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明細書 :エネルギー管理ネットワークシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5521156号 (P5521156)
公開番号 特開2011-259252 (P2011-259252A)
登録日 平成26年4月18日(2014.4.18)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
公開日 平成23年12月22日(2011.12.22)
発明の名称または考案の名称 エネルギー管理ネットワークシステム
国際特許分類 H04Q   9/00        (2006.01)
FI H04Q 9/00 301D
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2010-132509 (P2010-132509)
出願日 平成22年6月9日(2010.6.9)
審査請求日 平成25年5月28日(2013.5.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】峰野 博史
個別代理人の代理人 【識別番号】100136674、【弁理士】、【氏名又は名称】居藤 洋之
審査官 【審査官】町井 義亮
参考文献・文献 特開2003-058614(JP,A)
特開2006-300484(JP,A)
調査した分野 H03J 9/00- 9/06、
H04Q 9/00- 9/16
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のセンサノード上に装備されたセンサで環境情報をセンシングするセンサ部と、センシングデータを記録するデータ収集部と、前記データ収集部に記録されたセンシングデータを表示するデータ表示部と、前記センシングデータをマイニングし、エネルギー管理に関するルールを提示するマイニング部と、前記マイニング部からセットされたトリガに相当するセンシングデータが検出された場合に、制御命令を送信する制御命令部と、前記制御命令を受信し、空調や照明といった設備機器を制御する制御部と、を備え、前記センシングデータの前記センサ部からの受信及び前記データ収集部への送信並びに前記制御命令の前記制御命令部からの受信及び前記制御部への送信を行うNWインフラ部とからなるエネルギー管理ネットワークシステムであって、
前記センサノードは、人の有無を検知することが目的でないセンサを備え、
前記マイニング部は、前記人の有無を検知することが目的でないセンサのセンシングデータの時間的分布および空間的分布の解析をすることにより、人の在席状況を判定することで前記エネルギー管理を行い、
前記NWインフラ部は、前記複数のセンサノードが有線と無線の相互補完通信を利用したセンサネットワークである
ことを特徴とするエネルギー管理ネットワークシステム。
【請求項2】
前記人の有無を検知することが目的でないセンサは温度、湿度、照度、動体、消費電力、音、二酸化炭素濃度を検出することができる少なくとも一つのセンサであることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理ネットワークシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、広い区域におかれた複数のセンサが有線と無線を用いることで、通信可能なエリアを相互に補完し合うようにネットワークを形成し、センサによる検出データから区域内の人の在席状況を解析し、設備機器の稼働状況を管理するエネルギー管理ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
民生部門における省エネルギーと地球温暖化への対策技術として、家庭用のエネルギー管理システム(HEMS)が注目されている。HEMS は、建物全体のエネルギー供給や需要の状況を総合的に把握し、機器や設備の運転を効率的に行い、総合的に省エネルギーを実現するためのシステムである。家庭の設備機器である複数の家電機器や給湯機器を、ネットワークで接続し自動制御する技術である(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2010-98401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、HEMS技術実用化研究はエネルギー総量の提示・前月との比較・料金化等によってユーザに省エネ行動を喚起するに止まっている。また、自動制御では対象機器はエアコンや照明などの家電製品の待機電力の一部に限定されており、その制御方法も最適とは言えず改良の余地がある。さらに、分電盤型制御系HEMS技術の導入にあたっては、新築やリフォーム時の設置工事は容易であるが、既存の建造物への導入は取り替えコストの面からも困難である。
【0005】
また、人の在席状況の管理では、カメラ画像・映像によって行なうことも可能だが、プライバシー保護の面から困難である。
【0006】
本発明は、人の有無を検知することが目的でないセンサによって、区域内の環境情報を収集し、得られた複数の異種検出データを統合した時系列シークエンスから在席状況が高精度に推定可能であり、有線と無線の相互補完通信によって既存の建造物に導入可能であるセンサネットワークを利用したエネルギー管理ネットワークシステムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的な概要は、複数のセンサノード上に装備されたセンサで環境情報をセンシングするセンサ部と、センシングデータを記録するデータ収集部と、前記データ収集部に記録されたセンシングデータを表示するデータ表示部と、前記センシングデータをマイニングし、エネルギー管理に関するルールを提示するマイニング部と、前記マイニング部からセットされたトリガに相当するセンシングデータが検出された場合に、制御命令を送信する制御命令部と、前記制御命令を受信し、空調や照明といった設備機器を制御する制御部と、を備え、前記センシングテータの前記センサ部からの受信及び前記データ収集部への送信並びに前記制御命令の前記制御命令部からの受信及び前記制御部への送信を行うNWインフラ部とからなるエネルギー管理ネットワークシステムであって、前記センサノードは、人の有無を検知することが目的でないセンサを備え、前記NWインフラ部は、前記複数のセンサノードが有線と無線の相互補完通信を利用したセンサネットワークであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、既存の建造物へ取り替えコストを抑えて導入し、建物全体のエネルギー供給や需要の状況を総合的に把握し、機器や設備の運転を効率的に行い、総合的に省エネルギーを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】エネルギー管理ネットワークシステムの概要
【図2】エネルギー管理ネットワークシステム全体の構造
【図3】センサ部と制御部の構成
【図4】データ収集部とデータ表示部の構成
【図5】RFとPLCの通信補完
【図6】オーバレイセンサネットワーク構造
【図7】制御命令部とマイニング部の構造
【図8】在席パターンの分類精度
【発明を実施するための形態】
【0010】
エネルギー管理ネットワークシステムの概要を図1に示す。図中の番号は省エネ制御をおこなう手順を示している。以下、省エネ制御手順である。

【0011】
1.センサ部は環境情報をセンシングする。
2.NWインフラ部はセンサ部でセンシングされた情報を収集する。
3.データ収集部はNWインフラ部で収集された情報を蓄積する。
4.マイニング部はデータ収集部で蓄積された情報をマイニングし、省エネにつながるルールの提案が行われる。
5.制御命令部はマイニング部から提案されたルールを制御命令に置き換え、NWインフラ部に制御命令を送信する。
6.NWインフラ部は、制御命令部からの制御命令を制御対象が接続された制御部に送信する。
7.制御部は制御命令を受信し設備機器を制御する。

【0012】
(センサ・制御部)
センサ部はセンサノード上に装備されたセンサでセンシングを行う。センサの例として、温度、湿度、照度、動体、消費電力、音、二酸化炭素濃度があげられる。センシングで得られたセンサ情報はNWインフラ部に送信される。センサノードにはセンサ自身の消費電力、ボードの大きさの制限から限られたセンサしか搭載できないため、搭載されていないセンサの情報を得たい場合は、拡張センサモジュールを開発しセンサノードに取り付けて使用する。

【0013】
制御部はNWインフラ部から送信される制御信号を受信し設備機器を制御する。設備機器を制御するためにアクチュエータノードと呼ばれるノードを用いる。アクチュエータノードは、センサレスボードにアクチュエータ機能を付加するためのモジュールを接続したノードである。

【0014】
(データ収集部・データ表示部)
データ収集部はNWインフラ部からのセンシングデータを記録する。NWインフラ部とはセンシングデータゲートウェイ経由で接続する。ゲートウェイはデータベースにアクセスしセンシングデータを記録する。

【0015】
データ表示部は、データベース上に記録されたセンシングデータを表示するインタフェースを提供する。このインタフェースはWebサーバ上にPHP で実装され、インターネット経由でブラウザを使用して閲覧可能である。このインタフェースを使う事で、在席、外出中を問わずに建造物内に設置されたセンシングデータを表示可能である。

【0016】
(NWインフラ部)
NWインフラ部はセンサノードのセンシングデータをデータ収集部に送信し、制御指令部からの制御命令をアクチュエータノードに送信する、センサネットワークのインフラ部分である。

【0017】
既存の建造物内にセンサネットワークを構築する場合、ノード間の通信手段として無線通信を用いると以下の問題がある。
・コンクリート等の厚い壁による電波の遮断
・電波の干渉による信号の減衰

【0018】
上記問題を解決するため、無線通信(RF)と有線通信(PLC)を用いて相互に通信を補完する。図5では、壁によってRFの電波が遮断され通信できない場合であっても、壁の中を配線されている電力線を使ってPLCで通信が可能となっている。また、PLCは物理的に電力線がつながっていない場合、電力線の位相が異なる場合は通信ができない。このような場合は、RFで通信を行うことでPLCだけでは通信不可能であっても通信が可能となる。
無線通信は赤外線通信、超音波通信でもよく、有線通信は光ファイバ通信、メタリック通信でもよい。

【0019】
RFとPLCの両方を搭載したノードは、ネットワーク上でルータとして機能する。ルータはサブネットを形成し、サブネット内のセンサノードを管理する。サブネット内のルーティングは、ルータとセンサノード間で行われ、サブネット間のルーティングはルータ間で行われる。このようなオーバレイ構造を用いることで、ルーティングの簡易化やネットワークライフタイムの向上が図られる。

【0020】
(制御命令部・マイニング部)
制御命令部はNWインフラ部に制御命令を送信する。制御命令部のアクチュエータコントローラは、マイニング部からセットされたトリガに相当するセンシングデータが検出された場合に、制御命令をNWインフラ部に送信する。アクチュエータコントローラはセンシングデータゲートウェイから、リアルタイムにセンシングデータを受け取っており、トリガに相当するセンシングデータに低遅延で反応できるようになっている。

【0021】
マイニング部はデータベースに記録されたセンサ情報をマイニングし、省エネにつながるルールを提示する。提示されたルールはアクチュエータコントローラにセンシングデータと比較可能なトリガとしてセットされる。マイニング部はセンシングデータをデータベースから読み取るため、過去のセンシングデータを含めてマイニングすることが可能である。

【0022】
(在席状況の判定)
得られる各種センシングデータから、対象物ごとの状態を抽出することで頻出パターンを見出し、共通する区間に分割し、隣り合う区間での遷移確率(頻度)が求められる。頻出する状態を分類ルールなどの形式で、区間の連続からなる頻出パターンとして出力し、類似した頻出パターンをそれらの間の類似性に基づいてクラスタリングを行い、対象物の状況・行動パターンを見つけだす。人の有無を検知することが目的でないセンサによるセンシングデータの時間的、空間的分布の解析により人の在席状況が判定され、人がいない区域の空調や照明の電源を自動的に切ることが可能なエネルギー管理ネットワークシステムを提供する。
また、有線と無線の相互補完通信を利用することで、既存の建造物にセンサネットワークを構築でき、既存の建造物に対してエネルギー管理ネットワークシステムが導入される。

【0023】
動体センサ単一のセンシングデータを用いると、時系列シークエンスを利用することで、在席パターンの分類精度が18%から38%へ向上した。さらに、温度センサ、照度センサから得られる、異種センシングデータを複数統合した時系列シークエンスを利用すると、在席パターンの分類精度は90%となった。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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