(ステップ23)。
同じ第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を用いて算出された他の計測画像のΨ'1及びΨ'3がメモリに記録されていないときは(ステップ24でNo)、ステップ26に移行して、Ψ'1及びΨ'3と閾値Ψ0とを比較する。
この閾値Ψ0は、計測画像の位相が、第1または第2の基準スペックル干渉画像の位相に近付き過ぎた場合に、統計的干渉計測法の精度が低下するため、これを避けるために設定されている。
Ψ'1及びΨ'3の絶対値が閾値Ψ0より大きい場合(ステップ27でYes)は、CCDカメラ16で撮影された次の計測画像を取得し(ステップ29、ステップ22)、統計的干渉計測法を用いて、第1、第2の基準画像に対する計測画像の位相差Ψ'1、Ψ'3を算出し、メモリに記録する(ステップ23)。
同じ第1、第2の基準画像を用いて算出された他の計測画像のΨ'1及びΨ'3がメモリに記録されている場合に(ステップ24でYes)、Ψ'1またはΨ'3同士の差分を取ることにより、計測画像間の位相差を算出する(ステップ25)。
次いで、Ψ'1及びΨ'3と閾値Ψ0とを比較し(ステップ26)、Ψ'1及びΨ'3の絶対値が閾値Ψ0より大きい場合(ステップ27でYes)は、ステップ29、ステップ22の手順を繰り返す。

【0022】
一方、計測画像のΨ'1及びΨ'3の絶対値が閾値Ψ0未満の場合は(ステップ27でNo)、光分岐装置60の直角プリズム50を光軸と直交する-Y方向に移動して第1の基準スペックル干渉画像を更新し、直角プリズム50を光軸と直交するY方向に移動して第2の基準スペックル干渉画像を更新する(ステップ21)。
このとき、基準画像は、現時点の被測定物体10の微小変位に対応する位相に対して、直角プリズム50の操作による位相差が加算、または減算された位相を持つ基準画像に更新される。

【0023】
また、図5は、フレームメモリ21でのスペックル干渉画像の記録状況を模式的に示している。第1の基準スペックル干渉画像、第2の基準スペックル干渉画像及び計測画像の3枚がフレームメモリ21に取り込まれ、計測画像が順次更新される。基準画像Iと計測画像との位相差が閾値Ψ0より小さくなると、基準画像Iが基準画像IIに更新され、計測画像の順次更新が続けられる。
このように、この計測装置では、被測定物体10の微小変位が進行し、計測画像の位相が基準画像の位相に近付いた場合に、光分岐装置60を操作して基準画像を更新することで、統計的干渉計測法による測定精度を高く保つことが可能であり、光分岐装置60を用いて、測定レンジの拡大を簡単に図ることができる。

【0024】
なお、ここでは、光分岐装置の三角柱プリズム44を構成する二つのプリズム41、42、及び、可動可能なプリズム50が直角プリズムである場合について説明したが、本発明は、それに限定されない。三角柱プリズム44を構成する二つのプリズム41、42が同一形状であり、これらを接合した三角柱プリズム44の断面形状が二等辺三角形であり、可動可能なプリズム50が、三角柱プリズム44と相似形状であれば、本発明は実現可能である。
また、本発明の光分岐装置は、前述する統計的干渉計測法を用いる計測装置に限らず、例えば、入射ビームを平行な2つのビームに分離する光学実験用の要素コンポーネントなどとしても広く使用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の光分岐装置は、一本の光束から分岐した二本の平行光束を使用する光学装置に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 被測定物体
11 レーザ投光機
12 レンズ
15 偏光フィルタ
16 CCDカメラ
21 フレームメモリ
22 データ処理装置
40 複合プリズム
41 直角プリズム
42 直角プリズム
43 分岐膜
44 三角柱プリズム
45 柱状プリズム
46 出射面
47 光軸
50 直角プリズム
60 光分岐装置
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図8】
3
【図2】
4
【図3】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図9】
8