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明細書 :レビー小体型認知症の判定方法、判定装置並びにプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5626853号 (P5626853)
公開番号 特開2011-244971 (P2011-244971A)
登録日 平成26年10月10日(2014.10.10)
発行日 平成26年11月19日(2014.11.19)
公開日 平成23年12月8日(2011.12.8)
発明の名称または考案の名称 レビー小体型認知症の判定方法、判定装置並びにプログラム
国際特許分類 A61B  10/00        (2006.01)
FI A61B 10/00 H
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2010-119997 (P2010-119997)
出願日 平成22年5月26日(2010.5.26)
審査請求日 平成25年5月22日(2013.5.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】丸田 高広
【氏名】吉川 弘明
【氏名】角 弘諭
【氏名】根上 昌子
個別代理人の代理人 【識別番号】100088904、【弁理士】、【氏名又は名称】庄司 隆
【識別番号】100124453、【弁理士】、【氏名又は名称】資延 由利子
【識別番号】100135208、【弁理士】、【氏名又は名称】大杉 卓也
【識別番号】100152319、【弁理士】、【氏名又は名称】曽我 亜紀
【識別番号】100163544、【弁理士】、【氏名又は名称】平田 緑
審査官 【審査官】冨永 昌彦
参考文献・文献 特開2010-082057(JP,A)
調査した分野 A61B 10/00
特許請求の範囲 【請求項1】
認知症が疑われる患者のアルツハイマー病(AD)又はレビー小体病(LBD)を判定する方法であって、
患者から得られた心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、さらに心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出する工程と、
該算出したLF/HF比率が予め設定した基準値以下であればLBDと判定し、該基準値を超えればADと判定する工程と、
を含むことを特徴とする判定方法。
【請求項2】
前記基準値は、1.5~2.5であることを特徴とする請求項1の判定方法。
【請求項3】
認知症が疑われる患者のAD又はLBDを判定する装置であって、
患者の心拍数データを測定する手段と、
該心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率が予め設定した基準値以下であればLBDと判定し、該基準値を超えればADと判定する解析手段と、
該判定結果を表示する手段と、
を具備することを特徴とする装置。
【請求項4】
前記基準値は、1.5~2.5であることを特徴とする請求項3の装置。
【請求項5】
さらに、前記患者のMIBG心筋シンチグラフィー測定結果を前記判定に利用することを特徴とする請求項3又は4の装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レビー小体病(LBD)の判定方法、判定装置並びにプログラムに関する。より詳しくは、アルツハイマー病(AD)又はLBDが疑われる認知症患者の判定方法、判定装置並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの国、特に先進国では、人口の高齢化により認知症に罹患している患者の数が増加している。これらの患者の多くは、アルツハイマー病(AD)と診断されている。次に患者の多くは、レビー小体病(LBD)と診断されている。
【0003】
LBD特にレビー小体型認知症(DLB)の組織病理学では、大脳路、脊髄および自律神経節の特定の核におけるヒアリン体(レビー小体)の蓄積によって特徴付けられる。レビー小体は、不溶性タンパク質沈着物によって主としてなるタンパク質沈着物であり、この不溶性タンパク質沈着物の主成分は、α-シヌクレイン、ユビキチンおよびユビキチン化タンパク質である。
また、LBDは、レビー小体型認知症(DLB)とパーキンソン病(PD)および認知症を伴うパーキンソン病(PDD)を含む疾患概念である。これらの3つの疾患は発症形式により異なる神経学的傾向を示すが、重複する症状も多い。また、レビー小体を発現するという病理学的類似性からLBDとして一連の疾患概念で扱われる。ただし、DLBとPDは、病初期には異なる神経学的傾向を示し、脳病変も異なる。例えば、DLBは、PDでは見られない皮質の病変を示す。
【0004】
LBD患者の認知症症状に対して利用できる治療法の選択肢は、限られており、多くの場合、精神科的およびパーキンソン病様症状を抑えるいわゆる対症療法しかない。
しかし、震えおよび運動喪失を回復させる抗パーキンソン病薬をDLB患者に投与すると、幻覚症状や精神病傾向を急性に著しく悪化させることが報告されている。
【0005】
また、LBD患者は、AD患者と比較して、AD患者の治療に使用されるアセチルコリンエステラーゼ療法に対してより感受性がある。よって、LBD患者のアセチルコリンエステラーゼ療法による重度の過敏反応が報告されている。
【0006】
以上により、認知症が疑われる患者、特にAD又はLBDが疑われる認知症患者について、AD又はLBDを判定することは治療の最適化に必須である。
【0007】
一方、LBD患者の中でも、AD患者との鑑別困難な例がある。このためLBDの自律神経障害を利用して、MIBG心筋シンチグラフィーがLBD診断参考所見とされている。
しかし、MIBG心筋シンチグラフィーは医療費やRI(放射性同位体)使用などによる患者負担が大きい。よって、MIBG心筋シンチグラフィーはLBDの判定方法としては利用しにくい問題があった。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特表2008-506406公報
【特許文献2】特表2004-502939公報
【特許文献3】特表2007-522434公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題点を解決することを解決すべき課題とした。より詳しくは、簡便かつ容易にDLBを判定する方法、判定装置並びにプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、認知症が疑われる患者、特にAD又はLBDが疑われる認知症患者の心拍変動パラメータに着目し、さらにLBD患者とAD患者の心拍数データから得られるLF(低周波数帯域)/HF(高周波数帯域)比率に違いがあることを見出した。
本発明者らは、上記知見を基にして、認知症が疑われる患者のLBDを判定する方法、判定装置、並びにプログラムを提供することである。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.認知症が疑われる患者のアルツハイマー病(AD)又はレビー小体病(LBD)を判定する方法であって、
患者から得られた心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、さらに心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出する工程と、
該算出したLF/HF比率が予め設定した基準値以下であればLBDと判定し、該基準値を超えればADと判定する工程と、
を含むことを特徴とする判定方法。
2.前記基準値は、1.5~2.5であることを特徴とする前項1の判定方法。
3.さらに、前記患者のMIBG心筋シンチグラフィー測定結果を前記判定に利用することを特徴とする前項1又は2の判定方法。
4.認知症が疑われる患者のAD又はLBDを判定する装置であって、
患者の心拍数データを測定する手段と、
該心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率が予め設定した基準値以下であればLBDと判定し、該基準値を超えればADと判定する解析手段と、
該判定結果を表示する手段と、
を具備することを特徴とする装置。
5.前記基準値は、1.5~2.5であることを特徴とする前項4の装置。
6.さらに、前記患者のMIBG心筋シンチグラフィー測定結果を前記判定に利用することを特徴とする前項4又は5の装置。
7.認知症が疑われる患者のAD又はLBDを判定するプログラムであって、
(1)LF/HF比率が基準値以下である場合には、LBDと判定し
(2)LF/HF比率が基準値を超える場合には、ADと判定する、
又は
(1)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陽性であり、かつLF/HF比率が基準値以下である場合には、LBDと判定し、
(2)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陽性であり、かつLF/HF比率が基準値を超える場合には、LBDと判定し、
(3)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陰性であり、かつLF/HF比率が基準値以下である場合には、ADと判定し、
(4)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陰性であり、かつLF/HF比率が基準値を超える場合には、ADと判定する、
ことを特徴とするプログラム。
8.前記基準値は、1.5~2.5であることを特徴とする前項7に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、RIを使用せずに、簡便、容易、短時間かつ低費用でLBDを判定する方法、判定装置、並びにプログラムを提供した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】認知症が疑われる患者のAD又はLBDを判定する装置の機能的構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(認知症が疑われる患者のAD又はLBDを判定する方法)
認知症、特にAD又はLBDが疑われる認知症患者のAD又はLBDを判定する方法(又は解析方法)では、少なくとも以下の工程を含む。
(1)患者から得られた心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、さらに心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出する工程。
(2)算出したLF/HF比率が予め設定した基準値以下であればLBDと判定し、該基準値を超えればADと判定する工程。

【0015】
患者の心拍数データとは、一定時間内に心臓が振動する回数(周波数)を意味する。なお、心拍数データは、以下で述べるLF/HF比率を算出することができる限り、自体公知の方法により容易に取得することができる。
例えば、心電図測定装置のセンサーを胸部に取り付けて心電図のQRS波のピークから次のピークまでの時間間隔を測定して算出する、又は市販されている簡易心拍数測定装置のセンサーを橈骨動脈の皮膚上に取り付けて測定することもできる。

【0016】
心拍変動パラメータであるLF/HF比率は、全心拍変動(時間領域)の測定及び心拍の周期変動の周波数成分をスペクトル解析(AA-interval spectral analysis:AISA)により高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングよりすることで求めることができる。
スペクトル解析では、一般には、低周波数帯域(LF)は0.02~0.15Hzと設定し、高周波数帯域(HF)は0.15~0.50Hzと設定しているが、適宜波数帯域を変更することができる。

【0017】
さらに、本発明の判定方法では、患者のMIBG心筋シンチグラフィー測定結果を患者のAD又はLBDを判定に利用することができる。例えば、利用方法としては、以下の通りである。
(1)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陽性であり、かつLF/HF比率が基準値以下である場合には、LBDと判定し、
(2)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陽性であり、かつLF/HF比率が基準値を超える場合には、LBDと判定し、
(3)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陰性であり、かつLF/HF比率が基準値以下である場合には、ADと判定し、
(4)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陰性であり、かつLF/HF比率が基準値を超える場合には、ADと判定する。
患者から心拍数データを取得することは、MIBG心筋シンチグラフィー測定と比較して、RI被爆がなく、数分で測定が可能であり、さらに費用が非常に安い。
よって、本発明の判定方法は、一次判定として行い、必要に応じて2次判定としてMIBG心筋シンチグラフィーの結果を利用することが好ましい。

【0018】
(本発明の装置の構成について)
本発明の装置の構成について、図1を基にして説明する。なお、図1は、本発明の機能的構成を説明するために使用されるものであり、何ら本発明の装置の構成を限定しない。
本発明の判定装置は、少なくとも患者の心拍数データを測定する手段と、該心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率が予め設定した基準値以下であればLBDと判定し、該基準値を超えればADと判定する解析手段と、該判定結果を表示する手段と、を具備することを特徴とする装置である。
なお、本発明の装置は、単独の装置として用いることができるが、例えば、自体公知の心電図測定装置、心拍数測定装置等に組み込まれていても良い。

【0019】
心拍数データを測定する手段1から心拍数データ(心拍数信号)を取得する。心拍数データを測定する手段は、患者の心拍数を取得するための手段であり、自体公知の心電図測定装置、心拍数測定装置と同じ構造である。
なお、心拍数データを測定する手段は、自体公知の心電図測定装置、心拍数測定装置等を組み込む又は外部接続しても良い。
前記検出された心拍数信号は、配線2を介して、必要に応じて増幅器4で増幅され、さらに必要に応じてA/Dコンバーター3によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。
さらに、前記デジタル信号は、解析処理装置6内のインターフェイス61で受付けられて、データを解析する手段62により、該心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率が予め設定した基準値以下であればLBDと判定し、該基準値を超えればADと判定される。加えて、低周波数帯域(LF)は、0.02~0.15Hzと設定し、高周波数帯域(HF)は0.15~0.50Hzと設定しているが、適宜、周波数帯域を変更する手段66も有する。
さらに、必要に応じて、上記判定には、外部から入力された患者のMIBG心筋シンチグラフィー結果をMIBG心筋シンチグラフィーの結果を解析する手段63により解析して得られたデータをさらに利用する。
そして、患者のLBD又はADの判定結果、加えて、基準値、LF/HF比率値、HF波形データ及び/又はLF波形データが評価表示制御手段64によりモニタディスプレイ65により表示される。
なお、モニタディスプレイ65は、解析処理装置6に組み込まれていても、又は外部に付属されていても良い。
加えて、前記データを保存するためのデータメモリ及び/又は前記データを紙媒体又は電子媒体で出力するための装置を解析処理装置6に組み込んでもよい。

【0020】
(基準値)
本発明の「基準値」とは、下記実施例で得られた結果より設定されたカットオフ値(cut off値)を意味する。認知症が疑われる患者から得られたLF/HF比率値、好ましくは複数の心拍数の測定によるLF/HF比率値の平均値が、基準値以下であればLBDと判定され、基準値を超えればADと判定される。
また、基準値は、1.5~2.5、好ましくは1.5~2.0、より好ましくは1.6~1.8、最も好ましくは約1.6である。

【0021】
(認知症が疑われる患者のAD又はLBDを判定するプログラム)
本発明のプログラムは、下記実施例で得られた結果より設定されたLBD又はADを判定するためのプログラムである。
なお、プログラムの概要は以下の通りである。
(1)LF/HF比率が基準値以下である場合には、LBDと判定し
(2)LF/HF比率が基準値を超える場合には、ADと判定する、
又は
(1)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陽性であり、かつLF/HF比率が基準値以下である場合には、LBDと判定し、
(2)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陽性であり、かつLF/HF比率が基準値を超える場合には、LBDと判定し、
(3)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陰性であり、かつLF/HF比率が基準値以下である場合には、ADと判定し、
(4)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陰性であり、かつLF/HF比率が基準値を超える場合には、ADと判定する。
さらに、本発明のプログラムを、従来公知の心電図測定装置、心拍数測定装置にインストールすることにより、従来公知の心電図測定装置又は心拍数測定装置を「認知症が疑われる患者のAD又はLBDを判定可能な」心電図測定装置又は心拍数測定装置とすることができる。

【0022】
(本発明の認知症が疑われる患者のAD又はレビー小体型認知症の検査又は診断方法)
本発明の前記診断方法の要約は以下の通りである。
医師又は医師から許可された者が、患者の心拍数を測定して、該測定結果から得られたLF/HF比率値が予め設定した基準値を超える場合には、医師がADと診断し、該基準値以下であればLBDと診断する。

【0023】
(MIBG心筋シンチグラフィーの測定方法)
本発明のMIBG心筋シンチグラフィーの測定方法は、従来知られている方法を利用することができる。例えば、認知症が疑われる患者に対して、123I-MIBGを静脈より投与し、数十分後のシンチグラムの早期像を撮影し、さらに数時間後にシンチグラムの後期像を撮影する。
また、本発明の測定方法又は下記実施例では、RI集積の心/縦隔比について早期像1.80未満かつ後期像2.00未満のものをLBD陽性とした。

【0024】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
(LBD患者とAD患者でのMIBG測定及び心拍数測定によるLF/HF比率の算出)
認知症患者13名(DLB7名、AD6名)を対象とし、心交感神経機能指標としてMIBG測定、心拍数測定によるLF/HF比率値の算出を行った。詳細は、以下の通りである。
【実施例1】
【0026】
(各患者のLBD又はADの診断方法)
AD患者6名の臨床診断は、NINCDS-ADRDAの診断基準によるprobable ADを採用した。また、DLB7名の臨床診断は、第三回国際ワークショップの診断基準によるprobable DLBを採用した。
【実施例1】
【0027】
(MIBG心筋シンチグラフィー測定方法)
認知症の患者13名に対して、111MBqの 123I-MIBGを静脈より投与し、20分後にシンチグラムの早期像を撮影し、さらに3時間後にシンチグラムの後期像を撮影した。
なお、撮影装置は、Picker社製のPrism 2000 XPを使用した。
また、RI集積の心/縦隔比について早期像1.80未満かつ後期像1.50未満のものをLBD陽性とした。
【実施例1】
【0028】
上記測定結果を下記表1に示す。
MIBG心筋シンチグラフィー測定方法では、上記臨床診断と完全に一致した。すなわち、検出感度及び検出特異度が100%であった。
【実施例1】
【0029】
(心拍数測定によるLF/HF比率値の算出)
認知症の患者13名に対して、公知の心拍数測定装置(株式会社ユメディカ製のアルテット)を用いて心拍数を測定した。測定方法は、以下の通りである。
測定は、右第一指先部位で2回行い、各測定間のインターバルは、約300秒以上とした。
さらに、上記測定した心拍数データを0.02~0.15Hzの低周波数帯域(LF)及び0.15~0.50Hzの高周波数帯域(HF)にフィルタリングしてLF/HF比率の算出をした。
【実施例1】
【0030】
上記測定結果を下記表1に示す。
AD患者のLF/HF比率値の平均値は、4.41であった。一方、DLB患者のLF/HF比率値の平均値は、0.91であった。
よって、LBD患者のLF/HF比率値は、AD患者のLF/HF比率値と比較して、明らかに低いことがわかった。これにより、認知症が疑われる患者のLF/HF比率値を算出することにより、AD又はLBDを判定することができる。
【実施例1】
【0031】
さらに、LF/HF比率値のカットオフ値(cut off値)を1.6に設定すると、LBD検出感度が100%であり、LBD検出特異度が77.8%(7/9)であった。
【実施例1】
【0032】
(基準値の設定)
下記表1の結果に示すように、患者のLF/HF比率値の算出により、LBD又はADであるかを判断するための基準値を1.5~2.5に設定することができた。
さらに、MIBG心筋シンチグラフィー測定とLF/HF比率値の算出の両結果により、以下のことがわかった。
(1)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陽性であり、かつLF/HF比率が基準値以下である場合には、LBDと判定することができる。
(2)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陽性であり、かつLF/HF比率が基準値を超える場合には、LBDと判定することができる。
(3)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陰性であり、かつLF/HF比率が基準値以下である場合には、ADと判定することができる。
(4)MIBG心筋シンチグラフィーの結果がLBD陰性であり、かつLF/HF比率が基準値を超える場合には、ADと判定することができる。
以上により、患者から心拍数データを取得することは、MIBG心筋シンチグラフィー測定と比較して、RI被爆がなく、数分で測定が可能であり、さらに費用が非常に安い。
よって、本発明の判定方法は、一次判定として行い、必要に応じて2次判定としてMIBG心筋シンチグラフィーの結果を利用することができる。
【実施例1】
【0033】
【表1】
JP0005626853B2_000002t.gif

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明では、RIを使用せずに、簡便、容易、短時間かつ低費用でLBDを判定する装置、方法並びにプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:心拍数データを取得する手段
2:配線
3:A/Dコンバーター
4:増幅部
6:解析処理装置
61:インターフェイス部
62:データを解析する手段
63:MIBG心筋シンチグラフィーの結果を解析する手段
64:評価表示制御手段
65:モニタディスプレイ
66:周波数帯域を変更する手段
図面
【図1】
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