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明細書 :吸着式冷凍機用蒸気バルブ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5472854号 (P5472854)
公開番号 特開2011-202922 (P2011-202922A)
登録日 平成26年2月14日(2014.2.14)
発行日 平成26年4月16日(2014.4.16)
公開日 平成23年10月13日(2011.10.13)
発明の名称または考案の名称 吸着式冷凍機用蒸気バルブ
国際特許分類 F25B  17/08        (2006.01)
F25B  41/04        (2006.01)
F16K  15/03        (2006.01)
FI F25B 17/08 A
F25B 41/04 J
F16K 15/03 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2010-072534 (P2010-072534)
出願日 平成22年3月26日(2010.3.26)
審査請求日 平成25年2月14日(2013.2.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】小林 敬幸
【氏名】角谷 忠義
個別代理人の代理人 【識別番号】110001128、【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
審査官 【審査官】田々井 正吾
参考文献・文献 特開平9-152221(JP,A)
特開2010-286086(JP,A)
国際公開第2006/135026(WO,A1)
特開2002-257250(JP,A)
調査した分野 F25B 17/08
F16K 15/03
F25B 41/04
特許請求の範囲 【請求項1】
冷媒を吸着・脱離する吸着剤を有する吸着式冷凍機における蒸気冷媒の流通を制御する蒸気バルブであって、
前記蒸気冷媒が存在する空間を形成するケーシング(24)と、
前記ケーシング(24)の内部空間を2つの空間(241、242、243、244)に区画するとともに、前記2つの空間(241~244)を連通させる連通口(261、262、263、264)が設けられた区画部材(26)と、
前記連通口(261~264)を開閉する弁体(271、272、273、274)とを備え、
前記弁体(271~274)は、前記2つの空間(241~244)の圧力差に応じて前記連通口(261~264)を開閉する板で構成され、
前記区画部材(26)には、水平方向に対して傾斜した板形状を有する傾斜板部が形成され、
前記連通口(261~264)は、前記傾斜板部の表裏を貫通する孔で構成されていることを特徴とする吸着式冷凍機用蒸気バルブ。
【請求項2】
前記弁体(271~274)は、前記連通口(261~264)に対して重力方向上方側に配置され、その一端部が前記傾斜板部のうち前記連通口(261~264)よりも重力方向上方側の部位に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の吸着式冷凍機用蒸気バルブ。
【請求項3】
前記ケーシング(24)には、前記2つの空間(241、242、243)のうち前記傾斜板部に対して重力方向上方側に位置する空間(243)から液冷媒を流出させる液冷媒流出口(28)が、前記連通口(261、263)よりも重力方向下方側に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸着式冷凍機用蒸気バルブ。
【請求項4】
前記区画部材(26)には、水平方向に対する角度が前記傾斜板部よりも垂直に近い垂直板部が、前記傾斜板部の重力方向下方側に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸着式冷凍機用蒸気バルブ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒を吸着・脱離する吸着剤を有する吸着式冷凍機において、蒸気冷媒の流通を制御する蒸気バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蒸気バルブが特許文献1、2に記載されている。特許文献1の蒸気バルブは、第1吸脱着器の内圧と第2吸脱着器の内圧との圧力差によって摺動するピストン弁体を内部に有するシリンダ部を備え、圧力差に応じてピストン弁体が自動的に移動することによって蒸気通路の開閉が行われる。
【0003】
また、特許文献2の蒸気バルブは、弁口に対向する側が凸となるような曲面を有する殻状の弁体を備え、弁口の前後の圧力差に応じて弁体が弁口と接触したり離間したりすることによって蒸気通路の開閉が行われる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開第2006/135026号
【特許文献2】特開2002-257250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、吸着式冷凍機は、小出力に対応した設備開発が求められている。そして、小出力に対応した設備開発においては、吸着式冷凍機の体格を小型化することも重要な課題である。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、蒸気バルブがピストン弁体およびシリンダ部を備えているため、蒸気バルブの体格が大きくなってしまい、吸着式冷凍機を小型化する際の障害となってしまう。
【0007】
上記特許文献2の従来技術では、圧力差に応じて殻状の弁体が弁口に対して接触・離間するという構成であるので、上記特許文献1の従来技術と比較して蒸気バルブの体格を小型化できるものの、蒸気冷媒の凝縮によって開閉作動に支障をきたすという問題がある。すなわち、蒸気冷媒の凝縮により発生した液冷媒が弁体の凹部に滞留することで弁体の作動に支障をきたすという問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、体格を小型化でき、かつ蒸気冷媒が凝縮しても開閉作動を良好に行うことのできる吸着式冷凍機用蒸気バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、蒸気冷媒が存在する空間を形成するケーシング(24)と、
ケーシング(24)の内部空間を2つの空間(241、242、243、244)に区画するとともに、2つの空間(241~244)を連通させる連通口(261、262、263、264)が設けられた区画部材(26)と、
連通口(261~264)を開閉する弁体(271、272、273、274)とを備え、
弁体(271~274)は、2つの空間(241~244)の圧力差に応じて連通口(261~264)を開閉する板で構成され、
区画部材(26)には、水平方向に対して傾斜した板形状を有する傾斜板部が形成され、
連通口(261~264)は、傾斜板部の表裏を貫通する孔で構成されていることを特徴とする。
【0010】
これによると、蒸気バルブを、連通口(261~264)が形成された区画部材(26)と、差圧によって連通口(261~264)を開閉する板状の弁体(271~274)とで構成しているので、蒸気バルブの構成が非常に簡素である。このため、蒸気バルブの体格を小型化できる。
【0011】
しかも、区画部材(26)に、水平方向に対して傾斜した傾斜板部が形成され、連通口(261~264)は、傾斜板部の表裏を貫通する孔で構成されているので、区画部材(26)の表面で蒸気冷媒が冷やされて凝縮しても、凝縮した液冷媒が傾斜板部を下方側へ速やかに流下する。このため、凝縮した液冷媒が連通口(261~264)の周縁部や弁体(271~274)上に滞留することを抑制できるので、蒸気冷媒が凝縮しても、弁体(271~274)による連通口(261~264)の開閉作動を良好に行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の吸着式冷凍機用蒸気バルブにおいて、弁体(271~274)は、連通口(261~264)に対して重力方向上方側に配置され、その一端部が傾斜板部のうち連通口(261~264)よりも重力方向上方側の部位に固定されていることを特徴とする。
【0013】
これにより、傾斜板部における液冷媒の流下が弁体(271~274)によって妨げられることを抑制できるので、凝縮した液冷媒が連通口(261~264)の周縁部や弁体(271~274)上に滞留することを一層抑制できる。このため、蒸気冷媒が凝縮しても、弁体(271~274)による連通口(261~264)の開閉作動を一層良好に行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の吸着式冷凍機用蒸気バルブにおいて、ケーシング(24)には、2つの空間(241、242、243)のうち傾斜板部に対して重力方向上方側に位置する空間(243)から液冷媒を流出させる液冷媒流出口(28)が、連通口(261、263)よりも重力方向下方側に形成されていることを特徴とする。
【0015】
これによると、傾斜板部を流下した液冷媒が液冷媒流出口(28)から流出するので、凝縮した液冷媒が連通口(261、263)の周縁部や弁体(271、273)上に滞留することを一層抑制できる。このため、蒸気冷媒が凝縮しても、弁体(271、273)による連通口(261、263)の開閉作動を一層良好に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の吸着式冷凍機用蒸気バルブにおいて、区画部材(26)には、水平方向に対する角度が傾斜板部よりも垂直に近い垂直板部が、傾斜板部の重力方向下方側に形成されていることを特徴とする。
【0017】
これによると、傾斜板部を流下した液冷媒が、垂直板部によって区画される空間、すなわち連通口(262、264)の下方側に位置する空間に溜まることとなるので、凝縮した液冷媒が連通口(262、264)の周縁部や弁体(272、274)上に滞留することを一層抑制できる。このため、蒸気冷媒が凝縮しても、弁体(272、274)による連通口(262、264)の開閉作動を一層良好に行うことができる。
【0018】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における吸着式冷凍機の全体構成図であり、第1の作動状態を示している。
【図2】冷凍機ユニットの斜視図である。
【図3】図2の冷凍機ユニットの断面図であり、第1の作動状態を示している。
【図4】本発明の第1実施形態における吸着式冷凍機の全体構成図であり、第2の作動状態を示している。
【図5】図2の冷凍機ユニットの断面図であり、第2の作動状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について図1~図5に基づいて説明する。図1は本実施形態における吸着式冷凍機を示す全体構成図である。吸着式冷凍機は、第1、第2の2つの吸着器11、12、凝縮器13および蒸発器14を備えている。

【0021】
第1、第2吸着器11、12の内部には第1熱媒体(本実施形態では水)が流通する。、第1、第2吸着器11、12の表面には、冷媒を吸着・脱離する吸着剤が保持されている。

【0022】
第1、第2吸着器11、12の内部に流通する第1熱媒体としては、熱源15で加熱された高温熱媒体と、室外器16で冷却された低温熱媒体とを切り替え可能になっている。室外器16は、熱媒体と室外空気とを熱交換させて第1熱媒体を冷却する放熱用熱交換器である。

【0023】
第1、第2吸着器11、12の内部に低温熱媒体が流通している場合には、吸着剤は蒸気冷媒を吸着する。第1、第2吸着器11、12の内部に高温熱媒体が流通している場合には、吸着剤は冷媒を脱離する。吸着剤としては、ゼオライトやシリカゲル等を用いることができる。

【0024】
凝縮器13は、室外器16で冷却された第1熱媒体と、第1、第2吸着器11、12のいずれか一方で脱離した蒸気冷媒(本実施形態では水蒸気)とを熱交換させて蒸気冷媒を凝縮させる。

【0025】
蒸発器14は、凝縮器13で凝縮した液冷媒(本実施形態では水)と室内器17からの第2熱媒体(本実施形態では水)とを熱交換させて液冷媒を蒸発させる。蒸発器14で蒸発した蒸気冷媒は、第1、第2吸着器11、12のいずれか一方に吸着される。室内器17は、蒸発器14で吸熱された第2熱媒体と室内空気とを熱交換させて室内空気を冷却する冷却用熱交換器である。

【0026】
第1、第2吸着器11、12、凝縮器13および蒸発器14の間の蒸気冷媒の流通は、蒸気バルブ18によって制御される。

【0027】
図1中、ポンプ19、20は第1熱媒体を循環させるものであり、ポンプ21は第2熱媒体を循環させるものである。切換弁22、23は第1熱媒体の循環経路を切り換えるものである。

【0028】
図2、図3に示すように、第1、第2吸着器11、12、凝縮器13、蒸発器14および蒸気バルブ18は、ケーシング24内に収容されて1つの冷凍機ユニット25を構成している。図2は、冷凍機ユニット25の内部を一部透視して示す斜視図であり、図3は冷凍機ユニット25の断面図である。図2、図3中、上下の矢印は、冷凍機ユニット25の設置状態における上下方向(重力方向)を示している。

【0029】
ケーシング24は、直方体状の外形を有しており、内部が気密状態に保たれた状態で冷媒が封入されている。ケーシング24の内部には、直方体状の内部空間を上下左右の4つの空間241~244に区画する区画部材26が設けられている。

【0030】
左側空間241の上部および下部には第1吸着器12が収容されている。同様に、右側空間242の上部および下部には第2吸着器13が収容されている。上側空間243の上部には凝縮器13が収容され、下側空間244の下部には蒸発器14が収容されている。

【0031】
区画部材26は、複数の板部を組み合わせて構成されている。より具体的には、区画部材26のうち、上側空間243を他の3つの空間241、242、244に対して区画する部位であって、凝縮器13の下方側に位置する部位は、左方側から左右方向中央側に向かうにつれて下方側に傾斜する傾斜板部と、右方側から左右方向中央側に向かうにつれて下方側に傾斜する傾斜板部とをV字状に組み合わせて構成されている。

【0032】
また、区画部材26のうち、左側空間241と下側空間244とを区画する部位であって、蒸発器14の上方側に位置する部位は、左右方向中央側から左方側に向かうにつれて下方側に傾斜する傾斜板部で構成されている。この傾斜板部の下方側部位は、水平方向に対して垂直に延びる垂直板部で構成されている。

【0033】
同様に、区画部材26のうち、右側空間242と下側空間244とを区画する部位であって、蒸発器14の上方側に位置する部位は、左右方向中央側から右方側に向かうにつれて下方側に傾斜する傾斜板部で構成されている。この傾斜板部の下方側部位は、水平方向に対して垂直に延びる垂直板部で構成されている。

【0034】
本実施形態では、上述の傾斜板部はいずれも平板形状を有しているが、平板形状に限定されるものではなく、断面円弧状の曲板や、微小な凹凸のある平板等の種々の板形状を有していてもよい。また、垂直板部は、必ずしも水平方向に対して垂直に延びている必要はなく、水平方向に対する角度が傾斜板部よりも垂直に近くなっていればよい。

【0035】
上述の傾斜板部には、左側空間241と上側空間243とを連通する連通口261、左側空間241と下側空間244とを連通する連通口262、右側空間242と上側空間243とを連通する連通口263、および右側空間242と下側空間244とを連通する連通口264が形成されている。

【0036】
これら連通口261~264は、傾斜板部の表裏を貫通する孔で構成されており、図1の蒸気バルブ18の弁口の役割を果たす。本実施形態では、連通口261~264は矩形状に多数個ずつ形成されている。

【0037】
蒸気バルブ18の弁体、すなわち連通口261~264を開閉する弁体271、272、273、274は、区画部材26に設けられた板によって構成されている。弁体271、272、273、274は、連通口261~264の前後の差圧によって連通口261~264を自動開閉するリード弁状の部材であり、その一端部が区画部材26に固定されている。

【0038】
弁体271~274の材料としては、ポリカーボネート樹脂等を用いることができる。弁体271~274の材料として、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタン等の弾性材料を用いれば、連通口261~264の周縁部に対する弁体271~274の密着性を高めることができて好ましい。また、弁体271~274を薄い金属板等の弾性体で構成してもよい。本実施形態では、弁体271~274は矩形状に形成されている。

【0039】
弁体271~274の重量は、区画部材26の傾斜角度と圧力差とによって決定される。これにより、弁体271~274は、連通口261~264の前後の圧力差に応じて連通口261~264の周縁部に対して密着したり離間したりする。

【0040】
連通口261を開閉する弁体271は、区画部材26の傾斜板部に対して上側空間243側に配置され、その一辺が連通口261の上縁側にて区画部材26の傾斜板部に固定されている。これにより、弁体271は、左側空間241の内圧が上側空間243の内圧よりも高い場合に連通口261を開放し、それ以外の場合には連通口261を閉塞する。

【0041】
連通口262を開閉する弁体272は、区画部材26の傾斜板部に対して左側空間241側に配置され、その一辺が連通口262の上縁側にて区画部材26の傾斜板部に固定されている。これにより、弁体272は、下側空間244の内圧が左側空間241の内圧よりも高い場合に連通口262を開放し、それ以外の場合には連通口262を閉塞する。

【0042】
連通口263を開閉する弁体273は、区画部材26の傾斜板部に対して上側空間243側に配置され、その一辺が連通口263の上縁側にて区画部材26の傾斜板部に固定されている。これにより、弁体273は、右側空間242の内圧が上側空間243の内圧よりも高い場合に連通口263を開放し、それ以外の場合には連通口263を閉塞する。

【0043】
連通口264を開閉する弁体274は、区画部材26の傾斜板部に対して右側空間242側に配置され、その一辺が連通口264の上縁側にて区画部材26の傾斜板部に固定されている。これにより、弁体274は、下側空間244の内圧が右側空間242の内圧よりも高い場合に連通口264を開放し、それ以外の場合には連通口264を閉塞する。

【0044】
ケーシング24のうち上側空間243の最下部に位置する壁面には、凝縮器13で凝縮した液冷媒を流出させる液冷媒流出口28が形成されている。ケーシング24のうち下側空間244に位置する壁面には、液冷媒流出口28からの液冷媒を下側空間244に流入させる液冷媒流入口29が形成されている。液冷媒流出口28および液冷媒流入口29には、ケーシング24の外部に配置された液冷媒配管30が接続されている。

【0045】
図示を省略しているが、ケーシング24には、第1、第2吸着器11、12および凝縮器13に第1熱媒体を流入出させる配管、ならびに蒸発器14に第2熱媒体を流入出させる配管をケーシング24の外部に引き出すための配管引出孔が形成されている。

【0046】
次に、上記構成における作動を説明する。まず切換弁22、23を図1に示すように作動させて、熱源15と第1吸着器12との間に高温の第1熱媒体を循環させるとともに、室外器16と第2吸着器13および凝縮器13との間に低温の第1熱媒体を循環させる。

【0047】
これにより、第1吸着器12が、吸着していた冷媒を脱離する脱離行程となり、第2吸着器13が、蒸気冷媒を吸着する吸着行程となるので、第1吸着器12では吸着剤の再生が行われ、第2吸着器13で発生した冷凍能力により室内に吹き出す空気が冷却される。

【0048】
このとき、冷凍機ユニット25において、第1吸着器12からの冷媒の脱離によって、第1吸着器12が収容された左側空間241の内圧が上昇するので、弁体271が連通口261を開放する。これにより、第1吸着器12から脱離した蒸気冷媒が左側空間241から上側空間243へと流れて凝縮器13で凝縮される。

【0049】
凝縮器13で凝縮された液冷媒は区画部材26の傾斜板部に落下し、区画部材26の傾斜板部に沿って上側空間243の最下部に流下し、液冷媒流出口28、液冷媒配管30および液冷媒流入口29を通じて下側空間244に流入する。下側空間244に流入した液冷媒は、蒸発器14で蒸発する。

【0050】
そして、蒸発器14による液冷媒の蒸発によって、蒸発器14が収容された下側空間244の内圧が上昇するので、弁体274が連通口264を開放する。これにより、蒸発器14で蒸発した蒸気冷媒が下側空間244から右側空間242へと流れて第2吸着器13で吸着される。

【0051】
なお、下側空間244の内圧は左側空間241の内圧よりも低いので、連通口262は弁体272によって閉塞される。また、右側空間242の内圧は上側空間243の内圧よりも低いので、連通口263は弁体273によって閉塞される。

【0052】
そして、この状態(第1の作動状態)で所定時間が経過したときに、切換弁22、23を図4に示すように作動させて、熱源15と第2吸着器13との間に高温の第1熱媒を循環させるとともに、室外器16と第1吸着器12および凝縮器13との間に低温の第1熱媒体を循環させる。

【0053】
これにより、第1吸着器12が吸着行程となり、第2吸着器13が脱離行程となるので、第1吸着器12で発生した冷凍能力により空調風が冷却され、第2吸着器13にて吸着剤の再生が行われる。

【0054】
このとき、冷凍機ユニット25において、第2吸着器13からの冷媒の脱離によって、第2吸着器13が収容された右側空間242の内圧が上昇するので、図5のように弁体273が連通口263を開放する。これにより、第2吸着器13から脱離した蒸気冷媒が右側空間242から上側空間243へと流れて凝縮器13で凝縮される。

【0055】
凝縮器13で凝縮された液冷媒は区画部材26の傾斜板部に落下し、区画部材26の傾斜板部に沿って上側空間243の最下部に流下し、液冷媒流出口28、液冷媒配管30および液冷媒流入口29を通じて下側空間244に流入する。下側空間244に流入した液冷媒は、蒸発器14で蒸発する。

【0056】
そして、蒸発器14による液冷媒の蒸発によって、蒸発器14が収容された下側空間244の内圧が上昇するので、弁体272が連通口262を開放する。これにより、蒸発器14で蒸発した蒸気冷媒が下側空間244から左側空間241へと流れて第1吸着器12で吸着される。

【0057】
なお、下側空間244の内圧は右側空間242の内圧よりも低いので、連通口264は弁体274によって閉塞される。また、左側空間242の内圧は上側空間243の内圧よりも低いので、連通口261は弁体271によって閉塞される。

【0058】
そして、この状態(第2の作動状態)で所定時間が経過したとき、切換弁22、23を作動させて再び図1の状態(第1の作動状態)とする。このように、図1、図3の第1の作動状態と図4、図5の第2の作動状態とを所定時間毎に交互に繰り返して、吸着式冷凍機を連続的に稼働させる。

【0059】
なお、所定時間は、ケーシング24内に存在する液冷媒の残量や、第1、第2吸着器12の吸着剤の吸着能力等に基づいて適宜選定されるものである。

【0060】
本実施形態によると、蒸気バルブ18が、連通口261~264が形成された区画部材26と、差圧によって連通口261~264を開閉する板状の弁体271~274とで構成されていて、極めて簡素になっている。このため、蒸気バルブ18の体格を小型化でき、ひいては吸着式冷凍機を小型化することが可能になる。

【0061】
しかも、連通口261~264は区画部材26のうち水平方向に対して傾斜した傾斜平面部に形成されているので、区画部材26の表面で蒸気冷媒が冷やされて凝縮しても、凝縮した液冷媒が区画部材26の傾斜板部を下方側へ速やかに流下するので、凝縮した液冷媒が連通口261~264の周縁部や弁体271~274上に滞留することを抑制できる。このため、蒸気冷媒が凝縮しても、弁体271~274による連通口261~264の開閉作動を支障なく良好に行うことができる。

【0062】
さらに、弁体271~274は、連通口261~264に対して重力方向上方側に配置され、その一端部が区画部材26の傾斜板部のうち連通口261~264よりも重力方向上方側の部位に固定されているので、傾斜板部における液冷媒の流下が弁体271~274によって妨げられることを抑制できる。

【0063】
このため、凝縮した液冷媒が連通口261~264の周縁部や弁体271~274上に滞留することを一層抑制できるので、蒸気冷媒が凝縮しても、弁体271~274による連通口261~264の開閉作動を一層良好に行うことができる。

【0064】
また、上側空間243において、区画部材26の傾斜板部を流下した液冷媒は、上側空間243の最下部に位置する液冷媒流出口28から流出するので、凝縮した液冷媒が連通口261、263の周縁部や弁体271、273上に滞留することを一層抑制できる。このため、蒸気冷媒が凝縮しても、弁体271、273による連通口261、263の開閉作動を一層良好に行うことができる。

【0065】
また、区画部材26のうち連通口262、264が形成された傾斜板部の下方側部位は、水平方向に対して垂直に延びる垂直板部で構成されているので、左側空間241、右側空間242において区画部材26の傾斜板部を流下した液冷媒は、垂直板部によって区画される空間、すなわち連通口262、264の下方側に位置する空間に溜まることとなる。このため、凝縮した液冷媒が連通口262、264の周縁部や弁体272、274上に滞留することを一層抑制できるので、蒸気冷媒が凝縮しても、弁体272、274による連通口262、264の開閉作動を一層良好に行うことができる。

【0066】
(他の実施形態)
なお、上記一実施形態では、連通口261~264が矩形状に形成されているが、連通口261~264は円形状に形成されていてもよい。

【0067】
また、上記一実施形態では、弁体271~274は、連通口261~264に対して重力方向上方側に配置されているが、弁体271~274は、連通口261~264に対して重力方向下方側に配置されていてもよい。

【0068】
ただし、このような配置を採用する場合には、上記一実施形態に対して区画部材26の傾斜板部の傾斜方向を逆にする必要がある。例えば、区画部材26のうち連通口261が形成された傾斜板部を左右方向中央側から左方側に向かうにつれて下方側に傾斜する形状にすれば、弁体271を連通口261に対して重力方向下方側に配置することで上記一実施形態と同様の開閉作動が可能となる。

【0069】
また、上記一実施形態では、板状の弁体271~274は、その一端部が区画部材26のうち連通口261よりも重力方向上方側の部位に固定されているが、弁体271~274は、その一端部が区画部材26のうち連通口261よりも重力方向下方側の部位に固定されていてもよい。

【0070】
また、上記一実施形態では、第1、第2吸着器11、12、凝縮器13、蒸発器14および蒸気バルブ18は、ケーシング24内に収容されて1つの冷凍機ユニット25を構成しているが、第1、第2吸着器11、12、凝縮器13、蒸発器14および蒸気バルブ18を別々のケーシング内に収容して冷媒配管で接続する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
11、12 吸着器
13 凝縮器
14 蒸発器
18 蒸気バルブ
24 ケーシング
241 左側空間
242 右側空間
243 上側空間
244 下側空間
26 区画部材
261~264 連通口
271~274 弁体
28 冷媒流出口
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4