TOP > 国内特許検索 > 内面形状測定装置、及び内面形状測定方法 > 明細書

明細書 :内面形状測定装置、及び内面形状測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5648831号 (P5648831)
公開番号 特開2012-002783 (P2012-002783A)
登録日 平成26年11月21日(2014.11.21)
発行日 平成27年1月7日(2015.1.7)
公開日 平成24年1月5日(2012.1.5)
発明の名称または考案の名称 内面形状測定装置、及び内面形状測定方法
国際特許分類 G01B  11/24        (2006.01)
FI G01B 11/24 B
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2010-140727 (P2010-140727)
出願日 平成22年6月21日(2010.6.21)
審査請求日 平成25年6月20日(2013.6.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
発明者または考案者 【氏名】川末 紀功仁
個別代理人の代理人 【識別番号】100085660、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 均
【識別番号】100149892、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 弥生
審査官 【審査官】櫻井 仁
参考文献・文献 特開2005-070840(JP,A)
特開2003-004422(JP,A)
特開平11-194169(JP,A)
特開2009-092637(JP,A)
調査した分野 G01B 11/00~11/30
G01C 7/06
特許請求の範囲 【請求項1】
管体の内面形状を三次元的に計測する内面形状測定装置であって、
前記管体の内面に沿って鉛直方向且つ前記管体の軸方向と直交する方向にレーザビームを走査させて、該管体の内面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力する第1の測距データ検出手段と、
前記管体の内面に沿って前記鉛直方向に対して所定角度傾けた方向且つ前記管体の軸方向と直交する方向にレーザビームを走査させて、該管体の内面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力する第2の測距データ検出手段と、
前記第1の測距データ検出手段、及び前記第2の測距データ検出手段を搭載して移動する移動手段と、
前記移動手段を前記管体の軸方向と平行な方向に移動させたときに、前記第2の測距データ検出手段が検出した測距データと、予め前記管体の軸線との傾きがゼロのときに前記第2の測距データ検出手段により検出した測距データと、に基づいて、前記管体の軸線に対する前記移動手段の傾き角度を算出する傾斜角算出手段と、
前記第1の測距データ検出手段が検出した測距データを、前記傾斜角算出手段が算出した傾き角度に基づいて補正することにより前記管体の内面三次元形状を演算する演算手段と、
を備えたことを特徴とする内面形状測定装置。
【請求項2】
前記所定の角度は、前記鉛直方向に対して45度であることを特徴とする請求項1に記載の内面形状測定装置。
【請求項3】
前記第1の測距データ検出手段、及び前記第2の測距データ検出手段は、測域センサにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内面形状測定装置。
【請求項4】
第1の測距データ検出手段、第2の測距データ検出手段、移動手段、位置座標検知手段、傾斜角検出手段、及び演算手段を備え、管体の内面形状を三次元的に計測する内面形状測定装置の内面形状測定方法であって、
前記第1の測距データ検出手段が前記管体の内面に沿って鉛直方向且つ前記管体の軸方向と直交する方向にレーザビームを走査させて、該管体の内面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力するステップと、
前記第2の測距データ検出手段が前記管体の内面に沿って前記鉛直方向に対して所定角度傾けた方向且つ前記管体の軸方向と直交する方向にレーザビームを走査させて、該管体の内面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力するステップと、
前記移動手段が、前記第1の測距データ検出手段、及び前記第2の測距データ検出手段を搭載して移動するステップと、
傾斜角算出手段が、前記移動手段を前記管体の軸方向と平行な方向に移動させたときに、前記第2の測距データ検出手段が検出した測距データと、予め前記管体の軸線との傾きがゼロのときに前記第2の測距データ検出手段により検出した測距データと、に基づいて、前記管体の軸線に対する前記移動手段の傾き角度を算出するステップと、
前記演算手段が、少なくとも前記第1の測距データ検出手段が検出した測距データを、前記傾斜角算出手段が算出した傾き角度に基づいて補正することにより前記管体の内面三次元形状を演算するステップと、
を含むことを特徴とする内面形状測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内面形状測定装置、及び内面形状測定方法に関し、さらに詳しくは、管体内を移動する測定装置が管体の中心軸に対して3次元方向に傾斜している場合であっても、管体内面を正確に測定することが可能な内面形状測定装置とその測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル、配管等の管体の内面を測定する従来方法としては、トンネル等の内面に設置した測距手段の原点から発生されるレーザ光をトンネルの内周面に対して所定の角度毎に順次照射し、照射したレーザ光とトンネルの内周面上の照射点で反射されたレーザ光との時間差と位相差を検知することで、角度毎に原点から照射点までの距離を測定し、この測定した距離及び角度に基づいて各照射点を位置データに変換し、変換された位置データを連続的に描画することでトンネルの断面形状を得るものがある。
しかしながら、従来のレーザ光による測距手段を用いたトンネル形状の測定方法では、トンネルの断面形状のみが描画されるため、トンネル全体の形状を立体的に把握することができないという問題がある。また、従来のレーザ光による側距手段を用いたトンネル形状の測定方法では、測距手段に設けた原点を基準としてトンネルの断面形状を得るため、基準となる測距手段のトンネル内における位置や傾きによって、トンネルの断面形状に誤差が生じる。特に、測距手段を車両等の移動手段に設置してトンネル内で移動させた場合は、トンネル内における移動手段の位置を把握することが困難であるとともに、移動手段を設置した底面が、必ずしもトンネルの中心軸に対して常に平行ではないため、移動手段が中心軸に対して傾斜することがあり、トンネルの断面形状が正確に測定できないといった問題がある。
このような問題を解決するために特許文献1には、移動手段の前部と後部に設けた測距手段の各測定値を比較することで、トンネルの軸方向における移動手段の傾きを容易に把握してその傾きを補正し、より正確にトンネル形状の三次元データを作成することができる三次元測定装置について開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2003-4422公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術では、トンネルなど大口径の管体の傾きを正確に測定するためには、2つの測定手段間の離間距離を大きく確保する必要があるため、計測器が大型となる。また、トンネルが曲がっている場合に、トンネルが曲がっているのか、計測器が傾いているのかの判断ができないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、管体の内面に沿って鉛直方向の測距データと、鉛直方向に対して所定の角度傾けた方向の測距データを同時に計測し、それらのデータに基づいて管体の中心軸と装置の傾き角を算出し、算出した傾き角に基づいて位置座標を補正することにより、測定装置が傾斜している場合であっても、管体の内面を正確に測定することができる内面形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、管体の内面形状を三次元的に計測する内面形状測定装置であって、前記管体の内面に沿って鉛直方向且つ前記管体の軸方向と直交する方向にレーザビームを走査させて、該管体の内面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力する第1の測距データ検出手段と、前記管体の内面に沿って前記鉛直方向に対して所定角度傾けた方向且つ前記管体の軸方向と直交する方向にレーザビームを走査させて、該管体の内面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力する第2の測距データ検出手段と、前記第1の測距データ検出手段、及び前記第2の測距データ検出手段を搭載して移動する移動手段と、前記移動手段を前記管体の軸方向と平行な方向に移動させたときに、前記第2の測距データ検出手段が検出した測距データと、予め前記管体の軸線との傾きがゼロのときに前記第2の測距データ検出手段により検出した測距データと、に基づいて、前記管体の軸線に対する前記移動手段の傾き角度を算出する傾斜角算出手段と、前記第1の測距データ検出手段が検出した測距データを、前記傾斜角算出手段が算出した傾き角度に基づいて補正することにより前記管体の内面三次元形状を演算する演算手段と、を備えたことを特徴とする。
管体の中心軸と測定装置の向きが常に平行であれば、管体が曲がっていても正確に管内面の三次元形状を生成することができる。実際は測定装置が傾くと管体壁面と測定装置との相対的な距離が変化してしまい、正確な三次元形状を生成することができない。しかし、測定装置は管体内を移動するために、その過程で常に姿勢を一定に維持することは難しく、管体の中心軸に対して測定装置が傾斜することがある。そこで本発明では、管体の内面に沿って鉛直方向にレーザビームを走査させて、管体の内面に照射したレーザビームの方位毎の測距データを出力する第1の測距データ検出手段と、鉛直方向に対して所定の角度に傾けた方向にレーザビームを走査させて、管体の内面に照射したレーザビームの方位毎の測距データを出力する第2の測距データ検出手段により、管体の中心軸に対する傾斜角度を算出し、この算出した傾斜角度から位置座標を補正して三次元表面形状を生成する。これにより、測定装置が傾斜した場合でも、管体の内面を正確に測定することができる。
制御手段はPC等のコンピュータにより構成される。従って、第1の測距データ検出手段、並びに第2の測距データ検出手段により検出された測距データを取り込んで、所定のアルゴリズムに従って傾斜角度を演算する。また、位置座標検知手段により検知された位置座標を演算した傾斜角度に基づいて補正する。補正の方法は、管軸を直線と仮定して、各計測結果(楕円又は円)の中心を直線上に並べ、次に傾きを考慮して、計測結果の傾きを補正する。これにより、傾斜による三次元表面形状の誤差を簡単な方法で補正することができる。
それぞれの測距データを集積すると、管体の断面形状が生成される。特に、第2の測距データ検出手段により検出した測距データは、斜めから管内面の断面形状として捉えているので、傾きに対して敏感である。そこで、傾きがゼロのときの断面形状を予め基準値として記憶しておき、その基準値に変化が生じたときは測定装置が傾斜したと見做すことができる。そして、変化量から演算により傾きを算出する。尚、基準値は、管径が変化すると変化してしまうが、トンネルなどの大型管を想定した場合、基準値の変化に対して大型管の径の変化量は遥かに小さいと考える。これにより、単純なアルゴリズムにより、傾斜角を感度良く、且つ正確に演算することができる。
【0006】
請求項2は、前記所定の角度は、前記鉛直方向に対して45度である請求項1に記載の内面形状測定装置を特徴とする。
鉛直面に対して所定の角度(θ)傾けると、その角度に応じて鉛直面が1/cosθ倍に拡大される。例えば、45度傾けると、鉛直面の√2倍に拡大される。即ち、その分傾斜の感度が高くなったことになる。これにより、演算が容易となり処理速度を早くすることができる。
【0007】
請求項3は、前記第1の測距データ検出手段、及び前記第2の測距データ検出手段は、測域センサにより構成されている請求項1又は2に記載の内面形状測定装置を特徴とする。
測域センサは、空間の物理的な形状データを出力することができる走査型の光波距離計である。従って、レーザビームの形状を撮影するCCDカメラ等が不要である。また、センサからのデータは、本質的にセンサと対象物との相対的な距離、方角を表すので、CCDカメラから座標を演算する手段が不要となる。これにより、装置の構成が簡略化され、小型で且つ安価に装置を構成することができる。
【0008】
請求項4は、第1の測距データ検出手段、第2の測距データ検出手段、移動手段、位置座標検知手段、傾斜角検出手段、及び演算手段を備え、管体の内面形状を三次元的に計測する内面形状測定装置の内面形状測定方法であって、前記第1の測距データ検出手段が前記管体の内面に沿って鉛直方向且つ前記管体の軸方向と直交する方向にレーザビームを走査させて、該管体の内面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力するステップと、前記第2の測距データ検出手段が前記管体の内面に沿って前記鉛直方向に対して所定角度傾けた方向且つ前記管体の軸方向と直交する方向にレーザビームを走査させて、該管体の内面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力するステップと、前記移動手段が、前記第1の測距データ検出手段、及び前記第2の測距データ検出手段を搭載して移動するステップと、傾斜角算出手段が、前記移動手段を前記管体の軸方向と平行な方向に移動させたときに、前記第2の測距データ検出手段が検出した測距データと、予め前記管体の軸線との傾きがゼロのときに前記第2の測距データ検出手段により検出した測距データと、に基づいて、前記管体の軸線に対する前記移動手段の傾き角度を算出するステップと、前記演算手段が、少なくとも前記第1の測距データ検出手段が検出した測距データを、前記傾斜角算出手段が算出した傾き角度に基づいて補正することにより前記管体の内面三次元形状を演算するステップと、を含む内面形状測定方法を特徴とする。
本発明は請求項1と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、管体の内面に沿って鉛直方向にレーザビームを走査させて、管体の内面に照射したレーザビームの方位毎の測距データを出力する第1の測距データ検出手段と、鉛直方向に対して所定の角度に傾けた方向にレーザビームを走査させて、管体の内面に照射したレーザビームの方位毎の測距データを出力する第2の測距データ検出手段により、傾斜角度を算出し、この算出した傾斜角度から位置座標を補正して三次元表面形状を生成するので、測定装置が傾斜した場合でも、管体の内面を正確に測定することができる。
また、管軸を直線と仮定して、各計測結果(楕円又は円)の中心を直線上に並べ、次に傾きを考慮して、計測結果の傾きを補正するので、傾斜による三次元表面形状の誤差を簡単な方法で補正することができる。
また、傾きがゼロのときの断面形状を予め基準値として記憶しておき、その基準値に変化が生じたときは測定装置が傾斜したと見做すことができる。そして、変化量から演算により傾きを算出するので、単純なアルゴリズムにより、傾斜角を感度良く、且つ正確に演算することができる。
また、鉛直面に対して所定の角度(θ)傾けると、その角度に応じて鉛直面が1/cosθ倍に拡大されるので、演算が容易となり処理速度を早くすることができる。
また、測域センサは、レーザビームの形状を撮影するCCDカメラ等が不要であり、また、センサからのデータは、本質的にセンサと対象物との相対的な距離、方角を表すので、CCDカメラから座標を演算する手段が不要となるので、装置の構成が簡略化され、小型で且つ安価に装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る管内面形状測定装置の概略構成を示す図である。
【図2】PCの機能を説明するための機能ブロック図である。
【図3】PCにより測距データを補正する手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】(a)は装置が傾いたまま内径を測定して表示した図であり、(b)は補正後の内径を表示した図であり、(c)は補正前と補正後の管の半径と管長との関係を表す図である。
【図5】(a)は計測する廊下の写真であり、(b)は側域センサにより計測した廊下の断面計測例を示す図である。
【図6】(a)はトンネルの内部に測域センサユニットを傾きがないように設置した場合の図、(b)は測域センサユニットをトンネルの側面から見た図、(c)は各側域センサから出力される断面形状を示す図、(d)は図5の廊下の断面を測定した例を示す図である。
【図7】(a)はトンネルの内部に測域センサユニットを傾かせて設置した場合の測域センサユニットをトンネルの側面から見た図、(b)は各側域センサから出力される断面形状を示す図、(c)は図5の廊下の断面を測定した例を示す図である。
【図8】(a)はx軸を中心に反時計回りにα度回転している場合を示す図、(b)は傾いていない場合のA断面とB断面を示す図、(c)はx軸中心に反時計回りにα回転させた場合のA断面とB断面を示す図であり、(d)は図8のように設置された状態で各側域センサから出力される断面形状を示す図である。
【図9】(a)はx軸を中心に反時計回りにα回転している場合を示す図、(b)はこのときの各側域センサから出力される断面形状を示す図、(c)は図5の廊下の断面を測定した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。

【0014】
図1は本発明の実施形態に係る内面形状測定装置の概略構成を示す図である。この内面形状測定装置(以下、測定装置と呼ぶ)100は、トンネル1の内面の表面形状を三次元的に計測する測定装置100であって、トンネル1に沿って鉛直方向にレーザビーム2を走査させて、トンネル1内面に照射したレーザビーム2の方位毎の測距データを出力する測域センサ(第1の測距データ検出手段)11と、鉛直方向に対して所定の角度θに傾けた方向にレーザビーム3を走査させて、トンネル1に照射したレーザビーム3の方位毎の測距データを出力する測域センサ(第2の測距データ検出手段)12と、測域センサ11、及び測域センサ12をトンネル1の軸方向に移動する車両(移動手段)5と、車両5により測域センサ11、及び測域センサ12を移動させた時のそれぞれの位置座標を検知するエンコーダ(位置座標検知手段)8と、測域センサ11、及び測域センサ12により検出された測距データに基づいて車両5と管軸との傾き角度を算出し、エンコーダ8により検知された位置座標を、算出した傾き角度に基づいて補正して管内面の三次元表面形状を生成するPC(制御手段)10と、を備えて構成されている。

【0015】
尚、図1では、測域センサ11と12を一体的に構成した測域センサユニット4、及びエンコーダ8から出力される信号をケーブル9によりPC10と接続しているが、PC10を車両5に搭載しても構わない。また、PC10には、生成された三次元表面形状を表示するモニタ15を備えている。
即ち、トンネル1の中心軸と測域センサ11、12の向きが常に平行であれば、トンネル1が曲がっていても正確にトンネル1内面の三次元形状を生成することができる。実際は測域センサ11、12が傾くとトンネル1壁面と測域センサ11、12との相対的な距離が変化してしまい、正確な三次元形状を生成することができない。しかし、測定装置100はトンネル1内を移動するために、何らかの傾斜を伴う場合がある。そこで本実施形態では、トンネル1内面に沿って鉛直方向にレーザビーム2を走査させて、トンネル1内面に照射したレーザビーム2の方位毎の測距データを出力する側域センサ11と、鉛直方向に対して所定の角度θに傾けた方向にレーザビーム3を走査させて、トンネル1内面に照射したレーザビーム3の方位毎の測距データを出力する側域センサ12により傾斜角度を算出し、この算出した傾斜角度から位置座標を補正して三次元表面形状を生成する。これにより、測定装置100が傾斜した場合でも、トンネル1内面の形状を正確に測定することができる。

【0016】
図2はPCの機能を説明するための機能ブロック図である。PC10は、測域センサ11、及び測域センサ12により検出された測距データに基づいて車両5と管軸(トンネル1の中心軸)との傾き角度を算出する傾斜角算出手段13と、エンコーダ8により検知された位置座標を傾斜角算出手段13により算出された傾き角度に基づいて補正してトンネル1内面の三次元表面形状を演算する演算手段14と、を備えている。
即ち、制御手段はPC10のコンピュータにより構成される。従って、側域センサ11、並びに側域センサ12により検出された測距データを取り込んで、所定のアルゴリズム(詳細は後述する)に従って傾斜角度を演算する。また、エンコーダ8により検知された位置座標を、傾斜角算出手段13により算出した傾斜角度に基づいて補正する。補正の方法は、管軸を直線と仮定して、各計測結果(楕円又は円)の中心を直線上に並べ、次に傾きを考慮して、計測結果の傾きを補正する。これにより、傾斜による三次元表面形状の誤差を簡単な方法で補正することができる(詳細は後述する)。

【0017】
尚、傾斜角算出手段13は、予め管軸との傾きがゼロのときの側域センサ11、及び側域センサ12により検出した測距データを基準値とし、この基準値に対する変化量に基づいて、車両5と管軸との傾きを算出する。即ち、それぞれの測距データを集積すると、トンネル1内面の断面形状が生成される。特に、側域センサ12により検出した測距データは、斜めからトンネル1内面の断面形状として捉えているので、傾きに対して敏感である。即ち、傾きがゼロのときのトンネル1の断面形状を予め基準値として記憶しておき、その基準値に変化が生じたときは測定装置100が傾斜したと見做すことができる。そして、変化量から演算により傾きを算出する。尚、基準値はトンネル1の径が変化すると変化してしまうが、トンネルなどの大型管を想定した場合、基準値の変化に対して大型管の径の変化量は遥かに小さいと考える。これにより、単純なアルゴリズムにより、傾斜角を感度良く、且つ正確に演算することができる。

【0018】
図3はPCにより測距データを補正する手順を説明するためのフローチャートである。まず、車両5を測定するトンネル1内に設置し、傾斜がない位置で側域センサ11と側域センサ12により測定した側距データをPC10内のメモリに基準値として記憶する(S1)。そして、測定を開始するために(S2)、側域センサ11と12の電源をONとして(S3)、車両5をトンネル1内に移動させながら側距データをメモリに記憶した基準値と比較する。比較の結果、基準値と所定量の差が生じると、その差から傾斜角を算出して、傾斜がなければ(S4でN)、ステップS7に進んで出力された側距データに基づいて三次元表面形状を演算する(S7)。一方、ステップS4で傾斜があると(S4でY)、傾き角度を算出して(S5)、側距データを算出した傾き角度に応じて補正して(S6)、出力された側距データに基づいて三次元表面形状を演算する(S7)。

【0019】
図4は一例として下水管が傾いている場合に三次元形状を補正する手順を説明する図である。図4(a)は装置が傾いたまま内径を測定して表示した図であり、図4(b)は補正後の内径を表示した図であり、図4(c)は補正前と補正後の管の半径と管長との関係を示す図である。装置が傾いている場合は、斜めに内径を計測してしまい、そのまま結果を並べると図4(a)のように管が曲がっているかのようになる。そのため、まず、(1)管軸を直線と仮定し、各計測結果(楕円または円)の中心を直線上に並べる。(2)傾きを考慮して、計測結果の傾きを補正する。この2つの手続きにより、図4(b)のように補正される。また、図4(c)から明らかなように、計測データ20は管長に対してうねるようになるが、補正することにより補正データ21のように略直線に補正される。
図5は側域センサにより廊下を計測した場合の断面計測例を示す図である。図5(a)は計測する廊下の写真であり、図5(b)は側域センサにより計測した廊下の断面計測例である。廊下の断面は矩形であるため、図5(b)のように計測すると矩形の断面として計測される。尚、領域Nは側域センサが計測不可能な領域である。
トンネルなどの断面形状を側域センサで計測する場合、管軸に対して正確にレーザ走査平面を設定することが難しい。そこで本実施形態の内面形状測定装置100では、側域センサ11と側域センサ12の2つを用いる。側域センサ11は鉛直方向(管断面と平行な方向)にレーザ面(A断面と呼ぶ)を投光し、側域センサ12は鉛直方向に対して45度傾けてレーザ面(B断面と呼ぶ)を投光するように固定する。これにより、測域センサユニット4が計測対象管の管軸に対して傾いている場合に、傾き角を検出できるようになる。

【0020】
図6(a)はトンネルの内部に測域センサユニット4を傾きがないように設置した場合の図、図6(b)は測域センサユニット4をトンネルの側面から見た図、図6(c)は各側域センサから出力される断面形状を示す図、図6(d)は図5の廊下の断面を測定した例を示す図である。尚、鉛直方向をx軸、管軸と直交する方向をy軸、管軸と平行な方向をz軸とする。
図6(c)は、各側域センサから出力される断面形状を示し、鉛直からθ傾いてレーザ面を投光するように設置された側域センサ12から出力される断面形状(B断面)は、鉛直のもの(A断面)よりも縦長になる。ここでA断面の高さをha、B断面の高さをhb、鉛直に対するB断面の傾きをθとすると、hb=ha/cosθ、ここでθ=45度のときは、hb=√2haとなる。
図6(d)は、計測対象物を図5の廊下にした場合のA断面とB断面の実測図である。この図でも明らかな通り、A断面に対してB断面の方が縦長に計測されているのがわかる。即ち、鉛直面に対して所定の角度(θ)傾けると、その角度に応じて鉛直面が1/cosθ倍に拡大される。例えば、45度傾けると、鉛直面の√2倍に拡大される。即ち、その分傾斜の感度が高くなったことになる。これにより、演算が容易となり処理速度を早くすることができる。

【0021】
図7(a)はトンネルの内部に計測器を傾かせて設置した場合の測域センサユニットをトンネルの側面から見た図、図7(b)は各側域センサから出力される断面形状を示す図、図7(c)は図5の廊下の断面を測定した例を示す図である。
図7(a)は測域センサユニット4を鉛直に対して、y軸を中心に時計回りにα=10度回転させて設置した状態を示す。図7(c)はこのときの各側域センサから出力される断面形状を示し、B断面は測域センサユニット4が傾いていない場合(図6(c)のB断面)よりもさらに縦長になる。このとき、hb´=ha/cosαであり、hb´=ha/cos(α+θ)となる。
図7(c)は、計測対象物を図5の廊下にした場合のA断面とB断面の実測図である。この図でも明らかな通り、B断面が図6(c)のB断面に対して更に縦長に計測されているのがわかる。

【0022】
図8(a)はx軸を中心に反時計回りにα度回転している場合を示す図、図8(b)は傾いていない場合のA断面とB断面を示す図、図8(c)はx軸中心に反時計回りにα回転させた場合のA断面とB断面を示す図であり、図8(d)は図8のように設置された状態で各側域センサから出力される断面形状を示す図である。図8(b)と図8(c)の関係のように、この場合、回転していない場合に対して、撮影される形状の幅が広くなる。このときの各高さにおける幅をviと置くと、
vi´=vi/cosαとなる。各高さにおける幅の変化率(vi´/vi)を求め、これらを平均することで、傾きαを求めることができる。また、B断面は右側に傾いて測定されるので、視覚的にも判断できる。

【0023】
図9(a)はx軸を中心に反時計回りにα度回転している場合を示す図、図9(b)はこのときの各側域センサから出力される断面形状を示す図、図9(c)は図5の廊下の断面を測定した例を示す図である。図9(b)のように、地上を示すラインLRがα度傾いて測定される。
図9(c)は、計測対象物を図5の廊下にした場合のA断面とB断面の実測図である。この図でも明らかな通り、A断面とB断面が図6(c)のA断面とB断面に対して地上を示すラインLRがα度傾いて計測されているのがわかる。
以上、本実施形態では管体としてトンネルを例に説明したが、トンネルに限らず、上下水管、廊下等の管体であれば本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 トンネル、2 レーザビーム、3 レーザビーム、4 側域センサユニット、5 車両、6 トンネル底面、7 車輪、8 エンコーダ、9 ケーブル、10 PC、11 側域センサ、12 側域センサ、13 傾斜角算出手段、14 演算手段、15 モニタ、20 補正データ、21 計測データ、100 内面形状測定装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8