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明細書 :無電解Cuめっき液および無電解Cuめっき方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5453605号 (P5453605)
公開番号 特開2011-058061 (P2011-058061A)
登録日 平成26年1月17日(2014.1.17)
発行日 平成26年3月26日(2014.3.26)
公開日 平成23年3月24日(2011.3.24)
発明の名称または考案の名称 無電解Cuめっき液および無電解Cuめっき方法
国際特許分類 C23C  18/52        (2006.01)
C23C  18/38        (2006.01)
FI C23C 18/52 A
C23C 18/38
請求項の数または発明の数 2
全頁数 13
出願番号 特願2009-209998 (P2009-209998)
出願日 平成21年9月11日(2009.9.11)
審査請求日 平成23年12月19日(2011.12.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】新井 進
【氏名】金澤 大志
個別代理人の代理人 【識別番号】100077621、【弁理士】、【氏名又は名称】綿貫 隆夫
【識別番号】100092819、【弁理士】、【氏名又は名称】堀米 和春
審査官 【審査官】川村 健一
参考文献・文献 特開2007-009333(JP,A)
特開2007-031520(JP,A)
特開2008-201834(JP,A)
調査した分野 C23C 18/00 - 20/08
特許請求の範囲 【請求項1】
無電解Cuめっき液において、
CNTと、
該CNTを分散させる、ドデシル硫酸ナトリウムとヒドロキシプロピルセルロースとからなる分散剤とを含むことを特徴とする無電解Cuめっき液。
【請求項2】
請求項1記載の無電解Cuめっき液を用いて無電解めっきを行い、被めっき物に、CNTが混入した無電解Cuめっき皮膜を形成することを特徴とする無電解Cuめっき方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解Cuめっき液および無電解Cuめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者は、めっき液中に分散剤と微細炭素繊維もしくはその誘導体とを添加して、該分散剤によりめっき液中に微細炭素繊維(カーボンナノチューブ:CNT)もしくはその誘導体(以下、これらをCNTと総称する)を分散させ、めっきを施して、基材表面に、微細炭素繊維もしくはその誘導体が混入しているめっき皮膜を形成するめっき方法を提案している(特許文献1)。
そして、この特許文献1では、無電解Cuめっき皮膜中にCNTを混入できることにも言及している。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-156074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるめっき方法は、好適には、分散剤にポリアクリル酸を用いてCuめっき液中にCNTを分散させ、めっきを施すことによって、Cuめっき皮膜中にCNTを取り込むものである。分散剤にポリアクリル酸を用いることによって、CNTをCuめっき液中に良好に分散させることができる。
しかしながら、無電解Cuめっきの場合には、電解Cuめっきとはめっきの原理が異なり、電解Cuめっきの場合ほどは、Cuめっき皮膜中にCNTを良好に取り込むことはできなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、CNTをめっき皮膜中に良好に取り込むことのできる無電解Cuめっき液、無電解Cuめっき方法および無電解Cuめっき液へのCNT分散剤を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、本発明に係る無電解Cuめっき液は、CNTと、該CNTを分散させる、ドデシル硫酸ナトリウムとヒドロキシプロピルセルロースとからなる分散剤とを含むことを特徴とする。
【0008】
また本発明に係る無電解Cuめっき方法は、上記無電解Cuめっき液を用いて無電解めっきを行い、被めっき物に、CNTが混入した無電解Cuめっき皮膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無電解めっきであっても、被めっき物に、CNTが埋没した状態や、先端が突出した状態で良好に取り込まれたCuめっき皮膜を形成することができる。この被めっき物は、電磁波シールド性や摺動特性に優れる。
また、無電解Cuめっきであることから、被めっき物が複雑な形状のものであっても均一な膜厚が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(A)は、VGCF(商標)を添加した場合で、めっき液の温度が50℃の場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図1(B)は、図1(A)の拡大SEM写真である。
【図2】図2(A)は、VGCFを添加した場合で、めっき液の温度が60℃の場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図2(B)は、図2(B)の拡大SEM写真である。
【図3】図3(A)は、VGCFを添加した場合で、めっき液の温度が70℃の場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図3(B)は、図3(A)の拡大SEM写真である。
【図4】本実施の形態における無電解Cuめっき皮膜のX線解析図形を示す。
【図5】図5(A)は、ILJIN(商品名)を添加した場合で、めっき液の温度が50℃の場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図5(B)は、図5(A)の拡大SEM写真である。
【図6】図6(A)は、ILJINを添加した場合で、めっき液の温度が60℃の場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図6(B)は、図6(A)の拡大SEM写真である。
【図7】図7(A)は、ILJINを添加した場合で、めっき液の温度が70℃の場合の無電解Cuめっき膜のSEM写真である。図7(B)は、図7(A)の拡大SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態における無電解Cuめっき液は、CNTと、該CNTを分散させる、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)とヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とからなる分散剤とを含むことを特徴とする。

【0012】
ドデシル硫酸ナトリウムとヒドロキシプロピルセルロースの添加量は、それぞれ1.0×10-3M~2.0×10-3M程度が好適である。
CNTの種類は特に限定されないが、VGCF(商標)のような、太さが100nm~200nmで、長さが10μm~20μmの大きなサイズのCNTもめっき皮膜中に取り込むことができる。このような大きなサイズのCNTは、長さを3~4μm程度のものに調整したものの方が、めっき皮膜中に良好に取り込むことができた。

【0013】
また、直径10nm~15nm、長さ10μm~20μmのILJIN製MWCNTの細いCNTもめっき皮膜中に良好に取り込むことができた。
なお、本実施の形態において、CNTとは、カーボンナノチューブの他、フッ素化カーボンナノチューブなど、カーボンナノチューブの誘導体も含むものとする。
また、無電解銅めっき液中へのCNTの添加量も特に限定されるものではないが、2g/l程度が好ましい。

【0014】
ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)は、硫酸のモノ長鎖アルキルエステルのナトリウム塩である。
また、ヒドロキシプロピルセルロースは、天然に広く存在するセルロースを原料として得られる、分子量約30000~1000000の非イオン性のセルロースエーテルである。
このドデシル硫酸ナトリウムとヒドロキシプロピルセルロースとからなる分散剤を無電解銅めっき液に添加することによって、CNTをめっき液中に良好に分散させることができ、また、このめっき液を用いて無電解銅めっきを行うことによって、めっき皮膜中にCNTを良好に取り込ませることができた。

【0015】
ドデシル硫酸ナトリウムとヒドロキシプロピルセルロースのどちらか一方のみではCNTの分散性が良くなく、この両者が併存することによってCNTの分散性がよくなることがわかった。
また、特に分子量の大きなヒドロキシプロピルセルロースがCNTによく絡みつき、CNTが無電解Cuめっき皮膜に付着しやすくなり、この状態でさらにめっき皮膜が積み上がっていくことから、CNTがめっき皮膜中に良好に取り込まれると考えられる。なお、VGCF(商標)を3~4μm程度に短く切断した方が、めっき皮膜中への取り込み性は良好であった。

【0016】
なお、めっき条件によって、CNTが無電解Cuめっき皮膜内に完全に埋没している状態や、無電解Cuめっき皮膜表面にCNTの先端が突出している状態に調整できる。CNT先端がめっき皮膜表面に突出している場合には、CNTは、摩擦係数が小さいことから、被めっき物表面の摩擦係数も小さく、摺動特性に優れる被めっき物を得ることができる。

【0017】
得られる無電解銅めっき皮膜は赤色を呈し、純銅からなるめっき皮膜と考えられる。CNTの分散剤として各種界面活性剤が考えられるが、界面活性剤の種類としては、無電解銅めっき皮膜中に亜酸化銅の粒子が同時に析出し、黒っぽいめっき外観を呈する場合がある。亜酸化銅は導電性に劣ることから、電磁波シールド性に悪影響を与える。

【0018】
純粋な無電解銅めっき皮膜自体、2μm程度の膜厚で、100kHz~数GHz程度の高い電磁波シールド性を有する。
また、CNTは導電性に優れ、CNTそれ自体で100MHz~75GHz程度の高周波の優れた電磁波シールド性を有する。
したがって、本実施の形態のように、無電解Cuめっき皮膜中にCNTを取り込ませた場合、2μm程度のめっき皮膜の厚さで、100kHz~100GHz程度までの高い周波数の電磁波シールド性を有することが期待できる。

【0019】
また、無電解Cuめっきであることから、被めっき物が複雑な形状のものであっても均一な膜厚が得られる。
また、被めっき物が金属、非金属に関わらずめっきが可能であり、各種電気・電子機器における電磁波シールド効果が期待できる。

【0020】
例えば、絶縁性を有する基材上に銅めっき層を形成する場合には、本実施の形態のように、基材上にCNTを取り込ませた無電解Cuめっき皮膜を形成すればよい。そして、さらに厚いめっき皮膜が必要な場合には、上記無電解Cuめっき層を給電層として、該無電解Cuめっき皮膜上に、特開2004-156074号公報に示されるような、CNTが混入する電解Cuめっき皮膜を形成すればよい。このようにして、全層にCNTが混入したCuめっき皮膜を形成することができる。このCuめっき皮膜は、電磁波シールド層としても利用可能であるし、あるいは所要パターンに形成して電気的な配線層としても利用可能である。
【実施例】
【0021】
無電解Cuめっき液の組成の一例を下記に示す。
CuSO・5HO 0.06M
CHOCOOH・HO 0.03M
EDTA・2Na 0.1M
KOH 適量
分散剤SDS 1.7×10-4
HPC 1.7×10-4
CNT 2g/l
また、CNTは、昭和電工製のMWCNT(VGCF):直径100~200nm、長さ10~20μmのもの、およびILIJIN社製のMWCNT:直径10~15nm、長さ10~20μmのものを用いた。
【実施例】
【0022】
めっき条件は次のとおり。
基板:銅板(3.3cm×3cm)
前処理:通常法(酸性SnCl溶液を用いた感受性化+酸性PdCl溶液を用いた活性化)
めっき条件:温度:50、60、70℃、pH:12.1、時間:5~120分、攪拌:スターラー攪拌(1500rpm)
膜の評価:相構造;XRD、微細構造;FE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)
【実施例】
【0023】
図1~図3に、CNTとしてVGCFを添加しためっき液で、上記めっき温度条件の違いによる無電解Cuめっき皮膜のSEM写真を示す。
図1(A)および(B)は、めっき液の温度が50℃の場合のもの、図2(A)および(B)は、めっき液の温度が60℃の場合のもの、図3(A)および(B)は、めっき液の温度が70℃の場合のものである。めっき液の温度が60℃の場合が、CNT(VGCF)が無電解めっき皮膜中に一番よく取り込まれていた。
また、無電解めっき皮膜に亜酸化銅の粒子の成長は見られない。図4はX線回折図形を示す。図4にも、亜酸化銅を示すピークは観察されていない。
【実施例】
【0024】
図5~図7に、CNTとしてILJINを添加しためっき液で、上記めっき温度条件の違いによる無電解Cuめっき皮膜のSEM写真を示す。
図5(A)および(B)は、めっき液の温度が50℃の場合のもの、図6(A)および(B)は、めっき液の温度が60℃の場合のもの、図7(A)および(B)は、めっき液の温度が70℃の場合のものである。めっき液の温度が60℃の場合が、CNT(ILJIN)が無電解めっき皮膜中に一番よく取り込まれていた。また、無電解めっき皮膜に亜酸化銅の粒子の成長は見られない。
また、図1~図3、および図5~図7に明らかなように、繊維径の大きなVGCFの場合よりも、繊維径の小さなILJINの方が無電解めっき皮膜に良好に取り込まれている。
【実施例】
【0025】
なお、比較例として、分散剤に、カチオン系界面活性剤の一種である、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリドを用い、実施例と同様にしてCNTを無電解Cuめっき液中に分散させたが、CNTの分散性は良好なものの、CNTのめっき皮膜中への取り込みはほとんどなかった。
また、カチオン系ではないが、ポリエチレングリコールモノ-p-ノニルフェニルエーテルや、ポリアクリルアミドを分散剤として用いたところ、CNTを無電解Cuめっき液中に良好に分散させることはできなかった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6