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明細書 :農作業支援プログラム、及び農作業支援方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4572417号 (P4572417)
公開番号 特開2005-160423 (P2005-160423A)
登録日 平成22年8月27日(2010.8.27)
発行日 平成22年11月4日(2010.11.4)
公開日 平成17年6月23日(2005.6.23)
発明の名称または考案の名称 農作業支援プログラム、及び農作業支援方法
国際特許分類 A01G   7/00        (2006.01)
G06Q  50/00        (2006.01)
FI A01G 7/00 603
G06F 17/60 102
請求項の数または発明の数 12
全頁数 20
出願番号 特願2003-405783 (P2003-405783)
出願日 平成15年12月4日(2003.12.4)
審査請求日 平成18年12月1日(2006.12.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】松尾 陽介
【氏名】濱田 安之
【氏名】行本 修
【氏名】山本 聡史
個別代理人の代理人 【識別番号】100087480、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 修平
審査官 【審査官】村田 泰利
参考文献・文献 特開平07-253815(JP,A)
特開2004-213239(JP,A)
特開2003-139765(JP,A)
特開平11-299351(JP,A)
特開平11-346578(JP,A)
特開2002-215717(JP,A)
特開2000-279030(JP,A)
鈴木 恵二、嘉数 侑昇,ロボットトラクタシステム-精密農法による食糧生産技術の新潮流,システム/制御/情報 : システム制御情報学会誌,日本,システム制御情報学会,2002年 5月15日,Vol.46(5),pp.252-259
澁澤 栄,精密農法日本モデルと土壌センサ,日本機械学会2003年度年次大会講演資料集 ,日本,社団法人日本機械学会,2003年 8月 5日,VIII(03-1) ,pp.201-202
調査した分野 A01G 7/00
A01B 69/00
G06Q 50/00
G09B 29/00
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
データとそのデータに対する処理手続きを一体化させた、地図に関する地図オブジェクト、地表上に存在する物体に関する物体オブジェクト、天候に関する天候オブジェクト、気候に関する気候オブジェクト、土壌に関する土壌オブジェクト、生物の育成に関する生育オブジェクト、作物の収穫量に関する収量オブジェクト、作業車両の経路を作成する経路作成オブジェクト、肥料又は農薬の散布量を算出する肥料又は農薬オブジェクト、及び警告情報を生成する警告オブジェクト、並びに前記地図オブジェクトの各地点に対応する前記各オブジェクトのデータを時間的又は空間的に演算し、該演算結果を用いて生成される新たなオブジェクト、のうちの複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行って、前記複数のオブジェクトが有するデータと処理手続きとから、新たな農作業支援情報を生成する第1ステップと、
前記新たな農作業支援情報の生成に用いられる各オブジェクトのデータのうち、前記地図オブジェクトの各地点に対応するデータに基づき、前記各地点の間を補間する地点又は前記各地点を統合する地点の情報を演算し、当該演算した情報を前記各オブジェクトに保持させる第2ステップと、
を汎用のコンピュータに実行させる農作業支援プログラム。
【請求項2】
前記第1ステップは、外部から取得した前記物体オブジェクトの作業車両の位置情報に基づいて、前記作業車両における作業経路を生成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の農作業支援プログラム。
【請求項3】
前記第1ステップは、外部から取得した前記物体オブジェクトの作業車両の位置情報に基づいて、前記作業車両の経路上における肥料又は農薬の散布量を算出するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の農作業支援プログラム。
【請求項4】
前記第1ステップは、所定の測定装置により測定した土壌オブジェクト、生育オブジェクト又は収量オブジェクトに含まれる情報と、前記測定装置が測定した地点の位置情報とを外部から取得し、取得した該情報から前記農作業支援情報を生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の農作業支援プログラム。
【請求項5】
データとそのデータに対する処理手続きを一体化させた、地図に関する地図オブジェクト、地表上に存在する物体に関する物体オブジェクト、天候に関する天候オブジェクト、気候に関する気候オブジェクト、土壌に関する土壌オブジェクト、生物の育成に関する生育オブジェクト、作物の収穫量に関する収量オブジェクト、作業車両の経路を作成する経路作成オブジェクト、肥料又は農薬の散布量を算出する肥料又は農薬オブジェクト及び警告情報を生成する警告オブジェクト、並びに前記地図オブジェクトの各地点に対応する前記各オブジェクトのデータを時間的又は空間的に演算し、該演算結果を用いて生成される新たなオブジェクト、のうちの複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行って、前記複数のオブジェクトが有するデータと処理手続きとから、新たな農作業支援情報を生成する第1の工程と、
前記農作業支援情報を外部へ送信する第2の工程と、
前記新たな農作業支援情報の生成に用いられる各オブジェクトのデータのうち、前記地図オブジェクトの各地点に対応するデータに基づき、前記各地点の間を補間する地点又は前記各地点を統合する地点の情報を演算し、当該演算した情報を前記各オブジェクトに保持させる第3の工程と、を有することを特徴とする農作業支援方法。
【請求項6】
前記複数のオブジェクトの情報は、前記地図オブジェクトの地図データに基づいて、一元的に管理されていることを特徴とする請求項記載の農作業支援方法。
【請求項7】
前記第1の工程は、外部から取得した前記物体オブジェクト内の作業車両の位置情報に基づき前記作業車両の作業経路を生成する工程を含むことを特徴とする請求項又はに記載の農作業支援方法。
【請求項8】
前記第1の工程は、外部から取得した前記物体オブジェクトの作業車両の位置情報に基づき前記作業車両の経路上における肥料又は農薬の散布量を算出する工程を含むことを特徴とする請求項又はに記載の農作業支援方法。
【請求項9】
前記農作業支援方法は更に、所定の測定装置が測定した測定情報及び前記所定の測定装置が測定した地点における位置情報を外部から取得する第4の工程を有し、
前記第1の工程は、前記第4の工程で取得した測定情報及び位置情報に基づき、前記農作業支援情報を生成することを特徴とする請求項又はに記載の農作業支援方法。
【請求項10】
地図に関する地図オブジェクト、地表上に存在する物体に関する物体オブジェクト、天候に関する天候オブジェクト、気候に関する気候オブジェクト、土壌に関する土壌オブジェクト、生物の育成に関する生育オブジェクト、作物の収穫量に関する収量オブジェクト、作業車両の経路を作成する経路作成オブジェクト、肥料又は農薬の散布量を算出する肥料又は農薬オブジェクト、及び警告情報を生成する警告オブジェクト、並びに前記地図オブジェクトの各地点に対応する前記各オブジェクトのデータを時間的又は空間的に演算し、該演算結果を用いて生成される新たなオブジェクト、のうちの複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行って、前記複数のオブジェクトが有するデータと処理手続きとから生成した農作業を支援するための農作業支援情報を外部から受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した農作業支援情報を表示手段に表示する表示工程と、を有し、
前記各オブジェクトは、前記地図オブジェクトの各地点に対応する前記各オブジェクトのデータに基づいて演算される、前記各地点の間を補間する地点又は前記各地点を統合する地点の情報を保持していることを特徴とする農作業支援方法。
【請求項11】
前記農作業支援情報は、車両の作業経路、肥料散布量又は農薬散布量を含み、
前記車両の作業経路に基づき農用車両に自動運転を行わせるための制御命令を出力する工程、又は前記肥料散布量若しくは前記農薬散布量に基づき農車両に所定量の施肥若しくは農薬散布を行わせるための制御命令を出力する工程を更に有することを特徴とする請求項10記載の農作業支援方法。
【請求項12】
前記農作業支援方法は更に、所定の測定装置が測定した測定情報及び前記所定の測定装置が測定した地点の位置情報を取得し、これらの情報を前記外部装置へ送信する工程を有することを特徴とする請求項10又は請求項11記載の農作業支援方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業支援プログラム及び農作業支援方法に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、農用トラクタ等において、対地速度センサを利用し、車両の走行速度や既作業面積、作業効率などを検出、演算し、表示する装置が提案されている。また、自動車において、GPSやジャイロセンサを利用し、現在位置や目的地までの経路、所要時間などを検出、演算し、地図情報とともに表示する装置が提案されている。
【0003】
しかし、薬剤散布のような作業の痕跡が不明瞭な作業や作業幅が広い作業では、オペレータにとっては行程間の適切な作業オーバーラップを維持することが難しく、作業能率や資材の利用効率、環境への影響といった点で問題があるということが指摘されている。このような問題点を解決する従来技術として特許文献1記載の運行支援装置が提案されている。
【0004】
この特許文献1記載の運行支援装置は、車両の位置情報、車両走行方位情報、車両傾斜や作業機の昇降などの車両状態、及び経過時間を取得して、運転席前方の表示装置の表示部に、ほ場区画線と、現在位置に車両を表示するマーク、走行軌跡を表示するようにしたので、トラクタなどのほ場作業車両の有人運転時に、車両位置情報などを基に、作業軌跡や進行方向などの運転支援情報を車両上でモニタすることができるというものである。
【0005】

【特許文献1】特開平10-66403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の運行支援装置では、作業軌跡や進行方向などの運転支援情報を操作者に提供することができるものの、ほ場内のある地点に投入する肥料、薬剤の総量低減、収穫量、品質の向上、ばらつき低下を目的とする精密農業を十分に行うことができないという問題があった。
【0007】
また、無駄のない効率的な農用車両における運転支援、肥料、薬剤の投入量、生産予測等の農家経営に資する資料の取得、農作業を請負った相手や消費者に対する作業証明等も十分に行うことができないという問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、精密農業を行うことができるとともに、無駄のない効率的な運転支援を行うことができる農作業支援プログラム及び農作業支援方法を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の農作業支援プログラムは、データとそのデータに対する処理手続きを一体化させた、地図に関する地図オブジェクト、地表上に存在する物体に関する物体オブジェクト、天候に関する天候オブジェクト、気候に関する気候オブジェクト、土壌に関する土壌オブジェクト、生物の育成に関する生育オブジェクト、作物の収穫量に関する収量オブジェクト、作業車両の経路を作成する経路作成オブジェクト、肥料又は農薬の散布量を算出する肥料又は農薬オブジェクト、及び警告情報を生成する警告オブジェクト、並びに前記地図オブジェクトの各地点に対応する前記各オブジェクトのデータを時間的又は空間的に演算し、該演算結果を用いて生成される新たなオブジェクト、のうちの複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行って、前記複数のオブジェクトが有するデータと処理手続きとから、新たな農作業支援情報を生成する第1ステップと、前記新たな農作業支援情報の生成に用いられる各オブジェクトのデータのうち、前記地図オブジェクトの各地点に対応するデータに基づき、前記各地点の間を補間する地点又は前記各地点を統合する地点の情報を演算し、当該演算した情報を前記各オブジェクトに保持させる第2ステップと、
を汎用のコンピュータに実行させる。

【0010】
請求項1記載の発明によれば、複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行って、農作業支援情報を生成するようにしたので、例えば精密農業、農用車両における運転支援、肥料・薬剤等の投入量、生産予測等の農家経営に資する資料の取得、農作業の請負者や消費者に対する作業証明等を行うことができる。また、本発明によれば、地図オブジェクトの各地点に対応するオブジェクトのデータ、例えば、物体の位置、天候、気候、土壌に関する情報、生物の育成状態、作物の収穫量、肥料又は農薬の散布量を時間的又は空間的に演算して、演算結果を用いて新たなオブジェクトを生成するようにしたので、状況の変化に応じた農作業支援情報を生成することができる。更に、本発明によれば、地図オブジェクトの各地点に対応付けて登録されている情報に基づいて、他の地点の情報を補間又は統合するようにしたので、情報を空間的に補間して、情報の連続性を保つことができる。

【0015】
また、本発明は、請求項に記載のように、請求項1に記載の農作業支援プログラムにおいて、前記第1ステップは、外部から取得した前記物体オブジェクトの作業車両の位置情報に基づいて、前記作業車両における作業経路を生成するステップを含むことを特徴とする。

【0016】
請求項記載の発明によれば、作業車両に対して、無駄のない作業を行うことができる最適な経路情報を提供することができる。

【0017】
また、本発明は、請求項に記載のように、請求項1に記載の農作業支援プログラムにおいて、前記第1ステップは、外部から取得した前記物体オブジェクトの作業車両の位置情報に基づいて、前記作業車両の経路上における肥料又は農薬の散布量を算出するステップを含むことを特徴とする。請求項記載の発明によれば、複数のオブジェクトを用いた最適な肥料又は農薬の散布量を算出することができる。

【0019】
また、本発明は、請求項に記載のように、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の農作業支援プログラムにおいて、前記第1ステップは、所定の測定装置により測定した土壌オブジェクト、生育オブジェクト又は収量オブジェクトに含まれる情報と、前記測定装置が測定した地点の位置情報とを外部から取得し、取得した該情報から前記農作業支援情報を生成することを特徴とする。

【0020】
請求項記載の発明によれば、測定情報、例えば、土壌の状態や生産の生育状態、収穫量に関する情報等と、位置情報に基づいて、農作業支援情報を生成するようにしたので、動的に変化する情報に基づいて、無駄の無い農作業支援情報を生成することができる。

【0026】
また、請求項記載の農作業支援方法は、データとそのデータに対する処理手続きを一体化させた、地図に関する地図オブジェクト、地表上に存在する物体に関する物体オブジェクト、天候に関する天候オブジェクト、気候に関する気候オブジェクト、土壌に関する土壌オブジェクト、生物の育成に関する生育オブジェクト、作物の収穫量に関する収量オブジェクト、作業車両の経路を作成する経路作成オブジェクト、肥料又は農薬の散布量を算出する肥料又は農薬オブジェクト及び警告情報を生成する警告オブジェクト、並びに前記地図オブジェクトの各地点に対応する前記各オブジェクトのデータを時間的又は空間的に演算し、該演算結果を用いて生成される新たなオブジェクト、のうちの複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行って、前記複数のオブジェクトが有するデータと処理手続きとから、新たな農作業支援情報を生成する第1の工程と、前記農作業支援情報を外部へ送信する第2の工程と、前記新たな農作業支援情報の生成に用いられる各オブジェクトのデータのうち、前記地図オブジェクトの各地点に対応するデータに基づき、前記各地点の間を補間する地点又は前記各地点を統合する地点の情報を演算し、当該演算した情報を前記各オブジェクトに保持させる第3の工程と、を有することを特徴とする。

【0027】
請求項記載の発明によれば、複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行い、農作業を支援するための農作業支援情報を生成して、生成した農作業支援情報を外部へ出力するようにしたので、例えば、機密農業、農用車両における運転支援、肥料・薬剤等の投入量、生産予測等の農家経営に資する資料の取得、農作業を請負者や消費者に対する作業証明等を行うことができる。また、本発明によれば、地図オブジェクトの各地点に対応するオブジェクトのデータ、例えば、物体の位置、天候、気候、土壌に関する情報、生物の育成状態、作物の収穫量、肥料又は農薬の散布量を時間的又は空間的に演算して、演算結果を用いて新たなオブジェクトを生成するようにしたので、状況の変化に応じた精密農業を行うことができる。更に、本発明によれば、地図オブジェクトの各地点に対応付けて登録されている情報に基づいて、他の地点の情報を補間又は統合するようにしたので、情報を空間的に補間して、情報の連続性を保つことができる。

【0028】
また、本発明は、請求項に記載のように、請求項記載の農作業支援方法において、前記複数のオブジェクトの情報は、前記地図オブジェクトの地図データに基づいて、一元的に管理されていることを特徴とする。請求項記載の発明によれば、地図オブジェクトの地図データに基づいて、各オブジェクトの情報を一元的に管理することができる。

【0032】
また、本発明は、請求項に記載のように、請求項又はに記載の農作業支援方法において、前記第1の工程は、外部から取得した前記物体オブジェクト内の作業車両の位置情報に基づき前記作業車両の作業経路を生成する工程を含むことを特徴とする。請求項記載の発明によれば、外部から取得した位置情報に基づいて作業車両の作業経路を生成するようにしたので、無駄のない作業を行うことができる最適な経路情報を提供することができる。

【0033】
また、本発明は、請求項に記載のように、請求項又はに記載の農作業支援方法において、前記第1の工程は、外部から取得した前記物体オブジェクトの作業車両の位置情報に基づき前記作業車両の経路上における肥料又は農薬の散布量を算出する工程を含むことを特徴とする。請求項記載の発明によれば、作業車両の経路上における最適な肥料又は農薬の散布量を算出し、これを作業車両に提供することができる。

【0035】
また、請求項記載の農作業支援方法は、請求項又はに記載の農作業支援方法において、更に、所定の測定装置が測定した測定情報及び前記所定の測定装置が測定した地点における位置情報を外部から取得する第6の工程を有し、前記第1の工程は、前記第6工程で取得した測定情報及び位置情報に基づき、前記農作業支援情報を生成することを特徴とする。

【0036】
請求項記載の発明によれば、測定情報、土壌の状態や生産の生育状態、収穫量に関する情報等と、位置情報に基づいて、農作業支援情報を生成するようにしたので、動的に変化する情報に基づいて、無駄の無い農作業支援情報を生成することができる。

【0037】
また、請求項10記載の農作業支援方法は、地図に関する地図オブジェクト、地表上に存在する物体に関する物体オブジェクト、天候に関する天候オブジェクト、気候に関する気候オブジェクト、土壌に関する土壌オブジェクト、生物の育成に関する生育オブジェクト、作物の収穫量に関する収量オブジェクト、作業車両の経路を作成する経路作成オブジェクト、肥料又は農薬の散布量を算出する肥料又は農薬オブジェクト、及び警告情報を生成する警告オブジェクト、並びに前記地図オブジェクトの各地点に対応する前記各オブジェクトのデータを時間的又は空間的に演算し、該演算結果を用いて生成される新たなオブジェクト、のうちの複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行って、前記複数のオブジェクトが有するデータと処理手続きとから生成した農作業を支援するための農作業支援情報を外部から受信する受信工程と、前記受信工程で受信した農作業支援情報を表示手段に表示する表示工程と、を有し、前記各オブジェクトは、前記地図オブジェクトの各地点に対応する前記各オブジェクトのデータに基づいて演算される、前記各地点の間を補間する地点又は前記各地点を統合する地点の情報を保持していることを特徴とする。請求項10記載の発明によれば、表示手段に表示された農作業支援情報に基づいて、無駄の無い農作業を行うことができる。また、本発明によれば、地図オブジェクトの各地点に対応するオブジェクトのデータ、例えば、物体の位置、天候、気候、土壌に関する情報、生物の育成状態、作物の収穫量、肥料又は農薬の散布量を時間的又は空間的に演算して、演算結果を用いて新たなオブジェクトを生成するようにしたので、状況の変化に応じた精密農業を行うことができる。更に、本発明によれば、地図オブジェクトの各地点に対応付けて登録されている情報に基づいて、他の地点の情報を補間又は統合するようにしたので、情報を空間的に補間して、情報の連続性を保つことができる。


【0038】
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項10記載の農作業支援方法において、前記農作業支援情報は、車両の作業経路、肥料散布量又は農薬散布量を含み、前記車両の作業経路に基づき農用車両に自動運転を行わせるための制御命令を出力する工程、又は前記肥料散布量若しくは前記農薬散布量に基づき農車両に所定量の施肥若しくは農薬散布を行わせるための制御命令を出力する工程を更に有することを特徴とする。請求項11記載の発明によれば、無駄の無い農作業を行うことができる。

【0039】
また、請求項12記載の農作業支援方法は、請求項10又は請求項11記載の農作業支援方法において、更に、所定の測定装置が測定した測定情報及び前記所定の測定装置が測定した地点の位置情報を取得し、これらの情報を前記外部装置へ送信する工程を有することを特徴とする。請求項12記載の発明によれば、測定情報、例えば、土壌の状態や生産の生育状態、収穫量に関する情報及び位置情報を外部装置へ送信するようにしたので、外部装置は、動的に変化する情報に基づいて、農作業支援情報を生成することができる。

【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、精密農業を行うことができるとともに、無駄のない効率的な運転支援を行うことができる農作業支援プログラム及び農作業支援方法を提供することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0043】
図1は、本実施例による農作業支援システムの構成を示す図である。図1に示すように、農作業支援システム1は、農作業支援装置2と、農用車両用作業ナビゲーター(以下、「ナビゲーター」という)3とを有する。農作業支援装置2は、農作業を支援するための農作業支援情報を生成し、この農作業支援情報をナビゲーター3へ渡す。農作業支援装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置により構成され、情報センタなどに設置されるものである。
【0044】
ナビゲーター3は、農作業支援装置2から農作業支援情報を受け取ると、所定の表示装置に農作業支援情報を表示したり、接続された農用車両に自動運転を行うための制御命令を出力したり、農用車両に所定量の施肥又は農薬散布を行うための制御命令を出力したりする。ナビゲーター3は、例えば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置により構成されている。農作業支援装置2とナビゲーター3間は、有線接続やメモリカード7を用いてデータの受け渡しが行われる。また、農作業支援装置2とナビゲーター3は、無線通信ネットワーク、有線通信ネットワークにより接続するようにしてもよい。
【0045】
次に、農作業支援装置2及びナビゲーター3の内部構成について説明する。図2は、農作業支援装置2のブロック図である。図2に示すように、農作業支援装置2は、プロセッサ21、メモリ22、ネットワークインターフェース23、HDD(Hard Disc Drive)インターフェース24、HDD25、カードインターフェース26、バス27を有する。
【0046】
プロセッサ21は、農作業支援装置2のメインコントローラであり、例えばCPU(Central Processing Unit)と呼ばれるLSI(Large scale Integrated Circuit)チップで構成されている。また、プロセッサ21は、オペレーションシステムの制御下で、各種のアプリケーションを実行する。プロセッサ21は、HDD25内の農作業支援プログラムをメモリ22上にロードして、複数のオブジェクト間でメッセージ通信を行わせて農作業支援情報を生成する。
【0047】
メモリ22は、プロセッサ21において実行されるプログラムコードを格納し、実行中の作業データを一時保管するために使用される記憶装置である。ネットワークインターフェース23は、イーサーネットなどの所定の通信プロトコルに従って、農作業支援装置2をLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続するものである。ネットワークインターフェース23は、LANアダプタカードの形態で提供され、マザーボード(図示省略)上のPCIバススロットに装着して用いられる。農作業支援装置2は、このネットワークインターフェース23を介して、ナビゲーター3からの農作業支援情報の送信要求を受信したり、ナビゲーター3へ向けて農作業支援情報を送信したりすることができる。
【0048】
HDDインターフェース24は、ハードディスクドライブなどの外部記憶装置を農作業支援装置2に接続するための装置である。HDD25は、記憶担体としての磁気ディスクを固定的に搭載した外部記憶装置である。このHDD25には、プロセッサ21が実行すべきオペレーティングシステムのプログラムコードやアプリケーションプログラム、デバイスドライバなどが不揮発的に格納されている。
【0049】
また、このHDD25は、地図データ、地表上に存在する物体の座標情報、天候情報、気候情報、地図データに対応する土壌情報、地図データに対応する生物の生育情報、地図データに対応する農作物の収量等の各種データを格納したデータベースを有する。このデータベース内のデータは、プロセッサ21の指示に基づき更新することができるようになっている。HDD25は、ネットワークインターフェース23やカードインターフェース26を介して入力されたデータを格納することができるようにもなっている。
【0050】
カードインターフェース26は、バス27とメモリカード7間を接続するためのものである。農作業支援装置2は、カードインターフェース27を介してメモリカード7に格納されたナビゲーター3からの情報を取得したり、ナビゲーター3に渡す農作業支援情報をメモリカード7内に格納したりすることができる。バス27は、プロセッサ21を他の機器類と相互接続するものであり、バス27上の各機器にはそれぞれ固有のメモリアドレス又はI/Oアドレスが付与されている。プロセッサ21はこれらのアドレスによって機器へのアクセスが可能となっている。バス27の一例は、例えばPCI(Peripheral Component Interconnect)バスである。
【0051】
本実施例で言うオブジェクト指向に基づくソフトウエアは、データとそのデータに対する処理手続きとを一体化させた「オブジェクト」というモジュール単位で扱われる。オブジェクト指向プログラムによれば、必要に応じて複数のオブジェクトを組み合わせたり、作成したりすることで1つのソフトウエアが完成される。
【0052】
図3は農作業支援装置2のソフトウエア環境を模式的に示す図である。図3において、符号50はオペレーションシステム、51はアプリケーション、52は農作業支援オブジェクト、60は子オブジェクトをそれぞれ示している。農作業支援オブジェクト52は、親オブジェクト53であり、子オブジェクト60内のオブジェクト61~70について、動作の停止、オブジェクト間通信の結合、オブジェクトの破棄等を指示する。
【0053】
農作業支援オブジェクト52は、必要な子オブジェクトのロード、初期化、オブジェクト間通信のための結合構築、これらオブジェクトの起動を指示する。ここで、オブジェクト間の結合とは、オブジェクト間でデータを送受信するための結合を意味する。また、農作業支援オブジェクト52は、アプリケーション51からメッセージを受け取り、複数の子オブジェクト60との間でメッセージ通信を行ってメッセージに応じた農作業支援情報を生成する。
【0054】
図3に示すように、子オブジェクト60は、地図オブジェクト61、物体オブジェクト62、天候オブジェクト63、気候オブジェクト64、土壌オブジェクト65、生育オブジェクト66、収量オブジェクト67、経路作成オブジェクト68、肥料農薬オブジェクト69及び警告オブジェクト70等を有する。
子オブジェクト60は、オブジェクト61~70間同士でメッセージ通信を行う。
【0055】
農作業支援オブジェクト52及び子オブジェクト60内のオブジェクト61~70は、それぞれオブジェクトID、セレクタ番号によりメソッドを特定してデータを交換する。農作業支援オブジェクト52は、地図オブジェクト61の地図データ、名前、ID番号及び種類等に基づき子オブジェクト60内の各オブジェクト61~70を一元的に管理している。農作業支援オブジェクト50は、複数の子オブジェクト60が時間的又は空間的に演算した演算結果を用いて、新たなオブジェクトを生成し、生成したオブジェクトを子オブジェクト60内に登録する。新たなオブジェクトを用いて、例えば、肥料又は薬剤散布量等の作業計画の設定や収量の予測等を行うことができる。
【0056】
次に、各オブジェクト61~70について説明する。地図オブジェクト61は、所定の地域の地図を所定の大きさ区域ごとに分割してオブジェクト化したものである。この地図オブジェクト61は、他のオブジェクトからメッセージを受け取ると、メッセージにより指定された地図を検索してメッセージ源に返す等の処理を行う。この処理を手続き(メソッド)という。
【0057】
ここで、地図オブジェクト61の地図データの構成を説明する。図5は地図データの構成を示す図である。図5に示すように、地図データは一定区画ごとに区切ったメッシュという単位で管理される。また、地図データはレイヤーと呼ばれる概念を持っている。物体オブジェクト62は、地表上に存在する物体に関するオブジェクトであって、他のオブジェクトからメッセージを受け取ると、メッセージにより指定された物体を検索してメッセージ源に返す等の処理を行う。天候オブジェクト63は、天候に関するオブジェクトであって、他のオブジェクトからメッセージを受け取ると、メッセージにより指定された地点における天候を検索して、メッセージ源に返す等の処理を行う。
【0058】
気候オブジェクト64は、気候に関するオブジェクトであって、他のオブジェクトからメッセージを受け取ると、メッセージにより指定された地点における気候を検索して、メッセージ源に返す等の処理を行う。土壌オブジェクト65は、土壌に関するオブジェクトであって、他のオブジェクトからメッセージを受け取ると、メッセージにより指定された地点における土壌の状態を検索して、メッセージ源に返す等の処理を行う。
【0059】
生育オブジェクト66は、生物の育成に関するオブジェクトであって、他のオブジェクトからメッセージを受け取ると、メッセージにより指定された地点における生物の育成状態を検索して、メッセージ源に返す等の処理を行う。収量オブジェクト67は、農作物の収穫量に関するオブジェクトであって、他のオブジェクトからメッセージを受け取ると、メッセージにより指定された地点における農作物の収穫量を検索して、メッセージ源に返す等の処理を行う。
【0060】
経路作成オブジェクト68は、作業車両の経路を作成するオブジェクトであって、位置情報、速度、進行方向等に対する操舵角等が定義された動的な情報を持っている。経路作成オブジェクト68は、メッセージを受け取ると、メッセージにより指定された地点における最適な経路(理想の経路)を作成して、メッセージ源に返す等の処理を行う。経路作成オブジェクト68は、ナビゲーター3から農用車両の位置情報を受け取ると、あらかじめ登録した地点情報を元に随時更新し、更新した作業車両の作業経路を生成してナビゲーター3に渡す処理を行う。これにより、農用車両やナビゲーター3に対して、無駄のない作業を行うことができる最適な経路情報を提供することができる。
【0061】
肥料農薬オブジェクト69は、肥料又は農薬の散布量を算出するオブジェクトであって、メッセージを受け取ったときに、メッセージにより指定された地点における最適な肥料又は農薬の散布量を算出して、メッセージ源に返す等の処理を行う。警告オブジェクト70は、警告情報を生成するオブジェクトであって、メッセージを受け取ったときに、メッセージより指定された地点に関する警告情報を生成して、メッセージ源に返す等の処理を行う。より詳細には、警告オブジェクトは、物体オブジェクト内の作業車両の位置情報をナビゲーター3から受け取ると、作業車両の経路上における危険地点の警告情報を生成する。これにより、作業車両では、警告情報を用いて、安全な作業を行うことができる。
【0062】
また、農作業支援オブジェクト52は、ナビゲーター3に接続された測定装置が測定した測定情報と、所定の測定装置が測定した地点における位置情報をメモリカード7を介して取得して、取得した情報に基づいて、農作業支援情報を生成する。これにより、動的に変化する情報に基づいて、無駄の無い農作業支援情報を生成することができる。
【0063】
図6は、一元的に管理されているオブジェクト61~70のデータを説明するための図である。図6に示すように、上記各オブジェクト61~70のデータは、農作業支援オブジェクト52により最下層の地図データの各地点に対応付けられて一元的に管理されている。図6において、地図、物体の位置、天候、気候、土壌の状態、作物の生育状態、前年の収量、来年の肥料の量等は、地図レイヤー、物体レイヤー、天候レイヤー、気候レイヤー、土壌レイヤー、育成レイヤー、前年の収量レイヤー、来年の肥料レイヤー等として地図レイヤー上に一元的に管理されている。
【0064】
また、農作業支援オブジェクト52は、ナビゲーター3から受け取った位置情報、各種測定情報等に基づきオブジェクト61~70との間でメッセージ通信を行って、地図オブジェクト61の各地点に対応する情報を時間的又は空間的に演算し、演算した結果を用いて新たなオブジェクトを生成する。農作業支援オブジェクト52は新たなオブジェクトを生成すると、生成したオブジェクトを子オブジェクト60として登録する。農作業支援オブジェクト52は、ナビゲーター3から受け取ったデータを、オブジェクト毎に予め定められた所定の定義に従って変換し、変換したデータを用いて各オブジェクト内のデータを更新する。これにより、各オブジェクトは動的に変化するデータを持つことができる。
【0065】
また、農作業支援オブジェクト52は、地図オブジェクト61の各地点に対応する各オブジェクトのデータに基づき、各地点の間を補間する地点又は各地点を統合する地点の情報を演算し、演算した情報を各オブジェクト61~70が保持する。これにより、情報の連続性が保たれる。
【0066】
図5に示すように、地図オブジェクト61の各地点に対応する各オブジェクト61~70のデータに基づき、地点AB間を補間する地点C、D又は地点Cを統合する地点Aの情報を演算し、演算した情報を各オブジェクト61~70が保持する。これにより、情報の連続性が保たれる。
【0067】
より詳細には、例えば、ほ場内の位置情報と、その地点の土壌の状態、農作物の育成状態、収穫量、設定した肥料農薬散布量等の情報を組みとして、その組が登録されているオブジェクト61~70に対し、任意の地点C、Dの最近傍A、Bに登録されている情報をその地点の情報として所定の補間方法によって、任意の地点C、Dの位置情報に対しても情報を空間的に補間する演算を行う。ここで、補間方法は、ボロノイ線図を用いた補間方法又はスプライン変換による補間方法等を用いることができる。また、逆に地点A、B、C、Dの情報が存在する場合に、地点Cの情報を地点Aに統合し、また、地点Dの情報を地点Bに統合する演算を行う。補間又は統合した情報は必要なオブジェクト61~70が保持する。
【0068】
次に、ナビゲーター3について説明する。図4はナビゲーターのブロック図を示す図である。ナビゲーター3は、土壌サンプリング装置、肥料・農薬可変散布装置、穀物収穫情報測定装置および作物生育情報測定装置に接続して使用する機能(精密農業支援機能)と、運転支援を行う機能(運転支援機能)とを有する。ここで、精密農業とは、ほ場内のある地点における土壌状態や作物の生育状態、収穫量等に応じて、その地点の肥料又は農薬散布等の作業の程度等を変えることで、投入する肥料・農薬の総量低減や収穫量、品質の向上、ばらつき低下を目的とする農業をいう。また、運転支援機能とは、あらかじめ登録した地点に関する情報等を元に無駄のない効率的な作業を行うための経路情報表示や自動又は半自動運転機能をいう。
【0069】
図4に示すように、ナビゲーター3は、通信部31、記録部32、入力部33、制御部34、表示部35、カードインターフェース36、バス37を有する。通信部31は、農作業支援装置2との間の通信を制御する。カードインターフェース36は、バス36とメモリカード7間でデータの受け渡しを行う。ナビゲーター3は、カードインターフェース36を介してメモリカード7に格納された農作業支援情報を受け取ったり、農作業支援情報の生成に必要な情報をメモリカード7に格納したりする。
【0070】
この農作業支援情報には、作業車両の作業経路、肥料散布量又は農薬散布量、作業車両の経路上における危険地点の警告情報等が含まれる。なお、ナビゲーター3は、通信部31を介して農作業支援情報の送信要求を農作業支援装置2へ送信して、農作業支援装置(外部装置)2から農作業支援情報を受信するようにしてもよい。
【0071】
記録部32は、農作業支援装置2からの農作業支援情報を記録し、制御部34が実行する所定のプログラムを記録する。入力部33は、例えば、キーボート、マウス、タッチパネルで構成され、ユーザからの入力を受け付けるためのものである。制御部34は、記録部32に記録された所定のプログラムをロードし、ナビゲーター3全体を制御する。表示部35は、ユーザに対して、メニュー画面を提供し、農作業支援装置2から受け取った農作業支援情報を画面上に表示する。表示部35は、農作業支援装置2から受け取った警告情報を表示する。なお、表示部35が、表示手段及び報知手段に相当する。
【0072】
また、ナビゲーター3は、I/O(インプット/アウトプット)コントローラ41を介して、GPS(Global Positioning systems)センサ42、方位センサ43、土壌サンプリング装置44、収穫情報測定装置45、作物生育情報測定装置46、肥料・農薬可変散布装置47、トラクタ48等に接続されている。この土壌サンプリング装置、収穫情報測定装置、作物生育情報測定装置が所定の測定装置に相当する。
【0073】
I/Oコントローラ41は、各種情報の入出力を行うためのものである。GPSセンサ42は、位置測定手段であって、衛星からの電波を受信し、ナビゲーター3の現在位置を測定するためのものである。方位センサ43は、方位を測定するためのものである。ナビゲーター3は、GPS42、方位センサ43からの情報に基づき、測定装置が測定した地点における位置情報を取得する。
【0074】
土壌サンプリング装置44は、土壌サンプルを取得するためのものである。この土壌サンプリング装置44をナビゲーター3に接続することにより、サンプリングの目標位置や現在位置を表示して、目標位置でのサンプル採取を支援することができる。サンプル採取位置は、ナビゲーター3からメモリカード7を介して農作業支援装置2へ渡され、また、別の土壌分析装置で分析された採取サンプルの分析結果は、別途、農作業支援装置2に読込まれ、図3に示した土壌オブジェクト65内のデータが更新される。
【0075】
収穫情報測定装置45は、籾重量や水分情報を取得するためのものである。この収穫情報測定装置45をナビゲーター3に接続することにより、ナビゲーター3は、籾重量や水分情報と位置情報を同時に取得することができる。ナビゲーター3は、この取得した情報をメモリカード7を介して農作業支援装置2へ渡して、図3で示した収量オブジェクト67内のデータが更新される。これにより、収量等のデータマップを作成することができる。
【0076】
作物生育情報測定装置46は、例えば産業用無人ヘリコプタで50m程度上空から分光撮影式のデジタル画像を取得し、その画像を解析して水稲等の葉色や生育量を求める空中測定式の作物生育情報測定装置である。この作物生育情報測定装置46は、例えば、カメラ装置、カメラ懸架装置、外光補正用の太陽光センサ、送受信機、映像モニタ等で構成される。作物生育情報測定装置46で測定された作物の育成情報は、ナビゲーター3およびメモリカード7を介して、農作業支援装置2へ渡され、図3で示した生育オブジェクト内のデータが更新される。
【0077】
肥料・農薬可変散布装置47は、肥料や農薬の散布量を任意に変えて散布できる装置である。この肥料・農薬可変散布装置47に接続されたナビゲーター3は、施肥マップ、または農薬散布マップと現在位置に基づき可変散布指令を出力し、場所に応じた自動可変施肥や農薬の自動可変散布を実施し、作業状況を表示・記録することができる。
【0078】
農作業支援装置2の肥料又は農薬オブジェクト69は、物体オブジェクト62内の作業作業の位置情報をナビゲーター3から受け取って、作業車両の経路上における肥料又は農薬の散布量を算出する。
【0079】
トラクタ48は、農用車両である。ナビゲーター3をトラクタ48に搭載することにより、無駄のない作業の支援を行う運転支援機能を実現することができる。より詳細には、トラクタ48に接続されたナビゲーター3は、作業機等の状態と位置情報を同時に取得し、作業軌跡等の運転支援情報の表示や各種作業情報の記録を行う機能等をもつ。トラクタ48は、農作業支援装置2からの作業経路を含む農作業支援情報を受け取ると、この農作業支援情報に基づいた制御信号に応じて、自動運転を行う手段を有する。また、トラクタ48は、ナビゲーター3から肥料又は農薬散布量を含む農作業支援情報を受け取ると、この農作業支援情報に基づいて、トラクタ48に接続された肥料・農薬可変散布装置47を用いて施肥又は農薬散布を行う。
【0080】
次に、ナビゲーター3の表示部35の表示例について説明する。まず、土壌サンプリング仕様のソフトによる表示例について説明する。図7は、土壌サンプリング仕様のソフトによる表示例(作業途中)を示している。図7において、3はナビゲーター、35は表示部を示している。この表示の黒丸P1は、事前に設定した目標位置を中心とする半径1.5m(可変)のもので、現在位置がその中心付近になったらサンプル採取を行う。黒丸P1中の白地の小丸P2は既サンプリング点であり、その位置座標とサンプル番号が記録される。これらの表示は拡大/縮小や回転、スクロールが可能で現在位置を常に表示中心とする自動スクロール機能もある。これにより、ほ場内の土壌状態分布やその経時変化(履歴)を適正に把握できる土壌サンプルを容易に取得することができる。
【0081】
次に、可変施肥仕様のソフトによる表示例について説明する。図8は可変施肥仕様のソフトによる表示例を示している。図8において、3はナビゲーター、35は表示部を示している。表示の背景は、別途作成・読み込んだ施肥マップの色分け表示であり、出力された施肥指令値は、指令値の大きさに応じた半径の丸(P3)として一定距離移動毎に表示される。図8において、肥料・農薬可変散布装置47への指令値出力の更新周期は例えば1秒である。この表示も拡大/縮小等が自在である。また、作業終了後には、作業軌跡と出力された施肥指令値をメモリカード(SDカード等)7に記録することができる。
【0082】
次に、収穫情報測定仕様のソフトによる表示例を示している。図9は、収穫情報測定仕様のソフトによる表示例を示している。図9において、3はナビゲーター、35は表示部を示している。この表示の各点P4は、その大きさがその位置における収穫籾の重量を表し、点の色が水分値を表す。これらの重量、水分値表示は、現在位置(刈取り位置)表示から一定時間遅れて、対応する位置に表示される。回行時や籾排出時の走行軌跡も点列で表示される。表示における各点P4は一定距離移動毎に表示されるが、ナビゲーター3に記録される情報は1秒毎であり、記録情報はメモリカード7に書き込まれ、農作業支援プログラムにより編集等を行うことができる。
【0083】
次に、運転支援機能に関し、薬剤散布作業中のナビゲーターの表示例について説明する。図10は、薬剤散布作業中のナビゲーター表示例を示している。この表示中の点列P5は、走行軌跡であり、作業時は作業幅に応じた線分(P6)が作業軌跡として表示される。この点の位置情報は作業/非作業の状態とともに記録される。表示は現在位置が常に画面中央に表示され、進行方向と上方とする自動スクロールのほか、タッチパネル等による任意の拡大/縮小、スクロール等が可能である。
【0084】
運転支援情報としては、作業幅に応じて設定した経路ガイド線P7が格子状に表示されるとともに、進行方向と平行な最寄りのガイド線(目標経路)に対する偏差及びその方向が、画面上部に数値P8と矢印P9で示される。この表示を参照して作業を行うことで、目標経路に沿う直進作業を行うことができる。また、目標経路としてのガイド線の表示位置は作業途中に調整することもできる。そのほか、あらかじめ登録した点の近傍で文字情報等を表示する機能等、作業に有用な情報や安全に関する情報の表示なども行える。
【0085】
運転支援機能を持つナビゲーター3により、無駄のない作業の支援を行うことができる。この表示における運転支援情報に従って、車両を誘導し、ほ場全面を塗りつぶすように作業を行うことにより、無駄のない効率的な作業が実施できる。また、農作業支援装置2では、作業のデータ設定等を容易に行うことが可能で、例えば、データマップの任意メッシュマップ化などの記録情報の編集を行うこともできる。
【実施例2】
【0086】
次に、第2実施例について説明する。第2実施例は、ネットワークを介して農作業支援情報の受け渡しを行うようにしたものである。なお、農作業支援装置およびナビゲーターの構成は、第1実施例で説明したものと同一であるため、第1実施例で説明した農作業支援装置2およびナビゲーター3を用いて説明する。まず、農作業支援情報の取得処理について説明する。図11は農作業支援情報の取得処理フローチャートである。
【0087】
ステップS11で、ナビゲーター3の制御部34は、入力部33を介してオペレータからの農作業支援情報の送付要求を受け取る。ステップS12で、制御部34は、GPSセンサ42から現在位置情報を取得する。ステップS13で、制御部34は、通信部31を介して農作業支援情報の送信要求及び現在位置情報を農作業支援装置2へ送信する。ステップS14で、農作業支援装置2は、ネットワークインターフェース23を介してナビゲーター3からの農作業支援情報の送信要求及び現在位置情報を受信する。
【0088】
ステップS15で、農作業支援オブジェクト52は、ナビゲーター3からの農作業支援情報の送信要求に応じて、必要な子オブジェクト60のロード、初期化、オブジェクト間通信のための結合構築を行い、さらに、子オブジェクト60の起動を指示し、起動した子オブジェクト60との間でメッセージ通信を行って、農作業支援情報を生成する。ステップS16で、農作業支援装置2は、ネットワークインターフェース23を介して生成した農作物支援情報をナビゲーター3へ送信する。
【0089】
ステップS17で、ナビゲーター3は、通信部31を介して農作業支援情報を受信する。ステップS18で、制御部34は、受信した農作業支援情報を記録部32に格納するとともに、表示部35に出力して農作業支援情報の表示を行う。ステップS19で、制御部34は、農作業支援情報に含まれる車両の作業経路に基づいて、トラクタ48に自動運転を行うための制御命令を出力して、トラクタ48の自動運転を可能にする。また、制御部34は、農作業支援情報に含まれる肥料散布量又は農薬散布量に基づいて、農用車両に所定量の施肥又は農薬散布を行うための制御命令を肥料・農薬可変散布装置47に出力して、施肥農薬散布を行う。
【0090】
次に、農作業支援情報の一例として、作業車両の作業経路情報、肥料又は農薬散布量情報の取得処理について説明する。図12は、作業経路情報の取得処理フローチャートである。ステップS21で、ナビゲーター3の制御部34は、入力部33を介してオペレータからの作業経路の送信要求を受け付ける。ステップS22で、制御部34は、GPSセンサ42から現在位置情報を取得する。ステップS23で、制御部34は、通信部31を介して作業経路の送信要求及び位置情報を農作業支援装置2へ送信する。
【0091】
ステップS24で、農作業支援装置2は、ネットワークインターフェース23を介してナビゲーター3からの作業経路の送信要求及び位置情報を受信する。ステップS25で、農作業支援オブジェクト52は、物体オブジェクト62、経路作成オブジェクト68を起動して、これらのオブジェクトとの間でメッセージ通信を行って、無駄のない農作業を行うことができる作業経路を生成する。
【0092】
ステップS26で、農作業支援装置2は、ネットワークインターフェース23を介して生成した作業経路をナビゲーター3へ送信する。ステップS27で、ナビゲーター3は、通信部31を介して作業経路を受信する。ステップS28で、制御部34は、受信した作業経路を表示部35に表示する。これにより、表示部35上にずれ量、次に進むべき方向、ハンドルの操作量等の情報が表示される。
【0093】
ステップS29で、制御部34は、作業経路を作業車両へ出力する。作業車両は、最適な作業経路情に基づき半自動又は自動運転を行うことができる。これにより、精密農業、農用車両による安全な農作業を実現できる。また、複数車両の位置情報を農作業支援装置2へ送信することにより、複数の農用車両による連係した作業を行うこともできる。
【0094】
次に、肥料又は農薬散布量情報の取得処理について説明する。図13は、肥料農薬散布量の取得処理フローチャートである。ステップS31で、ナビゲーター3の制御部34は、入力部33を介してオペレータからの肥料農薬散布量の送信要求を受け付ける。ステップS32で、制御部34は、GPSセンサ42から現在位置情報を取得する。ステップS33で、制御部34は、通信部31を介して肥料農薬散布量の送信要求及び位置情報を農作業支援装置2へ送信する。ステップS34で、農作業支援装置2は、ネットワークインターフェース23を介してナビゲーター3からの肥料農薬散布量の送信要求及び位置情報を受信する。
【0095】
ステップS35で、農作業支援オブジェクト52は、物体オブジェクト62、肥料農薬オブジェクト69を起動して、これらのオブジェクトとの間でメッセージ通信を行って、作業車両の経路上における肥料農薬散布量を算出する。ステップS36で、農作業支援装置2は、ネットワークインターフェース23を介して算出した肥料農薬散布量をナビゲーター3へ送信する。ステップS37で、ナビゲーター3は、通信部31を介して肥料農薬散布量を受信する。ステップS38で、制御部34は、受信した肥料農薬散布量を表示部35に表示する。ステップS39で、制御部34は、肥料農薬散布量を肥料・農薬可変散布装置47へ出力する。肥料・農薬可変散布装置47は、最適な肥料農薬散布量に基づき半自動又は自動的に施肥又は農薬の散布を行う。
【0096】
このように、位置情報に基づいて、その場所に応じた肥料又は薬剤散布量をあらかじめ登録されている地点情報を元に随時更新し、その地点における適切な肥料又は農薬散布量を算出するようにしたので、ほ場に投入する肥料、薬剤の総量の低減、収穫量、品質の向上、ばらつきの低下等に寄与することができる。これにより、精密農業を支援できる。
【0097】
以上、本発明の一実施例を説明した。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変形が可能である。例えば、図3では、子オブジェクト60の例を例示しているが、本発明はこれらのオブジェクトに限定されることなく、本発明を実現するために必要な種々のオブジェクトが含まれる。
【0098】
また、図4では、ナビゲーター3と農用車両であるトラクタ48とを別装置として構成しているが、農用車両内にナビゲーター装置を内蔵するようにしてもよい。また、測定装置として、土壌サンプルリング装置44、収穫情報測定装置45、作業生育情報測定装置46を例示しているが、本発明に用いられる測定装置は、これらの測定装置に限定されるものではない。また、これらの測定装置をトラクタ等の農用車両に内蔵するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施の形態による農作業支援システムの構成を示す図である。
【図2】農作業支援装置のブロック図である。
【図3】農作業支援装置のソフトウエア環境を模式的に示す図である。
【図4】ナビゲーターのブロック図を示す図である。
【図5】地図データの構成を示す図である。
【図6】一元的に管理されているオブジェクトのデータを説明するための図である。
【図7】土壌サンプリング仕様のソフトによる表示例を示す図である。
【図8】可変施肥仕様のソフトによる表示例を示す図である。
【図9】収穫情報測定仕様のソフトによる表示例を示す図である。
【図10】薬剤散布作業中のナビゲーター表示例を示す図である。
【図11】農作業支援情報の取得処理フローチャートである。
【図12】作業経路情報の取得処理フローチャートである。
【図13】肥料農薬散布量の取得処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 農作業支援システム 41 I/Oコントローラ
2 農作業支援装置 42 GPS
3 農用車両用作業ナビゲーター 43 方位センサ
21 プロセッサ 44 土壌サンプリング装置
22 メモリ 45 収穫情報測定装置
23 ネットワークインターフェース 46 作物生育情報測定装置
24 HDDインターフェース 47 肥料・農薬可変散布装置
25 HDD 48 トラクタ
34 制御部
35 表示部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12