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明細書 :無水糖の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5871221号 (P5871221)
公開番号 特開2010-202626 (P2010-202626A)
登録日 平成28年1月22日(2016.1.22)
発行日 平成28年3月1日(2016.3.1)
公開日 平成22年9月16日(2010.9.16)
発明の名称または考案の名称 無水糖の製造方法
国際特許分類 C07H   3/10        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07H 3/10
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2009-053068 (P2009-053068)
出願日 平成21年3月6日(2009.3.6)
審判番号 不服 2014-014664(P2014-014664/J1)
審査請求日 平成24年1月13日(2012.1.13)
審判請求日 平成26年7月28日(2014.7.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
発明者または考案者 【氏名】海老谷 幸喜
【氏名】高垣 敦
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
調査した分野 C07B 61/00, C07H 3/10
STN(REGISTRY,CAplus)
特許請求の範囲 【請求項1】
非プロトン性極性溶媒中にて、単糖と下記化学式(1)で示される固体酸触媒を加え、反応温度100~120℃にて反応させることで、
単糖から無水糖を得ることを特徴とする無水糖の製造方法。
【化1】
JP0005871221B2_000008t.gif

【請求項2】
グルコースからレボグルコサンと1,6-アンヒドログルコフラノースとを得ることを特徴とする請求項1記載の無水糖の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコース等の単糖から無水糖を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素排出抑制や化石資源エネルギーから再生可能エネルギーへの転換の観点からバイオマスの有効利用が注目されている。
特に、今後は非食系バイオマス(木質系)の変換が求められている。
木質系バイオマスの多くを占めるセルロースは、加水分解により糖化し、単糖のグルコースに変換した後にバイオ燃料や各種化合物の出発原料として利用されている。
この中で、グルコースを脱水することにより得られる無水糖は抗ガン剤原料、生分解性ポリマー原料、光学分割剤等に利用されている非常に価値の高い化合物である。
これまでに提案されている無水糖の合成方法は、セルロースの熱分解、グルコースの熱分解に関するものが殆どである(特許文献1~6,非特許文献1)。
しかし、セルロース,グルコースを高温で熱分解し、無水糖を得る方法では、高温での専用の耐熱性装置が必要であることや、高い収率を得るには急激に加熱し、数秒から数分間の反応後にまた急激な冷却が必要であるために反応制御が難しい問題がある。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平3-75210号公報
【特許文献2】特開2003-342289号公報
【特許文献3】特開2006-28040号公報
【特許文献4】特開2007-106685号公報
【特許文献5】特開2007-217386号公報
【特許文献6】PCT WO2008/084705公開公報
【0004】

【非特許文献1】J. Wood Sci. Vol.47(2001), P502-506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の熱分解法に内在する技術的課題に鑑みて、分離回収が容易な固体触媒を用い、穏やかな反応条件下にて無水糖を得る新規合成法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、非プロトン性極性溶媒中にて、固体酸触媒の存在下、単糖から無水糖を得ることを特徴とする。
グルコースを基質とすると、レボグルコサン(アンヒドログルコピラノース:1,6-anhydro-β-D-glucopyranose,以下、AGPと称する。)及び1,6-アンヒドログルコフラノース(1,6-anhydro-β-D-glucofuranose,以下、AGFと称する。)が得られる。
【0007】
この場合の反応スキームを下記反応式(A)に示す。
【化1】
JP0005871221B2_000002t.gif

【0008】
固体酸触媒は、固体酸として作用するものであれば特に限定はないが、酸触媒用のイオン交換樹脂が好ましい。
固体酸触媒としては例えば、下記化学式(1)に示すアンバーリスト-15(ローム・アンド・ハース株式会社、アンバーリストは登録商標)及び、化学式(2)で示すナフィオン(登録商標,デュポン社)が挙げられる。
【化2】
JP0005871221B2_000003t.gif
【化3】
JP0005871221B2_000004t.gif

【発明の効果】
【0009】
本発明は、固体酸触媒を用いたことにより、グルコース等の単糖を基質として、非プロトン性極性溶媒中にて、穏やかな反応条件下で、高収率に無水糖を得ることができる。
また、固体酸触媒を用いたことにより、反応後に中和、分離回収が不要で触媒はそのまま再利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るプロセスの特徴を以下実験結果に基づいて説明するが、これに限定されるものではない。

【0011】
(実験1)
各種溶媒3ml中にグルコース0.1g、固体酸触媒アンバーリスト-15,0.1gを加え、所定温度にて3時間反応させた結果を表1に示す。
【表1】
JP0005871221B2_000005t.gif

【0012】
表中、NMPはN-メチルピロリドン、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、DMIは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、DMSOはジメチルスルホキシドを示す。
この結果、いずれの非プロトン性極性溶媒を使用してもレボグルコサン(AGP)及び1,6-アンヒドログルコフラノース(AGF)がそれぞれ収率10~34%,9~30%の高い収率で得られ、フルクトースやHMF(5-ヒドロキシメチルフルフラール)の生成は確認されなかった。
なお、分析は高速液体クロマトグラフ(HPLC,カラムBio-rad社製,Aminex HPX-87X)を用いた。

【0013】
(実験2)
次に触媒の影響を確認すべく、溶媒としてDMF 3mlを用い、グルコース0.1gに対して各触媒0.1g加え、100℃、3時間反応させた結果を表2に示す。
なお、アンバーリスト-15を用いて、反応温度を120℃にすると、AGP収率33%、AGF収率30%に向上した。

【0014】
【表2】
JP0005871221B2_000006t.gif

【0015】
表中、p-TsOHはp-トルエンスルホン酸を示し、HSO,HClとともに均一系の触媒である。
また、HZSM-5,HYはゼオライトを示す。

【0016】
実験2から、触媒及び反応温度の影響が大きいことが明らかになったので、触媒の量とグルコースの量との比をモル比1:3と同一にして各反応温度で3時間反応させた結果を表3に示す。

【0017】
【表3】
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【0018】
この結果、固体酸触媒アンバーリスト-15,及びナフィオンNR50は選択率が高いことが明らかになった。