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明細書 :分子シャペロン誘導剤組成物及びこれを含む癌抑制剤組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5572856号 (P5572856)
公開番号 特開2011-032244 (P2011-032244A)
登録日 平成26年7月11日(2014.7.11)
発行日 平成26年8月20日(2014.8.20)
公開日 平成23年2月17日(2011.2.17)
発明の名称または考案の名称 分子シャペロン誘導剤組成物及びこれを含む癌抑制剤組成物
国際特許分類 A61K  36/48        (2006.01)
A61K  36/00        (2006.01)
A61K  38/00        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  39/00        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A23L   1/30        (2006.01)
A23L   2/52        (2006.01)
FI A61K 35/78 J
A61K 35/78 Y
A61K 37/02
A61P 35/00
A61P 39/00
A61P 43/00 105
A23L 1/30 B
A23L 2/00 F
請求項の数または発明の数 5
全頁数 14
出願番号 特願2009-182423 (P2009-182423)
出願日 平成21年8月5日(2009.8.5)
審査請求日 平成24年8月3日(2012.8.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504409543
【氏名又は名称】国立大学法人秋田大学
発明者または考案者 【氏名】伊藤 英晃
【氏名】宮▲崎▼ 敏夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100117732、【弁理士】、【氏名又は名称】小澤 信彦
審査官 【審査官】鶴見 秀紀
参考文献・文献 特開2004-016026(JP,A)
国際公開第2005/077349(WO,A1)
Takahashi, C.et al,Possible anti-tumor promoting activity of components in Japanese soybean fermented food, Natto: Effect on gap junctional intercellular communication.,Carcinogenesis ,1995年,Vol.16,No.3,pp.471-476
伊藤英晃,発酵食品の分子シャペロン誘導効果と生理機能,温故知新,2009年 7月,No.46,pp.66-69
調査した分野 A61K 36/00-36/9068
A23L 1/30
A23L 2/52
A61P 35/00
A61P 39/00
A61P 43/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
納豆をホモジナイズ後、遠心分離し、上清に飽和濃度のn%の硫酸アンモニウムを加えて沈殿Pと上清Sに遠心分離し、上清Sには飽和濃度のni+1%の硫酸アンモニウムを加えて遠心分離する操作(iは1以上の整数であり、0<n<ni+1≦100)を繰り返して得られる沈殿のうち分子シャペロン誘導作用を有する分画成分を取り出してなる分子シャペロン誘導剤組成物。
【請求項2】
前記操作により飽和濃度の30%の範囲の硫酸アンモニウムを添加して遠心分離した上清に含まれ、かつ、飽和濃度の50%以上の範囲の硫酸アンモニウムを添加して遠心分離した上清には実質的に含まれない分画成分を含む請求項1に記載の分子シャペロン誘導剤組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の分子シャペロン誘導剤組成物を有効成分として含む癌抑制剤組成物。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の分子シャペロン誘導用食品もしくは飲料または医薬品。
【請求項5】
ストレス耐性改善用または癌抑制用の請求項4に記載の食品もしくは飲料または医薬品。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、分子シャペロン誘導剤組成物及びこれを含む癌抑制剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
分子シャペロンは、当初は細胞内で新たに合成されたタンパク質分子のフォールディングを実現して機能を獲得するのを助けるタンパク質として知られていたが、現在では、変性タンパク質の高次構造の回復の介助や機能性タンパク質の生理機能の調節などにも関与していることが知られている。例えば、風邪などの発熱時に強く誘導され熱変性タンパク質の生理機能回復を介助する。細胞内の分子シャペロンの発現を抑えると細胞が死滅することも知られており、逆に遺伝子操作により分子シャペロンを高発現した細胞は各種ストレスから細胞を防御する。このため、分子シャペロン誘導剤を何らかの疾病の予防や治療に利用することも考えられる。現在、胃粘膜保護剤として臨床で使用されているセルベックスには、分子シャペロン誘導作用があることが知られているが、セルベックスで分子シャペロン誘導を実現するには成人でkgオーダーの量が必要と考えられており、より有効な分子シャペロン誘導剤の探索も続けられているが、これまでに植物からの各種アルカロイド系の抽出液が報告されているが毒性が強く市販には至っていない。
【0003】
一方、天然物、特に豆類由来の癌抑制剤として、従来、イソフラボンおよびその類縁体を含む組成物が候補として考えられている。例えば、特開昭61-246124号公報(特許文献1)にはイソフラボン類であるゲニステインが各種癌細胞の増殖を阻止することが記載されている。また、特開2001-114687(特許文献2)には特定構造のカテキン類と特定構造のイソフラボン類を有効成分とする抗癌剤が提案されている。さらに特開2003-002838(特許文献3)には、イソフラボングルコシドに対し、特定比率の大豆サポニンを含有する新規な大豆抽出物を乳癌または前立腺癌の予防または治療に用いることが提案されている。特開2006-169186(特許文献4)には大豆サポニン抽出分画成分及び/または甘草抽出物を有効成分とするCYP2A6阻害剤が記載されている。
しかし、上記の文献記載の発明において明らかなように、イソフラボンは単独では十分な抗癌作用を有しておらず、また、他の生理活性成分と併用ないし複合した際の活性については十分に明確に再現性のあるものとは考えにくい。
【0004】
また、特開2005-080655(特許文献5)には大豆蛋白、米糠及び米胚芽に納豆菌で発酵させた発酵液をプロテアーゼ分解後、更に、オカラ発酵物、モロヘイヤ、エゾウコギエキス及び茶カテキンを加えてイソプロピルアルコール抽出して得たイソフラボン含有組成物が抗酸化作用を示すと記載されている。さらに、特開2006-213688(特許文献6)には納豆菌の液体培養物の液状成分を有効成分として含有する、生体のNK活性増強剤が記載されている。しかし、特許文献6には、納豆菌の培養物由来成分に直接的な癌抑制作用があることは報告されていない。さらにまた、特開2001-064190(特許文献7)には、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)に属する微生物を培養して得られる培養物を80℃以上の通常許容される熱水抽出温度で抽出して得られる抽出物を有効成分として含有してなる、水溶性抗腫瘍剤が記載されている。特許文献7には、納豆菌の培養物を熱水抽出した水溶性抗腫瘍剤が記載されているが、納豆そのものから抽出した物質が分子シャペロンを誘導する作用がある点に関しては記載されていない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開昭61-246124号公報
【特許文献2】特開2001-114687号公報
【特許文献3】特開2003-002838号公報
【特許文献4】特開2006-169186号公報
【特許文献5】特開2005-080655号公報
【特許文献6】特開2006-213688号公報
【特許文献7】特開2001-064190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題解決を意図するものであり、安全かつ少量でも有効な分子シャペロン誘導剤の提供及び安全かつ確実な癌抑制剤組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、分子シャペロンと細胞の癌化機構について研究を続けるとともに、奉職する大学の立地する地域における食品の有効性について研究を重ねてきた。その結果、納豆を特定の方法で分画して得られる分画成分が、極めて強力な癌抑制機能を有すること、さらに、それが分子シャペロンの誘導と密接に関連していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の分子シャペロン誘導剤組成物、癌抑制剤組成物及びこれらを含む食品、飲料、医薬品に関する。
[1] 納豆抽出物由来の分子シャペロン誘導剤組成物。
[2] 納豆をホモジナイズ後、遠心分離し、上清に飽和濃度のn%の硫酸アンモニウムを加えて沈殿Pと上清Sに遠心分離し、上清Sには飽和濃度のni+1%の硫酸アンモニウムを加えて遠心分離する操作(iは1以上の整数であり、0<n<ni+1≦100)を繰り返して得られる沈殿のうち分子シャペロン誘導作用を有する分画成分を取り出してなる前記1に記載の分子シャペロン誘導剤組成物。
[3] 前記操作により飽和濃度の30%の範囲の硫酸アンモニウムを添加して遠心分離した上清に含まれ、かつ、飽和濃度の50%以上の範囲の硫酸アンモニウムを添加して遠心分離した上清には実質的に含まれない分画成分を含む前記2に記載の分子シャペロン誘導剤組成物。
[4] 前記1~3のいずれかに記載の分子シャペロン誘導剤組成物を有効成分として含む癌抑制剤組成物。
[5] 前記1~3のいずれかに記載の分子シャペロン誘導剤組成物を含む食品もしくは飲料または医薬品。
[6] ストレス耐性改善効果または癌抑制作用を有する前記5に記載の食品もしくは飲料または医薬品。
【発明の効果】
【0010】
本発明の癌抑制剤組成物は広い範囲の癌に明瞭な効果を示す。癌細胞に直接に与えて効果を有するため、当該組成物が免疫の賦活などの生理機能を通じて機能しているのでないことは明らかであり、細胞自体の機能に作用していると考えられる。実際に、本発明の癌抑制剤組成物は、分子シャペロンの誘導作用を有することが確認され、癌抑制剤のみならず、分子シャペロン誘導による様々な生理活性を有するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】納豆の硫安分画成分を添加した細胞(マウス神経芽細胞腫)の形態を添加0時間後と24時間後で対比して示した写真。
【図2】納豆の硫安分画成分を添加した細胞(ヒト子宮頸癌細胞)の形態を添加0時間後と24時間後で対比して示した写真。
【図3】煮豆の硫安分画成分を添加した細胞(マウス神経芽細胞腫)と納豆の硫安分画成分を添加した細胞(マウス神経芽細胞腫)の形態を添加0時間後と24時間後で硫安分画成分無添加の例と併せて対比して示した写真。なお、分画成分としては「30~50%」分画(その意味については後述する)を用いた。
【図4】煮豆の硫安分画成分を添加した細胞(ヒト子宮頸癌細胞)と納豆の硫安分画成分を添加した細胞(ヒト子宮頸癌細胞)の形態を添加0時間後と24時間後で硫安分画成分無添加の例と併せて対比して示した写真。なお、分画成分としては「30~50%」分画を用いた。
【図5】納豆菌を添加した細胞(マウス神経芽細胞腫)の形態を添加0時間後と24時間後で硫安分画成分無添加の例と併せて対比して示した写真。
【図6】納豆菌を添加した細胞(ヒト子宮頸癌細胞)の形態を添加0時間後と24時間後で硫安分画成分無添加の例と併せて対比して示した写真。
【図7】納豆可溶性画分及び実施例2の硫安分各成分による分子シャペロンHSP90,HSP72の誘導を示したイムノブロットの結果を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0012】
驚くべきことに本発明の組成物の原料は、一般に市販されている納豆であり、特別な遺伝子操作を施したものではない。また、特定の野生種にも限定されない。
さらに、納豆自体は伝統的な製法によるものでよく、納豆の生成自体に特別な操作や処理は不要である。
従って、納豆の製造方法自体は特に限定されるものではないが、典型的な製造方法、製造条件を挙げれば以下の通りである。

【0013】
はじめに大豆を選別、洗浄、浸漬し、蒸煮を行なう。ここで、大豆の選別は一般には食用目的に応じて行なうものであり、本発明では特に大豆の粒径などは限定されず、その成熟度も限定されない。大豆の浸漬及び煮沸時間も限定されない。
しかる後、納豆に納豆菌を接種し培養して納豆を生成する。培養の際の条件も特に制限されるものではなく、通常、温度25~45℃、好ましくは30~40℃で、pH5.0~9.0、好ましくはpH6.0~8.0で、培養時間1~7日間、好ましくは2~4日間で行い、温度5~15℃で半日~5日間、好ましくは1~2日間で行い熟成する。

【0014】
典型的な例を示せば、例えば、大豆を選別し洗浄後、好ましくは10℃付近の冷水に18時間程度浸漬する。水から上げ、40分間蒸煮する。しかる後、納豆菌を接種し、容器に充填し、40℃前後の室で16~20時間発酵させ、ついで10℃付近で24~48時間熟成することで生成した納豆を用いる。

【0015】
以上のようにして得られた納豆をホモジナイズし、しかる後、遠心分離して上清と沈殿とに分離する。ホモジナイズは、一般的な方法に従って行なえばよいが、中性条件が好ましい。中性条件を維持するために、緩衝剤を用いることができる。緩衝剤としてはTris塩酸などを用いることができるが、この他にも、HEPES,PIPES等の中性域の緩衝剤が利用可能である。

【0016】
遠心分離は、例えば、10000~22,000rpmで5~60分程度行なう。好ましくは、15,500~20,000rpmで10~15分程度行なう。もっとも、ここでの操作は、有効成分とその他の成分を大まかに分離するためのものであり、他のpH条件、他の遠心条件であっても、最終的に本発明の効果が得られるのであれば、すべて本発明の範囲に含まれる。

【0017】
次いで、上清に飽和濃度のn%の硫酸アンモニウムを加えて沈殿Pと上清Sに遠心分離し、上清Sには飽和濃度のni+1%の硫酸アンモニウムを加えて遠心分離する操作(iは1以上の整数であり、0<n<ni+1≦100)を繰り返す。すなわち、硫酸アンモニウムの濃度が飽和濃度に達するまで、硫酸アンモニウムの濃度を漸増させて遠心分離と上清への添加を繰り返し分画成分を得る。濃度の増分は均等でもよいし、異なっていてもよく、例えば、10%ずつ変化させてもよいが、例えば、30%、50%、70%、100%のように増やすこともできる。

【0018】
本発明においては、例えば、飽和濃度の30%の硫酸アンモニウムを添加して遠心分離を行なって得た上清に、飽和濃度の50%の硫酸アンモニウムを添加して遠心分離を行なって得た沈殿を30~50%の分画成分という。

【0019】
このようにして得られる沈殿のうち分子シャペロン誘導作用を有する分画成分を取り出すことで本発明の分子シャペロン誘導剤組成物を得る。

【0020】
分子シャペロン誘導作用の確認はイムノブロット法によって行うことができるが、本発明者らの検討によれば、30~50%の分画成分に特に有効な成分が存在することが見出された。

【0021】
本発明の分子シャペロン誘導剤組成物は、健康維持用の各種製剤として、または医薬品原沫の成分として利用できる。特に癌抑制剤として有用である。
本発明の癌抑制剤が適用される癌の種類は特に限定されないが、例えば、子宮頸部癌,肝臓癌,胃癌,大腸癌等を挙げることができる。
本発明の分子シャペロン誘導剤及び癌抑制剤は、各種の食品や飲料に混合して、または、医薬品として用いることができる。

【0022】
本発明の分子シャペロン誘導剤及び癌抑制剤(以下、本発明活性物質)として用いるときの投与量は、疾患の症状、患者の年齢などにより異なるが、例えば、乾固物として成人1日あたり30~6000mg、好ましくは約500~2000mgである。本発明活性物質は、経口投与もしくは筋肉内、皮内、皮下、静脈内、下部体腔、皮膚などの非経口投与により投与される。さらに、本発明の活性物質を製剤化するためには、製剤の技術分野における通常の方法で錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、点眼剤、トローチ剤、注射剤、坐剤、軟膏などの剤型が採用されうる。すなわち、経口用固型製剤を調製する場合は活性物質に、賦形剤、さらに必要に応じて結合剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤などとする。

【0023】
また、本活性物質を含有させて食用に供する量の目安は、前記の薬剤と同じ程度である。健康食品とするときは、乾固物に換算して健康食品素材の全量に対し、0.0005~10重量%、好ましくは、0.1~5.0重量%の割合になるように添加される。0.0005重量%未満では、目的とする効果が乏しく、10重量%を越えて配合しても効果の顕著な増加は望めない。本発明の飲食品は、活性物質を単独か又は食品に一般に使用される原料、例えば糖類、澱粉、脂質などの賦形剤、さらには必要に応じて結合剤、滑沢剤、着色剤、香料などの矯味矯臭剤などを併用することができ、常法により製造される。本発明の飲食品には、例えばキャンディー、ドロップ、錠菓、チューイングガム、カプセル、飲料などの食品が含まれる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
実施例1
納豆(株式会社ヤマダフーズ製)50gの150mlの10mM Tris-HCl(pH7.4)緩衝液中でホモジナイズし、遠心分離(20,000rpm, 30分)を行い上清と沈殿に分離させた。
上清に30%飽和濃度となるように硫酸アンモニウムを加え30分攪拌し、攪拌終了後、遠心分離(20,000rpm, 30分)を行い、上清と沈殿に分離させた。沈殿は回収し、上清には50%飽和濃度となるように硫酸アンモニウムを加え30分攪拌後、遠心分離(20,000rpm, 30分)を行い上清と沈殿に分離させた。
同様にして得た上清に、順次、飽和濃度の70%、100%の硫酸アンモニウムを加え撹拌、遠心分離を行い沈殿を回収することで、0~30%,30~50%,50~70%,70~100%の分画成分を得た。
【実施例】
【0026】
実施例2
硫安分画で得られた分画成分を培養細胞のマウス神経芽細胞腫(Neuro2A)、ヒト子宮頸癌細胞(HeLa)に濃度が培養培地に対し1[mg/ml]となるように添加した。分画成分を添加後37℃のCO2インキュベーターで24時間培養し、光学顕微鏡を用いて形態を観察した。分画成分を添加していない基準となる細胞と各分画成分を添加した細胞の形態を添加0時間後と24時間後で対比して図1(マウス神経芽細胞腫)、図2(ヒト子宮頸癌細胞)に示す。これらの図に示されるように、納豆分画成分30~50%において、分画成分添加24時間後に細胞の死滅が顕著に確認される。
【実施例】
【0027】
比較例1
納豆を煮豆に代えた他は実施例1と同様にして煮豆についても硫安分画成分を得た。これを実施例2と同様にしてマウス神経芽細胞腫(Neuro2A)、ヒト子宮頸癌細胞(HeLa)に濃度が培養培地に対し1[mg/ml]となるように添加した。 (1)分画成分を添加していない基準となる細胞と(2)分画成分を添加した細胞および(3)納豆ではなく煮豆から得た分画成分を添加した細胞を対比した写真を図3(マウス神経芽細胞腫)、図4(ヒト子宮頸癌細胞)に示す。なお、図3~4では、図1~2の結果に鑑み、分画成分として30~50%の分画成分を用いた比較を示したが、煮豆から得た分画成分を添加した場合は、いずれの場合にも、細胞の顕著な形態変化は認められなかった。
【実施例】
【0028】
比較例2
煮豆(大豆)の代わりに生理食塩水に浮遊させた納豆菌を実施例2と同様に添加した細胞の形態を添加0時間後と24時間後で対比して図5(マウス神経芽細胞腫)、図6(ヒト子宮頸癌細胞)に示す。なお、これらの図では分画ではなく添加量を変化させたが、いずれの濃度でも細胞の顕著な形態変化は認められなかった。 これらの結果に示されるように、本発明に従って得た硫安分画、特に30~50%の分画成分は顕著に細胞形態の変化が認められ、分画成分添加24時間後に細胞の死滅が確認された。一方、煮豆成分並びに納豆菌を添加した細胞ではこのような効果は認められず、本発明の効果は30~50%の納豆由来硫安分画成分に顕著なものであることが判明した。
【実施例】
【0029】
実施例3
分子シャペロンHSP90,HSP72の誘導をイムノブロット法で確認した結果を図7に示す。なお、イムノブロット法は以下のように行なった。
納豆可溶性画分及び実施例2の硫安分各成分をSDS-PAGE(SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)後、ブロット槽を用いて100V10分間 PVDF膜に電気泳動後のタンパク質を転写した。転写後のPVDF膜を(1)7%スキムミルク溶液で15分間ブロッキングし、(2)第一抗体として1,000倍希釈抗分子シャペロン抗体(抗HSP90抗体, 抗HSP72抗体)にて室温2時間反応させ、(3)第一抗体洗浄後、第二抗体として1,000倍希釈アルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG抗体にて室温1時間反応させ、(4)アルカリフォスファターゼ発色液にて発色させた。なお、分子シャペロン抗体は申請者らが分子シャペロンを分離精製し,ウサギに免役して得た抗体であり,学会や英文国際誌等で多数報告している。
図7のHeLa(ヒト子宮頚部癌細胞)の結果からもcontrolに比較して各硫安濃度による分画immnoblotが分子シャペロン抗体に対する発色が濃色であった。これらの結果から、本発明の納豆抽出物が分子シャペロン誘導作用を有することが明らかである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6