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明細書 :アルキルフェノールの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5212988号 (P5212988)
公開番号 特開2010-209016 (P2010-209016A)
登録日 平成25年3月8日(2013.3.8)
発行日 平成25年6月19日(2013.6.19)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発明の名称または考案の名称 アルキルフェノールの製造方法
国際特許分類 C07C  37/14        (2006.01)
C07C  41/30        (2006.01)
C07C  43/23        (2006.01)
C07C  39/06        (2006.01)
C07C  39/08        (2006.01)
C07C  39/28        (2006.01)
C07C  67/347       (2006.01)
C07C  69/025       (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 37/14
C07C 41/30
C07C 43/23 B
C07C 39/06
C07C 39/08
C07C 39/28
C07C 67/347
C07C 69/025 A
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 7
全頁数 30
出願番号 特願2009-058224 (P2009-058224)
出願日 平成21年3月11日(2009.3.11)
審査請求日 平成24年2月16日(2012.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】國信 洋一郎
【氏名】松木 崇
【氏名】高井 和彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
審査官 【審査官】柿崎 美陶
参考文献・文献 特公昭46-3053(JP,B2)
特開平2-180844(JP,A)
特開平5-329374(JP,A)
S. Sarish,J. Mol. Catal. A: Chem.,2005年,vol. 240,pp. 123-131
S. Wagholikar,Appl. Catal. A: Gen.,2006年,vol.309,pp. 106-114
C. B. Campbell,Bull. Chem. Soc. Jpn.,1990年,vol. 63,pp. 3665-3669
C. Hu,Appl. Catal. A: Gen.,1999年,vol. 177,pp. 237-244
R. Hekmatshoar,Catal. Commun.,2008年,vol. 9,pp. 837-841
L. N. Lewis,J. Am. Chem. Soc.,1986年,vol. 108,pp. 2728-2735
調査した分野 C07B 31/00-61/00;63/00-63/04
C07C 1/00-409/44
CA/REGISTRY/CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、フェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基を導入することを特徴とするアルキルフェノールの製造方法。
【請求項2】
0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、下記式(I)
【化1】
JP0005212988B2_000038t.gif
[式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R、R及びRの少なくとも1つは水素原子である。R、R、R、R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるフェノール化合物と、下記式(II)
【化2】
JP0005212988B2_000039t.gif
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基を導入する、下記式(III)
【化3】
JP0005212988B2_000040t.gif
[式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、上記式(I)及び(II)と同じ。R、R、R、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
又は下記式(IV)
【化4】
JP0005212988B2_000041t.gif
[式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、上記式(I)及び(II)と同じ。R、R、R、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるアルキルフェノールの製造方法。
【請求項3】
0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、下記式(Ia)
【化5】
JP0005212988B2_000042t.gif
[式中、R、R及びRは、前記式(I)と同じ。]
で表されるフェノール化合物と、下記式(IIa)
【化6】
JP0005212988B2_000043t.gif
[式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位に1つのアルキル基を導入して下記式(IIIa)
【化7】
JP0005212988B2_000044t.gif
[式中、R、R、R、R及びRは、前記式(I)及び(IIa)と同じ。R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるアルキルフェノールを得る請求項2記載のアルキルフェノールの製造方法。
【請求項4】
が水素原子である請求項3記載のアルキルフェノールの製造方法。
【請求項5】
0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、下記式(Ib)
【化8】
JP0005212988B2_000045t.gif
[式中、R、R、R及びRは、前記式(I)と同じ。]
で表されるフェノール化合物と、下記式(IIb)
【化9】
JP0005212988B2_000046t.gif
[式中、R及びRは、それぞれ独立してハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を導入して下記式(IVb)
【化10】
JP0005212988B2_000047t.gif
[式中、R、R、R、R、R及びRは、前記式(I)及び(IIb)と同じ。R、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるアルキルフェノールを得る請求項2記載のアルキルフェノールの製造方法。
【請求項6】
0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、下記式(Ib)
【化11】
JP0005212988B2_000048t.gif
[式中、R、R、R及びRは、前記式(I)と同じ。]
で表されるフェノール化合物と、下記式(IIc)
【化12】
JP0005212988B2_000049t.gif
[式中、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R10、R11、R12及びR13は相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を導入して下記式(IVc)
【化13】
JP0005212988B2_000050t.gif
[式中、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、前記式(I)及び(IIc)と同じ。R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は相互に結合して環を形成してもよい。]
又は下記式(IVd)
【化14】
JP0005212988B2_000051t.gif
[式中、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、前記式(I)及び(IIc)と同じ。R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるアルキルフェノールを得る請求項2記載のアルキルフェノールの製造方法。
【請求項7】
前記触媒が、0価のレニウム化合物からなる請求項1~6のいずれか記載のアルキルフェノールの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルフェノールの製造方法に関する。特に、レニウム化合物からなる触媒の存在下に、フェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基を導入するアルキルフェノールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキルフェノールは、樹脂原料、医薬品、除草剤、殺虫剤、染料、香料、界面活性剤などとして重要である。フェノール化合物をアルキル化する方法としては、フェノール化合物と有機ハロゲン化物を用いたFriedel-Crafts反応が最も一般的である。しかしながら、当該反応においては、塩化鉄や塩化アルミニウムのようなルイス酸を量論量用いる必要がある上に、ハロゲン化水素が副生するという問題点を有していた。したがって、酸に敏感な置換基を有する原料を用いる場合には適用することができなかった。
【0003】
非特許文献1には、フェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位に高選択的にアルキル基を導入する、アルキルフェノールの合成反応が記載されている。しかしながらこの合成反応は、湿気に不安定な塩化アルミニウムを化学量論量必要とする上に、収率が低い。また、ハロゲン系溶媒を使用する上に、抽出および乾燥といった後処理も必要である。
【0004】
また、固体酸触媒を用いてフェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール化合物をアルキル化する方法も知られている。例えば、非特許文献2にはタングステンとジルコニウムからなる固体酸触媒を用いた例が、非特許文献3及び4にはゼオライト触媒を用いた例が、それぞれ記載されている。しかしながら、これらの方法においては、位置選択的にモノアルキル化体を合成することは必ずしも容易ではなかった。
【0005】
さらに、遷移金属錯体触媒を用いてフェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール化合物をアルキル化する方法も知られている。例えば、非特許文献5及び6にはヘテロポリ酸触媒を用いた例が、非特許文献7にはルテニウム触媒を用いた例が、非特許文献8にはロジウム触媒を用いた例が、非特許文献9にはイリジウム触媒を用いた例が、それぞれ記載されている。しかしながら、これらの方法においても、さまざまなオレフィンを用いて位置選択的にフェノール化合物のモノアルキル化体を合成することは必ずしも容易ではなかった。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】G.Sartori外、J.Chem.Soc.PerkinTrans.1、1997年、p.257-260
【非特許文献2】S.Sarish外、J.Mol.Catal.A:Chem.240、2005年、p.123-131
【非特許文献3】S.Wagholikar外、Appl.Catal.A:Gen.309、2006年、p.106-114
【非特許文献4】C.B.Campbell外、Bull.Chem.Soc.Jpn.1990年、vol.63、p.3665-3669
【非特許文献5】C.Hu外、Appl.Catal.A:Gen.177、1999年、p.237-244
【非特許文献6】R.Hekmatshoar外、Catal.Commun.9、2008年、p.837-841
【非特許文献7】L.N.Lewis外、J.Am.Chem.Soc.1986年、vol.108、p.2728-2735
【非特許文献8】M.C.Carrion外、Chem.Commun.2006年、p.4527-4529
【非特許文献9】R.Dorta外、Chem.Commun.2003年、p.760-761
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、触媒量の金属化合物の存在する中性条件下においてフェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール化合物を高位置選択的にモノアルキル化することのできるアルキルフェノールの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、フェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基を導入することを特徴とするアルキルフェノールの製造方法を提供することによって解決される。
【0009】
より具体的には、上記課題は、0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、下記式(I)
【0010】
【化1】
JP0005212988B2_000002t.gif

【0011】
[式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R、R及びRの少なくとも1つは水素原子である。R、R、R、R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるフェノール化合物と、下記式(II)
【0012】
【化2】
JP0005212988B2_000003t.gif

【0013】
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基を導入する、下記式(III)
【0014】
【化3】
JP0005212988B2_000004t.gif

【0015】
[式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、上記式(I)及び(II)と同じ。R、R、R、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
又は下記式(IV)
【0016】
【化4】
JP0005212988B2_000005t.gif

【0017】
[式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、上記式(I)及び(II)と同じ。R、R、R、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるアルキルフェノールの製造方法を提供することによって解決される。
【0018】
上記製造方法において、0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、下記式(Ia)
【0019】
【化5】
JP0005212988B2_000006t.gif

【0020】
[式中、R、R及びRは、前記式(I)と同じ。]
で表されるフェノール化合物と、下記式(IIa)
【0021】
【化6】
JP0005212988B2_000007t.gif

【0022】
[式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位に1つのアルキル基を導入して下記式(IIIa)
【0023】
【化7】
JP0005212988B2_000008t.gif

【0024】
[式中、R、R、R、R及びRは、前記式(I)及び(IIa)と同じ。R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるアルキルフェノールを得ることが好適である。このとき、Rが水素原子であることが好適な実施態様である。
【0025】
上記製造方法において、0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、下記式(Ib)
【0026】
【化8】
JP0005212988B2_000009t.gif

【0027】
[式中、R、R、R及びRは、前記式(I)と同じ。]
で表されるフェノール化合物と、下記式(IIb)
【0028】
【化9】
JP0005212988B2_000010t.gif

【0029】
[式中、R及びRは、それぞれ独立してハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を導入して下記式(IVb)
【0030】
【化10】
JP0005212988B2_000011t.gif

【0031】
[式中、R、R、R、R、R及びRは、前記式(I)及び(IIb)と同じ。R、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるアルキルフェノールを得ることも好適である。
【0032】
上記製造方法において、0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、下記式(Ib)
【0033】
【化11】
JP0005212988B2_000012t.gif

【0034】
[式中、R、R、R及びRは、前記式(I)と同じ。]
で表されるフェノール化合物と、下記式(IIc)
【0035】
【化12】
JP0005212988B2_000013t.gif

【0036】
[式中、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R10、R11、R12及びR13は相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を導入して下記式(IVc)
【0037】
【化13】
JP0005212988B2_000014t.gif

【0038】
[式中、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、前記式(I)及び(IIc)と同じ。R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は相互に結合して環を形成してもよい。]
又は下記式(IVd)
【0039】
【化14】
JP0005212988B2_000015t.gif

【0040】
[式中、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、前記式(I)及び(IIc)と同じ。R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は相互に結合して環を形成してもよい。]
で表されるアルキルフェノールを得ることも好適である。
【0041】
上記製造方法において、前記触媒が、0価のレニウム化合物からなることも好適である。
【発明の効果】
【0042】
本発明の製造方法によれば、触媒量の金属化合物の存在する中性条件下においてフェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール化合物を高位置選択的にモノアルキル化して、アルキルフェノールを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明のアルキルフェノールの製造方法は、0価又は1価のレニウム化合物からなる触媒の存在下に、フェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基を導入するものである。

【0044】
本発明で用いられるフェノール化合物は特に限定されるものではなく、芳香環にフェノール性水酸基を有するものであればよい。具体的には、下記式(I)で表されるフェノール化合物を用いることができる。

【0045】
【化15】
JP0005212988B2_000016t.gif

【0046】
上記式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。

【0047】
ここで、R、R及びRの少なくとも1つは水素原子であり、これらの水素原子と置き換わる形で、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に対してオレフィンが反応し、アルキル化が進行する。R、R、R、R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。また、R、R、R、R及びRが、反応すべきオレフィンと結合していても構わず、この場合には、オレフィンと反応することによって環状のアルキルフェノールを得ることができる。R、R、R、R及びRの各置換基の炭素数は特に限定されず、高分子鎖であっても構わないが、通常50以下であり、好適には20以下である。

【0048】
本発明で用いられるオレフィンは特に限定されるものではなく、炭素-炭素二重結合を有するものであればよい。具体的には、下記式(II)で表されるオレフィンを用いることができる。

【0049】
【化16】
JP0005212988B2_000017t.gif

【0050】
上記式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。

【0051】
ここで、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。また、R、R、R及びRが、フェノール化合物と結合していても構わず、この場合には、フェノール化合物と反応することによって環状のアルキルフェノールを得ることができる。R、R、R及びRの各置換基の炭素数は特に限定されず、高分子鎖であっても構わないが、通常50以下であり、好適には20以下である。

【0052】
本発明で得られるアルキルフェノールは特に限定されるものではなく、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基が導入されたアルキルフェノールであればよい。具体的には、下記式(III)又は下記式(IV)で表されるアルキルフェノールを得ることができる。

【0053】
【化17】
JP0005212988B2_000018t.gif

【0054】
【化18】
JP0005212988B2_000019t.gif

【0055】
上記各式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、上記式(I)及び(II)と同じである。R、R、R、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。

【0056】
本発明の製造方法において用いられる触媒は、0価又は1価のレニウム化合物である。0価のレニウム化合物としては、0価のレニウム錯体が好適に用いられる。当該錯体における配位子は特に限定されないが、一酸化炭素が好適である。1価のレニウム化合物としては、1価のレニウム塩が好適に用いられる。当該塩におけるアニオン種は特に限定されないが、ハロゲン化物イオンが好適である。また、当該1価のレニウム塩は配位子が配位していてもよく、配位子としては一酸化炭素などが例示される。触媒性能の面からは1価のレニウム化合物よりも0価のレニウム化合物の方が優れており、0価のレニウム錯体が好適に用いられる。0価のレニウム錯体の好適な配位子は一酸化炭素であり、Re(CO)10が特に好適な触媒である。

【0057】
触媒としてのレニウム化合物の使用量は、式(I)又は式(II)で表される化合物のうちの少ない方のモル数に対して、金属元素換算で、好適には0.001倍以上であり、より好適には0.005倍以上であり、さらに好適には0.01倍以上である。一方、製造コストや廃棄物の削減の観点からは、レニウム化合物の使用量は、式(I)又は式(II)で示される化合物のうちの少ない方のモル数に対してより好適には0.2倍以下であり、さらに好適には0.1倍以下である。本発明の製造方法においては、Friedel-Crafts反応のように酸を使用しないので、中性条件下で反応が進行する。したがって、R~Rで示される置換基中において、酸性条件において不安定な官能基を有する場合などに、本発明の製造方法は特に有効である。

【0058】
本発明の製造方法において、式(I)で示される化合物に対する、式(II)で示される化合物の配合比は特に限定されない。原料のコストや目的生成物を考慮して配合比が決定されるが、例えば、質量比で1/10~10/1の割合で配合される。使用される溶媒は、原料を溶解できるものであれば特に限定されないが、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランなど、非プロトン性の有機溶媒が好適である。

【0059】
反応温度は特に限定されないが、加熱することが好ましい。好適には50℃以上に加熱される。目的化合物を高収率で得るためには、反応温度を100℃以上とすることがより好ましい。一方、反応温度が高すぎると、副反応や熱分解が生じるおそれがある上に、エネルギー的にも不利になる。したがって、通常反応温度は300℃以下であり、好適には200℃以下である。

【0060】
本発明の製造方法によれば、フェノール化合物を高位置選択的にモノアルキル化することのできるアルキルフェノールの製造方法が提供される。具体的には、フェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基を導入することができる。オルト位に選択的に導入されるか、パラ位に選択的に導入されるかは、オレフィンの種類によって異なる。以下、3種類のオレフィンについて、順次説明する。

【0061】
第1に、下記式(IIa)で表されるオレフィンの場合、フェノール性水酸基のオルト位に1つのアルキル基を選択的に導入することができる。

【0062】
【化19】
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【0063】
上記式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。ここで、二置換オレフィンである場合の立体構造は、シス体であってもよいし、トランス体であってもよい。

【0064】
すなわち、上記式(IIa)で表されるオレフィンと、下記式(Ia)で表されるフェノール化合物とを反応させることによって、下記式(IIIa)で表されるアルキルフェノールが得られる。

【0065】
【化20】
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【0066】
【化21】
JP0005212988B2_000022t.gif

【0067】
上記各式中、R、R、R、R及びRは、前記式(I)及び(IIa)と同じである。また、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。

【0068】
このとき、上記式(Ia)で表されるフェノール化合物は、オルト位に2つの水素原子を有するが、その一方だけを選択的にアルキル化することができる。また、反応性の面からは、上記式(IIa)で表されるオレフィンにおいて、Rが水素原子であることが好ましい。すなわち、一置換オレフィン(末端オレフィン)である方が、1,2-二置換オレフィン(内部オレフィン)よりも反応性が高い。Rが水素原子であるときのRとしては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基が好適である。

【0069】
第2に、下記式(IIb)で表されるオレフィン、すなわち、ジェミナル二置換オレフィンの場合、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を選択的に導入することができる。

【0070】
【化22】
JP0005212988B2_000023t.gif

【0071】
上記式中、R及びRは、それぞれ独立してハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。

【0072】
すなわち、上記式(IIb)で表されるオレフィンと、下記式(Ib)で表されるフェノール化合物とを反応させることによって、下記式(IVb)で表されるアルキルフェノールが得られる。

【0073】
【化23】
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【0074】
【化24】
JP0005212988B2_000025t.gif

【0075】
上記各式中、R、R、R、R、R及びRは、前記式(I)及び(IIb)と同じ。R、R、R、R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。

【0076】
第3に、下記式(IIc)で表されるオレフィン、すなわち、共役ジエンである場合、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を選択的に導入することができる。これは、前記式(II)で表されるオレフィンにおいて、R、R、R及びRのいずれかが、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリールアルケニル基である場合である。

【0077】
【化25】
JP0005212988B2_000026t.gif

【0078】
上記式中、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、保護されていてもよい水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基又はアジド基である。R10、R11、R12及びR13は相互に結合して環を形成してもよい。

【0079】
すなわち、上記式(IIc)で表されるオレフィンと、下記式(Ib)で表されるフェノール化合物とを反応させることによって、下記式(IVc)又は下記式(IVd)で表されるアルキルフェノールが得られる。

【0080】
【化26】
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【0081】
【化27】
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【0082】
【化28】
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【0083】
上記各式中、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、前記式(I)及び(IIc)と同じ。R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は相互に結合して環を形成してもよい。上記式(IVc)で表されるアルキルフェノールは、共役ジエンに対して1,2-付加することによって得られ、上記式(IVd)で表されるアルキルフェノールは、共役ジエンに対して1,4-付加することによって得られる。1,2-付加するか1,4-付加するかは、オレフィン(ジエン)の種類によって異なる。

【0084】
以上のように、本発明の製造方法によれば、フェノール化合物とオレフィンとを反応させて、フェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に1つのアルキル基を導入することができる。このとき、複数のアルキル基が導入されることなく、選択的に特定の位置に1つのアルキル基を導入することができる。しかも、中性条件下で反応が進行するので、酸に敏感な官能基を有する原料を用いる場合であっても適用が可能である。したがって、様々なアルキルフェノールを合成するのに役立つと考えられる。
【実施例】
【0085】
実施例1(代表的反応例)
加熱乾燥した試験管にレニウムデカカルボニル:Re(CO)10を4.1mg(0.00625mmol)加え、アルゴン置換した。薬さじで4-メトキシフェノール31.0mg(0.250mmol)、マイクロシリンジで1-オクテン42.1mg(0.375mmol)、シリンジで溶媒のトルエン0.125mLを加え、150℃で24時間、加熱を行なった。得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、へキサン:酢酸エチル=10:1)で単離精製したところ、4-メトキシ-2-(1-メチルヘプチル)フェノールが55.5mg(0.235mmol:94%)得られた。反応式は下記式(1)の通りである。
【実施例】
【0086】
【化29】
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【実施例】
【0087】
実施例2(触媒の検討)
実施例1において、下記表1に示す触媒を用いて、温度を135℃とした以外は、実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応混合物から、単離することなくH-NMRを用いて収率を求めた。表1中、Aは原料の4-メトキシフェノール、Bは生成物のモノアルキル化体、Cはポリアルキル化体を示す。Aの回収率及びB、Cの収率を表1にまとめて示す。但し、実施例2-1では触媒を用いなかった。また、触媒の添加量は金属元素換算で5モル%にした。
【実施例】
【0088】
【表1】
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【実施例】
【0089】
表1からわかるように、無触媒では反応が進行しなかった(実施例2-1)。レニウムデカカルボニルを用いた場合には、ほぼ定量的に反応が進行した(実施例2-2)。1価のレニウム錯体を用いた場合には、収率は低下したものの選択的にモノアルキル化が進行した。(実施例2-3)。一方、3価のレニウム塩を用いた場合にも反応は進行したが、系中が複雑になり、ポリアルキル化体が多数生成した(実施例2-4)。マンガン、鉄、ルテニウム、イリジウム、クロム、タングステンのカルボニル錯体および塩化鉄を用いた場合、反応は進行しなかった(実施例2-5,6,7,8,9,10,12,13)。モリブデンヘキサカルボニルのとき、反応が進行したが、ポリアルキル化体が多くできた(実施例2-11)。塩化アルミニウムを用いた場合、反応が進行したが、ポリアルキル化体がかなり生成した(実施例2-14)。トリフルオロボランエーテル錯体を用いた場合、わずかに反応が進行したが、ポリアルキル化体も少し生成した(実施例2-15)。
【実施例】
【0090】
実施例3(フェノール化合物の検討)
実施例1において、オレフィンを実施例1と同じ1-オクテンに固定し、フェノール化合物を表2に示す化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで単離精製し、単離収率を求めた。それに加え、単離することなくH-NMRを用いての収率も求めた。結果を表2にまとめて示す。ここで、実施例3-6、3-7及び3-8は溶媒量を0.0625mLにして反応させた。実施例3-10では、オレフィンを4.5当量加えた。
【実施例】
【0091】
【表2】
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【実施例】
【0092】
パラ位に電子供与性メトキシ基を有するフェノールでは、ほぼ定量的に反応が進行した(実施例3-1)。パラ位にメチル基を有するフェノールでも、良好な収率で生成物が得られた(実施例3-2)。フェノールでは反応性が少し低下し、ジアルキル化体が4%ほどできた(実施例3-3)。電子求引性フルオロ基を有する場合でも、定量的に反応が進行した(実施例3-4)。クロロ(実施例3-5)やブロモ基(実施例3-6)を有する場合でも、良好な収率で生成物を与えた。メタ位にメトキシ基を有するフェノールでは、立体障害の小さい方のオルト位が選択的にアルキル化された(実施例3-7)。また、ジアルキル化体が10%ほどできた。カテコールを用いた場合、収率が大幅に低下した(実施例3-8)。カテコールを除いて、水酸基のオルト位に置換基がある場合(例えばo-クレゾールなど)、まったく反応しなくなる。よって、収率の低下は立体障害が影響していると考えられる。ヒドロキノンを用いた場合、オレフィン1.5当量ではモノアルキル化体とジアルキル化体の混合物を与えるが(実施例3-9)、オレフィンを4.5当量に増やすとジアルキル化体のみが得られる(実施例3-10)。
【実施例】
【0093】
実施例3-1で得られた4-メトキシ-2-(1-メチルヘプチル)フェノール(4-Methoxy-2-(1-methylheptyl)phenol)の構造データは以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.86 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.22 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.24-1.35 (m, 8H), 1.47-1.70 (m, 2H), 3.01 (tq, J = 7.2 and 6.9 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 4.46 (s, 3H), 6.60 (dd, J = 8.7 and 3.0 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 3.0 Hz, 1H).; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.0 (1C), 20.9 (1C), 22.6
(1C), 27.6 (1C), 29.4 (1C), 31.8 (1C), 32.5 (1C), 37.1 (1C), 55.7 (1C), 110.8 (1C), 113.2 (1C), 115.8 (1C), 134.9 (1C), 146.9 (1C), 153.8 (1C).
【実施例】
【0094】
実施例3-2で得られた4-メチル-2-(1-メチルヘプチル)フェノール(4-Methyl-2-(1-methylheptyl)phenol)の構造データは以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.24 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.25-1.36 (m, 8H), 1.48-1.70 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 3.01 (tq, J = 7.2 and 6.9 Hz, 1H), 4.59 (s, 1H), 6.65 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.87 (dd, J = 8.1 and 2.1 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2.1 Hz, 1H).; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.1 (1C), 20.7 (1C), 20.9
(1C), 22.6 (1C), 27.7 (1C), 29.4 (1C), 31.8 (1C), 32.2 (1C), 37.2 (1C), 115.1 (1C), 126.9 (1C), 127.6 (1C), 130.0 (1C), 133.3 (1C), 150.6 (1C).
【実施例】
【0095】
実施例3-5で得られた4-クロロ-2-(1-メチルヘプチル)フェノール(4-Chloro-2-(1-methylheptyl)phenol)の構造データは以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.87 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.21 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.23-1.35 (m, 8H), 1.47-1.62 (m, 2H), 3.00 (tq, J = 7.2 and 6.9 Hz, 1H), 4.78 (s, 1H), 6.67 (dd, J = 8.4 and 1.8 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 8.4 and 2.4 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 2.4 Hz, 1H).; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.1 (1C), 20.7 (1C), 22.6 (1C), 27.5 (1C), 29.4 (1C), 31.8 (1C), 32.3 (1C), 37.0 (1C), 116.5 (1C), 125.8 (1C), 126.3 (1C), 127.2 (1C), 135.5 (1C), 151.4 (1C).
【実施例】
【0096】
実施例3-6で得られた4-ブロモ-2-(1-メチルヘプチル)フェノール(4-Bromo-2-(1-methylheptyl)phenol)の構造データは以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.89 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.22 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.23-1.37 (m, 8H), 1.48-1.68 (m, 2H), 3.01 (tq, J = 7.2 and 6.9 Hz, 1H), 4.92 (s, 1H), 6.64 (dd, J = 8.7 and 1.8 Hz, 1H), 7.15 (dd, J = 8.7 and 2.4 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 2.4 Hz, 1H).; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.1 (1C), 20.7 (1C), 22.6
(1C), 27.5 (1C), 29.3 (1C), 31.8 (1C), 32.3 (1C), 37.0 (1C), 113.2 (1C), 117.0 (1C), 129.2 (1C), 130.0 (1C), 136.1 (1C), 152.0 (1C).
【実施例】
【0097】
実施例3-10で得られた4-ヒドロキシ-2,5-ジ(1-メチルヘプチル)フェノール(4-Hydroxy-2,5-di(1-methylheptyl)phenol)の構造データは以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.87 (t, J = 6.9 Hz, 6H), 1.18 (d, J = 6.6 Hz, 6H), 1.21-1.38 (m, 16H), 1.42-1.65 (m, 4H), 2.95 (tq, J = 6.9 Hz and 6.6 Hz, 2H), 4.64 (s, 2H), 6.56 (s, 2H).; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ14.0 (2C), 20.9 (2C), 22.6 (2C), 27.6 (2C), 29.4 (2C), 31.8 (2C), 32.0 (2C), 37.3 (2C), 113.9 (2C), 131.7 (2C), 146.7 (2C).
【実施例】
【0098】
実施例4(オレフィンの検討-1)
実施例1において、フェノール類を実施例1と同じ4-メトキシフェノールに固定し、オレフィンを表3に示す化合物に変更し、実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで単離精製し、単離収率を求めた。それに加え、単離することなくH-NMRを用いての収率も求めた。結果を表3にまとめて示す。
【実施例】
【0099】
【表3】
JP0005212988B2_000033t.gif
【実施例】
【0100】
一級または二級アルキル基を有するオレフィンでは、ともにほぼ定量的に生成物が得られた(実施例4-1、4-2)。エーテル部位やエステル部位を有するオレフィンを用いても、良好な収率で生成物を与えた(実施例4-3、4-4)。スチレンを用いた場合、モノアルキル化体とジアルキル化体が得られたが、異性体の混合物であった(実施例4-5)。内部オレフィンとして、歪んだノルボルネンが利用でき、モノアルキル化体が選択的に得られ、ジアルキル化体の異性体が6%ほどできた(実施例4-6)。
【実施例】
【0101】
実施例4-2で得られた4-メトキシ-2-(1-シクロヘキシルエチル)フェノール(4-Methoxy-2-(1-cyclohexylethyl)phenol)の構造データは以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ0.84-1.03 (m, 2H), 1.07-1.18 (m, 2H), 1.20 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.25-1.37 (m, 1H), 1.40-1.55 (m, 2H), 1.55-1.69 (m, 2H), 1.71-1.81 (m, 1H), 1.85-1.95 (m, 1H), 2.81 (dt, J = 7.5 and 7.2 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 4.64 (s, 1H), 6.61 (dd, J = 8.4 and 2.7 Hz, 1H), 6.65-6.73 (m, 2H).; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ17.8 (1C), 26.5 (2C), 30.4 (2C), 31.4 (1C), 38.2 (1C), 43.3 (1C), 55.6 (1C), 110.8 (1C), 114.1 (1C), 115.8 (1C), 134.4 (1C), 147.2 (1C), 153.6 (1C).
【実施例】
【0102】
実施例4-3で得られた4-メトキシ-2-(5-エトキシ-1-メチルペンチル)フェノール(4-Methoxy-2-(5-ethoxy-1-methylpentyl)phenol)の構造データは以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.15-1.24 (m, 6H), 1.24-1.41 (m, 2H), 1.44-1.69 (m, 4H), 3.09 (tq, J = 7.2 and 6.9 Hz, 1H), 3.35-3.53 (m, 4H), 3.76 (s, 3H), 5.64 (s, 1H), 6.58 (dd, J = 8.4 and 2.7 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 2.7 Hz, 1H).; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ15.0 (1C), 20.7 (1C), 24.0 (1C), 29.4 (1C), 31.9 (1C), 36.9 (1C), 55.6 (1C), 66.1 (1C), 70.7 (1C), 110.8 (1C), 113.0 (1C), 116.1 (1C), 135.2 (1C), 147.3 (1C), 153.6 (1C).
【実施例】
【0103】
実施例4-6で得られた2-(2-ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)-4-メトキシフェノール(2-(2-Bicyclo[2.2.1]heptyl)-4-methoxyphenol)の構造データは以下のとおりである。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.23 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 1.26-1.35 (m, 1H), 1.35-1.47 (m, 1H), 1.47-1.72 (m, 4H), 1.83 (dt, J = 9.9 and 1.8 Hz, 1H), 2.30-2.46 (m, 2H), 2.85 (dt, J = 5.7 and 3.0 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 4.73 (s, 1H), 6.60 (d, J = 8.4 and 3.0 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 2.7 Hz, 1H).; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ29.0 (1C), 30.2 (1C), 36.2 (1C), 36.8 (1C), 38.2 (1C), 40.7 (1C), 41.0 (1C), 55.7 (1C), 110.3 (1C), 112.9 (1C), 115.5 (1C), 134.6 (1C), 147.4 (1C), 153.4 (1C).
【実施例】
【0104】
実施例5(オレフィンの検討-2)
加熱乾燥した試験管にレニウムデカカルボニル:Re(CO)10を4.1mg(0.00625mmol)加え、アルゴン置換した。薬さじでフェノール23.5mg(0.250mmol)、マイクロシリンジで2-メチル-1-ウンデセン42.1mg(0.250mmol)、シリンジで溶媒のトルエン0.125mLを加え、150℃で24時間、加熱を行なった。得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、へキサン:酢酸エチル=10:1)で単離精製したところ、4-(1,1-ジメチルデシル)フェノールが58.2mg(0.222mmol:89%)および2,4-ビス(1,1-ジメチルデシル)フェノールが4.6mg(0.011mmol:4%)得られた。反応式は下記式(2)の通りである。このように、ジェミナル二置換のオレフィンを用いた場合には、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を導入することができた。
【実施例】
【0105】
【化30】
JP0005212988B2_000034t.gif
【実施例】
【0106】
実施例6(オレフィンの検討-3)
加熱乾燥した試験管にレニウムデカカルボニル:Re(CO)10を4.1mg(0.00625mmol)加え、アルゴン置換した。薬さじでフェノール23.5mg(0.250mmol)、マイクロシリンジで(E)-2-メチル-1,3-テトラデカジエン52.1mg(0.250mmol)、シリンジで溶媒の1,2-ジクロロエタン0.125mLを加え、115℃で24時間、加熱を行なった。得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、へキサン:酢酸エチル=10:1)で単離精製したところ、4-(1-デシル-3-メチル-2-ブテニル)フェノールが21.2mg(0.070mmol:28%)得られた。この場合、原料のフェノールは67%回収された。反応式は下記式(3)の通りである。このようなジエンを用いた場合には、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を導入することができた。このとき、共役ジエンに対して1,4-付加反応が進行した。
【実施例】
【0107】
【化31】
JP0005212988B2_000035t.gif
【実施例】
【0108】
実施例7(オレフィンの検討-4)
加熱乾燥した試験管にレニウムデカカルボニル:Re(CO)10を4.1mg(0.00625mmol)加え、アルゴン置換した。薬さじでフェノール23.5mg(0.250mmol)、マイクロシリンジで(E)-4-フェニル-1,3-ブタジエン32.5mg(0.250mmol)、シリンジで溶媒の1,2-ジクロロエタン0.125mLを加え、115℃で24時間、加熱を行なった。得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、へキサン:酢酸エチル=10:1)で単離精製したところ、(E)-4-(1-メチル-3-フェニル-2-プロペニル)フェノールが24.0mg(0.107mmol:43%)得られた。この場合、原料のフェノールは55%回収された。反応式は下記式(4)の通りである。
【実施例】
【0109】
【化32】
JP0005212988B2_000036t.gif
【実施例】
【0110】
上記と同様の実験操作を行ない115℃で24時間加熱したのち、さらに150℃で24時間加熱を行なった。得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、へキサン:酢酸エチル=10:1)で単離精製したところ、1-メチル-3-フェニル-5-インダノールが13.9mg(0.0625mmol:25%)得られた。この場合、原料のフェノールは55%回収された。得られた1-メチル-3-フェニル-5-インダノールは、2種のジアステレオマーの68:32の混合物であった。反応式は下記式(5)の通りである。
【実施例】
【0111】
【化33】
JP0005212988B2_000037t.gif
【実施例】
【0112】
このように、フェノール性水酸基のパラ位に1つのアルキル基を導入することができた。このとき、共役ジエンに対して1,2-付加反応が進行した。