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明細書 :フルオレノンイミンを用いた炭素-炭素結合生成反応

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5099932号 (P5099932)
公開番号 特開2010-235585 (P2010-235585A)
登録日 平成24年10月5日(2012.10.5)
発行日 平成24年12月19日(2012.12.19)
公開日 平成22年10月21日(2010.10.21)
発明の名称または考案の名称 フルオレノンイミンを用いた炭素-炭素結合生成反応
国際特許分類 C07F   9/36        (2006.01)
C07C 249/02        (2006.01)
C07C 251/20        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07F 9/36
C07C 249/02
C07C 251/20
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 8
全頁数 18
出願番号 特願2010-030670 (P2010-030670)
出願日 平成22年2月15日(2010.2.15)
優先権出願番号 2009060119
優先日 平成21年3月12日(2009.3.12)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年6月28日(2010.6.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】山下 恭弘
【氏名】関 和貴
【氏名】チェン イジン
個別代理人の代理人 【識別番号】100079005、【弁理士】、【氏名又は名称】宇高 克己
審査官 【審査官】品川 陽子
参考文献・文献 国際公開第2005/058805(WO,A1)
特開2008-169167(JP,A)
特開2005-200347(JP,A)
特表2008-545704(JP,A)
特開2008-163022(JP,A)
特開2005-298337(JP,A)
特表2009-543815(JP,A)
特開2003-306473(JP,A)
特開平06-306026(JP,A)
国際公開第2009/113409(WO,A1)
SHU, K. et al.,Angewandte Chemie, International Edition,2008年,47(30),p.5613-5615
調査した分野 C07F 9/36
C07C 251/20
C07C 249/02
C07C 215/30
C07C 213/02
C07B 61/00

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の一般式[X]で表される化合物を生成する方法であって、
下記の一般式[I]で表される化合物と、下記の一般式[II]で表される化合物とを、光学活性な第四級アンモニウム塩の存在下で、反応させて下記の一般式[X]で表される化合物を生成する
ことを特徴とする方法。
一般式[I]
JP0005099932B2_000027t.gif [一般式[I]中、R,Rは、Hまたは炭素数が1~10の炭化水素基である。RとRとは、同一でも、異なるものでも良い。R,R,R,Rは、Hまたは炭素数が1~10の炭化水素基である。R,R,R,Rは、全てが同一でも、異なるものでも良い。]
一般式[II]
JP0005099932B2_000028t.gif [一般式[II]中、R,Rは、Hまたは炭素数が1~10の炭化水素基である。RはCOOR,SOR又はPOR(Rは炭素数が1~10の炭化水素基)である。]
一般式[X]
JP0005099932B2_000029t.gif
【請求項2】
一般式[I]におけるR,R,R,R,R,Rの炭化水素基がアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基である
ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
一般式[II]におけるR,Rの炭化水素基がアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基である
ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
一般式[II]におけるRの炭化水素基がアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基である
ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
光学活性な第四級アンモニウム塩は下記一般式[IV]の構造を持つ化合物である
ことを特徴とする請求項1の方法。
一般式[IV]
JP0005099932B2_000030t.gif [一般式[IV]中、R12,R13,R14は炭化水素基である。R15,R16,R17,R18はH又は炭化水素基である。]
【請求項6】
下記の一般式[Y]で表される化合物を生成する方法であって、
下記の一般式[I]で表される化合物と、下記の一般式[III]で表される化合物とを反応させて下記の一般式[Y]で表される化合物を生成する
ことを特徴とする方法。
一般式[I]
JP0005099932B2_000031t.gif [一般式[I]中、R,Rは、Hまたは炭素数が1~10の炭化水素基である。RとRとは、同一でも、異なるものでも良い。R,R,R,Rは、Hまたは炭素数が1~10の炭化水素基である。R,R,R,Rは、全てが同一でも、異なるものでも良い。]
一般式[III]
JP0005099932B2_000032t.gif [一般式[III]中、R10炭素数が1~10の炭化水素基である。R11はHまたは炭素数が1~10の炭化水素基である。R10とR11とは、同一でも、異なるものでも良い。]
一般式[Y]
JP0005099932B2_000033t.gif
【請求項7】
一般式[I]におけるR,R,R,R,R,Rの炭化水素基がアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基である
ことを特徴とする請求項6の方法。
【請求項8】
一般式[III]におけるR10,R11の炭化水素基がアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基である
ことを特徴とする請求項6の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、フルオレノンイミンを用いた効率的な炭素-炭素結合生成反応に関する。
【背景技術】
【0002】
単純アルキルアミンを用いた求核反応には、ニトロアルカンを等価体として用いた手法が開発されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Kobayashi, S.; Yazaki, R.; Seki, K.; Yamashita, Y. Angew.Chem. Int. Ed. 2008, 47, 5613.
【非特許文献2】Rosini, G.; Ballini, R. Synthesis, 1988, 833.
【非特許文献3】Westermann, B. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42,151.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単純アルキルアミンを用いた求核反応が多く開発されて来た。しかしながら、これまでの手法では、反応後にアミノ基に変換するに際して、煩瑣な還元操作が必要であった。
【0005】
ところで、フルオレノンイミンは、窒素原子のα位の炭素上に生成するアニオンを極度に安定化する効果を持っている。この結果、弱塩基を用いても、容易に脱プロトン化が起きる。従って、各種置換アルキルアミンを用いた反応に適用できると考えられた。本発明者は、先に、フルオレノンイミンを用いたグリシン誘導体、ホスホン酸類縁体の効率的Mannich型反応を提案している。ところが、この提案では基質が限られていた。
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、ジアミン類縁体あるいはアミノアルコール類縁体を効率良く提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する為の検討が、鋭意、推し進められて行った。すなわち、単純アルキルアミンの活性化によるMannich型反応の開発が鋭意推し進められて行った。その結果、例えばフルオレノンイミンとして保護された単純アルキルアミン(例えば、ベンジルアミン、エチルアミン、メチルアミンなど)がイミンに対して効率的、高ジアステレオ選択的に付加することが見出されるに至った。この反応により得られた保護1,2ジアミンは、酸加水分解処理によって、簡単に、フリーの1,2ジアミンに導かれた。
JP0005099932B2_000002t.gif
【0008】
上記知見に基づいて本発明が達成された。
【0009】
すなわち、前記の課題は、
炭素-炭素結合を生成する反応方法であって、
下記の一般式[I]で表される化合物と、下記の一般式[II]で表される化合物とを反応させてジアミン類縁体を生成する
ことを特徴とする反応方法によって解決される。
【0010】
又、炭素-炭素結合を生成する反応方法であって、
光学活性な第四級アンモニウム塩の存在下で、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とを反応させてジアミン類縁体を生成する
ことを特徴とする反応方法によって解決される。
【0011】
一般式[I]
JP0005099932B2_000003t.gif 一般式[I]中、R,Rは、Hまたは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとは、同一でも、異なるものでも良い。R,R,R,Rは、H、F,Cl,Br,I、炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、置換基を有する場合と、水素原子のみ有する場合とが有る。)である。R,R,R,Rは、全てが同一でも、異なるものでも良い。
【0012】
一般式[II]
JP0005099932B2_000004t.gif 一般式[II]中、R,Rは、Hまたは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。Rは、COOR,SOR又はPOR(Rは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。))である。
【0013】
又、前記の課題は、
炭素-炭素結合を生成する反応方法であって、
下記の一般式[I]で表される化合物と、下記の一般式[III]で表される化合物とを反応させてアミノアルコール類縁体を生成する
ことを特徴とする反応方法によって解決される。
【0014】
一般式[I]
JP0005099932B2_000005t.gif 一般式[I]中、R,Rは、Hまたは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとは、同一でも、異なるものでも良い。R,R,R,Rは、H、F,Cl,Br,I、炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、置換基を有する場合と、水素原子のみ有する場合とが有る。)である。R,R,R,Rは、全てが同一でも、異なるものでも良い。
【0015】
一般式[III]
JP0005099932B2_000006t.gif 一般式[III]中、R10は炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R11はHまたは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。R10とR11とは、同一でも、異なるものでも良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明(フルオレニリデン基で保護されたアルキルアミンを炭素求核剤として用いた炭素-炭素結合生成反応)によって、1,2-ジアミン類縁体やアミノアルコールが効率的に得られた。そして、例えば還元操作を経ずとも、酸処理による加水分解で、目的とするアミノ基に直接変換が可能である。例えば、ニトロアルカンを用いた場合に比べ、反応後にアミノ基を得る為の還元操作が必要ない為、エネルギー的に有利である。このことから、医薬品等のファインケミカル分野で有用な目的物が効率的に得られた。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は炭素-炭素結合を生成する反応方法である。この方法は、特に、ジアミン類縁体を生成する方法である。そして、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[II]で表される化合物とを反応させて下記の一般式[X]で表される化合物を生成する方法である。
一般式[X]
JP0005099932B2_000007t.gif

【0018】
一般式[I]
JP0005099932B2_000008t.gif 一般式[I]中、R,Rは、Hまたは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとは、同一でも、異なるものでも良い。R,R,R,Rは、H、F,Cl,Br,I、炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、置換基を有する場合と、水素原子のみ有する場合とが有る。)である。R,R,R,Rは、全てが同一でも、異なるものでも良い。
上記R,R,R,R,R,Rの炭化水素基は、好ましくは、炭素数が1~10のものである。そして、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基が好ましい。好ましいアルキル基は炭素数が1~6のものである。特に好ましいアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基である。好ましいアリール基は炭素数が6~10のものである。特に好ましいアリール基は、フェニル基、ナフチル基(例えば、1-naphthyl,2-naphthyl)である。好ましいアルケニル基は炭素数が3~9のものである。特に好ましいアルケニル基はビニル基、メチルビニル基(例えば、2-methylvinyl)である。好ましいアラルキル基は炭素数が7~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、例えばベンジル基(Bn)やアルキルナフチル基(例えば、1-naphthylmethyl,2-naphthylmethyl)である。前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。この置換基としては、例えばF,Cl,Br,I,CN等が挙げられる。アルキル基も挙げられる。R,Rは、特に、前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基の置換基として、前記以外にも、アセタール基、t-ブチルジメチルシリルオキシ基などのトリアルキルシリルオキシ基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基も挙げられる。R,R,R,Rは、上記した基の他にも、例えばO,S又はN(O,S,Nは、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)であっても良い。この場合の置換基としては、例えば炭素数が1~10のアルキルが挙げられる。従って、R,R,R,Rは、MeO,MeS,MeN等であっても良い。これ等のRO,RS,RN(R=アルキル基)は好ましい。

【0019】
一般式[II]
JP0005099932B2_000009t.gif 一般式[II]中、R,Rは、Hまたは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。Rは、COOR,SOR又はPOR(Rは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。))である。
上記R,Rの炭化水素基は、好ましくは、炭素数が1~10のものである。そして、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基が好ましい。好ましいアルキル基は炭素数が1~6のものである。特に好ましいアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基である。好ましいアリール基は炭素数が6~10のものである。特に好ましいアリール基は、フェニル基、ナフチル基(例えば、1-naphthyl,2-naphthyl)である。好ましいアルケニル基は炭素数が3~9のものである。特に好ましいアルケニル基はビニル基、メチルビニル基(例えば、2-methylvinyl)である。好ましいアラルキル基は炭素数が7~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、例えばベンジル基や1-naphthylmethyl,2-naphthylmethyl等のアルキルナフチル基である。前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。この置換基としては、例えばF,Cl,Br,I,CN等が挙げられる。炭素数が1~10のアルキル基も挙げられる。RとRとは、同一でも、異なるものでも良い。尚、R,Rの少なくとも一方は炭化水素基であることが好ましい。
上記Rは、COOR,SOR又はPOR(Rは炭化水素基)である。この炭化水素基Rは、好ましくは、炭素数が1~10のものである。そして、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基が好ましい。好ましいアルキル基は炭素数が1~6のものである。特に好ましいアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基である。好ましいアリール基は炭素数が6~10のものである。特に好ましいアリール基は、フェニル基、ナフチル基(例えば、1-naphthyl,2-naphthyl)である。好ましいアルケニル基は炭素数が3~9のものである。特に好ましいアルケニル基はビニル基、メチルビニル基(例えば、2-methylvinyl)である。好ましいアラルキル基は炭素数が7~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、例えばベンジル基や1-naphthylmethyl,2-naphthylmethyl等のアルキルナフチル基である。前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。この置換基としては、例えばF,Cl,Br,I,CN等が挙げられる。炭素数が1~10のアルキル基も挙げられる。

【0020】
本発明は炭素-炭素結合を生成する反応方法である。この方法は、特に、ジアミン類縁体を生成する方法である。そして、光学活性な第四級アンモニウム塩の存在下で、上記の一般式[I]で表される化合物と上記の一般式[II]で表される化合物とを反応させる方法である。

【0021】
光学活性な第四級アンモニウム塩は、特に、下記一般式[IV]の構造を持つ化合物が好ましい。
一般式[IV]
JP0005099932B2_000010t.gif 一般式[IV]中、R12は炭化水素基である。好ましくは炭素数が1~10のアルキル基である。又は、炭素数が7~11のアラルキル基である。R13は炭化水素基である。好ましくは炭素数が1~10のアルキル基またはアルケニル基である。R14は炭化水素基(置換基を持つ場合と、置換基を持たない場合とが有る。)である。例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基などである。好ましいアルキル基は炭素数が1~6のものである。好ましいアリール基は炭素数が6~10のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が3~9のものである。好ましいアラルキル基は炭素数が7~11のものである。前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。R15,R16,R17,R18はH又は炭化水素基である。この炭化水素基は、好ましくは、炭素数が1~10のものである。そして、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基が好ましい。好ましいアルキル基は炭素数が1~6のものである。特に好ましいアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基である。好ましいアリール基は炭素数が6~10のものである。特に好ましいアリール基は、フェニル基、ナフチル基(例えば、1-naphthyl,2-naphthyl)である。好ましいアルケニル基は炭素数が3~9のものである。特に好ましいアルケニル基はビニル基、メチルビニル基(例えば、2-methylvinyl)である。好ましいアラルキル基は炭素数が7~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、例えばベンジル基(Bn)やアルキルナフチル基(例えば、1-naphthylmethyl,2-naphthylmethyl)である。前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。この置換基としては、例えばF,Cl,Br,I,CN等が挙げられる。アルキル基も挙げられる。上記した基の他にも、例えばO,S又はN(O,S,Nは、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)であっても良い。この場合の置換基としては、例えば炭素数が1~10のアルキルが挙げられる。従って、R15,R16,R17,R18は、MeO,MeS,MeN等であっても良い。これ等のRO,RS,RN(R=アルキル基)は好ましい。

【0022】
本発明は炭素-炭素結合を生成する反応方法である。この方法は、特に、アミノアルコール類縁体を生成する方法である。そして、下記の一般式[I]で表される化合物と下記の一般式[III]で表される化合物とを反応させて下記の一般式[Y]で表される化合物を生成する方法である。
一般式[Y]
JP0005099932B2_000011t.gif

【0023】
一般式[I]
JP0005099932B2_000012t.gif 一般式[I]中、R,Rは、Hまたは炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとは、同一でも、異なるものでも良い。R,R,R,Rは、H、F,Cl,Br,I、炭化水素基(炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、置換基を有する場合と、水素原子のみ有する場合とが有る。)である。R,R,R,Rは、全てが同一でも、異なるものでも良い。
上記R,R,R,R,R,Rの炭化水素基は、好ましくは、炭素数が1~10のものである。そして、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基が好ましい。好ましいアルキル基は炭素数が1~6のものである。特に好ましいアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基である。好ましいアリール基は炭素数が6~10のものである。特に好ましいアリール基は、フェニル基、ナフチル基(例えば、1-naphthyl,2-naphthyl)である。好ましいアルケニル基は炭素数が3~9のものである。特に好ましいアルケニル基はビニル基、メチルビニル基(例えば、2-methylvinyl)である。好ましいアラルキル基は炭素数が7~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、例えばベンジル基(Bn)やアルキルナフチル基(例えば、1-naphthylmethyl,2-naphthylmethyl)である。前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。この置換基としては、例えばF,Cl,Br,I,CN等が挙げられる。アルキル基も挙げられる。R,Rは、特に、前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基の置換基として、前記以外にも、アセタール基、t-ブチルジメチルシリルオキシ基などのトリアルキルシリルオキシ基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基も挙げられる。R,R,R,Rは、上記した基の他にも、例えばO,S又はN(O,S,Nは、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)であっても良い。この場合の置換基としては、例えば炭素数が1~10のアルキルが挙げられる。従って、R,R,R,Rは、MeO,MeS,MeN等であっても良い。これ等のRO,RS,RN(R=アルキル基)は好ましい。

【0024】
一般式[III]
JP0005099932B2_000013t.gif 一般式[III]中、R10は炭化水素基である。R11はHまたは炭化水素基である。
この炭化水素基は、好ましくは、炭素数が1~10のものである。そして、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基が好ましい。好ましいアルキル基は炭素数が1~6のものである。特に好ましいアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基である。好ましいアリール基は炭素数が6~10のものである。特に好ましいアリール基は、フェニル基、ナフチル基(例えば、1-naphthyl,2-naphthyl)である。好ましいアルケニル基は炭素数が3~9のものである。特に好ましいアルケニル基はビニル基、メチルビニル基(例えば、2-methylvinyl)である。好ましいアラルキル基は炭素数が7~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、例えばアルキルナフチル基(例えば、1-naphthylmethyl,2-naphthylmethyl)やベンジル基(Bn)である。前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。この置換基としては、例えばF,Cl,Br,I,CN等が挙げられる。炭素数が1~10のアルキル基も挙げられる。R10とR11とが共に炭化水素基である場合、これ等は、同一でも、異なるものでも良い。R10とR11とは繋がっていても良い。

【0025】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。但し、本発明は上記した技術思想を逸脱しない範囲において如何なるものであっても良い。すなわち、以下の実施例によって何ら制約を受けるものでは無い。

【0026】
[ジアミンの合成方法]
[フルオレノンイミンとして保護されたアルキルアミンを用いるMannich型反応]
JP0005099932B2_000014t.gif 本実施例では、DPP-imineとFluorenone imineとの反応について述べる。
乾燥反応容器内に、アルゴン雰囲気下で、KOBu(0.010mmol)と18-crown-6(0.011mmol)とが入れられた。この後、無水ジエチルエーテル(0.2ml)がシリンジで加えられた。そして、室温下で10分間の攪拌が行われた。攪拌後、0℃に冷却された。この後、上記構造式のFluorenone imine 2(0.2mmol)の無水ジエチルエーテル溶液(0.6ml)が添加された。そして、10分間の攪拌が行われた。攪拌後、上記構造式のDPP-imine 1(0.24mmol)の無水ジクロロメタン(DCM)溶液(0.2ml)が添加された。添加後、薄紫色の反応溶液が20時間に亘って攪拌された。攪拌後、飽和塩化アンモニウム(10ml)が添加された。これにより反応が停止した。この後、常法による後処理が行なわれ、粗生成物が得られた。この粗生成物がシリカゲル薄層クロマトグラフィ(シリカゲル薄層クロマトグラフィは、ヘキサンと酢酸エチルとトリエチルアミンの混合液で処理)で精製された。この結果、上記反応式で示された構造で下記に示される特性の目的物が得られた。このジアミンの収率は87%であった。syn/antiは98/2であった。
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【0027】
JP0005099932B2_000016t.gif 本実施例でも、DPP-imineとFluorenone imineとの反応について述べる。
乾燥反応容器内に、アルゴン雰囲気下で、KOBu(0.020mmol)と18-crown-6(0.022mmol)とが入れられた。この後、無水ジエチルエーテル(0.2ml)がシリンジで加えられた。そして、室温下で10分間の攪拌が行われた。攪拌後、0℃に冷却された。この後、上記構造式のFluorenone imine 3(0.24mmol)の無水ジエチルエーテル溶液(0.6ml)が添加された。そして、10分間の攪拌が行われた。攪拌後、上記構造式のDPP-imine 1(0.24mmol)の無水ジクロロメタン(DCM)溶液(0.2ml)が添加された。添加後、淡青色の反応溶液が20時間に亘って攪拌された。攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液が添加された。これにより反応が停止した。この後、常法による後処理が行なわれ、粗生成物が得られた。この粗生成物がシリカゲル薄層クロマトグラフィ(シリカゲル薄層クロマトグラフィは、ヘキサンと酢酸エチルとトリエチルアミンの混合液で処理)で精製された。この結果、上記反応式で示された構造で下記に示される特性の目的物が得られた。このジアミンの収率は93%であった。syn/antiは97/3であった。
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【0028】
JP0005099932B2_000018t.gif 本実施例でも、DPP-imineとFluorenone imineとの反応について述べる。
乾燥反応容器内に、アルゴン雰囲気下で、KOBu(0.020mmol)と2,6-dimethylphenol(0.024mmol)とが入れられた。この後、無水ジメチルホルムアミド(DMF 0.2ml)がシリンジで加えられた。そして、室温下で30分間の攪拌が行われた。攪拌後、0℃に冷却された。この後、上記構造式のFluorenone imine 4(0.2mmol)の無水DMF溶液(0.1ml)が添加された。そして、10分間の攪拌が行われた。攪拌後、上記構造式のDPP-imine 1(0.24mmol)の無水DMF溶液(0.2ml)が添加された。添加後、暗褐色の反応溶液が20時間に亘って攪拌された。攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液が添加された。これにより反応が停止した。この後、常法による後処理が行なわれ、粗生成物が得られた。この粗生成物がシリカゲル薄層クロマトグラフィ(シリカゲル薄層クロマトグラフィは、ヘキサンと酢酸エチルとトリエチルアミンの混合液で処理)で精製された。この結果、上記反応式で示された構造で下記に示される特性の目的物が得られた。このジアミンの収率は86%であった。
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【0029】
JP0005099932B2_000020t.gif 本実施例でも、DPP-imineとFluorenone imineとの反応について述べる。
乾燥反応容器内に、アルゴン雰囲気下で、四級アンモニウム塩A(5.8mg:5mol%)と、炭酸セシウム(CsCO,33mg:0.10mmol)と、DPPイミン5(34mg:0.11mmol)と、無水エーテル(EtO,0.8mL)とが入れられた。この後、室温下で、10分間の攪拌が行われた。この後、フルオレノンイミン6(27mg:0.10mmol)の無水エーテル溶液(0.2mL)が加えられた。そして、攪拌が室温下で15時間行われた。この後、反応溶液を塩化メチレン(CHCl)で希釈した。そして、反応液がセライトろ過され、減圧下で濃縮処理された。そして、分取用薄層シリカゲルクロマトグラフィにより精製が行われた。この結果、上記反応式で示された構造で下記に示される特性の目的物が得られた。このジアミンの収率は94%(54mg:0.094mmol)であった。前記実施例にあっては、syn/antiが98/2,97/3であったのに対して、本実施例では、光学活性な第四級アンモニウム塩が触媒として用いられたことから、syn/antiは78/22であった。尚、ジアステレオ比はH-NMR分析によって決定された。
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【0030】
上記実施例で用いた一般式[I][II]の化合物の代わりに、一般式[I](R=Bn,R=R=R=R=R=H)の化合物と一般式[II](R=Ph,R=H,RBuOCO)の化合物とが用いられた場合、一般式[I](R=Bn,R=R=R=R=R=H)の化合物と一般式[II](R=p-MeOPh,R=H,R=PhP(O))の化合物とが用いられた場合、一般式[I](R=Bn,R=R=R=R=R=H)の化合物と一般式[II](R=p-Cl,R=H,R=PhP(O))の化合物とが用いられた場合でも、上記実施例と同様な結果が得られた。

【0031】
[アミノアルコールの合成方法]
[ベンズアルデヒドとFluorenone imineとの反応]
JP0005099932B2_000022t.gif 本実施例では、ベンズアルデヒドとFluorenone imineとの反応について述べる。
乾燥反応容器内に、アルゴン雰囲気下で、KOBu(0.020mmol)と18-crown-6(0.022mmol)とが入れられた。この後、無水ジエチルエーテル(0.2ml)がシリンジで加えられた。そして、室温下で10分間の攪拌が行われた。攪拌後、0℃に冷却された。この後、上記構造式のFluorenone imine(0.2mmol)の無水ジエチルエーテル溶液(0.6ml)が添加された。そして、10分間の攪拌が行われた。攪拌後、ベンズアルデヒド(0.24mmol)の無水ジエチルエーテル溶液(0.2ml)が添加された。添加後、薄紫色の反応溶液が20時間に亘って攪拌された。攪拌後、飽和塩化アンモニウム(10ml)が添加された。これにより反応が停止した。この後、常法による後処理が行なわれ、粗生成物が得られた。この粗生成物がシリカゲル薄層クロマトグラフィ(シリカゲル薄層クロマトグラフィは、ヘキサンと酢酸エチルとトリエチルアミンの混合液で処理)で精製された。この結果、上記反応式で示された構造で下記に示される特性の目的物が得られた。このアミノアルコールの収率は33%(NMR収率)であった。又、約1:1のジアステレオ混合物であった。
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【0032】
JP0005099932B2_000024t.gif 本実施例では、1,4-付加反応について述べる。
乾燥反応容器内に、アルゴン雰囲気下で、KOBu(0.020mmol)と上記化合物A(0.024mmol)とが入れられた。この後、DMF(0.2ml)がシリンジで加えられた。そして、室温下で30分間の攪拌が行われた。攪拌後、0℃に冷却された。この後、上記構造式のFluorenone imine2(0.2mmol)のDMF溶液(0.3ml)が添加された。そして、10分間の攪拌が行われた。攪拌後、カルコン1(0.22mmol)のTHF溶液(0.5ml)が添加された。添加後、濃紫色の反応溶液が24時間に亘って攪拌された。攪拌後、飽和塩化アンモニウムが添加された。これにより反応が停止した。この後、常法による後処理が行なわれ、粗生成物が得られた。収率はジベンジルを内部標準としてH NMRで決定された。
JP0005099932B2_000025t.gif 尚、上記化合物(カルコン1)は下記の一般式で表される化合物の場合も同様であった。
JP0005099932B2_000026t.gif この一般式中、R19,R20,R21,R22はH又は炭化水素基(置換基を有する場合でも有さない場合でも良い。)である。但し、R22は、-OR,-SR,-NR(Rは置換基を有することも有る炭化水素基)であっても良い。