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明細書 :水処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5464692号 (P5464692)
公開番号 特開2011-041914 (P2011-041914A)
登録日 平成26年1月31日(2014.1.31)
発行日 平成26年4月9日(2014.4.9)
公開日 平成23年3月3日(2011.3.3)
発明の名称または考案の名称 水処理装置
国際特許分類 C02F   1/48        (2006.01)
C02F   1/34        (2006.01)
H05H   1/24        (2006.01)
FI C02F 1/48 B
C02F 1/34
H05H 1/24
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2009-192298 (P2009-192298)
出願日 平成21年8月21日(2009.8.21)
審査請求日 平成24年8月6日(2012.8.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】池 英昭
【氏名】吐合 一徳
【氏名】平林 和也
【氏名】猪原 哲
【氏名】山部 長兵衛
【氏名】玉川 雅章
個別代理人の代理人 【識別番号】100105647、【弁理士】、【氏名又は名称】小栗 昌平
【識別番号】100105474、【弁理士】、【氏名又は名称】本多 弘徳
【識別番号】100108589、【弁理士】、【氏名又は名称】市川 利光
審査官 【審査官】小久保 勝伊
参考文献・文献 国際公開第2007/138773(WO,A1)
特開2009-119347(JP,A)
特開2003-62579(JP,A)
特開平4-210291(JP,A)
調査した分野 C02F 1/00-1/78
H05H 1/00-1/54
特許請求の範囲 【請求項1】
被処理水を通過させる通水管路にノズルと対向電極を備えたリアクターからなる水処理装置であって、
前記ノズルは、オリフィス形状を有し、前記リアクター内の通水方向上流側に設けられており、前記被処理水が前記オリフィスの最収縮部を通過直後、圧力が降下した領域において、沸騰現象によりキャビテーションを発生させ、
前記対向電極は、高圧側電極と接地側電極が対向して成り、前記ノズルの下流側の前記キャビテーションが発生する空間に設けられており、前記対向電極間に高電圧を印加することにより、前記キャビテーションが発生する空間に放電プラズマを形成する水処理装置において、
前記高圧側電極と前記接地側電極は、互いに前記通水管路の直径方向反対側に設置され、かつ前記対向電極の各先端部が前記通水管路の縦断面の中央部にまで達するように前記対向電極をそれぞれ設置し、
前記対向電極は、3以上の前記高圧側電極と2以上の前記接地側電極により複数対向しており、前記高圧側電極と前記接地側電極は、通水方向に間隔をおいて交互に設置され、かつ前記高圧側電極に3相の高電圧電源からそれぞれR相、S相、T相を接続したことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
被処理水を通過させる通水管路にノズルと対向電極を備えたリアクターからなる水処理装置であって、
前記ノズルは、オリフィス形状を有し、前記リアクター内の通水方向上流側に設けられており、前記被処理水が前記オリフィスの最収縮部を通過直後、圧力が降下した領域において、沸騰現象によりキャビテーションを発生させ、
前記対向電極は、高圧側電極と接地側電極が対向して成り、前記ノズルの下流側の前記キャビテーションが発生する空間に設けられており、前記対向電極間に高電圧を印加することにより、前記キャビテーションが発生する空間に放電プラズマを形成する水処理装置において、
前記対向電極の各先端部が前記通水管路の縦断面の中央部にまで達しないように前記対向電極をそれぞれ設置することにより、前記対向電極間において通水方向に斜行して放電プラズマを発生させるようにし、
前記対向電極は、3以上の前記高圧側電極と2以上の前記接地側電極により複数対向しており、前記高圧側電極と前記接地側電極は、通水方向に間隔をおいて交互に設置され、かつ前記高圧側電極に3相の高電圧電源からそれぞれR相、S相、T相を接続したことを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
被処理水を通過させる通水管路にノズルと対向電極を備えたリアクターからなる水処理装置であって、
前記ノズルは、オリフィス形状を有し、前記リアクター内の通水方向上流側に設けられており、前記被処理水が前記オリフィスの最収縮部を通過直後、圧力が降下した領域において、沸騰現象によりキャビテーションを発生させ、
前記対向電極は、高圧側電極と接地側電極が対向して成り、前記ノズルの下流側の前記キャビテーションが発生する空間に設けられており、前記対向電極間に高電圧を印加することにより、前記キャビテーションが発生する空間に放電プラズマを形成する水処理装置において、
前記高圧側電極と前記接地側電極は、互いに前記通水管路の直径方向反対側に設置され、かつ前記対向電極の各先端部が前記通水管路の縦断面の中央部を越えるように前記対向電極をそれぞれ設置することにより前記対向電極が中央部で互いに重なるようにし、
前記対向電極は、3以上の前記高圧側電極と2以上の前記接地側電極により複数対向しており、前記高圧側電極と前記接地側電極は、通水方向に間隔をおいて交互に設置され、かつ前記高圧側電極に3相の高電圧電源からそれぞれR相、S相、T相を接続したことを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
前記高圧側電極と前記接地側電極の間隔は2~15mmとすることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の水処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭あるいは産業分野における被処理水の浄化や化学反応を行う水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
〈従来はオゾンやOHラジカル等の活性種を利用した水処理方法が普及〉
近年、廃水等の液体中に含まれる有害あるいは不快な要因となる有機物や細菌類の処理に、放電等により生成されるオゾンやOHラジカル等の活性種を利用して浄化を行う処理方法が定着しつつある。オゾンやOHラジカル等の活性種は、それ自身がもつ強力な酸化力で液中に溶解している溶存性の有機物を酸化分解する作用があり、上下水のみならず産業用廃水・プール用水・船舶用バラスト用廃水等の各種用廃水のCOD・脱色・脱臭・殺菌・有害な難分解性有機物等の除去手段として導入が広がりつつある。
【0003】
〈上記の活性種を利用した水処理方法の問題点〉
オゾンを利用した一般的な処理方法としては、空気または高濃度酸素を放電空間に通気して気体オゾンを生成し、これを散気装置やエジェクターにより液中に溶解して除去対象物質に接触反応させるといったものである。
しかし、このオゾン利用処理方法は電力効率が低いことや、装置が大型化すること、それにコストが高くなる、といった問題があった。
【0004】
〈特許文献1記載の水処理方法とその問題点〉
この対策として、液中に設置した電極間で空気や酸素を積極的且つ効率的に曝気することによって微細気泡を発生させ、こうした液中内の気泡空間で放電を発生させるといった方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、放電空間を形成するための微細気泡を生成するために、空気または酸素ガスを供給する設備や、気泡を微細化するための設備が付随されている。同時に液中に未溶解の気泡を脱気する設備や、脱気後の排ガス処理設備が必要であること等、コンパクト化・低コスト化にとって困難な構成となっている。
また、微細化された気泡中の圧力は、ほぼ大気圧と同等か、それよりも高い圧力となっている。このため、放電空間を形成するときの放電開始電圧が高く、高電圧印加が必要であるため受電設備が大規模になる。
【0005】
〈特許文献2記載の水処理方法〉
このようなことから、通水管路内にキャビテーション気泡を発生させ、この微細な気泡を利用して放電プラズマを形成し、水等液体の処理を行う装置が本願発明者らにより提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平5-319807号公報
【特許文献2】国際公開第07/138773号パンフレット
【0007】
〈特許文献2記載の水処理方法の構成〉
図9は特許文献2記載の水処理装置の概略構成図である。
図9において、一定の圧力で加圧された被処理水83がリアクター81に送給されると、リアクター81の通水管路81a内に設置され、オリフィス形状を有するノズル81bの後部(下流)の最縮小孔部を被処理水83が通過した直後に急激な圧力低下が生じる。このとき真空に近い低圧となったノズル81bの後段近傍には、沸騰現象により無数の極微小なキャビテーション気泡81kが発生する。キャビテーション気泡81kが高密度で発生する領域の通水管路81aの内部には、高圧側電極81dと接地側電極81eを通水方向と平行に対向させて配置して成る放電部81cがあり、正弦波高電圧電源82aから正弦状波形の高電圧を印加することにより、放電部81cの高圧側電極81dと接地側電極81e間では放電プラズマが形成される。この放電部81cでは、キャビテーション気泡81k中に含まれる蒸気や酸素が高密度の電気エネルギーによって励起され、ヒドロキシラジカルやオゾン等の活性種が生成される。これらは速やかに被処理水83の中に溶け込み、被処理対象物質と瞬時に反応した結果、処理水84が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
〈特許文献2記載の水処理方法の課題〉
ところが、特許文献2記載の水処理方法が採っている電極構成は、通水方向に垂直に高圧側電極と接地側電極との間隔をとり、そのギャップ間で放電プラズマを発生させる電極構成であるが、これには水処理性能を向上させるのに限界があることに本出願人は気づいた。
その原因を究明したところ、特許文献2記載の水処理方法では高速で通過する被処理水と放電プラズマとの接触時間が短いことにあることが判明した。
また、被処理水の通水量が増大する場合、通水管の管路内径を拡大する必要があり、これに伴って高圧側電極と接地側電極との間隔すなわち放電ギャップを広げ、放電空間を拡大することを考えたが、しかし、電極の間隔を広げると放電開始電圧の上昇や単位時間における放電回数の減少、あるいは放電の不発に繋がるリーク電流が増加すること等により処理性能の低下を招くことが判った。
そこで、これを防止するため、電極間の印加電圧や印加周波数を増大させることを試みたが、逆に、放電に要する電力効率が低下することとなった。実際に、従来の電極構成において、電極間隔が5mmの時は、2mmの時に対し、単位時間当りの放電回数が減少して処理性能及び効率が大幅に低下するといった結果が得られた。
また、従来の電極構成において、印加電圧の増大を抑制する手段として送給する被処理水の圧力を高めてノズル後段の真空度を増し、キャビテーション気泡の密度を増大することを試みたが、ポンプ等の付帯設備の電力が増大し、設備全体の処理効率が低下した。
このように従来技術では、被処理水の通水量は少ない流量に制限されており、処理性能および電力効率の向上にも限界があった。
さらに、放電プラズマの形態がアーク放電となる場合、処理時間が進行するにつれて電界が集中する電極の一部が高熱により溶融して欠損し、しだいに電極間隔が広がることとなり、処理性能の長期安定性が得られないといった問題も生じていた。
【0009】
〈本発明の目的〉
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、放電空間を拡大して処理性能を向上するとともに、通水量の増大にも対応できる。また、放電部の欠損による影響を抑制して長期安定性を確保することのできる水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するため、本願各発明は次のように構成したものである。
第1発明は被処理水を通過させる通水管路にノズルと対向電極を備えたリアクターからなる水処理装置であって、
前記ノズルは、オリフィス形状を有し、前記リアクター内の通水方向上流側に設けられており、前記被処理水が前記オリフィスの最収縮部を通過直後、圧力が降下した領域において、沸騰現象によりキャビテーションを発生させ、
前記対向電極は、高圧側電極と接地側電極が対向して成り、前記ノズルの下流側の前記キャビテーションが発生する空間に設けられており、前記対向電極間に高電圧を印加することにより、前記キャビテーションが発生する空間に放電プラズマを形成する水処理装置において、
前記高圧側電極と前記接地側電極は、互いに前記通水管路の直径方向反対側に設置され、かつ前記対向電極の各先端部が前記通水管路の縦断面の中央部にまで達するように前記対向電極をそれぞれ設置し、
前記対向電極は、3以上の前記高圧側電極と2以上の前記接地側電極により複数対向しており、前記高圧側電極と前記接地側電極は、通水方向に間隔をおいて交互に設置され、かつ前記高圧側電極に3相の高電圧電源からそれぞれR相、S相、T相を接続したものである。
第2発明は被処理水を通過させる通水管路にノズルと対向電極を備えたリアクターからなる水処理装置であって、
前記ノズルは、オリフィス形状を有し、前記リアクター内の通水方向上流側に設けられており、前記被処理水が前記オリフィスの最収縮部を通過直後、圧力が降下した領域において、沸騰現象によりキャビテーションを発生させ、
前記対向電極は、高圧側電極と接地側電極が対向して成り、前記ノズルの下流側の前記キャビテーションが発生する空間に設けられており、前記対向電極間に高電圧を印加することにより、前記キャビテーションが発生する空間に放電プラズマを形成する水処理装置において、
前記対向電極の各先端部が前記通水管路の縦断面の中央部にまで達しないように前記対向電極をそれぞれ設置することにより、前記対向電極間において通水方向に斜行して放電プラズマを発生させるようにし、
前記対向電極は、3以上の前記高圧側電極と2以上の前記接地側電極により複数対向しており、前記高圧側電極と前記接地側電極は、通水方向に間隔をおいて交互に設置され、かつ前記高圧側電極に3相の高電圧電源からそれぞれR相、S相、T相を接続したものである。
第3発明は被処理水を通過させる通水管路にノズルと対向電極を備えたリアクターからなる水処理装置であって、
前記ノズルは、オリフィス形状を有し、前記リアクター内の通水方向上流側に設けられており、前記被処理水が前記オリフィスの最収縮部を通過直後、圧力が降下した領域において、沸騰現象によりキャビテーションを発生させ、
前記対向電極は、高圧側電極と接地側電極が対向して成り、前記ノズルの下流側の前記キャビテーションが発生する空間に設けられており、前記対向電極間に高電圧を印加することにより、前記キャビテーションが発生する空間に放電プラズマを形成する水処理装置において、
前記高圧側電極と前記接地側電極は、互いに前記通水管路の直径方向反対側に設置され、かつ前記対向電極の各先端部が前記通水管路の縦断面の中央部を越えるように前記対向電極をそれぞれ設置することにより前記対向電極が中央部で互いに重なるようにし、
前記対向電極は、3以上の前記高圧側電極と2以上の前記接地側電極により複数対向しており、前記高圧側電極と前記接地側電極は、通水方向に間隔をおいて交互に設置され、かつ前記高圧側電極に3相の高電圧電源からそれぞれR相、S相、T相を接続したものである。
第4発明は第1~3発明の水処理装置において、前記高圧側電極と前記接地側電極の間隔を2~15mmとしたものである。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、概ね通水方向に放電プラズマを発生させることにより、放電行程が増長し、被処理水と放電プラズマとの接触時間や接触確率が向上、あるいは単位時間あたりの放電回数の増加に起因し、処理性能および電力効率が向上する。
また、電極間隔の最適値は管路内径にはよらないので、通水量の増大に対応することができる。
さらに、通水方向に放電プラズマを発生させることにより同様の効果が得られる。
そして、三相電源により、単位時間当りの放電回数が大幅に増加し、高電圧電源の電力効率が向上する。このため、さらに処理性能および電力効率が向上する効果が得られる。
発明によれば、第1発明により得られる効果に加え、通水方向に斜行して放電プラズマが形成されるので、さらに放電経路が長くなり、被処理水との接触時間や接触確率が向上して、処理性能の向上に寄与する効果が得られる。
発明によれば、第1発明により得られる効果に加え、高圧側電極と平行に設置された接地側電極との重複部1f間で放電経路が形成されることになる。すなわち、電界が集中する放電発生部を分散するので、局所への電界の集中を緩和し、電極の高熱溶融による欠損を大幅に軽減することができ、処理性能の長期安定性および信頼性の向上に寄与する効果が得られる。
発明によれば、通水方向と平行または斜行して放電プラズマを発生させる電極配置の間隔が、処理性能を向上させる最適な電極間隔とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例1を示す水処理装置の概略構成図である。
【図2】図2は図1の電極部分の断面図である。
【図3】図3は本発明の効果を示すインディゴカルミン水溶液の脱色処理データである。
【図4】図4は本発明の実施例2を示す水処理装置の概略構成図である。
【図5】図5は図4の電極部分の断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例3を示す水処理装置の概略構成図である。
【図7】図7は本発明の実施例4を示す水処理装置の概略構成図である。
【図8】図8は本発明の実施例5を示す水処理装置の概略構成図である。
【図9】図9は特許文献2記載の水処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
本実施形態における図面では、発明の理解を容易にするため、一部の要素においては模式的に示されている。本欄における複数の実施形態では、同一符号を付すことにより、その説明が省略されることもある。
【実施例1】
【0014】
〈実施例1の水処理装置の構成〉
図1は本発明の実施例1を示す水処理装置の概略構成図、図2は図1の電極部分の縦断面図である。
図1および図2において、リアクター1は、通水管路1aと通水管路1a内に設けられたオリフィス形状を有するノズル1bおよびノズル1bの後段(通水方向下流)にノズル1bとは一定の間隔をおいて形成された放電部1cとを備えている。放電部1cは互いに間隔をおいて配置される高圧側電極1dと接地側電極1eを備えて成る。
ノズル1bと高圧側電極1dの間隔は、リアクター1のサイズ、ノズル1bの孔径、通水量、リアクターに送給される通水圧、あるいは被処理水の水質によって異なる。
高圧側電極1dと接地側電極1eは、通水方向に対して垂直に各々逆方向から通水管路1aの内部に挿入されており、高圧側電極1dと接地側電極1eの間隔すなわち放電ギャップは2~15mmに設定されている。また、高圧側電極1dと接地側電極1eは、単相高電圧電源2aに接続されている。
被処理水3はポンプや水位の高低差を利用して加圧され、リアクター1に導入された後リアクター1から出てくるときには被処理水中の被処理対象物質が分解処理された処理水4が得られる。
なお、図において、高圧側電極1dを前段、接地側電極1eを後段に設置しているが、逆に設置しても構わない。
また、これらの電極はタングステンやステンレス等の金属あるいは炭素棒等の導電性材料が使用されるが、それらの表面をセラミックスまたはガラスからなる誘電体でコーティングされたものが使用されることもある。
【実施例1】
【0015】
〈実施例1の水処理装置の特徴〉
本発明が上記特許文献2記載の発明と異なる点は、リアクター1のノズル1bの後段に、高圧側電極1dと接地側電極1eをそれぞれ逆方向から中心部に向けて挿入し、通水方向と垂直に任意の間隔をおいて各々の電極を平行に設置している点である。また、各々の電極の先端部を管路断面の中心部まで突出させて配置している点である。このような構成のものに高電圧を印加することにより、各々の電極の先端に電界が集中し、管路断面の中央部を通水方向と平行に放電プラズマが発生することとなる。
【実施例1】
【0016】
〈実施例1の水処理装置の動作〉
次に、本実施形態の水処理装置の動作について説明する。
被処理水3は、ポンプや水位の高低差を利用して一定の圧力でリアクター1に加圧送給される。リアクター1の通水管路1a内に設置されたノズル1bはオリフィス形状となっており、ノズル1bの後部(下流)の最縮小孔部1bmを通過直後の後段(下流)近傍では急激な圧力低下が生じる。このとき真空に近い低圧となったノズル1bの後段近傍には、沸騰現象により無数の極微小なキャビテーション気泡1kが発生する。キャビテーション気泡1kが高密度で発生する領域の通水管路1aの内部には、高圧側電極1dと接地側電極1eを上記のように配置した放電部1cがある。この放電部1cには該キャビテーション気泡1kが発生しており、単相高電圧電源2aから正弦状波形・パルスもしくは矩形波形からなる高電圧を印加することにより、電極間では放電プラズマが形成される。この放電部1cでは、キャビテーション気泡1k中に含まれる蒸気や酸素が高密度の電気エネルギーによって励起され、ヒドロキシラジカルやオゾン等の活性種が生成される。これらは速やかに被処理水3の中に溶け込み、被処理対象物質と瞬時に反応した結果、処理水4が得られる。
また、キャビテーション気泡1kは流速が減じて圧力が回復した箇所で消滅するが、急激に気泡が縮むため、気泡内に衝撃力が生じる。この衝撃力により被処理水中の被処理対象物質を粉砕するといった相乗作用を得ることができる。
【実施例1】
【0017】
〈実施例1の水処理装置の実験結果〉
図3は、下記のA条件およびB条件において、インディゴカルミン水溶液を脱色処理した実験結果である。
・A条件:本発明の電極構成 電極間隔:7mm
(通水方向に平行に放電プラズマを形成)
・B条件:従来技術の電極構成 電極間隔:2mm
(通水方向に垂直に放電プラズマを形成)
なお、その他の条件は同等であり、精製水にインディゴカルミンを溶解して9mg/Lのインディゴカルミン水溶液20Lを作製し、これをポンプにより通水量20L/minでリアクターに加圧送給して循環処理を行った。高電圧電源による印加周波数は10kHzとし、投入電力は100Wであった。脱色率については吸光度(測定波長:612nm)を計測して求めた。
図において、脱色率が40%になるのに要する時間は、本発明の場合約9分であるのに対して、従来技術の場合約12分であり、脱色率50%になるのには本発明が約11分、従来技術が約14分であり、脱色率60%では本発明は約13分、従来技術は約19分となる。このように、本発明の電極間隔(A条件)は、従来技術(B条件)に対し、電極間隔が3.5倍と大きいにもかかわらず、脱色にかかる処理時間は大幅に短縮された。脱色率が50%時における電力効率は、B条件に対し、A条件(本発明)では約40%改善されており、単位時間における放電回数も2倍以上増加していることが確認された。
【実施例2】
【0018】
〈実施例2の水処理装置の構成〉
図4は本発明の実施例2を示す水処理装置の概略構成図である。
図5は、図4の電極部分の縦断面図である。
図5(a)は、第1の電極構成例であり、高圧側電極1dと接地側電極1eが、通水方向に対して垂直に各々逆方向から通水管路1aの内部に挿入されている。
図5(b)は、第2の電極構成例であり、1本の高圧側電極1dと2本の接地側電極1e及び1e´が一定の角度をおいて通水管路1aの内部に挿入されている。なお、ここでは接地電極を2本としたが、3本以上でも良く、また、高圧側電極の本数が複数になることもある。
《実施例1と同じ点》
リアクター1のノズル1bの後段に、高圧側電極1dと接地側電極1eまたは1e´をそれぞれ中心部に向けて挿入し、一定間隔をおいて設置している点は、実施例1と同様である。
《実施例1と異なる点》
本実施形態では、各々の電極1dと1eまたは1e´の各先端部が管路断面の中心部まで突出しないように配置して、放電部1cを管路断面の中央部を通水方向に斜行させるようにしている。
《実施例2の効果》
このような構成で高電圧を印加することにより、各電極電極1dと1eまたは1e´の先端に電界が集中し、管路断面の中央部を通水方向に斜行して放電プラズマが形成される。このため、さらに放電経路が長くなり、被処理水との接触時間および接触確率が向上して、処理性能が向上する。
【実施例3】
【0019】
〈実施例3の水処理装置の構成〉
図6は本発明の実施例3を示す水処理装置の概略構成図である。
《実施例1と同じ点》
リアクター1のノズル1bの後段に、高圧側電極1dと接地側電極1eをそれぞれ逆方向から中心部に向けて挿入し、通水方向と垂直に一定間隔をおいて各々の電極を平行に設置している点は、実施例1と同様である。
《実施例1と異なる点》
本実施形態では、各電極1dと1eの先端部を管路断面の中心部を通過させて互いの間で重複部1fを形成するように配置している。
《実施例3の効果》
このような構成で高電圧を印加することにより、重複部1fのいずれかにおいて電界が集中し、重複部1f間で放電プラズマが形成される。
このため、実施例1で得られる作用に加え、電界が集中する放電発生部が分散するので、電極の一部分のみで電界が集中することを防止し、電極の高熱溶融による欠損を大幅に軽減することができる。
また、欠損が進行した場合でも、高圧側電極と接地側電極は平行に配置されているので、処理性能の長期安定性や信頼性が向上する。
【実施例4】
【0020】
〈実施例4の水処理装置の構成〉
図7は本発明の実施例4を示す水処理装置の概略構成図である。
《実施例1と同じ点》
リアクター1のノズル1bの後段に、高圧側電極1dと接地側電極1eをそれぞれ逆方向から中心部に向けて挿入し、通水方向と垂直に交互に一定間隔をおいて各々の電極を平行に設置している。また、各々の電極の先端部を管路断面の中心部まで突出させて配置している点は実施例1と同様である。
《実施例1と異なる点》
本実施形態では、2本の高圧側電極1dと3本の接地側電極1eをそれぞれ交互に一定間隔をおいて配置している。
《実施例4の効果》
このため、通水方向に広い範囲に分散されて放電が形成されることとなり、放電形成空間が拡大し、通水量の増大に伴う処理規模を拡大することが可能になる。
また、電界が集中する放電発生部を複数箇所に分散するので、一部分のみで電界が集中することを防止し、電極の高熱溶融による欠損を大幅に軽減して、処理性能の長期安定性や信頼性が向上する。
【実施例5】
【0021】
〈実施例5の水処理装置の構成〉
図8は本発明の実施例5を示す水処理装置の概略構成図である。
《実施例4と同じ点》
リアクター1のノズル1bの後段に、3本の高圧側電極1dと4本の接地側電極1eをそれぞれ逆方向から中心部に向けて挿入し、通水方向と垂直に交互に一定間隔をおいて各々の電極を平行に設置している。また、各々の電極の先端部を管路断面の中心部まで突出させて配置している点は実施例4と同様である。
《実施例4と異なる点》
本実施形態では、各々の高圧側電極1dに三相高電圧電源2bからそれぞれR相、S相、T相を接続して構成している。
《実施例5の効果》
このため、実施例4で得られる作用に加え、単位時間当りの放電回数が大幅に増加するので、さらに処理性能が向上する。
【実施例5】
【0022】
〈本発明の範囲〉
以上説明した本発明の実施形態における電極の構成および構造は、この実施例のみに限られるものではなく、放電経路を通水と平行方向(図1、図6参照)又は斜行する構成(図4)ように形成するものであれば、どのようなものでも構わない。
また、電極の形状は、棒状や水流の抵抗を軽減するような流線形の形状が好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の水処理装置は、上水・下水・産業排水・ゴミ処理場浸出水・畜産排水・工業用排水・食品加工用排水・半導体等洗浄用排水・プール用水・船舶用バラスト用排水・河川や湖沼等の汚染水等における有機物・微生物・細菌類もしくはアンモニア含有水等の水処理、あるいは、農薬・PCB(ポリ塩化ビフェニル)・油類・またはダイオキシン等の有機性有害物質の分解除去、さらには、ナノカーボン材料の表面改質・その他の有機材料合成等において、放電あるいはOHラジカル等の活性種により効果的に分解や分散の処理を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1 リアクター
1a 通水管路
1b ノズル
1bm ノズルの最縮小孔部
1c 放電部
1d 高圧側電極
1e 接地側電極
1f 重複部
1k 気泡
2 高電圧電源
2a 単相高電圧電源
2b 三相高電圧電源
3 被処理水
4 処理水
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8