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明細書 :サブフタロシアニン誘導体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5584848号 (P5584848)
公開番号 特開2011-032443 (P2011-032443A)
登録日 平成26年8月1日(2014.8.1)
発行日 平成26年9月10日(2014.9.10)
公開日 平成23年2月17日(2011.2.17)
発明の名称または考案の名称 サブフタロシアニン誘導体及びその製造方法
国際特許分類 C09B  47/00        (2006.01)
A61K  31/407       (2006.01)
FI C09B 47/00 CSP
A61K 31/407
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2009-183022 (P2009-183022)
出願日 平成21年8月6日(2009.8.6)
審査請求日 平成24年6月29日(2012.6.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】柴田 哲男
【氏名】山本剛嗣
審査官 【審査官】太田 千香子
参考文献・文献 特開2010-043135(JP,A)
Chemistry - A European Journal,Vol.16, No.25,p.7554-62,Published online:2010.05.18
Journal of Fluorine Chemistry,Vol.131, No.5,p.652-4,Available online:2010.01.21
調査した分野 C09B 47/00
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるサブフタロシアニン誘導体。
【化1】
JP0005584848B2_000007t.gif

(式中Xは塩素原子,又は、フェノキシド基を示す。)
【請求項2】
下式(2)に示す反応により、3,4,5,6-テトラキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フタロニトリルと三塩化ホウ素を反応させることからなるボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニンクロリドを製造する方法。

【化2】
JP0005584848B2_000008t.gif

【請求項3】
下式(3)に示す反応により、ボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニンクロリドとフェノールを反応させることからなるボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニンフェノキシドを製造する方法。
【化3】
JP0005584848B2_000009t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフタロシアニン誘導体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フタロシアニンは青・緑色の顔料として利用されてきた。その優れた物理学的な性質から,電荷発生材,光磁気ディスク用色素として利用されている機能性色素である。さらに光線力学的治療の光増感剤,非線型光学材料等,さまざまな分野での応用が期待されている。フタロシアニン誘導体は一般的に有機溶媒への溶解性が悪いとの問題を抱える。また,フタロシアニン誘導体として,サブフタロシアニンがある。サブフタロシアニンはホウ素が配位したフタロシアニンの合成を試みた際に,紫色の化合物が生成されているのに気付き,存在が確認された化合物である。フタロシアニンは様々な機能性材料,光線力学的治療剤として注目され,様々な研究が為されており,サブフタロシアニンにも同等の機能を有することが知られている(非特許文献1)。しかし,フタロシアニン同様,その溶解性は非常に悪く,材料としての加工,薬剤としての投与の面で問題が残っている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Claessens, C. G.; GOnzalez-Rodriguez, D.; Torres, T. Chem. Rev. 2002, 102, 835.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記点に鑑みて,溶解性が高いサブフタロシアニン誘導体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、発明者らはサブフタロシアニンの置換基としてフルオロアルコキシ基を導入することで,その物理的性質を大きく向上させることに成功した。すなわち請求項1に記載の発明は,下記一般式(1)で表されるサブフタロシアニン誘導体である。
【0006】
【化1】
JP0005584848B2_000002t.gif

【0007】
(式中Xは塩素原子,又は、フェノキシド基を示す。)
請求項2に記載の発明は、下式(2)に示す反応により、3,4,5,6-テトラキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フタロニトリルと三塩化ホウ素を反応させることからなるボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニンクロリドを製造する方法である。
【0008】
【化2】
JP0005584848B2_000003t.gif

【0009】
請求項3に記載の発明は、下式(3)に示す反応により、ボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニンクロリドとフェノールを反応させることからなるボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニンフェノキシドを製造する方法である。
【0010】
【化3】
JP0005584848B2_000004t.gif
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の化合物の絶対配置は(S)又は(R)配置のいずれであってもよく,光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。光学的に純粋な形態の異性体は本発明の好ましい態様である。また,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。本発明のサブフタロシアニン誘導体は置換基の種類に応じて塩を形成する場合があり,また水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが,これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。

【0020】
本発明の化合物はXを架橋部位とし,二量体を形成することができる。具体的にはトリエチレングリコシル基によって架橋された二量体,酸素原子よって架橋された二量体などが挙げられる。

【0022】
請求項2に記載の三塩化ホウ素の形態はガス状,溶液状,塩状,どれでも使用可能であり,特に好ましくはp-キシレン溶液である。

【0023】
本発明の製造方法に用いる溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n-ブチルメチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられるが,p-キシレンが最も好ましい。

【0024】
式(1)の製造は加圧下に行うこともできるが,通常は常圧で行う。反応温度は0℃から溶媒の沸点までの間で行うことができるが,好ましくは50℃乃至200℃であり,特に好ましくは140℃である。

【0025】
上記した製造方法により、溶解性が高く,凝集作用を抑えた製造されたサブフタロシアニン誘導体を製造することができる。

【0026】
以下,本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが,本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

【0027】
(第1実施例)
非特許文献2(Eberhardt, W.; Hanak, M. Synthesis 1997, 95.)によって合成した3,4,5,6-テトラキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フタロニトリル500mg(0.961mmol)を20mLナスフラスコに取り,真空ポンプで減圧し,30分間乾燥した。アルゴン置換した後に,三塩化ホウ素のp-キシレン溶液(1.0mol/L)3.46mL(3.46mmol)をくわえ,還流した。3時間後,室温まで放冷し,アルゴンで系内を置換し,気化した三塩化ホウ素を除いた。溶媒を留去し,シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=90/10→88/12)にて精製し,目的物であるボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニン クロリドを収量163mg,収率32%で得た(下記式(化4))。

【0028】
【化4】
JP0005584848B2_000005t.gif

【0029】
以下にボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニン クロリドの化合物データを示す。
1H NMR (200MHz, CDCl3) d 4.67(q, J=8.0 Hz, 12H), 5.28(q, J=8.2 Hz, 12H)
19F NMR (188 MHz, CDCl3) d -74.13(t, J=7.0 Hz, 18F), -74.74(t, J=7.0 Hz, 18F)
MALDI-TOF calculated for C48H23BClF36N6O12[M-H+]-1605.1 found 1605.4
(第2実施例)
第1実施例で合成したボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニン クロリド43mg(0.0268mmol)とフェノール13mg(0.134mmol)を10mLナスフラスコに取り,真空ポンプで減圧し,30分間乾燥した。窒素置換した後,トルエン1.0mLとトリエチルアミン13μL(0.0937mmol)を加え,還流した。24時間後,室温まで放冷し,溶媒を留去した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=90/10→88/12)で精製し,目的物であるボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニン フェノキシドを収量36mg,収率81%で得た(下記式(化5))。

【0030】
【化5】
JP0005584848B2_000006t.gif

【0031】
以下にボロン 1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18-ドデカキス(2,2,2-トリフルオロエトキシ)サブフタロシアニン フェノキシドの化合物データを示す。
1H NMR (200MHz, CDCl3) d 4.66(q, J=8.0 Hz, 12H), 5.22(q, J=8.2 Hz, 12H), 6.73-6.82(m, 5H)
19F NMR (188 MHz, CDCl3) d -74.10(t, J=7.9 Hz, 18F), -74.77(t, J=8.6 Hz, 18F)