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明細書 :生体組織接着装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007-229270 (P2007-229270A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
発明の名称または考案の名称 生体組織接着装置
国際特許分類 A61B  17/00        (2006.01)
A61B  18/00        (2006.01)
A61B  17/11        (2006.01)
FI A61B 17/00 320
A61B 17/36 330
A61B 17/11
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2006-055619 (P2006-055619)
出願日 平成18年3月1日(2006.3.1)
公序良俗違反の表示 1.テフロン
発明者または考案者 【氏名】岸田 晶夫
【氏名】増澤 徹
【氏名】樋上 哲哉
出願人 【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100108833、【弁理士】、【氏名又は名称】早川 裕司
【識別番号】100112830、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 啓靖
審査請求 未請求
テーマコード 4C060
Fターム 4C060CC23
4C060CC35
4C060JJ23
4C060MM18
4C060MM24
要約 【課題】 生体組織と生体組織又は生体組織接着性材料とを接着させるための装置を提供する。
【解決手段】 装置1aは、被着体T1及びT2を接着させるための装置であって、部材21a及び22aの間に被着体T1及びT2を挟持する挟持部2aと、部材22aを部材21aの方向へ加圧する加圧部3aと、加圧部3aによる加圧を制御する加圧制御部4aと、部材21aに内蔵された発熱体5aと、発熱体5aによる発熱を制御する発熱制御部6aと、微小振動を発生させる振動発生部7aと、振動発生部7aが発生する微小振動を制御する振動制御部8aとを備える。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
第1の被着体である生体組織と、第2の被着体である生体組織又は生体組織接着性材料とを接着させるための装置であって、
第1及び第2の被着体が互いに接触するように、第1及び第2の被着体を挟持する挟持部と、
挟持部に挟持された第1及び第2の被着体に9×10~1×10N/mの圧力が加えられるように、挟持部による挟持力を制御する挟持力制御部と、
挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を加熱する加熱部と、
挟持部に挟持された第1及び第2の被着体の温度が60~140℃となるように、加熱部による加熱を制御する加熱制御部と、
挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を振動させる振動部と、
挟持部に挟持された第1及び第2の被着体が周波数1~100kHzで振動するように、振動部による振動を制御する振動制御部とを備えたことを特徴とする前記装置。
【請求項2】
挟持部に挟持された第1及び第2の被着体が振幅100μm未満で振動するように、振動制御部が振動部による振動を制御することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
挟持部が、第1の被着体に接触する第1の接触部と、第2の被着体に接触する第2の接触部との間に第1及び第2の被着体を挟持し、
加熱部が、第1及び/又は第2の接触部を加熱することにより、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を加熱し、
振動部が、第1及び/又は第2の接触部を振動させることにより、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を振動させることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
互いに接触した状態にある第1及び第2の被着体の間に介在させることができる介在部を備え、
加熱部が、介在部を加熱することにより、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を加熱し、
振動部が、介在部を振動させることにより、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を振動させることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項5】
第1の被着体である生体組織と、第2の被着体である生体組織又は生体接着性材料とを接着させるための装置であって、
第1及び第2の被着体の一方を他方に対して加圧する加圧部と、
第1及び第2の被着体に9×10~1×10N/mの圧力が加えられるように、加圧部による加圧を制御する加圧制御部と、
第1及び/又は第2の被着体を加熱する加熱部と、
第1及び第2の被着体の温度が60~140℃となるように、加熱部による加熱を制御する加熱制御部と、
第1及び/又は第2の被着体を振動させる振動部と、
第1及び第2の被着体が周波数1~100kHzで振動するように、振動部による振動を制御する振動制御部とを備えたことを特徴とする前記装置。
【請求項6】
第1及び第2の被着体が振幅100μm未満で振動するように、振動制御部が振動部による振動を制御することを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
第1又は第2の被着体に接触する接触部を備え、
加熱部が、接触部を加熱することにより、第1又は第2の被着体を加熱し、
振動部が、接触部を振動させることにより、第1又は第2の被着体を振動させることを特徴とする請求項5又は6記載の装置。
【請求項8】
加圧部が、接触部を第1及び第2の被着体の一方に対して加圧することにより、第1及び第2の被着体の一方を他方に対して加圧することを特徴とする請求項7記載の装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織と生体組織又は生体組織接着性材料とを接着させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織同士を接着させるために、縫合糸、接着剤、自動吻合器、ステープラー、クリップ等が用いられてきた。しかしながら、縫合糸には、縫合に時間がかかる(特に微細な縫合部)、熟練が必要である等の問題点があり、接着剤(例えばフィブリン糊、シアノアクリレート等)には、接着力が低い、安全性が低い(例えばフィブリン糊は感染性、シアノアクリレートは発ガン性)等の問題点があり、自動吻合器には、微細な部分への適用が困難である等の問題点があり、ステープラー、クリップ等には、接着に長時間を要する等の問題点がある。
【0003】
一方、超音波メス(振動モード)は、生体組織同士を凝固・接着できるが、超音波メスは、大きな振幅を得るためにホーン部が必要であり、装置の小型化が困難である。なお、超音波メスによる生体組織同士の接着は、メス刃が超音波振動して生じる摩擦熱により生体組織のコラーゲン組織が一部融解して生じると考えられている。高周波メスは、高周波により発熱(約100℃)し、生体組織同士を接着できるが、メス部が大きく、周辺にダメージを与える。電気メス(止血モード)は、高温(約300℃)で生体組織を焼き切ることにより止血できるが、生体組織同士の接着は困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、生体組織と生体組織又は生体組織接着性材料とを接着させるための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の装置は、第1の被着体である生体組織と、第2の被着体である生体組織又は生体組織接着性材料とを接着させるための装置であって、第1及び第2の被着体が互いに接触するように、第1及び第2の被着体を挟持する挟持部と、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体に9×10~1×10N/mの圧力が加えられるように、挟持部による挟持力を制御する挟持力制御部と、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を加熱する加熱部と、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体の温度が60~140℃となるように、加熱部による加熱を制御する加熱制御部と、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を振動させる振動部と、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体が周波数1~100kHzで振動するように、振動部による振動を制御する振動制御部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の第1の装置において、挟持部には、第1及び第2の被着体が互いに接触した状態で挟持される。
【0007】
本発明の第1の装置において、挟持部による挟持力が挟持力制御部により制御されることにより、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体には9×10~1×10N/mの圧力が加えられる。
【0008】
本発明の第1の装置において、加熱部による加熱が加熱制御部により制御されることにより、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体は60~140℃に加熱される。なお、加熱部は、第1及び第2の被着体の一方又は両方を加熱するが、第1及び第2の被着体は互いに接触した状態にあるので、一方を加熱する場合であっても、一方に加えられた熱は他方に伝達され、他方も加熱されることとなる。
【0009】
本発明の第1の装置において、振動部による振動が振動制御部により制御されることにより、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体は周波数1~100kHzで振動する。なお、振動部は、第1及び第2の被着体の一方又は両方を振動させるが、第1及び第2の被着体は互いに接触した状態にあるので、一方を振動させる場合であっても、一方に加えられた振動は他方に伝達され、他方も振動することとなる。また、第1及び第2の被着体に加えられる振動の方向は特に限定されるものではなく、例えば、第1及び第2の被着体の接触面と略平行な方向であってもよいし、第1及び第2の被着体の接触面と略垂直な方向であってもよい。
【0010】
したがって、本発明の第1の装置において、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体は、互いに接触した状態にあり、かつ、第1及び第2の被着体には、9×10~1×10N/mの圧力、60~140℃の温度、1~100kHzの周波数の振動が付加される。これにより、第1及び第2の被着体は迅速かつ強固に接着する。また、第1及び第2の被着体に上記圧力、温度及び振動が付加されたとき、第1及び第2の被着体に与えられる損傷は少ない。なお、第1及び第2の被着体に付加される圧力は1×10~5×10N/mであることが好ましく、温度は80~110℃であることが好ましく、振動の周波数は10~60kHzであることが好ましい。
【0011】
本発明の第1の装置において、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体が振幅100μm未満で振動するように、振動制御部が振動部による振動を制御することが好ましい。
【0012】
第1及び第2の被着体に、9×10~1×10N/mの圧力、60~140℃の温度、1~100kHzの周波数の振動が付加される限り、第1及び第2の被着体に付加される振動の振幅は限定されない。しかしながら、100μm以上の振幅を得るためは、大型の振動素子、ホーン部等が必要であり、装置の小型化が困難である。これに対して、本発明の第1の装置において、挟持部に挟持された第1及び第2の被着体を振幅100μm未満で振動させる場合、小型の振動素子を使用でき、ホーン部を設ける必要もないので、装置の小型化が可能となる。装置を小型化させることにより、内視鏡手術、血管内治療等での利用が可能となる。
【0013】
本発明の第1の装置の構成は、例えば、第1及び第2の被着体の厚み等に応じて適宜変更できる。なお、第1及び第2の被着体の厚みとは、第1及び第2の被着体の接触面に直交する方向の厚みを意味する。
【0014】
本発明の第1の装置は、例えば、挟持部が、第1の被着体に接触する第1の接触部と、第2の被着体に接触する第2の接触部との間に第1及び第2の被着体を挟持し、加熱部が、第1及び/又は第2の接触部を加熱することにより、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を加熱し、振動部が、第1及び/又は第2の接触部を振動させることにより、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を振動させる構成をとることができる。この場合、第1及び第2の被着体のうち互いに接着し合う部分に、9×10~1×10N/mの圧力、60~140℃の温度、1~100kHzの周波数の振動を付加しやすくするために、第1及び第2の被着体の厚みは小さいことが好ましく、第1及び第2の被着体の厚みは、通常0.01~5mm、好ましくは0.1~1mmである。
【0015】
本発明の第1の装置は、例えば、互いに接触した状態にある第1及び第2の被着体の間に介在させることができる介在部を備え、加熱部が、介在部を加熱することにより、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を加熱し、振動部が、介在部を振動させることにより、挟持部に挟持された第1及び/又は第2の被着体を振動させる構成をとることができる。この場合、第1及び第2の被着体のうち互いに接着し合う部分に、9×10~1×10N/mの圧力、60~140℃の温度、1~100kHzの周波数の振動を付加しやすいので、第1及び第2の被着体の厚みは大きくてもよく、第1及び第2の被着体の厚みは、通常0.01~10mm、好ましくは0.1~5mmである。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第2の装置は、第1の被着体である生体組織と、第2の被着体である生体組織又は生体接着性材料とを接着させるための装置であって、第1及び第2の被着体の一方を他方に対して加圧する加圧部と、第1及び第2の被着体に9×10~1×10N/mの圧力が加えられるように、加圧部による加圧を制御する加圧制御部と、第1及び/又は第2の被着体を加熱する加熱部と、第1及び第2の被着体の温度が60~140℃となるように、加熱部による加熱を制御する加熱制御部と、第1及び/又は第2の被着体を振動させる振動部と、第1及び第2の被着体が周波数1~100kHzで振動するように、振動部による振動を制御する振動制御部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の装置において、加圧部が第1及び第2の被着体の一方が他方に対して加圧することにより、第1及び第2の被着体は互いに接触する。
【0018】
本発明の第2の装置において、加圧部による加圧が加圧制御部により制御されることにより、第1及び第2の被着体には9×10~1×10N/mの圧力が加えられる。なお、第1及び第2の被着体に圧力が加えられるためには、第1及び第2の一方が他方に対して加圧されたときの反作用として、当該他方が当該一方を押し返すことが必要となる。したがって、当該他方としては、このような反作用を発揮し得る被着体(例えば、血管等のように生体に固定された組織)が選択される。
【0019】
本発明の第2の装置において、加熱部による加熱が加熱制御部により制御されることにより、第1及び第2の被着体は60~140℃に加熱される。なお、加熱部は、第1及び第2の被着体の一方又は両方を加熱するが、第1及び第2の被着体は互いに接触した状態にあるので、一方を加熱する場合であっても、一方に加えられた熱は他方に伝達され、他方も加熱されることとなる。
【0020】
本発明の第2の装置において、振動部による振動が振動制御部により制御されることにより、第1及び第2の被着体は周波数1~100kHzで振動する。なお、振動部は、第1及び第2の被着体の一方又は両方を振動させるが、第1及び第2の被着体は互いに接触した状態にあるので、一方を振動させる場合であっても、一方に加えられた振動は他方に伝達され、他方も振動することとなる。また、第1及び第2の被着体に加えられる振動の方向は特に限定されるものではなく、例えば、第1及び第2の被着体の接触面と略平行な方向であってもよいし、第1及び第2の被着体の接触面と略垂直な方向であってもよい。
【0021】
したがって、本発明の第2の装置において、第1及び第2の被着体は、互いに接触した状態にあり、かつ、第1及び第2の被着体には、9×10~1×10N/mの圧力、60~140℃の温度、1~100kHzの周波数の振動が付加される。これにより、第1及び第2の被着体は迅速かつ強固に接着する。また、第1及び第2の被着体に上記圧力、温度及び振動が付加されたとき、第1及び第2の被着体に与えられる損傷は少ない。なお、第1及び第2の被着体に付加される圧力は1×10~5×10N/mであることが好ましく、温度は80~110℃であることが好ましく、振動の周波数は10~60kHzであることが好ましい。
【0022】
本発明の第2の装置において、第1及び第2の被着体が振幅100μm未満で振動するように、振動制御部が振動部による振動を制御することが好ましい。
【0023】
第1及び第2の被着体に、9×10~1×10N/mの圧力、60~140℃の温度、1~100kHzの周波数の振動が付加される限り、第1及び第2の被着体に付加される振動の振幅は限定されないが、本発明の第2の装置において、第1及び第2の被着体を振幅100μm未満で振動させる場合、小型の振動素子を使用でき、ホーン部を設ける必要もないので、装置の小型化が可能となる。装置を小型化させることにより、内視鏡手術、血管内治療等での利用が可能となる。
【0024】
本発明の第2の装置は、例えば、第1又は第2の被着体に接触する接触部を備え、加熱部が、接触部を加熱することにより、第1又は第2の被着体を加熱し、振動部が、接触部を振動させることにより、第1又は第2の被着体を振動させる構成をとることができる。この構成において、第1又は第2の被着体と接触部との接触を確実なものとするために、加圧部が、接触部を第1及び第2の被着体の一方に対して加圧することにより、第1及び第2の被着体の一方を他方に対して加圧することが好ましい。加圧部が、接触部を第1及び第2の被着体の一方に対して加圧することにより、接触部は第1及び第2の被着体の一方と確実に接触することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、生体組織と生体組織又は生体組織接着性材料とを接着させるための装置が提供される。本発明の装置は、例えば、手術用ピンセット、内視鏡先端部のクリップ、血管カテーテル等に組み込み、内視鏡手術、血管内治療等で利用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明について図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る装置1aは、被着体T1及びT2を接着させるための装置であって、図1に示すように、部材21a及び22aの間に被着体T1及びT2を挟持する挟持部2aと、部材22aを部材21aの方向へ加圧する加圧部3aと、加圧部3aによる加圧を制御する加圧制御部4aと、部材21aに内蔵された発熱体5aと、発熱体5aによる発熱を制御する発熱制御部6aと、微小振動を発生させる振動発生部7aと、振動発生部7aが発生する微小振動を制御する振動制御部8aとを備える。
【0027】
被着体T1及びT2の種類は特に限定されるものではなく、被着体T1及びT2の両方が生体組織であってもよいし、一方が生体組織であり、他方が生体組織接着性材料であってもよい。生体組織としては、例えば、循環器系組織、消化器系組織、皮膚組織、腱組織、靭帯組織、間柔組織、血管組織、代謝系組織、脳組織、リンパ系組織、筋組織等が挙げられる。生体組織接着性材料は、9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)の圧力、60~140℃(好ましくは80~110℃)の温度、1~100kHz(好ましくは10~60kHz)の周波数の振動が付加されたときに生体組織と接着できる限り特に限定されるものではなく、例えば、湿潤コラーゲン、ポリウレタン、ビニロン、ゼラチン、これらの複合材料等が挙げられる。被着体T1及びT2は、生体組織接着性材料自体であってもよいし、生体組織接着性材料からなる部分を有する医療用器具であってもよい。医療器具としては、例えば、ステント、ステントグラフト(カバードステント)、人工血管、癒着防止膜、創傷被覆材、血管カテーテル、カニューラ、モニタリングチューブ、人工腎臓、人工心肺、体外循環用血液回路、人工腎臓用A-Vシャント、人工血管、人工心臓、人工心臓弁、血液の一時的バイパスチューブ、人工透析用血液回路、血液バッグ、血液成分分離装置のディスポーザブル回路、透析膜、人工肝臓、ナノ粒子被覆材、バイオセンサー被覆材、経皮デバイス、動静脈シャント、ペースメーカー、中心静脈栄養カテーテル、心臓ラッピング用ネット等が挙げられる。被着体T1及びT2の厚み(被着体T1及びT2の接触面に直交する方向の厚み)は特に限定されるものではないが、通常0.01~5mm、好ましくは0.1~1mmである。第1実施形態に係る装置1aは比較的薄い被着体同士の接着に適している。
【0028】
図1に示すように、挟持部2aは、部材21a及び22aを有し、部材21a及び22aの間に被着体T1及びT2を挟持する。部材21a及び22aの形状、大きさ等、部材21a及び22aの被着体接触面の形状、大きさ等は、部材21a及び22aの間に被着体T1及びT2を挟持できる限り特に限定されるものではない。部材21a及び22aの形状は、例えば、板状、クリップ状、ピンセット状等である。部材21a及び22aの被着体接触面の形状は、例えば、平面、曲面、鋸歯状、剣山状等である。部材21a及び22aの材質は、被着体T1及びT2と接着しない限り特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス、ポリエステル、セロファン、テフロン、乾燥コラーゲン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹、これらの複合材料等である。
【0029】
図1に示すように、部材22aは、軸部材G1を中心として回動できるように、ロッドR1を介してアーム部AR1に取り付けられている。図1に示すように、アーム部AR1には、部材22aを回動させるための加圧部3aが設けられている。加圧部3aは、部材22aを回動させる動力源として、例えば、電気モータ、超音波モータ、ピエゾ素子等を有しており、部材22aを回動させることにより、部材22aを部材21aの方向へ加圧する。ワイヤーの一端を部材22aに接続し、ワイヤーの他端を外部から引っ張ることにより部材22aを部材21aの方向へ加圧してもよい。
【0030】
図1に示すように、部材22aの被着体接触面には、挟持部2aによる挟持力(すなわち、挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2に加えられる圧力)を検出するセンサS1が設けられている。センサS1及び加圧部3aは加圧制御部4aに電気的に接続されており、加圧制御部4aは、センサS1で検出された圧力等に基づき、挟持部2aによる挟持力(すなわち、挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2に加えられる圧力)が9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)となるように、加圧部3aによる加圧を制御する。
【0031】
部材21aに内蔵された発熱体5aは特に限定されるものではなく、例えば、電熱ヒーター、ペルチェ素子、磁性体(磁性体を用いる場合、外部より変動磁場を照射する)等である。図1に示すように、部材21aの被着体接触面には、被着体T1及びT2の温度を検出するセンサS2が設けられている。センサS2及び発熱体5aは発熱制御部6aに電気的に接続されており、発熱制御部6aは、センサS2で検出された温度等に基づき、挟持部2に挟持された被着体T1及びT2の温度が60~140℃(好ましくは80~110℃)となるように、発熱体5aによる発熱を制御する。なお、センサS2は、直接的には被着体T1の温度を検出するが、被着体T1に加えられた熱が被着体T2に伝達される結果、被着体T1の温度は被着体T2の温度の影響を受けるので、被着体T1の温度変化等に基づき、被着体T2の温度をも検出できる。
【0032】
図1に示すように、部材21aは、ロッドR2を介して振動発生部7aに取り付けられており、振動発生部7aは、アーム部AR2に取り付けられている。振動発生部7aは、微小振動の発生源として、例えば、超音波振動素子、超小型モーター、磁性体(磁性体を用いる場合、外部から変動磁場を照射する)等の振動素子を有している。振動発生部7aから発生した微小振動は、振動伝達部材であるロッドR2を介して部材21aに伝達される。部材21aに加えられる振動の方向は特に限定されるものではないが、本実施形態では被着体T1及びT2の接触面と略平行な方向である(図1中の矢印で示す方向)。振動発生部7aには、振動発生部7aによる微小振動を制御する振動制御部8aが電気的に接続されており、振動制御部8aは、挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2の微小振動の周波数が1~100kHz(好ましくは10~60kHz)となるように、振動発生部7aが発生する微小振動を制御する。また、振動制御部8aは、挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2の振動の振幅が100μm未満、好ましくは20μm未満となるように、振動発生部7aが発生する微小振動を制御する。なお、微小振動の振幅の下限値は通常0.1μm、好ましくは0.2μmである。挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2を振幅100μm未満で振動させる場合、小型の振動素子を使用でき、ホーン部を設ける必要もないので、装置1aの小型化が可能となる。
【0033】
図1に示すように、アーム部AR1はアーム部AR2に固定され、アーム部AR2は、把持部(図示せず)、カテーテル(図示せず)、ガイドワイヤー(図示せず)等に接続される。
【0034】
装置1aは、以下のようにして被着体T1及びT2を接着する。
挟持部2aには、被着体T1及びT2が互いに接触した状態で挟持される。このとき、挟持部2aによる挟持力が挟持力制御部4aにより制御されることにより、挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2には、9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)の圧力が加えられる。
【0035】
また、発熱体5aが発生した熱は、部材21aの被着体接触面を介して被着体T1及びT2に伝達され、被着体T1及びT2は加熱される。このとき、発熱体5aによる発熱が発熱制御部6aにより制御されることにより、挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2は60~140℃(好ましくは80~110℃)に加熱される。なお、発熱体5aが発生した熱は最初に被着体T1に加えられるが、被着体T1及びT2は互いに接触した状態にあるので、被着体T1に加えられた熱は被着体T2に伝達され、被着体T2も加熱されることとなる。
【0036】
さらに、振動発生部7aが発生した微小振動は、振動伝達部材であるロッドR2を介して部材21aに伝達される。このとき、振動発生部aによる振動が振動制御部8aにより制御されることにより、挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2は、周波数1~100kHz(好ましくは10~60kHz)で振動する。なお、振動発生部aから発生した微小振動は最初に被着体T1に加えられるが、被着体T1及びT2は互いに接触した状態にあるので、被着体T1に加えられた振動は被着体T2に伝達され、被着体T2も振動することとなる。また、被着体T1及びT2に加えられる振動の方向は特に限定されるものではないが、本実施形態では被着体T1及びT2の接触面と略平行な方向である(図1中の矢印で示す方向)。
【0037】
したがって、挟持部2aに挟持された被着体T1及びT2は、互いに接触した状態にあり、かつ、被着体T1及びT2には、9×10~1×10N/m(好ましくは10~5×10N/m)の圧力、60~140℃(好ましくは80~110℃)の温度、周波数1~100kHz(好ましくは10~60kHz)の振動が付加される。被着体T1及びT2に上記圧力、温度及び振動を付加する時間は、通常2~240秒、好ましくは10~120秒である。これにより、被着体T1及びT2は迅速かつ強固に接着する。また、被着体T1及びT2に上記圧力、温度及び振動が付加されたとき、第1及び第2の被着体に与えられる損傷は少ない。
【0038】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る装置1bは、被着体T3及びT4を接着するための装置であって、図2に示すように、部材21b及び22bの間に被着体T3及びT4を挟持する挟持部2bと、被着体T3及びT4の間に介在する部材23bと、部材21bを部材22bの方向へ加圧する加圧部31bと、部材22bを部材21bの方向へ加圧する加圧部32bと、加圧部31b及び32bによる加圧を制御する加圧制御部4bと、部材23bに内蔵された発熱体5bと、発熱体5bによる発熱を制御する発熱制御部6bと、微小振動を発生させる振動発生部7bと、振動発生部7bが発生する微小振動を制御する振動制御部8bとを備える。
【0039】
被着体T3及びT4の種類は特に限定されるものではなく、被着体T3及びT4の両方が生体組織であってもよいし、一方が生体組織であり、他方が生体組織接着性材料であってもよい。生体組織及び生体組織接着性材料の具体例は上記と同様である。被着体T3及びT4の厚み(被着体T3及びT4の接触面に直交する方向の厚み)は特に限定されるものではないが、通常0.01~10mm、好ましくは0.1~5mmである。第2実施形態に係る装置1bは比較的厚い被着体同士の接着に適している。
【0040】
図2に示すように、挟持部2bは、部材21b及び22bを有し、部材21b及び22bの間に被着体T3及びT4を挟持する。部材21b及び22bの形状、大きさ等、部材21b及び22bの被着体接触面の形状、大きさ等は、部材21b及び22bの間に被着体T3及びT4を挟持できる限り特に限定されるものではない。部材21b及び22bの形状は、例えば、板状、クリップ状、ピンセット状等である。部材21b及び22bの被着体接触面の形状は、例えば、平面、曲面、鋸歯状、剣山状等である。部材23bの形状、大きさ等、部材23bの被着体接触面の形状、大きさ等は、互いに接触した状態にある被着体T3及びT4の間に介在させることができる限り特に限定されるものではない。部材23bの形状は、例えば、板状、棒状等である。部材23bの被着体接触面の形状は、例えば、平面、曲面、鋸歯状、剣山状等である。部材21b、22b及び23bの材質は、被着体T3及びT4と接着しない限り特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス、ポリエステル、セロファン、テフロン、乾燥コラーゲン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹、これらの複合材料等である。
【0041】
図2に示すように、部材21bは、軸部材G2を中心として回動できるように、ロッドR3を介してアーム部AR3に取り付けられており、部材22bは、軸部材G3を中心として回動できるように、ロッドR4を介してアーム部AR3に取り付けられている。図2に示すように、アーム部AR3には、部材21bを回動させるための加圧部31b、及び部材22bを回動させるための加圧部32bが設けられている。加圧部31b及び32bは、それぞれ部材21b及び22bを回動させる動力源として、例えば、電気モータ、超音波モータ、ピエゾ素子等を有しており、加圧部31bは、部材21bを回動させることにより、部材21bを部材22bの方向へ加圧し、加圧部32bは、部材22bを回動させることにより、部材22bを部材21bの方向へ加圧する。ワイヤーの一端を部材21bに接続し、ワイヤーの他端を外部から引っ張ることにより部材21bを部材22bの方向へ加圧してもよいし、ワイヤーの一端を部材22bに接続し、ワイヤーの他端を外部から引っ張ることにより部材22bを部材21bの方向へ加圧してもよい。
【0042】
図2に示すように、部材21b及び22bの被着体接触面には、それぞれ挟持部2bによる挟持力(すなわち、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4に加えられる圧力)を検出するセンサS3及びS4が設けられている。センサS3及びS4並びに加圧部31b及び32bは加圧制御部4bに電気的に接続されており、加圧制御部4bは、センサS3及びS4で検出された圧力等に基づき、挟持部2bによる挟持力(すなわち、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4に加えられる圧力)が9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)となるように、加圧部31b及び32bによる加圧を制御する。加圧制御部4bは、通常、加圧部31bにより部材21bに加えられる部材22bの方向への圧力と、加圧部32bにより部材22bに加えられる部材21bの方向への圧力が等しくなるように、加圧部31b及び32bによる加圧を制御する。
【0043】
部材23bに内蔵された発熱体5bは特に限定されるものではなく、例えば、電熱ヒーター、ペルチェ素子、磁性体(磁性体を用いる場合、外部より変動磁場を照射する)等である。部材23bの被着体接触面には、被着体T3及びT4の温度を検出するセンサS5が設けられている。センサS5及び発熱体5bは発熱制御部6bに電気的に接続されており、発熱制御部6bは、センサS5で検出された温度等に基づき、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4の温度が60~140℃(好ましくは80~110℃)となるように、発熱体5bによる発熱を制御する。
【0044】
図2に示すように、部材23bはロッドR5を介して振動発生部7bに取り付けられており、振動発生部7bは、ロッドR6を介してアダプタAPに取り付けられており、アダプタAPはアーム部AR3に取り付けられている。振動発生部7bは、微小振動の発生源として、例えば、超音波振動子、小型モーター、磁性体(磁性体を用いる場合、外部より変動地場を照射する)等の振動素子を有している。振動発生部7bから発生した微小振動は、振動伝達部材であるロッドR5を介して部材23bに伝達される。部材23bに加えられる振動の方向は特に限定されるものではないが、本実施形態では被着体T3及びT4の接触面と略平行な方向である(図2中の矢印で示す方向)。振動発生部7bには、振動発生部7bによる微小振動を制御する振動制御部8bが電気的に接続されており、振動制御部8bは、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4の微小振動の周波数が1~100kHz(好ましくは10~60kHz)となるように、振動発生部7bが発生する振動を制御する。また、振動制御部8bは、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4の振動の振幅が100μm未満、好ましくは20μm未満となるように、振動発生部7bが発生する微小振動を制御する。なお、微小振動の振幅の下限値は通常0.1μm、好ましくは0.2μmである。挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4を振幅100μm未満で振動させる場合、小型の振動素子を使用でき、ホーン部を設ける必要もないので、装置1bの小型化が可能となる。なお、振動発生部7bから発生した微小振動は、ロッドR6を介してアダプタAPに伝達されるが、アダプタAPは微小振動を吸収することができる機構(例えば、弾性部材を利用した微小振動の吸収機構)を有しているため、アーム部AR3には伝達されないようになっている。アダプタAPは、把持部(図示せず)、カテーテル(図示せず)、ガイドワイヤー(図示せず)等に接続される。
【0045】
装置1bは、以下のようにして被着体T3及びT4を接着する。
挟持部2bには、被着体T3及びT4が互いに接触した状態で挟持され、互いに接触した状態にある被着体T3及びT4の間には部材23bが介在する。このとき、挟持部2bによる挟持力が挟持力制御部4bにより制御されることにより、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4には、9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)の圧力が加えられる。
【0046】
また、発熱体5bが発生した熱は、部材23bの被着体接触面を介して被着体T3及びT4に伝達され、被着体T3及びT4は加熱される。このとき、発熱体5bによる発熱が発熱制御部6bにより制御されることにより、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4は60~140℃(好ましくは80~110℃)に加熱される。
【0047】
さらに、振動発生部bが発生した微小振動は、振動伝達部材であるロッドR5を介して部材23bに伝達される。部材23bは被着体T3及びT4の間に介在するので、部材23bの振動は被着体T3及びT4に伝達される。このとき、振動発生部bによる振動が振動制御部8bにより制御されることにより、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4は、周波数1~100kHz(好ましくは10~60kHz)で振動する。また、被着体T3及びT4に加えられる振動の方向は特に限定されるものではないが、本実施形態では被着体T3及びT4の接触面と略平行な方向である(図2中の矢印で示す方向)。
【0048】
したがって、挟持部2bに挟持された被着体T3及びT4は、互いに接触した状態にあり、かつ、被着体T3及びT4には、9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)の圧力、60~140℃(好ましくは80~110℃)の温度、周波数1~100kHz(好ましくは10~60kHz)の振動が付加される。被着体T3及びT4に上記圧力、温度及び振動を付加する時間は、通常2~240秒、好ましくは10~120秒である。これにより、被着体T3及びT4は迅速かつ強固に接着する。また、被着体T3及びT4に上記圧力、温度及び振動が付加されたとき、被着体T3及びT4に与えられる損傷は少ない。なお、被着体T3及びT4のうち、部材23bが介在することにより互いに接触できない部分は接着されない。
【0049】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係る装置1cは、血管B内に挿入されたステントSTを血管Bの内壁に接着させるための装置であって、図3に示すように、発熱体5cが内蔵された部材24cと、部材24cを血管Bの内壁の方向へ加圧するバルーン部3cと、バルーン部3cによる加圧を制御する加圧制御部4cと、発熱体5cによる発熱を制御する発熱制御部6cと、微小振動を発生させる振動発生部7cと、振動発生部7cが発生する微小振動を制御する振動制御部8cとを備える。
【0050】
部材24cの形状、大きさ等、部材24cのステント接触面の形状、大きさ等は、部材24cをステントST内に挿入できる限り特に限定されるものではない。部材24cの形状は、例えば、板状、棒状等である。部材24cのステント接触面の形状は、例えば、平面、曲面、鋸歯状、剣山状等である。部材24cの材質は、ステントSTに接着しない限り特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス、ポリエステル、テフロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、絹、アラミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、これらの複合材料等である。
【0051】
ステントSTの表面は、湿潤コラーゲン、ポリウレタン、ビニロン、ゼラチン、これらの複合材料等の生体組織接着性材料でコーティングされている。
【0052】
図3に示すように、バルーン部3cは、バルーンカテーテル9cに通じており、バルーンカテーテル9cを通じてバルーン部3cの内部に流体を圧入することにより、バルーン部3cは、膨張して、血管Bの狭窄部を拡張するとともに、部材24cを血管Bの内壁の方向へ加圧する。部材24cのステント接触面には、ステントST及び血管Bに加えられる圧力を検出するS6が設けられている。センサS6及びバルーン部3に流体を圧入する装置(図示せず)は加圧制御部4cに電気的に接続されており、加圧制御部4cは、センサS6で検出された圧力等に基づき、ステントST及び血管Bに加えられる圧力が9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)となるように、バルーン部3cによる加圧を制御する。
【0053】
部材24cに内蔵された発熱体5cは特に限定されるものではなく、例えば、電熱ヒーター、ペルチェ素子、磁性体(磁性体を用いる場合、外部より変動磁場を照射する)等である。図3に示すように、部材24cのステント接触面には、ステントST及び血管Bの内壁の温度を検出するセンサS7が設けられている。センサS7及び発熱体5cは発熱制御部6cに電気的に接続されており、発熱制御部6cは、センサS7で検出された温度等に基づき、ステントST及び血管Bの内壁の温度が60~140℃(好ましくは80~110℃)となるように、発熱体5cによる発熱を制御する。なお、センサS7は、直接的にはステントSTの温度を検出するが、ステントSTに加えられた熱が血管Bの内壁に伝達される結果、ステントSTの温度は血管Bの内壁の温度の影響を受けるので、ステントSTの温度変化等に基づき、血管Bの内壁の温度をも検出できる。
【0054】
図3に示すように、部材24cはロッドR7を介して振動発生部7cに取り付けられており、振動発生部7bは、ロッドR8に取り付けられている。振動発生部7cは、微小振動の発生源として、例えば、超音波振動子、小型モーター、磁性体(磁性体を用いる場合、外部より変動地場を照射する)等の振動素子を有している。振動発生部7cから発生した微小振動は、振動伝達部材であるロッドR7を介して部材24cに伝達される。部材24cに加えられる振動の方向は特に限定されるものではないが、本実施形態ではステントST及び血管Bの内壁の接触面と略平行な方向である(図3中の矢印で示す方向)。振動発生部7cには、振動発生部7cによる微小振動を制御する振動制御部8cが電気的に接続されており、振動制御部8cは、ステントST及び血管Bの内壁の微小振動の周波数が1~100kHz(好ましくは10~60kHz)となるように、振動発生部7cが発生する振動を制御する。また、振動制御部8cは、ステントST及び血管Bの内壁の振動の振幅が100μm未満、好ましくは20μm未満となるように、振動発生部7cが発生する微小振動を制御する。なお、微小振動の振幅の下限値は通常0.1μm、好ましくは0.2μmである。ステントST及び血管Bの内壁を振幅100μm未満で振動させる場合、小型の振動素子を使用でき、ホーン部を設ける必要もないので、装置1cの小型化が可能となる。ロッドR8は、把持部(図示せず)、カテーテル(図示せず)、ガイドワイヤー(図示せず)等に接続される。
【0055】
装置1cは、以下のようにしてステントST及び血管Bの内壁を接着する。
バルーンカテーテル9cを通じてバルーン部3cの内部に流体が圧入されると、バルーン部3cは、膨張して、血管Bの狭窄部を拡張するとともに、部材24cを血管Bの内壁の方向へ加圧することによりステントSTを血管Bの内壁に対して加圧する。これにより、ステントST及び血管Bの内壁は互いに接触する。このとき、バルーン部3cによる加圧が加圧制御部4cにより制御されることにより、ステントST及び血管Bの内壁には、9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)の圧力が加えられる。
【0056】
また、発熱体5cが発生した熱は、部材24cのステント接触面を介してステントST及び血管Bの内壁に伝達され、ステントST及び血管Bの内壁は加熱される。このとき、発熱体5cによる発熱が発熱制御部6cにより制御されることにより、ステントST及び血管Bの内壁は60~140℃(好ましくは80~110℃)に加熱される。なお、発熱体5cが発生した熱は最初にステントSTに加えられるが、ステントST及び血管Bの内壁は互いに接触した状態にあるので、ステントSTに加えられた熱は血管Bの内壁に伝達し、血管Bの内壁も加熱されることとなる。
【0057】
さらに、振動発生部7cが発生した微小振動は、振動伝達部材であるロッドR7を介して部材24cに伝達され、部材24cからステントST及び血管Bの内壁に伝達される。このとき、振動発生部7cによる振動が振動制御部8cにより制御されることにより、ステントST及び血管Bの内壁は、周波数1~100kHz(好ましくは10~60kHz)で振動する。なお、振動発生部7cが発生した微小振動は最初にステントSTに加えられるが、ステントST及び血管Bの内壁は互いに接触した状態にあるので、ステントSTに加えられた振動は血管Bの内壁に伝達され、血管Bの内壁も振動することとなる。また、ステントST及び血管Bの内壁に加えられる振動の方向は特に限定されるものではないが、本実施形態ではステントST及び血管Bの内壁の接触面と略平行な方向である(図3中の矢印で示す方向)。
【0058】
したがって、ステントST及び血管Bの内壁は、互いに接触した状態にあり、かつ、ステントST及び血管Bの内壁には、9×10~1×10N/m(好ましくは1×10~5×10N/m)の圧力、60~140℃(好ましくは80~110℃)の温度、周波数1~100kHz(好ましくは10~60kHz)の振動が付加される。ステントST及び血管Bの内壁に上記圧力、温度及び振動を付加する時間は、通常2~240秒、好ましくは10~120秒である。これにより、ステントST及び血管Bの内壁は迅速かつ強固に接着する。また、ステントST及び血管Bの内壁に上記圧力、温度及び振動が付加されたとき、ステントST及び血管Bの内壁に与えられる損傷は少ない。
【実施例】
【0059】
〔試験例1〕
本試験例は、生体組織同士の接着に必要な条件を明らかにするための試験である。
【0060】
方法1(超音波メス):2枚の血管組織片(ブタ大動脈の内腔面)を接触させ、市販の超音波メス(ソノペット、ミワテック社製)を使用して、所定の周波数(kHz)、振幅(μm)、温度(℃)、圧着時間(秒)及び圧力(N/m)を2枚の血管組織片に付加し、2枚の血管組織片の接着を試みた。
【0061】
方法2(熱圧着):温度制御された加熱プレート上で2枚の血管組織片(ブタ大動脈の内腔面)を重ね合わせ、所定の圧力(N/m)を2枚の血管組織片に付加し、2枚の血管組織片の接着を試みた。
【0062】
方法3(熱圧着+微小振動):温度制御された加熱プレート上で2枚の血管組織片(ブタ大動脈の内腔面)を重ね合わせ、所定の所定の周波数(kHz)、振幅(μm)、温度(℃)、圧着時間(秒)及び圧力(N/m)を2枚の血管組織片に付加し、2枚の血管組織片の接着を試みた。
各方法の具体的条件及び結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
JP2007229270A_000003t.gif

【0064】
表1に示すように、方法1では、短時間(3~4秒)で血管組織片同士を接着させることができたが、接着時間が短すぎる場合(1~2秒)には血管組織片同士を接着させることができず、接着時間が長すぎる場合(6~7秒)には接着組織が損傷(加熱によって炭化)した。また、血管組織片同士の接着力は最高0.17MPaで、手で引っ張ると容易に剥離した。
【0065】
表1に示すように、方法2では、血管組織片同士を接着させることができなかった。このことから、生体組織同士の接着には熱及び圧力以外の要素(振動)が必要と考えられた。
【0066】
表1に示すように、方法3では、血管組織片同士を接着させることができた。方法3で必要な温度は方法1と同程度であったが、方法3で必要な圧着時間及び圧力は方法1よりも高かく、方法3で必要な振幅は方法1よりも小さかった。方法3で得られる接着力は、方法1よりも大きく、特に周波数12kHzの場合には、方法1で得られる接着力の約10倍の接着力が得られた。これは、手で引っ張っても容易に剥離しない接着力であった。
【0067】
〔試験例2〕
本試験例は、試験例1で明らかになった条件で生体組織と接着可能な材料を探索するための試験である。
血管組織片(ブタ大動脈の内腔面)及び各種材料を接触させ、周波数25kHz及び振幅80μmの振動、100℃の温度、5×10N/mの圧力を1~5秒間付加した。
【0068】
その結果、湿潤コラーゲン(高研製タイプ1コラーゲンをグルタルアルデヒドで架橋したもの)、ポリウレタン(ESPA、東洋紡社製)、ビニロン(ビニロン、クラレ社製)、ゼラチン(和光純薬製精製ゼラチンをグルタルアルデヒドで架橋したもの)は、強固に接着した(図4参照)。ナイロン(ナイロンネット、グンゼ産業製)は不十分ながら接着した。ポリエステル(ユービーグラフト、ウベ循研製)、ステンレス(SUS364、市販品)、セロファン(セロファンフィルム、東京セロファン製)、乾燥コラーゲン(高研製タイプ1コラーゲンをグルタルアルデヒドで架橋し、乾燥させたもの)、テフロン(ゴアテックスEPTFEグラフト、ジャパンゴアテックス社製)は接着しなかった。なお、接着後に引張測定を行い、接着力が0.2MPa未満の場合を「不十分な接着」、0.2MPa以上の場合を「強固な接着」と判断した。
【0069】
上記と同様の条件で試験したところ、ポリウレタンをコーティングしたステンレス片(図5参照)、ポリウレタンをコーティングしたポリエステル片(図6参照)は、血管組織片に接着した。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の装置の一実施形態を示す部分断面概略図である。
【図2】本発明の第1の装置の別の実施形態を示す部分断面概略図である。
【図3】本発明の第2の装置の一実施形態を示す部分断面概略図である。
【図4】(a)ポリウレタン、(b)ビニロン、(c)湿潤コラーゲンが血管組織片に強固に接着した状態を示す図である。
【図5】ポリウレタンをコーティングしたステンレス片が血管組織片に接着した状態を示す図である。
【図6】ポリウレタンをコーティングしたポリエステル片が血管組織片に接着した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1a,1b,1c・・・装置
2a,2b・・・挟持部
3a,31b、32b・・・加圧部
3c・・・加圧部(バルーン部)
4a,4b,4c・・・加圧制御部
5a,5b,5c・・・発熱体
6a,6b,6c・・・発熱制御部
7a,7b,7c・・・振動発生部
8a,8b,8c・・・振動制御部
T1、T2,T3,T4・・・被着体(生体組織又は生体組織接着性材料)
B・・・被着体(血管)
ST・・・被着体(ステント)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5