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明細書 :触媒および反応方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5116048号 (P5116048)
公開番号 特開2011-183343 (P2011-183343A)
登録日 平成24年10月26日(2012.10.26)
発行日 平成25年1月9日(2013.1.9)
公開日 平成23年9月22日(2011.9.22)
発明の名称または考案の名称 触媒および反応方法
国際特許分類 B01J  31/22        (2006.01)
C07D 209/12        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07D 317/20        (2006.01)
FI B01J 31/22 Z
C07D 209/12
C07B 61/00 300
C07D 317/20
請求項の数または発明の数 12
全頁数 15
出願番号 特願2010-053299 (P2010-053299)
出願日 平成22年3月10日(2010.3.10)
審査請求日 平成23年4月14日(2011.4.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】山下 恭弘
【氏名】坪郷 哲
個別代理人の代理人 【識別番号】100079005、【弁理士】、【氏名又は名称】宇高 克己
審査官 【審査官】後藤 政博
参考文献・文献 特開2003-144936(JP,A)
特表2004-531492(JP,A)
特開2009-215214(JP,A)
特表平08-508308(JP,A)
特開2010-207786(JP,A)
調査した分野 B01J 21/00 - 38/74
C07D 209/12
C07B 61/00
C07D 317/20
特許請求の範囲 【請求項1】
インドールとエノンとの反応に用いられる触媒であって、
前記触媒は、
アルカリ土類金属アミドと、水酸基を有する光学活性配位子とで構成されてなり、
前記水酸基を有する光学活性配位子が下記一般式[II]で表される化合物である
ことを特徴とする触媒。
一般式[II]
JP0005116048B2_000015t.gif [一般式[II]中、R,RはH又は炭化水素基である。R,Rの中の少なくとも一方はHでは無い。R,Rは炭化水素基である。全てのR,Rは、同一でも、異なっていても良い。]
【請求項2】
インドールとエノンとの反応に用いられる触媒であって、
前記触媒は、
アルカリ土類金属アミドと、水酸基を有する光学活性配位子とで構成されてなり、
前記水酸基を有する光学活性配位子が下記一般式[III]で表される化合物である
ことを特徴とする触媒。
一般式[III]
JP0005116048B2_000016t.gif
[一般式[III]中、Rは炭化水素基またはシリル基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。R,Rは炭化水素基またはアルコキシ基である。全てのR,Rは、同一でも、異なっていても良い。RとRとは、環が形成されるものでも良い。]
【請求項3】
アルカリ土類金属アミドが下記一般式[I]で表される化合物である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の触媒。
一般式[I]
MN(R
[一般式[I]中、Mはアルカリ土類金属、RはH、炭化水素基、又は置換基を有するシリル基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。]
【請求項4】
アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子との割合が、(アルカリ土類金属アミド):(水酸基を有する光学活性配位子)=1:3~3:1である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の触媒。
【請求項5】
インドールは下記一般式[IV]で表される化合物である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の触媒。
一般式[IV]
JP0005116048B2_000017t.gif [一般式[IV]中、R,R10は、H,X(ハロゲン)、炭化水素基、ニトロ基、アルコキシ基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基である。置換基としてのR10は1個~4個の何れかである。全てのR10は、同一でも、異なっていても良い。]
【請求項6】
エノンは下記一般式[V]で表される化合物である
ことを特徴とする請求項1の触媒。
一般式[V]
JP0005116048B2_000018t.gif [一般式[V]中、R11,R14は、炭化水素基である。R12,R13は、H又は炭化水素基である。]
【請求項7】
インドールとエノンとを反応させる方法であって、
前記反応には、アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子とで構成されてなる触媒が用いられ、
前記水酸基を有する光学活性配位子が下記一般式[II]で表される化合物である
ことを特徴とする反応方法。
一般式[II]
JP0005116048B2_000019t.gif [一般式[II]中、R,RはH又は炭化水素基である。R,Rの中の少なくとも一方はHでは無い。R,Rは炭化水素基である。全てのR,Rは、同一でも、異なっていても良い。]
【請求項8】
インドールとエノンとを反応させる方法であって、
前記反応には、アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子とで構成されてなる触媒が用いられ、
前記水酸基を有する光学活性配位子が下記一般式[III]で表される化合物である
ことを特徴とする反応方法。
一般式[III]
JP0005116048B2_000020t.gif [一般式[III]中、Rは炭化水素基またはシリル基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。R,Rは炭化水素基またはアルコキシ基である。全てのR,Rは、同一でも、異なっていても良い。RとRとは、環が形成されるものでも良い。]
【請求項9】
アルカリ土類金属アミドが下記一般式[I]で表される化合物である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8の反応方法。
一般式[I]
MN(R
[一般式[I]中、Mはアルカリ土類金属、RはH、炭化水素基、又は置換基を有するシリル基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。]
【請求項10】
インドールは下記一般式[IV]で表される化合物である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8の反応方法。
一般式[IV]
JP0005116048B2_000021t.gif [一般式[IV]中、R,R10は、H,X(ハロゲン)、炭化水素基、ニトロ基、アルコキシ基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基である。置換基としてのR10は1個~4個の何れかである。全てのR10は、同一でも、異なっていても良い。]
【請求項11】
エノンは下記一般式[V]で表される化合物である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8の反応方法。
一般式[V]
JP0005116048B2_000022t.gif [一般式[V]中、R11,R14は、炭化水素基である。R12,R13は、H又は炭化水素基である。]
【請求項12】
アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子との割合が、(アルカリ土類金属アミド):(水酸基を有する光学活性配位子)=1:3~3:1である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8の反応方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ土類金属アミドと水酸基を有するキラル配位子とによる触媒に関する。例えば、アルカリ土類金属アミドと水酸基を有するキラル配位子とを触媒として用いたインドールとカルコンとの反応(不斉反応)に関する。
【背景技術】
【0002】
Ca,Sr,Ba等のアルカリ土類金属は地球上に広く存在するユビキタス元素である。これ等の元素の積極的な利用は我が国の元素戦略上重要である。本発明者らは、これまで、カルシウムアルコキシドと光学活性ビスオキサゾリン配位子より調製されたアニオン性錯体、ストロンチウムアルコキシドと光学活性キラルビススルホンアミド配位子から調製されたアニオン性錯体、カルシウムアルコキシドと光学活性ビスオキサゾリン配位子から調整された配位性錯体が、有効なブレンステッド塩基触媒として機能し、α-アミノエステル誘導体とα,β-不飽和カルボニル化合物とによる1,4付加反応や[3+2]付加環化反応、マロン酸エステルとα,β-不飽和カルボニル化合物との1,4付加反応やMannich反応、アズラクトンとα,β-不飽和エステルとの1,4付加反応が、高エナンチオ選択的に進行することを見出している。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Saito,S.;Tsubogo,T.;Kobayashi,S. J.Am.Chem.Soc.2007,129,5364
【非特許文献2】Tsubogo,T.;Saito,S.;Yamashita,Y.;Kobayashi,S. Org.lett.2008,10,807-809
【非特許文献3】Tsubogo,T.;Saito,S.;Seki,K.;Yamashita,Y.;Kobayashi,S. J.Am.Chem.Soc.2008,130,13321
【非特許文献4】Agostinho,M.;Kobayashi,S. J.Am.Chem.Soc.2008,130,2430
【非特許文献5】Kobayashi,S.;Yamaguchi,M.;Agostinho,M.;Schneider,U. Chem.Lett.2009,38,296
【非特許文献6】Nguyen,H.V.;Matsubara,R.;Kobayashi,S. Angew.chem.Int.Ed.2009,48,5927
【非特許文献7】Tsubogo,T.;Yamashita,Y.;Kobayashi,S. Angew.chem.Int.Ed.2009,48,9117
【非特許文献8】Yamada,Y.M.A.;shibasaki,M. Tetrahedron Lett.1998,39,5561
【非特許文献9】Suzuki,T.;Yamagiwa,N.;Matsuo,Y.;Sakamoto,S.;Yamaguchi,K.;Shibasaki,M.;Noyori,R. Tetrahedron Lett.2001,42,4669
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまで、アルカリ土類金属アミドを触媒として用いた例は極めて少ない。アルカリ土類金属アミドを用いた場合、アルカリ土類金属アルコキシドを用いた場合とは、その作用・効果が全く異なると予想される。
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は、アルカリ土類金属アミドを触媒として利用できる技術を提供することである。特に、不斉ブレンステッド塩基触媒として機能する触媒を提供することである。更には、インドールに対するエノンのFriedel-Crafts型反応が高エナンチオ選択的に進行する触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する為の研究が鋭意推し進められて行った。その結果、カルシウムアミドと光学活性TADDOL型配位子との組み合わせになる触媒や、バリウムアミドと光学活性BINOL型型配位子との組み合わせになる触媒は、不斉ブレンステッド塩基触媒として機能することを見出すに至った。更に、これらの触媒を用いた場合、インドールに対するエノンのFriedel-Crafts型反応が高エナンチオ選択的に進行することを見出すに至った。
JP0005116048B2_000002t.gif
【0007】
上記知見を基にして本発明が達成された。
【0008】
すなわち、前記の課題は、
アルカリ土類金属アミドと、水酸基を有する光学活性配位子とで構成されてなる
ことを特徴とする触媒によって解決される。
【0009】
特に、インドールとエノンとの反応に用いられる触媒であって、
前記触媒は、
アルカリ土類金属アミドと、水酸基を有する光学活性配位子とで構成されてなる
ことを特徴とする触媒によって解決される。
【0010】
又、上記触媒であって、アルカリ土類金属アミドが、好ましくは、下記一般式[I]で表される化合物であることを特徴とする触媒によって解決される。
【0011】
又、上記触媒であって、水酸基を有する光学活性配位子が、好ましくは、下記一般式[II]で表される化合物であることを特徴とする触媒によって解決される。或いは、水酸基を有する光学活性配位子が、好ましくは、下記一般式[III]で表される化合物であることを特徴とする触媒によって解決される。
【0012】
又、上記触媒であって、アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子との割合が、好ましくは、(アルカリ土類金属アミド):(水酸基を有する光学活性配位子)=1:3~3:1であることを特徴とする触媒によって解決される。
【0013】
又、上記触媒であって、インドールは、好ましくは、下記一般式[IV]で表される化合物であることを特徴とする触媒によって解決される。
【0014】
又、上記触媒であって、エノンは、好ましくは、下記一般式[V]で表される化合物であることを特徴とする触媒によって解決される。
【0015】
又、前記の課題は、
インドールとエノンとを反応させる方法であって、
アルカリ土類金属アミドと、水酸基を有する光学活性配位子とで構成されてなる触媒が用いられる
ことを特徴とする反応方法によって解決される。
【0016】
又、上記インドールとエノンとを反応させる方法であって、アルカリ土類金属アミドが、好ましくは、下記一般式[I]で表される化合物であることを特徴とする反応方法によって解決される。
【0017】
又、上記インドールとエノンとを反応させる方法であって、水酸基を有する光学活性配位子が、好ましくは、下記一般式[II]で表される化合物であることを特徴とする反応方法によって解決される。或いは、水酸基を有する光学活性配位子が、好ましくは、下記一般式[III]で表される化合物であることを特徴とする反応方法によって解決される。
【0018】
又、上記インドールとエノンとを反応させる方法であって、アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子との割合が、好ましくは、(アルカリ土類金属アミド):(水酸基を有する光学活性配位子)=1:3~3:1であることを特徴とする反応方法によって解決される。
【0019】
又、上記インドールとエノンとを反応させる方法であって、インドールは、好ましくは、下記一般式[IV]で表される化合物であることを特徴とする反応方法によって解決される。
【0020】
又、上記インドールとエノンとを反応させる方法であって、エノンは、好ましくは、下記一般式[V]で表される化合物であることを特徴とする反応方法によって解決される。
【0021】
一般式[I]
MN(R
[一般式[I]中、Mはアルカリ土類金属、RはH、炭化水素基、又は置換基を有するシリル基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。]
【0022】
一般式[II]
JP0005116048B2_000003t.gif [一般式[II]中、R,RはH又は炭化水素基である。R,Rの中の少なくとも一方はHでは無い。R,Rは炭化水素基である。全てのR,Rは、同一でも、異なっていても良い。]
【0023】
一般式[III]
JP0005116048B2_000004t.gif [一般式[III]中、Rは炭化水素基またはシリル基である。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。R,Rは炭化水素基またはアルコキシ基である。全てのR,Rは、同一でも、異なっていても良い。RとRとは、環が形成されるものでも良い。]
【0024】
一般式[IV]
JP0005116048B2_000005t.gif [一般式[IV]中、R,R10は、H,X(ハロゲン)、炭化水素基、ニトロ基、アルコキシ基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基である。置換基としてのR10は1個~4個の何れでも良い。全てのR10は、同一でも、異なっていても良い。]
【0025】
一般式[V]
JP0005116048B2_000006t.gif [一般式[V]中、R11,R14は、炭化水素基である。R12,R13は、H又は炭化水素基である。]
【発明の効果】
【0026】
インドールに対するエノンのFriedel-Crafts型反応が高エナンチオ選択的に進行する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1の発明は触媒である。特に、インドールとエノンとの反応に用いられる触媒である。中でも、インドールとカルコンとの反応に用いられる触媒である。前記触媒は、アルカリ土類金属アミドと、水酸基を有する光学活性配位子とで構成される。前記触媒は、特に、前記アルカリ土類金属アミドと前記光学活性配位子化合物とによる錯体である。前記アルカリ土類金属アミドは、好ましくは、下記一般式[I]で表される化合物である。前記光学活性配位子は、好ましくは、下記一般式[II]または[III]で表される化合物である。例えば、TADDOL型配位子あるいはBINOL型配位子である。前記アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子との割合(モル比)は、好ましくは、(アルカリ土類金属アミド):(水酸基を有する光学活性配位子)=1:3~3:1である。更に好ましくは、1:2~2:1の割合である。特に、1:1である。前記インドールは、好ましくは、下記一般式[IV]で表される化合物である。前記エノンは、好ましくは、下記一般式[V]で表される化合物である。

【0028】
第2の発明は反応方法である。特に、インドールとエノンとを反応させる方法である。中でも、インドールとカルコンとを反応させる方法である。前記インドールは、好ましくは、下記一般式[IV]で表される化合物である。前記エノンは、好ましくは、下記一般式[V]で表される化合物である。特に、カルコンである。前記反応には、アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子とで構成される触媒が用いられる。前記触媒は、特に、前記アルカリ土類金属アミドと前記光学活性配位子化合物とによる錯体である。前記アルカリ土類金属アミドは、好ましくは、下記一般式[I]で表される化合物である。前記光学活性配位子は、好ましくは、下記一般式[II]または[III]で表される化合物である。前記アルカリ土類金属アミドと水酸基を有する光学活性配位子との割合(モル比)は、好ましくは、(アルカリ土類金属アミド):(水酸基を有する光学活性配位子)=1:3~3:1である。更に好ましくは、1:2~2:1の割合である。特に、1:1である。前記反応に用いられる前記触媒量は、好ましくは、5~20mol%である。更に好ましくは8~12mol%である。前記反応に際しては、一般的に、溶媒が用いられる。例えば、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、tertブチルメチルエーテル等)、トルエン、或いはこれらの混合溶媒と言った有機溶媒である。前記基質は、その濃度が、例えば0.01~0.5Mである。好ましくは0.02~0.2Mである。前記反応に要する時間は、例えば1~72時間である。反応温度は、例えば0~50℃である。好ましくは10~30℃である。

【0029】
一般式[I]
MN(R
一般式[I]中、Mはアルカリ土類金属である。特に好ましいアルカリ土類金属はCa,Baである。
一般式[I]中、RはH、置換基を有さない炭化水素基、置換基を有する炭化水素基、又は置換基(例えば、炭化水素基)を有するシリル基である。好ましい炭化水素基はアルキル基、アルケニル基、アリール基、或いはアラルキル基である。特に好ましいアルキル基は、炭素数が1~10(更に好ましくは、1~5)のアルキル基である。特に好ましいアルケニル基は、炭素数が2~10(更に好ましくは、2~5)のアルケニル基である。特に好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~10のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。特に好ましいアラルキル基(アリールアルキル基)は、そのアリール基の部分の炭素数が4~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、アリール基の部分がフェニル基やナフチル基である。そして、アラルキル基における好ましいアルキル基は、炭素数が1~10のものである。更には、炭素数が1~5のものが好ましい。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。

【0030】
一般式[II](TADDOL型配位子)
JP0005116048B2_000007t.gif 一般式[II]中、R,RはH又は炭化水素基である。R,Rは炭化水素基である。
前記炭化水素基は、好ましくは、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、或いはアラルキル基である。特に好ましいアルキル基は、炭素数が1~10(更に好ましくは、1~5)のアルキル基である。特に好ましいアルケニル基は、炭素数が2~10(更に好ましくは、2~5)のアルケニル基である。特に好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~10のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。特に好ましいアラルキル基(アリールアルキル基)は、そのアリール基の部分の炭素数が4~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、アリール基の部分がフェニル基やナフチル基である。アラルキル基における好ましいアルキル基は、炭素数が1~10のものである。更には、炭素数が1~5のものが好ましい。前記炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。R,Rがメチル基の場合は非常に好ましい。R,Rがアリール基の場合は非常に好ましい。
前記R,Rの中の少なくとも一方はHでは無い。すなわち、RもRも共にHと言うことは無い。全てのR,Rは、同一でも、異なっていても良い。

【0031】
一般式[III](BINOL型配位子)
JP0005116048B2_000008t.gif 一般式[III]中、Rは炭化水素基またはシリル基である。R,Rは炭化水素基またはアルコキシ基である。前記基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。RとRとは、環が形成されるものでも良い。全てのRは、同一でも、異なっていても良い。全てのR,Rは、同一でも、異なっていても良い。
前記Rは、好ましくは、置換基を有するシリル基である。特に、炭化水素基を有するシリル基は好ましい。Rにおける好ましい炭化水素基は、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、或いはアラルキル基である。特に好ましいアルキル基は、炭素数が1~10(更に好ましくは、1~5)のアルキル基である。特に好ましいアルケニル基は、炭素数が2~10(更に好ましくは、2~5)のアルケニル基である。特に好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~10のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。特に好ましいアラルキル基(アリールアルキル基)は、そのアリール基の部分の炭素数が4~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、アリール基の部分がフェニル基やナフチル基である。アラルキル基における好ましいアルキル基は、炭素数が1~10のものである。更には、炭素数が1~5のものが好ましい。特に好ましいRはアリール基を有するシリル基である。中でもトリアリールシリル基は好ましい。
前記R,Rの炭化水素基やアルコキシ基における炭化水素は、前記Rで説明した炭化水素が挙げられる。前記R,Rの中でも特に好ましい基は、RとRとによって環が形成される場合である。例えば、五員環あるいは六員環が形成される基である。具体的には、例えば-(CH-,-CH=CH-CH=CH-,-OCHO-等である。

【0032】
一般式[IV](インドール:基質)
JP0005116048B2_000009t.gif 一般式[IV]中、R,R10は、H,X(F,Cl,Br,I)、炭化水素基、ニトロ基、アルコキシ基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基である。置換基としてのR10は1個~4個の何れでも良い。全てのR10は、同一でも、異なっていても良い。
,R10における炭化水素基は、好ましくは、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、或いはアラルキル基である。特に好ましいアルキル基は、炭素数が1~10(更に好ましくは、1~5)のアルキル基である。特に好ましいアルケニル基は、炭素数が2~10(更に好ましくは、2~5)のアルケニル基である。特に好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~10のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。特に好ましいアラルキル基(アリールアルキル基)は、そのアリール基の部分の炭素数が4~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、アリール基の部分がフェニル基やナフチル基である。アラルキル基における好ましいアルキル基は、炭素数が1~10のものである。更には、炭素数が1~5のものが好ましい。前記炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。
,R10の中でも最も好ましいのはHである。

【0033】
一般式[V](エノン:基質)
JP0005116048B2_000010t.gif 一般式[V]中、R11,R14は炭化水素基、R12,R13はH又は炭化水素基である。
炭化水素基は、好ましくは、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、或いはアラルキル基である。特に好ましいアルキル基は、炭素数が1~10(更に好ましくは、1~5)のアルキル基である。特に好ましいアルケニル基は、炭素数が2~10(更に好ましくは、2~5)のアルケニル基である。特に好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~10のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。特に好ましいアラルキル基(アリールアルキル基)は、そのアリール基の部分の炭素数が4~10のものである。特に好ましいアラルキル基は、アリール基の部分がフェニル基やナフチル基である。アラルキル基における好ましいアルキル基は、炭素数が1~10のものである。更には、炭素数が1~5のものが好ましい。前記炭化水素基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。置換基としては、例えば炭化水素基やアルコキシ基が挙げられる。
前記R11,R14の中でも最も好ましい基はアリール基またはアラルキル基である。前記R12,R13の中でも最も好ましいのはHである。

【0034】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。但し、本発明は前記した技術思想を逸脱しない範囲において如何なるものであっても良い。すなわち、以下の実施例によって何ら制約を受けるものでは無い。
本反応は、反応停止作業以下を除いて、全て、グローブボックス中で行われた。
試薬や溶媒は以下の会社のものである。
インドール:和光純薬工業株式会社
カルコン:東京化成工業株式会社
(E)-3-(4-chlorophenyl)-1-phenylprop-2-en-1-one:和光純薬工業株式会社
MTBE(dry):Aldrich社
THF(dry):和光純薬工業株式会社 ケチルより蒸留
MS 4A:Aldrich社
Wakogel B5-F pTLC:和光純薬工業株式会社
金属触媒および不斉配位子は以下の文献に準拠して調製された。
M(HMDS)
Brady,E.D.;Hanusa,T.P.;Pink,M.;Young,V.G.,Jr.Inorg.Chem.2000,39,6028.
He,X.;Noll,B.C.;Beatty,A.;Mulvey,R.E.;Henderson,K.W.J.Am.Chem.Soc.2004,126,7444.
(R)-3,3’-(Ph3Si)2-H8-BINOL:
Maruoka,K.;Ito,T.;Araki,Y.;Shirasaka,T.i;Yamamoto,H.Bull.Chem.Soc.Jpn.1988,61,2975.
Sewgobind,N.V.;Wanner,M.J.;Ingemann,S.;deGelder,R.;van
Maarseveen,J.H.;Hiemstra,Henk.J.Org.Chem.2008,73.6405.
(R)-2-Nph-TADDOL:
Beek,A.K.;Gysi,P.;LaVecchia,L.;Seebach,D.Org.Synth.1999,76,12.

【0035】
[実施例1(カルシウム触媒)]
加熱乾燥された10mlのネジ式バイアルに、0.015mmolのCa(HMDS)、及び0.015mmolの(R)-2-Nph-TADDOLが加えられた。更に、0.25mlのTHFが加えられた。そして、室温下で、2時間の撹拌が行われた。この後、0.15mmolのインドールのTHF(0.25ml)溶液が加えられた。更に、0.18mmolのカルコンのTHF(0.25ml)溶液が加えられた。そして、20℃で48時間の攪拌が行われた。この後、20℃て、5mlの飽和塩化アンモニウムが加えられた。これにより、反応が停止した。この後、10mlの塩化メチレンで抽出が行われた。更に、水層に対して15mlの塩化メチレンで2回の抽出が行われた。有機層が併せられ、無水硫酸ナトリウムによる乾燥が行われた。この後、濾過が行われ、減圧下で溶媒が留去された。そして、pTLC(シクロヘキサン/ジエチルエーテル=2/1)にて単離精製が行われた。これにより、下記の目的化合物が得られた(61%,94%ee)。
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【0036】
[実施例2(バリウム触媒)]
加熱乾燥された10mlのネジ式バイアルに、0.015mmolのBa(HMDS)、及び0.015mmolの(R)-3,3’-(PhSi)-H-BINOL及び50mgのMS4Aが加えられた。更に、0.25mlのTHFが加えられた。そして、室温下で、2時間の撹拌が行われた。この後、0.15mmolのインドールのTHF(0.25ml)とTBME(0.5ml)溶液が加えられた。更に、0.18mmolのカルコンのTHF(0.25ml)溶液が加えられた。そして、室温下で24時間の攪拌が行われた。この後、室温下で、5mlの飽和塩化アンモニウムが加えられた。これにより、反応が停止した。この後、10mlの塩化メチレンで抽出が行われた。更に、水層に対して15mlの塩化メチレンで2回の抽出が行われた。有機層が併せられ、無水硫酸ナトリウムによる乾燥が行われた。この後、濾過が行われ、減圧下で溶媒が留去された。そして、pTLC(シクロヘキサン/ジエチルエーテル=2/1)にて単離精製が行われた。これにより、下記の目的化合物が得られた(91%,90%ee)。
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【0037】
[実施例3(カルシウム触媒)]
加熱乾燥された10mlのネジ式バイアルに、0.015mmolのCa(HMDS)、及び0.015mmolの(R)-2-Nph-TADDOLが加えられた。更に、0.25mlのTHFが加えられた。そして、室温下で、2時間の撹拌が行われた。この後、0.15mmolのインドールのTHF(0.25ml)溶液が加えられた。更に、0.18mmolの(E)-3-(4-chlorophenyl)-1-phenylprop-2-en-1-oneのTHF(0.25ml)溶液が加えられた。そして、20℃で48時間の攪拌が行われた。この後、20℃て、5mlの飽和塩化アンモニウムが加えられた。これにより、反応が停止した。この後、10mlの塩化メチレンで抽出が行われた。更に、水層に対して15mlの塩化メチレンで2回の抽出が行われた。有機層が併せられ、無水硫酸ナトリウムによる乾燥が行われた。この後、濾過が行われ、減圧下で溶媒が留去された。そして、pTLC(シクロヘキサン/ジエチルエーテル=2/1)にて単離精製が行われた。これにより、下記の目的化合物が得られた(35%,69%ee)。
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【0038】
[実施例4(バリウム触媒)]
加熱乾燥された10mlのネジ式バイアルに、0.015mmolのBa(HMDS)、及び0.015mmolの(R)-3,3’-(PhSi)-H-BINOL及び50mgのMS4Aが加えられた。更に、0.25mlのTHFが加えられた。そして、室温下で、2時間の撹拌が行われた。この後、0.15mmolのインドールのTBME(0.5ml)溶液が加えられた。更に、0.18mmolの(E)-3-(4-chlorophenyl)-1-phenylprop-2-en-1-oneのTHF(0.30ml)とTBME(0.5ml)溶液が加えられた。そして、室温下で24時間の攪拌が行われた。この後、室温下で、5mlの飽和塩化アンモニウムが加えられた。これにより、反応が停止した。この後、10mlの塩化メチレンで抽出が行われた。更に、水層に対して15mlの塩化メチレンで2回の抽出が行われた。有機層が併せられ、無水硫酸ナトリウムによる乾燥が行われた。この後、濾過が行われ、減圧下で溶媒が留去された。そして、pTLC(シクロヘキサン/ジエチルエーテル=2/1)にて単離精製が行われた。これにより、下記の目的化合物が得られた(99%,86%ee)。
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