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明細書 :意思分析サーバ、意思分析方法、プログラムおよび意思分析システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5392679号 (P5392679)
登録日 平成25年10月25日(2013.10.25)
発行日 平成26年1月22日(2014.1.22)
発明の名称または考案の名称 意思分析サーバ、意思分析方法、プログラムおよび意思分析システム
国際特許分類 G06Q  30/02        (2012.01)
G06F  19/00        (2011.01)
G06Q  30/06        (2012.01)
FI G06Q 30/02 100
G06F 19/00 130
G06Q 30/06 210
請求項の数または発明の数 12
全頁数 32
出願番号 特願2009-206284 (P2009-206284)
出願日 平成21年9月7日(2009.9.7)
審査請求日 平成24年9月3日(2012.9.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
発明者または考案者 【氏名】荻野 晃大
【氏名】今村 直生
【氏名】加藤 俊一
個別代理人の代理人 【識別番号】110000420、【弁理士】、【氏名又は名称】特許業務法人エム・アイ・ピー
特許請求の範囲 【請求項1】
アクセス主体の行動から、前記アクセス主体の意思を分析する意思分析サーバであって、前記意思分析サーバは、
前記アクセス主体が認識対象に接近した場合に、前記アクセス主体が前記認識対象に接近している間に前記認識対象に対して行った前記アクセス主体の行動様式の密接性を識別し、前記行動様式の継続時間を前記行動様式に対応付けた行動ベクトルを生成する行動判断部と、
前記行動ベクトルの要素値を正規化して前記アクセス主体の前記認識対象に対する行動を正規化する行動正規化部と、
前記行動正規化部が正規化した前記行動ベクトルを、前記行動様式のうち前記アクセス主体の最密アクセス行動に基づいて複数のクラスタに分類する行動クラスタ部と、
前記行動クラスタ部が生成した前記クラスタに帰属される行動ベクトルの要素値を帰属された前記クラスタに割当てられた数値範囲に基づいてランク付けし、前記ランク付けの値を条件属性とし、前記クラスタの分類属性を決定属性とするラフ集合を生成する行動ランク付部と、
前記ラフ集合の前記条件属性を縮約して前記決定属性を与える最尤ルールを生成するルール生成部と
を含む意思分析サーバ。
【請求項2】
前記行動判断部は、前記認識対象に対する前記アクセス主体の前記行動様式を前記行動様式の継続時間の長さおよび画像解析を使用して密接性に関連付けてレベル付けする、請求項1に記載の意思分析サーバ。
【請求項3】
前記行動クラスタ部は、クラスタ分類をウォード法を使用した階層クラスタ化により実行する、請求項1または2に記載の意思分析サーバ。
【請求項4】
前記意思分析サーバは、前記行動判断部、前記行動ランク付部が使用するデータテーブルおよび前記ルール生成部が生成したルールを管理するデータベースを含む請求項1~3のいずれか1項に記載の意思分析サーバ。
【請求項5】
前記意思分析サーバは、ネットワークを介して接続された意思分析装置から、前記アクセス主体の行動様式に関する情報を取得しており、前記意思分析装置は、前記アクセス主体の前記認識対象への接近を検出するアクセス検出部と、前記アクセス主体の前記認識対象への行動があったことを検出して前記意思分析サーバにビデオ画像を送付する、画像変化検出部と、前記意思分析サーバに照会を発行し、前記アクセス主体の意思の分析を実行させる意思分析部とを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の意思分析サーバ。
【請求項6】
アクセス主体の行動から、前記アクセス主体の意思を分析する情報処理装置が実行する意思分析方法であって、前記意思分析方法は、前記情報処理装置が、
前記アクセス主体が認識対象に接近した場合に、前記アクセス主体が前記認識対象に接近している間に前記認識対象に対して行った前記アクセス主体の行動様式の密接性を識別するステップと、
前記行動様式の継続時間を前記行動様式に対応付けて行動ベクトルを生成するステップと、
前記行動ベクトルの要素値を正規化して前記アクセス主体の前記認識対象に対する行動を正規化するステップと、
正規化された前記行動ベクトルを、前記行動様式のうち前記アクセス主体の最密アクセス行動に基づいて複数のクラスタに分類するステップと、
生成した前記クラスタに帰属される行動ベクトルの要素値を帰属された前記クラスタに割当てられた数値範囲に基づいてランク付けするステップと、
前記ランク付けの値を条件属性とし、前記クラスタの分類属性を決定属性とするラフ集合を生成するステップと、
前記ラフ集合の前記条件属性を縮約して前記決定属性を与える最尤ルールを生成するステップと
を実行する意思分析方法。
【請求項7】
前記密接性を識別するステップは、前記認識対象に対する前記アクセス主体の前記行動様式を前記行動様式の継続時間の長さおよび画像解析を使用して密接性に関連付けてレベル付けするステップを含む、請求項6に記載の意思分析方法。
【請求項8】
前記クラスタに分類するステップは、クラスタ分類をウォード法を使用した階層クラスタ化により実行するステップを含む、請求項6または7に記載の意思分析方法。
【請求項9】
前記密接性を識別するステップ、前記ランク付けするステップは、前記密接性を判断し、前記ランク付けのための数値範囲を登録するそれぞれのデータテーブルを管理するデータベースを照会するステップを含み、さらに前記最尤ルールを前記データベースに登録するステップを含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の意思分析方法。
【請求項10】
アクセス主体の行動から、前記アクセス主体の意思を分析する意思分析サーバと、前記意思分析サーバにネットワークを介し接続された意思分析装置とを含む意思分析システムであって、
前記意思分析サーバは、
前記アクセス主体が認識対象に接近した場合に、前記アクセス主体が前記認識対象に接近している間に前記認識対象に対して行った前記アクセス主体の行動様式の密接性を識別し、前記行動様式の継続時間を前記行動様式に対応付けた行動ベクトルを生成する行動判断部と、
前記行動ベクトルの要素値を正規化して前記アクセス主体の前記認識対象に対する行動を正規化する行動正規化部と、
前記行動正規化部が正規化した前記行動ベクトルを、前記行動様式のうち前記アクセス主体の最密アクセス行動に基づいて複数のクラスタに分類する行動クラスタ部と、
前記行動クラスタ部が生成した前記クラスタに帰属される行動ベクトルの要素値を帰属された前記クラスタに割当てられた数値範囲に基づいてランク付けし、前記ランク付けの値を条件属性とし、前記クラスタの分類属性を決定属性とするラフ集合を生成する行動ランク付部と、
前記ラフ集合の前記条件属性を縮約して前記決定属性を与える最尤ルールを生成するルール生成部と
を含み、
前記意思分析装置は、
前記アクセス主体の前記認識対象への接近を検出して前記ネットワークを介して前記意思分析サーバに送付するアクセス検出部と、
前記アクセス主体の前記認識対象への行動があったことを検出して前記意思分析サーバに前記ネットワークを介してビデオ画像を送付する、画像変化検出部と、
前記ネットワークを介して前記意思分析サーバに照会を発行し、前記アクセス主体の意思の分析を実行させる意思分析部と
を含む意思分析システム。
【請求項11】
前記行動判断部は、前記認識対象に対する前記アクセス主体の前記行動様式を前記行動様式の継続時間の長さおよび画像解析を使用して密接性に関連付けてレベル付けしており、前記行動クラスタ部は、クラスタ分類をウォード法を使用した階層クラスタ化により実行する、請求項10に記載の意思分析システム。
【請求項12】
請求項6~9のいずれか1項に記載の意思分析方法を情報処理装置が実行するための装置実行可能なプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、感性工学を利用した意思分析技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品・デジタルコンテンツなどの多様化・多品種化および興味・目的が多様化しており、ある人が興味を抱く洋服、雑貨、ウェブページなどのデジタルコンテンツなども多様化している(以後、商品・デジタルコンテンツなど、選択の対象となる実体を、認識対象として参照する。)。認識対象にアクセスした主体(以下、アクセス主体として参照する。)は、認識対象に対し、「見る」、「触る」、「手に取る」、「閲覧する」、「ダウンロードする」といった興味・関心に基づく意思の反映として特定の行動を行う。
【0003】
例えば、アクセス主体が、認識対象が「そこにある」、程度にしか興味を抱いていない場合、当該認識対象に対するアクセス主体の行動は、「見る」だけで終わると考えられる。一方、アクセス主体が、当該認識対象に対して「認識対象がそこにある」以上の関心を抱く場合、行動はさらに「接近する」、「触れる」、「手に持つ」など、認識対象への密接度を高める行動に発展するということができる。したがって、アクセス主体の認識対象への行動を解析することにより、アクセス主体の認識対象への興味・関心の程度といった外見からは判断できない意思状態を分析することが可能となるものと考えられる。
【0004】
従来、アクセス主体の価値観も多様化していることに対応し、特定の人についての購買履歴に基づいて「どの様な商品などにその人が興味を持っているのか」ということを推定し、情報推薦やマーケティングなどに利用する試みもなされている。しかしながら、購買履歴に基づいた情報推薦やマーケッティングの場合には、既に購入したものに類似した商品などが提示されることが多い。この様な場合、アクセス主体は、提示される認識対象を既に保有してしまっているために、すでに関心を失っていることもあり、その様な情報を提供することは、むしろ迷惑となる場合もある。
【0005】
また、購買履歴に基づいて新しい商品などを開発した場合、現在市場に出回っている商品などと変わらないものが制作されてしまう可能性がある。この様な問題に対してアクセス主体の意思決定プロセスの途中の段階における認識対象への行動に対して、アクセス主体の意思をデータマイニングすることによって、商品などにおいて興味をそそる要素の解析を定量的、かつ高精度に行うことも可能となることが期待される。
【0006】
これまで商品などへの購買者の興味を分析することによって管理を行う技術が知られている。例えば、特表2008-511066号公報(特許文献1)では、RFIDを利用してストア内での顧客の位置を検出した後、ストア内の区域で消費したショッピング時間をチェックし、顧客の位置を追跡することによって顧客のショッピングの動線を分析し、これを利用して顧客のショッピングパターンを分析するシステムが提案されている。
【0007】
また、特開2001-331628号公報(特許文献2)では、サーバ装置と、携帯端末装置と、広告媒体とから構成され、広告媒体には、それぞれに固有のマークが付されており、携帯端末装置でこのマークを撮影してその画像データをサーバ装置に送ることにより、サーバ装置では、携帯端末装置から送られてきた画像データから個々の広告媒体を識別し、その時の時間と対応付けて収集データDBに登録することによりマーケティングデータを得るシステムが提案されている。
【0008】
さらに特開2003-114968号公報(特許文献3)では、顧客の商品陳列棚への複数回の立ち寄り数を同一商品カテゴリなど同一商品分類については1回に計数して、過剰な計数をしない様にして、複数の商品陳列棚に同一分類の商品に同一顧客が複数立ち寄っても、これは一つの商品分類に対する関心であるとして、1回に計数するため、商品分類単位で顧客の動向を把握分析するシステムが提案されている。
【0009】
また、フィリップ・コトラー、月谷真紀訳:コトラーのマーケティング入門、ピアソン・エデュケーション,pp.179-185,2002年10月、ISBN-10:978-4894716582(非特許文献1)では、人が商品などを購入する過程における人の心の状態には、(1)問題認識段階、(2)情報検索段階、(3)評価段階、(4)決定段階、(5)購入した商品などの評価段階があると分析されている。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特表2008-511066号公報
【特許文献2】特開2001-331628号公報
【特許文献3】特開2003-114968号公報
【0011】

【非特許文献1】フィリップ・コトラー、月谷真紀訳:コトラーのマーケティング入門、ピアソン・エデュケーション,pp.179-185,2002年10月、ISBN-10:978-4894716582
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上説明した様に、特許文献1~3では、アクセス主体による商品などの認識対象への行動に基づいてマーケッティングを行う技術が記載されており、また非特許文献1では、アクセス主体の興味と行動との間の関連性が記載されている。しかしながら、特許文献1~3および非特許文献1は、アクセス主体の認識対象への行動様式からアクセス主体の認識対象への内面的な興味・関心を反映したアクセス主体の行動様式を分析する技術、および当該分析に基づいた商品開発など、将来を予測したマーケッティングを行うことを可能とするものではない。
【0013】
また、従来の技術は、少なくとも決定段階まで行動が進まなければ、商品などの興味や関心を分析することができず、購入までには至らなかったアクセス主体の行動をマーケティングなどに効果的に反映させることを可能とするものではない。
【0014】
すなわち、本発明は、アクセス主体の認識対象に対する行動を分析し、アクセス主体の行動様式からアクセス主体の意思レベルを分析し、特定の認識対象に対するアクセス主体の意思予測を可能とする、意思分析装置、意思分析方法およびプログラム、意思分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明では、アクセス主体の行動から、前記アクセス主体の意思を分析する意思分析サーバであって、前記意思分析サーバは、
前記アクセス主体が認識対象に接近した場合に、前記アクセス主体が前記認識対象に接近している間に前記認識対象に対して行った前記アクセス主体の行動様式の密接性を識別し、前記行動様式の継続時間を前記行動様式に対応付けた行動ベクトルを生成する行動判断部と、
前記行動ベクトルの要素値を正規化して前記アクセス主体の前記認識対象に対する行動を正規化する行動正規化部と、
前記行動正規化部が正規化した前記行動ベクトルを、前記行動様式のうち前記アクセス主体の最密アクセス行動に基づいて複数のクラスタに分類する行動クラスタ部と、
前記行動クラスタ部が生成した前記クラスタに帰属される行動ベクトルの要素値を帰属された前記クラスタに割当てられた数値範囲に基づいてランク付けし、前記ランク付けの値を条件属性とし、前記クラスタの分類属性を決定属性とするラフ集合を生成する行動ランク付部と、
前記ラフ集合の前記条件属性を縮約して前記決定属性を与える最尤ルールを生成するルール生成部と
を含む意思分析サーバが提供される。
【0016】
本発明の前記行動判断部は、前記認識対象に対する前記アクセス主体の前記行動様式を前記行動様式の継続時間の長さおよび画像解析を使用して密接性に関連付けてレベル付けすることができる。本発明の前記行動クラスタ部は、クラスタ分類をウォード法を使用した階層クラスタ化により実行することができる。
【0017】
さらに本発明の前記意思分析サーバは、前記行動判断部、前記行動ランク付部が使用するデータテーブルおよび前記ルール生成部が生成したルールを管理するデータベースを含むことができる。本発明では、前記意思分析サーバは、ネットワークを介して接続された意思分析装置から、前記アクセス主体の行動様式に関する情報を取得しており、前記意思分析装置は、前記アクセス主体の前記認識対象への接近を検出するアクセス検出部と、前記アクセス主体の前記認識対象への行動があったことを検出して前記意思分析サーバにビデオ画像を送付する、画像変化検出部と、前記意思分析サーバに照会を発行し、前記アクセス主体の意思の分析を実行させる意思分析部とを含むことができる。
【0018】
さらに本発明では、上記構成の意思分析サーバを利用する意思分析方法、プログラムおよび意思分析システムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の意思分析の基本的な手法のデータ定義100を説明する図。
【図2】本実施形態で、アクセス主体202の行動ベクトル140を取得するため、ユビタキス環境におけるアクセス主体の行動を観測する行動観測システム200の概略的な構成を示した図。
【図3】本実施形態の意思分析システム300の機能ブロック図。
【図4】本実施形態でデータベース324が格納するデータテーブルの実施形態を示した図。
【図5】本実施形態の意思分析装置230が実行するアクセス主体202の行動をデータベース324に登録する処理のフローチャート。
【図6】データベース324が管理する各処理部のデータテーブルの実施形態を示した図。
【図7】本実施形態の行動クラスタ部が実行する処理のフローチャートを示した図。
【図8】図7で説明したクラスタ分類処理を、データ構造を用いて説明した図。
【図9】本実施形態の行動ランク付部316が実行する処理を、データ構造900を用いて説明した図。
【図10】図9で説明したルール生成部318が縮約処理によって生成したルールの実施形態を示した図。
【図11】本実験で使用する模擬店舗およびセンサ構成を示した図。
【図12】本実験により得られた行動様式の結果を示した図。
【図13】図12に示したカテゴリ分類のデータから、被験者の意思段階を示す各クラスタ分類における行動様式の出現頻度に正規分布を仮定し、統計的に処理した結果テーブル1300を示した図。
【図14】ラフ集合により姿勢したルール付けに基づいて意思決定の段階評価と、被験者へのアンケート結果とを対比した結果を一部抽出したテーブルを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、本実施形態の意思分析の基本的な手法のデータ定義100を説明する図である。アクセス主体は、商品・デジタルコンテンツなど、嗜好により選択可能な認識対象に対してその興味・関心の程度に応じて行動様式を変化させる。行動様式とは、アクセス主体の行動および当該行動の継続時間により特徴付けられる。

【0021】
多くの場合、店舗などでは、商品を購入するアクセス主体よりも商品を見たり手に取ったりするアクセス主体の方が多い。このため、アクセス主体が商品などの購入に至らない段階でも、アクセス主体の行動様式を有効に利用すれば、次回の同一のアクセス主体の購入に誘導することも可能となり、この結果、アクセス主体の認識対象に対する興味・嗜好などを以後のマーケッティングにつなげることが可能となる。この目的から、本実施形態では、アクセス主体の認識対象に対する行動様式を分析し、当該行動様式からアクセス主体が当該認識対象に対して有している意思を分析するものである。

【0022】
本実施形態では、アクセス主体の行動をその行動自体の活発性から分離するために、図1に示す様にアクセス主体の行動を、正規化した行動ベクトル140として定義し、行動様式を対象とする意思レベルに相当する座標軸への射影として反映されるものとする。行動ベクトル140は、本実施形態でマーケッティングにおける意思分析を行うという実施形態においては、上記(4)の決定段階にまで至らない、(1)問題認識、(2)情報検索、(3)評価の3つの要素を有する3次元ベクトルとして定式化できる。なお、行動ベクトルの次元については特定の実施形態に依存して、2次元でもよいし、3次元以上として定式化することができる。

【0023】
図1に示した行動ベクトル140は、意思レベルを反映する問題認識軸110、情報検索軸120、評価軸130といった座標軸系において、それぞれの座標軸に射影した値を有する。各座標軸の値は、本実施形態では、アクセス主体の行動様式を、カメラによる画像分析およびRFIDタグといった近接無線センサを使用して定量化する。そして、本実施形態では、行動ベクトル140の各要素値は、アクセス主体の行動を、アクセス主体の意思レベルに相当するクラスタに分類するために利用される。そして、各クラスタ内で同一の行動についての強度レベルを割当てることにより、観察された行動様式からラフ集合の条件属性を生成し、クラスタ分類を決定属性として利用し、意思決定のルール生成に利用する。アクセス主体の行動は、図1に示す行動ベクトルに基づいてルール化され、当該ルールに基づいて特定のアクセス主体の行動から当該アクセス主体の興味や嗜好といった興味の高度、中度、低度といった度合いに基づく意思が推定できる。

【0024】
図2は、本実施形態で、アクセス主体202の行動ベクトル140を取得するため、ユビタキス環境におけるアクセス主体の行動を観測する行動観測システム200(今村直生、荻野晃大、加藤俊一、ユビタキスインタフェイスを用いた消費者の行動パターンの理解、感性工学会論文誌、8,3,23,741-747,2009)の概略的な構成を示した図である。アクセス主体202は、店舗210の中を経路204にしたがって移動する。そしてアクセス主体202は、目にとまった商品といった認識対象212があると立ち止まり、陳列棚208上に置かれたTシャツなどの認識対象212に対し、アクセス主体202の興味に基づく意思に応じて、商品といった認識対象212に接近する。

【0025】
この際、アクセス主体202は、興味・関心に基づく意思に応じてその行動の密接性を高めて、「見る」、さらには「触る」、「手に取る」といった行動様式を取る。本実施形態では、経路204を単にぶらぶらと歩いている段階での興味度の低い行動をノイズとして排除する目的で、アクセス主体202には、RFID216を保有させる。RFID216は、例えばメンバーズカードやサービスカードなど、購買による特典を提供するための媒体に埋設しておくことができ、特定の個人をアクセス主体IDなどとして識別可能とされている。

【0026】
一方、店舗210には、カメラ218が、特定の商品に関連付けて設置されていて、認識対象212の状態をモニタしている。カメラ218は、ビデオカメラや、MOVING MPEGといった動画像を取得することができるデジタルカメラとされている。カメラ218および近接無線センサ214の情報は、ネットワーク220を介して意思分析装置230に送付される。意思分析装置230は、カメラ218直前のモニタプロセスの最後に取得したイメージを記憶しており、当該イメージからの差分画像を検出した場合、差分画像の検出以後のビデオ画像を時刻データとともに、本実施形態では、外部接続された意思分析サーバに登録するべきデータを送付する。

【0027】
意思分析装置230は、ディスプレイ装置234、キーボード236、およびマウス238を介して意思分析サーバなどにSQL照会を発行しそのレスポンスを受領している。意思分析装置230は、その処理に必要なデータおよびプログラムをハードディスク装置(HDD)232に格納し、MPUからの呼び出しに応じてRAMなどの実行空間に読み込んでその処理を可能とさせている。なお、カメラ218からのビデオ画像は、意思分析サーバ(図示せず)の容量が許容するのであれば、継続的に意思分析サーバに送付されてもよい。この場合、RFIDを保有するアクセス主体202の認識対象212への接近検出がトリガとなって本実施形態の処理を開始する。

【0028】
図3は、本実施形態の意思分析システム300の機能ブロック図である。図3に示す意思分析システム300は、全体が一体としてデータベース機能を含むサーバとして構成することもできるし、図3の右手側の機能ブロックを意思分析サーバとして分離し、分散処理系として実装することもできる。意思分析システム300の特定の実装形式は、使用するコンピュータ装置の能力や目的に応じて適宜設定することができる。

【0029】
図3に示した意思分析システム300は、意思分析装置230と、意思分析装置からの各種情報を取得して意思分析を実行する意思分析サーバ340とを含んで構成されている。

【0030】
意思分析装置230は、パーソナルコンピュータまたはワークステーションなどを使用して実装でき、そのマイクロプロセッサ(MPU)は、これまで知られたいかなるシングルコア・プロセッサまたはマルチコア・プロセッサを含んでいてもよい。そのOSとしては、また、WINDOWS(登録商標)、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、MAC OSなど、これまで知られたいかなるOSにより制御されてもよい。

【0031】
さらに、意思分析装置230は、インターネットなどのネットワークを介して接続された意思分析サーバにアクセスするために、Internet Explorer(登録商標)、Mozilla(登録商標)、Opera(登録商標)、FireFox(登録商標)などのブラウザ・ソフトウェアを実装し、HTTPやFTPなどのファイル転送プロトコルに基づいたファイル伝送を可能とする。また、意思分析装置230は、外部接続された意思分析サーバに対してSQLによるアクセスを行うため、JDBC(Java Database Connectivity)などのデータベースアクセスコンポーネントを有していて、Java(登録商標)からSQL照会文などを意思分析サーバに送付して各種のデータベースアクセスを行うことが好ましい。

【0032】
また、意思分析サーバ340は、PENTIUM(登録商標)、XEON(登録商標)、PENTIUM(登録商標)互換チップなど、CISCアーキテクチャのマイクロプロセッサ、または、POWERPC(登録商標)などのRISCアーキテクチャのマイクロプロセッサを、シングルコアまたはマルチコアの形態で実装することができる。また、意思分析装置230は、WINDOWS(登録商標)200X、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)などのオペレーティング・システム(OS)により制御されていて、C、C++、JAVA(登録商標)、PERL、RUBYなどのプログラミング言語を使用して実装される、CGI、サーブレット、APACHE、IIS(Internet Information Server)などのサーバ・プログラムを実行し、RFID216やカメラ218からのデータを処理する。

【0033】
さらに、意思分析サーバ340は、SQL(Structured Query Language)などを使用してデータを登録し、検索し処理するために、データベースアプリケーションを実装する。データベースは特に限定されるものではないが、リレーショナルデータベースを利用することが汎用性の点で好ましく、例えばDB2(登録商標)、Oracle(登録商標)、MySQL、ACCESS(登録商標)、PostgreSQLなどを使用することができる。この他、アプリケーション環境が許容する場合、オブジェクト指向データベース(OODB)や、XMLDBなども適宜使用することができる。

【0034】
意思分析システム300は、図3に示す実施形態では、意思分析部320を含む意思分析装置230と、DBアクセス部322を含む意思分析サーバ340とが第2ネットワーク330を介して接続された構成されている。しかしながら、他の実施形態において、処理オーバーヘッドが問題にならず、情報処理装置の容量が充分である限り、意思分析装置230と、意思分析サーバ340とを、機能的に一体化して実装することもできる。

【0035】
図3の意思分析装置230は、より詳細には、ネットワークインタフェース304を含んで構成されており、イーサネット(登録商標)、FTTHなどの伝送プロトコルを使用して、ネットワーク302を介したデータ伝送を行う。なお、図3に示した実施形態では、ネットワーク302は、店舗210などからのデータを受領するローカルエリア・ネットワーク(LAN)として構成される。さらに意思分析装置230は、アクセス検出部306と、画像変化検出部308とを含んで構成されている。

【0036】
アクセス検出部306は、店舗210の陳列棚208に設置された近接無線センサ214がRFID216を保有するアクセス主体202が接近したことを検出して送付するアクセス主体202を固有に識別するためのアクセス主体識別値(ID)を受領する。さらにアクセス検出部306は、近接無線センサ214から、近接無線センサ214が設置されている位置情報を受領し、受領した各データを意思分析サーバ340に送付してデータベース324へと登録する。

【0037】
画像変化検出部308は、カメラ218が取得した直前のカメラ動作の最後のビデオイメージを記憶しており、ネットワーク302から送付されるビデオイメージを、記憶したイメージ画像と比較して、アクセス主体202が認識対象212に触れたことや認識対象212を手に取った行動を判断し、カメラ218が取得したビデオ画像に変化があったか否かを検出する。、画像変化検出部308は、ビデオ画像に変化があったと判断すると、ビデオ画像を時刻情報とともに意思分析サーバ部340に送付し、データベース324に登録する。

【0038】
さらに、意思分析装置230は、意思分析部320を備えている。意思分析部320は、SQLなどを使用してデータベース324にアクセスして、データベース324に登録されたルールを参照し、アクセス主体の行動を分析して、アクセス主体202の内面的な興味を反映した意思状態を判定し、その結果を意思決定装置230のディスプレイ装置234に適切なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を使用して表示したり、ページプリンタに出力したりさせている。

【0039】
また、図3に示した意思分析サーバ340は、PostgreSQLなどのデータベースアプリケーションを実行して、SQLなどのよる問合わせを処理する。意思分析サーバ340は、より詳細には、意思分析装置230からのアクセス主体ID、位置情報、時刻データおよび対応するビデオ画像を取得して、DBアクセス部322を呼び出し、アクセス主体ID、位置情報、およびビデオ画像をそれぞれ登録するべきフィールドに記述する。

【0040】
意思分析サーバ340は、本実施形態の意思決定処理を実行するために、行動判断部310を含んで構成される。行動判断部310は、画像解析プログラムを含んで構成されている。行動判断部310は、意思分析装置230から送付され、データベース324に登録されたビデオ画像を分析し、行動様式の特徴付けを行う。より具体的には、行動判断部310は、特定の認識対象212に接近したアクセス主体202の認識対象212に対する行動を識別し、行動判断の結果を、データベース324に「見る」、「触れる」、「手に取る」など、認識対象への意思を反映した認識対象への距離に基づいた密接性に関連付けられる行動様式に分類して登録する。さらに行動判断部310は、アクセス主体202が当該行動を行った時間的長さを、行動に対応付けて登録する。

【0041】
なお、本実施形態において、商品などの選択する特定の目的においては、「見る」、「触れる」、「手に取る」といった認識対象に対する密接性に関連付けた判断基準は、下記表1で与えられ、下記表1は、データベース324のデータテーブルとして登録することができる。

【0042】
【表1】
JP0005392679B2_000002t.gif

【0043】
なお、商品購買という実施形態にあっては、「見る」が最低の密接性を有するアクセス行動であり、「手に取る」が最高の密接性を有するアクセス行動である。また、例えばインターネットサイト上の検索エンジンからの検索結果についての実施形態では、「検索する」が最も密接性が低いアクセス行動であり、検索結果にマウスカーソルを一致させる行動が次に密接性の高いアクセス行動であり、「検索結果を閲覧する」、「ダウンロードする」などが密接性が最も高いアクセス行動として設定することができる。その他の実施形態についても、アクセス主体の意思に基づく行動であれば、適宜密接性に関連した判断基準を設定することができる。これらのアクセス行動について計測された時間的長さ行動と対応付けて本実施形態の行動ベクトルが定義される。

【0044】
さらに意思決定データベース340は、行動正規化部312を含んで構成されており、行動正規化部312は、特定のアクセス主体IDについての行動判断の結果をデータベース324から抽出し、行動ベクトルを正規化する。正規化の方法は、種々想定できるが、本実施形態では、行動ベクトルの座標軸に行動様式の重みが存在することから、全アクセス時間に対する特定行動の時間的長さの比とし、下記式(1)を使用して行動ベクトルを正規化する。アクセス主体の行動ベクトルは、アクセス主体IDをインデックスとして認識対象ごとにテーブルとしてデータベース324に登録される。

【0045】
【数1】
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【0046】
さらに、意思分析サーバ部340は、行動クラスタ部314と、行動ランク付部316と、ルール生成部318とを含んでいる。行動クラスタ部314は、アクセス主体202の行動レベルを、意思を反映する様にクラスタに分類する処理を実行する。クラスタへの分類を行う理由は、例えばアクセス主体の行動の契機となる意思を、アクセス対象に対して低度、中度、高度に分類した場合、各クラスタ間では、特定の行動が行われる頻度が異なる。このため、それぞれのクラスタにおいて最も行われる可能性の高い行動から最も行われる可能性のない行動までに、それぞれ同一の強度レベルを割り当て、後述するラフ集合として統一的に処理するためである。

【0047】
例えばアクセス対象に対して最も興味・関心のないクラスタでは、「見る」が最も可能性の高い行動様式であり、後述する行動ランク付部316によりランクAとされるが、最も関心の高いクラスタでは、コットも高い可能性能行動は、「手に取る」であり、ランクAが割当てられる。なお、本実施形態ではクラスタ化は、ウォード法を使用して行われるが、クラスタ化についてはより詳細に後述する。

【0048】
行動ランク付部316は、クラスタ化されたアクセス主体202の行動ベクトルの要素を、当該クラスタについて設定された数値基準を使用して例えば、A、B、Cのレベルにランク付けする。ランクAは、特定のクラスタにおいてアクセス主体202が取る行動様式として最も期待される行動様式に割当てられ、ランクCは、最も期待度の低い行動様式に割当てられ、ランクBは、その間の中程度に期待される行動様式に割当てられる。行動ランク付部316により、正規化された行動ベクトルから行動様式の期待度を条件属性とするラフ集合が生成できる。なお、クラスタ分類の属性が、意思を反映する決定属性とされる。

【0049】
さらに、ルール生成部318は、ラフ集合の行動様式の期待度を条件属性とし、クラスタの分類属性を決定属性として、条件属性相互間を縮約し、決定属性を与える条件属性の縮約からルールまたはルールセットを決定し、データベース324に意思状態に関連付けて登録する。登録されたルールは、意思分析部320によりSQLなどにより照会され、特定のアクセス主体202について特定の認識対象に対する意思状態を推定するために利用される。

【0050】
上述した処理によって、アクセス主体202の特定の認識対象についての行動様式がアクセス主体202の意思状体でデータマイニングすることが可能となる。したがって、本実施形態では、データベース324に蓄積されたアクセス主体202の情報から、より強くアクセス主体202に対してアピールする商品などを取りそろえたりするなど、マーケッティングすることが可能とされる。

【0051】
データベースアクセス部322(以下、DBアクセス部322として参照する)は、SQLパーサなどを含んで実装されており、各部からのSQL照会を受領して、目的とするデータテーブルを作成し、後続する処理部によるデータの利用を可能としている。

【0052】
図4は、本実施形態でデータベース324が格納するデータテーブルの実施形態である。データテーブル400は、認識対象212と、認識対象212の位置情報とを対応付けており、行動判断部310が、アクセス主体202の行動様式を、認識主体に紐付けることを可能とする。また、データテーブル410は、行動様式の強度レベルと、特定のクラスタ内での強度レベルの判定基準とを対応付けたものであり、行動ランク付部316がラフ集合を生成するために利用される。データテーブル410中、タイプI~タイプIIIは、クラスタの分類属性を示し、タイプIは、興味の程度が低度に対応するクラスタであり、タイプIIは、興味の程度が中程度に対応するクラスタであり、タイプIIIは、興味の程度が高度に対応するクラスタである。なお、興味の程度は、特定の行動様式を行わせる意思に対応する。

【0053】
本実施形態では、3行動様式についてレベルA~レベルCの強度レベルが設定され、合計9の判定基準が登録されており、それぞれ「見る」、「触れる」、「手に取る」についてそれぞれしきい値が設定されている。また、アクセス主体202の意思の強さの増加にともなって、アクセス主体202は、認識対象212に対し複数の行動を行う様になる。これを反映して、データテーブル410では、「見る」、「触れる」、「手に取る」について、アクセスの密接性を考慮して、各クラスタの分類属性に依存した形式で強度レベルをA~Cに割当てている。

【0054】
より詳細にデータテーブル410について説明すると、最もアクセスが容易な「見る」行動様式では、レベルAと判断するためには、正規化された行動ベクトルの要素値が0.6以上あるとして設定し、順次、意思状態が高まるクラスタの分類属性となるにつれ、レベルAと判断するしきい値が低下する。また、レベルCの判定を行う際にも意思状態が反映され、意思状態が低いクラスタの分類属性の場合には、レベルCの行動様式が多くなると想定されるので、レベルCと判定するしきい値は、タイプIで、0.40以下とされ、タイプIIIでは興味の高いグループがレベルCの行動様式を取ることは少ないので、しきい値0.05以下でレベルC判定を行う様に設定している。

【0055】
また、本実施形態では、レベルAとレベルBとの中間の要素値を、レベルBに分類する。なお、強度レベルの判定しきい値は、人間工学的な実験から統計的に設定することができるものであり、アクセス主体の種類や、認識対象に依存して適宜設定される値である。

【0056】
図5は、本実施形態の意思分析装置230が実行するアクセス主体202の行動をデータベース324に登録する処理のフローチャートを示す。処理は、ステップS500において処理を開始し、ステップS501でカメラから送付されるビデオ画像の画像変化をモニタする。ステップS502で、カメラからのビデオ画像において画像変化があったか否かを判断し、画像変化がない場合(no)、処理をステップS501に分岐させて、カメラからのビデオ画像の検査を継続する。一方、ステップS502で、画像変化が検出された場合(yes)、ステップS503で、ビデオ画像および送信開始時刻をデータベース324に送付する。

【0057】
その後、ステップS504で、設定時間にわたりさらに画像変化がないか否かを判断し、画像変化が終了したと判断した場合(yes)、ステップS505でビデオ画像の送付を停止し、停止時刻をデータベース324に送付する。一方、設定時間内に再度の画像変化が検出された場合(no)、処理をステップS503に分岐させてビデオ画像の送信を継続する。なお、ビデオ画像波、MPEG-2、MPEG-4、H.264といった適切なフォーマットとすることができる。

【0058】
一方、画像変化の検出と並列的に、意思分析装置230は、ステップS506で近接無線センサ214からの応答をモニタし、ステップS507で、近接無線センサがアクセス主体の接近を検出したか否かを判断する。ステップS507の判断で、アクセス主体202が接近していないと判断した場合(no)処理をステップS506に分岐させてさらに近接無線センサ214の応答を待機する。

【0059】
ステップS507で近接無線センサ214からアクセス主体202が接近したことを検出すると(yes)、ステップS508で意思分析装置230は、アクセス主体ID、位置情報、および検出開始時刻をデータベース324に送付する。ステップS509では、近接無線センサの応答が消失したか否かを判断し、近接無線センサの応答が消失しない場合(no)処理をステップS508に分岐させて近接無線センサ214からの応答を検査する。一方、ステップS509で近接無線センサ214の応答が消失したと判断した場合(yes)、ステップS510で消失時刻をデータベースの送付し、再度ステップS506で以後の近接無線センサ214の応答をモニタする。

【0060】
図6は、データベース324が管理する各処理部のデータテーブルの実施形態を示す。処理結果データ600は、近接無線センサ214の検出結果を登録するアクセス主体ID、位置情報、開始時刻および終了時刻を登録するデータテーブルであり、アクセス主体202を固有に識別するための例えば名前が登録されている。この他、追加情報として、住所、電話番号、年齢などを近接無線センサからのデータとして取得してもよい。データテーブル600は、さらに近接無線センサ214が設置されている位置、および開始時刻および終了時刻をそれぞれ取得してデータテーブル600に記入することで、データテーブル600を作成する。

【0061】
また、データテーブル610は、カメラからのビデオ画像を管理しており、Tシャツ1、Tシャツ2などの認識対象IDと、位置情報と、ビデオ画像の送信開始時刻および送信終了時刻とに対してその期間内に受信したビデオ画像を固有に識別するイメージIDとを対応付けて登録する。データテーブル600、610を参照することにより、アクセス主体、認識対象、位置、離接時間、認識対象への接触時間が対応付けて管理されている。

【0062】
さらに、意思分析サーバ340は、意思分析部320が含む画像解析プログラムを使用してビデオ画像の接触状態を、上述した表1の基準を使用して判断する。例えば、具体的に言えば、接近している時間的長さと、画像に変化があった時間的長さとが10秒以上重複する場合を、行動様式=「触る」として判断し、データテーブル620に記入する。また、接近は検出されたもののビデオ画像が登録されていない場合を行動様式=「見る」と判断し、データテーブル620に記入する。

【0063】
そして、例えば、アクセス主体が接近し、ビデオ画像内から認識対象が消失してしまった状態が設定時間以上、例えば30秒継続した場合、行動様式=手に取ると判断し、データテーブル620に記入する。なお、行動様式=「手に持つ」の場合、アクセス主体が認識対象を購入する場合もあるので、この場合、認識対象の消失の場合、適切な判定基準を設け、時間的長さを予め設定することができる。以上説明した処理によってデータベース324には、以後興味を分析するために必要なデータが蓄積され、上記式(1)に基づいてアクセス主体の特定の認識主体に関する行動ベクトルが生成される。

【0064】
図7は、本実施形態の行動クラスタ部が実行する処理のフローチャートを示す。図7の処理は、ステップS700から開始し、ステップS701で、アクセス主体ID、位置情報、ビデオ画像、各時刻をデータベース324に格納するステップS702では、アクセス主体の行動を、ビデオ画像の解析から判断し、データテーブル620に登録する。

【0065】
ステップS703でデータ収集期間が終了したか否かを判断し、データ収集期間が終了しない場合(no)、処理をステップS701に戻してデータの収集を継続する。データ収集期間は、適切な長さとして適宜設定することができ、アクセス頻度が多い場合には、毎日でもよいし、アクセス頻度がそれほど高くない場合には、1週間、1月などの単位でデータを蓄積して処理することができる。データ収集期間のデータは、それぞれ累積され、興味分析の精度を向上させることができるし、データ収集期間ごとに結果をまとめ、興味分布の時間的推移などを判断することもできる。

【0066】
ステップS703でデータ収集期間が終了した場合(yes)ステップS704で行動ベクトルを作成し、認識対象ごとにアクセス主体の行動ベクトルを正規化する。その後、ステップS705で行動ベクトルの要素値から特定の認識対象に対するアクセス主体の行動をクラスタ分類する。その後、ステップS706で、全認識対象について処理を終了したか否かを判断し、処理が終了していない場合(no)、処理をステップS704に分岐させて処理を反復する。

【0067】
一方、ステップS706で全認識対象について処理が終了したと判断した場合(yes)、ステップS707で、全アクセス主体について処理を終了したか否かを判断し、処理が終了していない場合(no)、処理をステップS704に分岐させて処理を反復する。ステップS707で、全アクセス主体について処理を終了したと判断した場合(yes)、ステップS708でクラスタデータ作成を完了し、ステップS709で制御を行動ランク付部316に渡し処理を終了する。

【0068】
図8は、図7で説明したクラスタ分類処理を、データ構造を用いて説明した図である。図8に示す様に、行動判断部310は、画像解析の結果および意思分析装置230から受信したデータを元に、SQL文を発行して、アクセス主体IDに紐付けられた行動ベクトルのセットを、認識対象ごとに生成する。なお、図8の行動マトリックス800において、行動ベクトルは、(見る、触れる、手に取る)の行動様式から生成されていて、行動ベクトルが認識対象α、β、γ、...と追加されて行くことにより、アクセス主体のM×Nの行動行列を形成する(Mは、認識対象の数であり、Nは、行動様式の数である。)。上述した行動マトリックス800は、各認識対象ごとに独立して判断することもできるし、認識対象が同質性の高い場合、認識対象α、β、γ、...の値を平均し、アクセス主体の同質的な認識対象に対する意思として統計処理することもできる。

【0069】
図8に示した行動マトリックス800の要素値は、それぞれ観測された時間情報から取得された時間(s)として表現されたままであり、異なるアクセス主体相互の比較には不便なので、行動マトリックス800は、行動正規化部312により、行動ベクトル単位で要素値を上記式(1)を使用して正規化する。なお、本実施形態では、行動行列は、半正値行列となるので式(1)を使用して正規化が可能である。本実施形態で、用語「半正値」とは、0以上の実数を意味し、非負の実数と同義である。また他の実施形態では、行動ベクトルのノルムを計算し、|ノルム|が1となる様に正規化してもよい。行動正規化処理後、要素がそれぞれ正規化された行動行列810が生成される。

【0070】
本実施形態では、上述した正規化した行動ベクトルを、認識対象単位でクラスタ分類する。クラスタ分類は、行動マトリックス800の特定の認識対象のレコードにフィールドを追加し、クラスタ分類の結果を、例えばタイプI、タイプII、タイプIIIとして記入してゆくことによって行うことができる。本実施形態のクラスタ分類は、計算処理に大きなオーバーヘッドをかけない観点からウォード法を使用して行うことが好ましい。ウォード法では、クラスタ内の郡内平方和の増加が最小となる様にクラスタ分類を行うものであり、本実施形態では、行動ベクトルからラフ集合における条件属性化する目的で、クラスタ分類を条件属性の数に対応付けて生成する。なお、ウォード法以外にも、K-means、最短距離法など他のクラスタリング手法も、意思分析サーバ340のリソース/ライブラリとして利用できるのであれば、利用することについて特に制限はない。

【0071】
クラスタ分類820は、各行動ベクトル830の要素値の値を利用して行い、例えば図8に示す様に、最密アクセス行動、すなわち本実施形態では、行動様式=手に取るに注目する。そして、行動様式=手に取るの最も大きい行動ベクトルをタイプIIIのクラスタに分類し、平均値に最も近い行動ベクトルをタイプIIクラスタに分類し、最小値の行動ベクトルをタイプIのクラスタに分類し、その後、その他の行動ベクトルをウォード法にしたがって、郡内平方和の総和[MIN{郡内平方和(I)+郡内平方和(II)+郡内平方和(III)]を最小とする様にクラスタ分類することによって全行動ベクトルをクラスタ分類することが可能となる。

【0072】
なお、このクラスタ分類処理は、同一の認識対象ごとに行い、タイプI~タイプIIIのクラスタは、認識対象の数だけ生成することが本来的な処理である。しかしながら、認識対象が同質である場合、認識対象の違いによらず、同一の行動様式について統一してクラスタ分類処理することができ、本実施形態では、アクセス主体IDについて認識対象を同質のものとして処理する。ただし、他の実施形態で、認識対象に同質性がない場合や同質性が低い場合などにおいては、同一の認識対象ごとにアクセス主体の行動を分類してルール生成を行う。

【0073】
図9は、本実施形態の行動ランク付部316が実行する処理を、データ構造900を用いて説明した図である。なお、図9では、説明の便宜上、最密アクセス行動比率が高のタイプIIIのクラスタについてのランク付け処理を説明する。他のクラスタIおよびクラスタIIについても、ランクA、ランクB、ランクCの判定しきい値が異なるだけで同様の処理が適用できる。タイプIIIのクラスタには、複数の行動ベクトル910が分類されている。なお、図9では、集合要素図として示しているが、データ構造的には、図8に示した行動マトリックスの追加フィールドにクラスタ属性を記述することによりクラスタ構造を定義し、SQLのSELECT文などでビューまたはテーブルを作成することにより処理が実行される。

【0074】
ここで、行動ベクトル910は、例えば、(見る、触れる、手に取る)=(0.22,0.44,0.44)の値を有するものとする。行動ランク付部316は、図4に示したデータテーブル410をルックアップして、タイプIIIクラスタにおけるランク付けを行う。例えば、行動様式=「見る」=0.22は、データテーブル410を参照すると、タイプIIIクラスタでは、ランク=Bとされ、行動様式=「触る」=0.44は、タイプIIIクラスタではランクAとされ、同様に行動様式=「手に取る」=0.44もランクAとされる。

【0075】
この結果、(見る、触れる、手に取る)=(0.22,0.44,0.44)の行動ベクトルには、(B,A,A)のランクセット920が割当てられる。上述した行動ベクトルのランクは、ラフ集合における条件属性としてルール生成部318がラフ集合に基づくルール作成のために利用される。ルール生成部318は、条件属性を縮約し、条件属性の縮約で与えられる条件式のうち、クラスタの分類属性の要素を最多数与える条件式または条件式のセットを最尤ルールとして登録する。なお、クラスタのタイプI~タイプIIIは、概ねそのまま意思状態を示すので、ルール生成部318は、各クラスタの行動ベクトルのランクセットの要素を条件属性として縮約してルールを作成することができる。なお、特定の認識対象およびアクセス主体の性質に基づいてさらに複雑なタイプ属性判定を利用することも可能である。

【0076】
図10は、図9で説明したルール生成部318が縮約処理によって生成したルールの実施形態を示す。図10に示した実施形態では、ルールは、7ルールが抽出され、それぞれτijで示されている。図10に示したルールは、ルールテーブルとしてデータベース324に管理され、例えば意思分析部320からのSQL文、“SELECT INTEREST WHERE TOUCH=B and TAKE=B”に対応してTOUCH=BおよびTAKE=Bに対応して登録された興味カラム(INTEREST)の対応した値が意思分析部320に返される。なお、上記SQL文中、“INTEREST”は、興味カラムに登録された意思レベルの値を意味する。説明する実施形態では、図10のルールにしたがって、INTEREST=HIGHが返される。照会の結果は、意思分析部320から、ディスプレイ装置234に表示され、意思分析部320が送付したSQL文のレスポンスとして表示される。

【0077】
表示されたレスポンスは、さらに他の条件とともに分析されて、より高次のマーケッティング情報として使用することができる。以下、本実施形態を、具体的に実施例をもって具体的に説明する。
【実施例】
【0078】
(A)システム構成
本実施形態の意思分析システムをパーソナルコンピュータおよび意思分析サーバから構成した。パーソナルコンピュータは、OSとしてLINUX(登録商標)を使用し、プログラミング言語としてJava(登録商標)により本実施形態の意思分析方法を実行するためのプログラムを記述し手本実施形態の意思分析装置とした。パーソナルコンピュータは、イーサネット(登録商標)によりネットワークに接続し、JDBCを使用して意思分析サーバにSQL処理を依頼し、そのレスポンスを取得して興味分析の結果を取得する様に実装した。意思分析サーバは、サーバにデータベースアプリケーションとして、PostgreSQL(登録商標)をインストールして構成した。
(B)実験
図11に、本実験で使用する模擬店舗およびセンサ構成を示す。模擬店舗1110には、レジ1120と、陳列棚1130、1140を構成し、色およびネック形状の異なる12種類のTシャツを陳列棚ごとに2着横並びに陳列した。陳列棚の被験者の接近する側に、RFIDを検知するため、キャラクタ●で示す近接無線センサ1160をそれぞれ配置した。また、キャラクタ■で示すカメラ1150をそれぞれの陳列棚のTシャツの状態を観測できる様に設置した。なお、本実験では、外部環境による行動への影響を遮断するため、被験者1人づつ模擬店舗に入場させることから、カメラ1150は、陳列棚2つに1台として配置した。
【0079】
20代の男性13人に被験者を依頼し、被験者を個別に識別するためのRFIDを渡し、陳列棚のTシャツを選んでもらい、ほしいと考えたものをレジまで持参してもらった。なお、陳列棚の混み具合の影響や他人の行動の影響を排除する目的で、模擬店舗には、被験者1人づつ入ってもらい、外部情報による行動への影響をカットした。同一の店舗構成で、Tシャツの種類を全部変えて同一の被験者セットを使用して、合計2回、24種類のTシャツについて実験を行った。実験後、各被験者に2回の実験で使用した24種類のTシャツについての興味の程度を5段階評価でアンケート記入してもらい、TシャツごとにTシャツに関連した興味という観点での被験者の意思状態を取得した。取得した意思状態は、クラスタ分類と対応付けるため、1-2、3、4-5の3分類に区分し、対応付けを行った。
(C)結果
図12に、本実験により得られた行動様式の結果を示す。図12では、意思レベルの高い順に左手側から右手側に結果テーブルを配置している。図12に示した結果テーブルは、(B)で説明した2回の実験で被験者13人が24種類のTシャツに対して行った行動、合計312データを、上記式(1)を使用して正規化した行動ベクトルに変換し、評価のため1割(31個)のデータをランダムに抽出して使用したデータを除く、281個についてウォード法による階層的クラスタ分析を用いて分類した結果の一部を示したテーブルである。3種のクラスタ分類と意思決定プロセスの各段階との関係は、上述した様に行動様式=「手に取る」を代表行動とし、行動様式=「手に取る」の値によって決定した。
【0080】
図12に示す様に、評価段階(クラスタ=タイプIII)から、問題認識段階(クラスタ=タイプI)までを見ると、問題認識段階では、ほとんどの行動様式が最低の密接性のアクセス行動の「見る」に止まっているが、評価段階では、被験者は、「見る」、「触る」、「手に取る」という評価の対象としたすべての行動様式をすべて利用して認識対象に対する評価を行うことが解る。また、その中間の情報検索段階では、被験者の行動は、問題認識段階および評価段階の中間程度の多様化を示す。
【0081】
図13は、図12に示したカテゴリ分類のデータから、被験者の意思段階を示す各クラスタ分類における行動様式の出現頻度に正規分布を仮定し、統計的に処理した結果テーブル1300を示す。統計テーブル1310に示される様に、問題認識段階のクラスタ(タイプI)では、行動様式=「見る」が、支配的であり、情報検索段階のクラスタ(タイプII)では、行動様式=「見る」および「触る」の比率がほぼ同程度であり、評価段階のクラスタ(タイプIII)では、行動様式=「見る」、「触る」、「手に取る」が、いずれも同程度となっており、特定の行動様式だけを観察していたのでは、行動を分析することができず、各クラスタを統合して評価する必要があることが解る。
【0082】
図12に示したクラスタデータをラフ集合として統合するため、統計テーブル1310の値を使用して、行動様式=「見る」、「触る」、「手に取る」について、それぞれランク付けのための範囲を決定し、範囲テーブル1320を生成した。なお、この範囲テーブル1320が、図4のデータテーブル410に相当する。範囲テーブル1320を使用して、図12に示した実験結果からラフ集合とし、ランク付けの結果を条件属性とし、各クラスタ分類を決定属性として条件属性を縮約し、ルールを生成した。生成したルールを図14のルールテーブル1400として、データベースに登録した。
【0083】
図14は、ラフ集合により姿勢したルール付けに基づいて意思決定の段階評価と、被験者へのアンケート結果とを対比した結果を一部抽出したテーブルである。図14に示される様に、ルールによる意思決定段階の推定とアンケート結果に基づく被験者の意思段階との一致が充分に良好であることが示された。すなわち、本実施形態の意思分析システムを利用することにより長期間にわたって取得したアクセス主体の行動からアクセス主体の意思レベルを推定でき、推定結果を、アクセス主体の行動推定やマーケッティングに適用することができる。
【0084】
以上のように本発明によれば、アクセス主体の認識対象に対する行動を分析し、アクセス主体の意思レベルを定量化することにより、アクセス主体の興味・嗜好を定量化し、当該定量化に基づいて特定の認識対象に対するアクセス主体の意思予測を可能とする、意思分析装置、意思分析方法およびプログラム、意思分析システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0085】
100…データ定義、110…問題認識軸、120…情報検索軸、130…評価軸、140…行動ベクトル、200…行動観測システム、202…アクセス主体、204…経路、208…陳列棚、210…店舗、212…認識対象、214…近接無線センサ、216…RFID、218…カメラ、220…ネットワーク、230…意思分析装置、232…ハードディスク装置(HDD)、234…ディスプレイ装置、236…キーボード、238…マウス、300…意思分析システム、302…ネットワーク、304…ネットワークインタフェース、306…アクセス検出部、308…画像変化検出部、310…行動判断部、312…行動正規化部、314…行動クラスタ部、316…行動ランク付部、318…ルール生成部、320…意思分析部、322…データベースアクセス部、324…データベース、330…第2ネットワーク、340…意思分析サーバ、
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13