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明細書 :有用植物を用いた水質浄化方法及びその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3787610号 (P3787610)
公開番号 特開2000-246283 (P2000-246283A)
登録日 平成18年4月7日(2006.4.7)
発行日 平成18年6月21日(2006.6.21)
公開日 平成12年9月12日(2000.9.12)
発明の名称または考案の名称 有用植物を用いた水質浄化方法及びその装置
国際特許分類 C02F   3/32        (2006.01)
A01G  31/00        (2006.01)
FI C02F 3/32
A01G 31/00 601B
A01G 31/00 606
A01G 31/00 608
請求項の数または発明の数 7
全頁数 14
出願番号 特願平11-051818 (P1999-051818)
出願日 平成11年2月26日(1999.2.26)
審査請求日 平成13年10月11日(2001.10.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】尾崎 保夫
【氏名】阿部 薫
個別代理人の代理人 【識別番号】100066474、【弁理士】、【氏名又は名称】田澤 博昭
【識別番号】100088605、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 公延
審査官 【審査官】中澤 登
参考文献・文献 実開昭60-104067(JP,U)
特開平10-263589(JP,A)
特開平11-047788(JP,A)
特開平04-083599(JP,A)
特開平11-070306(JP,A)
特開平01-228598(JP,A)
調査した分野 C02F 3/32
特許請求の範囲 【請求項1】
水路に有用植物を植栽して水質を浄化する水質浄化方法において、阻流板と中間堰を用い前記水路を上流側から下流側に向って漸次水深が深くなる複数の区画水域に区分し、受水域以外において該区画水域のそれぞれに天然鉱物濾材を直接充填すると共に、最上流側の受水域に植生用カセットを設け、前記植生用カセットの充填天然鉱物濾材及び該カセットに植栽された陸生植物あるいは水生植物により浄化し、水域と後続の水域の間にフィルタを設け、懸濁物質を除去し、汚泥貯留部に沈殿した沈殿汚泥を沈殿物排出管から系外へ排出除去し、後続の水域において前記阻流板と前記中間堰によって上下蛇行流を生じさせ、且つ、前記天然鉱物濾材には、前記各区画水域ごとに生育時期が異なり且つ各区画水域の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の有用植物を植栽することにより、前記天然鉱物濾材を介して前記各区画水域の植栽有用植物群の毛状根を水路の流水に効率よく接触させることを特徴とする有用植物を用いた水質浄化方法。
【請求項2】
水路に有用植物を植栽して水質を浄化する水質浄化装置において、阻流板と中間堰を用い前記水路を上流側から下流側に向って漸次水深が深くなるように区分した複数の区画水域と、受水域以外において該区画水域のそれぞれに直接充填した天然鉱物濾材と、最上流側の受水域に植生用カセットと、浄化するための前記植生用カセットの充填天然鉱物濾材及び該カセットに植栽された陸生植物あるいは水生植物と、水域と後続の水域の間に懸濁物質を除去するために設けられたフィルタと、汚泥貯留部に沈殿した沈殿汚泥を系外へ排出除去する沈殿物排出管とからなり、前記阻流板と前記中間堰によって後続の水域において上下蛇行流を生じさせ、前記天然鉱物濾材には、前記各区画水域ごとに生育時期が異なり且つ各区画水域の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の有用植物を植栽してなることを特徴とする有用植物を用いた水質浄化装置。
【請求項3】
区画水域は、植物栽培床形成用の上流側水域と中間水域と下流側水域とからなって、上流側水域の水深が最も浅く、下流側水域の水深が最も深く形成され、上流側水域と中間水域の前半には陽イオン吸着能が高い天然鉱物濾材が充填され、且つ、中間水域の後半と下流側水域にはリン酸吸着能が高い天然鉱物濾材が充填され、前記上流側水域の天然鉱物濾材には陸生植物が、且つ、前記下流側水域の天然鉱物濾材には水生植物が植栽されていることを特徴とする請求項記載の有用植物を用いた水質浄化装置。
【請求項4】
水路は、天然鉱物濾材の充填層にリンなどの不足養分や微量元素を補填するための養分補填手段を備えていることを特徴とする請求項または請求項記載の有用植物を用いた水質浄化装置。
【請求項5】
上流側水域は、水路の最上流側に区分されて流入水を受け入れる受水域にフィルターを介して連通し、その受水域には、天然鉱物濾材が充填されて有用植物を植栽する通気・通水性の植生用カセットが着脱可能に設置され、その下部に汚泥貯留槽部を有していることを特徴とする請求項記載の有用植物を用いた水質浄化装置。
【請求項6】
各区画水域の天然鉱物濾材は、水面よりも高く充填されていることを特徴とする請求項,請求項,請求項のうちのいずれか1項記載の有用植物を用いた水質浄化装置。
【請求項7】
水路に有用植物を植栽して水質を浄化する水質浄化方法において、阻流板と中間堰により、前記水路の各区画に植裁すべき有用植物の耐湿性に応じて天然鉱物濾材の充填高さを変化させ、受水域以外において該区画水域のそれぞれに天然鉱物濾材を直接充填すると共に、最上流側の受水域に植生用カセットを設け、前記植生用カセットの充填天然鉱物濾材及び該カセットに植栽された陸生植物あるいは水生植物により浄化し、水域と後続の水域の間にフィルタを設け、懸濁物質を除去し、汚泥貯留部に沈殿した沈殿汚泥を沈殿物排出管から系外へ排出除去し、後続の水域において前記阻流板と前記中間堰によって上下蛇行流を生じさせ、且つ、前記天然鉱物濾材には、前記各区画水域ごとに生育時期が異なり且つ各区画水域の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の有用植物を植栽することにより、前記天然鉱物濾材を介して前記各区画水域の植栽有用植物群の毛状根を水路の流水に効率よく接触させることを特徴とする有用植物を用いた水質浄化方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、有用植物と天然鉱物濾材とを組合せて用いたバイオジオフィルタ水路(以下、BGF水路という)によって水質を浄化する資源循環型の水質浄化方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、植物を利用した様々な水質浄化方法および水質浄化装置が提供されており、その殆どは、植物として、主にホテイアオイやヨシ等の水生植物を利用しているが、この種の水生植物の場合、収穫バイオマスの有効利用が難しく、あまり普及しなかった。
【0003】
一方、陸生植物を利用可能な水質浄化技術として、例えば、特開平6-218388号公報に開示された排水浄化式水路がある。この排水浄化式水路は、一般排水路に第2水路を隣設し、この第2水路が、生活雑排水受入升、植生浄化水路および一般水路への浄化水排出桝を一単位として連設した構成とし、且つ、前記植生浄化水路が培地を装填した槽からなり、この槽内培地の上面に生活雑排水升からの排水を散水するパイプを施設すると共に、そのパイプの上方に植物植栽用の植栽床を形成したものである。
【0004】
ここで、前記槽内培地は、上下2層の積層培地からなり、その上層培地はゼオライト60%、ピートモス10%、浮石30%の混合粒状素材からなり、下層培地としては高分子素材からなるスパイラルネット、発泡体が用いられている。そして、閉塞系多孔質に富む浮石等の培地材料を用いることにより、通気性と通水性が確保され好気性、嫌気性微生物のすみ分け増殖ができるというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の排水浄化式水路は以上のように構成されているので、一般水路に第2水路を隣設しなければならず水路構成が複雑化すると共に散水パイプを必要とし、しかも、散水パイプの上方に植栽床を形成していることにより、その植栽床に植栽した植物の毛状根が散水パイプの散水孔に侵入して該散水孔を閉塞する可能性が大きく、また、槽内培地の積層作業が煩雑になるなどの課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、散水パイプを必要とせず、また、異なった素材の培地を積層することもなく、水路構成が簡単で既設水路にも容易に適応できると共に、水面を光遮断状態に維持して藻類の発生を防止できる構成とした同一水路全域で付加価値の高い同一の有用植物を多量に効率よく栽培でき、それを纒めて回収可能な、有用植物を用いた水質浄化方法を得ることを目的とする。
【0007】
また、この発明は、生育時期の異なった有用植物を植栽し、その有用植物の毛状根を水路の流水部位全域で繁茂可能な水路構成とすることにより、成熟した有用植物を収穫しても未だ成熟していない他の有用植物の毛状根と天然鉱物濾材とによって、流水中の窒素・リンを効率よく除去でき、年間を通して安定した水質浄化を行うことができる信頼性の高い、有用植物を用いた水質浄化方法及びその装置を得ることを目的とする。
【0008】
さらに、この発明は、毛状根が水中深くまで伸びない陸生植物と、毛状根が水中深くまで伸長する水生植物とを植栽するものでありながら、それらの毛状根を水路の流水部位全域で流水に効率よく接触させることができ、効率的で安定した、有用植物を用いた水質浄化方法及びその装置を得ることを目的とする。
【0009】
さらに、この発明は、窒素濃度に比してリン濃度が著しく低い汚染地下水や河川水等の流入水(被処理水)であっても、不足分の養分や微量元素を補填することにより有用植物が旺盛に生育し、窒素を高率よく吸収除去することができる、有用植物を用いた水質浄化装置を得ることを目的とする。
【0010】
さらに、この発明は、水路の最上流側に流入した被処理水中の懸濁物質が水路の下流側に流入するのを防止できて、水路に充填された天然鉱物濾材が長期間使用によっても目詰まりするようなことがなく、高い水質浄化機能を発揮させることができる、有用植物を用いた水質浄化装置を得ることを目的とする。
【0011】
さらに、この発明は、水路の最上流側では、浄化対象汚水の有機物濃度に応じた有用植物を選択して容易に適用できる、有用植物を用いた水質浄化装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る水質浄化方法は、水路に有用植物を植栽して水質を浄化する水質浄化方法において、阻流板と中間堰を用い前記水路を上流側から下流側に向って漸次水深が深くなる複数の区画水域に区分し、受水域以外において該区画水域のそれぞれに天然鉱物濾材を直接充填すると共に、最上流側の受水域に植生用カセットを設け、前記植生用カセットの充填天然鉱物濾材及び該カセットに植栽された陸生植物あるいは水生植物により浄化し、水域と後続の水域の間にフィルタを設け、懸濁物質を除去し、汚泥貯留部に沈殿した沈殿汚泥を沈殿物排出管から系外へ排出除去し、後続の水域において前記阻流板と前記中間堰によって上下蛇行流を生じさせ、且つ、前記天然鉱物濾材には、前記各区画水域ごとに生育時期が異なり且つ各区画水域の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の有用植物を植栽することにより、前記天然鉱物濾材を介して前記各区画水域の植栽有用植物群の毛状根を水路の流水に効率よく接触させることを特徴とする有用植物を用いたものである。
【0014】
この発明に係る水質浄化装置は、水路に有用植物を植栽して水質を浄化する水質浄化装置において、阻流板と中間堰を用い前記水路を上流側から下流側に向って漸次水深が深くなるように区分した複数の区画水域と、受水域以外において該区画水域のそれぞれに直接充填した天然鉱物濾材と、最上流側の受水域に植生用カセットと、浄化するための前記植生用カセットの充填天然鉱物濾材及び該カセットに植栽された陸生植物あるいは水生植物と、水域と後続の水域の間に懸濁物質を除去するために設けられたフィルタと、汚泥貯留部に沈殿した沈殿汚泥を系外へ排出除去する沈殿物排出管とからなり、前記阻流板と前記中間堰によって後続の水域において上下蛇行流を生じさせ、前記天然鉱物濾材には、前記各区画水域ごとに生育時期が異なり且つ各区画水域の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の有用植物を植栽してなることを特徴とする有用植物を用いたものである。
【0015】
この発明に係る水質浄化装置の区画水域は、植物栽培床形成用の上流側水域と中間水域と下流側水域とからなって、上流側水域の水深が最も浅く、下流側水域の水深が最も深く形成され、上流側水域と中間水域の前半には陽イオン吸着能が高い天然鉱物濾材が充填され、且つ、中間水域の後半と下流側水域にはリン酸吸着能が高い天然鉱物濾材が充填され、前記上流側水域の天然鉱物濾材には陸生植物が、且つ、前記下流側水域の天然鉱物濾材には水生植物が植栽されているものである。
【0016】
この発明に係る水質浄化装置は、天然鉱物濾材の充填層にリンなどの不足養分や微量元素を補填するための養分補填手段を備えているものである。
【0017】
この発明に係る水質浄化装置の上流側水域は、水路の最上流側に区分されて流入水を受け入れる受水域にフィルターを介して連通し、その受水域には、天然鉱物濾材が充填されて有用植物を植栽する通気・通水性の植生用カセットが着脱可能に設置され、その下部に汚泥貯留槽部を有しているものである。
【0018】
この発明に係る水質浄化装置は、各区画水域の天然鉱物濾材を水面よりも高く充填したものである。
この発明に係る水質浄化方法は、水路に有用植物を植栽して水質を浄化する水質浄化方法において、阻流板と中間堰により、前記水路の各区画に植裁すべき有用植物の耐湿性に応じて天然鉱物濾材の充填高さを変化させ、受水域以外において該区画水域のそれぞれに天然鉱物濾材を直接充填すると共に、最上流側の受水域に植生用カセットを設け、前記植生用カセットの充填天然鉱物濾材及び該カセットに植栽された陸生植物あるいは水生植物により浄化し、水域と後続の水域の間にフィルタを設け、懸濁物質を除去し、汚泥貯留部に沈殿した沈殿汚泥を沈殿物排出管から系外へ排出除去し、後続の水域において前記阻流板と前記中間堰によって上下蛇行流を生じさせ、且つ、前記天然鉱物濾材には、前記各区画水域ごとに生育時期が異なり且つ各区画水域の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の有用植物を植栽することにより、前記天然鉱物濾材を介して前記各区画水域の植栽有用植物群の毛状根を水路の流水に効率よく接触させることを特徴とする有用植物を用いたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による水質浄化装置を示す断面図、図2は図1中の天然鉱物濾材の充填高さを有用植物の耐湿性に応じて変化させた状態の水質浄化装置を示す断面図である。図において、1はBGF水路であり、このBGF水路1は、上流側から下流側に向って4つの区画水域2,3,4,5に区分されている。さらに詳述すると、前記BGF水路1は、合併処理浄化槽(図示せず)による二次処理水や地下水等の被処理水を流入管6から導入する最上流側の受水域2と、この受水域2から下流側に向って植物栽培床形成用の上流側水域3と中間水域4と下流側水域5とに区画されているものである。
【0020】
7は受水域2と後続の上流側水域3との境界部に配置された越流堰であり、この越流堰7は水面WLよりも高く立ち上がり、その下端とBGF水路1の底壁との間には通水部となる間隙が設けられている。8は越流堰7の近傍で上流側水域3の底壁から立ち上がって前記越流堰7に離間平行する上流側パンチ板堰、9はその上流側パンチ板堰8と前記越流堰7との間に着脱可能に装着されたカートリッジ式のフィルタ9であり、このフィルタ9は、受水域2から後続の上流側水域3に向って流れる被処理水中の懸濁物質を濾過除去し、その懸濁物質が前記上流側水域3に流入するのを防止する。
【0021】
10は前記受水域2を上下に仕切って後述する植生用カセット15を支持するカセット支持部材であり、このカセット支持部材10は取り外し可能な目の粗いパンチ板からなってなり、その下部は、流入管6から受水域2に流入した被処理水中の懸濁物質を溜める汚泥貯留槽部30として構成されている。即ち、受水域2に流入した被処理水中の懸濁物質は、前記カセット支持部材10のパンチ孔を通って汚泥貯留槽部30に溜るようになっている。なお、前記カセット支持部材10は、パンチ板に限らず、植生用カセット15を受水域2に吊り下げる吊り下げ部材や植生用カセット15を嵌め込み保持させる支持部材等であってもよい。
【0022】
30aは前記汚泥貯留槽部30の底面に勾配を持たせて前記フィルタ9と反対方向に下降傾斜させた傾斜底部、11はその傾斜底部30aの下降端部で汚泥貯留槽部30に接続した沈殿物排出管、12はその沈殿物排出管11に設けられたバルブであり、このバルブ12を開くことにより、前記汚泥貯留槽部30の傾斜底部30a上に溜った懸濁物質を沈殿物排出管11から系外に排出除去できるようになっている。
【0023】
13は上流側水域3と中間水域4との間に設けられた中間堰、14は中間水域4と下流側水域5との間に設けられた中間堰であり、これらの中間堰13,14によって上流側水域3と中間水域4と下流側水域5とが区画形成されている。なお、受水域2と上流側水域3とは、前記越流堰7と上流側パンチ板堰8とフィルタ9とで区画されている。
【0024】
15は前記カセット支持部材10上に着脱可能に設置された植生用カセットであり、この植生用カセット15は通気性および通水性を有するもので、図示のものは、網篭15a内に天然鉱物濾材(図示せず)を充填した構成となっている。
【0025】
図1において、26aは前記網篭15a内の天然鉱物濾材に植栽した有用植物であり、この有用植物は、ケフナ・トマトなどの付加価値が高い陸生植物である。図2において、26bは前記網篭15a内の天然鉱物濾材に植栽した有用植物であり、この有用植物はパピルスなどの水生植物である。即ち、植生用カセット15には、受水域2に流入する浄化対象汚水の有機物濃度が高い場合に水生植物を栽培し、有機物を殆ど含まない浄化対象汚水の場合に利用価値の高い陸生植物を栽培するものである。
【0026】
16は上流側水域3の中間部に配置された阻流板、17は中間水域4の中間部に配置された阻流板、18は下流側水域5の中間部に配置された阻流板であり、これらの阻流板16,17,18の下端と各水域3,4,5の底壁との間には通水部となる間隙が設けられ、BGF水路1の上流側から下流側に向って図中矢印方向の水流が得られるようになっている。19は下流側水域5から浄化水を流出させる流出口、20は下流側水域5における前記流出口19の近傍に配置された下流側パンチ板、21,22,23は前記各水域3,4,5のそれぞれの底部に接続したバルブ付の水抜き管であり、これらによって、前記各水域3,4,5ごとに水抜きできるようになっている。
【0027】
24はBGF水路1の前記各水域3,4,5に直接充填した天然鉱物濾材であり、この天然鉱物濾材24としては、陽イオン吸着能が高いゼオライトまたはリン酸吸着能が高い鹿沼土あるいはゼオライトと鹿沼土の混合物が用いられる。かかる天然鉱物濾材24は水面WLよりも高く充填されるもので、その充填高さ(水面WLからの天然鉱物濾材24の高さ)を植栽すべき有用植物の耐湿性に応じて変化させることにより、前記BGF水路1の全域(水域3,4,5)に水質浄化機能の高い生育時期の異なる有用植物27、29(図1、図2参照)を栽培するものである。即ち、BGF水路1で栽培する有用植物がケフナ・トマトなどの陸生植物27(図1参照)の場合には、天然鉱物濾材24を水面WLより10~20cm高くなるように充填し、前記有用植物がパピルスなどの水生植物29(図2参照)の場合には、天然鉱物濾材24を水面WLより3~5cm高くなるように充填する。
【0028】
次に、上記実施の形態1による水質浄化装置の動作説明を兼ねた水質浄化方法について説明する。流入管6からBGF水路1の最上流側(受水域2)に流入する被処理水が有機物を殆ど含んでいない場合には、図1に示すように、利用価値の高いケフナ・トマト等の陸生植物26aが植栽された植生用カセット15を受水域2内のカセット支持部材10上に設置すると共に、その植生用カセット15の陸生植物26aと同一の陸生植物27をBGF水路1で栽培すべく、このBGF水路1には天然鉱物濾材24を水面WLより10~20cm高くなるように直接充填し、前記BGF水路1の全域で同一の陸生植物27を栽培する。
【0029】
その栽培中において、流入管6から受水域2に流入した被処理水(合併処理浄化槽による生活排水の二次処理水や地下水等)によって植生用カセット15の下部が浸漬されることにより、その植生用カセット15の陸生植物26aが被処理水中の窒素・リンを吸収して生育する。また、受水域2では、被処理水中の懸濁物質が汚泥貯留槽部30の傾斜底部30a上に沈降し、その汚泥貯留槽部30に溜った懸濁物質は、時期を見計らって沈澱物排出管11から系外に排出除去される。
【0030】
さらに、前記受水域2では、植生用カセット15の充填天然鉱物濾材と陸生植物26aとによって、ある程度浄化された被処理水が上流側水域3に向って流れるが、この際、その被処理水中に含まれた懸濁物質は、フィルタ9で濾過除去されることにより、後続の上流側水域3に流入することはなく、このため、BGF水路1に充填された天然鉱物濾材24が懸濁物質で目詰まりするようなことがなくなる。
【0031】
このようにして、受水域2からフィルタ9を介して後続の上流側水域3に流入した被処理水は、中間水域4を通って下流側水域5へと流れるが、その流れは、上流側の阻流板16と第1の中間堰13および中間の阻流板17と第2の中間堰14ならびに下流側の阻流板18とによって、図1中に矢印で示す上下方向の蛇行流となる。このため、BGF水路1を流れる被処理水は、水面WL付近だけの流れとはならず、天然鉱物濾材24に対する効果的な流れとなって、天然鉱物濾材24が被処理水中の窒素・リンを効率よく吸着する。また、上述のように、被処理水が上下方向の蛇行流となることにより、毛状根が水中深くまで伸びない陸生植物27であっても、その毛状根が前記被処理水に効率よく接触して被処理水中の窒素・リンを吸収することとなり、陸生植物27の生育が旺盛となる。従って、図1では、陸生植物27と天然鉱物濾材24とによって、BGF水路1の全域で被処理水を効率よく浄化できると共に、付加価値の高い同一の陸生植物27を効率よく多量に栽培でき、それを纒めて回収することができる。
【0032】
図2は図1と同一のBGF水路1で水生植物29を栽培する場合である。この場合、植生用カセット15は水生植物26bが植栽されたものとし、BGF水路1に直接充填された天然鉱物濾材24は、その充填高さが、栽培すべき水生植物29に対応して水面WLより3~5cm高くなるように設定して、植生用カセット15の水生植物26bと同一の水生植物29をBGF水路1の全域で栽培する。
【0033】
このように、図1と同一のBGF水路1の全域で栽培する水生植物29は、毛状根が水中深くまで伸長するので、BGF水路1における被処理水の流水部位全域で水生植物29の毛状根が繁茂し、その毛状根と被処理水との接触効率が非常に高くなり、被処理水中の窒素・リンを前記毛状根が効率よく吸収して水生植物29の生育が旺盛となる。また、BGF水路1の全域に充填された天然鉱物濾材24によっても被処理水中の窒素・リンが効率よく吸着されることにより、水生植物29の生育が一層旺盛になると共に、その水生植物29と天然鉱物濾材24とによってBGF水路1の全域で被処理水が効率よく浄化されることにより、高い水質浄化機能を発揮させることができる。従って、図2では、図1と同一のBGF水路1の全域で同一の水生植物29を効率よく多量に栽培でき、それを纒めて回収することができると共に、水質浄化機能が高くなる。また、上述のように、植生用カセット15およびBGF水路11の全域で栽培する水生植物29は、浄化対象汚水の有機物濃度が高い場合に特に有効である。
【0034】
以上説明した実施の形態1によれば、BGF水路1の最上流側受水域2を除く全域に天然鉱物濾材24を直接充填したので、その直接充填によって、網篭等の濾材充填用部材(カセット)を必要とせずに植物栽培床を容易に形成でき、コスト低減が図れると共に、網篭等を必要としない植物栽培床では、この床面積全体で有用植物を効率よく栽培できるという効果がある。しかも、前記天然鉱物濾材24はBGF水路1の水面WLよりも高く充填し、その充填高さを植栽すべき有用植物(陸生植物26や水生植物29)の耐湿性に応じて変化させることにより、同一のBGF水路1で水質浄化機能が高く且つ生育時期が異なる様々な有用植物を栽培するようにしたので、同一のBGF水路1で付加価値の高い同一の有用植物を効率よく多量に栽培でき、それを纒めて回収できるという効果がある。また、上述のように、BGF水路1の全域に天然鉱物濾材24を水面WLよりも高く充填したことにより、水面WLを天然鉱物濾材24で光遮断状態に維持できて藻類の発生を防止できるという効果がある。
【0035】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による水質浄化装置を示す断面図であり、図1および図2と同一または相当部分には同一符号を付して説明する。この実施の形態2では、まず、BGF水路1を上流側から下流側に向って漸次水深が深くなるように構成したものである。即ち、BGF水路1の水深は、上流側水域3が最も浅く、中間水域4が上流側水域3よりも深く、且つ、下流側水域5が最も深くなるように形成したものである。
【0036】
また、この実施の形態2(図3)においては、上流水域3と中間水域4の前半に天然鉱物濾材24を直接充填しており、この天然鉱物濾材24としては、例えば、粒径が6~12mmで陽イオン吸着能が高いゼオライトが用いられ、このゼオライト24は、水面WLよりも高く充填されている。さらに、中間水域4の後半と下流側水域5とには天然鉱物濾材25を充填しており、この天然鉱物濾材25としては、例えば、粒径が3~6mmでリン酸吸着能が高い鹿沼土が用いられている。これらの天然鉱物濾材24,25は、陸生植物27,28を栽培する水域では、水面WLより10~20cm、水生植物29を栽培する水域では、水面WLより3~5cm高くなるように充填されている。
【0037】
そして、前記天然鉱物濾材24,25には、各区画水域(上流側水域3、中間水域4、下流側水域5)の水深に応じた長さに毛状根が繁茂し且つ生育時期の異なった有用植物27,28,29を植栽する。ここで、病害虫に強く、生育時期の異なる有用植物27,28,29を前記各水域3,4,5ごとに混植すると、年間を通して高い水質浄化機能を安定して発揮させることができる。
【0038】
この場合の有用植物として、上流側水域3と中間水域4に充填された天然鉱物濾材24,25には、それらの水域3,4の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の陸生植物27,28を植栽し、下流側水域5に充填された天然鉱物濾材25には、その下流側水域5の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の水生植物29を植栽する。
【0039】
図3において、31はBGF水路1の上方に配置された不足養分点滴パイプであり、この不足養分点滴パイプ31は養分補填ポンプ(図3では図示せず)に接続されているもので、BGF水路1の天然鉱物濾材24にリン酸などの不足養分や微量元素を点滴補填するための養分補填手段を構成している。即ち、窒素濃度に比してリン濃度が著しく低い汚染地下水や河川水等の被処理水を浄化する場合に、前記養分補填ポンプを起動させて不足養分点滴パイプ31から天然鉱物濾材24に不足分のリン酸を点滴補填することにより、有用植物の生育を旺盛にして窒素を効率よく吸収除去することができる。
【0040】
次に、実験に基づく前記BGF水路1の更なる具体例について詳述すると、BGF水路1は、全長が15~20m、幅が60~100cm、上流側水域3の水深が5~10cm、中間水域4の水深が10~20cm、下流側水域の水深が20~25cmの寸法構成とした。
【0041】
そして、上流側水域3と中間水域4の前半には、天然鉱物濾材として、粒径が6~12mmのゼオライト(天然鉱物濾材24)を水面WLから10~20cm高く充填し、そのゼオライト層には有用植物として複数の陸生植物27,28を植栽した。ここで、上流側水域3のゼオライト層に植栽する陸生植物27は、窒素濃度が高くないと生育が悪い陸生植物である。この陸生植物としては、トマト・モロヘイヤ・シュンギク・葉ダイコン等の野菜類が挙げられる。また、中間水域4のゼオライト層、鹿沼土(天然鉱物濾材25)層に植栽する陸生植物28は、窒素濃度が数mmgL-1でも充分に生育する陸生植物である。この陸生植物としては、例えば、バジル・オーデコロンミント・ペパーミント・パイナップルセージ等のハーブ類及び青ジソ・キヌサヤエンドウ・サトイモ・マリーゴールド(花)などが挙げられる。
【0042】
また、下流水域5には、天然鉱物濾材として、粒径が3~6mmの鹿沼土25を水面WLから3~5cm高く充填し、その鹿沼土25層には窒素濃度が1mgL -1 以下でも窒素吸収能が高い水生植物を植栽した。この水生植物としては、例えば、セリ・カラー・パピルスなどが挙げられる。さらに、受水域2には、網篭15a内にゼオライトを充填して該ゼオライト層には、夏期にトマトを、冬期にフダンソウなどの陸生植物26aを植栽して成る植生用カセット15を設置した。
【0043】
次に、上記構成のBGF水路1による水質浄化方法および水質浄化装置の動作について説明する。合併処理浄化槽による生活排水の二次処理水や地下水等の被処理水が流入管6からBGF水路1の最上流側の受水域2に流入すると、上記実施の形態1の場合と同様に、その流入水で植生用カセット15の下部が浸漬され、植生用カセット15の陸生植物26aが毛状根から流入水中の窒素・リンを吸収して生育する。また、流入水中の懸濁物質は、受水域2の下部の汚泥貯留槽部30に沈降する。その汚泥貯留槽部30に溜った懸濁物質は、実施の形態1の場合と同様に時期を見計らって沈澱部排出管11から排出除去される。
【0044】
このように、受水域2で植生用カセット15の充填濾材と陸生植物26aとにより、ある程度浄化された流入水は上流側水域3に向う際にフィルタ9で懸濁物質が濾過される。このため、前記受水域2の汚泥貯留槽部30に沈降した懸濁物質が次の上流側水域3に流入するようなことはなく、上流側水域3および中間水域4において、懸濁物質による天然鉱物濾材24,25の目詰まりを防止できる。
【0045】
また、上流側水域3と中間水域4と下流側水域5では、阻流板16と堰13および阻流板17と堰14ならびに阻流板18とによって、被処理水は図中矢印方向の蛇行流となる。このため、BGF水路1を流れる被処理水は、水面WL付近だけの流れとはならず、天然鉱物濾材24,25に対する効果的な流れとなって、天然鉱物濾材24,25が被処理水中の窒素・リンを効率よく吸着する。また、上述のように、被処理水が上下方向の蛇行流となることにより、毛状根が水中深くまで伸びない陸生植物27であっても、その毛状根が前記被処理水に効率よく接触して被処理水中の窒素を吸収することとなり、陸生植物27の生育が旺盛となる。
【0046】
そして、上流側水域3と中間水域4および下流側水域5では、それらの水域に植栽した陸生植物27,28および水生植物29のそれぞれの毛状根が前記各水域3,4,5のそれぞれの水深に応じた長さに生育することによって、流水域全体に前記毛状根が繁茂する。このため、前記有用植物27,28,29の毛状根によって、流水中の窒素・リン等が効率よく吸収されると共に、流水域全体に天然鉱物濾材24,25が充填されていることにより、それらの天然鉱物濾材24,25によって流水中の窒素・リンも効率よく吸着され、流出口19からの流出水は、窒素・リンが効率よく除去された浄化水として排出される。
【0047】
以上において、年間を通した実験による窒素・リンの除去成績を表1に示す。
【表1】
JP0003787610B2_000002t.gif【0048】
表1から明らかなように、この発明の上記実施の形態2によるBGF水路1によれば、夏期には流入水に含まれた全窒素の99.2%および全リンの97.1%を除去できることが判明した。また、流出水の重金属濃度は、表に示していないが、水道水の水質基準の1/5~1/10と極めて低く、このため、夏期のBGF水路からの流出水は、水道原水等の水資源として循環利用できることが明らかとなった。
【0049】
なお、上記実施の形態2によるBGF水路1では、陸生植物・水生植物の両方に鹿沼土・ゼオライトを使用可能であるが、上流側に鹿沼土を使ったのでは、この鹿沼土によるリン吸収効率が高いことにより、下流側の植物が十分に育たなくなることもある。このため、植生用カセット15と上流側水域3および中間水域4の前半にゼオライト24を充填し、中間水域4の後半と下流側水域5には鹿沼土を充填した。これにより、陸生植物および水生植物のそれぞれが良好に生育した。
【0050】
また、上記実施の形態2においては、流入水の窒素とリンの比率に応じて鹿沼土・ゼオライト等の天然鉱物濾材の長さを変化させることが好ましい。即ち、BGF水路1の中間水域4の後半と下流側水域5に充填する鹿沼土等リン吸着濾材の充填長さを変化させることにより、窒素・リンの効率的除去を図ることができる。例えば、流入水のN/P比が1~3(P=1に対してN=3)の場合は、ゼオライト濾材とリン吸着濾材充填水路の長さを1:1とする。また、N/P比が3~7の場合は、植物による窒素とリンの吸収がバランスよく行われるので、充填濾材をゼオライト主体として鹿沼土を不要化してもよい。さらに、N/P比が1以下の場合は、植物だけではリンを吸収除去できないので、鹿沼土などのリン吸着濾材を主体とすることが好ましい。なお、N/P比が7以上の場合は、リン欠乏により植物の生育が抑制されるので、この場合は、く溶性リン酸肥料をゼオライト濾材に適量混合したり、不足養分点滴パイプ31などで不足分のリン酸を補填することにより、植物の生育促進を図ることができる。
【0051】
さらに、上記実施の形態2によるBGF水路1において、陸生植物27,28栽培部位の濾材(ゼオライト)充填高さを水面WLよりも10~20cm高くした理由は、曝気を必要とせずに陸生植物を旺盛に生育させることにある。また、水生植物29の栽培部位においても、濾材(鹿沼土)の充填高さを水面WLよりも3~5cm高くした理由は、水面WLに光が入らないようにして藻類の発生を防止することにある。
【0052】
さらに、上記実施の形態2によるBGF水路1では、各水域3,4,5ごとに生育時期が異なる植物を年間を通して植栽することとする。これにより、成熟した植物を収穫しても、未だ収穫時期に達していない他の植物によって、流入水の窒素・リンの吸収除去を行うことができる。
【0053】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による水質浄化装置を示す概略構成図である。この実施の形態3では、上記実施の形態1または実施の形態2と同一構成のBGF水路1を離間平行状態の2連配置としたものである。この場合、平行する2つのBGF水路1は、それぞれの水路での栽培植物が日陰にならない間隔に配置することが好ましく、例えば、栽培植物の最大草丈と同じ間隔に配置する。これにより、植物の生育促進を図ることができる。なお、図4には不足養分点滴パイプ31と養分補填ポンプ32を示したが、この実施の形態3におけるその他の構成は図3と同一のため、同一部分または相当部分には同一符号を付して重複説明を省略した。
【0054】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4による水質浄化装置を示す概略構成図である。この実施の形態4では、上記実施の形態1または実施の形態2と同一構成のBGF水路1の組み合わせ配置数を増やしたものである。この実施の形態4の場合も上記実施の形態3と同様の効果が得られると共に、その組合せ平面形状を任意に変化させることによって環境美化を図ることができる。なお、図5において、図3および図4と同一または相当部分には同一符号を付して重複説明を省略した。
【0055】
以上説明した実施の形態2~実施の形態4によるBGF水路1は、窒素濃度が高い地下水や河川水を浄化して飲料水とする際の前処理に活用でき、この浄化水を膜濾過し且つ殺菌処理することによって、地下水や河川水を弊害のない飲料水とすることができる。
【0057】
【発明の効果】
この発明によれば、水路に有用植物を植栽して水質を浄化する水質浄化方法において、阻流板と中間堰を用い前記水路を上流側から下流側に向って漸次水深が深くなる複数の区画水域に区分し、受水域以外において該区画水域のそれぞれに天然鉱物濾材を直接充填すると共に、最上流側の受水域に植生用カセットを設け、前記植生用カセットの充填天然鉱物濾材及び該カセットに植栽された陸生植物あるいは水生植物により浄化し、水域と後続の水域の間にフィルタを設け、懸濁物質を除去し、汚泥貯留部に沈殿した沈殿汚泥を沈殿物排出管から系外へ排出除去し、後続の水域において前記阻流板と前記中間堰によって上下蛇行流を生じさせ、且つ、前記天然鉱物濾材には、前記各区画水域ごとに生育時期が異なり且つ各区画水域の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の有用植物を植栽することにより、前記天然鉱物濾材を介して前記各区画水域の植栽有用植物群の毛状根を水路の流水に効率よく接触させることを特徴とする有用植物を用いたので、各区画水域の流入水域全域で有用植物の毛状根と流水を効率的に接触させることができ、有用植物の養分吸収機能(窒素・リンなどの吸収機能)および天然鉱物濾材による窒素・リン吸着機能が向上すると共に、成熟した植物を収穫しても他の未成熟植物による養分吸収によって安定した水質浄化を行うことができるという効果がある。
【0058】
この発明によれば、水路に有用植物を植栽して水質を浄化する水質浄化装置において、阻流板と中間堰を用い前記水路を上流側から下流側に向って漸次水深が深くなるように区分した複数の区画水域と、受水域以外において該区画水域のそれぞれに直接充填した天然鉱物濾材と、最上流側の受水域に植生用カセットと、浄化するための前記植生用カセットの充填天然鉱物濾材及び該カセットに植栽された陸生植物あるいは水生植物と、水域と後続の水域の間に懸濁物質を除去するために設けられたフィルタと、汚泥貯留部に沈殿した沈殿汚泥を系外へ排出除去する沈殿物排出管とからなり、前記阻流板と前記中間堰によって後続の水域において上下蛇行流を生じさせ、前記天然鉱物濾材には、前記各区画水域ごとに生育時期が異なり且つ各区画水域の水深に応じた長さに毛状根が繁茂する複数の有用植物を植栽してなることを特徴とする有用植物を用いたので、毛状根が水中深くまで伸びない陸生植物と毛状根が水中深くまで伸長する水生植物とを併用するものでありながら、前記各水域の水深全域で毛状根を流水に効率よく接触させることができ、このため、効率的で安定した水質浄化を行うことができるという効果がある。
【0059】
この発明によれば、水路の天然鉱物濾材充填層にリン酸などの不足養分を補填するための養分補填手段を備えている構成としたので、窒素濃度に比してリン濃度が著しく低い汚染地下水や河川水等の流入水(被処理水)であっても、この場合、前記養分補填手段から不足分のリンを補填することにより、有用植物が旺盛に生育して窒素を高率よく吸収除去することができるという効果がある。
【0060】
この発明によれば、水路の最上流側に流入水を受け入れる受水域を区分形成し、この受水域には、天然鉱物濾材が充填されて有用植物が植栽された植生用カセットを着脱可能に設置すると共に、前記受水域とこれに続く上流側水域との連通部にはフィルタを設ける構成としたので、流入水中の懸濁物質が前記受水域から前記上流側水域および後続の水域に流入するようなことがなく、このため、天然鉱物濾材を長期間使用しても当該濾材に目詰まりが生じるようなことがなく、上流側水域および中間水域ならびに下流水域での段階的浄化効率が向上するという効果がある。また、受水域における前記植生用カセットの下部に汚泥貯留槽部を有する構成としたので、その汚泥貯留槽部に懸濁物質を溜めて容易に取り除くことができるという効果がある。
【0061】
この発明によれば、各区画水域における天然鉱物濾材の充填高さを水面よりも高くなるように構成したので、曝気を必要とせずに植物を旺盛に繁殖させることができると共に、水面が天然鉱物濾材で覆われて光が遮断されることにより、水面に藻類が発生するのを防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による水質浄化装置を示す断面図である。
【図2】図1中の天然鉱物濾材の充填高さを有用植物の耐湿性に応じて変化させた状態の水質浄化装置を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2による水質浄化装置を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態3による水質浄化装置を示す概略構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4による水質浄化装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 BGF水路
2 受水域
3 上流側水域
4 中間水域
5 下流側水域
9 フィルタ
15 植生用カセット
24 陽イオン吸着能が高い天然鉱物濾材(ゼオライトなど)
25 リン酸吸着能が高い天然鉱物濾材(鹿沼土など)
26a,27,28 陸生植物(有用植物)
26b,29 水生植物(有用植物)
30 汚泥貯留槽部
31 不足養分点滴パイプ(養分補填手段)
32 養分補填ポンプ(養分補填手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4