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明細書 :π電子系が結晶中で一軸回転する分子コマとその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5235927号 (P5235927)
公開番号 特開2011-190219 (P2011-190219A)
登録日 平成25年4月5日(2013.4.5)
発行日 平成25年7月10日(2013.7.10)
公開日 平成23年9月29日(2011.9.29)
発明の名称または考案の名称 π電子系が結晶中で一軸回転する分子コマとその製造方法
国際特許分類 C07F   7/08        (2006.01)
FI C07F 7/08 CSPW
請求項の数または発明の数 6
全頁数 29
出願番号 特願2010-058374 (P2010-058374)
出願日 平成22年3月15日(2010.3.15)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成21年9月18日 第20回基礎有機化学討論会実行委員会事務局発行の「第20回基礎有機化学討論会 第39回構造有機化学討論会 第59回有機反応化学討論会 要旨集」に発表
審査請求日 平成22年3月15日(2010.3.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】▲瀬高▼ 渉
【氏名】山口 健太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】松澤 優子
参考文献・文献 PHAN,T. et al.,閉環メタセシス反応を利用したフェニレン架橋大環状ジシラアルケンの合成およびその構造と反応性,日本化学会講演予稿集,2006年,Vol.86th, No.1,p.409
調査した分野 C07F 7/08
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)で表わされる分子コマ:
【化1】
JP0005235927B2_000039t.gif
(式中、E1はケイ素原子を示す。Aは下記式(i)~(iii):
【化2】
JP0005235927B2_000040t.gif
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【化3】
JP0005235927B2_000041t.gif
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【化4】
JP0005235927B2_000042t.gif
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表されるいずれかの2価の芳香族基を示す。nは6~12の整数を示す。)。
【請求項2】
下記式(II)で表わされる分子コマ:
【化5】
JP0005235927B2_000043t.gif
(式中、E1はケイ素原子を示す。Aは下記式(i)~(iii):
【化6】
JP0005235927B2_000044t.gif
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【化7】
JP0005235927B2_000045t.gif
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【化8】
JP0005235927B2_000046t.gif
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表されるいずれかの2価の芳香族基を示す。nは6~12の整数を示す。)。
【請求項3】
下記式(III):
【化9】
JP0005235927B2_000047t.gif
(式中、E1はケイ素原子を示す。)で表されるトリクロロシランと、下記式(IV):
【化10】
JP0005235927B2_000048t.gif
(式中、nは6~12の整数を示す。)で表されるω-アルケニルグリニャール試薬とを有機溶媒中で反応させ、下記式(V):
【化11】
JP0005235927B2_000049t.gif
(式中、E1およびnは前記と同義である。)で表されるトリ(ω-アルケニル)シランを合成することを特徴とするトリ(ω-アルケニル)シランの製造方法。
【請求項4】
下記式(VI):
【化12】
JP0005235927B2_000050t.gif
(式中、Aは下記式(i)~(iii):
【化13】
JP0005235927B2_000051t.gif
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【化14】
JP0005235927B2_000052t.gif
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【化15】
JP0005235927B2_000053t.gif
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表されるいずれかの2価の芳香族基を示す。)で表されるリチウム試薬と、下記式(V):
【化16】
JP0005235927B2_000054t.gif
(式中、E1はケイ素原子を示す。nは6~12の整数を示す。)で表されるトリ(ω-アルケニル)シランのハロゲン置換体とを、有機溶媒中で反応させ、次いで加水分解し、下記式(VII):
【化17】
JP0005235927B2_000055t.gif
(式中、E1、A、およびnは前記と同義である。)で表されるビス(トリ(ω-アルケニル)シリル)アリール化合物を合成することを特徴とするビス(トリ(ω-アルケニル)シリル)アリール化合物の製造方法。
【請求項5】
下記式(VII):
【化18】
JP0005235927B2_000056t.gif
(式中、E1はケイ素原子を示す。Aは下記式(i)~(iii):
【化19】
JP0005235927B2_000057t.gif
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【化20】
JP0005235927B2_000058t.gif
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【化21】
JP0005235927B2_000059t.gif
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表されるいずれかの2価の芳香族基を示す。nは6~12の整数を示す。)で表されるビス(トリ(ω-アルケニル)シリル)アリール化合物を有機溶媒中において触媒の存在下に閉環メタセシス反応させ、下記式(II):
【化22】
JP0005235927B2_000060t.gif
(式中、E1、A、およびnは前記と同義である。)で表わされる分子コマを合成することを特徴とする分子コマの製造方法。
【請求項6】
下記式(II):
【化23】
JP0005235927B2_000061t.gif
(式中、E1はケイ素原子を示す。Aは下記式(i)~(iii):
【化24】
JP0005235927B2_000062t.gif
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【化25】
JP0005235927B2_000063t.gif
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【化26】
JP0005235927B2_000064t.gif
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表されるいずれかの2価の芳香族基を示す。nは6~12の整数を示す。)で表わされる分子コマを水素の存在下に接触還元し、下記式(I):
【化27】
JP0005235927B2_000065t.gif
(式中、E1、A、およびnは前記と同義である。)で表わされる分子コマを合成することを特徴とする分子コマの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、π電子系が結晶中で一軸回転する分子コマとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
π電子系の化合物は、平面化合物で物性に異方性があり、さまざまな機能性が利用されている。当然ながら通常これを含む結晶も物性に異方性がある。しかし、分子コマのように結晶中で一軸回転可能であれば、物性はこの軸に垂直な平面内で等方性になる。
【0003】
このような性質をもった分子コマは将来π電子系由来の物性の異方性と等方性をスイッチできる可能性がある。また、回転子の静止状態のπ電子系の配向を制御できる可能性があり、光学材料・磁性材料・発光材料・蛍光材料等の物性の異方性を切り替える素子としての利用も期待される。
【0004】
従来、回転子が結晶中で一軸回転する分子コマにおいて、遷移金属錯体を回転子とするもの(非特許文献1)、π電子系を回転子とするもの(非特許文献2~5)が知られている。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Shima, T.; Hampel, F.; Gladysz, J. A. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 5537.
【非特許文献2】Dominguez, Z.; Dang, H.; Strouse, M. J.; Garcia-Garibay, M. A. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 4701.
【非特許文献3】Nunez, J. E.; Natarajan, A.; Khan, S. I.; Garcia-Garibay. M. A. Org. Lett. 2007, 9, 3559.
【非特許文献4】Setaka, W.; Sato, K.; Ohkubo, A.; Kabuto, C.; Kira, M. Chem. Lett. 2006, 35 596.
【非特許文献5】Setaka, W.; Ohmizu, S.; Kabuto, C.; Kira, M. Chem. Lett. 2007, 36, 1076.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、分子は結晶中において隣接分子との接触により分子運動が抑制されているが、上記したような背景において、結晶中でもπ電子系以外の部分は紫外可視部に光吸収特性をもたないような、π電子系が一軸まわりで自由回転可能な新規な分子コマが望まれていた。このような分子コマとしては、例えば、アルケニル鎖やアルキル鎖は紫外域で透明であり、紫外域に吸収のあるベンゼン環の観察が可能であることから、かご骨格がアルケニル鎖またはアルキル鎖であり回転子がπ電子系である分子構造が考えられる。
【0007】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、回転子がπ電子系である新規な分子コマとその製造方法、特に、結晶中でもπ電子系以外の部分は紫外可視部に光吸収特性を有さずπ電子系が一軸まわりで自由回転可能な分子コマとその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0009】
第1:下記式(I)で表わされる分子コマ:
【0010】
【化1】
JP0005235927B2_000002t.gif

【0011】
(式中、E1ケイ素原子を示す。Aは下記式(i)~(iii):
【0012】
【化2】
JP0005235927B2_000003t.gif

【0013】
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【0014】
【化3】
JP0005235927B2_000004t.gif

【0015】
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【0016】
【化4】
JP0005235927B2_000005t.gif

【0017】
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表わされるいずれかの2価の芳香族基を示す。nは6~12の整数を示す。)。
【0018】
第2:下記式(II)で表わされる分子コマ:
【0019】
【化5】
JP0005235927B2_000006t.gif

【0020】
(式中、E1ケイ素原子を示す。nは6~12の整数を示す。Aは下記式(i)~(iii):
【0021】
【化6】
JP0005235927B2_000007t.gif

【0022】
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【0023】
【化7】
JP0005235927B2_000008t.gif

【0024】
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【0025】
【化8】
JP0005235927B2_000009t.gif

【0026】
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表わされるいずれかの2価の芳香族基を示す。nは6~12の整数を示す。なお、式(II)中の波線は、cis、transのいずれかを示す。以下も同様である。)。
【0027】
第3:下記式(III):
【0028】
【化9】
JP0005235927B2_000010t.gif

【0029】
(式中、E1ケイ素原子を示す。)で表されるトリクロロシランと、下記式(IV):
【0030】
【化10】
JP0005235927B2_000011t.gif

【0031】
(式中、nは6~12の整数を示す。)で表されるω-アルケニルグリニャール試薬とを有機溶媒中で反応させ、下記式(V):
【0032】
【化11】
JP0005235927B2_000012t.gif

【0033】
(式中、E1およびnは前記と同義である。)で表されるトリ(ω-アルケニル)シランまたはその第14族元素類縁体を合成することを特徴とするトリ(ω-アルケニル)シランまたはその第14族元素類縁体の製造方法。
【0034】
第4:下記式(VI):
【0035】
【化12】
JP0005235927B2_000013t.gif

【0036】
(式中、Aは下記式(i)~(iii):
【0037】
【化13】
JP0005235927B2_000014t.gif

【0038】
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【0039】
【化14】
JP0005235927B2_000015t.gif

【0040】
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【0041】
【化15】
JP0005235927B2_000016t.gif

【0042】
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表わされるリチウム試薬と、下記式(V):
【0043】
【化16】
JP0005235927B2_000017t.gif

【0044】
(式中、E1ケイ素原子を示す。nは6~12の整数を示す。)で表されるトリ(ω-アルケニル)シランのハロゲン置換体とを、有機溶媒中で反応させ、次いで加水分解し、下記式(VII):
【0045】
【化17】
JP0005235927B2_000018t.gif

【0046】
(式中、E1、A、およびnは前記と同義である。)で表されるビス(トリ(ω-アルケニル)シリル)アリール化合物またはその第14族元素類縁体を合成することを特徴とするビス(トリ(ω-アルケニル)シリル)アリール化合物またはその第14族元素類縁体の製造方法。
【0047】
第5:下記式(VII):
【0048】
【化18】
JP0005235927B2_000019t.gif

【0049】
(式中、E1はケイ素原子を示す。Aは下記式(i)~(iii):
JP0005235927B2_000020t.gif(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
JP0005235927B2_000021t.gif(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
JP0005235927B2_000022t.gif(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表されるいずれかの2価の芳香族基を示す。nは6~12の整数を示す。)で表されるビス(トリ(ω-アルケニル)シリル)アリール化合物を有機溶媒中において触媒の存在下に閉環メタセシス反応させ、下記式(II):
【0050】
【化19】
JP0005235927B2_000023t.gif

【0051】
(式中、E1、A、およびnは前記と同義である。)で表わされる分子コマを合成することを特徴とする分子コマの製造方法。
【0052】
第6:下記式(II):
【0053】
【化20】
JP0005235927B2_000024t.gif

【0054】
(式中、E1ケイ素原子を示す。Aは下記式(i)~(iii):
【0055】
【化21】
JP0005235927B2_000025t.gif

【0056】
(式中、E2~E5はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は合計で2つ以下である。E2~E5のうち炭素原子であるものについては、R1~R4はそのE2~E5の各々に結合する置換基を示し、R1~R4はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E2~E5のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R1~R4は存在しない。
【0057】
【化22】
JP0005235927B2_000026t.gif

【0058】
(式中、E6~E11はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E6~E11のうち炭素原子であるものについては、R5~R10はそのE6~E11の各々に結合する置換基を示し、R5~R10はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E6~E11のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R5~R10は存在しない。
【0059】
【化23】
JP0005235927B2_000027t.gif

【0060】
(式中、E12~E19はそれぞれ独立に炭素原子または窒素原子を示し、窒素原子は1つの六員環あたり合計で2つ以下である。E12~E19のうち炭素原子であるものについては、R11~R18はそのE12~E19の各々に結合する置換基を示し、R11~R18はそれぞれ独立に水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、および水酸基から選ばれるいずれかの基を示す。E12~E19のいずれかが窒素原子の場合、この窒素原子に結合する置換基R11~R18は存在しない。)で表されるいずれかの2価の芳香族基を示す。nは6~12の整数を示す。)で表わされる分子コマを水素の存在下に接触還元し、下記式(I):
【0061】
【化24】
JP0005235927B2_000028t.gif

【0062】
(式中、E1、A、およびnは前記と同義である。)で表わされる分子コマを合成することを特徴とする分子コマの製造方法。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、かご骨格がアルケニル鎖またはアルキル鎖であり回転子がπ電子系である新規な分子コマとその製造方法が提供される。アルケニル鎖やアルキル鎖は紫外域で透明であり、紫外域に吸収のある芳香族環の観察が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】かご型化合物2の結晶中の構造;(a) 分子全体;(b) 軸方向から見た図;(c) パッキング図。Crystal Structure (100 K): monoclinic, C2/c, a = 29.831(1) A, b = 10.971(1) A, c = 16.524(1) A,β= 123.193(1) °, V = 4525.4 A3, R1 = 0.0674 (I > 2sI), wR2 = 0.1909 (all data).
【図2】かご型化合物1の結晶中の構造;(a) 分子全体;(b) 軸方向から見た図;(c) パッキング図。Crystal Structure (200 K): monoclinic, P21/c, a = 18.648(3) A, b = 11.779(2) A, c = 22.548(4) A,β= 104.919(2) °, V = 4785.79 A3, R1 = 0.0822 (I > 2sI), wR2 = 0.1414 (all data).
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明を詳細に説明する。

【0066】
本発明の分子コマは、式(I)、(II)に示されるように、ケイ素を含むアルカンまたはアルケンで構成される大規模かご骨格の内部に回転子としてπ電子系を架橋したものである。

【0067】
式(I)、(II)において、E1ケイ素原子を示す。かご骨格をアルケニル鎖またはアルキル鎖とし、回転子をπ電子系とするため、これらを連結する原子にケイ素が用いられる。すなわち、ケイ素原子に炭素置換基を導入する際、ケイ素のハロゲン化物と有機リチウムまたはグリニャール試薬との反応によって簡便に合成できる

【0068】
Aは式(i)~(iii)で示されるいずれかの2価の芳香族基を示す。このように、回転子である内部π電子系にはベンゼンのほか双極子モーメントを有するピリダジンなどヘテロπ電子系やジフルオロベンゼンなど置換ベンゼン系であってもよく、適宜の選択により複屈折の最大値を設計可能である。

【0069】
式(i)の芳香族環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環等が挙げられる。式(ii)の芳香族環としては、例えば、キノリン環、イソキノリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環等が挙げられる。

【0070】
本発明の分子コマは、例えば、次の手順により合成できる。まず式(III)で表されるトリクロロシランと、式(IV)で表されるω-アルケニルグリニャール試薬とを有機溶媒中で反応させ、式(V)で表されるトリ(ω-アルケニル)シランを合成する。あるいは、ω-アルケニルリチウム試薬を用いてケイ素にかご骨格を導入してもよい。

【0071】
次に、式(VI)で表されるリチウム試薬と、式(V)で表されるトリ(ω-アルケニル)シランのハロゲン置換体とを、有機溶媒中で反応させ、次いで加水分解し、式(VII)で表されるビス(トリ(ω-アルケニル)シリル)アリール化合物を合成する。これにより、回転子のπ電子系の回転軸部分にω-アルケニルのかご骨格を結合させる。

【0072】
次に、式(VII)で表されるビス(トリ(ω-アルケニル)シリル)アリール化合物を、有機溶媒中において、ルテニウムカルベン錯体のようなカルベン錯体などの触媒の存在下に閉環メタセシス反応させ、式(II)で表わされる分子コマを合成することができる。

【0073】
また、式(II)で表わされる分子コマを水素の存在下に接触還元することで、かご骨格をアルキル基とする式(I)で表わされる分子コマを合成することができる。

【0074】
なお、上記の各合成反応において、反応温度、反応時間、反応溶媒、触媒等の条件は、本明細書の記載および既に知られている技術に基づいて当業者であれば適宜に変更し得るであろう。例えば、ケイ素にフェニレンとアルケニル鎖が導入された化合物の合成(Setaka, W.; Sato, K.; Ohkubo, A.; Kabuto, C.; Kira, M. Chem. Lett. 2006, 35, 596.; Setaka, W.; Ohmizu, S.; Kabuto, C.; Kira, M. Chem. Lett. 2007, 36, 1076.)、かご骨格を形成するオレフィンメタセシス反応(Shima, T.; Hampel, F.; Gladysz, J. A. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 5537.; Nunez, J. E.; Natarajan, A.; Khan, S. I.; Garcia-Garibay. M. A. Org. Lett. 2007, 9, 3559.)、かご骨格のアルケニル鎖に水素添加する反応(Shima, T. Hampel, F. Gladysz, J. A. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 5537.; Nunez, J. E.; Natarajan, A.; Khan, S. I.; Garcia-Garibay. M. A. Org. Lett. 2007, 9, 3559.)等が参照される。

【0075】
本発明の化合物は、大規模かご型ジシラアルカン骨格の内部にπ電子系化合物である芳香族環が架橋した構造を有し、かご骨格により回転子としてのπ電子系と隣接分子との立体接触が避けられているため、π電子系が結晶中で一軸回転する分子コマである。

【0076】
π電子系は、平面化合物であり物性に異方性があり、さまざまな機能性が利用されている。当然ながら通常これを含む結晶も物性に異方性がある。しかし、分子コマのように結晶中で一軸回転可能であれば、物性はこの軸に垂直な平面内で等方性になる。このような性質をもった分子コマは将来π電子系由来の物性の異方性と等方性をスイッチできる可能性がある。

【0077】
また、回転子の静止状態のπ電子系の配向を制御できる可能性があり、その場合は物性の異方性を切り替える素子としての利用が期待される。ここでの物性としては光学材料・磁性材料・発光材料・蛍光材料が考えられる。

【0078】
そして本発明の有機結晶は、大規模かご型ジシラアルカン骨格の内部にπ電子系化合物であるベンゼンが架橋した分子コマの結晶である。この分子コマは、上記したようにかご骨格により回転子としてのπ電子系と隣接分子との立体接触が避けられているため、π電子系が結晶中で一軸回転可能である。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1> トリス(7-オクテニル)シラン3の合成
【実施例】
【0080】
【化25】
JP0005235927B2_000029t.gif
【実施例】
【0081】
還流冷却管および磁気攪拌子を備えた200mLの2口フラスコに、削り状マグネシウム(5.83g, 240mmol)を入れ、減圧下30分間攪拌しながら加熱し乾燥させた。フラスコ内を窒素で置換後,乾燥テトラヒドロフラン20mLを入れ,1-ブロモ-7-オクテン(38g, 200 mmol)をシリンジで少量滴下し、熱を確認することでGrignard反応を開始させた。
【実施例】
【0082】
反応温度が40℃以下になるよう適宜ウォーターバスで冷却しながら、60分かけて1-ブロモ-7-オクテンの全量とTHF200mLを加えた。反応を完結させるため、このまま室温で12時間攪拌を続けた。
【実施例】
【0083】
ここにトリクロロシラン(8.0g, 60mmol)をシリンジでNEATで加えた。発熱するが反応温度が40℃を越えないように滴下を調節した。すぐにマグネシウム塩が析出した。このまま12時間攪拌を続けた。
【実施例】
【0084】
フラスコ内の反応混合物を、希塩酸と氷とヘキサンが入った三角フラスコに入れ、加水分解と抽出をした。水相は、2回ヘキサンで逆抽出し、まとめた有機層を1回水洗いし、飽和食塩水および無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除去後、有機層を減圧下で溶媒を除去し、粗生成物3 (21.66g, 59.7mmol)を無色オイルとして得た。シリカゲルショートカラム(silicagel-hexane Rf = 0.55)で処理して精製した。化合物3 (19.0g, 52.4mmol, 87%)を無色オイルとして得た。
【実施例】
【0085】
【表1】
JP0005235927B2_000030t.gif
【実施例】
【0086】
<実施例2> トリス(7-オクテニル)クロロシラン4の合成
【実施例】
【0087】
【化26】
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【実施例】
【0088】
還流冷却管および磁気攪拌子を備えた200mLの2口フラスコを減圧下加熱乾燥させ、フラスコ内を窒素で置換した。ここに塩化銅(II) (8.9g, 66mmol)、およびヨウ化銅(I) (60mg, 0.3mmol)、乾燥テトラヒドロフラン150mLを入れ攪拌した(赤銅色懸濁液)。
【実施例】
【0089】
ここに、室温下でトリス(7-オクテニル)シラン3 (10.9g, 30mmol)をシリンジで加えた。急な発熱は見られなかった。このまま室温で12時間攪拌した。塩化銅塩酸塩の白沈と茶褐色の上澄みとに変化した。
【実施例】
【0090】
真空ポンプ減圧下、揮発性の成分を留去した。ここにペンタンを少量加え、ハイフロを詰めたブフナーろうとで銅塩をろ過して除いた。溶液をエバポレートし、トリス(7-オクテニル)クロロシラン4を茶褐色(銅塩による着色)のオイルとして9.79g得た。この化合物は高沸点で加水分解性があるため、これ以上の精製はせずに次の反応に用いた。
【実施例】
【0091】
【表2】
JP0005235927B2_000032t.gif
【実施例】
【0092】
<実施例3> 1,4-ビス(トリス(7-オクテニル)シリル)ベンゼン5の合成
【実施例】
【0093】
【化27】
JP0005235927B2_000033t.gif
【実施例】
【0094】
磁気攪拌子を備えた50mLの2口フラスコを減圧下加熱乾燥させ、フラスコ内を窒素で置換した。ここにp-ジブロモベンゼン (1.0g, 4.2mmol)、および乾燥テトラヒドロフラン20mLを加えて攪拌し、完全に溶解させた。
【実施例】
【0095】
フラスコを窒素雰囲気下-78℃に冷却し、15分かけて1.6N t-BuLiのペンタン溶液を10.5mL(17mmol)加えた。フラスコ内は黄緑色の懸濁液となる。
【実施例】
【0096】
滴下終了後フラスコ内部の温度をゆっくり上昇させ、1.5時間後0℃になったところでトリス(7-オクテニル)クロロシラン4 (4.2 g, 10.6 mmol)を加えた。このまま室温で12時間攪拌した。
【実施例】
【0097】
フラスコ内の反応混合物を、塩化アンモニウム水溶液と氷とヘキサンが入った三角フラスコに入れ、加水分解と抽出をした。水相は、2回ヘキサンで逆抽出し、まとめた有機層を1回水洗いし、飽和食塩水および無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除去後、有機層を減圧下で溶媒を除去し、粗生成物5を無色オイルとして得た。シリカゲルショートカラム(silicagel-hexane Rf = 0.5)で処理して精製した。化合物5 (2.6g, 3.3mmol, 78%)を無色オイルとして得た。
【実施例】
【0098】
【表3】
JP0005235927B2_000034t.gif
【実施例】
【0099】
<実施例4> フェニレン架橋かご型ジシラアルケン分子コマ2の合成
【実施例】
【0100】
【化28】
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【実施例】
【0101】
還流冷却管および磁気攪拌子を備えた500mLの3口フラスコを加熱乾燥させてフラスコ内を窒素で置換後、乾燥ジクロロメタン500mLを入れて加熱還流させた。ここに約50mg(0.06mmol)の第一世代Grubbs触媒を入れ、1,4-ビス(トリス(7-オクテニル)シリル)ベンゼン5 (1.42g, 1.78mmol)の200mLジクロロメタン溶液を12時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに12時間加熱還流を続けた。
【実施例】
【0102】
反応溶液を室温まで放冷し、溶媒など揮発性成分を減圧下留去した。残留物である1.8gの茶褐色オイルをシリカゲルショートカラム(silicagel-benzene Rf = 0.9)で処理して錯体分解物を除き溶媒を留去することにより目的物を含む無色オイル1.5gを得た。これをシリカゲルカラム(silicagel-benzene Rf = 0.55)で処理して精製した。化合物2 (0.31g, 0.43mmol, 24%)を無色結晶として得た。さらに、ヘキサンで再結晶することにより無色柱状結晶として化合物2 (0.31g, 0.43mmol, 24%)を得た。
【実施例】
【0103】
【表4】
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【実施例】
【0104】
上記の実施例で得られた化合物2の結晶中の構造は、X線結晶構造解析により決定した。その結果を図1に示す。
【実施例】
【0105】
<実施例5> フェニレン架橋かご型ジシラアルカン分子コマ1の合成
【実施例】
【0106】
【化29】
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【実施例】
【0107】
50mLのステンレス製オートクレーブ内にフェニレン架橋かご型ジシラアルケン分子コマ2 (180mg, 0.25mmol)、Pd/C(10%) 30mgおよび乾燥トルエン5mLを入れて、封管とした。
【実施例】
【0108】
ここに、圧力計が2.5atmを示すまで水素ガスを導入した。この封管をオイルバスで60℃に加熱し、72時間反応させた。この間、圧力計は2.8atmを示していた。室温に冷却後、内圧を開放し、反応混合物をシリンジフィルタでろ過した。揮発性成分を減圧下乾燥し、フェニレン架橋かご型ジシラアルカン分子コマ1を白色固体(180mg, 0.25mmol, 100%)として得た。さらにこの粗生成物をエタノール-THFで再結晶して、化合物1を無色柱状結晶として得た。
【実施例】
【0109】
【表5】
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【実施例】
【0110】
上記の実施例で得られた化合物1の結晶中の構造は、X線結晶構造解析により決定した。その結果を図2に示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1