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明細書 :Fe‐Pt合金めっき方法およびFe‐Pt合金めっき液

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5334118号 (P5334118)
公開番号 特開2011-063842 (P2011-063842A)
登録日 平成25年8月9日(2013.8.9)
発行日 平成25年11月6日(2013.11.6)
公開日 平成23年3月31日(2011.3.31)
発明の名称または考案の名称 Fe‐Pt合金めっき方法およびFe‐Pt合金めっき液
国際特許分類 C25D   3/56        (2006.01)
C25D   5/50        (2006.01)
C25D   7/00        (2006.01)
FI C25D 3/56 A
C25D 3/56 F
C25D 5/50
C25D 7/00 G
請求項の数または発明の数 9
全頁数 25
出願番号 特願2009-214920 (P2009-214920)
出願日 平成21年9月16日(2009.9.16)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成21年9月7日 社団法人表面技術協会発行の「社団法人表面技術協会 第120回講演大会 講演要旨集」に発表
審査請求日 平成24年9月13日(2012.9.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】新井 進
【氏名】加茂 琢弥
個別代理人の代理人 【識別番号】100077621、【弁理士】、【氏名又は名称】綿貫 隆夫
【識別番号】100092819、【弁理士】、【氏名又は名称】堀米 和春
審査官 【審査官】國方 康伸
参考文献・文献 特開2005-226156(JP,A)
特開2006-265717(JP,A)
特開2004-323948(JP,A)
特開2006-265716(JP,A)
特開2004-311607(JP,A)
特開2005-256045(JP,A)
特開昭47-038535(JP,A)
調査した分野 C23C18/00-20/08
C25D1/00-7/12
特許請求の範囲 【請求項1】
3価のFe塩、該3価のFeの錯化剤、Pt塩、および伝導度塩を含むFe‐Pt合金めっき液を用いて被めっき物にFe‐Pt合金めっきを行う工程と、
該Fe‐Pt合金めっきが施された被めっき物に熱処理を行い、Fe‐Pt合金めっき膜をL1型Fe‐Pt規則合金に相変換させる熱処理工程とを含むことを特徴とするFe‐Pt合金めっき方法。
【請求項2】
前記Feの錯化剤がクエン酸もしくはその塩であり、めっき液中の前記クエン酸もしくはその塩の含有量を増加させるに従い、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が低下することを特徴とする請求項1記載のFe‐Pt合金めっき方法。
【請求項3】
めっき液中の前記3価のFe塩を増加させるに従い、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が増加することを特徴とする請求項1または2記載のFe‐Pt合金めっき方法。
【請求項4】
前記Fe‐Pt合金めっき液のpHが4~10であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載のFe‐Pt合金めっき方法。
【請求項5】
前記熱処理工程において400℃~600℃の温度で熱処理を行うことを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載のFe‐Pt合金めっき方法。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項記載のFe‐Pt合金めっき方法によって得られたFe‐Pt合金めっき膜。
【請求項7】
Feが20~80atm%含むことを特徴とする請求項6記載のFe‐Pt合金めっき膜。
【請求項8】
3価のFe塩0.7mM~7.0mM、該3価のFeの錯化剤12.3mM~98mM、Pt塩1mM~4mM、および伝導度塩を含み、pHが4~10であることを特徴とするFe‐Pt合金めっき液。
【請求項9】
3価のFe塩がFe(SO・nHO、前記3価のFeの錯化剤が(NHCHO、Pt塩がPt(NO(NHであることを特徴とする請求項8記載のFe‐Pt合金めっき液。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、Fe‐Pt合金めっき方法およびFe‐Pt合金めっき液に関する。
【背景技術】
【0002】
Fe‐Pt合金膜は磁気特性に優れる(高い保持力および磁気異方性を有する)ため、次世代磁気記録媒体(垂直磁気記録媒体)の材料として期待されている。 Fe‐Pt合金膜の作製方法としては電気めっき法が有効であるが、めっき浴の安定性に問題があった。
従来のFe‐Pt合金めっき液では、酸化数が2価の鉄イオン(Fe2+)を用いていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2006-265716
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2価の鉄イオン(Fe2+)は、めっき中に、特に陽極において酸化され、Fe3+イオンとなり沈殿しやすいFe(OH)が生成する。生成したFe(OH)はFe‐Pt合金膜中に取り込まれ磁気特性を低下させるという課題がある。また、めっき液としても、2価の鉄イオンが3価の鉄イオンに酸化され、2価の鉄イオンと3価の鉄イオンとが混在し、めっき液が不安定であるという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、磁気特性に優れるFe‐Pt合金めっき膜を提供でき、また液の安定性にも優れるFe‐Pt合金めっき方法およびFe‐Pt合金めっき液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るFe‐Pt合金めっき方法は、3価のFe塩、該3価のFeの錯化剤、Pt塩、および伝導度塩を含むFe‐Pt合金めっき液を用いて被めっき物にFe‐Pt合金めっきを行う工程と、該Fe‐Pt合金めっきが施された被めっき物に熱処理を行い、Fe‐Pt合金めっき膜をL1型Fe‐Pt規則合金に相変換させる熱処理工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
また、前記Feの錯化剤がクエン酸もしくはその塩であり、めっき液中の前記クエン酸もしくはその塩の含有量を増加させるに従い、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が低下することを特徴とする。
また、めっき液中の前記3価のFe塩を増加させるに従い、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が増加することを特徴とする。
【0008】
前記Fe‐Pt合金めっき液のpHが4~10であり、特には8~10であると項手切である。
前記熱処理工程において400℃~600℃の温度で熱処理を行うと好適である。
【0009】
また本発明に係るFe‐Pt合金めっき液は、3価のFe塩0.7mM~7.0mM、該3価のFeの錯化剤12.3mM~98mM、Pt塩1mM~4mM、および伝導度塩を含み、pHが4~10であることを特徴とする。特にはpHが8~10であると好適である。
3価のFe塩にはFe(SO・nHO、3価のFeの錯化剤には(NHCHO、Pt塩にはPt(NO(NHが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁気特性に優れるFe‐Pt合金めっき膜を提供でき、また液の安定性にも優れるFe‐Pt合金めっき方法およびFe‐Pt合金めっき液を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】めっき液中のFe塩濃度を変化させた時のFe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量を示すグラフである。
【図2】めっき液中のクエン酸塩濃度を変化させた時のFe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量を示すグラフである。
【図3】Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が17atm%のときのめっき膜の表面状態のEM像を示す。
【図4】Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が27atm%のときのめっき膜の表面状態のEM像を示す。
【図5】Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が35atm%のときのめっき膜の表面状態のEM像を示す。
【図6】Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が36atm%のときのめっき膜の表面状態のEM像を示す。
【図7】Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が55atm%のときのめっき膜の表面状態のEM像を示す。
【図8】Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量が80atm%のときのめっき膜の表面状態のEM像を示す。
【図9】めっき液のpHが4のときのFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図10】めっき液のpHが5のときのFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図11】めっき液のpHが8のときのFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図12】めっき液のpHが10のときのFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図13】電流密度が1A/dmのときのFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。図13:1A/dm、図14:1.5A/dm、図15:2A/dm、図16:2.5A/dm
【図14】電流密度が1.5A/dmのときのFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図15】電流密度が2A/dmのときのFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図16】電流密度が2.5A/dmのときのFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図17】pHの相違によるFe‐Pt合金めっき膜中のPt含有量の推移を示すグラフである。
【図18】pH5のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を熱処理しない場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図19】pH5のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を400℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図20】pH5のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を450℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図21】pH5のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を500℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図22】pH5のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を550℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図23】pH5のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を600℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図24】図18~図23におけるめっき膜のXRD解析データである。
【図25】pH8のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を熱処理しない場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図26】pH8のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を400℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図27】pH8のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を450℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図28】pH8のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を500℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図29】pH8のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を550℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図30】pH8のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を600℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図31】図25~図30の各めっき膜のXRD解析データである。
【図32】pH10のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を熱処理しない場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図33】pH10のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を400℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図34】pH10のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を450℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図35】pH10のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を500℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図36】pH10のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を550℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図37】pH10のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を600℃で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。
【図38】図32~図37の各めっき膜のXRD解析データである。
【図39】pH5、8、10の各めっき液で電解めっきを行い、次いで各処理温度で熱処理したFe‐Pt合金めっき膜の磁気特性(保持力)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態におけるFe‐Pt合金めっき液は、上記のように、3価のFe塩0.7mM~7.0mM、該3価のFeの錯化剤12.3mM~98mM、Pt塩1mM~4mM、および伝導度塩を含み、pHが4~10に調整される。
3価のFe塩はFe(SO・nHOを用いることができる。また、3価のFeの錯化剤として(NHCHOを用いることができる。Pt塩としては、Pt(NO(NHが好適である。伝導度塩としては、KSOを用いることができる。
なお、錯化剤としては、上記クエン酸もしくはその塩のほか、酒石酸、コハク酸、マロン酸、リンゴ酸、グルコン酸や、これらの塩を用いることもできる。

【0013】
また、本実施の形態におけるFe‐Pt合金めっき方法は、3価のFe塩、該3価のFeの錯化剤、Pt塩、および伝導度塩を含む上記のFe‐Pt合金めっき液を用いて被めっき物にFe‐Pt合金めっきを行う工程と、該Fe‐Pt合金めっきが施された被めっき物に熱処理を行い、Fe‐Pt合金めっき膜をL1型Fe‐Pt規則合金に相変換させる熱処理工程とを含むことを特徴とする。

【0014】
本実施の形態では、上記のようにFe‐Pt合金めっき液において、最初から3価のFe塩を用いる。
3価のFe塩を用いるので、直ちにFe(OH)が生成されてしまうと思いがちであるが、3価のFe塩は、錯化剤の存在により、金属錯体が形成され、めっき液中に安定して存在し、実際にはFe(OH)が生成されず、長時間経過してもめっき液は安定であった。

【0015】
この点、従来のFe‐Pt合金めっき液では、2価のFe塩を用い、この2価のFe塩が酸化されにくいように各種の添加剤が検討されるという技術の方向で進展してきた。しかし、2価のFeが3価のFeに酸化することは避けられない。従来のFe‐Pt合金めっき液においても錯化剤が添加されており、3価のFeが金属錯体を形成し、めっき液中に安定して存在するということが考えられるが、2価のFeからFe(OH)を形成する反応速度の方が、金属錯体を形成する反応速度よりも速いため、Fe(OH)が生成されてしまうと推測される。

【0016】
上記のように3価のFeのままで安定で、めっき中においてもFe(OH)がFe‐Pt合金めっき膜中に取り込まれるようなことがなく、ピュアなFe‐Pt合金めっき膜となることから、Fe‐Pt合金膜特有の優れた磁気特性が得られる。
なお、電解めっきによるFe‐Pt合金めっき膜のままでは、600Oe程度の保持力しか得られないが、本実施の形態では、Fe‐Pt合金めっきが施された被めっき物に熱処理を行い、Fe‐Pt合金めっき膜をL1型Fe‐Pt規則合金に相変換させることによって、2000Oe程度の高い保持力を有する磁性材料に調整することができた。この熱処理条件をさらに検討することによって、6000Oe程度の高い保持力を得る磁性材料として提供できることが期待される。

【0017】
被めっき物としては銅素材が好適であり、銅素材上にFe‐Pt合金めっき膜を形成し、熱処理を施すことによって磁気特性(保持力)を向上させることができた。
因みに、同様の条件でITO膜上にもFe‐Pt合金めっき膜を良好に形成することができたが、ITO膜上に形成したFe‐Pt合金めっき膜に上記と同様の条件によって熱処理を行っても、銅板上に形成したFe‐Pt合金めっき膜ほどには磁気特性(保持力)が向上しなかった。
銅板上にFe‐Pt合金めっき膜を形成し、熱処理を行うと、銅がFe‐Pt合金めっき膜中に拡散し、この銅の作用によって磁気特性が向上するものと考えられる。

【0018】
本実施の形態で得られるFe‐Pt合金めっき膜は、上記のように保持力が向上することから、垂直磁気記録媒体等として好適に用いることができる。
垂直磁気記録媒体とするには、例えばナノレベルの細孔を有する陽極酸化皮膜を形成し、この陽極酸化皮膜の片面側を研磨して細孔を貫通孔とし、銅板を当接させて貫通孔内に上記Fe‐Pt合金めっき膜を成長させるようにするなどして形成できる。

【0019】
次に、本実施の形態では、めっき液中の錯化剤を増加させるに従い、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量を低下させることができる(図2)。一方、めっき液中の3価のFe塩を増加させるに従い、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量を増加させることができる(図1)。
本実施の形態では、錯化剤の量とFe塩の量とを調整することにより、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量を、20~80atm%の広い範囲で調整することができた。

【0020】
特にFe含有量が、35~60 atm%において高い磁気異方性を示し、垂直磁気記録媒体等として有用であるが、本実施の形態では、容易にこの要求に応じることができる。
また、Ptは各種触媒機能を有するが、Pt量を調整して、優れた触媒材料としても提供しうる。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を示す。
[実施例1]
次に示す浴組成のめっき液を調整した。
Fe(SO・nHO 0.7~7.0mM
(NHCHO 12.3mM~98mM
Pt(NO(NH 1mM~4mM
KSO 0.525M
pH 4~10
【実施例】
【0022】
次のめっき条件でめっきを行った。
電流規制法 電流密度:2Adm-2
電極 陽極:チタン白金 陰極:銅
被めっき物 銅板
空気攪拌
温度 60℃
【実施例】
【0023】
EPMAマッピング検査をしたところ、FeとPtが均一に分布しており、酸素の存在、すなわちFe(OH)の存在は認められなかった。
【実施例】
【0024】
図1は、めっき液中のFe塩濃度を変化させた時のFe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量を示す。
図1からわかるように、Fe塩濃度を0.7mMから7.0mMにまで変化させた場合、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量は45atm%から100atm%まで増加した。
図2は、めっき液中のクエン酸塩濃度を変化させた時のFe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量を示す。
図2からわかるように、クエン酸塩濃度を12.3mMから98mMまで変化させた場合、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量は73atm%から17atm%まで低下した。
このように、めっき液中のFe塩濃度、クエン酸塩濃度を適宜に調整することによって、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe(Pt)含有量を適宜に調整できる。
【実施例】
【0025】
図3~図8は、Fe‐Pt合金めっき膜中のFe含有量の変化(組成変化)におけるめっき膜の表面状態のEM像を示す。図3:Fe‐17atm%、図4:Fe‐27atm%、図5:Fe‐35atm%、図6:Fe‐36atm%、図7:Fe‐55atm%、図8:Fe‐80atm%。
いずれも、良好な膜状をなしていることがわかる。また、Pt含有量が増えることによって、析出粒子がより微細化していることがわかる。
また、磁気特性(保持力)は、結晶相または組成によって異なり、Fe‐27atm%の組成のとき、最大値600Oeであった。
【実施例】
【0026】
図9~図12は、めっき液のpHを変化させた場合のFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。図9:pH4、図10:pH5、図11:pH8、図10:pH10。
pHが高いほど析出粒子が大きくなっていることがわかる。
【実施例】
【0027】
図13~図16は、電流密度を変化させた場合のFe‐Pt合金めっき膜の表面状態のSEM像を示す。図13:1A/dm、図14:1.5A/dm、図15:2A/dm、図16:2.5A/dm。2A/dm~2.5A/dm程度の電流密度が好適である。
【実施例】
【0028】
[実施例2]
次に示す浴組成のめっき液を調整した。
Fe(SO・nHO 0.7mM
(NHCHO 49mM
Pt(NO(NH 2mM
KSO 0.525M
pH 4、5、7、8、9、10
【実施例】
【0029】
次のめっき条件によりめっきを行った。
電流規制法 電流密度:2Admー2
電極 陽極:チタン白金 陰極:銅
被めっき物 銅板
空気攪拌
温度 60℃
電解めっきを行った後、次の条件により熱処理を行った。
赤外線真空加熱炉
熱処理温度 400~600℃まで
熱処理時間 1.5h
【実施例】
【0030】
図17は、pHの相違によるFe‐Pt合金めっき膜中のPt含有量の推移を示すグラフである。
pH4の場合、pT含有量が73atm%程度と多くなるが、pH5以上の場合では、概ね50~60atm%程度で推移した。
【実施例】
【0031】
図18~図23は、pH5のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を熱処理しない場合および所要温度で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。図18:熱処理なし、図19:400℃の熱処理、図20:450℃、図21:500℃の熱処理、図22:550℃の熱処理、図23:600℃の熱処理。図24は、図18~図23の各めっき膜のXRD解析データである。
各図からわかるように、熱処理をすることによって、表面の粒子の性状に変化が生じている。めっきを施したままの熱処理なしの場合のFe‐Pt合金めっき膜は、体心立方構造(bcc)のFe‐Pt不規則合金であり、大きな磁気異方性はない。熱処理をすることによって、大きな磁気異方性をもつ面心正方構造(fct)のL1型Fe‐Pt規則合金に相変換する。これによって磁気特性が向上する。図24に示すように、熱処理なしのものではFe‐Pt不規則相が現れているが、熱処理を行ったものではFe‐Pt規則相が現れている。
【実施例】
【0032】
図25~図30は、pH8のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を熱処理しない場合および所要温度で熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。図25:熱処理なし、図26:400℃の熱処理、図27:450℃、図28:500℃の熱処理、図29:550℃図30:600℃の熱処理。図31は、図25~図30の各めっき膜のXRD解析データである。
各図からわかるように、熱処理をすることによって、表面の粒子の性状に変化が生じている。めっきを施したままの熱処理なしの場合のFe‐Pt合金めっき膜は、体心立方構造(bcc)のFe‐Pt不規則合金であり、大きな磁気異方性はない。熱処理をすることによって、大きな磁気異方性をもつ面心正方構造(fct)のL1型Fe‐Pt規則合金に相変換する。これによって磁気特性が向上する。図31に示すように、熱処理なしのものではFe‐Pt不規則相が現れているが、熱処理を行ったものではFe‐Pt規則相が、pH5のものの場合よりもより顕著に現れている。
【実施例】
【0033】
図32~図37は、pH10のめっき液で電解めっきを行って得たFe‐Pt合金めっき膜を熱処理した場合のめっき膜の表面状態のSEM像を示す。図32:熱処理なし、図33:400℃の熱処理、図34:450℃、図35:500℃の熱処理、図36:550℃図37:600℃の熱処理。図38は、図32~図37の各めっき膜の各熱処理した場合のXRD解析データである。
各図からわかるように、熱処理をすることによって、表面の粒子の性状に変化が生じている。めっきを施したままの熱処理なしの場合のFe‐Pt合金めっき膜は、体心立方構造(bcc)のFe‐Pt不規則合金であり、大きな磁気異方性はない。熱処理をすることによって、大きな磁気異方性をもつ面心正方構造(fct)のL1型Fe‐Pt規則合金に相変換する。これによって磁気特性が向上する。図38に示すように、熱処理なしのものではFe‐Pt不規則相が現れているが、熱処理を行ったものではFe‐Pt規則相がさらに顕著に現れている。
【実施例】
【0034】
図39は、pH5、8、10の上記各めっき液で銅板上に電解めっきを行い、次いで各処理温度で熱処理したFe‐Pt合金めっき膜の磁気特性(保持力)を示すグラフである。
pH8のもので400~500℃程度で熱処理をした場合のものが、最大で2000Oe程度の保持力が得られている。熱処理なしのものでは保持力は極めて低い。
なお、銅板上にFe‐Pt合金めっき膜を形成し、熱処理を行うと、銅がFe‐Pt合金めっき膜中に拡散し、この銅の作用によって磁気特性が向上するものと考えられる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
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【図26】
25
【図27】
26
【図28】
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【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
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【図38】
37
【図39】
38