TOP > 国内特許検索 > DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器 > 明細書

明細書 :DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5445994号 (P5445994)
公開番号 特開2010-260551 (P2010-260551A)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
発行日 平成26年3月19日(2014.3.19)
公開日 平成22年11月18日(2010.11.18)
発明の名称または考案の名称 DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器
国際特許分類 B65D   1/00        (2006.01)
B32B   1/02        (2006.01)
B32B   9/00        (2006.01)
B65D  65/40        (2006.01)
B65D  81/24        (2006.01)
B65D  25/34        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
FI B65D 1/00 B
B32B 1/02
B32B 9/00 A
B65D 65/40 D
B65D 81/24 D
B65D 25/34 B
B01J 35/02 J
請求項の数または発明の数 10
全頁数 10
出願番号 特願2009-110271 (P2009-110271)
出願日 平成21年4月30日(2009.4.30)
審査請求日 平成24年3月12日(2012.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
発明者または考案者 【氏名】尾関 和秀
個別代理人の代理人 【識別番号】100074631、【弁理士】、【氏名又は名称】高田 幸彦
審査官 【審査官】会田 博行
参考文献・文献 特開2002-200694(JP,A)
特開2009-012443(JP,A)
特開2002-144469(JP,A)
特開2002-145346(JP,A)
特開2006-240625(JP,A)
特開2005-047786(JP,A)
特開平11-293031(JP,A)
調査した分野 B65D 1/00
B65D 25/00
B65D 65/00
B65D 81/00
B01J 35/00
B32B 1/00
B32B 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
プラスチックで形成された容器と、該プラスチックで形成された容器の表面にプラズマCVD法によってコーティング成膜されたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を有するプラスチック容器において、
前記DLC膜の表面にコーティング成膜された光触媒膜を備え、
前記光触媒膜は、前記DLC膜の表面にコーティング成膜された酸化チタン(TiO2)膜であって、前記容器の内側内面に、前記DLC膜と該DLC膜上にコーティング成膜された酸化チタン膜とからなる積層構造が形成されたことを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項2】
請求項1に記載されたDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、前記光触媒膜は、スパッタリング法によってコーティング成膜されることを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項3】
請求項1に記載されたDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、前記内側DLC膜の厚さは約10-100nm、前記酸化チタン膜の厚さは約50-1000nmであることを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項4】
請求項1に記載されたDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、前記容器は、ポリプロピレンで形成された容器であることを特徴とするDLC膜及び酸化チタン膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項5】
プラスチックで形成された容器と、該プラスチックで形成された容器の表面にプラズマCVD法によってコーティングし成膜されたDLC膜を有するプラスチック容器において、
前記DLC膜の表面にコーティングし成膜された光触媒膜を備え、
前記光触媒膜の表面にプラズマCVD法によってコーティング成膜されたもう1層の外側DLC膜を備えることを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項6】
請求項5に記載されたDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、前記光触媒膜は、前記DLC膜の表面に形成された酸化チタン膜であることを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項7】
請求項5に記載されたDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、前記光触媒膜は、スパッタリング法によって前記DLC膜の表面に形成されたコーティング膜であることを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項8】
請求項5に記載されたDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、前記内側DLC膜の厚さは約10-100nm、前記酸化チタン膜の厚さは約50-1000nm、前記外側DLC膜の厚さは約10-100nmであることを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項9】
請求項5に記載されたDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、前記容器は、ポリプロピレンで形成された容器であることを特徴とするDLC膜及び酸化チタン膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
【請求項10】
請求項5に記載されたDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、前記容器の内側内面に前記DLC膜、該DLC膜上にスッパタリング法で成膜された光触媒膜の順で積層されていることを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器に関し、特に食品保存容器分野におけるDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器に関する。
【0002】
本発明は、DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器に関し、特に食品保存容器分野におけるDLC膜及び酸化チタン(TiO2)等の光触媒膜からなる複合薄膜を有するポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)製等のプラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0003】
食品保存容器の材料としてポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のプラスチック材料が使用されている。これらのプラスチック材料は、成形性がよく安価であるものの、酸化透過による食品酸化が問題となる。近年ガスバリア性に優れたダイヤモンドライクカーボン(DLC)が比較的融点の高いポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトルに一部応用され、酸化防止に効果を上げている。(特許文献1)
【0004】
他方、食品保存容器は食品の臭いを吸着する問題がある。これら防臭に対してもDLCのガスバリア性は有効であると考えられるが実用化には至っていない。その理由として、高分子材料では比較的低融点のものが多く高温処理が困難であること、DLCとPPやPE等の被コーティング材との間に高い密着性が要求されるなどが挙げられる。
【0005】
また、近年消臭には酸化チタン(TiO2)膜が応用されているが、成膜にはスパッタリング法が一般的であり、低融点の高分子材料に対応できない
【0006】
特許文献1に示されたDLC膜コーティング生分解プラスチック容器又はフィルム及びその製造方法では、単結合のみで結合された化合物を含む原料を使用して、生分解プラスチックで形成された容器又はフィルムの表面に、厚さが0.5-2.0nmで炭素、珪素又はアルミニウムの少なくとも一種を主な構成元素とする中間膜を成膜する工程と、二重結合若しくは三重結合を有する化合物を含む原料を使用して、中間膜の上に、DLC膜又は珪素含有DLC膜を成膜する工程が示されている。
【0007】
特許文献1に示されたDLC膜コーティング生分解プラスチック容器又はフィルム及びその製造方法では、DLC膜等のガスバリア薄膜を表面に成膜した生分解プラスチックで形成された容器又はフィルムについて、ガスバリア性が未コートPETボトル又は未コートPETフィルムと同等若しくはそれ以上であり、且つ膜の密着性を実用レベルまで向上している。
【0008】
特許文献1に示されたDLC膜コーティング生分解プラスチック容器又はフィルム及びその製造方法では、DLC膜等のガスバリア薄膜を表面に成膜した生分解プラスチックで形成された容器又はフィルムについて、中間膜は炭素、珪素又はアルミニウムの少なくともいずれかを一種を主な構成元素とし、例えば、DLC膜、珪素含有DLC膜であり、或いはSiOx(但し、1≦x≦2)又はAlOx(但し、0.75≦x≦1.5)等を主成分とする金属酸化膜が示されている。
【0009】
上述の特許文献1に示されたDLC膜コーティング生分解プラスチック容器又はフィルム及びその製造方法では、DCL膜のガスバリアの向上とDLC膜の密着性の向上について記載されているが、プラスチック容器の酸化防止、防臭、消臭、耐摩耗性等については言及されていない。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2007-261077
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は、効率的な酸化防止効果を有するDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器を提供することにある。
【0012】
本発明の解決しようとする課題は、効率的な防臭効果を有するDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器を提供することにある。
【0013】
本発明の解決しようとする課題は、効率的な消臭効果を有するDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器を提供することにある。
【0014】
本発明の解決しようとする課題は、耐摩耗性を有するDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明では、上記目的を達成するために、プラスチック容器において、プラスチックで形成された容器の表面に、ガスバリア性、生体適合性に優れたDLC膜と酸化チタン(TiO2)膜などの光触媒膜からなる複合薄膜の複合化に着目した。
【0016】
本発明では、上記目的を達成するために、プラスチック容器において、プラスチックで形成された容器の表面に、食品保存容器素材の高分子材料にガスバリア性に優れ且つ低温で成膜可能なDLC膜と消臭・防臭効果等を持つ酸化チタン(TiO2)膜などの光触媒膜を重ねてコーティングした。
【0017】
本発明では、上記目的を達成するために、プラスチックで形成された容器と、前記プラスチック容器の表面にプラズマCVD法によってコーティングし成膜されたDLC膜を有するプラスチック容器において、前記DLC膜の表面にコーティングし成膜された光触媒膜を備えたことを特徴とするDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器にある。光触媒膜は、DLC膜の表面にスパッタリング法によってコーティングし成膜する。
【0018】
本発明では、上記目的を達成するために、リプロピレン(PP)で形成された容器と、前記ポリプロピレン製容器の表面にプラズマCVD法によってコーティングし成膜されたDLC膜を有するリプロピレン容器において、前記DLC膜の表面にコーティングにより成膜された酸化チタン(TiO2)膜を備えたことを特徴とするDLC膜及び酸化チタン膜からなる複合薄膜を有するリプロピレン容器にある。酸化チタン(TiO2)膜は、DLC膜の表面にスパッタリング法によってコーティングし成膜する。
【0019】
本発明では、プラスチック容器として、ガスバリア性、生体適合性に優れたもので、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のプラスチック材料を採用し、プラスチック容器の形状として一面を開放した箱型容器、ふた付きの弁当箱型容器、及びポリエチレンテレフターレ(PET)ボトル等を採用する。
【0020】
本発明では、プラスチック容器に採用する光触媒膜としては、光照射によって半導体によって半導体中に励起された正孔と電子の強い酸化・還元力を利用する機能材料で形成される膜であり、酸化チタン(TiO2)膜、酸化チタン(TiO2)にCu、N、Cr等をドーピングした可視光反応型光触媒膜等がある。また、DLC膜と酸化チタン(TiO2)の2層で形成される場合は、DLC膜の厚さは約10-100nm、酸化チタン(TiO2)膜の厚さは約50-1000nmであり、内側DLC膜、内側酸化チタン(TiO2)および外側DLC膜の3層で形成される場合は、内側DLC膜の厚さは約10-100nm、酸化チタン(TiO2)膜厚さは約50-1000nm、および外側DLC膜の厚さは約10-100nmである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によって、DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、効率的な酸化防止効果を得ることができた。
【0022】
本発明によって、DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、効率的な防臭効果を得ることができた。
【0023】
本発明によって、DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、効率的な消臭効果を得ることができた。
【0024】
本発明によって、DLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器において、向上した耐摩耗性及び汚防性を得ることができた。TiO2層とPPの間にDLC層が存在することで、TiO2の光触媒効果が発生しても、PP自体の分解を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】基板(PP)とこの基板(PP)にプラズマCVD法によってコーティングし成膜したDLC膜との関連を示すサンプルの説明図である。
【図2】基板(PE)とこの基板(PE)にプラズマCVD法によってコーティングし成膜したDLC膜との関連を示すサンプルの説明図である。
【図3】基板(PP)とこの基板(PP)上にプラズマCVD法によってコーティングし成膜したDLC膜とこのDLC膜上にスパッタリング法によってコーティングし成膜した酸化チタン(TiO2)との関連を示すサンプルの説明図である。
【図4】基板(PP)とこの基板(PP)上にプラズマCVD法によってコーティングしたDLC膜とこのDLC膜上にスパッタリング法によってコーティングし成膜した酸化チタン(TiO2)とこの酸化チタン(TiO2)上にプラズマCVD法によってコーティングし成膜したDLC膜との関連を示すサンプルの説明図である。
【図5】サンプルBの通常光下における各種素材のガス(ホリマリン)中の残存ガス率を示すグラフである。
【図6】サンプルBの紫外光下における各種素材についての時間とガス(ホリマリン)中の残存ガス率との関係を示すグラフである。
【図7】本発明のDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器の一実施例を示す。
【図8】図7の本発明のDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器の一実施例のVIII—VIIIの線の沿った断面図である。
【図9】本発明のDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器の一実施例を示す。
【図10】図9の本発明のDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器の一実施例のX—Xの線の沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器を実施するための形態を図面に示す実施例に沿って説明する。

【0027】
図1は、基板(PP:ポリプロピレン)とこの基板(PP)にプラズマCVD法によってコーティングし成膜したDLC膜との関連を示すサンプルの説明図である。図1に示すように、ポリプロピレン(PP)11上に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜12をプラズマCVD法によりコーティングし成膜したサンプルAを作成した。これらのサンプルAをガス(ホルマリン)中に靜置し、24時間後、サンプルAの残存ガスをガスクロマトグラフィーで分析した。即ち、サンプルAの通常光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を図5に、サンプルAの紫外光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を図6に示す。

【0028】
図2は、基板(PE:ポリエチレン)とこの基板(PE)にプラズマCVD法によってコーティングしたDLC膜との関連を示すサンプルの説明図である。図1に示すように、ポリエチレン(PE)21上に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜12をプラズマCVD法によりコーティングし成膜したサンプルBを作成した。これらのサンプルAをガス(ホルマリン)中に靜置し、24時間後、サンプルBの残存ガスをガスクロマトグラフィーで分析した。即ち、サンプルBの通常光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を図5に、サンプルBの紫外光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を図6に示す。

【0029】
図1に示す紫外光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を測定した基板(PP)のサンプルAと図2に示す紫外光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を測定した基板(PE)のサンプルBを比較すると、図5の各種素材とホリマリン残存率との関係を示すグラフに示す通り、ポリプロピレン(PP)のホリマリン残存率が76.6%に対し、ポリエチレン(PE)のホリマリン残存率は92.0%と高かった。即ち、PEは臭い吸着性がPPに比べて低いことが判明した。この事実を踏まえ、本発明では、ポリエチレン(PE)は臭い吸着要因にはならないと考え検討しないこととし、ポリプロピレン(PP)製のプラスチック容器へのDLC膜と光触媒の複合薄膜について特化しさらに検討を加えた。

【0030】
図3は、基板(PP)とこの基板(PP)上にプラズマCVD法によってコーティングし成膜したDLC膜とこのDLC膜にスパッタリング法によってコーティングし成膜した酸化チタン(TiO2)との関連を示す説明図である。図3に示すように、基板(PP)31とこの基板(PP)31上にプラズマCVD法によってDLC膜32をコーティングし成膜し、コーティングしたこのDLC膜32上にスパッタリング法によって酸化チタン(TiO2)33をコーティングし成膜してサンプルCを作成した。このサンプルCをガス(ホルマリン)中に靜置し、24時間後、サンプルCの残存ガスをガスクロマトグラフィーで分析した。即ち、サンプルCの通常光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を図5に、サンプルCの紫外光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を図6に示す。無機質のDLC膜の上であれば、酸化チタン(TiO)のコーティングは容易になる。

【0031】
図4は、基板(PP)とこの基板(PP)上にプラズマCVD法によってコーティングし成膜したDLC膜とこのDLC膜上にスパッタリング法によってコーティングし成膜した酸化チタン(TiO2)とさらにこの酸化チタン(TiO2)上にスパッタリング法によってコーティングし成膜したDLC膜との関連を示すサンプルの説明図である。図4に示すように、基板(PP)41とこの基板(PP)41上にプラズマCVD法によって内側DLC膜42をコーティングし成膜し、コーティングしたこのDLC膜42上にスパッタリング法によって酸化チタン(TiO2)43をコーティングし成膜し、さらにこのコーティングしたこの酸化チタン(TiO2)43上に、プラズマCVD法によって他のもう1層の外側DLC膜44をコーティングし成膜して、サンプルDを作成した。このサンプルDをガス(ホルマリン)中に靜置し、24時間後、サンプルDの残存ガスをガスクロマトグラフィーで分析した。即ち、サンプルDの紫外光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を測定した。プラズマCVD法によってコーティングし成膜した他のもう1層のDLC膜44は、耐久性、耐薬品性の向上及び汚染のために形成した。即ち、サンプルDの通常光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を図5に、サンプルDの紫外光下におけるガス(ホルマリン)中の残存ガス率を図6に示す。

【0032】
図5は、サンプルBの通常光下での各種素材(PP、PE、DLC-PP,DLC-PE)とホリマリン残存率との関係を示すグラフである。図5において、素材PPに関しては、24時間後、PPの残存率が76.6%であるのに対し、DLC膜をコーティングし成膜したDLC-PPは、93.7%であり、DLC膜がPPへの臭気吸着の防止に効果があることが判明した。

【0033】
図6は、サンプルBの紫外光下での各種素材についての時間とホリマリン残存率との関係を示すグラフである。図6において、曲線6AはPP素材のホルマリン残存率、曲線6BはDLC素材のホルマリン残存率、曲線6CはDLC-TiO2素材のホルマリン残存率、曲線6DはDLC-TiO2-DLC素材のホルマリン残存率を示す。このように、曲線6Cに示されるDLC-TiO2素材のホルマリン残存率及び曲線6Dに示されるDLC-TiO2-DLC素材のホルマリン残存率から、有意にホルマリンガス残臭率が低下していることが判明した。また、曲線6Dに示されるDLC-TiO2-DLC素材では、最表層(最表面)に他のもう1層の外側DLC膜44があってもある一定時間までは消臭に効果があることが確認できた。

【0034】
図7は、本発明のDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器の一実施例を示し、図8は図7のVIII—VIIIの線の沿った断面図である。図7において、ポリプロピレン(PP)容器71を構成する底板71a、四つの側面71b、71c、71d、71eは、図8に示すように容器71の表面にプラズマCVD法によってコーティングし成膜したDLC膜72このDLC膜72の表面にスパッタリング法によってコーティングし成膜した酸化チタン(TiO2)73で構成されている。

【0035】
即ち、ポリプロピレン容器71は、ポリプロピレン容器71に高分子にガスバリア性に優れかつ低温で成膜可能なDLC膜72と酸化防止効果、消臭効果、防臭効果を有する酸化チタン膜73を重ねてコーティングし成膜した2層の複合薄膜を有する。ポリプロピレン容器71に成膜されたDLC膜72の厚さは約10-100nm、酸化チタン膜73の厚さは約50-1000nmである。

【0036】
図9は、本発明のDLC膜及び光触媒膜からなる複合薄膜を有するプラスチック容器の他の実施例を示し、図10は図9のX—Xの線の沿った断面図である。図9において、ポリプロピレン(PP)容器91を構成する底板91a、四つの側面91b、91c、91d、91eは、図9に示すようにポリプロピレン容器91の表面にプラズマCVD法によってコーティングし成膜した内側DLC膜92と、この内側DLC膜92の表面にスパッタリング法によってコーティングし成膜した酸化チタン(TiO2)93及び更にこの酸化チタン(TiO2)93の表面にポリプロピレン容器91の最表層となるプラズマCVD法によって他のもう1層のコーティングし成膜した外側DLC膜94で構成されている。

【0037】
即ち、ポリプロピレン容器91は、ポリプロピレン容器91に高分子にガスバリア性に優れかつ低温で成膜可能な内側DLC膜92と消臭効果を持つ酸化チタン膜93とさらにガスバリア性に優れかつ耐摩耗、耐薬品性、汚防に優れたDLC層94を外側に重ねてコーティングし成膜した3層の複合薄膜を有する。このポリプロピレン容器91に成膜された内側DLC膜92の厚さは約10-100nm、酸化チタン膜93の厚さは約50-1000nm、及び外側DLC膜94の厚さは約10-100nmである。

【0038】
なお、発明者は酢酸臭についても同様な実験を行ったが、紫外線により臭気が分解したため、結果が得られなかった。
【符号の説明】
【0039】
11 … PP
12 … DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
21 … PE
22 … DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
31 … PP
32 … DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
33 … 酸化チタン(TiO2)膜
41 … PP
42 … 内側DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
43 … 酸化チタン(TiO2)膜
44 … 外側DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
71 … 容器
71a … 底板
71b … 側面
71c … 側面
71d … 側面
71e … 側面
72 … DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
73 … 酸化チタン(TiO2)膜
91 … 容器
91a … 底板
91b … 側面
91c … 側面
91d … 側面
91e … 側面
92 … 内側DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
93 … 酸化チタン(TiO2)膜
94 … 外側DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
A … サンプル
B … サンプル
C … サンプル
D … サンプル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9