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明細書 :高感度発光測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5479967号 (P5479967)
公開番号 特開2011-203085 (P2011-203085A)
登録日 平成26年2月21日(2014.2.21)
発行日 平成26年4月23日(2014.4.23)
公開日 平成23年10月13日(2011.10.13)
発明の名称または考案の名称 高感度発光測定装置
国際特許分類 G01N  21/76        (2006.01)
G01N  33/483       (2006.01)
FI G01N 21/76
G01N 33/483 C
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2010-070075 (P2010-070075)
出願日 平成22年3月25日(2010.3.25)
審査請求日 平成25年2月4日(2013.2.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】小内 清
【氏名】石浦 正寛
【氏名】白木 央
【氏名】大久保 充宏
【氏名】中村 隆司
【氏名】伊藤 英樹
【氏名】長谷川 寛
個別代理人の代理人 【識別番号】110000578、【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
審査官 【審査官】▲高▼場 正光
参考文献・文献 特開2005-143371(JP,A)
特開2005-207740(JP,A)
特開平05-209831(JP,A)
特開2007-078567(JP,A)
“FLUOstar OPTIMA / POLARstar OPTIMA / LUMIstar OPTIMA Operating Manual - Revision J”,BMG LABTECH,2009年11月27日,23 Pages
“Metal Package PMT with Cooler - Photosensor Modules H7422 Series”,InternetArchive,2007年10月19日,URL,URL:http://web.archive.org/web/20071019045654/http://sales.hamamatsu.com/assets/pdf/parts_H/H7422_series.pdf
HINTERBERGER,H 他,“Use of a Solid Light Funnel to Increase Phototube Aperture without Restricting Angular Acceptance”,Review of Scientific Instruments,1968年,Volume 39,Pages 1217-1218
調査した分野 G01N21/00-21/83
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
インビトロ発光反応物又は蛍光反応物、並びにルシフェラーゼ又はGFPを発現する生きたままの細胞又は個体および前記細胞又は前記個体の抽出物を試料として、24ウェルマイクロプレートに収納した前記試料の発光又は蛍光の強度を測定する発光測定装置であって、
測光を行うための測定暗室と、
前記試料の発光又は蛍光を検出するGaAsPを材質とする直径5mm以下の光電面、前記24ウェルマイクロプレートの1ウェルの直径と比較して±2mm以内の直径を有する光入射窓、および、当該光入射窓から入射した光を前記光入射窓よりも小さな前記光電面に集光するライトガイドと、前記光電面を常時5℃以下に冷却する電子冷却素子と、前記電子冷却素子の放熱を行うための冷却水循環ライン又はヒートシンク付き空冷ファンと、前記光入射窓を有する筺体と、を少なくとも備える光電子増倍管と、
前記測定暗室と外部とを隔絶する開閉可能に構成された測定暗室シャッターと、
前記24ウェルマイクロプレートを移動させる第1可動部と、
前記光電子増倍管を前記24ウェルマイクロプレート方向に移動させる第2可動部と、
前記光電子増倍管から出力されるパルス信号を計数するためのカウンタと、
実験者が設定した測光時間、測光待機時間、測定回数又は測定時間間隔に基づいて、前記測定暗室シャッターの開閉、前記第1可動部及び前記第2可動部を介して前記24ウェルマイクロプレートと前記光電子増倍管の位置決め、の制御を行う制御部と、
を備え
前記光電子増倍管は、
前記光電子増倍管に印加電圧を供給する電源と、
前記光電子増倍管から出力されるアナログ信号を増幅するプリアンプ回路と、
前記光電子増倍管から出力されたアナログ信号をA/D変換する波高弁別器と、
を前記筐体内に内蔵し、
前記24ウェルマイクロプレートのウェル上面、ウェル底面又は上面と底面の両面から検出した光を、フォトンカウンティング法によってデジタル化したパルス信号として出力していることを特徴とする発光測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光測定装置おいて、
前記第1可動部及び前記第2可動部は、
前記光電子増倍管の光入射窓と前記24ウェルマイクロプレートのウェル底面又はウェル上面との相対位置が近接するように、前記24ウェルマイクロプレート及び前記光電子増倍管を移動させることを特徴とする発光測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光測定装置において、
前記試料の発する550~680nmの発光又は蛍光の強度を測定することを特徴とする発光測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の発する550~680nmの発光又は蛍光の強度を高感度に測定することができる発光測定装置に関する。この発光測定装置は、試験管内における化学反応や生化学反応の反応速度の定量や、試験管内における細胞抽出物を用いた遺伝子発現の定量や、生きたままの細胞または個体における遺伝子発現の定量などに広く利用することができる。
【背景技術】
【0002】
試験管内における生化学反応の反応速度の定量、試験管内における細胞抽出物を用いた遺伝子発現の定量、および生きたままの細胞や個体における遺伝子発現の定量が、ルシフェラーゼなどの発光タンパク質やGFPなどの蛍光タンパク質に起因する発光又は蛍光の強度を測定することで行われている。
【0003】
そして、これらの発光又は蛍光の強度を測定するために、発光測定装置(ルミノメーター、シンチレーションカウンター、生物発光測定装置などの光計測装置)が利用されている。
【0004】
一般に、発光測定装置においては、外部からの光を遮断する暗箱(測定暗室)、暗箱内に設置した測光デバイス(CCDカメラ、フォトダイオード、光電子増倍管などの光検出器)、および暗箱の内部と外部とを必要に応じて隔絶するために開閉可能な暗室シャッターによって構成される。そして、試料の発光又は蛍光の検出は、暗箱内で測光デバイスによって行われる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
一般に、発光測定装置においては、24ウェルマイクロプレートに収納した試料の発光又は蛍光の検出は、CCDカメラや光電子増倍管などの測光デバイスによって行われている。
【0006】
そして、試料と測光デバイスが近接した状態で測定する発光測定装置においては、最も感度良く測定することができる測光デバイスが光電子増倍管であることが周知である。
一般に、光電子増倍管を測光デバイスとして搭載した24ウェルプレートを測定可能な発光測定装置においては、バイアルカリと呼ばれる材質の光電面を備えた光電子増倍管が使用されている。これは、以下の理由による。
(1)バイアルカリを光電面に使用した光電子増倍管における量子効率の高い(量子効率が10~20%の)光波長域が350~550nmの範囲であり(例えば、非特許文献1参照)、発光タンパク質や蛍光タンパク質の大半が発する光波長域とほぼ一致している。(2)バイアルカリの光電面を備えた光電子増倍管は、光電面の冷却を行わなくてもダークノイズが低いため、特別な冷却系を備えることなく高S/Nの測定データを得ることができる。
(3)バイアルカリの光電面を備えた光電子増倍管は他の材質の光電面を備えた光電子増倍管と比較して安価である。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特許第3837535号公報
【特許文献2】特許第3950972号公報
【0008】

【非特許文献1】浜松ホトニクス株式会社 技術資料「フォトンカウンティング」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、550~680nmの波長域の光を発する試料を従来の発光測定装置で測定した場合、バイアルカリの光電面を備えた光電子増倍管の量子効率が550nm以上では劇的に低下してしまうため(典型的なバイアルカリの光電面を備えた光電子増倍管の最大量子効率は約20%であり、550nmで約10%、600nmで約2%、650nmで約0.3%、680nmで約0.1%に低下するため)(上記非特許文献1参照)、高感度な測定に適さない。
【0010】
これに対して、GaAsP(ガリウムヒ素リン)と呼ばれる材質の光電面を備えた光電子増倍管は、550~680nmの波長域の光に対して量子効率が高いため(典型的なGaAsPの光電面を備えた光電子増倍管の最大量子効率は約35%であり、550nmで約35%、600nmで約35%、650nmで約30%、680nmで、約25%でほとんど低下しないため)(上記非特許文献1参照)、550~680nmの波長域の光を発する試料を高感度に測定できる可能性が高い。
【0011】
しかし、常温(10~45℃)においては、GaAsPの光電面を備えた光電子増倍管のダークノイズは、バイアルカリの光電面を備えた光電子増倍管と比較して100倍以上高くS/Nで有利にならないことや、ダークノイズのレベルが環境温度によって大きく変化してしまうため、発光測定装置への搭載は実現されていなかった。
【0012】
生物試料を試料収納容器で培養してから又は試料を培養しつつ、発光又は蛍光を測定する場合、24ウェルマイクロプレート(1つのウェルの直径は14mm程度)が培養に適することが周知である。
【0013】
24ウェルマイクロプレートの例としては、PerkinElmer社のViewPlate-24やCulturePlate-24などが挙げられる。一般に、GaAsPの光電面を備えた光電子増倍管においては、光電面の面積が増加するとダークノイズが劇的に増加してしまうため、光電面の面積は直径5mm以下でなければ実用的ではないことが周知である。
【0014】
そのため、GaAsPの光電面を備えた光電子増倍管においては、24ウェルマイクロプレートの1ウェルの面積をカバーする入光窓を設けてウェルに入れた試料の光や蛍光をロス無しに光電面へ入射させることが困難であった。
【0015】
したがって、仮にGaAsPの光電面を備えた既存の光電子増倍管で24ウェルマイクロプレートのウェルに入れた試料の光や蛍光を測定することを想定した場合は、ウェルを複数の領域に分割して、各領域ごとに測定を行い、測定した結果を全て加算してウェルあたりの測定値を求める必要があった。
【0016】
この方法においては、1ウェルの測光を行うために分割した領域数と同じ回数の測光を行う必要があり、1ウェルを一回の測定回数で測光する方法と比較して、劇的に処理速度が遅くなってしまう。処理速度が遅くなってしまうと、以下の2つの大きな問題が発生してしまう。
【0017】
(1)最初の試料と最後の試料が測光される時間に差が大きく生じてしまうため、最初の試料と最後の試料の状態に差異が生じてしまい、試料間の測定結果の比較などにおいて、精度や再現性に問題が生じる。
【0018】
(2)複数プレートを順次測定することを繰り返し複数サイクル行う場合、1サイクルに要する時間が多大となってしまい、測定データの時間分解能が低下してしまう。
これらの理由から、24ウェルマイクロプレートに入れた試料の発する550~680nmの発光又は蛍光の強度を高感度に測定することができる発光測定装置は実用化できていなかった。
【0019】
つまり、従来の発光測定装置においては、24ウェルマイクロプレートに入れた試料の発する550~680nmの光波長域の発光又は蛍光を高感度かつ高S/Nで高速に測定することが困難であった。
【0020】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、24ウェルマイクロプレートに入れた試料の発する550~680nmの光波長域の発光又は蛍光を高感度かつ高S/Nで高速に測定する発光測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0022】
上記「発明が解決しようとする課題」において述べた問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、インビトロ発光反応物又は蛍光反応物、並びにルシフェラーゼ又はGFPを発現する生きたままの細胞又は個体および細胞又は個体の抽出物を試料として、24ウェルマイクロプレート(7)に収納した試料の発光又は蛍光の強度を測定する発光測定装置であって、測光を行うための測定暗室(1)と、試料の発光又は蛍光を検出するGaAsPを材質とする直径5mm以下の光電面、24ウェルマイクロプレート(7)の1ウェルの直径と比較して±2mm以内の直径を有する光入射窓(12)、および、光入射窓(12)から入射した光を光入射窓(12)よりも小さな光電面に集光するライトガイド(10)と、光電面(13)を常時5℃以下に冷却する電子冷却素子(14)と、電子冷却素子(14)の放熱を行うための冷却水循環ライン又はヒートシンク付き空冷ファン(16)と、光入射窓(12)を有する筺体(11)と、を少なくとも備える光電子増倍管(2)と、測定暗室(1)と外部とを隔絶する開閉可能に構成された測定暗室シャッター(3)と、24ウェルマイクロプレート(7)を移動させる第1可動部(8)と、光電子増倍管(2)を24ウェルマイクロプレート(7)方向に移動させる第2可動部(9)と、光電子増倍管(2)から出力されるパルス信号を計数するためのカウンタ(5)と、実験者が設定した測光時間、測光待機時間、測定回数又は測定時間間隔に基づいて、測定暗室シャッター(3)の開閉、第1可動部(8)及び第2可動部(9)を介して24ウェルマイクロプレート(7)と光電子増倍管(2)の位置決め、の制御を行う制御部(4)と、を備え、光電子増倍管(2)は、光電子増倍管(2)に印加電圧を供給する電源(17)と、光電子増倍管(2)から出力されるアナログ信号を増幅するプリアンプ回路(17)と、光電子増倍管(2)から出力されたアナログ信号をA/D変換する波高弁別器(17)と、を筐体(11)内に内蔵し、24ウェルマイクロプレート(7)のウェル上面、ウェル底面又は上面と底面の両面から検出した光を、フォトンカウンティング法によってデジタル化したパルス信号として出力していることを特徴とする発光測定装置である。
【0023】
このような発光測定装置によれば、24ウェルマイクロプレート(7)に入れた試料の発する発光又は蛍光を高感度かつ高S/Nで高速に測定することが可能となる。
また、光電子増倍管(2)が、GaAsP(ガリウムヒ素リン)を材質とする直径5mm以下の光電面(13)を備えるようにすると、24ウェルマイクロプレート(7)に入れた試料の発する発光又は蛍光を高感度かつ高S/Nで測定することができる。
【0025】
電子増倍管(2)の光電面(13)が発する熱ショットノイズを抑えた状態に保つことができるので、24ウェルマイクロプレート(7)に入れた試料の発する発光又は蛍光を高感度かつ高S/Nで測定することができる。
【0027】
入射窓(12)とライトガイド(10)により、試料の発光を高効率で光電面(13)に集光することができるので、24ウェルマイクロプレート(7)に入れた試料の発する発光又は蛍光を高感度で測定することができる。
【0029】
電子増倍管(2)を小型化することと、光電子増倍管(2)の外部からの電磁ノイズに対する測定への影響を避けることができるので、ひいては、発光測定装置の小型化と信頼性の向上を果たすことができる。
【0031】
4ウェルマイクロプレート(7)のウェル上面又はウェル底面又は上面と底面の両面から発光を検出できるので、効率よく発光又は蛍光の測定ができる。また、フォトンカウンティング法によって発光又は蛍光の強さを定量化するので、従来の技術を用いて容易に信頼性のある発光又は蛍光の測定を行うことができる。
【0032】
さらに、請求項に記載のように、第1可動部(8)及び第2可動部(9)は、光電子増倍管(2)の光入射窓(12)と24ウェルマイクロプレート(7)のウェル底面又はウェル上面との相対位置が近接するように、24ウェルマイクロプレート(7)及び光電子増倍管(2)を移動させるようにすると、効率よく発光の測定ができる。
【0033】
以上のように、本発明の発光測定装置においては、GaAsP光電面を備え24ウェルマイクロプレート(7)に最適化した光電子増倍管(2)を搭載し、24ウェルマイクロプレート(7)に収納した試料の発する550~680nmの波長域の発光又は蛍光の強度を高感度かつ高S/Nで高速に測定することを実現した。
【0034】
GaAsP光電面を備えた光電子増倍管(2)は、以下の8つ特徴を備える。
(1)GaAsP光電面が直径5mm以下である。
(2)GaAsP光電面を電子冷却素子によって、常時5℃以下に保つことができる。
【0035】
(3)前記の電子冷却素子の排熱を水冷循環または空冷ファンで二次冷却することができる。
(4)24ウェルマイクロプレートの1ウェルの直径(14mm程度)とほぼ同じ直径(14±2mm)の光入射窓を備える。
【0036】
(5)前記の光入射窓から入射した光を、全反射型のライドガイドによって、直径5mm以下の光電面へ高効率に集光することができる。
(6)底面が光透過性の材質で形成されている24ウェルマイクロプレートに収納した試料の発する発光または蛍光を、ウェルの上面又は下面又は上面と底面の両面から検出することができる。
【0037】
(7)高圧電源、プリアンプ回路、波高弁別器が筐体に内蔵されている。
(8)フォトンカウンティング法によって発光又は蛍光の強度をデジタル化したパルス信号として出力することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の発光測定装置においては、24ウェルマイクロプレートに入れた試料の発する550~680nmの光波長域の発光又は蛍光を高感度かつ高S/Nで高速に測定することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態御の発光測定装置の構造を示す断面図である。
【図2】本実施形態の発光測定装置において制御部4が自動制御する工程
【図3】本実施形態の発光測定装置へ搭載した高感度光電子増倍管を横から見たときの構造を示した。
【図4】本実施形態の発光測定装置と従来の発光測定装置のホタルルシフェラーゼLUCに起因する発光(ピーク波長は560nm)に対する測定感度を比較した結果である
【図5】本実施形態の発光測定装置と従来の発光測定装置の鉄道虫ルシフェラーゼに起因する発光(ピーク波長は630nm)に対する測定感度を比較した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に本発明の実施形態を説明する。但し、記載する実施形態は本発明を説明するためのもので、本発明を制限するものではない。
本発明の発光測定装置の構造は、図1に示すように、測光を行うための測定暗室1と、試料の発する発光又は蛍光を検出する高感度光電子増倍管2と、測定暗室1と外部を隔絶するための開閉可能な測定暗室シャッター3と、試料を収納した24ウェルマイクロプレート7のウェルと高感度光電子増倍管2の光入射窓との相対位置を最適化するための可動部(図1の記号8及び記号9)と、制御部4と、高感度光電子増倍管2が出力したデジタル化されたパルス信号を伝達する信号線6と、そのデジタル化されたパルス信号を受信して光強度をパルス数として数値化するカウンタ5から構成される。

【0041】
制御部4による、高感度光電子増倍管2や測定暗室シャッター3や第1可動部(8)及び第2可動部(9)可動部の動作の制御フローを図2に示す。
制御部4はCPUとソフトウェアを含み、実験者が設定した測光時間や測光待機時間や測定回数や測定時間間隔に基づいて、正確な時間タイミングで測定が自動実行できるように、高感度光電子増倍管2や測定暗室シャッター3や第1可動部(8)及び第2可動部(9)の動作の有無や動作速度や動作タイミングを計算して自動制御する。

【0042】
高感度光電子増倍管2の特徴を、図2を使用して詳細に説明する。高感度光電子増倍管2は、以下の特徴を備えている。
(1)直径5mm以下のGaAsP光電面13を備えている。

【0043】
(2)GaAsP光電面13を電子冷却素子14によって、常時5℃以下に保つことができる。
(3)電子冷却素子14の放熱を熱伝導板15で誘導して水冷循環またはヒートシンクと空冷ファン16で冷却することができる。

【0044】
(4)24ウェルマイクロプレート7の1ウェルの直径(14mm程度)とほぼ同じ直径の光入射窓12を備えている。
(5)の光入射窓12から入射した光を、全反射型のライトガイド10によって、GaAsP光電面13へ高効率に集光することができる。

【0045】
(6)底面が光透過性の材質で形成されている24ウェルマイクロプレート7に収納した試料の発する発光または蛍光を、ウェルの上面又は下面又は上面と底面の両面のいずれかの方向から検出することができる。

【0046】
(7)高圧電源、プリアンプ回路、波高弁別器から構成される電子回路17が高感度光電子増倍管2の筐体11の内部に組み込まれている。
(8)高感度光電子増倍管2が24ウェルマイクロプレート7のウェル上面又はウェル底面又は上面と底面の両面から検出した発光又は蛍光の強度を、フォトンカウンティング法によってデジタル化したパルス信号として出力する。

【0047】
24ウェルマイクロプレート7へ収納する試料は、液体や固体あるいはゲル状の化学反応物や生化学反応物、ルシフェラーゼタンパク質や赤色発光ルシフェラーゼタンパク質や蛍光タンパク質を発現する生きたままの細胞や生物個体およびその細胞抽出物を用いることができる。また、蛍光物質でラベルしたタンパク質や化合物も用いることができる。

【0048】
ルシフェラーゼタンパク質の例としては、ホタルや昆虫由来のLUC(発光のピーク波長は525~580nm)が挙げられる。
赤色発光ルシフェラーゼの例としては、鉄道虫由来のSLR(発光のピーク波長は630nm)が挙げられる。

【0049】
蛍光タンパク質の例としては、DsRed monomar(蛍光のピーク波長は580nm)やHcRed1(蛍光のピークは長は620nm)やmKusabira-Orange1(蛍光のピーク波長は560nm)が挙げられる。

【0050】
蛍光物質の例としては、AlexaFuro555(蛍光のピーク波長は555nm)やCy5(蛍光のピーク波長は670nm)が挙げられる。
24ウェルマイクロプレート7の例としては、PerkinElmer社のViewPlate-24やCulturePlate-24が挙げられる。

【0051】
以下に本発明の効果を、実施形態を用いて説明するが、実施形態は本発明の範囲を限定するものではない。
(発光測定装置の特徴)
図4に、本実施形態の発光測定装置と従来の発光測定装置のピーク波長560nmの光に対する測定感度を示して、両者を比較した。なお、図4において、白丸は従来の装置の結果を、黒丸は本実施形態の発光測定装置の結果を、それぞれ表している。

【0052】
ホタルルシフェラーゼ(Promega, LUC)にD-ルシフェリン・ATP溶液を添加して、25℃で30分間保温し、10-18~10-13 molのホタルルシフェラーゼの生物発光を従来の発光測定装置(特許第3950972号、Aloka, MLC-R21)と本発明の測定装置で測定した。測定は同一試料に対して10秒間の測光を1回行った。

【0053】
グラフの各点とエラーバーは、バックグラウンド差し引き後の6回の測定結果の平均値±標準偏差である。測定には無反射型の黒色プレートを使用した。本実施形態の発光測定装置においては、高感度光電子増倍管2を24ウェルマイクロプレート7のウェルの上面と下面に1台ずつ配置し、それぞれの高感度光電子増倍管2で測定した測定値の和を最終的な測定値とした。

【0054】
測定暗室シャッター3と、24ウェルマイクロプレート7と、高感度光電子増倍管2の動作や位置決めは、実験者が設定した「測光待機時間」と「測光時間」に基づいて、制御部4によって正確な動作時間と時間タイミングと位置精度で自動動作させた。

【0055】
特に、高感度光電子増倍管2の光入射窓12と24ウェルマイクロプレート7の測定対象ウェル面とが最適な相対位置となるよう、制御部4により自動制御した。
本実施形態の発光測定装置は、従来の発光測定装置の約10倍の感度を示し、従来の発光測定装置よりも1桁低い濃度のホタルルシフェラーゼ反応液の発光まで、正確に測定することができた。この結果から、ピーク波長560nmの光に対して、従来の発光測定装置よりも10倍の高感度であることが証明された。

【0056】
次に、図5に、本実施形態の発光測定装置と従来の発光測定装置のピーク波長630nmの光に対する測定感度を示し、両者を比較した。なお、図5において、白丸は従来の装置の結果を、黒丸は本実施形態の発光測定装置の結果を、それぞれ表している。

【0057】
鉄道虫由来の赤色発光ルシフェラーゼ(東洋紡績、SLR)を発現する大腸菌細胞にD-ルシフェリン・ATP溶液を添加して、25℃で2時間保温し、104~107細胞の生物発光を従来の発光測定装置(特許第3950972号、Aloka, MLC-R21)と本発明の発光測定装置で測定した。

【0058】
測定は同一試料に対して10秒間の測光を1回行った。グラフの各点とエラーバーは、バックグラウンド差し引き後の6回の測定結果の平均値±標準偏差である。測定には無反射型の黒色プレートを使用した。

【0059】
本実施形態の発光測定装置においては、高感度光電子増倍管2を24ウェルマイクロプレート7のウェルの上面と下面に1台ずつ配置し、それぞれの高感度光電子増倍管2で測定した測定値の和を最終的な測定値とした。

【0060】
測定暗室シャッター3と、24ウェルマイクロプレート7と、高感度光電子増倍管2の動作や位置決めは、実験者が設定した「測光待機時間」と「測光時間」に基づいて、制御部4によって正確な動作時間と時間タイミングと位置精度で自動動作させた。

【0061】
特に、高感度光電子増倍管2の光入射窓12と24ウェルマイクロプレート7の測定対象ウェル面とが最適な相対位置となるよう、制御部4が自動制御した。
本実施形態の発光測定装置は、従来の発光測定装置の約50倍の感度を示した。この結果から、ピーク波長630nmの光に対して、従来の発光測定装置よりも50倍の高感度であることが証明された。

【0062】
試験管内のおける化学反応や生化学反応の反応速度の定量、試験管内における細胞抽出物を用いた遺伝子発現の定量、および生きたままの細胞や個体における遺伝子発現の定量などで、発光測定装置は基礎研究から医薬品や農作物の開発のような応用研究までの多岐にわたる産業分野で大いに活用されている。

【0063】
本実施形態の発光測定装置は、550~680nmの光長に対する感度を、既存の発光測定装置よりも大きく向上することができるため、これらの分野に大いに貢献することができる。例えば、レポーター遺伝子としてホタルや鉄道虫由来のルシフェラーゼ遺伝子を用いた実験においては、微弱な遺伝子発現をより正確に定量することが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1…測定暗室、
2…高感度光電子増倍管、
3…測定暗室シャッター、
4…制御部、
5…カウンタ、
6…信号線、
7…24ウェルマイクロプレート、
8…第1可動部、
9…第2可動部、
10…全反射型ライトガイド、
11…高感度光電子増倍管の筐体、
12…光入射窓、
13…GaAsP光電面、
14…電子冷却素子、
15…熱伝導板、
16…ヒートシンクと空冷ファン、
17…電子回路
図面
【図2】
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【図4】
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【図5】
2
【図1】
3
【図3】
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