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明細書 :光学活性ジカルボン酸誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5329462号 (P5329462)
公開番号 特開2011-184393 (P2011-184393A)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
発行日 平成25年10月30日(2013.10.30)
公開日 平成23年9月22日(2011.9.22)
発明の名称または考案の名称 光学活性ジカルボン酸誘導体
国際特許分類 C07C  51/06        (2006.01)
C07C  55/02        (2006.01)
C07D 263/20        (2006.01)
B01J  31/26        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
FI C07C 51/06
C07C 55/02
C07D 263/20
B01J 31/26 Z
C07B 61/00 300
C07B 53/00 B
請求項の数または発明の数 13
全頁数 15
出願番号 特願2010-053300 (P2010-053300)
出願日 平成22年3月10日(2010.3.10)
審査請求日 平成23年4月14日(2011.4.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】山下 恭弘
【氏名】ポワソン トーマス
個別代理人の代理人 【識別番号】100079005、【弁理士】、【氏名又は名称】宇高 克己
審査官 【審査官】今井 周一郎
参考文献・文献 Journal of American Chemical Society,2008年,Vol.130,p.2430-2431
Tetrahedron Letters,2006年,Vol.47,p.1291-1293
Tetrahedron: Asymmetry,1998年,Vol.9,p.1-45
調査した分野 C07B 53/00
C07D 263/20
C07C 55/02
C07C 51/06
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式[III]で表されるα,β-不飽和カルボニル化合物と、
ジカルボン酸エステル及びジカルボン酸の群の中から選ばれるエノラート生成化合物とを、
下記一般式[I]で表される化合物と下記一般式[II]で表される化合物から構成される化合物の存在下で反応させる
ことを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法。
一般式[I]

JP0005329462B2_000015t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはOである。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、MはCa,Sr又はBaである。Xは陰イオンである。]
一般式[III]
JP0005329462B2_000016t.gif [一般式[III]中、R,R,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSである。R11は、炭化水素基(置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSである。]
【請求項2】
エノラート生成化合物がマロン酸エステル又はマロン酸である
ことを特徴とする請求項1の光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法。
【請求項3】
一般式[I]で表される化合物と一般式[II]で表される化合物から構成される化合物が錯体である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法。
【請求項4】
一般式[I]で表される化合物が光学活性三座配位子である
ことを特徴とする請求項1~請求項3いずれかの光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法。
【請求項5】
一般式[II]のXがClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である
ことを特徴とする請求項1~請求項4いずれかの光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法。
【請求項6】
光学活性ジカルボン酸誘導体が光学活性2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体である
ことを特徴とする請求項1~請求項5いずれかの光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法。
【請求項7】
請求項1~請求項6いずれかの光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法における工程と、
前記工程で得られた光学活性ジカルボン酸誘導体に加水分解を施して光学活性ジカルボン酸を製造する
ことを特徴とする光学活性ジカルボン酸の製造方法。
【請求項8】
下記一般式[III]で表されるα,β-不飽和カルボニル化合物と、ジカルボン酸エステル及びジカルボン酸の群の中から選ばれるエノラート生成化合物とを反応させて光学活性ジカルボン酸誘導体の合成に用いられる触媒であって、
下記一般式[I]で表される化合物と、
下記一般式[II]で表される化合物
とで構成される
ことを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒。
一般式[I]
JP0005329462B2_000017t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはOである。]
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、MはCa,Sr又はBaである。Xは陰イオンである。]
一般式[III]
JP0005329462B2_000018t.gif [一般式[III]中、R,R,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSである。R11は、炭化水素基(置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSである。]
【請求項9】
エノラート生成化合物がマロン酸エステル又はマロン酸である
ことを特徴とする請求項8の光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒。
【請求項10】
一般式[I]で表される化合物と一般式[II]で表される化合物から構成される化合物が錯体である
ことを特徴とする請求項8又は請求項9の光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒。
【請求項11】
一般式[I]で表される化合物が光学活性三座配位子である
ことを特徴とする請求項8~請求項10いずれかの光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒。
【請求項12】
一般式[II]のXがClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である
ことを特徴とする請求項8~請求項11いずれかの光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒。
【請求項13】
光学活性ジカルボン酸誘導体が光学活性2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体である
ことを特徴とする請求項8~請求項12いずれかの光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体と言った光学活性ジカルボン酸誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性な2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体は、光学活性中間体として有用な化合物である。例えば、医薬品などのファインケミカルを合成する際の光学活性中間体として特に有用である。前記ジカルボン酸誘導体の合成方法として、特許文献1,2,3や非特許文献1,2,3,4に記載が有る。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2002-191393
【特許文献2】WO2009/121066A1
【特許文献3】EP0647647A1
【0004】

【非特許文献1】Tetrahedron Vol.44,No.22,6941-6946,1988
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.1994,116,775-776
【非特許文献3】Synthesis May,1994,526-532
【非特許文献4】Tetrahedron 56(2000)2247-2257
【非特許文献5】Organic Letters 2008,10,65-68
【非特許文献6】J.Am.Chem.Soc. 1992,114,9434-9453
【非特許文献7】J.Org.Chem. 1992,57,1961-1963
【非特許文献8】Tetrahedron Letters 2003,44,8805-8809
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3や非特許文献1~4に提案の技術は特殊である。
【0006】
そして、本発明が解決しようとする課題は、2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体と言ったジカルボン酸誘導体を高エナンチオ選択的に合成する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する為の研究が鋭意推し進められて行った。その結果、例えばカルシウムアルコキシドと中性配位型の配位子であるキラルピリジンビスオキサゾリンから調製される不斉ブレンステッド塩基触媒を用い、そしてα,β-不飽和カルボニル化合物にエノラートを付加(1,4-付加反応)させ、二次的に生成するエノラートを不斉プロトン化することにより、光学活性な2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体と言ったジカルボン酸誘導体が高収率で高エナンチオ選択性で効率的に合成されることが見出されるに至った。
JP0005329462B2_000002t.gif
【0008】
更に、このようにして得られた生成物を加水分解や脱炭酸処理することにより、光学活性なジカルボン酸が得られた。
【0009】
上記知見を基にして本発明が達成された。
【0010】
すなわち、前記の課題は、
α,β-不飽和カルボニル化合物と、
エノラート生成化合物とを、
下記一般式[I]で表される化合物と下記一般式[II]で表される化合物から構成される化合物の存在下で反応させる
ことを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法によって解決される。
【0011】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法であって、α,β-不飽和カルボニル化合物が、好ましくは、下記一般式[III]で表される化合物であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法によって解決される。
【0012】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法であって、エノラート生成化合物が、好ましくは、ジカルボン酸エステル又はジカルボン酸、中でも、マロン酸エステル又はマロン酸であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法によって解決される。
【0013】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法であって、下記一般式[I]で表される化合物と下記一般式[II]で表される化合物から構成される化合物が、好ましくは、錯体であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法によって解決される。
【0014】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法であって、下記一般式[I]で表される化合物が、好ましくは、光学活性三座配位子であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法によって解決される。
【0015】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法であって、下記一般式[II]のMが、好ましくは、Ca,Sr又はBaであり、下記一般式[II]のXが、好ましくは、ClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法によって解決される。
【0016】
前記の課題は、
前記光学活性ジカルボン酸誘導体の合成方法で得られた光学活性ジカルボン酸誘導体に加水分解を施して光学活性ジカルボン酸を製造することを特徴とする光学活性ジカルボン酸の製造方法によって解決される。
【0017】
前記の課題は、
α,β-不飽和カルボニル化合物とエノラート生成化合物とを反応させて光学活性ジカルボン酸誘導体の合成に用いられる触媒であって、
下記一般式[I]で表される化合物と、
下記一般式[II]で表される化合物
とで構成される
ことを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒によって解決される。
【0018】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒であって、α,β-不飽和カルボニル化合物が、好ましくは、下記一般式[III]で表される化合物であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒によって解決される。
【0019】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒であって、エノラート生成化合物が、好ましくは、ジカルボン酸エステル又はジカルボン酸、中でも、マロン酸エステル又はマロン酸であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒によって解決される。
【0020】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒であって、下記一般式[I]で表される化合物と下記一般式[II]で表される化合物から構成される化合物が、好ましくは、錯体であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒によって解決される。
【0021】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒であって、下記一般式[I]で表される化合物が、好ましくは、光学活性三座配位子であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒によって解決される。
【0022】
又、前記光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒であって、下記一般式[II]のMが、好ましくは、Ca,Sr又はBaであり、下記一般式[II]のXが、好ましくは、ClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)であることを特徴とする光学活性ジカルボン酸誘導体合成用触媒によって解決される。
【0023】
一般式[I]
JP0005329462B2_000003t.gif [一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)である。XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。]
【0024】
一般式[II]
MX
[一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。Xは陰イオンである。]
【0025】
一般式[III]
JP0005329462B2_000004t.gif [一般式[III]中、R,R,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSである。R11は、炭化水素基(置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSである。]
【発明の効果】
【0026】
2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体と言った光学活性ジカルボン酸誘導体が、高収率で、高エナンチオ選択性で効率的に合成された。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1の発明は合成方法である。特に、光学活性なジカルボン酸誘導体の合成方法である。ジカルボン酸誘導体は、例えば2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体である。

【0028】
第2の発明は前記合成方法で合成された光学活性なジカルボン酸誘導体を加水分解などの工程を経ることにより光学活性なジカルボン酸を製造する方法である。

【0029】
第3の発明は前記合成方法に用いられる触媒である。

【0030】
前記合成方法では、基質として、α,β-不飽和カルボニル化合物と、エノラート生成化合物とが用いられる。

【0031】
前記α,β-不飽和カルボニル化合物は、好ましくは、前記一般式[III]で表される化合物である。一般式[III]中、R,R,R10は、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基である。前記アルキル基、アリール基、アラルキル基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。更に好ましいアルキル基は炭素数が1~5のものである。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。更に好ましいアルケニル基は炭素数が2~5のものである。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、好ましくは、アリール基の部分の炭素数が4~14であって、アルキル基の部分の炭素数が1~10のものである。R,R,R10は、置換基を有するO,置換基を有するN、又は置換基を有するSであっても良い。RとRとR10は、同一の場合と、異なる場合とが有る。特に好ましいRはH、アルキル基、エステル基、又はアミド基である。中でもHは特に好ましい。特に好ましいRはH又はアルキル基である。中でもHは特に好ましい。特に好ましいR10はH又はアルキル基である。中でもHは特に好ましい。

【0032】
一般式[III]中、R11は、炭化水素基、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するO,置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するN、又は置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有するSである。前記炭化水素基は、置換基(好ましい置換基は、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基)を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。好ましいR11は、炭素数が1~10のアルキル基を有するO、又は炭素数が1~10のアルキル基を有するNである。中でも炭素数が1~10のアルコキシ基は好ましい。特に、炭素数が1~5のアルコキシ基は好ましい。

【0033】
前記エノラート生成化合物は、好ましくは、例えば下記一般式で示されるマロン酸エステルと言ったジカルボン酸エステルである。
JP0005329462B2_000005t.gif 上記一般式中、Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、前記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基を好ましいものとして挙げることが出来る。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。
上記一般式中、R,Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でもi-プロピル基は特に好ましい。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、前記アリール基が置換基としてアルキル基を有する場合である。従って、骨格(置換基を持たないアリール基)部分の炭素数が4~14のアリール基であって、これに置換基として炭素数が1~10のアルキル基を持つものは好ましいものとして挙げることが出来る。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基を好ましいものとして挙げることが出来る。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。RとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。

【0034】
合成に際して用いられる前記触媒は、前記一般式[I]で表される化合物と前記一般式[II]で表される化合物から構成される化合物である。特に、前記一般式[I]で表される化合物と前記一般式[II]で表される化合物との錯体である。前記一般式[I]で表される化合物は、特に、光学活性三座配位子である。

【0035】
一般式[I]中、R,R,Rは、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でもi-プロピル基は特に好ましい。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、好ましくは、アリール基の部分の炭素数が4~14であって、アルキル基の部分の炭素数が1~10のものである。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基を好ましいものとして挙げることが出来る。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。RとRとRとは、全てが同一でも、異なるものでも良い。

【0036】
一般式[I]中、Rは、H,F,Cl,Br,I、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基(アルキル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有する場合と、置換基を有さない場合とが有る。)である。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。中でもi-プロピル基は特に好ましい。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、好ましくは、アリール基の部分の炭素数が4~14であって、アルキル基の部分の炭素数が1~10のものである。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基を好ましいものとして挙げることが出来る。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。Rは、O,S又はN(O,S,Nは、水素原子または置換基を有する。)であっても良い。尚、この場合の置換基としては、炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基が好ましいものとして挙げられる。従って、MeO,MeN,MeS等もRの好ましい例として挙げられる。

【0037】
一般式[I]中、XはO,S又はN(Nの場合は置換基を有する。)である。尚、この場合の置換基としては、Me,Et,Bn等の炭化水素基(炭素数1~10)が好ましいものとして挙げられる。

【0038】
一般式[II]中、Mはアルカリ土類金属である。好ましくは、Ca,Sr,Baである。中でもCaである。

【0039】
一般式[II]中、Xは陰イオンである。好ましくは、ClO,BF,PF,NO,F,Cl,Br,I,SOR,OCOR,OR,NR又はN(SiR(R=炭化水素基)である。この炭化水素基は、フッ素置換基を持つものでも良い。前記炭化水基としてはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が好ましいものとして挙げられる。好ましいアルキル基は炭素数が1~10のものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基などの炭素数が1~5のアルキル基が更に好ましい。好ましいアルケニル基は炭素数が2~10のものである。例えば、ビニル基や1-プロペニル基などの炭素数が2~5のアルケニル基が更に好ましい。好ましいアリール基は、骨格部分の炭素数が4~14のアリール基である。骨格部分がフェニル基やナフチル基は更に好ましいアリール基である。骨格部分がフェニル基は特に好ましいアリール基である。アラルキル基(アリールアルキル基)は、好ましくは、アリール基の部分の炭素数が4~14であって、アルキル基の部分の炭素数が1~10のものである。例えば、ベンジル基やアルキルナフチル基は好ましいものとして挙げられる。尚、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基が置換基を持つ場合、置換基としては炭素数が1~10のアルキル基などの炭化水素基の他に、例えばハロゲン(F,Cl,Br,I)やアルコキシ基(炭素数1~10)が挙げられる。前記基の中でも、特に好ましいXは、炭素数が1~10のアルコキシド基である。更には炭素数が3~10の分岐型のアルキル基(例えば、i-プロピル基とかt-ブチル基)を有するアルコキシド基が好ましい。

【0040】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。但し、本発明は前記した技術思想を逸脱しない範囲において如何なるものであっても良い。すなわち、以下の実施例によって何ら制約を受けるものでは無い。

【0041】
[不飽和アミド1(α,β-ジカルボニル化合物:前記一般式[III])の合成]
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【0042】
[General Procedure 1]
2Mの水酸化ナトリウム水溶液40mLに、30mmolのマロン酸エステルを加えた。そして、激しく攪拌しながら、2時間加熱環流した。反応混合物をヘキサンで2回洗浄し、水相を濃塩酸を用いて酸性(pH1)にした。水相より酢酸エチルで二度抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過、濃縮後、ジカルボン酸を得た。この生成物はこれ以上の精製操作をしないで次の反応に用いられた。

【0043】
[General Procedure 2]
General Procedure 1で得られたジカルボン酸(30mmol)の酢酸エチル溶液(40mL)に、0℃で、ジエチルアミン(2.216mL;30.3mmol)とパラホルムアルデヒド(1.351g:ホルムアルデヒド45mmol相当)とを加えた。そして、2時間加熱環流した。この後、20mLの水を加えた。更に、濃塩酸を用いて、0℃で、酸性(pH1)にした。分液後、水相から酢酸エチルで2度抽出した。有機相を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過、濃縮後、α,β-不飽和カルボン酸を得た。この生成物はこれ以上の精製操作をしないで次の反応に用いられた。

【0044】
[General Procedure 3]
General Procedure 2で得られたα,β-不飽和カルボン酸(30mmol)の無水塩化メチレン溶液(120mL)に、0℃で、オギザリルクロリド(6.35mL;75mmol)と数滴のDMFとを加えた。反応液を室温に自然昇温し、3時間攪拌した。この後、全ての揮発性物質を減圧下留去した。残渣を無水THF(50mL)に溶解し、対応する酸塩化物のTHF溶液を得た。

【0045】
オキサゾリジノン(2.612g;29.7mmol)のTHF溶液(150mL)を-78℃に冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(関東化学:10.8mL;29.7mmol)を30分掛けて滴下した。ここに、上述の酸塩化物のTHF溶液を-78℃でゆっくり加えた。そして、2時間攪拌した。この後、室温まで自然昇温させた。この後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えて反応を停止させた。そして、この混合物から酢酸エチルで3度抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。濾過、濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、不飽和アミド1が得られた。得られた不飽和アミドの具体例(1a~1d)が下記に示される。

【0046】
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【0047】
前記非特許文献2に記載の方法に準じてα,β-不飽和カルボン酸を得た後、前記[General Procedure 3]に準じて行うことによっても、下記に示される不飽和アミド1eが得られた。
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【0048】
[光学活性ジカルボン酸誘導体の合成]
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【0049】
乾燥した反応容器内に、アルゴン雰囲気下で、カルシウムエトキシド(Ca(OEt):2.6mg;0.020mmol)、(S,S)-Ph-Pybox(8.1mg;0.022mmol)、及びPhenol-A(4.0mg;0.020mmol)を入れた。更に、無水シクロペンチルメチルエーテル(CPME:0.5mL)を加えた。得られた混合物を室温で2時間攪拌した。この後、エタノール(EtOH:24μL;0.40mmol)を加えた。そして、-20℃に冷却した。この後、α,β-不飽和アミド1(0.20mmol)のCPME溶液(0.5mL)を加えた。次いで、ジベンジルマロネート2(0.070mL;0.28mmol)のCPME溶液(0.5mL)を10時間以上掛けて滴下(滴下速度0.05mL/h)した。48時間に亘って攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム溶液(3mL)を加えて反応を停止させた。塩化メチレンを加えて有機層を分離した。更に水層より塩化メチレンで3回抽出した。有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この後、濾過・濃縮を行い、粗生成物を得た。シリカゲル薄層クロマトグラフィ(溶媒はジエチルエーテル)で精製し、光学活性2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体3が得られた。キラルカラムを用いたHPLC分析で決定された光学収率は95%であった。

【0050】
上記合成方法によって、下記の光学活性2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体3a~3fが得られた。
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【0051】
[光学活性ジカルボン酸の合成]
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【0052】
上記光学活性2-アルキルペンタンジカルボン酸誘導体3a(64mg;0.14mmol:95%ee)の酢酸エチル溶液に、Pd/C(和光純薬工業:5%w;30mg;0.014mmol)を加えた。そして、水素雰囲気(1気圧)の室温下で終夜攪拌した。反応溶液をセライト濾過・減圧濃縮した。得られた残渣に6M塩酸4mLを加え、5時間加熱環流した。室温まで冷却した後、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を合わせて飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。濾過、濃縮後、(R)-(-)-methyl glutamic acid (4a)を得た(21 mg, 2ステップ98%)。このものは無色固体であった。