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明細書 :無電解Cuめっき液および無電解Cuめっき方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5453602号 (P5453602)
公開番号 特開2010-215978 (P2010-215978A)
登録日 平成26年1月17日(2014.1.17)
発行日 平成26年3月26日(2014.3.26)
公開日 平成22年9月30日(2010.9.30)
発明の名称または考案の名称 無電解Cuめっき液および無電解Cuめっき方法
国際特許分類 C23C  18/52        (2006.01)
C23C  18/38        (2006.01)
FI C23C 18/52 A
C23C 18/38
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2009-065067 (P2009-065067)
出願日 平成21年3月17日(2009.3.17)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成21年3月2日 社団法人表面技術協会発行の「第119回講演大会 講演要旨集」に発表
審査請求日 平成23年11月17日(2011.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】新井 進
個別代理人の代理人 【識別番号】100077621、【弁理士】、【氏名又は名称】綿貫 隆夫
【識別番号】100092819、【弁理士】、【氏名又は名称】堀米 和春
審査官 【審査官】川村 健一
参考文献・文献 特開2007-009333(JP,A)
調査した分野 C23C 18/00 - 20/08
特許請求の範囲 【請求項1】
無電解Cuめっき液において、
CNTと、
該CNTを分散させるトリメチルセチルアンモニウム塩を含むことを特徴とする無電解Cuめっき液。
【請求項2】
トリメチルセチルアンモニウム塩がトリメチルセチルアンモニウムクロリドであることを特徴とする請求項1記載の無電解Cuめっき液。
【請求項3】
請求項1または2記載の無電解Cuめっき液を用いて無電解めっきを行い、被めっき物に、CNTが埋没した無電解Cuめっき皮膜を形成することを特徴とする無電解Cuめっき方法。
【請求項4】
請求項1または2記載の無電解Cuめっき液を用いて無電解めっきを行い、被めっき物に、表面にCNTの先端が突出した無電解Cuめっき皮膜を形成することを特徴とする無電解Cuめっき方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解Cuめっき液および無電解Cuめっき方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明者は、めっき液中に分散剤と微細炭素繊維もしくはその誘導体とを添加して、該分散剤によりめっき液中に微細炭素繊維(カーボンナノチューブ:CNT)もしくはその誘導体(以下、これらをCNTと総称する)を分散させ、めっきを施して、基材表面に、微細炭素繊維もしくはその誘導体が混入しているめっき皮膜を形成するめっき方法を提案している(特許文献1)。
そして、この特許文献1では、無電解Cuめっき皮膜中にCNTを混入できることにも言及している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-156074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるめっき方法は、好適には、分散剤にポリアクリル酸を用いてCuめっき液中にCNTを分散させ、めっきを施すことによって、Cuめっき皮膜中にCNTを取り込むものである。分散剤にポリアクリル酸を用いることによって、CNTをCuめっき液中に良好に分散させることができる。
しかしながら、無電解Cuめっきの場合には、電解Cuめっきとはめっきの原理が異なり、電解Cuめっきの場合ほどは、Cuめっき皮膜中にCNTを良好に取り込むことはできなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、CNTをめっき皮膜中に良好に取り込むことのできる無電解Cuめっき液および無電解Cuめっき方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る無電解Cuめっき液は、CNTと、該CNTを分散させるトリメチルセチルアンモニウム塩を含むことを特徴とする。
トリメチルセチルアンモニウム塩は、トリメチルセチルアンモニウムクロリドが好適である。
【0008】
また本発明に係る無電解Cuめっき方法は、上記いずれかの無電解Cuめっき液を用いて無電解めっきを行い、被めっき物に、CNTが埋没した無電解Cuめっき皮膜を形成することを特徴とする。
【0009】
また本発明に係る無電解Cuめっき方法は、上記いずれかの無電解Cuめっき液を用いて無電解めっきを行い、被めっき物に、表面にCNTの先端が突出した無電解Cuめっき皮膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無電解めっきであっても、被めっき物に、CNTが埋没した状態や、先端が突出した状態で良好に取り込まれたCuめっき皮膜を形成することができる。この被めっき物は、電磁波シールド性や摺動特性に優れる。
また、無電解Cuめっきであることから、被めっき物が複雑な形状のものであっても均一な膜厚が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(A)は、分散剤(TMSAC)を1.7×10-3M添加した場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図1(B)は、図1(A)の拡大SEM写真である。
【図2】図2(A)は、分散剤(TMSAC)を1.7×10-4M添加した場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図2(B)は、図2(A)の拡大SEM写真である。
【図3】図3(A)は、分散剤(TMSAC)を1.7×10-5M添加した場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図3(B)は、図3(A)の拡大SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態における無電解Cuめっき液は、CNTと、該CNTを分散させるトリメチルセチルアンモニウム塩を含むことを特徴とする。
トリメチルセチルアンモニウム塩としては、トリメチルセチルアンモニウムクロリドが好適である。

【0013】
トリメチルセチルアンモニウム塩の添加量は、1.0×10-3M~2.0×10-3M程度が好適である。
CNTの種類は特に限定されないが、VGCF(商標)のような、太さが100nm~200nmで、長さが10μm~20μmの大きなサイズのCNTもめっき皮膜中に取り込むことができる。
このような大きなサイズのCNTは、長さを3~4μm程度のものに調整したものの方が、めっき皮膜中に良好に取り込むことができた。
なお、本実施の形態において、CNTとは、カーボンナノチューブの他、フッ素化カーボンナノチューブなど、カーボンナノチューブの誘導体も含むものとする。

【0014】
トリメチルセチルアンモニウム塩はカチオン系の界面活性剤である。
このトリメチルセチルアンモニウム塩は、CNTを無電解Cuめっき液中に良好に分散させることができる。
上記のように、トリメチルセチルアンモニウム塩はカチオン系の界面活性剤であって、めっき液中で正に帯電し、直鎖状の長い分子でCNTによく絡みつき、CNTを正に帯電させると考えられる。そして、CNTがこのように正に帯電することから、CNTが無電解Cuめっき皮膜に強く吸着され、この状態でさらにめっき皮膜が積み上がっていくことから、CNTがめっき皮膜中に良好に取り込まれると考えられる。直鎖状の長い分子であることから、VGCF(商標)のような太いCNTであっても、CNTによく絡みつき、CNTが良好にめっき皮膜中に取り込まれる一因となっていると考えられる。なお、VGCF(商標)を3~4μm程度に短く切断した方が、めっき皮膜中への取り込み性は良好であった。

【0015】
なお、カチオン系界面活性剤は種々あるが、トリメチルセチルアンモニウム塩が、CNTの分散性、CNTのめっき皮膜中への取り込み性において良好であった。
上記のように、正に帯電したCNTは、一端においてめっき皮膜に強く吸着され、この状態でめっき皮膜が積み上がっていくことから、CNTはめっき皮膜中で斜めに取り込まれるものが多いと考えられる。

【0016】
めっき条件によって、CNTが無電解Cuめっき皮膜内に完全に埋没している状態や、無電解Cuめっき皮膜表面にCNTの先端が突出している状態に調整できる。CNT先端がめっき皮膜表面に突出している場合には、CNTは、摩擦係数が小さいことから、被めっき物表面の摩擦係数も小さく、摺動特性に優れる被めっき物を得ることができる。

【0017】
また、CNTは導電性に優れ、CNTそれ自体で100MHz~75GHz程度の高周波の優れた電磁波シールド性を有することから、本実施の形態のように、無電解Cuめっき皮膜中にCNTを取り込ませた場合、2μm程度のめっき皮膜の厚さで、100kHz~数GHz程度までの高い周波数の電磁波シールド性を有することが期待できる。

【0018】
また、無電解Cuめっきであることから、被めっき物が複雑な形状のものであっても均一な膜厚が得られる。
また、被めっき物が金属、非金属に関わらずめっきが可能であり、各種電気・電子機器における電磁波シールド効果が期待できる。
【実施例】
【0019】
無電解Cuめっき液の組成の一例を下記に示す。
CuSO・5HO 0.06M
CHOCOOH・HO 0.03M
EDTA・2Na 0.1M
分散剤TMSAC 1.7×10-3、1.7×10-4、1.7×10-5
CNT 2g/l
なお、TMSACは、トリメチルセチルアンモニウムクロリドである。
また、CNTは、ILIJIN社製のMWCNT:直径10~15nm、長さ10~20μmのものを用いた。
【実施例】
【0020】
めっき条件は次のとおり。
基板
銅板(3.3cm×3cm)
前処理
通常法(酸性SnCl溶液を用いた感受性化+酸性PdCl溶液を用いた活性化)
めっき条件
温度:50℃、pH:12.1、時間:120分、攪拌:スターラー攪拌(1500rpm)
膜の評価
微細構造:FE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)
【実施例】
【0021】
図1に分散剤添加量の違いによる無電解Cuめっき皮膜のSEM写真を示す。
図1(A)は、分散剤(TMSAC)を1.7×10-3M添加したもので、図1(B)はその拡大写真である。図1(B)に示されるように、CNTは、めっき膜表面に露出気味ではあるが、Cuめっき膜中に取り込まれている。
【実施例】
【0022】
図1(C)は、分散剤(TMSAC)を1.7×10-4M添加したもので、図1(D)はその拡大写真である。図1(D)に示されるように、CNTは、めっき膜表面に若干露出気味ではあるが、Cuめっき膜中に取り込まれている。
図1(E)は、分散剤(TMSAC)を1.7×10-5M添加したもので、図1(F)はその拡大写真である。図1(F)に示されるように、CNTは、Cuめっき膜中に取り込まれている。
【実施例】
【0023】
上記実施例では、被めっき物に銅板を用いたが、ABS樹脂等の樹脂材の表面にも同様に良好な無電解Cuめっき皮膜を形成することができた。
【実施例】
【0024】
なお、比較例として、分散剤に、カチオン系界面活性剤の一種である、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリドを用い、実施例と同様にしてCNTを無電解Cuめっき液中に分散させたが、CNTの分散性は良好なものの、CNTのめっき皮膜中への取り込みはほとんどなかった。
また、カチオン系ではないが、ポリエチレングリコールモノ-p-ノニルフェニルエーテルや、ポリアクリルアミドを分散剤として用いたところ、CNTを無電解Cuめっき液中に良好に分散させることはできなかった。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2