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明細書 :磁気浮上装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5236571号 (P5236571)
公開番号 特開2010-268552 (P2010-268552A)
登録日 平成25年4月5日(2013.4.5)
発行日 平成25年7月17日(2013.7.17)
公開日 平成22年11月25日(2010.11.25)
発明の名称または考案の名称 磁気浮上装置
国際特許分類 F16C  32/04        (2006.01)
FI F16C 32/04 Z
請求項の数または発明の数 14
全頁数 37
出願番号 特願2009-116185 (P2009-116185)
出願日 平成21年5月13日(2009.5.13)
審査請求日 平成22年12月20日(2010.12.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】水野 毅
個別代理人の代理人 【識別番号】100100918、【弁理士】、【氏名又は名称】大橋 公治
【識別番号】100108729、【弁理士】、【氏名又は名称】林 紘樹
審査官 【審査官】石田 智樹
参考文献・文献 特表2004-524575(JP,A)
特開2001-248639(JP,A)
特開平07-046869(JP,A)
特開平09-065607(JP,A)
特開2002-205375(JP,A)
特開平08-294248(JP,A)
特開2005-061580(JP,A)
特開2007-009949(JP,A)
特開2002-039178(JP,A)
特開平02-184205(JP,A)
特開平11-164586(JP,A)
特開2005-273802(JP,A)
特開2005-240967(JP,A)
調査した分野 F16C 32/04
特許請求の範囲 【請求項1】
浮上対象物に磁気力を作用する複数の電磁石を備えた磁気浮上装置であって、
直列または並列に接続された前記複数の電磁石と、
前記複数の電磁石に対する励磁を一台で行う電力増幅器と、
前記電力増幅器の出力を制御するコントローラと、
を有し、
浮上対象物の質量をmとし、前記浮上対象物に作用する前記電磁石の磁気力と前記浮上対象物の変位との比をksとするとき、ks/mの値が各電磁石で異なっていることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気浮上装置であって、前記浮上対象物が単一であることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気浮上装置であって、前記浮上対象物が前記電磁石と同数か、あるいはそれより少ない数であることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の磁気浮上装置であって、前記電力増幅器が電流出力形増幅器であり、前記複数の電磁石が直列に接続されていることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の磁気浮上装置であって、前記電力増幅器が電圧出力形増幅器であり、前記複数の電磁石が直列に接続されていることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の磁気浮上装置であって、前記電力増幅器が電圧出力形増幅器であり、前記複数の電磁石が並列に接続されていることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項7】
浮上対象物に磁気力を作用する複数の電磁石を備えた磁気浮上装置であって、
並列に接続された前記複数の電磁石と、
前記複数の電磁石に対する励磁を一台で行う電力増幅器と、
前記電力増幅器の出力を制御するコントローラと、
を有し、
前記電力増幅器が電圧出力形増幅器であり前記電磁石の自己インダクタンスをLとし、前記電磁石の抵抗をRとするとき、各電磁石において、R/Lの値が異なっていることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項8】
請求項に記載の磁気浮上装置であって、浮上対象物の質量をmとし、前記浮上対象物に作用する前記電磁石の磁気力と前記浮上対象物の変位との比をksとするとき、各電磁石において、ks/mの値が等しいことを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項9】
請求項に記載の磁気浮上装置であって、前記浮上対象物の位置の変位を検出する位置センサを具備し、前記コントローラは、前記位置センサによって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段と、前記微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記変位比例動作手段及び速度比例動作手段の出力を加算して前記電流出力形増幅器に出力する加算手段とを備えることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項10】
請求項に記載の磁気浮上装置であって、前記浮上対象物の位置の変位を検出する位置センサと、前記電磁石に供給される電流を検出する電流センサとを具備し、前記コントローラは、前記位置センサによって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段と、前記微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記電流センサによって検出された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段と、前記変位比例動作手段、速度比例動作手段及び電流比例動作手段の出力を加算して前記電圧出力形増幅器に出力する加算手段とを備え
ることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項11】
請求項6、7または8に記載の磁気浮上装置であって、前記浮上対象物の位置の変位を検出する位置センサと、前記複数の電磁石のそれぞれに供給される電流を検出する複数の電流センサとを具備し、前記コントローラは、前記位置センサによって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段と、前記微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記電流センサのそれぞれによって検出された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段と、前記変位比例動作手段、速度比例動作手段及び電流比例動作手段の出力を加算して前記電圧出力形増幅器に出力する加算手段とを備えることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項12】
請求項に記載の磁気浮上装置であって、前記複数の電磁石のそれぞれに供給される電圧を検出する複数の電圧センサを具備し、前記コントローラは、前記電圧センサのそれぞれによって検出された電圧から前記浮上対象物の位置の変位及び速度を推定する状態推定手段と、前記状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記変位比例動作手段及び速度比例動作手段の出力を加算して前記電流出力形増幅器に出力する加算手段とを備えることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項13】
請求項に記載の磁気浮上装置であって、前記電磁石に供給される電流を検出する電流センサを具備し、前記コントローラは、前記電流センサによって検出された電流から前記浮上対象物の位置の変位及び速度並びに前記電磁石に供給する電流を推定する状態推定手段と、前記状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記状態推定手段により推定された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段と、前記変位比例動作手段、速度比例動作手段及び電流比例動作手段の出力を加算して前記電
圧出力形増幅器に出力する加算手段とを備えることを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項14】
請求項6、7または8に記載の磁気浮上装置であって、前記複数の電磁石のそれぞれに供給される電流を検出する複数の電流センサを具備し、前記コントローラは、前記電流センサのそれぞれによって検出された電流から前記浮上対象物の位置の変位及び速度を推定する状態推定手段と、前記状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記変位比例動作手段及び速度比例動作手段の出力を加算して前記電圧出力形増幅器に出力する加算手段とを備えることを特徴とする磁気浮上装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気浮上装置に関し、複数の磁気浮上用電磁石を励磁する電力増幅器(アンプ)の数を減らして低コスト化を図るものである。
【背景技術】
【0002】
磁気力を利用して物体(浮上対象物)を非接触支持する磁気浮上は、支持に伴う摩擦や騒音が無く、また、潤滑材を使わないので、潤滑材の飛散や、温度による潤滑性能の劣化も生じない。このような特性を持つ磁気浮上装置は、無塵環境や真空中、高温・低温雰囲気などの特殊環境での使用に適しており、真空空間を形成するターボ分子ポンプの軸受や、クリーンルームでの搬送装置などに広く用いられている。その他、ジャイロセンサの回転体の支持や、除振装置における除振対象の支持などにも使用されている。
【0003】
図19は、電磁石20の吸引力を利用して浮上対象物10を磁気浮上させる従来の磁気浮上装置の典型例を示している。この装置では、浮上対象物10を安定的に磁気浮上させるため、センサ30が浮上対象物10の変位を検出し、センサ30の検出結果に基づいてコントローラ40が電磁石20の吸引力を制御し、コントローラ40の制御信号に基づいて電力増幅器50が電磁石20を励磁する。
【0004】
また、この装置のハードウエアを単純化・小型化し、低コスト化を図るため、図20に示すように、センサを省略したセンサレス磁気浮上装置が考案されている(下記非特許文献1参照)。これは、スイス連邦工科大学のVischer等によって提案されたものであり、電磁石20のコイル電流だけを観測して電磁石20の吸引力を制御する。
【0005】
このセンサレス磁気浮上系により浮上対象物10の浮上制御が可能であることを示す理論的根拠は、次の通りである。
図20において、浮上対象物10は強磁性体(鉄)とする。浮上対象物10に作用する重力と永久磁石による吸引力とが釣合っている状態からの浮上対象物10の垂直方向の変位をxで表すと、この系の運動方程式は次式(数1)のようになる。
【数1】
JP0005236571B2_000002t.gif
m:浮上対象物10の質量
s:電磁石20の特性係数(=力/変位)
i:電磁石20の特性係数(=力/電流)
i:電磁石20のコイル電流
また、電磁石20の電気回路に関する方程式は次式(数2)のようになる。
【数2】
JP0005236571B2_000003t.gif
L:電磁石コイルの自己インダクタンス
R:電磁石コイルの抵抗
b:逆起電力係数
v:電磁石コイルの端子電圧の変動分
【0006】
電磁石20を励磁する電力増幅器50として電圧出力形アンプ(入力した電圧に比例した電圧を出力するアンプ)を用いる制御系の状態方程式は、次式(数3)のように表される。
【数3】
JP0005236571B2_000004t.gif
ここで、Xv、Av、bvは次のように定義している。
【数4】
JP0005236571B2_000005t.gif
【数5】
JP0005236571B2_000006t.gif
【数6】
JP0005236571B2_000007t.gif
また、a23、a32、a33、b0は(数7)~(数10)のように定義している。これらの値は一般に零ではない。
【数7】
JP0005236571B2_000008t.gif
【数8】
JP0005236571B2_000009t.gif
【数9】
JP0005236571B2_000010t.gif
【数10】
JP0005236571B2_000011t.gif

【0007】
また、この制御系では、コイル電流i(励磁電流)だけを検出するので、出力方程式は次式(数11)(数12)のように表される。
【数11】
JP0005236571B2_000012t.gif
【数12】
JP0005236571B2_000013t.gif

【0008】
ところで、制御系の状態方程式が、
dx/dt=Ax(t)+Bu(t)
であり、出力方程式が、
y(t)=Cx(t)
であるとき、制御系が“可制御”(即ち、制御入力によって有限時間内にシステムの初期状態から、任意の最終状態に到達できる)であるか否かは、ベクトルxの次元をnとして、次式で表される可制御行列
c=[B|AB|A2B|・・・|An-1B]
の階数(rank Mc)を求めることにより判別可能であり、rank Mc=nであれば可制御であり、rank Mc<nであれば不可制御である。また、Mcが正方行列の場合は、その行列式(det)が非零かどうかで判定することができ、非零であれば可制御、零であれば不可制御となる。また、制御系が“可観測”(即ち、出力を有限時間の間、観測することにより、時刻0におけるすべての状態を求めることができる)であるか否かは、次式(数13)で表される可観測行列
【数13】
JP0005236571B2_000014t.gif
の階数(rank Mo)を求めることにより判別可能であり、rank Mo=nであれば可観測であり、rank Mo<nであれば不可観測である。また、Moが正方行列の場合は、その行列式が非零であれば可観測、零であれば不可観測となる。
【0009】
状態方程式が(数3)で表される制御系の可制御行列MCvの階数は、次式(数14)のように算出される。
【数14】
JP0005236571B2_000015t.gif
従って、この制御系は可制御である。
【0010】
また、出力方程式が(数11)及び(数12)で表される制御系の可観測行列MOvの階数は、次式(数15)のように算出される。
【数15】
JP0005236571B2_000016t.gif
従って、この制御系は、可制御、且つ、可観測である。
【0011】
このように可制御なシステムは、状態フィードバックにより安定化することができ、可観測なシステムの状態は、オブザーバ(状態推定器)を用いて推定することができる。
図20のセンサレス磁気浮上系は、以下のように設計すれば、安定な磁気浮上が達成できる。
まず、次式(数16)で与えられる閉ループ系
【数16】
JP0005236571B2_000017t.gif
が安定になるように、フィードバック行列Kvを定める。即ち、行列(Av-bvv)の固有値がすべて負の実部を持つようにKvを定める。可制御なので、このようなKvは必ず存在する。
次に、オブザーバにより、観測出力であるコイル電流iから、状態変数xvを推定する。オブザーバとして同一次元オブザーバを用いる場合、オブザーバは、次式(数17)で与えられる。
【数17】
JP0005236571B2_000018t.gif
ここで、^は推定値を表し、^を付したxv(t)は、状態ベクトルxv(t)の推定値である。
行列(Av-Evv)の固有値がすべて負の実部を持つようにEvを定める。可観測なので、このようなEvは必ず存在する。このとき、状態変数xvの推定値は、次式に示すように、真値に収束する。
【数18】
JP0005236571B2_000019t.gif
従って、制御入力v(t)を次式(数19)のように定めれば、安定な磁気浮上を達成できる。
【数19】
JP0005236571B2_000020t.gif

【0012】
図22は、センサレス磁気浮上を実現するコントローラ40の構成を示している。このコントローラ40は、電流センサ34により検出されたコイル電流iと電力増幅器50への制御入力vとから浮上対象物10の位置の変位xの推定値、xの微分値(速度)の推定値及びコイル電流iの推定値を推定して出力するオブザーバ(状態推定手段)46と、変位xの推定値に比例した値Pdを出力する変位比例動作手段41と、速度の推定値に比例した値Pvを出力する速度比例動作手段43と、コイル電流iの推定値に比例した値Piを出力する電流比例動作手段45と、Pd、Pv及びPiを加算して電力増幅器50に出力する加算手段44とを備えている。
この図の場合、フィードバック行列Kvの各要素は
【数20】
JP0005236571B2_000021t.gif
で表される。
なお、実際にフィードバック制御を行う場合には、iの推定値の代わりに観測値iを用いることが多い。
【先行技術文献】
【0013】

【非特許文献1】水野毅「センサレス磁気浮上」計測と制御、38巻、2号、pp.92-96(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の磁気浮上装置では、一つの電磁石を励磁するために一つの電力増幅器が用いられている。そのため、図21に示すように、三つの電磁石21、22、23を使用して浮上対象物10を磁気浮上させる装置では、各電磁石に対応した三つの電力増幅器51、52、53が必要になる。また、図5(a)に示すように、回転体を複数の電磁石で非接触支持する磁気軸受装置70では、電磁石のそれぞれに一台ずつの電力増幅器54を接続し、各電磁石の励磁を制御している。
そのため、従来の装置では、大型化が避けられず、また、高コストになるという問題があった。
【0015】
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、小型化及び低コスト化が可能な磁気浮上装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、浮上対象物に磁気力を作用する複数の電磁石を備えた磁気浮上装置であって、直列または並列に接続された前記複数の電磁石と、前記複数の電磁石に対する励磁を一台で行う電力増幅器と、前記電力増幅器の出力を制御するコントローラと、を有し、浮上対象物の質量をmとし、前記浮上対象物に作用する前記電磁石の磁気力と前記浮上対象物の変位との比をksとするとき、ks/mの値が各電磁石で異なっていることを特徴とする。
この磁気浮上装置では、電磁石が複数あっても、それらを励磁する電力増幅器は、一台で足りる。なお、ks/mの値が各電磁石において同じである制御系は、可制御行列の階数がn(状態ベクトルの次元)より小さくなり、可制御性を有しない。
【0017】
また、本発明の磁気浮上装置では、前記浮上対象物が、単一であっても、また、前記電磁石と同数であっても、あるいはそれより少ない数であっても良い。
【0019】
また、本発明の磁気浮上装置では、前記電力増幅器に電流出力形増幅器を用い、前記複数の電磁石を直列に接続することができる。
【0020】
また、本発明の磁気浮上装置では、前記電力増幅器に電圧出力形増幅器を用い、前記複数の電磁石を直列に接続することができる。
【0021】
また、本発明の磁気浮上装置では、前記電力増幅器に電圧出力形増幅器を用い、前記複数の電磁石を並列に接続するようにしても良い。
【0022】
また、本発明の磁気浮上装置では、前記電力増幅器に電圧出力形増幅器を用い、前記複数の電磁石を並列に接続する場合に、前記電磁石の自己インダクタンスをLとし、前記電磁石の抵抗をRとするとき、各電磁石において、R/Lの値が異なるようにしても良い。
この制御系では、各電磁石のR/Lの値が異なれば、ks/mの値が等しい場合でも、可制御性を有する。ただし、各電磁石において、ks/mの値とR/Lの値とが同時に同じである場合は、可制御行列の階数がnより小さくとなり、可制御性を有しない。
【0023】
また、本発明の磁気浮上装置では、直列に接続した複数の電磁石を電流出力形増幅器で励磁する場合に、前記浮上対象物の位置の変位を検出する位置センサを設け、前記コントローラに、前記位置センサによって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段と、前記微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記変位比例動作手段及び速度比例動作手段の出力を加算して前記電流出力形増幅器に出力する加算手段とを設けるようにしても良い。
この磁気浮上装置において、電流出力形増幅器は、コントローラの指令値に比例した電流が電磁石に流れるように電磁石を励磁する。
【0024】
また、本発明の磁気浮上装置では、直列に接続した複数の電磁石を電圧出力形増幅器で励磁する場合に、前記浮上対象物の位置の変位を検出する位置センサと、前記電磁石に供給される電流を検出する電流センサとを設け、前記コントローラに、前記位置センサによって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段と、前記微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記電流センサによって検出された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段と、前記変位比例動作手段、速度比例動作手段及び電流比例動作手段の出力を加算して前記電圧出力形増幅器に出力する加算手段とを設けるようにしても良い。
【0025】
また、本発明の磁気浮上装置では、並列に接続した複数の電磁石を電圧出力形増幅器で励磁する場合に、前記浮上対象物の位置の変位を検出する位置センサと、前記複数の電磁石のそれぞれに供給される電流を検出する複数の電流センサとを設け、前記コントローラに、前記位置センサによって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段と、前記微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記電流センサのそれぞれによって検出された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段と、前記変位比例動作手段、速度比例動作手段及び電流比例動作手段の出力を加算して前記電圧出力形増幅器に出力する加算手段とを設けるようにしても良い。
【0026】
また、本発明の磁気浮上装置では、直列に接続した複数の電磁石を電流出力形増幅器で励磁する場合に、前記複数の電磁石のそれぞれに供給される電圧を検出する複数の電圧センサを設け、前記コントローラに、前記電圧センサのそれぞれによって検出された電圧から前記浮上対象物の位置の変位及び速度を推定する状態推定手段と、前記状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記変位比例動作手段及び速度比例動作手段の出力を加算して前記電流出力形増幅器に出力する加算手段とを設けるようにしても良い。
こうすることで、浮上対象物の位置変位を検出するセンサが省略できる。
【0027】
また、本発明の磁気浮上装置では、直列に接続した複数の電磁石を電圧出力形増幅器で励磁する場合に、前記電磁石に供給される電流を検出する電流センサを設け、前記コントローラに、前記電流センサによって検出された電流から前記浮上対象物の位置の変位及び速度並びに前記電磁石に供給する電流を推定する状態推定手段と、前記状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記状態推定手段により推定された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段と、前記変位比例動作手段、速度比例動作手段及び電流比例動作手段の出力を加算して前記電圧出力形増幅器に出力する加算手段とを設けるようにしても良い。
こうすることで、浮上対象物の位置変位を検出するセンサが省略できる。
【0028】
また、本発明の磁気浮上装置では、並列に接続した複数の電磁石を電圧出力形増幅器で励磁する場合に、前記複数の電磁石のそれぞれに供給される電流を検出する複数の電流センサを設け、前記コントローラに、前記電流センサのそれぞれによって検出された電流から前記浮上対象物の位置の変位及び速度を推定する状態推定手段と、前記状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段と、前記状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段と、前記変位比例動作手段及び速度比例動作手段の出力を加算して前記電圧出力形増幅器に出力する加算手段とを設けるようにしても良い。
こうすることで、浮上対象物の位置変位を検出するセンサが省略できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の磁気浮上装置は、電力増幅器の数を減らすことで、小型化及び低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る、電磁石が直列接続された磁気浮上装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施形態に係る、電磁石が並列接続された磁気浮上装置の構成を示す図
【図3】本発明の実施形態に係る、電磁石が直列接続された磁気浮上装置の構成を示す図
【図4】本発明の実施形態に係る、電磁石が並列接続された磁気浮上装置の構成を示す図
【図5】(a)従来の磁気軸受装置、(b)本発明を適用した磁気軸受装置
【図6】実施例1のシステム構成を示す図
【図7】実施例1のコントローラの構成を示す図
【図8】実施例2のシステム構成を示す図
【図9】実施例2のコントローラの構成を示す図
【図10】実施例3のシステム構成を示す図
【図11】実施例3のコントローラの構成を示す図
【図12】実施例4のシステム構成を示す図
【図13】実施例4のコントローラの構成を示す図
【図14】実施例5のシステム構成を示す図
【図15】実施例5のコントローラの構成を示す図
【図16】実施例6のシステム構成を示す図
【図17】実施例6のコントローラの構成を示す図
【図18】シミュレーション結果を示す図
【図19】従来の磁気浮上装置の構成を示す図
【図20】従来のセンサレス構造の磁気浮上装置の構成を示す図
【図21】従来の複数電磁石を備えた磁気浮上装置の構成を示す図
【図22】図20の磁気浮上装置におけるコントローラの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の磁気浮上装置は、図1及び図2に示すように、浮上対象物11、12、13を磁気力で吸引する複数の電磁石21、22、23と、これらの電磁石に電力を供給する一台の電力増幅器60とを有している。これらの電磁石21、22、23は、図1のように直列に電気接続され、または、図2のように並列に電気接続されて、電力増幅器60から電力が供給される。なお、これらの図では、浮上対象物及び電磁石の数を3個としているが、本発明では、浮上対象物及び電磁石の数は任意個とすることができ、3個に限定されるものではない。
この磁気浮上装置では、浮上対象物11、12、13を安定的に磁気浮上させるために、コントローラ(不図示)が電磁石21、22、23の吸引力を制御し、コントローラの制御信号に基づいて電力増幅器60が電磁石21、22、23を励磁する。

【0032】
次に、この制御系の可制御性及び可観測性について説明する。(ここでは、可制御性及び可観測性の証明を浮上対象物及び電磁石の数が2の場合について示す。この証明は浮上対象物及び電磁石の数が任意個の場合に容易に拡張できる。)
なお、ここでは、図1及び図2に示すように、複数の電磁石21、22、23の各々が異なる浮上対象物11、12、13を磁気浮上させるモデルに基づいて説明するが、図3及び図4に示すように、直列接続または並列接続された複数の電磁石21、22、23が一台の電力増幅器60で励磁されて、一つの浮上対象物10を磁気浮上させる場合でも、また、図5(b)に示すように、磁気軸受装置70の回転体を非接触支持する複数の電磁石が一台の電力増幅器60で励磁される場合でも、この説明は当て嵌まる。

【0033】
この磁気浮上装置では、電力増幅器60として電流出力形アンプ(入力した電圧に比例した電流を出力するアンプ)及び電圧出力形アンプ(入力した電圧に比例した電圧を出力するアンプ)を用いることができる。電流出力形アンプを使用する場合、複数の電磁石の接続方法は、図1に示すように、直列接続に限られる。一方、電圧出力形アンプを使用する場合は、複数の電磁石の接続方法として直列接続(図1)及び並列接続(図2)の両方が採り得る。

【0034】
(1)電流出力形アンプを使用する場合の可制御性
図20の系では、前述するように、運動方程式が(数1)で表され、電磁石の電気回路に関する方程式が(数2)で表されるが、この系の電力増幅器50が電流出力形アンプである場合に、制御系の状態方程式は次式(数21)によって表される。
【数21】
JP0005236571B2_000022t.gif
ここで、Xc、Ac、bcは次のように定義している。
【数22】
JP0005236571B2_000023t.gif
【数23】
JP0005236571B2_000024t.gif
【数24】
JP0005236571B2_000025t.gif
また、a21、bは(数25)(数26)のように定義している。
【数25】
JP0005236571B2_000026t.gif
【数26】
JP0005236571B2_000027t.gif
因みに、この場合の可制御行列MCcの階数は次のようになる。
【数27】
JP0005236571B2_000028t.gif

【0035】
さて、図1のように、直列接続した複数の電磁石を電流出力形アンプで励磁する制御系では、状態方程式が次式(数28)のようになる。
【数28】
JP0005236571B2_000029t.gif
ここで、Xcpt2、Acpt2、bcpt2は次のように定義している。
【数29】
JP0005236571B2_000030t.gif
【数30】
JP0005236571B2_000031t.gif
【数31】
JP0005236571B2_000032t.gif
なお、k番目の浮上対象物とそれに対応する電磁石とから構成される仮想的な磁気浮上システムに係わる行列やパラメータを、Ac(k)やa21(k)のように括弧付きの上添え字で表している。

【0036】
この制御系の可制御行列MCcpt2は次式(数32)のようになる。
【数32】
JP0005236571B2_000033t.gif
この可制御行列MCcpt2の行列式は、
【数33】
JP0005236571B2_000034t.gif
となる。そのため、
【数34】
JP0005236571B2_000035t.gif
の条件を満たす場合は、(数27)が成立するとき、
【数35】
JP0005236571B2_000036t.gif
となり、MCcpt2の階数が、
【数36】
JP0005236571B2_000037t.gif
となるので、この制御系は可制御である。

【0037】
ここで留意すべきは、(数34)の条件である。この条件は、磁気浮上系を、1組の浮上対象物とそれに対応する電磁石とから成る仮想的な磁気浮上システムの集まりとして考えたとき、各磁気浮上システムの特性係数a21(即ち、ks/m)の値が互いに異なる必要があることを示している。図1の系では、各電磁石21、22、23の特性係数ks(=力/変位)が同じでも、浮上対象物11、12、13の質量mが異なるため、(数34)の条件を満足している。また、図3の系では、浮上対象物10が共通でも、各電磁石21、22、23から浮上対象物10までの距離が違うため、各電磁石21、22、23の特性係数ksが異なり、(数34)の条件を満足している。また、浮上対象物及び電磁石の数が任意個の場合も(数34)の条件が満足されているとき可制御となる。

【0038】
(2)電流出力形アンプを使用する場合の可観測性
図1のように、直列接続した複数の電磁石を電流出力形アンプで励磁する制御系において、各浮上対象物11、12、13の位置の変位を検出する位置センサを設置すれば、可観測となることは明らかである。しかし、位置センサを設置しなくても、各電磁石21、22、23の端子電圧を検出すれば、可観測となる。
この場合、各浮上対象物とそれに対応する電磁石とから成る仮想的な磁気浮上システムの状態方程式は、次式のように求められる。
【数37】
JP0005236571B2_000038t.gif
【数38】
JP0005236571B2_000039t.gif
【数39】
JP0005236571B2_000040t.gif
【数40】
JP0005236571B2_000041t.gif
ここで、コイル電流iは、各仮想的な磁気浮上システムにおいて共通であり、これが制御入力となる。(数15)が成立しているので、この系はコイル電流iを観測出力と見なせば可観測となる。従って、図12に示すように、各電磁石21、22、23の端子電圧v(k)を検出すれば、オブザーバ(状態推定器)を利用して各仮想的な磁気浮上システムでの浮上対象物の変位・速度を(数37)から推定することができる。この推定した変位・速度信号をフィードバック制御に用いることによって、安定な磁気浮上を達成できる。

【0039】
(3)電圧出力形アンプを使用し、電磁石を直列接続する場合の可制御性
一つの電磁石を電圧出力形アンプで励磁する制御系の状態方程式は、前述するように、(数3)~(数10)で表されるが、図1のように、直列接続した複数の電磁石を電圧出力形アンプで励磁する制御系では、状態方程式が次式(数41)~(数47)のようになる。
【数41】
JP0005236571B2_000042t.gif
【数42】
JP0005236571B2_000043t.gif
【数43】
JP0005236571B2_000044t.gif
【数44】
JP0005236571B2_000045t.gif
【数45】
JP0005236571B2_000046t.gif
【数46】
JP0005236571B2_000047t.gif
【数47】
JP0005236571B2_000048t.gif
この制御系の可制御行列MCvpt2の行列式を、列の基本変換を利用しながら計算すると、次式(数48)が得られる。
【数48】
JP0005236571B2_000049t.gif
従って、(数34)が成立するとき、
【数49】
JP0005236571B2_000050t.gif
が成立し、
【数50】
JP0005236571B2_000051t.gif
となるので、この制御系は可制御である。

【0040】
(4)電圧出力形アンプを使用し、電磁石を直列接続する場合の可観測性
図1のように、直列接続した複数の電磁石を電圧出力形アンプで励磁する制御系において、コイル電流だけを出力変数とする場合の出力方程式は、
【数51】
JP0005236571B2_000052t.gif
【数52】
JP0005236571B2_000053t.gif
となる。
この制御系の可観測行列MOvpt2の行列式を、行の基本変換を利用しながら計算すると、次式(数53)が得られる。
【数53】
JP0005236571B2_000054t.gif
従って、(数34)が成立するとき、
【数54】
JP0005236571B2_000055t.gif
が成立し、
【数55】
JP0005236571B2_000056t.gif
となるので、この制御系は可観測である。従って、コイル電流iを検出すれば、オブザーバ(状態推定器)を利用して各浮上対象物の変位・速度を推定することができる。この推定した変位・速度信号をフィードバック制御に用いることによって、安定な磁気浮上を達成できる。

【0041】
(5)電圧出力形アンプを使用し、電磁石を並列接続する場合の可制御性
図2のように、並列接続した複数の電磁石を電圧出力形アンプで励磁する制御系では、状態方程式が次式(数56)~(数59)のようになる。
【数56】
JP0005236571B2_000057t.gif
【数57】
JP0005236571B2_000058t.gif
【数58】
JP0005236571B2_000059t.gif
【数59】
JP0005236571B2_000060t.gif

【0042】
この制御系の可制御行列MCvpp2は、次式(数60)(数61)のように求められる。
【数60】
JP0005236571B2_000061t.gif
【数61】
JP0005236571B2_000062t.gif
この可制御行列MCvpp2の行列式は(数62)のようになる。
【数62】
JP0005236571B2_000063t.gif
従って、
【数63】
JP0005236571B2_000064t.gif
となれば可制御となる。
この(数63)は、次式(数64)と等価である。
【数64】
JP0005236571B2_000065t.gif
従って、可制御性の必要十分条件は、(数64)で与えられる。

【0043】
この(数64)の条件を詳しく調べるために、次式(数65)の条件を満たす場合の可制御性について検証する。なお、(数65)は、磁気回路が理想的な場合に成立する。即ち、ここでは、磁気回路が理想的であると仮定している。
【数65】
JP0005236571B2_000066t.gif
このとき、(数64)は、次式(数66)のように求められる。
【数66】
JP0005236571B2_000067t.gif
(数66)から、(数34)及び次式
【数67】
JP0005236571B2_000068t.gif
が成立する場合、次式
【数68】
JP0005236571B2_000069t.gif
となる特殊な場合を除いては、可制御となる。
また、(数66)から、(数69)の条件が満足されるとき、式(数70)が成立し、この制御系は可制御である。
【数69】
JP0005236571B2_000070t.gif
【数70】
JP0005236571B2_000071t.gif
あるいは、(数71)の条件が満足されるとき、(数72)が成立し、この制御系は可制御である。
【数71】
JP0005236571B2_000072t.gif
【数72】
JP0005236571B2_000073t.gif
即ち、並列接続した複数の電磁石を電圧出力形アンプで励磁する制御系では、ks/mの値が各電磁石で異なっていれば、可制御であるが、ks/mの値が各電磁石で等しい場合でも、電磁石コイルの自己インダクタンスLと電磁石コイルの抵抗Rとの比R/Lの値が各電磁石で異なっていれば、可制御である。
図2の系で、各電磁石21、22、23の特性係数ks(=力/変位)が同じで、浮上対象物11、12、13の質量mが同じでも、各電磁石のコイルの線径もしくは巻数を違えるかコイルに外部抵抗を接続することによって(数67)の条件を満足するようにできる。また、図4の系では、浮上対象物10が共通で、各電磁石21、22、23から浮上対象物10までの距離が等しい場合でも、各電磁石のコイルの線径もしくは巻数を違えるかコイルに外部抵抗を接続することによって(数67)の条件を満足するようにできる。また、浮上対象物及び電磁石の数が任意個の場合も(数67)の条件が満足されているとき可制御となる。

【0044】
(6)電圧出力形アンプを使用し、電磁石を並列接続する場合の可観測性
図2のように、並列接続した複数の電磁石を電圧出力形アンプで励磁する制御系において、各電磁石21、22、23のコイル電流を検出すれば、可観測となる。
この場合、各浮上対象物とそれに対応する電磁石とから成る仮想的な磁気浮上システムの状態方程式は、次式のように求められる。
【数73】
JP0005236571B2_000074t.gif
【数74】
JP0005236571B2_000075t.gif
【数75】
JP0005236571B2_000076t.gif
【数76】
JP0005236571B2_000077t.gif
ここで、端子電圧vは、各仮想的な磁気浮上システムにおいて共通であり、これが制御入力となる。一方、コイル電流i(k)がそれぞれの仮想的な磁気浮上システムにおける状態変数となる。この場合の出力方程式は、次式のようになる。
【数77】
JP0005236571B2_000078t.gif
【数78】
JP0005236571B2_000079t.gif
そのため、図16に示すように、各電磁石21、22、23のコイル電流i(k)を検出すれば、オブザーバ(状態推定器)を利用して各仮想的な磁気浮上システムでの浮上対象物の変位・速度を推定することができる。この推定した変位・速度信号をフィードバック制御に用いることによって、安定な磁気浮上を達成できる。
【実施例1】
【0045】
実施例1では、電流出力形アンプを使用して、直列接続した複数の電磁石を励磁する磁気浮上装置において、浮上対象物の位置変位を位置センサで検出する場合のシステム構成を示している。
この装置は、図6に示すように、直列接続された複数の電磁石と、これらの電磁石を励磁する一台の電流出力形アンプと、浮上対象物の位置変位を検出する位置センサ31、32、33と、位置センサの検出情報に基づいて電流出力形アンプを制御するコントローラとを備えている。
コントローラは、図7に示すように、位置センサ31、32、33によって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段41と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段42と、微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段43と、変位比例動作手段及び速度比例動作手段の出力を加算して電流出力形アンプに出力する加算手段44とを備える。
電流出力形アンプは、コントローラの指令値に比例したコイル電流が流れるように電磁石を励磁する。
【実施例2】
【0046】
実施例2では、電圧出力形アンプを使用して、直列接続した複数の電磁石を励磁する磁気浮上装置において、浮上対象物の位置変位を位置センサで検出し、電磁石への供給電流を電流センサで検出する場合のシステム構成を示している。
この装置は、図8に示すように、直列接続された複数の電磁石と、これらの電磁石を励磁する一台の電圧出力形アンプと、浮上対象物の位置変位を検出する位置センサ31、32、33と、各電磁石に供給される電流を検出する電流センサ34と、位置センサ31、32、33及び電流センサ34の検出情報に基づいて電圧出力形アンプを制御するコントローラとを備えている。
コントローラは、図9に示すように、位置センサ31、32、33によって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段41と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段42と、微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段43と、電流センサ34によって検出された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段45と、変位比例動作手段41、速度比例動作手段43及び電流比例動作手段45の出力を加算して電圧出力形アンプに出力する加算手段44とを備える。
電圧出力形アンプは、コントローラの指令値に比例した電圧が電磁石コイルに印加されるように電磁石を励磁する。
【実施例3】
【0047】
実施例3では、電圧出力形アンプを使用して、並列接続した複数の電磁石を励磁する磁気浮上装置において、浮上対象物の位置変位を位置センサで検出し、複数の電磁石のそれぞれに供給される電流を電流センサで検出する場合のシステム構成を示している。
この装置は、図10に示すように、並列接続された複数の電磁石と、これらの電磁石を励磁する一台の電圧出力形アンプと、浮上対象物の位置変位を検出する位置センサ31、32、33と、それぞれの電磁石に供給される電流を検出する電流センサ35、36、37と、位置センサ31、32、33及び電流センサ35、36、37の検出情報に基づいて電圧出力形アンプを制御するコントローラとを備えている。
コントローラは、図11に示すように、位置センサ31、32、33によって検出された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段41と、前記変位を微分して速度を出力する微分手段42と、微分手段から出力された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段43と、電流センサ35、36、37によって検出された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段45と、変位比例動作手段41、速度比例動作手段43及び電流比例動作手段45の出力を加算して電圧出力形アンプに出力する加算手段44とを備える。
電圧出力形アンプは、コントローラの指令値に比例した電圧が電磁石コイルに印加されるように電磁石を励磁する。
【実施例4】
【0048】
実施例4では、電流出力形アンプを使用して、直列接続した複数の電磁石を励磁する磁気浮上装置において、位置センサをセンサレス化した場合のシステム構成を示している。
この装置は、図12に示すように、直列接続された複数の電磁石と、これらの電磁石を励磁する一台の電流出力形アンプと、複数の電磁石のそれぞれに印加される電圧を検出する複数の電圧センサ131、132、133と、電圧センサ131、132、133の検出情報に基づいて電流出力形アンプを制御するコントローラとを備えている。
コントローラは、図13に示すように、電圧センサ131、132、133のそれぞれによって検出された電圧と電流出力形アンプへの出力電圧(図13中ではiと表記)とから浮上対象物の位置の変位及び速度を推定する状態推定手段46と、状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段41と、状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段43と、変位比例動作手段41及び速度比例動作手段43の出力を加算して電流出力形アンプに出力する加算手段44とを備える。
このシステムでは、位置センサを省略することができる。
【実施例5】
【0049】
実施例5では、電圧出力形アンプを使用して、直列接続した複数の電磁石を励磁する磁気浮上装置において、位置センサをセンサレス化した場合のシステム構成を示している。
この装置は、図14に示すように、直列接続された複数の電磁石と、これらの電磁石を励磁する一台の電圧出力形アンプと、各電磁石に供給される電流を検出する電流センサ34と、電流センサ34の検出情報に基づいて電圧出力形アンプを制御するコントローラとを備えている。
コントローラは、図15に示すように、電流センサ34によって検出された電流(図15中ではiと表記)と電圧出力形アンプへの出力電圧(図15中ではvと表記)とから浮上対象物の位置の変位及び速度を推定するとともに、電磁石に供給される電流の推移を推定する状態推定手段46と、状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段41と、状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段43と、状態推定手段により推定された電流に比例した値を出力する電流比例動作手段45と、変位比例動作手段41、速度比例動作手段43及び電流比例動作手段45の出力を加算して電圧出力形アンプに出力する加算手段44とを備える。
このシステムでは、位置センサを省略することができる。
【実施例6】
【0050】
実施例6では、電圧出力形アンプを使用して、並列接続した複数の電磁石を励磁する磁気浮上装置において、位置センサをセンサレス化した場合のシステム構成を示している。
この装置は、図16に示すように、並列接続された複数の電磁石と、これらの電磁石を励磁する一台の電圧出力形アンプと、それぞれの電磁石に供給される電流を検出する電流センサ35、36、37と、電流センサ35、36、37の検出情報に基づいて電圧出力形アンプを制御するコントローラとを備えている。
コントローラは、図17に示すように、電流センサ35、36、37によって検出された電流(図17中ではi(1),i(2),i(3)と表記)と電圧出力形アンプへの出力電圧(図17中ではvと表記)とから浮上対象物の位置の変位及び速度を推定する状態推定手段46と、状態推定手段により推定された変位に比例した値を出力する変位比例動作手段41と、状態推定手段により推定された速度に比例した値を出力する速度比例動作手段43と、変位比例動作手段41及び速度比例動作手段43の出力を加算して電圧出力形アンプに出力する加算手段44とを備える。
このシステムでは、位置センサを省略することができる。
【実施例6】
【0051】
図18は、直列接続した3個の電磁石を一台の電流出力形アンプで励磁して3個の浮上対象物を磁気浮上させた場合のシミュレーション結果を示している。
この制御系の状態方程式は、次の通りである。
【数79】
JP0005236571B2_000080t.gif
【数80】
JP0005236571B2_000081t.gif
【数81】
JP0005236571B2_000082t.gif
【数82】
JP0005236571B2_000083t.gif
ここでは、a21(1)=1、a21(2)=2、a21(3)=3と設定している。従って、a21(1)、a21(2)、a21(3)は、相互に等しく無く、この系は可制御である。また、状態フィードバックは、i(t)=-Kcpt3cpt3(t) とし、フィードバック行列Kcpt3は、(数83)のように定めている。
【数83】
JP0005236571B2_000084t.gif
このとき,閉ループ系
【数84】
JP0005236571B2_000085t.gif
の極は、次式のように求められる。
【数85】
JP0005236571B2_000086t.gif
すべての極の実部は負であるので、閉ループ系は安定である。即ち、複数の浮上対象物が安定に浮上されることになる。
図18は、初期状態を
【数86】
JP0005236571B2_000087t.gif
としたときの各浮上対象物の変位の時間応答を示している。即ち、図中のObjectkは、x(k) (k=1~3)を示している。図18から、t→∞においてlimxcpt3(t)=0、即ち、複数の浮上対象が安定に浮上していることが確認できる。
【実施例6】
【0052】
なお、実施例1~6では、浮上対象物及び電磁石が3個の場合を示しているが、本発明では、これらの数は3個に限定されない。また、浮上対象物の数は、電磁石と同数である必要は無く、電磁石の数より少ない数であれば良い。勿論、浮上対象物は単一であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、ターボ分子ポンプ、クリーンルーム内の搬送装置、除振装置、ジャイロセンサなど、磁気浮上を利用している各種装置の小型化及び低コスト化を図るために広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 浮上対象物
11 浮上対象物
12 浮上対象物
13 浮上対象物
20 電磁石
21 電磁石
22 電磁石
23 電磁石
30 センサ
31 位置センサ
32 位置センサ
33 位置センサ
34 電流センサ
35 電流センサ
36 電流センサ
37 電流センサ
40 コントローラ
41 変位比例動作手段
42 微分手段
43 速度比例動作手段
44 加算手段
45 電流比例動作手段
46 状態推定手段
50 電力増幅器
60 電力増幅器
70 磁気軸受装置
131 電圧センサ
132 電圧センサ
133 電圧センサ
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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